Boomは超音速旅客機の復活を目指すスタートアップ――コロラドの本社をビデオ取材

Boomはスタートアップとしてきわけて野心的な目標を持っている。超音速旅客機の復活だ。Boomが開発しているのはコンコルドに似た機体だが、もっと大型で性能も優れており、何より経済性が高くなるはずだ。TechCrunchではコロラドの空港に位置するBoomの本社を訪れ、社員がまだ50人に満たない会社がどうやって超音速旅客機を実現しようとしているのか詳しく見てきた。

訪問した小さな空港には航空機関連の会社が散在していたが、Boomの本社は格納庫の一つを占領していた。一歩足を踏み込むと、Boomが開発中の XB-1デモンストレーター機のフルスケールのモックアップが目立った。この機体は有人操縦で、Boomが世界の航空会社に販売しようと計画している商用機の小型のプロトタイプだ。

Boomのファウンダー、 CEO、Blake Scholl.

CEO、ファウンダーのBlake SchollはBoomのビジョンについて熱意を込めて語った。またBlakeは巨大なモックアップやそれよりは小さいが空力特性が精密に再現された風洞試験モデルを見せてくれた。Blakeは開発チームが仕事をしている混雑した部屋(近くもっと大きいスペースに移らねばならないだろうという)も案内してくれたが、エンジニアのチームにも強い誇りを抱いているようだった。われわれはBoomの航空機テクノロジーやデザインについてあらゆる側面を知ることができた。Blake Schollが航空機産業の出身ではなく、ネットワーク・テクノロジー、広告自動化、eコマースなどの会社の起業家、幹部という経歴だったのは意外だった。

しかしSchollは自家用パイロットのライセンスを持つ熱心な飛行家であり、航空工学を自らも熱心に学んでいると同時に、才能あるエンジニアを選ぶ力も高いようだ。私はBoomの開発チームと話をした。その1人、ノートルダム大学を卒業してNASAでインターンをした経験もあるフライト・コントロール・システム開発の責任者、Erin Fisherによると、航空機、航空旅客運送ビジネスに強いインパクトを与える可能性がある点でBoomは非常に魅力的な職場だという。Fisherによれば、航空エンジニアがこれほど革命的な機体の開発にこれほど早い段階で関われるチャンスはきわめて稀だという。

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きわめて革命的なBoomnだが、今のところ事業は質素なスタートだ。実際、われわれが訪問したときも、 開発チームはXB-1デモンストレーターのフルスケール・モデルの耐久テストを実施しているところだったが、カーボンファイバーのテスト用素材を作るオーブンはアルミフォイルを巻いた手作りの箱だった。カーボンファイバーの素材が「焼きあがる」と強度をテストする装置にかけられ、破壊するまで力を加えられる。これによって機体が十分に安全な強度を得るために必要な素材の量が決定されるという。シミュレーションにより予測された強度に達していることが確かめられるとXB-1実機に用いる素材の製造が開始される。デモンストレーターのテスト飛行は来年予定されている。

Boomの目標は遠大なので当然ハードルも高い。有人機機を飛行させるのはどんな規準からしても野心的なミッションだ。また開発チームが作業するのに適したスペースを見つけるのも大変だという。しかしSchollによれば、最近のラウンドの成功も含めて、XB-1を飛行させるための資金は十分確保しているという。

クライアントからの問い合わせも来ており、Boomはいくつも航空会社と話し合いを行っている。もちろんアメリカの上空を超音速で飛行することも含め、Boomが実際に飛ぶためには今後さまざまな法規の調整が必要となる。しかしどこからか始めるのでなければ何も始まらない。Boomの目標は現在のビジネスクラス程度の料金で世界の大都市間を超音速で結ぶというものだ。

画像: Darrell Etherington

〔日本版〕ビデオによれば、XB-1デモンストレーターに利用するエンジンはGE J85。1950年代に空中発射ミサイル用エンジンとして開発されたが、後にノースロプF-5などの軽戦闘機に採用された。近年ではバート・ルタンの宇宙往還機の母機、White Knight Iのエンジンとしても用いられた。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

航空会社がオーバーブッキングする理由―統計専門家に聞いてみた

頻繁に飛行機を利用していれば誰にも経験があると思うが、チケットを片手にゲートにたどり着いたのに席がないという事態に出くわすことがある。A地点からB地点まで飛ぶ飛行機の席の数よりゲートで待っている人数の方が多いのだ。そこで誰しも「飛行機に200席しかないんだったらチケットも200席分だけ売ればいいだろう!」と思う。しかし航空会社がオーバーブッキングすることについてはビジネスの収支上、効率上の理由がある。これは統計データの分析に基づくものだ

アメリカだけでも毎年9億人が空路で移動している。これは控えめに言っても大事業だ。人々が旅行する理由はさまざまだが、ビジネスとレジャーがニ大要因だ。問題は搭乗を予約した乗客の全員がゲートに現れるわけではないという点だ。平均して5%の乗客が現れない。場合によっては15%に跳ね上がる。当然これは航空会社の経営に影響を与える。

ある場合には定員以上の乗客が飛行機に乗ろうとすることがある。通常、乗客は自発的に降機するよう要請される。しかしこれで解決しない場合がある。昨年は4万6000人の乗客が強制的に飛行機から降ろされた。

航空機のチケットには特定の座席を確保する力はない

たとえばニューヨークからサンフランシスコに飛ぶ場合、われわれは通常、特定の便の特定の座席を予約する。しかし法的関係を厳密に言えば、 この予約には特定の座席を確保する力はない。乗客はニューヨークからサンフランシスコへの空路の旅行の権利を買ったことになる。ロンドンからニューヨークに飛んだときに、乗り継ぎ便を逃したとしよう。多くの場合、航空会社は無料で別の便に変えてくれる。交通渋滞で乗り遅れた場合も同様だ。これは「旅行の権利を買った」ことに基づく。

ビジネス旅行者は乗客数ではわずか12%だが売上では60%を占めるので王様だ。その理由は、ビジネス旅行者はなるべく制限の少ないチケットを必要とするため高い料金を払うからだ。フレキシブル(変更可能な)チケットを持っている場合はぎりぎりの時点で予約の変更を申し出ても受け入れられる可能性が高い。ビジネスで飛行機を利用する乗客の場合、会議が長引く、思いがけないビジネスチャンスを発見するといったことが始終起きる。1便遅くしたり早くしたり目的地を変えたりする必要が生じる。このクラスの乗客(ビジネスクラスや正規のフレキシブル・チケットの所有者)は予約した便でほぼ間違いなく飛ぶことができる。

では、チケットを200枚売っても200人がゲートに現れるわけではないという問題はどうしたらよいか?

ひとつは空席のまま飛ぶことだ。しかし航空会社の利益率は1%前後なのでこれは最悪の選択だ。空席を残して飛べば赤字が出る。しかも多くの場合、販売されたチケットは依然としてVALID、つまり有効な状態なのでその乗客がいつどの便を再予約するのかわからない。

乗客がゲートに現れなかった場合

自発的に飛行機から降りた場合、航空会社は500ドルのバウチャーをくれる。つまり後で別のフライトのチケットを購入したときに500ドル分として使えるわけだ。

私は航空会社の統計専門家に話を聞くことができた。TechCrunchのインタビューに答える許可を会社から得ていないというので、ここでは仮にジョージと呼んでおこう。ジョージによれば「空席を放置して飛ぶより〔オーバーブッキングの場合に〕500ドルのバウチャーを払う方がすっと適切だ」という。もし500ドルの現金を払ったのなら会社の口座から500ドルが消えることになる。しかし500ドルのバウチャーの場合、そもそも現金は減らない上に、実は会社の実損は現金500ドルよりはるかに少ない。【略】

オーバーブッキングをコントロール可能にするには?

「旅行というのは統計的にかなりの精度で予測できる。たとえばスーパーボウルがテキサスのヒューストンで開催されるとしよう。すると乗客がゲートに現れる率は急上昇する。スーパーボウルのチケットを持っていたら無駄にしたくないのは明らかだ。そこで飛行機にも実際に搭乗することになる。われわれはその時期にはオーバーブッキング率を下げる。この時期にオーバーブッキングして乗客を飛行機から降ろすと非常に悪いパブリシティになるからだ。航空会社のオーバーブッキングのせいでスーパーボウルを見損なったなどという記事が出るより空席を抱えて飛ぶほうがましだ」とジョージ。

「同様に感謝祭とクリスマスの前後にも乗機率が急上昇する。休暇で実家に行き帰りする季節には予約のキャンセル率は減る。スーパーボウルの場合と同じような事情で航空会社はオーバーブッキングを減らす。こういう時期に飛行機から降ろされた乗客は2度とわれわれの便を利用しないことになりがちだ」。

しかしそれ以外の普通のウィークデイの場合は事情が異なる。乗客はフライトを予約してもさまざまな理由でゲートに現れない。接続便の遅れの場合もあるし、交通渋滞もあるだろう。乗客個人の事情で旅行を延期したり、別のことをしなければならなくなることもある。

「格安チケットはこの問題を解決する一つの方法だ。当初の価格は安い代りに高額のペナルティーを支払わなければ別の便に再予約はできない。その便に乗り損ねたらもう一度チケットを買い直すしかない」。

10億ピースのジグソーパズルを解く

また航空会社はチケットにいくつもの等級を設定している。実はこの等級はその便に乗れないリスクを乗客が選べるようにしてあるのだという。

「乗客がYクラス(ジョージの航空会社ではエコノミークラス)のノンフレックス・チケットを購入したとする。航空会社ではこのチケットの保有者がゲートに現れないリスクを計算できる。われわれは何十年も前からの膨大なフライト・データを持っている。たとえばエコノミー・チケットの保有者が4月11日にサンフランシスコからニューヨーク行き直行便を乗り継ぎなしに予約した場合、という具合だ。これに天気予報その他関連ある要素を加えて処理する。17Aの切符を予約した乗客が無事にその席に座って飛び立てるかどうか、われわれはきわめて確度の高い予測ができる」とジョージは言う。

しかし問題は、オーバーブッキング問題に限らず、統計予測には必ず一定の範囲で誤差がつきものだといいう点だ。

「予測を間違えて空席が出そうな場合はキャンセル待ちの人々を乗せようと試みる。逆の場合、たいていは何百ドルかのバウチャーと引き換えに自発的に飛行機を降りてくれる乗客がいる」

「もちろんチケットのビジネスモデルを変更して予約した全員が必ず座れるようにすることは可能だ。【略】しかしその場合にチケットの価格は非常に高くなる」という。ジョージの説明によれば飛行機のチケットというのは基本的にコモディティーだという。つまり同種の他社の同種商品と交換可能な商品ということだ。チケットに印刷してある航空会社がUAであろうがVirginであろうがAAであろうが、要するに「A地点からB地点への移動」を約束しているに過ぎない。

航空業界というのは恐ろしく利幅が少なく、競争が激烈なビジネスだ。もしジョージの航空会社が予約モデルを変えて、予約者全員が必ず飛べるようにしたとしよう。すぐに飛行機は空席だらけで飛ぶ羽目になる。それどころか廃業ということになるだろう。一部の乗客は座席を確保できるなら20%くらい料金が高くなっても構わないと思っている。…しかしその程度ではまだまだ普及するビジネスモデルとなるには足りないのだという。

画像: Dave and Les Jacobs/Getty Images

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

Zunum Aeroは空の電気コミューターを目指す―ボーイング、JetBlueが支援し2020年に実現の計画

ボーイングのベンチャーファンド、Boeing HorizonXとJetBlue Airwaysのベンチャーファンドが出資するスタートアップ、Zunum Aeroは近距離用ハイブリッド電気航空機を2020年までに就航させる計画を発表した。航続距離は当初700マイル(1100km)程度だが、2030年までに1000マイル(1600km)に延長する計画だ。これだけの航続距離があれば、アメリカではほぼあらゆるポピュラーな短距離路線をカバーできる。

Zunum Aeroが計画しているのは、地域ハブ空港へのトラフィックを増大させると同時に運用コストを大きく下げることができるような小型旅客機(10席から 50席)だ。 Zunumでは、たとえばロサンゼルスからシリコンバレーなどへのビジネパーソンの移動がはるかに効率的になるとしている。同社によれば、他の手段、高速道路や鉄道などによる移動はこの50年、実質的に進歩しておらず、きわめて遅いままだ。Zunumはこの状態を新しいハイブリッド電気モーターによって大きく改善しようとしている。

Zunum Aeroのコミューター機はA地点からB地点までの旅行時間のトータルに関して、乗客の多い路線では40%、乗客が少ない(したがって便数が少ない)路線では最大80%も短縮できるという。同時に運行コストも40から80%削減することを目標としている。これに比例して運賃も下がるはずだ。ハイブリッド電気モーターの採用により、従来のターボファン採用の機体にくらべて炭素排出も80%削減される。Zunumでは将来は完全なバッテリー駆動とすることを目指しており、その場合には飛行中に炭素の排出はゼロとなる。またZunum Aeroは騒音レベルも75%削減できるとしている。

ボーイングとJetBlueからの出資に加えて、Zunumのエンジニア・チームにはNASAが支援した電気航空機プロジェクトのリーダーを含み、またイリノイ大学の電気航空機の研究者とも提携している。2014年から電気航空機の耐空性に関してFAA〔連邦航空局〕と密接に協議を続けており、法規上の問題もクリアしていく準備を整えているということだ。

安くで静かでエコな空の旅というのはまさに夢のような話だ。 Zunumが計画しているようなスケジュールでこの夢が実現することを期待したい。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

小型ジェットエンジンを手足にくくりつけて飛ぶイギリスの起業家Richard Browningは絶対安全と主張

【抄訳】
YouTubeの一連の粒子の粗いビデオが、GravityのファウンダーRichard Browningの奇怪な夢の進捗を記録している。ビデオは、回を追うごとにますます恐ろしくなり、彼は複数のジェットエンジンを自分の手足につけて地上数フィートに浮くのだが、その構成が次々と変わっていく。

報道向けの資料によると、彼は石油の貿易ビジネスから起業家に変身し、本物のアイアンマンを目指しているのだが、実際に見ると裏庭のマッドサイエンティストという感を拭えない。あと一歩で、世界でもっとも危険な“お馬鹿スタント”になるだろう。Browningは、彼がDaedelusと呼ぶ装備の3分半の飛行のビデオ(下図)が、見る人を怖がらせることは認めるが、実際には最初から最後の一瞬まで危険性はまったくない、と主張する。

“体に括(くく)りつけたらすぐに飛べるんだ”、と彼は電話インタビューで語る。“危険性は田舎でスポーツバイクに乗るよりも低い”。Browningは、安全性のための工夫や配慮をえんえんと語るが、それはまるで、危険な遊びを親に安全だと言い張っている子どものようだ*。これまでまだ、怪我をしたことはないそうだ。〔*: 安全性配慮: 消火器を持った二人のアシスタントから30フィート以上は離れない、などなど、ものすごく細かい。〕

現状では、最高速度は人間が走る速さを超えていない。そして燃料は、爆発性のないものを選んでいる。設計の仕様により、ホバリングの高度は数メートル以下、そしてdead man’s switch(死人のスイッチ)という不吉な名前をつけたボタンを本人がずっと押していないと、飛行は継続しない。

【後略】
[以下、写真とビデオのみ掲載]

http://www.redbull.com?t=0&videoId=5379469912001

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

Uber、NASAの技術者をスカウト―空飛ぶタクシー、Uber Elevate開発に本腰

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UberはNASAの先進航空機エンジニアMark Mooreをスカウトした。「空飛ぶ自動車」の開発に本腰を入れるらしい。以前からUberは都市圏での短距離乗客輸送のための小型の垂直離着陸機に対して強い興味を抱いていた。2010年のレポートでもヘリコプターのように運用できるVTOL機の実現可能性が検討されている。MooreはUber Elevateのエンジニアリング責任者に就任する。Elevateはオンデマンドの空飛ぶタクシーにUberが付けた名前だ。

Bloomberの記事によれば、Uberは最近のVTOL機利用に関するレポートをまとめる際にMooreをコンサルタントとしたという。 MooreはUberのこの分野における真剣さに強い印象を受け、同時に彼自身の長年のアイディアを比較的短い時間で実現するチャンスを見てとったようだ。Mooreは「この〔Uberに参加するという〕決定のカギはUberが短距離旅客航空に関して現実的なビジネスモデルを持っているということだった。市場に需要がないかぎりどんなすぐれたビジョンであっても実現は不可能だ」と語っている。

Uberは「オンデマンド航空」に関して詳細な提案を行っている。これには一回の充電で80-160km程度飛行できる電動モーターを使った垂直離着陸可能な小型の航空機のネットワークが用いられる。最終的な目標はスマートフォンなどのデバイスを通じたユーザーの呼び出しに答えてこうした機体が自律的に飛行するというものだ。MooreがBloombergに語ったところによると、当面の目的は、人間のパイロットが操縦する小型VTOL機をいくつかデザインし実際にテストすることのようだ。

VTOL機の開発は他社も関心を抱いている。Googleのファウンダー、ラリー・ペイジ、航空機メーカーのエアバスがそれぞれ創立した2つのスタートアップなどがそうだ。TechCrunchでも報じているが、エアバスはVTOLタクシー、Vahanaプロジェクトを発表している。エア・タクシーは地上の渋滞を避ける切り札だが、運輸ビジネスにとっての最大の関心は、安価なVTOL機体の開発だ。これが可能であれば長期的に莫大な利益が確保できるはずだ。

今のところElevateは現実のオンデマンド・エア・タクシーではないが、 Uberはこのテクノロジーを真剣に追求しており、年内にオンデマンドVTOL輸送に関心を抱く企業を集めるサミット・カンファレンスを開催しようと努力している。

Uberの先進プログラムの責任者、Nikhil GoelはTechCrunchの取材に対し、下記のようなコメントを寄せた。

Uberは拡大しつつあるVTOL開発エコシステムにおいて今後も重要な触媒的役割を続けていく。 Markが参加してくれたことはUberと株主にとって朗報だ。われわれは〔VTOL機について〕以前のレポートで発表した線にそってユースケースの拡大を検討している。

〔日本版〕Airbusが発表したエアタクシーの想像図。Uberのものも含めてVTOLはV-22と同様のティルトローター式を採用している。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

追悼ジョン・グレン

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1962年2月20日、ジョン・グレンは問題を抱えていた。

地球周回軌道を飛行した最初のアメリカ人であるグレンは、その時フレンドシップ7のカプセルの中にいた。ミッションコントロールは、彼にカプセルの手動制御を引き継がせた。その間に自動システムが故障し、彼にはそれまでに人類が作成した最も複雑な成果物の1つを完全に制御する使命が残された。宇宙空間でただ1人、うっかりすれば地球から彼を弾き飛ばしてしまうか、あるいはその厚い大気の中に転落させかねない乗り物の舵を握っていたのだ。

「私は手動制御に移行して、2周目、3周目、そして再突入をそのモードのまま継続しました」とグレンは語った。「この故障は、私たちが長い時間をかけて検討してきたものが正しかったかどうかを、素早く証明してみせることを私に迫りました」。

そして彼は米国上院議員になるために生き残り、科学と実践主義に彩られた政策の策定に何十年も携わった。その男が亡くなった。彼の生まれたオハイオ州ケンブリッジから100マイルも離れていない場所で、家族に囲まれながら。

グレンは凄腕のパイロットだった。無数の出撃を通して何千時間もの飛行を行った。彼は宇宙最古の男であり、アメリカの希望と可能性の生きたサンプルだった — そして何よりも — 中心だった。戦後の恐怖と懐古的な無知によって大部分のアメリカ人が盲目的に這い回っていたときに、彼は超音速で飛行し、地上での希望が薄かった時に私たちを前へと押してくれた。彼はピッグス湾の上を飛び、ビートルズの「ラブ・ミー・ドゥー」に先んじて飛んだ。彼は最初のコンコルドを製造するエンジニアたちの上を飛び、アメリカのそして世界の戦争の際にアメリカの上を飛んだ。

彼はそれら全ての上を飛んだのだ。

ジョン・グレンのような男たちと女たちが重要だ。彼のときと同じ争いで形作られるこの時代には、熱い恐れと冷たい戦争の時代には、片手にはスロットルを、もう一方の手にはステアリングを握り、私たちを前へ導いてくれる男女が必要なのだ、宇宙で、地上で、研究室で、そして政治の場で。私たちには、手動制御に切り替えることを恐れない、思想家たち、実践者たち、製作者たち、男たち、そして女たちが必要なのだ。大勢のジョン・グレンが必要だ。

宇宙開発競争の英雄たちは高齢化している。それに続く世代は宇宙に対する敬意に欠けている — 少なくともまだ今は — そして彼らにとって宇宙飛行はありふれた奇跡に過ぎない。私たちは、出産時に死ぬことはない。私たちは、数時間で数1000マイルを移動し、数秒で世界の誰にでも電話をかけることができる。私たちは、この指先に世界中の情報を集めている。私たちは、願いが人生で徐々に叶っていく素晴らしい夢の中で眠っているのだ。私たちは、グレンでさえ予測することができなかった世界に住んでいる。

だから、グレンと彼の同類たちが私たちに与えてくれたものに感謝して、その先へ進もう。手動制御に切り替えよう。恐れを見せることなく。なぜなら私たちの可能性を無視することこそが恐怖なのだから。

グレンはかつて宇宙飛行の魔法についてこう言った「1日に4度の美しい夕焼けを見た日のことはどのように語ればいいのか分かりません」。世界を変えるために私たちがしなければならないことは、生涯に渡って日の出を見つめることだ。

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(翻訳:Sako)

Uberが飛行機タクシーを検討中、将来的には自動飛行も視野に

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飛行機タクシーで短距離移動。まさに次世代の話だ。これは一種の妄想か、それとも実際に都市に住む人たちは実現を期待していいものなのだろうか?Uberは後者に賭けているようだ。Uberのプロダクト責任者はRecodeのKara Swisherに週末に開催されたカンファレンスでコメントしている。

UberのJeff Holdenは壇上で、Uberは真剣に垂直離着陸航空機(ブイトール機)を使用して、都市の上空を経由する個人の交通手段を実現する方法を検討しているという。突拍子もないアイデアに聞こえるが、このアイデアに取り憑かれているのはUberだけではない。Airbusは今年の初めに自動飛行タクシー計画の発表しているし、GoogleのLarry Pageはブイトール技術で空飛ぶ車の開発を投資している2社のスタートアップに競わせている。いくつか有名企業の名前を挙げるだけでもこれだけある。

Uberの計画は、パイロットが航空機を操縦するところから始めるという(上の写真にある米軍のV-22オスプレイのように)。だが、ブイトール機のコンセプトは、将来的に今ある商業ドローンのように自律して旋回する自動運転機能を搭載する計画だ。ブイトール機は、商業ドローンやコンシューマードローンといくつか共通点がある。複数のローターがあるデザインなのもその1つだ。Elon Muskはマス向けのフライトの動力源を電気にするのなら、ブイトール機が最適と考えているという。

最近、いくつかのオンデマンド配車サービスは、提供サービスの定義を拡張している。異なる交通手段への投資を行ったり、サービス提供である運転手が所有する車以外の車種を取り揃えるためのパートナーシップを締結したりしている。Lyftは、車のネットワークを拡張し、パートナーであるGMやLyft自身で保有する車種を広く揃えようとしている。これらの車は自動運転ができるだけでなく、乗客のニーズに合わせて設定を変えたり、車種を指定したりすることを目指す。例えば、作業用の車を選択したり、パーティーに向かうのなら車内でリラックスできる車を選択したりできるといった具合だ。Lyftの共同ファウンダーであるJohn Zimmerは最近のインタビューでその構想を説明している。

Holdenも都市空間の再考することに関してZimmerと似たビジョンを描いているという。HoldenはインタビュアーのSwisherに、屋上での離着陸空間の活用とサンフランシスコとオークランドでの車の渋滞を緩和することが目標であると話した。利用可能なコンシューマー向けブイトール機での交通サービスが実現するまでには、まだあまりに多くの仕事をやってのけなければならないだろう。ビイトール機での送迎が自動運転であるならなおさらだ。

さらに最大の障害は規制の制定する機関との話し合いだろう。都市部の上空を低い高度で飛行すること、無人航空機の使用、無人航空機による人の移動には規制がからんでくる。しかし、Uberは新領域に参入するのを躊躇う会社ではない。Uberの自動運転車を開発する取り組みは、カーネギーメロン大学の協力を得てからおよそ18ヶ月で、自動運転車の連隊が公道を走る実践的なトライアルにまで持ち込んでいるのだから。

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(翻訳:Nozomi Okuma /Website

Amazonが配送時間短縮のため、自社専用の貨物航空機「Amazon One」をローンチ

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ドローンでの配送や自動運転トラックによる輸送をAmazon.comが実現するまでにはまだ時間がかかるだろう。

しかしEコマースの大手企業は、自社のブランド名を掲げる初の貨物航空機「Amazon One」を金曜日にシアトルで開催されるSeaFair Air Showでお披露目する。

Amazon.comの航空貨物サービスを担うAtlas Airが、このボーイング767-300の航空機を運用する計画だ。

Amazonがイベント前にリリースした声明文で、Amazonのワールドワイド・オペレーション部門のシニアVPを務めるDave Clarkeは、拡張的な「航空輸送ネットワーク」の計画の概要を伝えた。AmazonはPrime Airの貨物オペレーションのため、Atlas Airともう1社のパートナーであるATSGから40機を2年間リースすると発表した。

今回の動きは、要求水準の高いカスタマーに対応するため、Amazonの役員が配達を早めるために行う施策の1つである。

航空機が塗装される様子を写したタイムラプス動画がYouTubeで公開されているので、Amazonの熱狂的なファンはシアトルの航空ショーの開催前にその姿を見ることができる。

Amazon.comは、Prime会員や他のカスタマーへの商品の配送時間をできる限り早めるため、地上でもいくつかの施策を実施している。

Amazonは配送トラックの連隊に4000台のトレーラーを追加したり、承認したフリーランスのドライバーが自分の両でAmazon.comの配送を行うためのモバイルアプリ「Flex」をローンチしたりしている。また、Amazonの施設ではロボティクスや他のテクノロジーを駆使して、パッケージや仕分けの効率化を図っている。

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(翻訳:Nozomi Okuma /Website

Solar Impulse 2が地球一周の全行程を終え出発地アブダビに着陸

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4つの大陸と24800マイルと500日あまりの飛行を経て、Bertrand PiccardとAndre Borschbergがスタート地点に帰ってきた。二人のスイス人パイロットは、Solar Impulse 2による世界一周を今日(米国時間7/26)完遂し、今朝早くアブダビに着陸した

複数の新記録をうちたてたその旅は、燃料をいっさい使わず完了し、操縦を交替で行い、計17の全行程を消化、先週末のカイロからの離陸が最後の離陸〔最後の行程の出発地〕となった。その感動的な記録の中には、日本からハワイまでの最長単独飛行と、無燃料による大西洋横断があった。

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[40000キロメートルを燃料なしで飛んだ。エネルギーの歴史にとって初めてだ。もっと遠くへ延ばそう。]

平均飛行速度は毎時46マイル、二人は機械的側面と人間的側面の両方でさまざまな困難を経験した。たとえば胃のトラブルで最後の行程が遅れた。飛行中は小さなコックピットから出られないので、20分おきに眠り、シートの中で休息した。

着陸後にPiccardは、群衆に向けて希望の言葉を述べた: “未来はクリーンだ”。ここで群衆は歓呼した。“未来はあなただ。未来は今だ。それをもっともっと遠くへ延ばそう”。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

「飛び放題」を提供する航空会社Surf Airがヨーロッパに事業を拡大

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有料会員に「飛び放題」サービスを提供するトラベルサービスのスタートアップSurf Airは本日、今年の10月よりヨーロッパ内でのサービスを開始すると発表した。

具体的には、Surf Airのヨーロッパ路線は、英国ロンドン・ルートン空港と他のビジネスの中心都市であるカンヌ、ジュネーブ、チューリッヒなどを含む。

また、同社は週末にはホリデーの目的地として人気のあるイビサ島へのフライトも提供する意向で、2017年には目的地にドバイ、パリ、アムステルダム、バルセロナが加わる予定だ。

アメリカにおいて、Surf Airは都市近傍の小さな空港を使用して、ビジネスと観光で人気のある主要都市をカバーしているが、それらはロサンゼルス、サンフランシスコ、リノ(トラッキー経由)、パームスプリングズ、ナパなどだ。

会員は1000ドルの入会金を払い、国内サービスは毎月1950ドルとなっている。機体はPilatus PC-12 NG aircraftを使用、これは7人乗りのビジネスターボジェットで、キャビンのデザインはBMW DesignworksUSAが担当した。

ヨーロッパ会員の費用は入会金プラス毎月2500ユーロで、Surf Airの就航する路線内を回数無制限で乗り放題だ。会員は友人や家族のためにゲストパスを片道750ユーロで発行して貰える。

さらに同社のアプリを使えばフライトを予約することができ、空港ではバレットパーキングサービスも利用出来る。

ヨーロッパに事業を拡張することでSurf Airの競争力は増すだろう。競合相手としては、ジェット機の共同所有プログラムやチャーターサービスなどがあり、既にVista JetやNetJetsなどが名を連ねる。また、スタートアップとしてはJetSmarterなどがあり、メンバーになれば他人の所有するジェット機の空席を予約することが可能だ。

アメリカ内ではSurf AirはWheels Upなどと競合する。Wheels Upは会費を低く抑える一方で飛行時間で課金する方式を採用している。

Surf Airは2011年に設立され、これまで1876万ドルを株式ファンドで調達した。Anthem Venture Partners、Baroda Ventures、Base Ventures、NEA、ff Venture Capital、Mucker Labなどが同社に投資している。また、資金を借り入れ航空機の購入と事業拡張を行った。

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(翻訳:Tsubouchi)