HTCがブロックチェーンフォーンのアーリーアクセスをデベロッパーや暗号家に提供、興味深い‘分散セキュリティ’技術

何か月も前から話題になっていたHTCのブロックチェーンフォーンが、ついにやってきた。今日(米国時間10/22)ベルリンで行われた暗号通貨に関するカンファレンスで同社は、Exodus 1の初期的バージョンを、限られた量ではあるがこの製品の同社の公式サイトより、“世界中の暗号研究家とデベロッパーに提供する”、と発表した。

“初期的バージョン”と断っているのは、最終的な製品ではない、ということだ。12月発売とされているが、現状は数か月前の漠然とした状態からあまり変わっていない。でも、信ずる者は救われる、と言うし、この製品にものすごく好奇心のある方なら、一台手に入れることはできる。当然支払いは、BitcoinまたはEthereumだ。

このフォーンの画像はまだ乏しいが、でもこのデバイスはHTCの最新の旗艦機であるU12と共通のデザインを多く使ってるようだ。たとえば背面は、半透明のガラスだ。まあ、それはたぶん、良いことだ。こういう新奇なデバイスは、独自の技術を強調したいあまり、デザインなどはおろそかにされがちだ。でもここでは少なくとも、しっかりとした、まともなスマートフォンが基本にあることだけは、確かなようだ。

フォーン本体はAndroidだが、暗号通貨の鍵などを保存しなければならないから、セキュリティを強化している。今後はもちろん、あらゆるデータをこのフォーンが保存しなければならない。それに関しては、失ったデータに分散的にアクセスするという、おもしろいファンクションを内蔵している。

HTCは、あなたのフォーンが紛失または盗まれたり、あなたが鍵を忘れたときのために、ユニークなSocial Key Recovery(ソーシャルな鍵回復)メカニズムを開発した。それは、ハードウェア上で失われた鍵を回復する容易で安全な方法だ。また、そのおかげで、鍵をHTC自身がどこかの中央的な場所に、たとえ一時的たりとも、保存することが確実になくなる。鍵に対するいかなる権利も、常時あなたご自身がそのすべてを維持する。HTCはあなたに、いくつかの信頼できるコンタクトを選ばせ、そのそれぞれが鍵管理アプリをダウンロードする必要がある。するとあなたのシードワードは秘密の共有アルゴリズムによって分割され、その信頼されたコンタクトへ送られる。そして必要なときには、あなたのファンドへのアクセスを成功裡に再獲得できる。

当面HTCは、この事業で技術のパイロットを行なう。そして、小さなコアグループのユーザーからのフィードバックを入手する。スマートフォン市場で苦戦している同社にとって、これが今後の主力デバイスになることは、想像しづらいけどね。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

分散型キッチンのPilotworksが廃業

Pilotworks。分散型キッチンサービスとしてCampbell’s Soup Co.の投資部門などから1300万ドルのベンチャー資金を調達していた同社が店じまいする。昨日同社はこのニュース伝える短い声明をウェブサイトで公開した。

Pilotworksが閉業しても、ほかのスタートアップが、大手チェーンや新たなフードコンセプト向けに分散キッチンを益々アピールしている。

Pilotworksは、既存のチェーンよりも新しい外食起業家に焦点を絞ったたために、思ったほどのスケールを実現できなかったと思われる。

今年6月、Pilotworksの共同ファウンダー・CEOのNick Devaneが辞任し、COOのZach Wareが引き継いだとThe Spoonが報じた。

その後の一か月にかけて、同社はロードアイランド州プロビデンス、ポートランド、メイン州などの施設を縮小、閉鎖していった。

[原文へ]

(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Magic LeapがメッシュコンピューティングのComputesを買収、そのココロは?

Magic Leapが、分散メッシュコンピューティングのComputesの買収を発表した。契約の条件は公表されていない。

Magic Leapのブログ記事より:

Chris MatthieuとJade Meskillは最初から、次世代のコンピューティングをもたらす原理に基づいてComputes, Inc.を創業した。Magic Leapはこのビジョンを実現するための完璧な拠点だ、とわれわれは信じている。

なぜMagic Leapは、この企業を手にしたいのか? そう、言うまでもなく、現実の世界の上に“デジタルの層”を築くことは、単純に計算集約的という言葉で片付けられるゴールではない。メッシュコンピューティングは、複数のシステムの集まりがリソースを、それをもっとも必要とするデバイスに割り当てていくという、魅力的な未来を提供する。

同社のWebサイトにある説明は、あまり分かりやすいとは言えないが、ここでは同社のホワイトペーパーから引用してみよう:

Latticeプロトコルにより、有資格のコンピューターの群が自己をメッシュコンピューターへと編成する。メッシュの数はメンバーの数で決まり、その能力はコンピューター群のパワーで決まる。Latticeはワークを、そのタスクの要求に基づいて、メッシュのベストメンバーにインテリジェントに割り当てる。。

これは、ARヘッドセットのシステムにとって興味深いシステムだ。そこでは究極的に、それらの多くが平均的なスタンバイモードに居て、そのコンピューティングパワーを他のシステムに使わせるだろう。おそらくいちばんあり得るのは、強力なPCのグループがヘッドセットたちを駆動する、という構図だ。もっと地味な側面としては、スタートアップのシステムがバックエンドサービスの階層をドリルダウンしていく、というタスクも考えられる。

彼らがやってることに関心がある人や、その、控えめに言っても分かりにくい説明に関心を持たれた方は、このビデオで、ComputesのCEOのお話を聴くべきだ。ただしそれもまた、Dharma Initiativeのビデオに似ているけどね。

 

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

フェイスブックのない世界を目指して

親愛なるブロックチェーン派のみなさん。今はみなさんの時代だ。透過的で、強欲で、一攫千金型のスキームを捨て去り、現代の事実上の投機的安物株の賭博場から手を引いて、分散型の力を、世界の人々が求めているものに向けるのだ。ブロックチェーンの人々よ! あのフェイスブックの災厄から我らを救い給え! すべてを分散化し給え!

というのは、もちろん冗談だ。今のところは。

毎年、新しい「新たなるフェイスブック」が現れては、膨らんで、しぼんで、消えていく。どれもほぼ数週間の単位でだ。Diaspora、Ello、Mastodon、Veroを覚えておいでだろうか? 彼らは「ゲーム・オブ・スローンズ」の「壁」に挑んだ盗賊団だったと想像しよう。メンローパークの「冥夜の守人」に気づかれたが……、立ち去るまで完全に無視された。クリティカルマスを握った、200億人に貴重な機能を提供するための強力な兵器一式を生み出す高価で複雑なインフラ、それがフェイスブックの高さ210メートルに及ぶ氷と魔法の「壁」なのだ。

しかし、ConsensusやTokenFestといった人たちの会合では、陰でこう囁かれている。壁には秘密の抜け穴がある。それは根本的な欠陥だと。ユーザーが自分自身のデータを所持し、自分で暗号化し、自分で決めた場所に保管し、自分の意志によってのみ、また明確な許可の元においてのみそれを共有する分散型という黒魔術に直面したとき、フェイスブックの巨大なスケールによる優位性は溶けて流れてしまうという。それはピアツーピアで接続され、無数のノードを通してトークン型のプロトコルで仲介され支払いが行われる。そう、ご想像のとおり、これはある種のブロックチェーンだ。

今はまだホラ話だ。その根本的な欠陥は、非常に大規模な分散型ブロックチェーンという考え方にある。つまり、それは過剰であり、過大であり、誇大妄想的であり、時期尚早なのだ。彼らは、現存する秩序を丸ごと奪い取ろうとしている。金だろうが、金融セクターだろうが、民主的な統治だろうが、ソーシャルメディアだろうが、ともかく今みんなが頑張っている分野だ。おそらくその分野に関する白書では、トークンベースの分散型システムが、私たちがこれまで積み重ねてきたものに取って代わると書かれているに違いない。

親愛なるブロックチェーン派のみなさん。どうかやめてほしい。私もみなさんと同じく大きなことを考えるのが好きだが、物事を叩き壊すだけでは現実は変えられない。新たなビッグバンで何年間も燃え続けている松明を吹き消すことは不可能だ。現実的に考えるなら、熱心な仲間を集めて、小さく始めて、より大きな社会が目を向けてくれる魅力を身につけるまで、もしかしたら長期間にわたるだろうが、技術を磨き続けることだ。宿屋に冒険家たちを集めて、即席の軍団を作り「壁」に立ち向かうなどという行為を繰り返すのは、やめていただきたい。

とくに、一般消費者向けのアプリでそれを行うのは危険だ。「ブロックチェーンは新しいLinuxであって、新しいインターネットではない」と私は主張している。この数カ月間、そう主張する私の声は次第に強くなっている。ブロックチェーンの愛好家たちは、財布が膨らむ様子を見て、またどれだけの数のERC20トークンが存在するかを数えては楽しんでいるだろうが、実際、それには使い道がない。せいぜい投機的安物株ぐらいなものだ。一般人にとっては、何も面白くない。

比較的「マシ」なトークンであるUXも、根本的な問題を解決することはできない。インターネットでの少額取り引きは、分散型のトークンがまだ使い物にならなかったために失敗を繰り返したわけではない。その認識的負荷が大きすぎて、使用を継続できなかったからだ。トークンがあったからといって、それは一寸とも変わらない。もし、あなたが作った一般消費者向けの分散型のアプリを使って、一般のユーザーが意図的にトークンの貯蓄、消費、やりとりをし始めたら、その分散型アプリは失敗する。

しかし、それだけだろうか? この記事の冒頭に書いたことは単なる悪ふざけではない。親愛なるブロックチェーン派のみなさん。もしそれに気づいてさえいれば、今はあなたたちの時代だ。だが、みなさんの目的は中央集権型サービスに対抗することでも、それに取って代わることでもない。それは目的にはなり得ない。それでいいのだ。むしろ、現在目指すべきは、既存の中央集権型サービスを使いたくない人のための有効な受け皿だ。その人数の多い少ないは関係ない。

そもそもビットコインは、そういうものだった。中央集権的な金融に対する風変わりでちっぽけな代替手段だったのだ。それが10年の間に、びっくりするほどの生存力を得て、便利になり、自給自足が可能になり、世界的に成功した。しかし、それは今でも風変わりでちっぽけな代替手段に変わりはない。この先、想像できる範囲の将来にわたって、そうあり続けるだろう。

そんな、ビットコインが立てた波の中で、私たちは決済だけに留まらない分散型のアプリを開発するためのツールを得た。たとえばブロックスタックは、入門用チュートリアルの中に「分散型のマイクロブログ・アプリ」を含んでいる。COSMOSは、ブロックチェーン同士の相互運用が可能になるようデザインされている。チェーンの分散型ウェブ、つまり彼らが呼ぶところの「ブロックチェーンのインターネット」だ。そしてもちろんイーサリアムは、信じるか信じないかは別として、ICO専用ではない。任意の分散型コードを実行できる。さらに重要なことに、スループットを大幅に拡大できるように計画されているのだ。

私たちは、こうしたツールが集まって、たとえば小規模な分散型ソーシャルネットワークを構築するっといった状況を迎えつつある。いや、もうその時が来ているのかもしれない。それでも、クリティカルマスの問題にはぶち当たるだろう。しかし、それはアート集団、教会、マニアたちといった熱烈な支持者やコミュニティにフォーカスすることで解決できる。また、「一般人はトークンなんて使わない」問題もある。しかしそれも、各ノードにトークンを扱う管理者を置くことで対処できる。オンライン・コミュニティにかつて電子メール管理者やローカルのUsenetシスアドがいたのと同じことだ。一般ユーザーに必要なのは、URLとユーザーIDとパスワードのみ。そして、有料会員になるか広告を表示してもよいかを決断するだけだ。

荒唐無稽に聞こえるだろうか? そうかもしれない。しかし、私はかなりの量の最新の分散型システムのコーディングを行ってきたから言えるのだが、ツールもネットワークも、かなりいい線を行っている。もう一歩のところだ。もうすぐだ。ユーザーが自分のデータを自分で管理できるローカルなソーシャルネットワークが構築されたなら、それがノードの高次分散型ネットワークの一部となれば、すべてのコミュニケーションが共通のトークン化されたプロトコルで行われるようになる。それでやっと、まったく新しい、面白い世界が訪れる。そこではスケーリングの問題に頭を悩ませることがない。

だが私が思うに、実用的な代替手段になるために、フェイスブックほどのスケールを持つ必要はない。小さく考えよう。「壁」は動かない。しかし、その壁を乗り越える必要もないかもしれない。これからもフェイスブックは世界に君臨するだろうが、フェイスブックにみなさんの世界の一部を奪わせる必要はない。とくに、風変わりで、不格好で、可愛らしいほどボロボロの代替手段が現れ、そこに大きな感情的価値や実用的な価値が見い出せたなら、そしてそれがきちんと働いてくれたなら、「壁」を乗り越えなくても向こう側の人たちと会えるようになる。そのうち、あっちからも訪れてくるだろう。

[原文へ]

(翻訳:Tetsuo Kanai)

Kafkaクラスターの自動ロードバランシングツールCruise ControlをLinkedInが発表

今日(米国時間8/28)サンフランシスコで行われたKafka SummitLinkedInが、KafkaのクラスターのためのロードバランサーツールCruise Controlを発表した。

LinkedInが開発したオープンソースのメッセージストリーミングツールKafkaは、それを使えば、ネットワーク上で大量のデータをアプリケーション間でリアルタイムに送受するタスクが簡単にできる。Cruise ControlのプロジェクトをリードしたソフトウェアエンジニアJiangjie Qinによると、Kafkaは今、ほとんど必須のツールになっているので、今LinkedInには専用のサーバーが1800台、それらが…つまりKafkaが…一日に2兆あまりのトランザクションを動かしている。

これだけの量であれば当然、Kafkaのクラスターを正常に動かし続けることはユーザーの企業にとってミッションクリティカルであり、そこで今年早期にチームは、クラスターの異状を見つけるツールを作ろうとした。そしてそのツールは、既定の一連のルールに従ってクラスターを自動的に構成し、適正な数のリソースを使用し、不具合を自己修復して動き続けるようにする。そのツールが、Cruise Controlになった。

Cruise Controlを作る前には、クラスターがダウンするたびにそれを手作業で再構成しなければならず、しかもQinによると、再構成に不正があると将棋倒しのようにほかのクラスターたちに悪影響が及ぶ。若干の人間の監視のもとに、マシン自身にクラスターの管理をやらせれば、その過程が大幅に単純化され、成長するネットワークのニーズに合わせてクラスターの修復作業のスケーリング(規模拡大)も可能になり、技術者たちが手作業でやっていたときに比べると仕事は大幅に効率化される(人力では不可能なほどに)。

Qinの説明によると、それらはロードバランシングの問題に帰結する。クラスターは、他のクラスターに迷惑をかけずに、正しい数のリソースで動いているか? 彼によるとこの問題はさらに、よくある構成上の問題を見つけ、ひとつひとつのクラスターに適正な目標を適用することに帰結する。人間でなく機械なら、クラスターのニーズを素早く評価し、一連の一般的な構成および目標と比較対照し、正しいものを選ぶ。

Cruise Controlはその際、この最適化プランでよろしいか?と人間に尋ねる。

なぜそんなツールが、もっと前からなかったのか、それについてQinは、技術者の数を最近増やすまでは、そっちにリソースを回す余裕がなかった、と答えた。

クラスターの構成とリソースの使用量を機械にチェックさせる今回のソリューションが完成するまでに、約半年を要している。同社はこのツールをオープンソースでリリースし、Kafkaクラスターのロードバランシングを改善するだけでなく、そのほかの分散システムにも同じロードバランシングの原理を適用できるようにしたい、と考えている。いろんなユースケースで、便利に使えるはずだ、とQinは述べている。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

‘非集中型Web’とはなんだろう?、テクノロジー世界の24人のエキスパートが自分の定義を述べる

featured-img-connections-blue

このところあちこちで、“非集中型Web(decentralized web, 自律分散型Web)”なるものをめぐる議論を目にするようになった。たとえばWebの始祖と呼ばれるSir Tim Berners-Leeも、それを熱心に主張している。しかしこの言葉には、みんなが一致して認めている単一の明確な定義がない。でも、この言葉が指している事態の性質からすれば、それも当然かもしれない。

そこで、シラキュース大学の情報科大学院(School of Information)は、テクノロジー世界の24名のエキスパートやリーダーたちの、さまざまに異なる見解をまとめた。

Internet ArchiveのBrewster Kahleは、字義通りだけど見事に簡潔な定義を述べる:

“多くの場所からサーブされる(多くの)Webサイト。それらの場所は他からコーディネートされていない。”

アリゾナ州立大学のEric Newtonは、暗喩を使う:

“私たちとコミュニケーションの関係が、地域農業と食べ物の関係のようであること。自分たちの食べ物だけでなく、自分たちのための情報も自分たちで育てる。”

著作家で活動家のCory Doctorowはこう言う:

“アーキテクチャやサービスやプロトコルを集中的にしようとする試みに抵抗して、特定の個人や国や企業がコントロールできないようにしたWebの設計。”

Wikimedia FoundationのJake Orlowitzは長広舌だ:

“非集中型Webは、われわれみんなのものになったWebだ。それを動かす力は、私たちのお互いの結びつきだけだ。そのアーキテクチャは私たちが価値と認めるものを伝え、その使われ方は、相互協力と共有と創造性を支える。

残る20はここで読める。おもしろいのは、全員が同じテーマに集まっているのに、各自さまざまな側面を強調していることだ。非集中型Webも、こうなるのかもしれない。多くの点が結び合っているが、そこに共通の権威はなく、意図(〜想い)の共有によってのみ結ばれ合う、と。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))