「インバウンド業界カオスマップ」2020年上半期最新版が公開、約1400サービスを網羅

今年は東京オリンピックが開催され、政府は年間で訪日外国人旅行者4000万人を誘致する目標を掲げている。そんな背景もあり、訪日外国人を受け入れる対策や環境の整備が進められ、ここ日本でも様々なサービスが誕生してきた。そんな数多くのサービスを、「訪日ラボ」を運営するmovがカオスマップにして、2月18日に公開した。

題して、「インバウンド業界カオスマップ 2020年上半期最新版」。movいわく、このカオスマップを作成した理由は「拡大を続けるインバウンド市場において、各事業者、自治体の担当者レベルでどのようなインバウンド対策ソリューションが存在し、サービス事業者がいるのかを把握するのは困難」なため、「インバウンド業界に乱立する様々なソリューションなどを把握出来るように」。

TechCrunch Japanでも様々なカオスマップを紹介してきたが、約1400サービスを網羅しているのは圧巻だ。こちらから無料でダウンロードできるこのカオスマップはよく工夫されていて、各サービスのロゴをクリックすることで、サービスの詳細を訪日ラボで見ることができるようになっている。

このカオスマップでは、サービスを「プロモーション」、「分析・マーケティング」、「受け入れ環境整備」の3つの大カテゴリに分類。MATCHA、Discover Japan、Time Out Tokyoなどの情報サイトから、荷物預かりのecbo cloak、BESPOKEなどのチャットボット、そしてSTAY JAPANやairbnbなどの民泊系までを網羅している。

インバウンド業界カオスマップは半期に一度の改定、更新を予定しているという。

JapanTaxiのタブレット端末に世界74言語の通訳機能が追加、ソースネクストと業務提携

JapanTaxiは3月28日、AI通訳機「ポケトーク」を提供するソースネクストとの業務提携を発表した。2019年6月より、JapanTaxiが全国1万台のタクシーに提供する車載型タブレット端末「広告タブレット」および「決済機付きタブレット」にソースネクストの通訳機能が追加される。

ソースネクストのポケトークは2018年12月時点で世界74言語に対応。ボタンを押しながら話しかけるだけで、まるで通訳がいるかのように対話ができるデバイスだ。ソースネクストはこの通訳機能をSDK化し、JapanTaxiのタブレット端末に機能を導入する。乗客がタブレット上でポケトークを起動し、タブレット下部に搭載されたマイクに向けて話すと、運転手側のタブレットに日本語が表示され、音声も流れる仕組みだ。

JapanTaxiのタブレット自体はこれまでも多言語化されていたが(英語、韓国語、中国語)、タクシー運転手との会話まではカバーしきれていなかった。この提携によって通訳機能が追加されることで、外国人乗客の利便性は大きく改善されることになる。

JapanTaxiは今回の業務提携について、「JapanTaxiでは2020年までにタブレット搭載タクシーを5万台まで増やす計画があり、この度の本タブレットへの通訳機能追加により、タクシー業界の課題である増え続けるインバウンド需要の対応を加速させ、顧客サービスの向上に繋げていく予定」とコメントしている。

訪日外国人向けショッピング支援アプリ「Payke」運営が10億円を調達

商品に付いているバーコードをスキャンすることで、訪日外国人が自国語で商品情報を確認できるショッピングサポートアプリ「Payke(ペイク)」。同アプリを提供するPaykeは、8月30日に総額10億円の資金調達を実施していたことを明らかにした。第三者割当増資の引受先はEight Roads Ventures Japan、SBIインベストメント、沖縄振興開発金融公庫、SMBCベンチャーキャピタル、INTAGE Open Innovation Fund。Paykeの累計調達額は、12.2億円となる。

Paykeは2014年11月の設立。2015年11月にリリースされたアプリ、Paykeは、商品バーコードをスキャンすることで、商品に関する情報を母国語で見ることができるというもの。原材料や使い方などの基本情報のほか、商品の魅力や製造秘話、ユーザーの口コミも確認でき、商品をインバウンド観光客へ訴求することが可能となる。

現在アプリは、英語、繁体字、簡体字、韓国語、日本語、タイ語、ベトナム語の7言語に対応。ユーザーの95%以上が外国人ユーザーだ。2017年1月には台湾、香港、マカオのアプリストアで1位を獲得しており、アジア各国のユーザーに利用されているという。

また、Paykeでスキャンされた商品データについては、「いつ」「誰が」「どこで」「何を」スキャンしたかを収集。メーカーなどの企業向けに、商品や店舗に対する「興味」データとして一部提供され、インバウンドマーケティングに活用されている。

小売店向けには、スマホアプリと同じサービスが店頭で利用できるタブレット端末もレンタルで提供。アプリをインストールしていない観光客に貸し出すことで、購入率や購入単価向上、対応スタッフの人件費削減につながるとして、店舗での導入が進んでいるという。

Paykeは2018年8月現在、総ダウンロード数が約70万にのぼる。商品登録点数は2018年5月の段階で25万アイテムを突破。メーカーへ提供するB2Bサービスの導入数も、2018年8月現在で約1200社に達している。

インバウンドメディア「MATCHA」がTHE GUILDらから資金調達、“送客メディア”の枠を超えた挑戦も

訪日外国人向けメディア「MATCHA」を運営するMATCHAは3月19日、複数の投資家を引受先とする第三者割当増資と日本政策金融公庫からの融資により資金調達を実施したことを明らかにした。

具体的な金額は非公開だが、関係者の話では約1億円になるという。今回MATCHAに出資したのは、日本経済新聞の電子版の監修をはじめ様々なサービスの開発・デザインを手がけてきたクリエイターチームのTHE GUILD、コンサルティング業など複数事業を展開するバリュークリエイトの2社。そして片山晃氏を含む3名の個人投資家だ。

MATCHAにとっては今回が4回目の資金調達となる。前回は2017年7月に星野リゾート(資本業務提携)、個人投資家の千葉功太郎氏から。同年9月にはスノーピークとの資本提携に加えて、個人投資家の藤野英人氏、中竹竜二氏、志立正嗣氏を引受先とした第三者割当増資を実施し、トータルで約1億円を集めた。

月間で420万PV、自治体や企業とのネットワークも拡大

日本国内の観光情報を全10言語で発信しているMATCHA。現在の月間PVは420万ほどで、毎月200万人近くのユーザーが集まるサイトになっている。核となる広告に加え、宿泊施設やアクティビティ予約のアフィリエイトの強化などマネタイズの多角化も進めるほか、2017年11月にはiOSアプリもリリースした。

MATCHA代表取締役社長の青木優氏によると、スノーピークや星野リゾートとの提携効果もあって問い合わせ数も増加傾向にあるとのこと。特にここ半年ほどで「企業や省庁とのダイレクトなネットワークが広がってきた」(青木氏)という。

この繋がりも活用して同社では「MATCHAに訪れたユーザーを観光地のサイトへ送客する」ところからもう一歩踏み込んだ、新しい取り組みも模索している。

「たとえばある町はメキシコと縁があって国内での認知度も高いが、実際にメキシコから訪れる人は多くない。そこでMATCHAの特集と連動して『メキシコ人観光客限定で街の職員が無料ガイドを提供する』といったプランを提案している。(この仕組みがうまく回れば)来訪率の改善も期待できる上、実際に訪れた際の満足度向上にもつながる」(青木氏)

Webからの送客だけでなく、実際にコンバージョンする(来訪する)までの流れを自治体と一緒に設計することは、MATCHAにとっても新たな収益源となりうるだろう。

ただ直近では、組織体制を強化しシステムの開発とコンテンツの拡充に力を入れる方針だ。国内の主要なエリアについてはある程度カバーできてきたとのことで、これからは地方の記事も充実させて「面をもっと増やしていく」(青木氏)という。

星野リゾート、スノーピークに続き今回はTHE GUILDが出資

MATCHA代表取締役社長の青木優氏(写真右)、THE GUILD代表取締役の深津貴之氏(左)

冒頭でも触れたとおり、当ラウンドには新たな株主としてTHE GUILDが参加している。TechCrunchでは今回THE GUILD代表取締役の深津貴之氏にも話を聞くことができたので、出資の背景や今後の取り組みについても紹介したい。

深津氏はTHE GUILDのメンバーとして複数アプリのUI/UXデザインに携わっているほか、「cakes」や「note」を展開するピースオブケイクのCXO(Chief eXperience Officer)も担っている人物だ。もともとインバウンド業界に興味や課題意識があり、MATCHAへの出資に至ったという。

「少子高齢化が進み国内産業が衰退していくことが考えられる中で、どうやって外貨を獲得していくか。そのためにはある程度、観光立国化する必要があり、観光領域におけるユーザー体験の設計に関心があった」(深津氏)

インバウンドメディアはMATCHA以外にもあるが、大きな決め手になったのはMATCHAのチーム体制なのだそう。同メディアには約60名のライターが所属していて、約半数を外国籍のライターが占める。

「もの作りやデザインにおいて、『自分ごと』として作れるかが1番大事だと考えている。インバウンドメディアに関しては、日本人だけでやると日本人だけの自分ごとになり、外国人観光客を置いてけぼりにしてしまう恐れもある。THE GUILDとしてプロダクトを磨くサポートはできるが、そもそも内部にいい土壌がなければ意味がない。(MATCHAは)プロダクトもそうだが、現時点のチームのあり方に魅力を感じた」(深津氏)

深津氏に聞くまで知らなかったのだけれど、実はTHE GUILDとして、そして深津氏個人としても少しずつスタートアップへの出資を始めているそう。もともと同社では単発の「打ち上げ花火」的な関わり方ではなく、中長期に渡り「パートナー」として顧客と付き合ってスタイルを大切にしてきた。そして深津氏いわく「パートナーとして1番究極系のコミットの形が株主」なのだという。

「そもそも間違ったミッションが降りてきたり、本来なら他に優先すべきことがあったりした場合、受託の関係性ではそれを伝えるのが難しいこともある。(良いプロダクトを作るための本質的な議論を)対等にするためのチケットが、株主だと考えている」(深津氏)

“送客メディア”の枠を超え、観光体験を改善する

今回THE GUILDが出資したことで、MATCHAは今後どのようになっていくのだろうか。深津氏によると直近ではTHE GUILDでプロダクトの細かい改善をするなどはなく、「経営チームのアドバイザリーとして『視点を提供する』というコミットの仕方になる」(深津氏)という。

具体的には大局的な観点からMATCHAのポジションを一緒に設計したり、提供する観光体験のあり方についてアイデア出しや立案のサポートする。長期的な構想も含めると、2つの側面から「観光体験の改善」を一緒に目指していくことを見据えているようだ。

「1つは(Webメディアとしての)MATCHAの体験。ユーザーがMATCHAにきて、観光コンテンツを見つけて読む、この一連の体験を良くすることをサポートする。もう1つはMATCHAが提案する日本の観光体験そのもの。自治体や企業に提案する際に、MATCHAが考える良い観光体験とはどんなものか、そしてMATCHAと組むことでどんな価値を提供できるのか。『アプリの外側』の体験設計についても支えていければと思っている」(深津氏)

後者の「観光体験そのもの」については、これから方向性が定まっていく部分であり、現時点で何か具体的な構想がいくつもあるわけではないという。ただ記事中で紹介した、自治体と組んだメキシコ人観光客向けのプランなどはその一例と言えるだろう。

「送客するだけで終わるのはもったいない」という考え方は、青木氏と深津氏に共通するもの。日本の観光地にはポテンシャルを十分に発揮できておらず、もっとよくなる余地を残している場所もある。

「そのような自治体と組んで具体的な観光体験を提案できればMATCHAのバリューもあがる」と2人が話すように、これからのMATCHAはアプリの内側からだけではなく、外側の部分も含めて日本の観光体験そのものを変えていく——そんなフェーズに入っていくようだ。

すでに1000社以上が参入、インバウンド業界のカオスマップとレポートをナイトレイが公開

インバウンド対策支援サービス「inbound insight」を提供するナイトレイは2月16日、国内のインバウンド業界のトレンドに関するレポートと、インバウンドソリューション企業をまとめたカオスマップを公開した。 

同レポートによると観光庁の発表では2017年の訪日外国人数は2800万人を超え、消費額も4.4兆円にのぼる。これはどちらも過去最高の数値だ。

日本政府でも「世界が訪れたくなる日本」を実現するため、2016年に「明日の日本を支える観光ビジョン」を策定。訪日外国人数の目標値を2020年に4000万人、2040年に6000万人と設定している。

平成30年度の観光庁の予算をみても、約300億円と前年比で15%増加。デジタルマーケティングやビッグデータを活用したプロモーション強化、WiFi環境整備や手ぶら観光実現など受入環境整備へ多くの予算を充てるほか、民泊の整備やコンテンツの掘り起こしなどに向けて予算を確保しているとされる。

このような背景もありインバウンドソリューションサービスを提供している企業は1000社を超え、同社の言葉を借りるとまさに「カオスな状態」だ。

もちろんすべてのサービスが上手くいっているということはないが、2015年に楽天に買収されたVoyagin、2016年にフジ・メディア・ホールディングス傘下に買収されたジャパンインフォなどエグジットの事例もでてきている。同様にMATCHAが星野リゾートとの資本業務提携を締結したように、提携や資金調達の案件も増えてきている(ナイトレイも2017年に複数のVCから1.3億円を調達している)。

なお本レポートの完全版はナイトレイのサイトからダウンロードできる。

無料SIMカードとインバウンド旅行者向けアプリを提供するWAmazingが10億円調達

インバウンド旅行者向けアプリの「WAmazingアプリ」を提供するWAmazingは9月7日、リード投資家のANRIBEENEXT、およびSBIインベストメントみずほキャピタルSony Innovation FundBEENOSオプトベンチャーズ静岡キャピタルなどから総額約10億円の資金調達を実施した。

なお、エンジェル投資家の青柳直樹氏、有安伸宏氏らも本ラウンドに参加している。

写真右がWAmazing代表取締役の加藤史子氏

同社が手がけるWAmazingアプリ(iOS/Android)は、インバウンド旅行者向けにさまざまなサービスを提供するモバイルアプリだ。主な機能として、タクシー配車、日本での旅行ツアーやアクティビティの予約手配と決算機能、そして宿泊施設の予約機能などがある。

宿泊施設予約は8月14日から始まったばかりの新しい機能だが、すでに国内1万軒以上の宿泊施設を予約することができるという。

WAmazing代表取締役の加藤史子氏は、この新しい機能について「現在、WAmazingのユーザーの日本滞在平均日数は6日間程度。宿泊は、ほぼすべてのユーザーからニーズがある分野だ。宿泊場所が明確になることで、そこまでの交通や周辺観光などに展開しやすいことから、導入を決めた」と話す。

WAmazingアプリの機能については、こちらの記事も参考にしていただきたい。

無料SIMカードが集客のカギ。9月からは中部国際空港でも

インバウンド旅行者向けに魅力的な機能を提供するWAmazing。しかし、WAmazingの一番の特徴は、同社が空港で配布する無料のSIMカードだ。これまでにも同社は成田空港でSIMカードの配布を行ってきたが、9月1日からは新たに中部国際空港でも配布を開始した。

15日間有効のこのSIMカード、容量は500MBで、旅行者が自分の国であらかじめアプリをダウンロードしておけば誰でも利用することができる。追加料金を支払うことでデータ量の追加や期間延長も可能だ。

これは、空港についてすぐに交通情報などを調べる必要がある旅行者にとっては非常に嬉しい特典だろう。このSIMカードがアプリの集客のために一役買っているというわけだ。

ただ、加藤氏はサービスリリースの2017年1月から今までを振り返り、無料SIMカード配布にはなかなか苦労したと話す。

「SIM受取機といったハードウェアやアプリなどのソフトウェアも含め、開発着手から3ヶ月弱でリリースした。そのため、正直、不具合も色々とあった。最初の1ヶ月くらいは社員がシフトを組んで、土日も含めて成田空港のSIM受取機のまわりでひっそりとユーザーの様子を見守る、という状態だった」(加藤氏)

そんな苦労もありながら、WAmazingアプリはこれまでに約3万5000人のユーザーを獲得。そのうち実際に日本を訪れた(SIMを受け取った)のは1万2000人だ。

「無料SIMカードを受け取れるからといって、入国空港を変える人はいないと思う。そのため、設置空港を増やすことがそのままユーザー数の増加に直結する」とも加藤氏は話す。

また、WAmazingはアプリの配信国も広げていきたい構えだ。現在はインバウンド旅行者が多い香港と台湾に特化してアプリを開発しているが、今後はそれに加えて韓国、中国本土、タイにも拡大していくそうだ。早ければ年内にも中国本土への拡大を目指す。

2016年7月に創業のWAmazingは今回調達した資金を利用して、サービス拡大のための開発、人材確保を進めるとしている。

「今回の資金調達は、それぞれの戦略実行を高いクオリティで一気に推進していくための人材の採用やユーザー数を拡大するためのマーケティングアクセルを踏むために必須となる推進力となる。訪日外国人旅行者にワンストップで日本の魅力を堪能できるサービスを提供したい、そして、それにより観光産業を日本の基幹産業にしたい」(加藤氏)

訪日外国人観光客と飲食店を繋ぐグルメサービス「Japan Foodie」、運営が1.3億円の資金調達

インバウンド観光客および飲食店向けのグルメサービス「Japan Foodie」を運営する日本美食は6月20日、第三者割当増資により総額1.3億円の資金調達を実施したことを発表した。

引受先は、イノベーション研究所 代表取締役社長の西岡郁夫氏、MSキャピタル パートナーの袁小航氏、個人投資家の千葉功太郎氏、ピー・アンド・イー・ディレクションズ 代表取締役社長の島田直樹氏、ヤフー執行役員の田中祐介氏のほか、レジェンド・パートナーズだ。

訪日外国人観光客、飲食店の課題を解消するサービス

Japan Foodieは、訪日外国人観光客および飲食店向けのグルメサービス。厳選された日本国内の飲食店を紹介する「メディア機能」、予約と事前決済が行える「予約機能」、QRコード方式かつ9種類のスマホ決済に対応する「スマホ決済機能」という3つの機能を保有している。これにより、訪日外国人観光客と飲食店の双方が抱える悩みを解決するという。

両者が抱える悩みとは一体何か——日本美食 代表取締役のLu Dong(董路)氏はこう語る。

「日本には美味しい飲食店がたくさんあり、訪日外国人観光客の多くは“日本食”を食べることを楽しみにしています。しかし、どのお店に行けばいいのか、何を食べればいいのか、全然分からない。『食べログ』や『ぐるなび』など日本人向けのグルメサービスはありますが、訪日外国人観光客向けのものはなく、予約も取りにくい。また中国はキャッシュレス、カードレスの社会が進み、スマホ決済が当たり前となっていますが、日本はまだ現金主義。決済方法が非常に少ないです」(Dong氏)

Dong氏自身、日本国内の飲食店に対して課題を感じる一方、飲食店側も訪日外国人観光客の「No Show(いわゆる無断でのバックレ、連絡なしで来店しないケースだ)率」が高い、という課題を持っていた。そこで、Dong氏はこのスキームを考えた。

訪日外国人観光客に対して、東京カレンダー創刊チームが厳選した飲食店情報を提供するほか、事前にスマホ決済による予約を行えるようにする。飲食店側には事前に許可をとった上でJapan Foodieに掲載し、システムを導入してもらう。これによって、訪日外国人観光客が感じる課題を解決するだけでなく、飲食店側のNo Show率も低下させる。実際、Japan Foodie経由での予約者のNo Show率は0パーセントだという。

また、飲食店側は新規集客を行えるだけでなく、スマホ決済にも対応できるようになる。

成果報酬型の送客手数料でマネタイズ

サービス開始から約半年で、提携先も含めて日本全国8000店舗(日本美食が直接契約しているのは360店舗)以上の飲食店に利用されているJapan Foodie。飲食店をリストアップし、掲載する前に営業をかけているそうだが、なぜ、ここまで利用店舗を増やせているのか。Lu Dong氏によれば、リスクが一切ないところが好評だという。

「Japan Foodieはユーザーはもちろん無料で使えますが、飲食店側も初期費用は一切かかりません。初期費用をかけずにスマホ決済のシステムを導入することができます」(Lu Dong氏)

飲食店側は成果報酬型で送客手数料を日本美食に支払うだけでいい。この手軽さにより、飲食店側の導入も進んでいるそうだ。今後は調達した資金をもとに、新機能の開発やサービス改善、人員の増強に充てる予定だという。

タクシー配車からツアー予約まで、インバウンド旅行者向け専用アプリ「WAmazing」がローンチ

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500MBの無料SIMで集客

2016年の訪日外国人旅行者は2000万人を超え、さらに政府は2020年までに訪日旅行者を4000万人に押し上げることを目標としている。訪日旅行者関連の市場規模は8兆円になることが推定されている。本日サービス開始したWAmazingは、こうしたインバウンド旅行者向けに提供するアプリだ。このアプリには500MBまでの無料モバイル通信、タクシー配車、日本での旅行ツアーやアクティビティの予約手配と決済ができる機能が揃っている。このアプリでWAmazingは、訪日外国人観光者と国内観光業界とを結びつけるプラットフォームになることを目指すという。

今回、WAmazingは成田空港と連携し、モバイル通信SIMカードの受取機を空港に4台設置する。訪日旅行者は自国でアプリをダウンロードし、会員登録をしておくと、成田空港に着いた時にアプリのQRコードを受取機にかざしてSIMカードを受け取ることができる。500MBまでは無料だが、それ以上使いたい場合はアプリでデータ通信料を追加購入することが可能だ。WAmazingのモバイル通信の機能はソラコムを使っているそうだ。

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サービス開始に合わせてWAmazingは、一般社団法人東京ハイヤー・タクシー協会とチェッカーキャブ無線協同組合とも連携した。WAmazingは東京ハイヤー・タクシー協会が提供するタクシー配車アプリ「スマホdeタッくん」とAPI連携していて、旅行者はWAmazingのアプリからタクシーの配車依頼ができる。都内のおよそ1万2500台のタクシーを呼ぶことができるという。

チェッカーキャブとは観光コンテンツ面で連携し、WAmazingのアプリ内から観光貸切タクシーのツアーを販売する。サービスのローンチ時には東京23区のホテルからスキー場までタクシー送迎するプランを用意した。旅行者はクレジットカードの決済情報を登録しておけば、アプリでの予約手配から、決済まで一括でできる。WAmazingのビジネスモデルは、各種アクティビティへの送客手数料を得る形だ。

WAmazingは本日からアプリ配信を開始し、旅行者は2月1日から成田空港に設置した受取機で無料SIMカードを手に入れることができる。

日本の観光コンテンツと旅行者をマッチング

WAmazingのファウンダーで代表を務める加藤史子氏はリクルート出身で、旅行サイト「じゃらんnet」の立ち上げなどに関わっていた。旅行事業に携わる中で、訪日外国人旅行者は増えているが、観光事業者と旅行客のマッチングができていないために機会損失があると感じていたと話す。これまで日本の旅行代理店は海外の旅行代理店と提携し、訪日旅行客に訴求するケースが多かったが今ではその効果がどれほどあるか分からないと指摘する。「今は個人がモバイルインターネットを使って自分で情報を探す時代です。ITや通信事業と旅行事業を組み合わせることで、産業に大きく貢献できると考えています」と加藤氏は話す。

WAmazingは2016年7月に立ち上がり、2017年1月にクックパッドで執行役CTOを務めた舘野祐一氏が参画した。舘野氏はWAmazingにジョインを決めた理由について、創業メンバー5人が優秀で信頼して働けると感じたこと、そしてサービス開発において技術的なチャレンジがあることを挙げる。また、会社が成功した時の影響力の大きさも魅力に感じていると話す。「プラットフォームにならない限りは、ネットサービスは数年でしぼんでしまいます。WAmazingには外国人観光客、将来的には外国人に限らず日本全体の観光のプラットフォームになれる可能性があります。会社が成功した時の日本に与える影響が大きいと感じています」。

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WAmazingのアプリ画面

最初は香港と台湾の観光客を中心に訴求するため、アプリは中国語(繁体字)のみという。今後、タイやマレーシアなどでも展開していくことや成田空港以外の空港でもSIMカードの受取機を設置することを視野に入れている。WAmazingは旅行ツアーをはじめ、インバウンド旅行者向けの宿泊、飲食、買い物といった多種多様なサービス事業者と連携し、旅行者と国内観光事業者がつながるプラットフォームを目指す。

旅行先で使える無料500MBのデータ通信は確かに魅力的だろう。今後はいかに旅行者がアプリから申し込みたくなるようなツアーを揃えられるかがサービス成長の鍵となりそうだ。

オンライン翻訳の八楽、コニカミノルタなど大手3社と資本業務提携

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オンライン翻訳ツール「ヤラクゼン」を提供している八楽は9月5日、コニカミノルタ、ソニーネットワークコミュニケーションズ(旧ソネット)、アドバンスト・メディアの3社と資本業務提携を行ったと発表した。八楽は2013年5月、ニッセイ・キャピタルや日本ベンチャーキャピタルなどから1億800万円の資金調達を実施している。今回の調達金額は非公表。

3年ほど前にTechCrunchが取材を行った際、同社のサービスは「ワールドジャンパー」という名称でウェブサイトの多言語化に特化していた。昨年10月のヤラクゼンのローンチ以降、HTML以外にもワード、エクセル、パワーポイント、CSV、PDFとビジネスシーンで広く使われているファイル形式に対応。日本語を含む翻訳可能言語数は、21言語まで増加した。

メールやプレゼン資料といったビジネス文書のほか、ウェブサイトやマニュアルなどを翻訳する際の利用を想定しており、メールにいたっては280種類もの英文テンプレートまで準備されている。

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ヤラクゼンのトップ画面

ヤラクゼンの使い方は極めてシンプルで、まずボックス内に翻訳したいテキストを直接入力するか、翻訳したいファイルをドラッグ&ドロップすると、テキストの解析・機械翻訳がスタートする。その後、原文と機械翻訳文が隣り合わせに並べられた画面に移動し、ユーザーは好みに合わせて訳文の修正をできる。

翻訳の精度を高めたい場合は、クラウドソーシングサービスを利用したクラウド翻訳(言語や内容に応じて文字/ワード当たり6円〜18円)や、プロの翻訳家にお願いするプロ翻訳(言語に応じて文字/ワード当たり15円〜20円)を1文単位から利用可能だ。

機械翻訳時には数百万件におよぶフレーズ集(翻訳メモリ)が参照されるため、メールなど簡単な内容のテキストであれば、機械翻訳だけでも実用に耐えうるレベルの訳文が生成される。さらに自分で修正を加えた訳文の情報もデータベースに保存されるため、以後の翻訳時には修正が加えられたフレーズが参照され、翻訳の精度がさらに高まる仕組みになっている。ブランド名や商品名、社内用語など、異なる文書間で統一したい訳語についても単語集に追加できる。

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翻訳作業画面

翻訳メモリや原文・訳文のパラレル表示、文章のセグメンテーションなどは、翻訳業界標準のTradosやWordfastといった翻訳支援ツールに採用されている機能にも関わらず、基本機能だけのフリープランであれば、ヤラクゼンを無料で利用することができる。その他にも、自動翻訳の文字数や、フレーズ集の最大保存可能数、ユーザー間のファイル共有などの条件に応じて月額980円(月ごとの契約の場合は1280円)のプレミアムプランや、月額3980円(同4800円)のカンパニープランが用意されている。

八楽で取締役COOを務める湊幹氏によれば、現状のユーザーは外国語でのコミュニケーションが必要になる機会の多い、ITやインバウンド(宿泊施設・飲食店)、メーカーといった業界で働く人がメインだ。具体的な数値は公表されていないものの、現時点ではフリープランを利用しているユーザーの数が圧倒的に多く、プレミアム・カンパニープランの利用者はそれぞれ数%程だ。そのため、今回発表された業務提携を通じて、プレミアム・カンパニープランのユーザー数を増やしていきたいと同社代表取締役の坂西優氏は語っていた。

さらに、提携先のひとつであるアドバンストメディアは音声認識技術で知られていることから、今後モバイル分野へも注力して行き、会話の内容を認識して翻訳まで行う”翻訳機”アプリや、複数言語対応の議事録自動作成ツールなどの開発を検討していると湊氏は語る。

外国語に対応したPOPを作成するなどのインバウンドサービスに取り組むコニカミノルタとは、共同で法人向け多言語コンテンツ制作サービスを新たに公開する予定だ。

もうひとつの提携先であるソニーネットワークコミュニケーションズとは、ヤラクゼンの法人向け販売で協力していく。

WordPressのオフィシャルプラグインが公開されているように、八楽はAPIの導入にも力を入れており、今後提携先のネットワークや調達資金を利用して、法人向けサービスのマーケティングや営業力の向上に努める予定だ。