GoogleとClimaCellが高解像度天気予報をまずはインドで提供開始

気象テクノロジーの会社のClimaCell(クリマセル)は、気象データを収集し、天気予報モデルを構築する数多くの革新的なアプローチを採用している。米国時間の1月7日、Google Cloudと提携して、新しい高解像度予報モデルを提供することを発表した。その最初のモデルは、インドに焦点を合わせたものだが、すぐに他の地域にも拡大する予定だ。ClimaCellとGoogleは、Google Cloud Public Datasetsプログラムを通じて、予報を無料で利用できるようにする。

このモデルでは、2kmの解像度、15分の時間間隔で、48時間後までの予報を提供できる。また、ClimaCellの他の気象情報の基盤としても機能し、洪水、大気質なども予測可能となっている。

「民間企業が、本格的で実用的な数値気象予測モデルを、1国の全領域に対して継続的に提供し、最大48時間先までの高解像度の天気予報を供給するのは、歴史上初めてのことです」と、ClimaCellの共同創業者でCEOのShimon Elkabetz(シモン・エルカベッツ)氏は述べた。「このこと自体が歴史的なマイルストーンであるのはもちろん、私たちはそれを完全に無料で提供するのです。他の人たちとも協力して、誰もが気象データに無料でアクセスできるようにします」。

同社によれば、地元の気候と地理的な条件の微妙な違いに対応するため、このようなローカルなモデルが必要だという。また今後は、他の地域に向けて、このモデルをカスタマイズする予定となっている。

このモデルは、パブリックなデータセットとして提供されるので、誰でも使用できる。もちろん、この予報がどれほど良いものになるかは、まだわからない。ただしClimaCellは、この1年ほどの間に、かなり良い評判を築き上げてきた。また、Delta、JetBlue、Unitedといった航空会社を含み、多くの大企業が顧客となっている。さらに、一般ユーザー向けのフリーミアム型のモバイルアプリも提供している。

原文へ

(翻訳:Fumihiko Shibata)

お天気の視覚化は目的別分野別に多様であるべき、と主張するスイスの大学のプロジェクト

空の雲を見て、“犬”や“綿毛”を連想する人もいる。あるいは、“あれは衰退中の積雲で、羽毛のようなエッジは北からの高気圧が上昇気流によって終わりつつあることを示唆しているが、そのためにたぶん乱気流が生じるだろう。それに、ちょっと犬にも似ているな”、と思う人もいる。天候データの複雑で美しい視覚化は、後者の人びとが作っているのだ。

ETH Zürich(スイス連邦工科大学チューリッヒ校, ETHZ)のMarkus Grossが率いるプロジェクトは、天候データの視覚化はその利用目的や利用分野によって多様であるべき、と考えている。そこで彼のチームは、大量の天候データと格闘しながら、テレビ局や各種の研究所など、いろんなところにいるいろんな気象学者たちのための、それらのデータの正しい表現方法を模索してきた。

“われわれの視覚化の科学的価値は、既存のツールでは見ることができなかったものを見えるようにできるところにある”、とチームの一人、学部学生のNoël RimensbergerがETHZのニューズリリースで述べている。天候を、“比較的シンプルなわかりやすい方法で表現できる”、とも言っている。

問題のデータはすべて、2013年4月26日の夜のものだ。そのときは、ある大規模な気象学のプロジェクトにより、複数の研究機関が協力して大量のデータを集めたのだ。チームはそのデータを視覚化するためのさまざまな方法を作り出した。

たとえば、ひとつの郡全体を見るときには、雲に生じる小さな波動に注目することに意味があるだろうか? 必要なのはもっと大きな傾向であり、寒冷前線の生成や雨になりそうな領域など、重要なデータポイントを見つける方法だ。

  1. flights

  2. vorticity

  3. updrafts

  4. drafts

  5. clouds

しかし、局所的な雲の生成について知りたいときは、そんなマクロなデータは役に立たない。たとえばそこだけは、台風の風雨が異様に激しいかもしれない。

あるいは、あなたが小型飛行機のパイロットだったらどうか。ちょっとした雨や雲は気にならないかもしれないが、どこかに乱気流が起きそうなパターンがあって、それが今後どっち方向へどれぐらいの速さで動いていくのか知りたいときはどうする? または、先日墜落事故起きた、その場所の今の気象状況を知りたいときは?。

視覚化のこれら複数の例は、大量のデータ集合を解釈し表示する方法が、いろんな目的によってさまざまであることを、示している。

このプロジェクトにおけるRimensbergerの指導教官Tobias Güntherによると、膨大なデータを解釈してシミュレーションを作りだすために今使っているアルゴリズムが、とても遅すぎる。今は、その改良に取り組んでいるところだ。でも、時間条件がゆるい利用目的なら、現状でも十分使える、と。

彼らがETH Zürichの視覚化コンテストのために作成したペーパーの全文が、同大学のWebサイトにある。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

NASAが作った雪の結晶が解けていくシミュレーションは嵐の予報に役立つだけでなくとても美しい

雪については、まだ分かってないことが多い。それはどこから来るのか? どこへ行くのか? どんな味がするのか? これらの疑問に、一応の答はあるけれども、もっと複雑な疑問もある。顕微鏡的な微細なレベルでは、空中の雪はどのように解(溶)けるのか? それが、NASAのあるプロジェクトのテーマで、その結果は実用的であると同時に美しい

雪は、天候というシステムの重要な要素だ(雪氷圏(cryosphere)という言葉をご存知だったかな?)。そして、雪が形成され解けていく過程は、気象学者が、たとえば嵐やその激しさを予報するのに役に立つ。でも雪について知るためには、雪片を手のひらに取って、それを見つめているだけではだめだ。どんな研究でも、それを正しく理解するためには現象の数学的モデルが必要だ。

Jussi Leinonenは、NASAのジェット推進研究所で長年、この問題に取り組んできた

“解けていく雪のモデリングに関心があった。それがわれわれの遠隔感知機器の観察に与える影響を、知りたかったからだ”、と彼は最近のリリースで言っている。天候のパターンを理解し予測できることは、もちろんロケットの打ち上げにも関係がある。

Leinonenがもたらしたものは、雪片の解ける様相や要因の正確なモデルだ。それを雪片のタイプごとに、温度の違いごとに、解け方の状態ごとに作っていく。そのベーシックなバージョンは: 雪片の凹面に水が集まってそこが液体になる。その小さな湖が広がり、やがて氷の結晶全体を覆い、核を包む。そしてそれもやがて解ける。

と書いてしまうと単純だが、Leinonenのモデルはきわめて詳細で、雪片の形の違いや塊りの違いによる解け方の違いも表している。それを3Dで視覚化した映像(下図)は、とても美しいだけでなく、とても正しく見える。

正確なモデルがあれば気象学者は、雪や雨のさまざまなタイプを分析でき、それらが、どんな条件下でどう振る舞う、ということも分かる。またそれらの違いがレーダーのどんな画像になるかも、詳細に分かる。

雪片が解けていく様子を高解像度で映像化した動画は、スクリーンセーバーとしても人気が出そうだ。ただしLeinonenが作ったのは、Geophysical Researchに載った研究論文のみだけど。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

小鳥と天候観測装置と私:訓話

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

それは2羽の小鳥から始まった。

4月以来スズメの一家が我が家の寝室の窓の外の雨どいの中に巣を作った。最初、小鳥たちは幸せそうなつがいだったが、何週間も経つ頃には味気ない、壊れたおもちゃか退屈した子供を思い起こさせるピーピー声を発するようになった。ピーピー声が際限なく続く中、朦朧とした頭の半分はまだ夢を見ているような状態でよく目を覚ましたものだ。

その小鳥たちは排水口の中にいたので、雨が嫌いだった。それで、私はいつ雨が降るのか、そしてついには鳥たちを巣から追い出してくれないかと思うようになった。雨が降って鳥が静かだと私はご機嫌だったが、それは長続きせず、鳥たちは戻ってきた。それで私は雨が降るかどうか、毎日知りたいと思うようになった。

まあ、これは現代人にとっては簡単なことだろう。

「スマホに聞いてみたら」と妻が言った。「鳥は気にならないわ、可愛いし」

その鳥は可愛くなかった。実際、その鳥たちは本当にきれいな鳥を追い払っていしまった。以前は明るい色彩のカーディナルなどが毎年夏になれば現れてテレビアンテナにとまって鳴いていたのだが。

私はSiriを呼んで尋ねた。

「今日、雨降るかな?」

「今日の予報では雨は降りません」とSiriは答えた。

しかし、それでは本筋を外しているというべきだろう。つまりアプリをチェックしたかった訳ではないのだ。いつ雨が降るのか予測をしたかったのだ。そして、その予想を持ってすれば、自分の睡眠が鳥どもの激しいわめき声に妨害されるかどうか真に予測できるというものだ。私は自分のことは自分でやりたかった、つまり自然のままの人間対自然のままのイライラ、と言う訳だ。でも気象学を勉強したい訳でもなかった。

鍵となるのは天候測定装置を設置することだと考えた。そのような装置なら色々見たことがあった。それらは屋外に設置するセンサーと屋内に設置するディスプレーから構成されている。しばらくの間そのようなものを使っていたことがあった。私の最初の「天候測定装置」は単に屋外の温度を測定し最高気温と最低気温を記録するだけのものだった。ちょうど鳥たちがやってくる前の、先の2月に故障し、何か替わりが欲しいと思っていたところだったのだ。
IMG_9052
最初に試してみたのが「Acu-Rite 5-in-1 Color Weather Station」というモデルでデータは「カラー」のタブレット状のスクリーンに表示された。カラースクリーンというのはちょっとごまかしで、実は測定値はポケット電卓でよくあるような液晶表示だ。149ドルにしてはよく出来ていて降水量、気圧、気温、風速、そして体感温度を測定可能だ。しかしながら、その装置は単刀直入に雨を予報することはしなかったが、私の気圧を読む能力(というほどでもないのだが)により、雨が到来を察知することができた。つまり、雨が近づいてくると気圧が低下する傾向があるということだ。

2番目に試したモデルは最初のものよりずっと多機能なモデルだった。「Ambient Weather WS-1001-WiFi Observer」という機種で、WiFiに接続して測定データをWundergroundという、人気の気象情報を扱う独立系サイトに送信する。スクリーンは小さなタブレット状で驚くほどの量の情報や明瞭な気圧の変化を示すグラフなどを表示する。このモデルも先と同様に降雨量、気温、湿度を測定する。とりわけ素晴らしいのは、このモデルは屋内用無線温度計が付随するのでガレージや地下室の状況をモニターすることが可能だ。このモデルであれば天気を予測し鳥達を追い払うという目標にぐっと近づくことができるのではないかと思えた。
IMG_2850
お天気コミュニティーでの良い市民たるべく、私は自分のシステムをインターネットに繋げて、取得したデータをお天気コミュニティーの同志と共有した。まさに猫好きが猫動画を共有するが如くだ。これで怖いものなしだ。

今回試した2つのモデルは両方ともボート型のセンサーアレイが付属する。そこには小型の風速測定用カップと、内蔵電池に頼らないで電源供給ができるようソーラーパネルが付いている。興味深いことにAmbientの方は充電池が付随し、Acu-Riteの方は2年間電池が持つらいしい。私がセンサーを設置していると隣人がフェンスの方まで歩み寄ってきて、屋根に何を設置したのか聞いてきた。

「寝室からあれが見えるんだけど」と彼女は言った。私は、あれにはカメラは内蔵されていないことを保証しなくてはならなかった。彼女は完全には納得していないようだったが、何とか尋問を取り下げてくれた。

しかしながら、両方のモデルともに、一番の問題はセンサーアレーの設置だろう。高い位置に設置しなくてはいけないが、我々にとってそのような唯一の場所は、ブルックリンの小さなガレージの屋根の上だった。センサーを設置するためには、旗を垂直の壁に立てるのに使う旗立を購入し流用した。壁の代わりに、その旗立をガレージの屋根にネジで据え付け、近所の人がくれた金属棒を穴に差し込んだ。こうして、若干不安定だがまずまずの強度のセンサーアレー用のスタンドができた。センサーは時間とともにやや傾いてきたが、落ちてはこなかった。

私の壮大な天気予測実験は1週間が経過し、鳥は相変わらずピーチクと鳴き続け、計測結果を理解し気に留めているのは私だけであった。非常に一般的な意味では雨を予報することはできたが、私はむしろ収集したデータに魅了されていた。 自らを定量化する時代に、私には定量化するガレージがあるのだ。その情報は何者にも束縛されず、エキサイティングで、当のうるさい小鳥たちとはほぼ何の関係もないものだった。

居間にいると妻が怒ってぶつぶつと言った。

「あなたのご立派な機械に、今日雨が降るかどうか聞いてみてくれる?」と彼女は台所からどなった。妻は測定値を見ていた。

「さあね」私はどなり返した。

そして、私はSiriに囁いた。

「雨、降るかい?」と私は聞いた。

「今日の予報では雨は降りません」とSiriは言った。私は音声を落とした。

私は台所に行き気圧計を指差した。

「今日はふらないね」と、私は勝ち誇ったように言った。

春の太陽が排水管の忌々しい小さな巣を乾かし、鳥たちのさえずりが、飽くことなく単調かつ執拗に続いている以外は、空は澄み渡り雨ははるか彼方に押しやられているのだった。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

[原文へ]

(翻訳:Tsubouchi)

スポーツのための天候情報をクラウドソーシングするgoFlowが対応種目を増やしシード資金を獲得

goFlowは、お天気が気になるスポーツやイベント、スキーやスノーボードなど用のお天気情報を、ユーザがアップロードした情報から教えてくれるアプリだ。ファウンダのRoni Eshelはプロのサーファーで、昨年は世界中から100万件あまりのサーフ情報がこのアプリから生まれた、と言っている。

今度からこの’goFlow Sports’は、新たに10種類のアクティビティをサポートする: サーフィン、降雪、パドルボード、釣り、ダイビング、サイクリング、カイトサーフィン、ボート、ゴルフ、そしてスケボー。

しかも同社は、50万ドルのシードラウンドを終了した。そのラウンドをリードしたのはAngels Shalev Hulio、Omri Lavie、NSOグループのファウンダたち、それにKaymeraだ。また、RhodiumのDaniel RecanatiとWidgetlabsのMehrdad Piroozramも投資に参加した。

競合製品の多くは、カイトサーフィンならカイトサーフィンだけ、というように一種目限定だ。たとえばカイトサーフィンならWeendy、サーフィンならSurfr、釣りならFishbrain、というぐあいに。

goFlowは10種目で利用でき、いろんな人たちからの天候情報を利用できる。GPS対応の地図表示機能や、非公開のグループチャット機能もある。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa