ソーラールーフタイルで家を仮想電力会社にするSunRoofが約5.9億円調達

SunRoof(サンルーフ)は、巧妙なアイデアを思いついた欧州のスタートアップだ。同社は、太陽光で発電する独自のルーフタイル技術を持つ。さらに、ルーフタイルを使う家をつなげて一種の仮想発電所を構築し、住宅の所有者が余剰エネルギーをグリッドに売却することを可能にする。

同社は、Inovo Venture Partnersがリードし、SMOK Venturesが参加した450万ユーロ(約5億9400万円)のラウンド(シード延長)をクローズしたばかりだ(200万ユーロ、約2億6400万円はコンバーチブルノートで調達した)。他の投資家には、LT Capital、EIT InnoEnergy、FD Growth Capital、KnowledgeHubが含まれる。

スウェーデンを拠点とするSunRoofのアプローチは、同じくソーラールーフタイルを展開するTesla Energy(テスラエナジー)を彷彿とさせる。テスラはクローズド(閉じた)エネルギーエコシステムを運営しているが、SunRoofは複数のエネルギーパートナーと協力する計画だ。

SunRoofは2020年、この「仮想電力会社」の実現に向け、再生可能エネルギーシステムRedlogger(レッドロガー)を買収した。SunRoofのCEOはシリアルアントレプレナーのLech Kaniuk(レック・カニューク)氏で、以前はDelivery Hero、PizzaPortal、iTaxiに在籍していた。

SunRoofのプラットフォームは、従来の太陽光発電モジュールなしで発電する2-in-1ソーラールーフとファサードで構成され、1.7平方メートルの大きなガラス板2枚に挟まれた単結晶太陽電池を使用する。表面積が大きく、接続部分が小さいため、安価で迅速に屋根をふくことができる。

同社は住宅所有者に、Redloggerのインフラで太陽光を管理するエネルギーアプリを提供する。

テスラのAutobidder(オートビッダー)は、屋根から得られるエネルギーを管理する取引プラットフォームだが、閉じたエコシステムだ。対照的に、SunRoofは複数のパートナーと連携する。

カニューク氏は次のように述べる。「SunRoofを創業したのは、機能やデザインを損なわずに、再生可能エネルギーへの移行を容易にするだけでなく費用対効果の高いものにするためです。私たちはすでに前年比で500%以上成長しており、今回得た資金によって成長を加速させます」。

Inovo Venture PartnersのパートナーであるMichal Rokosz(マイカル・ロコズ)氏は次のようにコメントした。「太陽エネルギーの市場は活況を呈しており、2026年までに3340億ドル(約36兆円)に達すると推定されています。統合されたソーラールーフの技術は変曲点を超えました。新しい家をソーラーソリューションとともに建てることは、消費者にとって経済的にも難しいことではありません。従来の屋根とソーラーパネルのハイブリッドに比べ、エレガントで効率的な代替品として、サンルーフは明らかに際立っています。ソーラールーフのブランドの1つになるチャンスがあり、クリーンテクノロジーをより幅広い顧客層へアピールします」。

SunRoofのチームには、共同創業者のMarek Zmysłowski(マレク・ズミスロースキー氏、以前はJumia TravelおよびHotelOnline.coに在籍)、元Google幹部のRafal Plutecki(ラファル・プルテクスキー)氏、元Tesla ChannelセールスマネージャーのRobert Bruchner(ロバート・ブルックナー)氏もいる。

スウェーデン、ドイツ、ポーランド、スイス、イタリア、スペイン、米国で事業を拡大する計画がある。

カテゴリー:EnviroTech
タグ:SunRoof太陽光発電資金調達

画像クレジット:SunRoof

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(文:Mike Butcher、翻訳:Nariko Mizoguchi

豊田中央研究所が36cm角実用サイズ人工光合成セルで世界最高の太陽光変換効率7.2%を実現

豊田中央研究所が36cm角実用サイズ人工光合成セルで世界最高の太陽光変換効率7.2%を実現、植物を大きく上回る

36cm角の人工光合成セル

トヨタグループの豊田中央研究所(豊田中研)は4月21日、太陽光のエネルギーを利用しCO2(二酸化炭素)と水のみから有用な物質を合成する人工光合成について、実用太陽電池サイズ(36cm角)セルで実現し、同クラスでは世界最高の太陽光変換効率7.2%を達成したと発表した。将来的には、工場などが排出するCO2を回収し、この人工光合成で再び資源化するシステムの実現を目指す。

豊田中研の人工光合成は、半導体と分子触媒を用いた方式でCO2の還元反応と水の酸化反応を行う電極を組み合わせ、常温常圧で有機物(ギ酸)を合成するクリーンな技術。

2011年、豊田中研による世界初の原理実証時には太陽光変換効率は0.04%だったという。しかし2015年には、1cm角サイズで、植物を大きく上回る変換効率4.6%(当時の世界最高)を実現した。

また人工光合成セルの社会実装には、変換効率を低下させず実用サイズに拡張することが必要が必要となるものの、技術的には困難とされてきたという。

そこで人工光合成の基本原理はそのままに、太陽光で生成した多量の電子を余すことなくギ酸合成に使用する、新しいセル構造と電極を考案した。その特徴は、太陽電池で生成した電子量とのバランスが良いサイズに電極面積を拡張するとともに、ギ酸合成に必要な電子、水素イオン、CO2を電極全面に素早く途切れることなく供給し、ギ酸合成を促進するものとしている。

36cm角実用サイズ人工光合成セル

人工光合成の基本原理

その結果、36cm角の実用サイズで、同クラスでは世界最高の変換効率を実現した。新セル構造は、より大きなサイズにも適用できるとしている。

36cm角実用サイズ人工光合成セル

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タグ:人工光合成(用語)炭素 / 二酸化炭素(用語)太陽光 / 太陽光発電 / 太陽電池(用語)豊田中央研究所(組織)日本(国・地域)

再生可能エネルギーSwell EnergyのNY新規プロジェクトは調達した490億円の用途を示す

2020年12月、Swell Energy3つの州における分散型電力プロジェクトの開発を支援するために、4億5000万ドル(約490億円)を調達すると発表した。そして今、ベンチャーにより支援された同社とニューヨーク市の電力会社ConEdとの契約が発表されたことで、これらのプロジェクトがどのようなものになるのか、業界関係者の目に触れることになった。

関連記事:住宅用再生エネルギー推進のSwell Energyが分散型電力プロジェクト建設に向け470億円調達

ロサンゼルスに本社を置くSwell EnergyはConEdと共同で、クイーンズの住宅所有者を対象に太陽光発電とエネルギー貯蔵を組み合わせた新しいプログラムを展開する予定だ。

これはConEdの顧客を対象に、太陽光発電を利用した家庭用バッテリーを設置するプロジェクトだ。

ニューヨーク州は2040年までに州全体の電力網をゼロエミッションにすることを目標に、2030年までに3GWのエネルギー貯蔵設備を導入することを目指している。

ConEdプロジェクトでは、ニューヨーク市はクイーンズの顧客がエネルギーグリッドのリソースから独立して利用できるバックアップ電力を利用できることを望んでおり、これはエネルギー貯蔵設備を持たない顧客の電力を確保することになる。

プロジェクトに参加する住宅所有者は、システムのコストを下げるためのインセンティブを受けることができる。システムは当初はフォレストパーク、グレンデール、ハンターズポイント、ロングアイランドシティ、マスペス、ミドル・ビレッジ、リッジウッド、サニーサイド、クイーンズの近隣地域の一部住民を対象としている。

Swellの広報担当者によると、ニューヨークのバーチャルパワープラントは同社の他の取り組みとは異なり、ネットワークの過負荷時に顧客の電力需要を減らすために、グリッド上の特定の配電回路に空き容量を提供するという。

バーチャルパワープラントの導入により、ConEdは新たな送配電インフラを構築する必要がなくなり、ネットワークの信頼性を確保することができる。Swellの広報担当者によると、これは需要の問題に対する「ノンワイヤーソリューション」と呼ばれるものだという。

対照的に、Swellのハワイでのプロジェクトはシステムレベルの容量と周波数調整を提供し、Southern California Edisonとのカリフォルニアでのプログラムは、ベースロード時のエネルギー管理と操業地域の全体的な負荷増加のための需要応答能力を提供する。

カテゴリー:EnviroTech
タグ:Swell Energy再生可能エネルギー太陽光発電エネルギー貯蔵電力網

画像クレジット:Don Emmert / Getty Images

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(文:Jonathan Shieber、翻訳:塚本直樹 / Twitter

テスラが第4四半期の決算を発表、蓄電池・太陽光発電事業に急成長の兆し

Tesla(テスラ)が最新の決算報告書を発表した。そこには蓄電池と太陽光発電に対するElon Musk(イーロン・マスク)氏の賭けが実を結び始めていることが示されている。

蓄電池事業はこの第4四半期に同社の攻撃的戦略における主役となり、四半期ごとの前年同期比成長率は200%に近づいている。テスラは株主向けプレゼンテーションで「(蓄電池事業の)市場展開は2019年から2020年にかけて大幅に成長しました。当社の蓄電池の総配備量は初めて単年度で3GWhを超え、前年比83%増となりました」と述べている。

太陽光発電事業にも陽光が射し込んだ。年間の太陽光発電の設置量は205MWに増加し、前年比18%増となった。「この成長は製品の簡素化、コスト削減、業界をリードする価格設定など、当社の太陽光発電設備戦略を大幅に改善した結果です」とマスク氏は語った。

Teslaの第4四半期における発電・蓄電事業の収益は7億5200万ドル(約784億円)と、前年同期の4億3600万ドル(約455億円)、第3四半期の5億7900万ドル(約604億円)から増加した。

これは、Teslaの電力事業における急成長の始まりに過ぎないと思われる。同社は長い間、世界最大の電力会社や公益事業会社の1つになりたいと公言しており、世界中の資本が再生可能エネルギーへのシフトを促進するために資源を集めている。

バイデン政権の再生可能エネルギー計画が、その目標に向けて太陽光発電の開発や建造を劇的に推し進めることで、Teslaは大きな恩恵を受ける可能性がある。この大規模なインフラ投資では、再生可能エネルギーを蓄えるために大容量のバッテリーが必要になるだろう。また、大規模な太陽光発電設備も必要になるだろう。

米連邦政府が再生可能エネルギーに資金を移す間にも、民間資本が太陽光発電やエネルギー貯蔵を劇的に後押しするために流入してきている。

先週だけでも、投資家は住宅所有者に太陽光発電設置やオール電化リフォームのために資金を貸す企業に、20億ドル(約2085億円)近くを投入した。SolarCity(ソーラーシティ)の元幹部が設立したある会社は、8億ドル(約834億円)の資金を調達したと米国時間1月27日発表したばかりだ。

少なくとも、これらの資金の一部は、テスラの蓄電池事業と太陽光発電設置事業のキャッシュレジスターを鳴らすことになるだろう。

関連記事:バイデン次期大統領の気候変動対策はグリーンニューディールに依存しない

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タグ:Tesla太陽光発電イーロン・マスク再生可能エネルギー決算発表

画像クレジット:Patrick T. Fallon / Bloomberg / Getty Images

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(翻訳:TechCrunch Japan)

ワイヤレス充電技術のPowermatが太陽光発電設備を自律ロボで掃除するJetsons Roboticsと提携、産業用アプリ進出を目指す

設立して2年になるインドのJetsons Roboticsが、屋上に設置された太陽光発電設備の自律型清掃ロボットのために充電ステーションの設計を手助けしてくれるパートナーを探し始めたとき、イスラエルのPowermatを選んだのは自然なことだった。

Powermatは家電製品のワイヤレス充電技術の設計で名を成したが、2年ほど前から、より多くの産業用アプリケーションに焦点を移していたのだ。そのため、同社の充電技術の新しいフォームファクターとアプリケーションについて、Jetsons Roboticsと協力することは理に適っていた。

実際、当初Powermatが獲得したいと考えていた消費者市場は、その時点で広くコモディティ化していたため、同社は新たな方向性を求めていた。

Jetsons RoboticsのCEOであるJatin Sharma(ジャチン・シャーマ)氏によると、企業が屋上に設置する太陽光発電設備の清掃には高いコストがともない、年間10万ドル(約1035万円)から50万ドル(約5175万円)かかるという。人間の労働力の代わりにロボットを使用することでコストを節約できるが、同社が構築しようとしている自律的なソリューションには、ワイヤレス充電ドックのようなものが必要だとシャーマ氏は述べている。

接触充電システムでは、屋外環境では不確定要素が多すぎたが、インダクティブ充電器ではコストがかかりすぎた。同社がPowermatと協力してソリューションを開発するまでは、このような問題を解決することはできなかったとシャーマ氏は語った。

ムンバイを拠点とする100X.VCの支援を受けたシャーマ氏のロボットは、すでに毎日約1.7メガワットに値する太陽光発電設備の清掃を行っている。

Powermatにとって、このソーラー清掃ロボットは、同社の新しい産業分野への注力を示す良いテストになるとCTOのItay Sherman(イタイ・シャーマン)氏はいう。

「これを市場の成熟化として見ることができます」とシャーマン氏は語る。「Powermatはワイヤレス技術を推進するパイオニアでした。その市場は成熟しつつあり、技術とイノベーションが重要な市場へと移行しています。私たちは、これらの新興市場に努力をシフトすることにしました。ロボティクスはその1つ、そして医療機器、IoT、自動車市場にも注力していきます」。

カテゴリー:ハードウェア
タグ:PowermatJetsons Roboticsワイヤレス充電太陽光発電

画像クレジット:Powermat

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(翻訳:Nakazato)

Sono Motorsがソーラーカー技術を自動運転シャトルバスのEasyMileにライセンス供与

Sono Motorsは、ソーラーカー用に開発した技術をもっと広く普及させたいと考えている。そこで同社はまず、自動運転のシャトルバスサービスであるEasyMileとパートナーシップを結んだ。

ドイツのスタートアップSono Motorsは、バーチャルで行われているCES 2021で米国時間1月12日にプレゼンテーションを行い、同社の自動車ボディ用ソーラーパネルの技術をライセンス提供したい、と述べた。EasyMileは政府機関や大学、一般企業などに電動車による自動運転シャトルバスを提供しており、Sono Motorsのソーラーボディパネルを使用する最初の企業になる、とSono Motorsの共同創業者でCEOのLaurin Hahn(ラウリン・ハーン)氏は述べた。発表では、同社の次世代ソーラー電気自動車Sionも紹介された。

Sono MotorsのEVであるSionは、遠目からだと黒い塗装のコンパクトカーのように見える。しかし近くで見ると、車両のエクステリア全体が、ガラスの代わりにポリマーに組み込まれた数百の太陽電池から構成されている。

Sono Motorsのソーラーインテグレーション担当上級マネージャーであるArun Ramakrishnan(アルン・ラマクリシュナン)氏によると、この技術により同社の車両は市場で現在利用可能な他のどの技術よりも軽く、頑丈かつ安価で効率的になるとのこと。また、このソーラーインテグレーション技術は、クルマ以外にも活用できるという。

ボディパネルは、他社の自動車のボディパネルに比べて軽量で、ポリマーのコーティングによりセルが裂けることを防いでいる。これらのソーラーセルが太陽光をエネルギーに変換し、クルマのバッテリーに保存する。ソーラーセルは運転時と駐車時に使用でき、ミュンヘンの平均的な天候だと1日の走行距離を約35km延長する。

ハーン氏によると、その目的は充電インフラへの依存度を下げることだという。

画像クレジット:Sono Motors / スクリーンショット

ソーラーパネルは、従来の充電方法に取って代わるものではない。しかし、プラグを差し込む頻度を減らすことができる。Sono Motorsによると、Sionにソーラーパネルを搭載したことで、ドイツにおける毎日の平均通勤距離10マイル(約16.1km)を走ったとして、充電の必要性が1週間に1回から4週間に1回になったという。

Sono Motorsは米国時間1月12日に、この技術のユースケースの1つであるソーラーパネルを搭載したトレーラーを披露した。トレーラーはプロトタイプで、1日に最大80kWhの発電能力がある。

「大きな可能性を想像してみてください」とラマクリシュナン氏。この技術は冷蔵トラックやその他の車両にも利用できるという。

カテゴリー:モビリティ
タグ:Sono Motors太陽光発電電気自動車CES 2021

画像クレジット:Sono Motors

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa