Kymetaがビル・ゲイツ氏らから約90億円の資金調達、衛星携帯アンテナ技術の開発を加速

グローバルコミュニケーションのスタートアップのKymetaは、Bill Gates(ビル・ゲイツ)氏が率いる新たな資金調達ラウンドで8520万ドル(約90億円)を調達した。Redmond(レッドモンド)に拠点を置く同社は、衛星や携帯電話の接続信号強度を大幅に向上させるスマートかつ電力を供給する新しいタイプのフラットパネルアンテナを開発した。

Kymetaの新たな資金調達は新製品開発の支援と、その技術の商業化を加速させることを目的としている。2015年のデビュー以来、同社はその技術を製品化し、特に防衛やモビリティ、公安などの業界で数多くの顧客を獲得した。

Kymetaの技術は電子的に制御されており可動部品を必要としないため、特に航空機や船舶といった機体や船体の外側に衛星アンテナを取り付けるのに適さない、あるいは不可能な輸送手段において、従来の衛星受信アンテナよりも大きな利点がある。

Kymetaの技術はまた、近い将来にオンライン化される新世代の地球低軌道通信衛星コンステレーションとの連携においても、大きな潜在的利点を持っている。フラットパネルアンテナの動的な性質のため、Kymetaはこれらの衛星との接続を維持する際に位置を追跡および調整できる。これは従来の衛星インターネットネットワークのバックボーンを形成する大型の固定位置静止通信衛星との接続を維持する場合に比べて、より柔軟性が必要となるからだ。

カテゴリー:ハードウェア

タグ:Kymeta Bill Gates 資金調達

画像クレジット:Kymeta

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

ビル・ゲイツ氏が財団の全リソースを新型コロナとの戦いに向けると表明

Microsoft(マイクロソフト)創業者のBill Gates(ビル・ゲイツ)氏が、グローバルの新型コロナウイルス(COVID-19)パンデミックと戦うために現在展開されている取り組みをサポートしようと、Bill & Melinda Gates Foundation(ビル&メリンダ・ゲイツ財団)の活動をいかに「ほぼ全面的」に新型コロナウイルス感染症にシフトさせているかをファイナンシャル・タイムズに語った(Fast Company経由)。同紙に対してゲイツ氏は、新型コロナウイルスの感染拡大は恐ろしいほどの経済影響をもたらしうると語り、その結果、誰も想像できないほど世界が苦しむことになるかもしれないとした。そのため、世界で最も資金力のある慈善財団の1つであるゲイツ財団のリソースすべてを注いで新型コロナ問題を克服する必要があるとの考えを示した。

ビル&メリンダ・ゲイツ財団は新型コロナウイルスが世界に広く認識されるようになったときから、ワクチンの試験や臨床研究、そして治療薬や治療法の開発に関連する基礎研究に資金を提供してきた。これは、同財団がリソースを新型コロナに向ける一方で、ポリオやエイズの根絶など同財団の既存の任務が一時的に縮小もしくは停止することを意味する。かなりのリソースを新型コロナに向けるというゲイツ氏の決断は状況の深刻さを浮き彫りにしている。

活動の一時的シフトは、実際には同財団の根幹的な目標に取り組む長期的で最善の方法となる。というのも、新型コロナウイルス危機によるグローバルの影響は、食料や基本的必需品はもちろん、医療、テスト、治療へのアクセスなども含め、暮らしのあらゆる面に及ぶと考えられるからだ。感染拡大を早く抑制することは、新型コロナ対応に苦戦している経済に最も大きな影響を与えるかもしれない。また、他の病気が地域のインフラを破壊したり影響を長引かせたりするのではなく、妥当なタイムラインで根絶させる効果的な取り組みにつながるかもしれない。

2015年のTEDでの講演の中で、ゲイツ氏は世界的な感染症の発生を予言し、世界の健康衛生機関や政府に大規模な感染症が発生した場合に何をすべきか、ともに準備するよう訴えた。ゲイツ氏の発言は主に、取り組みの格差やシステムの欠点などを明らかにした2014年のエボラ熱の流行を念頭に置いたものだったが、振り返ってみると同氏のアドバイスは先見の明があったようだ。

残念ながらゲイツ氏は、極度のパラノイアや嘘をばらまくグループによる多くの誤情報やインチキ陰謀説のターゲットになっている。しかしインタビューからすると、ゲイツ氏は超有名な個人にそれらは付き物とある程度予想していた向きがある。そうした陰謀はゲイツ財団の取り組みに影響は与えていないようだ。

新型コロナウイルス 関連アップデート

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(翻訳:Mizoguchi

ビル・ゲイツ氏がマイクロソフト取締役を辞任

Bill Gates(ビル・ゲイツ)氏が、より多くの時間を慈善活動にあてるためにMicrosoft(マイクロソフト)の取締役を辞任した。同社が13日午後に発表している。ゲイツ氏はCEOのSatya Nadella(サティア・ナデラ)氏のテクノロジーアドバイザーは継続するが、今回の辞任によってゲイツ氏のマイクロソフトとの関わりはこれまでで最も小さくなる。

80年代からビル&メリンダ・ゲイツ財団により専念することを決めた2008年まで、ゲイツ氏はマイクロソフトを率いた。その後は巨大な富を投じて、世界の健康問題に取り組んでいる。

ただその後もゲイツ氏は役員会に残り、実際2014年まで取締役会長を務めていた。しかし今日から彼はマイクロソフトのラッキー・チャームのような存在となり、ときどきナデラ氏や他の役員のブレイン役を補助的に務める。

「何年にもわたってビルととともに働き、そして彼から学べたのは大変名誉で特別なことだった」とナデラ氏は同社のプレスリリースで述べた。「ビルとの友情に感謝している。さらに多くのことを達成するため、地球上のあらゆる人や組織に活力を与えるというミッションの具現化に向けて今後も彼とともに取り組むことを楽しみにしている」

ここでゲイツ氏とマイクロソフトを回顧するつもりはないが、少なくともかなり興味深い来歴だったことだけは言っておく。マイクロソフトはテクノロジーのベストとワーストを、時にはそれらを同時に体現してきた。その多くはゲイツ氏の影響力によるものだ。

ゲイツ財団もかなり大きな影響力を持つ存在ではあるが、よりひそやかで人道的なものだ。最終的にはこのゲイツ氏にとって2つめの遺産となるゲイツ財団が、彼の最も輝かしい業績となるかもしれない。

画像クレジット: Bloomberg / Contributor / Getty Images

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(翻訳:Mizoguchi

ビル・ゲイツ、37kgのビックなギフトをシークレット・サンタでプレゼント

クリスマスにはすてきなプレゼントをもらった(贈った)読者も多いだろう。Microsoft(マイクロソフト)のファウンダー、 ビル・ゲイツ氏は2012年からRedditがクリスマスに開催するシークレット・サンタというプログラムに参加している。これはRedditのユーザーにびっくりなギフトが届くという仕組みだ。

ゲイツ氏はサンタ役を大いに楽しでいるようで、2017年にはネコがテーマのギフトパッケージを用意した。これはネコを愛する女性のもとに届けられたが、巨大なネコのぬいぐるみだけでなく、プレゼントを受け取った人には、好きな動物愛護団体に750ドル(約8万2000円)を寄付できる権利も贈られていた。2018年のゲイツのギフトは、自然繊維の織物やギフトカードを作っているミニチュア・ホースのオーナーに贈られた。プレゼントされたのは、ギフトを包むカラフルなテープ、自然繊維、鉛筆、はがき、ミニ・ホースのための毛布、それにハンク・グリーンの熱烈な愛読者だということで、彼のサイン本も入っていた。

2019年、重さ37kgもあるクリスマス・プレゼントを受け取った幸運なRedditユーザーは、デトロイト在住のマーケティングを担当する33歳の女性だった。MarketWatchに「ビル(・ゲイツ)とマッチされたらすてきだと思ってましたが、それが本当になるなんて思ってもみませんでした」と彼女は語った。

女性のRedditプロフィール写真は『スター・ウォーズ』のチューバッカを胸に抱きしめているものだ。『ハリー・ポッター』などファンタジーやゲームのファンでもあるということだった。そこでプレゼントにはハリー・ポッターのサンタ帽やホグワーツ城の模型、任天堂の『ゼルダの伝説』をモチーフにした手縫いのキルト、『ツインピークス』のスタッフが着用していたL.L. Beanのジャケットなどが入っていた。

ゲイツは読書家としても知られており、頻繁に書評や推薦文を書いているが、ギフトにはF.スコット・フィッツジェラルドの『グレート・ギャッツビー』の装丁された草稿のコピーが入っていた。デトロイトの女性は、この数行を2019年始めに結婚した際、ドレスに使っていたという。しかもギフトには、フィッツジェラルドが出版を前にして自筆で訂正を入れた部分のスキャンも含まれていた。

ゲイツがチャリティに力を入れ始めたてからかなりの時間が経つ。Chronicle of Philanthropyの資料によれば、ビル・ゲイツ、メリンダ・ゲイツ夫妻は2018年に推定47億8000万ドル(約5230億円)をチャリティに寄付した。これに夫妻の財団の基金は他の資産からの寄付も含めて455億ドル(約5兆円)に達した。

またゲイツは大富豪、ウォーレン・バフェット氏とともに財産をチャリティに寄付することを約束するギビング・プレッジを創立したことでも知られる。これはビリオネアが資産の大半をチャリティに寄付することを可能にするシステムだ。

Redditのシークレット・サンタに参加しているのはビル・ゲイツだけではない。.たとえばGoogleはPixel 4をプレゼントしている。また3Dプリンターを受けっ取ったRedditユーザーもいる。シークレット・サンタのギフトにはキャプテン・アメリカの盾もあり、手作りの小さな盾が愛犬用に添えられていた。

画像:Bill Gates

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滑川海彦@Facebook

「天才の頭の中:ビル・ゲイツを解読する」が9月20日からNetflixで配信開始

9月にNetflixは「天才の頭の中:ビルゲイツを解読する」と題された3部構成のドキュメンタリーを放映する。

監督は「不都合な真実」や「わたしはマララ」で高い評価を得ているデイビス・グッゲンハイムで、テクノロジーの天才、かつ世界第2位の資産家である人間の思考に入り込む。Netflixがこのドキュメンタリーを配信することを発表したのは先週だったが、いよいよ最初の予告編が公開された。

Microsoft(マイクロソフト)を創立し、30年にわたって君臨して、激しい賛否の議論を引き起こした時代から、ビジネスの第一線から退き、マラリアの撲滅やエネルギー問題などのチャリティー活動に専念するようになった現在まで、63年の半生が資料映像とゲイツ自身へのインタビューで詳しく解明される。我々が生きる現在の社会、生活の大きな部分を作ってきた人間の中をわずかでも覗くことができるなら貴重な視聴体験となるだろう。

予告編は「好きな動物は?」「イヌ」、「好きな食べ物は?」「ハンバーガー」といった会話から始まる。「今、いちばん怖いのは?」という質問にゲイツは「頭が動かなくなることかな」と答える。まあこれはゲイツならずともそう考えるだろう。

Netflixによればこのミニ・シリーズは9月20日から配信されるという。

【Japan編集部追記】ゲイツは若い頃を振り返って「Microsoftの優勢を保つために昼も夜も働いた。ときには激しい主張もした。しかし(当時の)ものの見方は間違っていた」と述べている。Netflixによれば日本での配信開始も9月20日が予定されている。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

ビル・ゲイツが「生涯最大級の失敗」を語る

ベンチャーキャピタルのVillage Globalが最近主催した創業者向けイベントで、著名な投資家であるBill Gates(ビル・ゲイツ)氏が、Eventriteの共同ファウンダーでCEOであるJulia Hartz(ジュリア・ハーツ)氏と対談し、企業の設立について、繁栄する企業を作って維持するためにはあらゆる場面で困難な決断に遭遇すると語った。

ハーツ氏はゲイツ氏に、ワークライフバランスに対する彼の考えについて、ゲイツ氏がかつて発言した「休暇が必要だとは思わない」という考えから変化があったかどうかを尋ねた。

ゲイツ氏の短い答えは、企業の初期段階では必要ない、特にソフトウェアプラットフォームを作っているときは、だった。ゲイツ氏はハーツ氏に、「私は、創業時には大きな犠牲を払うべきだという信念をかなり強く持っている。実現の可能性、すなわちプロジェクトが成功する確証を得るための技術的作業をしているときは特にそうだ」と語った。

実際ゲイツ氏は、目をそらしていたためにGoogleがAndroidを開発することを許してしまったことを今も悔やんでいる。それを「非Appleの標準プラットフォーム」と彼は呼び、「あれはMicrosoftが勝って当然のものだった」と言った。

対談の全容は下のビデオにあるが、仕事にすべてを捧げることの価値と初期段階のファウンダーがバランスを重視すべきかどうかに関する彼の回答を以下に引用した。

猛烈に働くことを礼賛しすぎたり神話化しすぎるということはあるかもしれない。私に関して言えば、私が週末の存在を信じていなかったのは本当だ。休暇の存在も信じていなかった。私は全員のナンバープレートを覚えていたので、先月誰の車が駐車場に出入りしたかを知っていた。誰にもこれを勧めないし、誰もが喜んでできることではないだろう。

30代になったとき、どうしてあんなことができたか自分でも想像できなかった。その頃から自然な行動をするようになり週末が大好きになったからだ。あと、そう、ガールフレンドは休暇が大好きだった。結果的にそれはすてきなことだった。今はたくさん休暇をとっている。二十歳の私は今の私にうんざりしている。飛行機はエコノミークラスしか使わなかったが、今は自家用機を持っている。

しかし、最初の何年かは仕事に対して熱狂的なチームであるのは良いことだし、いつまでそれを続けるかについては共通の理解が必要だ。人によって求めるものが違ってはいけない。

中には、健康や家族の事情を抱えるてい人もいるだろう。しかし私は、創業時には大きな犠牲を払うべきだという信念をかなり強く持っている。実現の可能性を確かめるための技術開発をしているときは特にそうだ。

知っての通りソフトウェアの世界、特にプラットフォームは、勝者総取りの市場だ。最大の失敗は、私の何らかの経営判断ミスが原因でMicrosoftがAndroidの立場になれなかったことだ。Androidは標準非Appleプラットフォームであり、Microsoftが勝つのが当然だった。

それはまさに勝者総取りだ。非Appleのオペレーティングシステムの座席は正確に1つだけだ。あの4000億ドル(約43兆円)は、G(Google)社ではなくM(Microsoft)社に行くはずだった。

私が驚いているのは、生涯最大の失敗をして、しかもあんな反トラスト訴訟を抱えながら、われわれの財産、つまりWindowsとOfficeが今も非常に強いということだ。もし、あれもうまくやっていれば、Microsoftは「ザ」カンパニーになっていただろう。しかし、まあしかたがない。

つまり、小さな違いが大きな違いに拡大する、という事情が当てはまるビジネスはそう多くない。たとえば、サービスビジネスには当てはまらない。しかし、ソフトウェアプラットフォームでは、本当に巨大だ。これは、毎晩「自分は大失敗するんじゃないか?」と心配するメンタリティーのせいでもある。そして、結局我々は超重要なもので大失敗してしまった」。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

ゲイツやベゾスが率いるファンドが世界の地熱発電プロジェクト開発に投資

Breakthrough Energy Venturesは、ジェフ・ベゾス氏、ビル・ゲイツ氏、ジャック・マー氏らの億万長者が出資した投資会社で、社会を脱炭素化するテクノロジーを開発する企業に投資している。このほど同社は、地熱プロジェクト開発会社のBaseload Capitalに1250万ドル(約14億円)を投資した。

Baseload Capitalは、スウェーデンの親会社 Climeonが開発した技術を利用した地熱発電所を開発するための資金を提供するプロジェクト投資会社だ。

Googleの親会社であるAlphabet(アルファベット)からのスピンオフで最近の調達ラウンドで1600万ドル(約18億円)を集めたDandelion Energyと同じく、Climeonは地熱エネルギーを利用するための標準化された機械を作っている。しかしDandelionが消費者をターゲットにホームヒーティングを提供しているのに対して、Climeonは地熱エネルギーを電気に変換する。

同社のモジュールはおよそ2メートル立方の機械で、150キロワットの電力を供給する能力を持つ。これはヨーロッパの約250世帯を賄うのに十分だと同社の広報担当者は言っていた。

2011年創立のClimeonは、自社技術を利用した発電所を作るための特別目的事業体としておよそ1年前にBaseload Capitalを設立した。Baseloadは、出資先企業から株式を譲り受けることと引き換えに負債金融を行う。

Breakthrough Energy Ventures はBaseload Capitalへの投資を通じて、全世界の小規模発電所の開発資金提供を支援している(すでにBaseloadは、日本で開発中のプロジェクトに向けに特別目的事業体を結成した)。

ClimeonとBaseload Capitalは3つの主要産業に焦点を当てている。地熱、流通、および重工業だ。「われわれは海運業者に機械を販売してエンジンの廃熱を電気に変えているほか、おなじく大量の廃熱を出す鉄鋼業、さらには地熱発電所を開発、運用する企業にも販売している」とClimeonの広報担当者がメールに書いた。「対象は新たに設立されたSPVでも、既存のエネルギー会社でもよい。たとえば米国では、既存の地熱発電所でわれわれのモジュールが使用されている」

同社の説明によると、そのモジュラーユニットを使うと施設のスケールアップや廃止が容易になるという。モジュールの価格は35万ユーロ(約4450万円)で、ほかにClimeonの発電所管理ソフトウェア利用料としてモジュール毎に年間5000ユーロ(約64万円)を支払う。

現在約8800万ドル(約98億5000万円)の受注残高があると同社は言っている。

Baseload Capitalへの投資は、Breakthrough Energyにとって地熱業界への2番目の取組みとなる。昨年同社はFervo Energyに投資し、既存技術を利用して1キロワット時5~7セントのコストで生成する地熱発電所の開発促進を支援した。

「低音地熱電力のようなベースロード資源はエネルギー情勢を変えるものだと確信している。Baseload Capitalは、Climeonの革新的技術とともに、温室効果ガスのない電気を大規模かつ経済的、効率的に生み出す潜在能力をもっている」とBreakthrough Energy VenturesのCarmichael Robertsが声明で述べた。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

マイクロソフト共同創業者ポール・アレン、65歳で死去

Microsoftの共同ファウンダー、Paul Allenが本日(米国時間10/15)午後シアトルで死去した。65歳だった。死因は非ホジキンリンパ腫合併症。

アレンが1986年に設立した非公開会社、Vulcanが公開した声明にこう書かれている、「深い悲しみとともに当社のファウンダー、Paul G. Allenの逝去を報告する。PaulはMicrosoftの共同ファウンダーであり、著名な技術者、篤志家、コミュニティービルダー、自然保護活動家、ミュージシャン、そして芸術の支援者だった」

彼の妹で長年VulcanのCEOを務めた実業家、Jody Allenも声明を発表し、兄について「あらゆるレベルで卓越した人物だった。Paul Allenは多くの人たちに技術者や慈善家として知られていたが、われわれにとっては愛する兄であり叔父であり類まれな友人だった。」と書いた。
「Paulの家族と友人たちは彼の知性、温かさ、寛大さ、そして深い懸念を体験する幸運に恵まれた。忙しいスケジュールの中、彼は常に家族や友人との時間を設けた。われわれ、そして多くの人たちの悲しみのときである今、彼が毎日行動で示していた気遣いと懸念に深く感謝している」

アレンは自身2度目の非ホジキンリンパ腫と戦っていた。体のリンパ系から発生するがんで、白血球の一種であるリンパ球から生じる腫瘍を引き起こす病気だ。

わずか2週間前、アレンは9年前に治療に成功したがんが再発したことを公表し、主治医は「よい結果になることに楽観的」であるとTwitterに書いた。

最近の数十年、アレンはさまざまな分野で知られていた。スポーツを愛し、音楽を愛し、それらに関連して、高価なおもちゃを愛し、そこから数多くのコレクションも築いた。

アレンは、アメリカンフットボール(NFL)チームのシアトル・シーホークスとバスケットボール(NBA)チームのポートランド・トレイルブレイザーズのオーナーであり、サッカーのメジャーリーグチーム、シアトル・サウンダーズFCの共同オーナーでもあった。極めて有能なギタリストだったアレンは、長年にわたり驚くほど多くのギターを収集し、その中にはジミ・ヘンドリックスやウディー・ガスリーが所有していた一ものもあった。

アレンの414フィートのメガヨット “Octopus” が、おそらく最も多くの見出しを飾っただろう——壮大なスケールだけでなく、その野心的探検によって。中でも有名なのが、2015年にアレン指揮の下、研究チームがこの船を使い、1944年に沈没した第二次世界大戦最大級の軍艦である日本の「武蔵」の残骸を発見したことだ。

当時アレンはCNNに、第二次世界大戦の歴史へ強い興味について、父親が米国陸軍に従事していたこと由来すると言い、「武蔵は間違いなく驚異のエンジニアリングであり、生粋のエンジニアとして私は、その建造に注ぎ込まれたテクノロジーと努力に深い敬意を持っている」と語った(さらにAllenは、少なくとも20機の第二次世界大戦の飛行機を一時期所有していた)。

その華麗な生活スタイルの一方で、アレンは慈善活動家としても知られており、最近ではシアトル市役所に3000万ドルを寄付し、ホームレスや低所得家族94世帯を収容する共同住宅の建築に貢献した。2010年にはGiving Pledgeキャンペーンに参加し、財産の半分以上を供出した。彼の最近の純資産は約200億ドルと推定されている。

アレンがMicrosoftを離れた1983年、彼は初めて非ホジキンリンパ腫と診断された。近年にはより治療可能な疾患となったが、早期に発見されないと死に至るか、呼吸障害、感染症などの原因となる。

アレンが初めて共同ファウンダーのビル・ゲイツと出会ったのは、ふたりがシアトルのレイクサイドスクール通っているときだった。アレンは当時14歳、ゲイツは12歳だった。その後10年以内に彼らはMicrosoftを作ったが、アレンが会社を去る頃までに、ふたりの長い友情はぼろぼろになっていた。

実際、2011年にアレンは自叙伝を出版し、その中でゲイツを要求が多く対立的な性格だと評し、アレンががんと戦っていた1982年には、ゲイツと後のMicrosoft CEO Steve Ballmerが「私を陥れる計画」を企んでいたと書いた。

ゲイツとアレンは後に和解したと見られ、2013年には1981年当時の2人が写った古い写真の再現までしてみせた。

画像クレジット:Paul G Allen Foundation

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook