現金払いの住宅ローン融資を提供するUpEquityが約26億円を株式と負債で調達

オースティンを拠点とするUpEquity(アップエクイティ)は、消費者に資する住宅ローン業界を目指し、事業を拡大するために2500万ドル(約26億円)を株式と負債で調達した。

最高経営責任者のTim Herman(ティム・ハーマン)氏は、2兆ドル(約210兆円)の米住宅市場で同氏が非効率だと思うものを機会として利用するために住宅ローン会社を設立した。

ハーマン氏によると、既存の金融サービス会社や不動産テクノロジー会社は、市場の非効率性の原因ではなく、症状に対処しているという。

同社は「無料」で現金を提供するが、住宅購入者に対して実行するローンの2.5%を請求する。住宅購入者がオファーを行う際に必要な現金を、銀行から住宅ローンを借りる通常の手続きの前に提供する。その後、住宅所有者はUpEquityに直接支払いを行い、住宅ローンを返済する。

「当社の現金オファーは保証のように機能します。エスクロー期間中の住宅ローンの利用を可能にします」とハーマン氏は述べた。

米国海軍兵学校の卒業生で戦闘機のパイロットだったハーマン氏は、不動産が同氏とその家族に開かれた真の富の創造への唯一の道だと考えた。長い年月がかかっていたし、利用可能な投資資金も不足していた。

ハーマン氏は海軍を経てハーバードビジネススクールに行き、共同創業者となったLouis Wilson(ルイ・ウィルソン)氏に出会った。2人がUpEquityを始めたのは、ボストンでビジネススクールに在籍していたときだ。

その後、住宅市場は活況を呈し、規制環境が比較的緩和されたため、オースティンに移転した。

最終的に顧客へ売り込んだのは、全額現金でオファーを行う能力だ。これにより、住宅購入をクロージングする可能性が劇的に向上する。ハーマン氏によると、住宅は米国人の約90%にとって買う余裕のないぜいたく品だ。住宅の売り手にとってマイナス面はない。買い手が住宅購入に至らない場合、UpEquityが住宅を所有する。

同社がこれまでに行った300件の取引のうち、失敗したのは2件のみだ。

UpEquityのような企業が、融資を始めるために750万ドル(約7億9000万円)のベンチャー資金(株式)と1750万ドル(約18億4000万円)のベンチャーデット(負債)を調達できたのはそういうわけだ。

今回のAラウンドはNext Coast Venturesがリードした。UpEquityは資金をプロダクトの開発に使用すると述べた。開発により、同社の販売チャネルとして機能する不動産業者がクローズするまでの期間を10日短縮できるという。

「当社の目標は、最終的に消費者に資する住宅ローン業界とすることです」とハーマン氏は述べた。「この資金調達は、消費者、不動産業者、ベンチャー投資家が、個人の目標達成のためだけでなく、アメリカンドリームを達成するために住宅購入プロセスから摩擦を取り除くことが持つ力を理解していることの表れです」

これまで同社はテキサス州からコロラド州、フロリダ州、カリフォルニア州に事業を拡大しており、2020年には1億ドル(約105億円)の住宅ローンを組成した。

「限られた供給と厳しい競争に直面しながら不動産が進化し続ける中、UpEquityは不動産テックの成長をリードします」とNext Coast VenturesのマネージングディレクターであるThomas Ball(トーマス・ボール)氏は述べた。「ほとんどのイノベーションはフロントエンドに注力してきましたが、これまで、借り手が申込書を提出した後に起こるプロセスを加速しようとした人は誰もいませんでした。UpEquityにはチーム、才能、テクノロジーがあります。それらにより単に成功するだけでなく、住宅ローン市場のリーダーとして台頭し革新を進めます」。

カテゴリー:フィンテック
タグ:UpEquity資金調達不動産

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(文:Jonathan Shieber、翻訳:Nariko Mizoguchi

従来型の仲介モデルを再構築する不動産テックAvenue 8が約4億円を調達

数多くの不動産テック系スタートアップが設立され、住宅の売買は大きく様変わりした。不動産テック企業の中には、何らかの理由で価格が下がった不動産を探して売買しているところもあれば、1つのスタートアップが住宅を買い上げてリフォームし、それを、リフォームに投資したくない買い手に再販する「iBuyer(アイプレイヤー)」モデルを活用しているところもある。しかし、住宅物件の大部分は依然として、不動産ブローカーを通じて働く不動産エージェントが担当するという従来の方法で売買されている。

米国時間2020年12月18日、あるスタートアップがシードラウンドの資金調達を行ったことを発表した。その目的は、ディスラプトするためでなく、よりフレキシブルなアプローチによって従来のプロセスを改善してエージェントの働き方を近代化し、最終的には不動産市場で働くエージェント数を増やすことだという。

400万ドル(約4億1500万円)を調達したそのスタートアップの名はAvenue 8(アベニュー・エイト)という。自らを「モバイルに特化した住宅用不動産ブローカー」と称する同社は、住宅の調達、販売、売却と、これらに関係する他の業務を遂行するための新しいツールを提供している。アベニュー・エイトは今回のシードラウンドで調達した資金を、既に事業を展開している都市(これまでサンフランシスコ地域とロサンゼルス地域で試験的に活動してきた)での事業をさらに拡大し、いくつかの都市へ新たに進出することに使う計画だという。

今回の資金調達は注目すべきものだ。アベニュー・エイトがシードラウンドという早期の段階から味方につけた投資家の顔ぶれが興味深い。同ラウンドをリードしているのは、David Sacks(デービッド・サックス)氏とBill Lee(ビル・リー)氏が共同で設立し、ポートフォリオに数多くの有名企業が連なるCraft Ventures(クラフト・ベンチャーズ)だ。Zigg Capital(ジッグ・キャピタル)と、Good Friends(グッド・フレンズ、Warby Parker(ワービー・パーカー)、Harry’s(ハリーズ)、Allbirds(オールバーズ)の創業者らによって設立されたアーリーステージ向けファンド)も参加している。

ここ10年間に不動産テック企業が調達した資金の総額は少なくとも180億ドル(約1兆8700億円)にのぼる。そして、クラウドコンピューティングやモバイルテクノロジーから、人工知能、データサイエンス、eコマースのイノベーションまで、テック業界から学び、それを不動産市場に応用するために、多大な努力が払われてきた。

アベニュー・エイトをJustin Fichelson(ジャスティン・フィシェルソン)氏と共に創業したMichael Martin(マイケル・マーティン)氏は、これだけのペースで変化が進んでいるということはつまり、常に新しいアプローチを考える必要があるということだ、と強く感じている。

不動産テック業界の最大手企業の1つで、独自の課題に直面しているCompass(コンパス)について、マーティン氏は次のように語っている。「コンパスが、同社のテクノロジーを従来型の不動産ブローカーに普及させることを成長戦略としていたことに留意することは重要だ。しかし、今それを作るなら、根本的にまったく違うものになるだろう」。

「違うもの」というのはつまり、アベニュー・エイトのようなものを指すとマーティン氏は考えている。

まず、アベニュー・エイトは、販売手数料をブローカーとエージェントとの間で(大抵の場合)標準的な30対70の割合で分配するモデルではなく、サブスクリプション型のモデルを採用している。

アベニュー・エイトは、その基本モデルに沿って、マーケティング用や分析用の新しいツールを直感的に使用するための各種ツールを開発した。これらのツールを使えば、物件の販売情報を複数のチャンネルに掲載したり、エージェントのパフォーマンスを測定・分析して今後の販売物件の内容を改善したり、十分な情報を得たうえで査定・販売に関する意思決定ができるように豊富な市場データを閲覧したりすることが可能になる。また、案内係を担当する人材のマーケットプレイスも提供している。この案内係は、販売情報を準備するために物件を整えて写真を撮影してくれる。そして、案内係に関する支払いは、物件が売れた場合にのみアベニュー・エイトから請求される。

アベニュー・エイトのサービスはすべて、モバイル用プラットフォームで提供される。常に動き回る仕事をする人にとっては、欠かせない特徴だ。

アベニュー・エイトは、これまでブローカーが提供するツール(多くの場合はブローカーのウェブサイトといくつかの付加的なポータルサイトのみ)を主に使って仕事をしてきたエージェントをターゲットにしている。これは、単により多くのリターンを生み出すだけでなく、賢いアプローチでもある。

ジッグ・キャピタルのパートナー、Ryan Orley(ライアン・オーレイ)氏は次のように語る。「各方面とのやり取りや物件を首尾よく管理するためにどのテクノロジーやツールをどのように使えばよいか分からずに苦労している、というエージェントの声を何度も聞いたことがある。買い主、売り主双方の要望が変化しているため、大半のエージェントのワークフローにおいてデジタル化が加速した。アベニュー・エイトは、エージェントがこの新しい現実に対応するのに役立つソフトウェアとリソースを開発し統合させている」。

もう1つ興味深いのは、アベニュー・エイトがどのように長期的にエージェントの数を増やすことにつながるのか、という点だ。

パンデミックが続く中でも不動産市場は特筆すべき回復力を見せている。金利の低下、全体的に低水準な住宅在庫、自宅で過ごす時間が増えたことによる快適な住宅へのニーズ増加が、大きな需要を作り出しているためだ。数々の業界が窮地にある中、アベニュー・エイトのようなフレキシブルなプラットフォームは、不動産エージェントになるための試験に合格して資格を取得した人たちが、自分をエージェントとして登録して、長時間でも短時間でも柔軟に仕事量を調節しながら働き、いわば「Uber(ウーバー)の不動産エージェント版」になる機会を開くものとなる。

今後の成長が非常に有望であることも、投資家の関心を引きつけた理由の1つだろう。

クラフト・ベンチャーズのゼネラルパートナーであるJeff Fluhr(ジェフ・フルール)氏は次のように述べる。「アベニュー・エイトの有機的成長は、モバイルに特化したデジタルプラットフォームを市場が求めていることを示す明確な証拠だ。マイケルとジャスティンは、エージェントを中心に据えて不動産業務を近代化するというはっきりしたビジョンを持っている。同社のモデルにより、エージェントは、手数料が圧縮される現在の環境の中でも、より多くの利益を確保できる」。

面白いことに、ちょうどUberがオンデマンド交通サービスの手配・提供方法を変えたように、アベニュー・エイトも、不動産市場における立ち位置に関連して、興味深いトラクションを獲得し始めている。当初はエージェントをターゲットとし、彼らにとって「より優れたブローカー」のような存在になること、つまり、ブローカーしか提供できないサービスを、より近代的な方法でエージェントに提供することを謳い文句にしていた同社だが、最近ではブローカー自体が同社に興味を示すことがあるという。マーティン氏によると、同社は既に中小規模のブローカー数社と取引があり、最終的には同社のツールを、業務改善に取り組む大手ブローカーにも提供する方法を検討していきたいとのことだ。

関連記事:米不動産販売が急増しIPOが迫る中、住宅ローンのBetter.comのCTOにダイアン・ユー氏が就任

カテゴリー:ネットサービス
タグ:資金調達 不動産テック

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(文:Ingrid Lunden、翻訳:Dragonfly)

米不動産販売が急増する中、IPOを間近に住宅ローンのBetter.comのCTOにダイアン・ユー氏が就任

パンデミックの影響で経済の大部分が壊滅的な打撃を受けたかもしれないが、活発な動きを見せている分野の一つに住宅販売がある。リモートワークや通勤パターンの変化にけん引されて、住宅販売は昨年急増し、全米不動産協会(National Association of Realtors、NAR)は、完全に計算されたあとの総量は過去14年で最高になると予測している

それはBetter Mortgage(SEOのためと思われるが、一般的にBetter.comとしてブランド化されている)にとっては朗報だった。同社によると、現在、月当たり30億ドル(約3118億円)の住宅ローンを引き受けており、それはVCの関心の高さにつながっている。最近では、数週間前にL Cattertonが主導した2億ドル(約208億円)のラウンドで同社の評価額は40億ドル(約4156億円)となった。同社はまた、昨年3月にパンデミックが始まって以来、4000人以上の従業員を新たに雇用している。

その新規雇用の一人であるDiane Yu(ダイアン・ユー)氏は、エンジニアリングと技術戦略をリードするCTOとして同社に加わる。彼女は、ComcastのAdvanced Advertising GroupでCTOとしてエンジニアリング部門を指揮した経験を持ち、広告ネットワークの分野で豊富な経験を持っている。彼女がComcast(コムキャスト)に入社したのは、彼女が以前に共同設立した、広告管理と最適化のためのツールを設計したFreeWheelと呼ばれるスタートアップ を、ケーブルTVとメディアのコングロマリットであるComcastが買収したことがきっかけだった。それ以前は、DoubleClickで10年近くエンジニアリングのリーダーとして働いていたという。

彼女の幹部採用は、昨年10月にCFOとして入社したKevin Ryan(ケビン・ライアン)氏の採用に続くものだ。ライアン氏は元モルガン・スタンレーの投資銀行家で、近年台頭してきた多くのネオ・モーゲージ・レンダーの1つであるRocket MortgageのIPOを主導した人物である。

これらの採用はすべて、数ヶ月前から憶測され、ライアン氏の採用後に噂が激化したIPOに向けての準備のためと思われる。住宅販売がピークに達し、引受業務が急速に成長している中、経営陣も肉付けされたBetterは、ついに公開市場で輝かしいデビューを飾ろうとしているのだろう。

関連記事:韓国の不動産物件情報をデジタル化・集約表示するDongnaeが約4.2億円調達

カテゴリー:フィンテック
タグ:不動産テック

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(翻訳:Dragonfly)

韓国の不動産物件情報をデジタル化・集約表示するDongnaeが約4.2億円調達

パンデミックによりほとんどの時間を1カ所で過ごすことを余儀なくされているにもかかわらず、不動産テックは好調だ。それも米国でだけではない。

Dongnae(トンネ)は韓国の不動産賃貸・売買マーケットのデジタル化に挑んでいる。同社は410万ドル(約4億2000万円)のシードラウンドのクローズを発表した。本ラウンドはFlybridgeとMetaPropがリードし、Goodwater CapitalやMaple VC、そして韓国と米国のさまざまな戦略的エンジェル投資家が参加した。今回のラウンドによりDongnaehの累計調達額は480万ドル(約5億円)になる。

Dongnaeは韓国生まれ、ニュージャージー育ちのMatthew Shampine(マシュー・シャンパイン)氏によって設立された。WeWork Labsを運営しながら、シャンパイン氏はアジア、特にコワーキング大企業の部門を設立するために韓国に駐在した。何回も転居し、同氏はかなり細分化された韓国の不動産マーケットに巨大な穴を見つけた。

Dongnaeは米国のRedfin(レッドフィン)にかなり似ている。買い手と借り手に新しい家探しのための集約された場所を提供している。現在、Dongnaeは韓国初の真のMLS(不動産情報システム)を構築するために同国の何千ものブローカーと提携していて、買い手側または借り手側にのみ物件を表示する。

いくつか重要な事情がある。韓国の不動産マーケットは米国のものと大きく異なる。まず、ほとんどの建物の1階には小売スペースがあり、建物にはそれぞれブローカーが付いている。つまり、限られた数の不動産だけを扱う何千人ものブローカーが韓国には存在することを意味する。実際、韓国よりもかなり人口の多い米国と同じだけのブローカーが韓国にはいる、とシャンパイン氏は話す。

2つめに、ブローカー業界全体が細分化されているために、取り扱い可能な全物件をまとめている真のMLS(マルティプルリスティングサービス)が韓国には存在しないことだ。借り手や買い手は何十人ものブローカーにあたらなければならず、通常オンラインで写真を閲覧するのではなく、実際に物件を見に行かなければならない。このシステムではブローカーが往々にして買い手・借り手サイドと売り手サイド両方の代理人を務めることになり、つまり買い手側にとって一番良い状態で交渉することにはならない。

Dongnaeは扱われている全物件を1カ所に集約するのにブローカーと提携していて、物件をブラウズできるインターフェースを買い手や借り手に提供している。実際、DongnaeではTinderのようなエクスペリエンスとなる。理想とする物件、最終的にぴったりとくる物件を探すために左右にスワイプできる。

Airbnbと違ってDongnaeは煩雑な作業をこなしている。4Kの写真を撮り、各写真にデジタルウォーターマークを入れ、それをブローカーに渡したりしながら各物件のデジタル一覧を構築し、Dongnaeに掲載している。

「必ずしもフランチャイズではなく、かなり提携に近いものです」とシャンパイン氏は話した。

Dongnaeは、他のブローカー同様に買い手側から手数料を徴収することで収益を上げている。韓国では手数料は約8%だ。Dongnaeのチームは25人で、男女の割合はほぼ半々とかなり多様性がある。

カテゴリー:その他
タグ:Dongnae韓国不動産テック資金調達

画像クレジット:Dongnae

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(翻訳:Mizoguchi

不動産管理プラットフォームのRealPageをプライベートエクイティのThoma Bravoが約1兆550億円で買収

M&Aの多忙な1年は今週末も続いている。プライベートエクイティ企業のThoma Bravo(トーマ・ブラボ)社が、RealPage(リアルページ)社を102億ドル(約1兆550億円)で買収すると発表した。

Thoma Bravoはこの買収によって、ビルや不動産所有者向けの賃借人ポータル、サイト管理、経費管理、財務分析などのフルサービスを提供するRealPageの不動産管理プラットフォームを手に入れることになる。

Thoma Bravoの創設者でありマネージングパートナーでもあるOrlando Bravo(オーランド・ブラボ)氏は、これまでの実績を元にして、RealPageが一緒に仕事をやっていける会社だと考えている。

「RealPage社の業界をリードするプラットフォームは、不動産エコシステムにとって非常に重要であり、今後も大きな可能性を秘めています」とブラボ氏は声明の中で述べている。

RealPage側としては、今後も会社に残る予定のSteve Winn(スティーブ・ウィン)最高経営責任者が、今回の買収は株主にとって大きな勝利であると同時に、株主は製品への投資を継続できるとしている。「これにより、我々は長期的な戦略の実行に集中し、顧客やパートナーにより良い製品やサービスを提供することができるようになるでしょう」とウィン氏は声明の中で述べている。

1998年に設立され、2010年に株式を公開したRealPageは、Thoma Bravoのようなプライベートエクイティ企業を惹き付ける典型的な成長したプラットフォームだ。同社は1万2000人以上の顧客を抱える強力な顧客基盤を持ち、収益もそれなりのペースで成長している。直近の収益報告書では、同社は前年比17%増となる2億9810万ドル(約308億円)の収益を発表した。これはランレートが10億ドル(約1034億円)を超えることを示している。

今回の買収条件では、Thoma BravoはRealPageの株主に1株当たり88.75ドル(約9180円)の現金を支払うことになっている。これは米国時間12月18日の終値67.83ドル(約7016円)から30%以上のプレミアムとなる。この取引は標準的な規制当局の審査を経て行われ、RealPageの取締役会は45日間のGo-Shop期間を設けて、より良い買収提案を見つけることができないかを確認することになっている。今回の取引のプレミアム価格を考えると、その可能性はありそうもないが、試す機会は設けられる。

関連記事:不動産管理のRealPageがIoTのStratisを買収して建物管理を強化

カテゴリー:ネットサービス
タグ:Thoma BravoRealPage買収不動産テック

画像クレジット:Busà Photography / Getty Images

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(翻訳:TechCrunch Japan)

不動産投資クラウドファンディング「大家.com」がSTOスキーム導入、運用期間中でも出資持分を譲渡可能

不動産投資クラウドファンディング「大家.com」がSTOスキーム導入、運用期間中でも出資持分を譲渡可能

暗号資産(仮想通貨)・ブロックチェーン技術に関連する国内外のニュースから、過去1週間分について重要かつこれはという話題をピックアップしていく。今回は2020年12月6日~12月12日の情報から。

不動産や商業施設建築事業のグローベルス(旧社名:キーノート)は12月11日、同社運営の不動産投資型クラウドファンディング「大家.com」の第1号案件「Foresight南麻布」において、STO(Security Token Offering)スキームを導入すると発表した

これまで不動産事業や多種多様な商業施設のデザイン・設計・施工を行ってきたグローベルスは、「不動産特定共同事業法に基づくクラウドファンディング事業」を定款に追加し、8月4日付けで東京都知事より不動産特定共同事業の許可を取得。オンラインで手軽に不動産投資を行える不動産投資型クラウドファンディングサービスサイト大家.comを展開している。

従来の不動産投資は投資の最小金額の規模が大きく、最低でも数千万円超の投資額となってしまうことが課題だったが、大家.comは少額投資(1口1万円)を可能にし、誰でも気軽に「大家さん」になれるサービスとなっている。また当初のスキームでは、一度出資すると運用期間中は出資金がロックされてしまうため、運用期間終了まで出資持分を保有し続けなければならなかったが、不動産特定共同事業者向けSTOスキームでは、運用期間中であっても出資持分を譲渡することが可能となり、投資家の資金流動性リスクの軽減につながるという。

今回、大家.comに導入されたのは、LIFULLおよびSecuritize Japanが提供する不動産特定共同事業者向けのSTOスキームとなる。

不動産特定共同事業者向けSTOスキームを利用するには

不動産特定共同事業者向けSTOスキームを利用するには、投資家は大家.comに投資家登録をし、対象案件の成立前書面の確認を行う必要がある。大家.comにて出資した投資家は、出資持分の譲渡を希望する際は、グローベルスにセキュリティートークンの発行を依頼する。セキュリティートークンが発行された出資者は、ブロックチェーン上で持分の譲渡が可能となる(2021年3月下旬予定)。また、出資持分を譲り受ける第三者もまた、大家.comへの投資家登録、対象案件の成立前書面確認が必要となっている。

ちなみに、ここで発行されるセキュリティートークンは、不動産特定共同事業法第2条第4項に定める不動産特定共同事業(1号事業)にもとづく出資持分を表象したものであり、金融商品取引業等に関する内閣府令第1条4項17号に規定される電子記録移転有価証券表示権利等に該当するものではない(金商法第2条2項5号に定める有価証券から除外されている)。

大家.comの第1号案件「Foresight南麻布」では、12月14日(予定)より投資申込を開始し匿名組合出資持分を表象するセキュリティートークンの発行を受けることが可能になる。出資者は案件運用開始後、LIFULLおよびSecuritizeが提供するプラットフォーム上でのセキュリティートークン譲渡により、第三者への出資持分の譲渡が可能になる。

ちなみにForesight南麻布案件は、グローベルスが所有する港区南麻布に所在する収益ビルとなる。1992年3月築の建物で、2012年にグローベルスが取得。その後、エントランスの改修工事や各階の設備の更新・交換工事を行うことで、2020年12月現在は満室稼働となっているという。建物の管理・運営・入居者などの問合せ対応はグローベルスが行っている(一部外部委託)。

不動産投資クラウドファンディング「大家.com」がSTOスキーム導入、運用期間中でも出資持分を譲渡可能

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カテゴリー:ブロックチェーン
タグ:大家.comクラウドファンディング(用語)グローベルスSecuritize不動産テック(用語)ブロックチェーン(用語)LIFULL

Autodeskが都市開発向けAIソフトウェア企業Spacemakerを2億4000万ドルで買収

エンジニアリング・設計業界を対象としたソフトウェアとサービスを提供する米国の上場企業、Autodesk(オートデスク)は、都市開発向けのAIベースソフトウェアを開発してきたノルウェーのスタートアップ、Spacemaker(スペースメーカー)を買収した。

買収価格は2億4000万ドル(約250億円)で、ほぼ全額現金払いの取引となる。 スペースメーカーに投資するベンチャーキャピタル(VC)には、2019年に同社への2500万ドル(約26億円)のシリーズAラウンドを共同で主導した欧州企業、Atomico(アトミコ)Northzone(ノースゾーン)が含まれている。 資本政策表に名を連ねるその他の投資家には、北欧に展開する不動産イノベーターNREP(エヌレップ)や同じく北欧の不動産開発業者OBOS(オボス)、英国の不動産テクノロジーファンドRound Hill Ventures(ラウンドヒルベンチャーズ)、ノルウェーのConstruct Venture(コンストラクトベンチャー)などがある。

Håvard Haukeland(ホーヴァート・ハウケラン)氏、Carl Christensen(カール・クレステンスン)氏、Anders Kvale(アナス・クヴァール)氏によって設立されたスペースメーカーは、ノルウェーのオスロを拠点としており、他にも世界各地に多くの支店を構えている。従業員は115名で、AIを利用したクラウドベースのソフトウェアを開発および販売し、建築家、都市計画者、不動産開発者がより多くの情報に基づいた設計上の決定を行えるよう支援している。デザイナーの肩越しに見るようにすることによって(CEOのハウケラン氏はよくこのように言う)、スペースメーカーのソフトウェアが目指しているは、人間の作業を強化し、都市開発の設計と計画のプロセスをスピードアップさせるだけでなく、出来上がった空間の持続可能性やそこに住むことになる人々や生活の質といった成果を向上させることである。

これを実現するために、ユーザーは同社のプラットフォームを使用することで、地形、地図、風、照明、交通、区画分けなどの設計基準やデータを考慮しながら、複数の設計案を簡単に「生成、最適化、反復」することができる。その後、スペースメーカーは、候補地の可能性を最大限に引き出すために最適化された設計案を提供する。

「2020年の初めには会社を売却する気などまったくありませんでした」とハウケラン氏は先週、電話でこう語った。 「しかし、以前から関係のあったオートデスクと話を始めてみると、同社が私たちと同じビジョンを持っていることがよくわかりました。さらに、この売却によって私たちのビジョンを強化できること、また実際に、そのビジョンをはるかに短期間で達成できることがわかりました。自分たちのビジョンを実現し、製品を世界に送り出して、何百万人もの建築家やエンジニア、開発者の手に届けること、それこそが私たちを動かすものであり、私たちの望むことなのです」。

金曜日午後遅くの電話でオートデスクのCEO兼社長であるAndrew Anagnost(アンドリュー・アナグノスト)氏は、スペースメーカーの買収が、クラウドの力、「安価なコンピューティング」、そして機械学習を利用して設計方法を変化させ、進化させていくという同社の長期的な戦略に沿ったものであると述べた。

「これは、最先端の機能を組み込んで社内で製品を開発する際にも、買収を検討している企業について検討する際にも、私たちが戦略的に取り組んできたことです」と同氏は語っている。

「これは私たちがしばらく注目していた分野でした。 スペースメーカーが構築したアプリケーションは、私たちが都市計画のための『ジェネレーティブデザイン』と呼んでいるもので、都市計画に適用するための設計案や設計案のテスト結果を機械が生成します。

「スペースメーカーは、クラウドコンピューティング、人工知能、データサイエンスを利用し、顧客が複数の設計案を検討して、より適切な決定を行えるよう支援するという点で、非常に際立っています」。

画像提供:スペースメーカー

買収後は、スペースメーカーをオートデスク内での独立した部門として維持し、これまでうまく機能していたように見えるやり方やスタートアップの理念に(願わくば)あまり干渉しないようにすると同時に、チームがミッションを継続するために必要なリソースを確保できるようにする計画だ。

「オートデスクはスペースメーカーをスペースメーカーとして維持したいと考えています。[単に]私たちの製品を獲得するのではなく、私たちが一つのチームとして進んでいく可能性と探求の道を獲得するのです」とハウケラン氏は述べている。「また、私たちが取り組んでいるミッション、私たちの仕事のやり方や持っている知識、途中で失敗した試みすべてを獲得します。単に製品を買収するということではないのです」。

そういった知識や「失敗した試み」というのは、建築家としてのスペースメーカーCEO自身の経歴だけでなく、プロダクトマーケットフィットへの過程やその技術自体にまで及ぶ。

「スペースメーカーは当初、建築家を直接ターゲットにしていましたが、建築家の予算は比較的少ないことに気づきました」と、ノースゾーンを代表してスタートアップのシリーズAラウンドを主導したMichiel Kotting(ミヒール・コッティング)氏は振り返る。「業界でのハウケラン氏の経験から、スペースメーカーはターゲットを[不動産]開発業者に変え、その開発業者がソフトウェアを社内外の建築家に提供するようにしました。 1プロジェクトあたり6桁の金額にもなる大きな案件を、始めてすぐに獲得できたことに驚いていました」。

また、コッティング氏によると、スペースメーカーはジェネレーティブデザインに将来性があることを早い段階で確信していたそうだ。「建築家が紙の上で行っていたようなことを単に実行するソフトウェアではなく、現代のコンピューティングの全機能を建築家が自由に使えるようになります」と同氏は語っている。「そこにたどり着くまでの道のりは、Deep Mind(ディープマインド)のAlphaGo(アルファ碁)プロジェクトに少し似ています。さまざまな技術、ML(機械学習)、AI、ルールベースの最適化などを組み合わせ、最大限の成果を生み出します。『最新のディープラーニングモデルをプロジェクトに投入してどうなるか見てみよう』というだけではないのです」。

「スペースメーカーは実際、オートデスクの顧客が解決したいと言っていた問題を、期待されるような方法で解決していました」とアナグノスト氏は述べている。「スペースメーカーは単に優れた発想と優れたテクノロジーを備えた卓越したチームであるというだけでなく、実際に問題を解決していたのです。 私はこのことが非常に重要だと考えています。 誰でも自分の好きなテクノロジーを使うことはできますが、まったく新しいビジネスチャンスや市場を創出するため、または既存の問題をまったく新しい革新的な方法で解決するためにそのテクノロジーを活用できなければ、本当に有用なものを作り出しているとは言えません。スペースメーカーは有用なものを作り出してきました」。

「スペースメーカーのシリーズAラウンドを主導してからまだ2年にもなりませんが、その時、世界をリードする製品と、建築や不動産開発にAIを適用することで可能性の限界を押し広げようとするDNAを持つ企業を目の当たりにしました」とアトミコのBen Blume(ベン・ブルーメ)氏は語っている。 「建築、エンジニアリング、建設(AEC)ソフトウェアの世界的リーダーであり、また業界全体の標準となる製品を提供するオートデスクによる買収は、世界トップクラスのAI製品がここヨーロッパで作られてきているという私たちの確信を証明するものです」。

画像提供:スペースメーカー

ノースゾーンのコッティング氏は、製品を繰り返し作り上げる中で、スペースメーカーは「『人参加型』の技術を磨いてきた」と述べている。「ジェネレーティブデザインが候補となる解空間を計算し、建築家がその空間を調べて興味深い出発点を見つけ出し、デザインの選択肢の影響を確認できます。ですから、美しく、目的にかなった最適なものを設計できます」。

また同氏は、建築家の才能と「最先端」のソフトウェアデザイナーの両方が備わっていなければ、スペースメーカーがこれを実現することは不可能だっただろうと考えている。 これは、ノルウェーで会社を設立することが有利に働いた可能性がある部分である。 「この面での適材がノルウェーに多くいることはあまり知られていないかもしれませんが、この国は、石油やガスの最適化という、スペースメーカーの場合と非常に似通った問題を慢性的に抱えてきました。それで、人材は実際に豊富なのです」とコッティング氏は付け加えている。

当時の課題は、ノルウェーで人材がいないことではなく、スタートアップで働くように優秀な人材を説得することであり、スペースメーカーの課題も同じだった。しかし、北欧文化全般で見ると、このような人材が強みであったとも言える。

ハウケラン氏はこう振り返っている。「初期の経験でわかったことは、こうした困難な問題を解決するという遠大な過程の途上では、解決しなければならない問題が次々に出てくるため、自主性を持って問題を解決できる非常に優秀な人材が必要だということです。 そして、4年前にノルウェーでは、本当に多くの優秀な人が石油やガス、またはコンサルティングに携わっていきました。 それによってわかったのは、多くの人は社会に貢献できるミッションに参加したいと心から思っていること、そして自分たちの能力と才能と頭脳を使って難しい問題を解決できるということでした。 そのおかげで、素晴らしい才能を持つ人たちを数多く当社に迎えることができたことは幸運でした」。

アナグノスト氏はまた、スペースメーカーの企業文化とそのヨーロッパ的視点を差別化要因として挙げている。「スペースメーカーはクラウドで最先端のアルゴリズムとアプローチを採用しているヨーロッパのハイテク企業ですが、その起点となっている倫理的枠組みは他の地域のスタートアップと比べてあまり一般的ではありません」と同氏は語っている。「何が差別化要因かと言われれば、それは同社が持ち込んだ倫理的枠組みだと思います。『このデータを使用してユーザーが毎日行っている仕事をより良いものにしていこう。それを顧客と協力して達成していこう。そして顧客だけではなくステークホルダーのエコシステム全体のためにも、より良い結果を生み出していこう』という考えです。そのステークホルダーには地域の環境も含まれます。テクノロジー企業のそういった理念は、米国市場よりもヨーロッパ市場で急速に広まりました。米国市場は『物事を切り開いて進もう』とすることに重きを置き、ここでの自分たちの倫理的基盤は何なのか、自分たちは何を達成しようとしているのか、ということについてはそれほど重視していないからです。

しかし、ヨーロッパでは現在、ユニコーン企業が注目を集めており、また10億ドル(約1040億円)以上の価値の企業を生み出した実績が増えてきていることから、スペースメーカーを売却するのは早すぎたのではないかという疑問が当然起こる。

しかし、「それはVC的な視点だと思います。この疑問はつまり、VCへのリターンが十分ではない段階で売ってしまって良いのかということだからです」とオートデスクのCEOは答えている。「スペースメーカーとその従業員が何を達成しようとしているかという視点から見れば、違った考え方ができます。米国資本を受け入れ続けることで評価額が上がるかもしれませんが、オートデスクの内部で密接に働くことで、これまで以上に多くのことを成し遂げることができます。VCへのリターンは小さくなるかもしれませんが、従業員は自分たちのビジョンに対する純利益がどれくらいかといったことは考えないでしょう。スペースメーカーの従業員と話をしたことがあれば、彼らが自分たちの仕事にとても情熱を持っていることがわかると思います」。

「スペースメーカーとの協力関係から早い段階で手を引くことは、私たちが望んだことではありません。しかし、私たちは最大の効果を短期間で実現したいという同じ熱意を抱いており、その過程で、オートデスクがスペースメーカー製品を自社の将来にとって非常に重要なものであると考えていることがわかりました」とコッティング氏は語っている。

一方、ハウケラン氏は、スペースメーカーが「構想のうちまだ5%」しか開発していないと語り、業界全体でも働き方の大きな変革が始まっていると述べている。 「何かを設計してそれがどう機能するかを確認するためだけにコンピューターを使うのではなく、ユーザーがコンピューターに手助けを依頼したり、コンピューターがユーザーの肩越しにアドバイスしてくれたりするようになると、本当に状況が変わってきます。 それは単なる新しい製品ということではなく、非常に根本的な変化となります。 何年もかけて業界を変えていくことになる大きな変化です」。

「私たちは今後もスペースメーカーに協力し、そういった製品を作り上げられるよう、働きかけていきます」とアナグノスト氏は述べている。「しかし、スペースメーカーとしても、自分たちの技術を発展させるための別の方法や、オートデスクのエコシステムの一部に自分たちの技術を関係させることができる別の分野を見つけることになるでしょう」。

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(翻訳:Dragonfly)

3Dイメージングを不動産の評価と修繕に活用するホバーが約62億円の資金を調達

米国の不動産市場は、新型コロナウイルス感染症によるパンデミックに対して予想よりも早く立ち直りを見せている。本日多額の資金の調達に成功したのも、コンピューターグラフィックツールによって不動産のオーナーが保有する不動産の評価と修理を簡単に行うことを可能にし、利用者が急激に増加しているスタートアップ企業である。

その会社はHover(ホバー)。同社が構築しているプラットフォームでは、スマートフォンで撮影された最小限の写真8枚をつなぎ合わせて家屋の3D画像を生成し、修理箇所の評価、作業の見積もり、必要な材料の注文を行えるよう請負業者や保険会社に見せることができる。同社は今回、新たに6000万ドル(約62億円)の調達に成功した。

シリーズDの投資において、同社の投資後の価値は4億9000万ドル(約500億円)と算定されており、複数の戦略投資家が同社に出資していることが注目される。また、米国の大手保険会社のうち3社、つまりTravelers(トラベラーズ)、State Farm Ventures(ステート・ファーム・ベンチャーズ)、Nationwide(ネイションワイド)が投資ラウンドを主導し、建材大手のStandard Industries(スタンダード・インダストリー)や名前の明かされていない他の建築テクノロジー企業も参加している。さらに、過去にも支援してきたMenlo Ventures(メンロ・ベンチャー)、GV(以前のグーグル・ベンチャー)、Alsop Louie Partners(オルソップ・ルイ・パートナーズ)に加えて、Guidewire Software(ガイドワイヤ・ソフトウェア)が新たな後援者として名を連ねている。

今回の資金調達により、ホバーがこれまでに調達した資金総額は1億4200万ドル(約147億円)に達した。参考までに、前回2019年のシリーズCのラウンドでホバーの企業価値が2億8000万ドル(約290億円)と算定されていたことを考えれば、かなり跳ね上がったといえるだろう(データはPitchBookによる)。

本日資金調達に成功し、企業価値が急上昇し、保険会社からの関心を集めているのも、同社の非常に大きな成長の当然の帰結だろう。ホバーの設立者兼CEOであるA.J.Altman(アルトマン)氏は、2016年の同社の収益が約100万ドル(1億300万円)だったと語っている。それが今年は年間ランレートで「7000万ドル(約72億円)以上」に達すると予想されており、その成長の大部分を保険会社や他の大規模なビジネスパートナーに負っている。

2011年に設立されたホバーの名を最初に知るようになったのは、家の屋根やその他の構造物の修理を手掛ける不動産オーナーや個人事業主、それに小規模な請負業者たちだ。同社はそのソフトウェアによって市場に貢献し、スマートフォンのカメラ、センサー、アプリを活用することで、家屋の修繕にまつわる煩雑な作業の多くを省略できるようにしたのだった。

ソフトウェアの機能について簡単に説明しておこう。あるスペースのスナップ写真を普通のスマートフォンのカメラで数枚(最大8枚)撮影すれば、それらの写真を組み合わせることで「構造化された」3D画像を作成し、作業の見積もりを簡単に行えるというものだ。

それらの3D画像は通常の3D画像とは異なり、材質、サイズ、寸法などの情報も合わせて、動的にエンコードされる。こうした情報はどのような作業にも欠かせない。請負業者であれば、ホバーのアプリを使用して、見込み客のためにそうした3D画像から材料と作業スケジュールの明細を付した見積書を自動的に作成することができるだろう(これを、多くの作業で見られる、アルトマン氏の言うところの「名刺の裏」の見積もり額と比べてほしい)。

さらにホバーは最近、施工業者が部材を注文するEコマースポータルとしての役割も果たすようになっている。

同社が市場の牽引役を果たすようになった理由の1つは、それまでオンライン化をかたくなに拒み、透明性に欠けていたアナログ的プロセスをデジタル化した手法にある。この分野は、プロセスが本質的に細分化されているだけでなく、市場も非常に細分化されているという特徴があり、現在米国には営業中の家屋修繕業者が約10万社も存在している。

「家屋修繕は、オンライン化されていないわずかなセグメントの1つでした」とアルトマン氏は語っている。「たとえば、屋根を新しくしたいと思っても、それにいくらかかるか教えてもらうことさえ大変でした。修理にかかる時間などを予想し、コストを見積もるためには、誰かがまず家の数十か所を測定することが必要だったからです。ホバーでは、写真からそれらすべての答えを導き出す仕組みを構築したのです」。現在このアプリを使っている請負業者は1万社を超え、アルトマン氏によればまだまだ増える余地があるとのことだ。

アルトマン氏によれば、最初のうち同社が直面した障害は、家屋の修繕を手配するために、問題のある箇所の写真を家の所有者でも撮影できるようなアプリがあるとどれほど便利か、人々に納得してもらうことだったという。

これは、DIYがこれほど一般的になり、The Home Depot(ホーム・デポ)―ちなみに前回ホバーが資金調達した時の支援者でもある― が人気を集める時代になっているのに、建築業者やそのパートナーの側が、写真撮影を顧客の役割ではなく自分たちの仕事だと考えているからだ。

だが、この状況もこの1年で大きく変化してきた。全地球的なパンデミックの時代になり、多くの人がウイルスの広がりを封じ込めるために社会的な接触を減らすことを余儀なくされている。

「家を実際に見に行く必要がなくなるというのは非常に大きな意味を持つことなのですが、新型コロナウイルス感染症の流行前まで、私たちはこのアイデアの良さをわかってもらうために多くの時間を費やしていました」とアルトマン氏は述べた。「保険会社にしろ請負業者にしろ、家のオーナーに連絡して作業をお願いするというやり方を、サービス提供側がいやがっていたのです」。ところが今では「新型コロナウイルス感染症を経験したことで(同氏)」この状況が相当変化し、多くの人がそうした方法を希望するようになっているという。

ホバーの収益の多くを小規模な請負業者が占めているとはいえ、同社のビジネスにおいて成長が著しいのは保険会社のセグメントである。アルトマン氏によれば、大型企業は自社のアプリとホバーのアプリを統合しており、ホバーのアプリを使って写真を撮影するよう顧客にリンクが送信され、その結果は保険会社のアプリに自動的に送られるため、顧客からの支払い要求を処理するプロセスを迅速に開始できるということだ。

トラベラーズのエグゼクティブ・バイス・プレジデント兼支払要求対応責任者であるNick Seminara(ニック・セミナラ)氏は、「私たちにとって、優れたカスタマーエクスペリエンスの実現は重要です。その点、ホバーのテクノロジーは、支払い要求の処理プロセスをさらにシンプルで迅速、かつ透明なものとするのに役立っています」と語っている。「保険業界には、ホバーにとって非常に大きなチャンスがあります。同社とのパートナーシップを継続し、その将来のために投資できることをうれしく思います」。

さらに長期的な視点から見ると、ホバーのテクノロジーを応用できるさまざまな分野を思いつくかもしれない。同社はすでに商業建築についての業務を多く手掛けており、次なるステップはおそらく内装設計や装飾といった室内業務への展開となりそうだ。

ある投資家がデジタルによる「複線化」と形容したとおり、物理的空間をデジタルで視覚化すれば、そこからさらに分析を進めることも、その空間に関する作業プロセスを改善することも可能だ。物理的空間のデジタルによる視覚化プロセスは、地図作製と物流、自動車への応用、医薬、航空宇宙や国防、ゲームなど数々の業界で使用されるようになっている。ホバーは、35件ほどの特許を保有して自社の技術を守り、既存プロセスにさらにイノベーションを投入できるチームを抱えている。このホバーような企業にとって、今後の成長の地平は大きく開けており、さまざまな成長戦略を採用できる。

しかし、不動産市場でのポテンシャルだけに注目したとしても、まだまだいろいろ試す余地がありそうだ。たとえば、ホバーが持っているような技術を不動産販売会社などと連携させれば、家を売るだけでなく、家屋の手軽な修繕プランを合わせて販売することができるだろう。言うまでもなく、家具や家電などを販売するEコマースにも広大なビジネスチャンスが開けている。

IKEA(イケア)Houzz(ハウズ)といった企業の多くが、Apple(アップル)のARプラットフォームのような新技術を活用したユーザーエクスペリエンスの向上にすでにかなりの額を投資していることから、この分野にはさらなるサービス改善を目指す動きが確実に存在しているといえるだろう。

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(翻訳:Dragonfly)

不動産業者向けバーチャル内覧用撮影ロボットのGiraffe360が4.7億円調達

Giraffe360はロボットカメラをサブスクリプションサービスと組み合わせて、不動産業者が物件や間取り、バーチャルツアーの高解像度写真を簡単に作成できるようにしている。同社はLAUNCHub VenturesとHoxton Venturesが主導したラウンドで450万ドル(約4億7000万円)を調達した。このラウンドには、HCVC(Hardware Club)と既存の投資家であるChange Venturesも参加した。

新型コロナウイルス(COVID-19)感染拡大を大きな要因として物件の実地見学がバーチャルに移行したため、Giraffe360は2020年に成長のチャンスを得た。

Giraffe360は高スペックなセンサー、LiDARレーザー技術、ロボティクスを活用している。カメラは不動産業者に月額399ポンド(約5万5000円)で提供される。2016年にラトビアの首都、リガでMikus Opelts(ミクス・オペルツ)氏とMadars Opelts(マダルス・オペルツ)氏の兄弟が同社を設立し、ロンドンに本社を置いている。

物件などの写真はこれまでプロのカメラマンに依頼したり不動産業者自身が撮影したりしていたが、Giraffe360はもちろん、こうしたことと競合している。3Dレンダリングやバーチャルツアーにも、たいていはプロの助けが必要だ。

Giraffe360に似た米国企業のMatterportは、これまでに1億1400万ドル(約118億7000万円)を調達した。

Giraffe360の創業者でCEOのMikus Opelts(ミクス・オペルツ)氏は発表の中で「成長している数字が物語っています。サブスクリプションは2019年に800%成長し、2020年にはこれをさらに上回る見込みです。2020年はこれまで以上に、我々の顧客、そして購入やテナント契約を検討している人々が物件を見るデフォルトの方法としてバーチャル見学を利用するようになってきました」と述べている。

LAUNCHub VenturesのパートナーであるTodor Breshkov(トドール・ブレシュコフ)氏は「我々は不動産テックの動向に常に注目しています。不動産業界をモダナイズするGiraffe360のプロダクトは素晴らしいと考えています」と述べている。

Hoxton VenturesのパートナーであるHussein Kanji(フセイン・カンジ)氏は「Giraffe360の顧客は26カ国にわたり、グローバルな可能性があります。その中にはRE/MAX、CBRE、BNP Paribas Real Estateといった業界のトップブランドが含まれています」と述べた。

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タグ:Giraffe360不動産テック資金調達

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(翻訳:Kaori Koyama)