Alibaba Cloudが今後3年間で約3兆円をインフラに追加投資

Alibaba Cloudは米国時間4月20日、新型コロナウイルス(COVID-19)のパンデミックへの対応に適応し、ビデオ会議やライブストリーミングなどのサービスへの需要が高まっていることから、今後3年間でさらに2000億人民元(約3兆円)を同社のインフラに投資すると発表した。

今回の投資はAlibaba CloudのOS、サーバー、チップの技術を、同社データセンターに拡大することに重点を置いている。Alibaba Cloudは現在、アジア、オーストラリア、中東、ヨーロッパ、米国に63のアベイラビリティゾーンを設けている。

Alibaba Cloud Intelligenceの社長であり、Alibaba(アリババ)グループの最高技術責任者であるJeff Zhang(ジェフ・チャン)氏はプレスリリースで「クラウドインフラストラクチャと基盤技術への投資を増やすことで、世界クラスの信頼性の高いコンピューティングリソースを引き続き提供し、企業のリカバリプロセスのスピードアップを支援するとともに、クラウドベースのインテリジェントソリューションを提供して、パンデミック後の世界におけるデジタルトランスフォーメーションをサポートしていきたいと考えている」と述べている。

アリババは2020年2月に発表した直近の四半期決算報告書では、クラウド部門の収益が62%増の15億ドル(約1600億円)だった。Gartner(ガートナー)によると、Alibaba Cloudはアジア太平洋市場におけるトップのクラウドプロバイダーだという。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

クラウドファンディングのMakuakeがアリババ傘下の「造点新貨」と連携、中国でのテストマーケや越境ECが容易に

クラウドファンディングやテストマーケティングのプラットフォーム「Makuake」を運営するマクアケは12月18日、中国の大手ネット企業のアリババグループに属するAlifishとの提携を発表した。AlifishはMakuakeと同様のプラットフォーム「造点新貨」を運営しており、マクアケとの連動で、日本と中国の事業者の相互紹介を進め、各国へ進出する際のサポートを行う。マクアケの今回の取り組みは、韓国の大手のクラウドファンディングサービス「Wadiz」との業務連携に続くもの。

具体的には、中国でのビジネス展開を希望するMakuakeのプロジェクト実行者に対して造点新貨を紹介する。プロジェクト実行者は造点新貨を利用した製品やサービスのテストマーケティングが可能になるわけだ。テストマーケティングが成功すれば、アリババグループの巨大ショッピングサイトサイトである「淘宝網」(タオバオワン)での出店も可能になるとのこと。その逆の、造点新貨のプロジェクト実行者をMakuakeに紹介する作業も担う。

マクアケは12月11日に東証マザーズに上場し、公開価格1550円のところ初日終値は2980円と順調に株価が上昇。その後も順調に推移し、12月18日14時48分に値幅制限の上限である4690円に達して本日はストップ高となっている。

関連記事:クラウドファンディングサイトのMakuakeが東証マザーズ上場、公開価格1550円で初日終値2980円

アリババが機械学習タスクの速度を大幅に向上させるAI推論チップを発表

米国時間9月24日、アリババグループ(Alibaba Group、阿里巴巴集団)は初のAI推論チップを発表した。Hanguang 800(含光800)という名のそのニューラル処理ユニットは、機械学習タスクを劇的に速くしエネルギー効率の高いものにするという。このチップは、アリババクラウドが毎年開催しているApsara Computing Conferenceで発表されたが、すでにアリババの商品検索やパーソナルレコメンデーションを始めとするeコマースサイトの機能を強化するために使用されている。今後アリババクラウドの顧客からも利用可能になる予定だ。

チップの能力を示す例としてアリババは、オンラインモールのタオバオ(淘宝)に業者から毎日アップロードされる10億枚超の製品イメージを分類して、検索とパーソナルレコメンデーションが可能になる処理を挙げた。これまは1時間程度かかっているが、Hanguang 800を利用すればわずか5分で完了できるようになるという。

アリババは、マシン処理を必要とする多くの事業ですでにHanguang 800を使用している。その中には製品の検索とレコメンデーションに加えて、eコマースサイトでの自動翻訳、広告、カスタマーサービスなども含まれている。

そのチップが、アリババクラウドの顧客から利用できるのがいつになるのかは明らかにされていないものの、貿易戦争が中国と米国テック企業同士のビジネスパートナーシップを難しくしている現在、このチップ自身は中国の企業から米国の技術への依存を緩和することになるだろう。またそれは、アリババクラウドが中国の外で成長するためにも役立つはずだ。中国内では、アリババクラウドは市場のリーダーだが、アジアパシフィック地域ではアリババクラウドは現在も、Amazon、Microsoft、そしてGoogleの後塵を拝している(Synergy Research Groupのデータによる)。

Hanguang 800は、アリババが150億ドル(約1兆6000億円)以上を投資しているグローバルな研究開発組織Alibaba DAMO Academy(阿里巴巴達摩院)内の、クラウドおよびエッジコンピューティング用チップの開発を推進するユニットT-Headによって開発された。T-Headは、アリババの小売アプリや物流アプリを始めとする、ビジネスアプリ向けに設計されたチップのハードウェアとアルゴリズムを開発した。

アリババグループのCTOであり、アリババクラウドインテリジェンスの社長であるJeff Zhang(ジェフ・チャン、張建鋒)氏は声明の中で「Hanguang 800の立ち上げは、既存のそして将来の私たちのビジネスを推進するコンピューティング能力を、エネルギー効率を改善しながら拡張していく次世代技術追求の中でも、とても重要な一歩です」と述べている。

また彼は「近い将来、このチップによって可能になる高度なコンピューティングへのアクセスを、いつでもどこでもクラウドビジネスを通じて提供することでお客様の力になれる予定です」と付け加えた。

T-Headが他にローンチしたものには、今年初めに行われたXuanTie 910(玄鉄910)も挙げられる。これは米国のUCバークレイ校で始まったオープンソースのハードウェア命令セットプロジェクトであるRISC-Vに基くIoTプロセッサーだ。XuanTie 910は、エッジサーバー、ネットワーク、ゲートウェイ、そして自律運転車などの、ヘビーデューティーなIoTアプリケーション向けに開発された。

Alibaba DAMO Academyは、UCバークレー校やイスラエルのテルアビブ大学をはじめとする世界中の大学と協力している。このプログラムの研究者たちは、2035年までに20億人の顧客にサービスを提供し、1億人の雇用を創出することを目標に、機械学習、ネットワークセキュリティ、ビジュアルコンピューティング、そして自然言語処理に焦点を当てている。

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(翻訳:sako)

アリババ子会社UCWebがインドでeコマース事業を開始する計画

中国のIT大手アリババグループの子会社、UCWebは、今後数カ月のうちにインドでeコマース事業を開始する予定だ。

TechCrunchに宛てた声明の中でUCWebの広報は、インドのコンテンツプラットフォームに関連するeコマース事業を構築する計画だと述べた。インドの既存のeコマース企業と競合する意図はなく、アリババグループはこの事業の開発を監督していないと付け加えた。

UCWebは人気のモバイルブラウザ「UC Browser」で知られている。同社は「インドにおける広範囲のユーザーコミュニティ」を活用してeコマース事業を構築するという。広報は「新しいサービスは、ユーザーとクライアントの双方の体験を豊かにするという当社の戦略に沿ったものだ」と述べている。

UC Browserは世界中で4億3000万人以上に使われている。インドには1億3000万人以上のユーザーがいて、このアプリの重要な市場のひとつだ。第三者の調査会社であるStatCounterによると、UC Browserはインドのモバイルブラウザ市場で23%以上のシェアを獲得し、Google Chromeに次ぐ位置につけている。なお近年、Google Chromeは63%にまでシェアを伸ばしている。

アプリの調査会社であるSensorTowerによると、UC BrowserはGoogle Playストアからのダウンロード数が現在もインドのトップ15に入っている。

近年、UCWebはUC Browserを強化してモバイルブラウジングにとどまらない製品へと成長させている。現在、12万人以上のブロガーおよび700社以上のメディアと連携してコンテンツを制作し、UC Browserのユーザーに提供している。

最近では、UCWebはウェブからビデオをダウンロードしたいユーザーのためのアプリをいくつもリリースしている。このような機能を提供するUCWebのアプリ「Vmate」は、親会社のアリババから1億ドル(約107億円)のコミットメントを得ている。

9月5日にインドで開催されたアリババのイベントの際、UCWeb Global BusinessのバイスプレジデントでありHuaiyuan Yang(ホワイエン・ヤン)氏は通信社のPTIに対し、同社がこれから展開するeコマース事業では既存のプレイヤーと協力するつもりであると述べた。アリババは、インドで電子決済とeコマースを手がけるPaytmの約30%を所有している。

ヤン氏はPTIに対し「我々にはアリババのeコマースの遺伝子がある。我々はまさに革新的なeコマースのビジネスモデルを始めようとしている」と述べた。

画像:VCG/VCG / Getty Images

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(翻訳:Kaori Koyama)

アリババが中国最大の家具販売会社に約700億円を投資

アリババグループ(阿里巴巴集団、Alibaba Group)が、中国最大の家具小売業者の1つであるレッドスターマカリン(红星美凯龙、Red Star Macalline)の約43.6億人民元(約700億円)ぶんの転換社債を購入した。転換後にはレッドスターマカリンの株式の10%をアリババに与えることになる。開示情報によれば、香港証券取引所で公開されているレッドスターマカリンの株式の3.7%もアリババが購入したことが示されている。

レッドスターマカリンは、中国全土に約300のショッピングモールと364のホームセンターを運営しており、自社の在庫品の販売や、インテリアのコンサルテーションや建築などのサービスの提供に加えて小売業者たちにスペースを貸し出している。同社はアリババと協力しながら、その実店舗を改善し、同時にアリババの電子商取引チャンネルを活用する予定だ。

この投資は、レッドスターマカリンがアリババのライバルであるテンセント(腾讯、Tencent)との間で、デジタルマーケティングの提携を発表した6カ月後に行われた。TechCrunchはこのアリババとの新しい取引が、以前の提携にどのような影響を及ぼすのかを、アリババとテンセントの両者に問い合わせている。

アリババのHome Timesは、2017年後半にオープンした小売チェーンで、レッドスターマカリンのモールや、オンライン運営で何ができるかを調査中である。Home Timesはオフラインからオンラインへの小売りを重視しているチェーンだ。顧客は対象の詳細情報を得るために、店頭で商品のスキャンを行うことができ、Alipayで支払いが可能である。また商品が自宅の中でどのように見えるかを買い物客に示すための大型のスクリーンも置かれている。またこうした顧客の購買行動は、アリババのB2C電子商取引サイトであるTmallで使用される。さまざまな場所の店舗に追加する商品を選択し、在庫管理をより効率的にするためだ。

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(翻訳:sako)

アリババがイスラエルのARメガネスタートアップ「Infinity Augmented Reality」を買収

イスラエルのInfinity Augmented Realityはアリババによって買収されたと、両社が週末に発表した。買収の詳細は明らかにされていない。アリババグループがInfinityARのシリーズCを主導した2016年から、両社は戦略的パートナーシップの関係にあった。以来、両社は拡張現実、コンピュータービジョン、人工知能のプロジェクトで協力してきた。

2013年に設立されたInfinityARのARメガネプラットフォームでは、幅広い産業(小売、ゲーム、医療など)のデベロッパーがアプリにARを統合することができる。InfinityARのプロダクトにはODM用ソフトウェア、OEM、3DエンジンのためのSDKプラグインが含まれる。

アリババのVRへの進出は3年前に始まった。Magic Leapに投資し、eコマースプラットフォームにVRを組み入れる手法を開発するために、中国に研究ラボを設けることを発表した。

InfinityARの研究・開発チームはアリババDAMOアカデミーの一部であるイスラエルマシーンラボを拠点とする予定だ。顧客2億人へのサービス提供と2036年までに1億もの雇用を創出するという最終目標に向け、このR&Dには150億ドルが注がれる。DAMOアカデミーは世界中の大学とコラボしていて、アリババのイスラエルマシーンラボは、ビデオ分析と機械学習を専門とするテルアビブ大学とパートナーシップを結んでいる。

発表文で、ラボの責任者Lihi Zelnik-Manor氏は「3年間のパートナーシップを経てInfinityARと一つのチームとして今後取り組めることをアリババは嬉しく思っている。この才能あるチームはセンサーフュージョン、コンピュータービジョン、ナビゲーションの技術におけるユニークなノウハウを持っている。こうした主要テクノロジーをさらに開拓すること、そして顧客やパートナー、デベロッパーにさらなるメリットを提供することを楽しみにしている」と語った。

イメージクレジット:InfinityAR

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(翻訳:Mizoguchi)

アリババの「独身の日」売上、過去最高の310億ドルー成長率は鈍化

11月11日、今年10回目を迎えたアリババの「独身の日」ショッピングフェスティバルでは、世界中の顧客が実在店舗ならびにオンラインで買い物をし、アリババはまたもや記録を塗り替えた。今年の取引額は驚異的な308億ドルを記録した。しかし前年比での成長率としてはこれまでで最も低かった。

この取引額は、2017年のサイバーマンデーブラックフライデーを足したものの倍以上となる。

今回の数字はこれまでの独身の日で最も大きなものだ。セールが始まって15時間49分で取引額は2017年の250億ドルを超えた、とアリババはツイッターで発表した。

このセールがいつ頭打ちになるかと世界が懸念しているように、売上はすでに陰りを見せている。2018年の取引額は前年比27%増だった。独身の日セールの歴史の中で最も低い伸びで、2017年の36%よりも低下しているーそれでも規模の大きさは目を見張るものだ。

成長の鈍化は、7四半期前以来のアリババの最も低い成長率と業績予想の下方修正に続くものだーしかし、直近の四半期では前年比の売上成長率は健全な54%となっている。

新たな成長の起爆剤

中国の景気停滞で、消費者は財布の紐を締めるだろうとみられている。しかしeコマース大企業は、長期的には中級階級が増加するとみて動じていない。

買い物客は、“ライフスタイルをアップグレードし、生活をより良いものにする新たな方法を模索している”と、アリババの経営執行役会長Joe Tsaiは日曜日のメディアイベントでこう語った。「これは短期周期効果の多くを相殺するだろう」。

国家統計局によると、中国の総人口14億人のうちの3億人以上が中所得者入りしている。これは、そうした人々が自由に物を買うことで中国の小売巨人の成長を促していることを意味するーそしていま、高級のものを求める傾向が進行中だ。今年の独身の日では、健康サプリメント、小型家電、スキンケア商品が取引の中で最も人気のカテゴリーだった。

アリババはまた、実在店舗も利用した。オンライン小売は“全ての消費者小売マーケットをデジタル化した”と、現会長Jack Maの来年引退時にその後を継ぐことになっているCEOのDaniel Zhangは日曜日、メディアに対し語った。過去2年間、アリババはまだ中国の消費者にアクセスしている実在店舗の小売との戦略的提携をおさえることで、ライバルであるJD.comを押しのけてきた。

しかしながら、それは収入には大きく反映せず、取引額では微妙な差がある。多くの要因が数字押し上げに貢献している。一つには、11月11日の販売に限っては払い戻し不可ということが挙げられる。多くのベンダーが、まず商品購入のためにデポジットを受け付け、残りの支払いを独身の日に実行するというプレセールを実施する。

アリババはまたセールの宣伝のために11月10日に賑やかな催しを放映する。2億4000万人超ーおおよそ中国にいる人の5人に1人ーがこの催しと独身の日コマーシャルを、中国の主要放送局とアリババ自前のビデオストリーミングサイトYoukuを通じて視聴したとされている。

次の10年

アリババは創業19年目に入り、新たな販売チャネルに目を向け始めている。「音声というのが重要なエントリーポイントとなる」と Zhangは語っている。モバイル第一の買い物体験をAIによるものへと変化させようというアリババの取り組みは、音声アシスタントスタートアップRokidとのタイアップにも表れている。

アリババはまた、中国外の消費者にも視野に入れている。今年、アリババの東南アジア拠点Lazadaプラットフォームを含む、200カ国超からの小売店が独身の日セールに参加した。Zhangは「当初から我々の夢はグローバルの買い物デーをつくることだった」と語っている。

アリババは今年、別のマイルストーンを達成した:この独身の日に10億個ものパッケージが発送された。しかしアリババはまた、パッケージの浪費という問題を指摘するプレッシャーにも直面している。

「我々はパッケージングを再定義しなければならない」とZhangは語る。これは、リサイクル材を使用するという以上のことを意味する。より重要なのは、CEOが最短距離で商品を配達したいと考えていることで、これは在庫管理を最適化するアルゴリズムによって可能となる。アリババはまた、梱包をあまり必要としない、あるいは全く必要としない商品を近所へ配達するのに、今年買収した食品デリバリーのEle.meを頼ることもできるだろう。

独身の日11月11日というのは、1の数字が並んで4人の独身者を意味し、アンチバレンタインの手段として初めて人気になったものだ。Zhangがこの日をアリババのオンラインセールスプラットフォームTmallの販促に初めて活用してから10年がたち、1日イベントとしては世界最大のオンライン買い物フェスティバルに成長した。

「我々はこのセールをさみしい人のためにつくった。今日においては、人々がどのように買い物するかという点で完全にこの日を再定義した」とZhangは結んだ。

Image Credits: Twitter: @AlibabaGroup(Image has been modified)

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(翻訳:Mizoguchi)

【解説】250億ドル規模の中国の「独身の日」とは

11月11日は、中国のテックコミュニティにとってはめでたい日だ。というのも、世界最大のオンライン買い物デー「独身の日」だからだ。この日はダブルイレブンとして知られ、中国のeコマース大企業アリババが創設してから10周年となる今年は特に力が入っている。

独身の日は今ではかなりのビジネスとなっている。11.11は中国外のアジアやその他のエリアにも及び、昨年アリババは250億ドル超を売り上げた。アリババはこれまで前年比で順調に売り上げを拡大していて、中国経済や現在進行形の米国との貿易戦争に関する懸念があるものの、今回350億ドルを超えてもなんらおかしくない。

独身の日現象を分析したので、今年どんなことになるのか、予想の参考にしてほしい。

そもそも、独身の日って何?

このイベントは、米国におけるブラックフライデーやサイバーマンデーと似たようなものだ。しかしその2つを足したものより2.5倍大きい。アリババはTaobaoマーケットプレイス、Tmall、国際サービスAliExpressなどオンライン販売プラットフォーム上のあらゆるプロダクトを割引して販売する。最近ではグローバルビジネスになっていて、東南アジアにおけるLazada、アリババとAntファイナンシャルが出資するインドのPaytmも含まれる。

このセールは、スマホ、テレビ、その他高価なコンシューマーアイテムはもちろん、ファッション、衣服、家具、健康プロダクトなどもカバーする。さほど売れないだろうと思われるものとしては、掃除プロダクト、トイレットペーパー、腐りやすいものがある。大きな需要があるものとしては車があげられる。

昨年は世界で計14億8000件もの販売があり、ピーク時は1秒あたり32万5000件の注文があった。アリババのAlipay支払いサービス利用は15億件を記録し、注文総数は8億1200万件だった。実にセールスの90%はモバイル端末経由だったーこの点は米国より進んでいて、ブラックフライデーでのモバイル経由買い物は37%サイバーマンデーでは33%だ。

アリババはまたこのセールをオフライン小売でも促進している。自社ブランドのHema、そしてテック大企業Suningハイパーマーケット運営Sun Artのような中国の大手小売とのパートナーシップを通じて実店舗にも拡大している。

コアマーケットである中国外でもこのセールを成長させようというアリババの努力を反映し、このセールは2015年に名称を “11.11 グローバルショッピングフェスティバル”に改めた。そして昨年は6万超もの国際ブランドと、225カ国超からの客をひきつけた、としている。

始まり

11月11日というのは必ずしも、オンラインでディスカウントされた商品を買うというのと同義語ではない。この日が1990年代に中国で取り上げられるようになったのは、11月11日が4つの“独身”を表すとして独身貴族を祝おうというのが始まりだったとされる。その後、人との関わりを祝うという新たな意味が加えられたー結婚を意識したかなり人気のデートだーそして可能性のあるお相手を見つけるのだ。

eコマースの要素が加わったのは2009年で、Daniel Zhangというエグゼクティブがこの日を、わずか27の小売が参加していたアリババのブランド品のヴァーチャルモールTmallの販促に使った。その後Tmall事業の担当となったZhangはいまやアリババ本体のCEOで、何年にもわたってアリババの表看板を務めたJack Maが来年引退するとき、その後を継いで会長となる見込みだ。

2009年にさかのぼるが、アリババは初の独身の日で約700万ドルの利益をあげた。今週ZhangがCNBCに語ったところによると、彼はこの販促がアリババとeコマース全体の両方にとってこのように大きな現象になるとは“思いもしなかった”という。

アリババを追う動き

独身の日が国家的な祝い事になるにつれ、JD.comやPinduoduoといった他のeコマース事業者も、消費者が金を使うこの月に資金を投入するようになった。たとえば、QuestMobileのマーケット調査によると、JD.comは昨年の11月11日にモバイルアプリのアクティブユーザーが21.1%増えた。

このイベントが国民に受け入れられたことで、年間を通して展開される他の競合するフェスティバルも活発になった。取引高でアリババについで2番手のJD.comは2010年、独身の日フェスティバルを12日間にわたって開催した。そして6月18日開催の中間ショッピングイベントを始めた。中国の家電量販店大手Suningは8月18日をセールスイベントにあてている。

しかしながら後発組のいずれもが独身の日規模には成長しておらず、アリババは世界最大のショッピングイベント拡張路線をひた走っている。

数字だけではない

独身の日は毎年成長しているが、売上はスローダウンしている。総流通量における前年比の成長は2014年に65%弱だったのが、2017年には約40%に落ちている。

しかしJack Maはいつもこうした数字の重要性を控えめに扱ってきた。2013年11月11日の前夜、彼は売上の数字は追い求めていないと中国メディアに語った。彼はその後も似たようなメッセージを繰り返している。

スケールよりも、Maは“着実な”成長を求めていると語った。それは、ショッピング騒動がロジスティックや支払いといったファンクションを強化するインフラに負担をかけることを余儀なくされるからだ。

Maの言葉は、アリババが引き続き小売のエコシステムを強化するパートナーを探しているということと一致している。昨年、アリババはHuitongdaに7億1700万ドルをつぎ込んだ。Huitongdaは地方客向けのオンライン小売のためのインフラを運営していて、また独身の日にも参加している。

同じように、アリババのファイナンシャル部門のAntファイナンシャルはeコマース企業がグローバルで展開するのをサポートするために世界中の多くの支払いソリューション企業と提携してきた。一方で、アリババのクラウドコンピュータ部門は250億ドルの商品を売るという需要をさばいている。そしてロジスティックプラットフォームのCainiao Networkもある。こちらは、昨年中国であった注文8億1200万件を処理するのを手伝った。

独身の日により、アリババは大規模にテクノロジーを取り込むようになっている。昨年、アリババはARにベンチャー投資した。Maybellineはバーチャルで客に口紅をお試しさせ、Nikeは客をひきつけるためにゲーミフィケーションを活用し、アリババのTmallサービスは衣類の販売を促進するために“バーチャル試着室”を取り込んだ。

オフラインの売上

アリババの会長Maはまた、独身の日にとって何が標準になるのかも予言している。「我々は全てのeコマース企業が参加するようにしたい。実在店舗のモールもその一部となるだろう」と述べている。

2016年、Maはオンラインとオフラインの販売の間でシームレスな統合の未来を描くのに“新小売”という言葉をつくり出した。昨年は独身の日フェスティバルのオフラインを進めた。今年は実在店舗20万店が独身の日に行うアリババの客向けのディスカウントを登録した。たとえば、ユーザーはモールでの支払いにアリババのAlipay e-walletを使うとき、オフラインのディールを利用できる。アリババはまたコンペティションの賞金を授与するのにAlipayを使っている。

アリババは昨年、新小売が11.11で“将来性があることをうかがわせた”としている。しかし具体的な数字を明らかにするのは拒否した。今年は、アリババの実店舗の成長を考慮したときー今や30以上の店舗があり、顔認証による支払いも導入しているーオフラインの存在はこれまでになく重要になっている。HemaやInTimeの実在店舗での買い物の他に、Ele.meやースターバックスの配達もだ他のローカルなデリバリープラットフォームも含む。

2018年はどうなるか

今年の独身の日がどうなるかを予想するのは難しい。というのも中国経済の停滞や、米国との関税戦争が背景にあるからだ。とはいえ、アリババの販売の大半は11.11そして年間を通じて中国で行われていて、国際的にも成長しているものの米国政府の制裁措置の影響は限定的だろう。

以下、キーポイントを挙げる。

成長率は減速:アリババの四半期収入は順調に伸びている(40%強)が、成長率そのものはスローになっている;これは11.11にもあてはまる

オフライン:アリババはeコマース飽和を相殺するために、実店舗で買い物する人のためのディールを用意してオフライン小売を促進している。

サービス:オンデマンドサービスとデリバリープラットフォームー300億ドル規模とされているーが11.11ディールを提供することで中国において重要な役割を果たす。

支払い:Alipayはオンライン、オフラインいずれでもアプリを使って支払う人にディスカウントを提供することで11.11ディールを拡大させている。

よりグローバル:アリババのグローバルでの存在感は増し続け、東南アジアで一層11.11を促進している。すでに中国拠点の販売業者とのつながりを確立し、その一方でロシアパキスタン/南アジアに協業するベンチャーを抱えている。

どのみち、アリババは11.11で世界にすごい光景を見せる。

まず最初にフェスティバルの前日に行われるきらびやかなエンターテイメントショーがあり、その後24時間、アリババのツイッターアカウントで絶え間なくアップデートが展開される。我々も最新の状況をここTechCrunch.comで展開するので、続報をお見逃しなく。

 

イメージクレジット: VCG / Getty Images (Image has been modified)

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(翻訳:Mizoguchi)

アリババ傘下の金融Ant、海外開拓へ140億ドル資金調達

モバイル決済サービスAlipayを展開するアリババグループの金融サービス会社Ant Financialは、投資ラウンドシリーズCを締め切り、累計140億ドルもの資金を調達したことを明らかにした。

この巨額調達に関しては、いくつかのメディアがAntを取り上げるなど、この1、2カ月噂が飛び交っていた。それはIPOと関連づけられていて、少なくとも90億ドルの資金を調達し、評価額は1000億ドル超となるというものだった。しかし、実際の数字はそれを上回るものだった。

今回の資金は、地元の投資家による米国ドルと中国人民元での分割発行だ。投資家には、シンガポールの政府系ソブリンファンドであるGICとTemasek、マレーシア政府系ソブリンファンドのKhazanah Nasional Berhad、米国のプライベートエクイティWarburg Pincus、カナダ年金基金投資委員会、Silver Lake and General Atlanticが含まれる。

Antは調達した資金でグローバル展開し(すでに進出している中国外マーケットでのプレゼンスを高める)、テクノロジーの開発や雇用にも注入する。

Ant FinancialのCEOで経営執行役会長のEric Jingは「私たちのビジョンとミッションを共有する投資家を迎えられることを嬉しく思う。今後、我々は共に包括的な金融サービスをグローバルで展開し、平等な機会を世界にもたらす。我々は過去14年間、人々の暮らしや小規模事業者に貢献してきた。そのことを誇りに思うし、その事実は我々を勇気付けるものだ」とコメントした。

Antは、アリババが2014年に米国で大規模な新規株式公開をする直前にスピンオフした企業で、アリババはAntに出資していない。しかしアリババは最近、Antの株式の33%を取得している。

Antは長い間、株式公開すると予想されてきた。2016年に45億ドルを調達した時には、株式公開を検討していると報道されたが、その代わり資本金を600億ドルにすることを選択した。

今回もそれに似ているが、額が大きい。Bloombergの報道によると、今回のシリーズCラウンドで企業価値を1000億ドル増やした(Antは企業価値についてコメントしていない)。このような飛躍を成し遂げるのに、Antは過去2年で一体どんなことをしたのだろう。

Antは、5億人の顧客に、デジタルバンキングや投資サービスなどを行うAlipayを提供していており、中国における主要なフィンテック企業の1社だ。しかし近年は海外で同様のビジネスの展開を始めている。特に、インド、タイ、韓国、インドネシア、香港、マレーシア、フィリピン、パキスタン、バングラデシュといったアジアの国々で投資を行ったり、ジョイントベンチャーを立ち上げたり、そして新事業を展開したりしている。

しかしながら、米国で企てたMoneyGramの買収は、米国政府がこの12億ドルの案件を阻止し、失敗に終わっている。

経営面に目を向けると、Antは昨年14億ドルの利益を計上したとされる。株式を公開すればこの数字はさらに大きなものとなることは明らかだ。

米国での買収は成功しなかったにもかかわらず、今日のAntの発表によると同社が抱える顧客はグローバルで8億7000万人にものぼるという。しかし、中国以外でのビジネスはまだ初期段階にあり、現時点では、私はこの数字については半信半疑だ。しかしながら、今後、中国と同じくらいの規模のビジネスをアジア各国で展開するというのは大いにあり得る。世界のほとんどのIPOを上回るほどの大規模な資金調達を1回のラウンドで行ったことで、海外展開のプランは強固なものとなる。

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(翻訳:Mizoguchi)