Istioはマイクロサービスのサービスメッシュで、Google, IBM, Lyft, Red Hatなどによるオープンソースの共同プロジェクトだ。そして今日(米国時間7/31)は、そのツールのバージョン1.0がローンチした。
サービスメッシュをよく知らない人がいても、不思議ではない。むしろ今は、知らない人の方が多い。でもIstioはたぶん、今のオープンソースプロジェクトの中ではもっとも重要なもののひとつだ。それは、コンテナや、マイクロサービス、サーバーレスコンピューティングなど、今の業界のトレンドのいくつかが交わるところに位置し、エンタープライズがそれらをより容易に導入できるようにする。今Istioは200あまりのコントリビューターがいて、バージョン0.1がローンチして以来4000回以上もチェックインされている。
Istioの中心的な機能は、マイクロサービスのルーティングやロードバランシング、フローコントロール、そしてセキュリティだ〔日本語参考記事〕。それは既存の分散アプリケーション群の上に座って彼らの安全な対話を助け、またログ取りやテレメトリー、そして全体を安全に制御下に置くために必要なポリシーを提供する。カナリアリリースもサポートしているので、アップデートの本番ローンチの前に少数者でテストすることもできる。それはGoogleのようなWebスケールの企業が、内部的に前からやっていることだ。
GoogleのプロダクトマネージャーJennifer Linが、説明してくれた: “マイクロサービスの時代になると、いろんなものの移動や変化が激しくなる。Kubernetesの成功によってコンテナのオーケストレーションまわりは抽象化を果たしたが、Istioはオープンソースのプロジェクトとしてその次のステップを担い、マイクロサービス開発のための基盤となり、またVMベースのワークロードをなるべく多くサービス管理のレイヤへ移すためのパス(径路)も提供する。そのためそれは、サービスのための正しいレベルの抽象化にフォーカスし、またサービスを管理するための無矛盾な(整合性ある)環境を作る”。
1.0のリリースの前から、eBayやAuto Trader UKなどいくつかの企業がすでにIstioをプロダクションに採用している。Linの主張ではそれは、マイクロサービスを採用した多くの企業が今直面している問題を、Istioが解決してくれるというサインだ。“ますます多くの、ますます高度な顧客たちが自分たち独自のサービス管理レイヤを作ろうとトライし、そんな彼らがまだ1.0になる前からIstioに切り替えている。いくつかの有名大企業も含む多くの顧客が、‘1.0でなくても十分プロダクションで使える。われわれが作った粗っぽいものに比べると、随分ましだ’、と言っている”。
IBMのフェローでクラウド担当VPのJason McGeeも彼女の話に同調し、こう言っている: “Istioがローンチしてから以降のわれわれのミッションは、だれもがマイクロサービスで成功できるようにすることだ。とりわけ、エンタープライズがね。だからこそわれわれはコミュニティにフォーカスし、セキュリティとスケールの改良に努め、これまであらゆるサイズの企業のためにアジャイルなクラウドアーキテクチャを築いてきた経験から学んだことを、重点的にIstioにコントリビューションしてきた”。
大手のクラウド選手たちの多くが、今や直接にIstioをサポートしている。IBMは同社のKubernetes Serviceがそのベースだ。GoogleはGoogle CloudのユーザーにマネージドIstioサービスすら発表しているし、またKubernetesとIstioをベースに構築されるサーバーレスアプリケーションのために特製したオープンソースのツールも提供している。
今日のパーティーにはMicrosoftとAmazonの姿が見えないようだが、このプロジェクトが元気であるかぎり、彼らも必ず来るだろう。
現状ではIstioは、主なオープンソース団体のどれにも属していない。Kubernetesの本拠地であるCloud Native Computing Foundation(CNCF)は、Istioとそんなに変わらないlinkerdを推している。この種のプロジェクトは1.0がリリースされるころになると、長期的に支えてくれそうな団体を探すことが多い。Istioもきっとそのうち、居場所を見つけるだろう。
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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa)