高知高専が中学生対象に情報セキュリティの技量・知識を競うクイズ形式CTFコンテストを9月4日オンライン開催

  1. 高知高専が中学生対象に情報セキュリティの技量・知識を競うCTFコンテストを9月4日にオンライン開催

高知工業高等専門学校(高知高専)は8月12日、中学生を対象とした、クイズ形式の問題を解くことで情報セキュリティの技量や知識を競う「高専に挑もう! 中学生向けCTFオンラインコンテスト」を9月4日に開催すると発表した。参加費は無料。オンラインなので、インターネットに接続できる環境があれば、全国どこからでも参加できる。

CTFとは、もともと旗を取り合う陣取りゲーム「キャプチャ・ザ・フラグ」(Capture The Flag)のことだが、それが転じて情報セキュリティー分野では、「フラッグ」と呼ばれる隠された文字列やサーバーの権限を奪い合って得点を競うゲームの総称として使われている。ゲームを通じて、情報セキュリティーやハッカー攻撃からの防御法などを学ぶことが目的。

高知工業高等専門学校は、日本で唯一「情報セキュリティーコース」のある国立高専だ。国立高等専門学校機構が推進する「高専発!『Society 5.0型未来技術人財』育成事業」のプロジェクトのひとつ「COMPASS 5.0」(次世代基盤技術教育のカリキュラム化)のサイバーセキュリティー分野で中核拠点校にもなっている。このイベントは、高知高専が2020年から実施しているもので、中学生向けに同校の教員や学生が作った問題や、高知や高知高専にちなんだご当地クイズなどが出題される。

2020年のコンテストの様子(写真は井瀬潔校長)

2020年のイベント中継画面

高知高専は、これからの社会の変化と時代のニーズに対応できる人材を育成する1学科制の高等専門学校。1・2年次では、教養科目・専門基礎科目・実験実習で基本力を身に付け、3年次からは専門分野5コースのいずれかに進み、コアな専門分野と多面的な知識を融合、幅広い学識・技術が活かせるハイブリッド型の人材を育成している。自らの力で新しい社会をデザインする「みらい人」の輩出を高知高専は目指している。

「高専に挑もう! 中学生向けCTFオンラインコンテスト」概要

  • 開催日時:2021年9月4日10:00~12:00
  • 対象:中学1~3年生(全国から参加可能)
  • 参加費:無料(通信費は各自負担)
  • 表彰:ゲーム終了後、高得点者のユーザー名・得点をオンラインで発表
  • 申込方法:高知高専ウェブサイトのイベント情報ページ(下記)から申込フォームに記入
    <申込必要項目> 氏名、フリガナ、郵便番号、都道府県、住所、電話番号、学校名、学年、当日使用するユーザ名、当日使用する機器の種類
    ※申込には保護者の承諾が必要
    イベント情報ページ:https://www.kochi-ct.ac.jp/event/archives/165
    ※ 申込多数の場合は先着順
  • 申込期間:2021年8月1日~25日17:00まで
  • 推奨環境:
    <ハードウェア> PC、タブレット、スマートフォン
    <ソフトウェア> Microsoft Edge、Google Chromeなどのウェブブラウザーがインストールされていること

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メルカリCEO山田氏がダイバーシティ&インクルージョン推進財団設立、高校入学時点で理系を目指す女性100名に奨学金支給

メルカリCEOの山田進太郎氏が財団設立、高校入学時点で理系を目指す女性100名に奨学金支給

メルカリ代表取締役CEOの山田進太郎氏は、ダイバーシティ&インクルージョン(D&I)を推進していくため、「山田進太郎D&I財団」を7月1日に設立したと発表した。第1弾として、「高校入学時点で理系を目指す女性」最大100名に対して奨学金を支給するプログラムを開始する。今後総額30億円を財団に寄贈し、D&I推進のための取り組みを行う。第2弾以降のプロジェクトとしては、第1弾の対象ではない高校へ進学した・する方も対象にできるように検討中という。

また、理系に興味のある女子中学生を対象に、理系職で活躍する女性研究者や起業家が登壇するオンラインイベントを8月22日に開催する。

メルカリCEOの山田進太郎氏が財団設立、高校入学時点で理系を目指す女性100名に奨学金支給

山田氏は、これまで企業活動を通じてD&Iの推進に取り組んできたものの、中長期な取り組みは営利企業では難しいことも多くあると感じ、一般財団法人を設立したという。ジェンダー・人種・年齢・宗教などに関わらず誰もが自身の能力を最大限に発揮できる社会の実現を目指すとしている。

同財団は、初の取り組みとして、理系職種が男性に偏り、国内の女性エンジニア比率は20%にとどまる(情報サービス産業協会「2019 年版 情報サービス産業 基本統計調査」)などジェンダーバランスが崩れているという課題に注目。この背景には、日本の大学における理工学系女性比率が18.15%とOECDの中でも最低という現状がある(令和2年度 文部科学省 学校基本調査 関係学科別 大学入学状況より)。また、中学生時点では理系科目の成績の男女差はないにも関わらず、周囲の反対やロールモデルの欠如から、進学時に文系を選択する女子学生が多くなっているという。

このような状況をふまえ、同財団は、中長期的な課題解決として中高生教育の時点で理系を選ぶ女子学生の増加に取り組む。目標として、大学における理工学部系の女性比率を2035年までに28%まで伸ばすことを目指す。

「高校入学時点で理系を目指す女性」100名に対して奨学金を支給

第1弾として「高校入学時点で理系を目指す女性」100名に対して奨学金を支給するプログラムを開始する。これにより、理系科目が好き・得意、あるいは理系職種に興味があるにも関わらず、周囲の環境からイメージがつかめない、または金銭的な問題で諦めているなどの女子学生が自身の可能性を広げるために理系を選ぶことを後押しする。

同奨学金プログラムでは、応募・選考・支給などのプロセスを極力オンライン化することで、劇的な効率化を目指し、将来的には常時1000名以上への支給を目指す。

また、より多くの方に興味を持って気軽に応募できるよう、能力主義ではなく抽選制で支給者を決定する。応募のハードルを下げるため、面接も行わない(ただし、多様性などの観点から調整を行う可能性はある)。

奨学金募集概要

  • 募集期間:2021年8月4日~9月30日
  • 対象高校:日本国内の高等学校理数科、令和3年度スーパーサイエンスハイスクール指定高等学校、または高等専門学校を受験し入学予定(中学校からの内部進学者を除く)
  • 選考方法:選考は書類審査と抽選により実施。抽選では、同財団が掲げるミッションであるD&Iなどの観点から調整を行うことがある
  • 支給金額:国公立学校25万円(年額)、私立学校50万円(年額)
  • 支給方法と時期:2022年5月頃、指定の口座への振り込みを予定。最大高校在学中の3年間、高専在学中の5年間の支給(ただし継続審査を行う)
  • 採用人数:最大100名程度
  • 応募方法:財団サイト上の「エントリーフォームより応募
  • その他支給条件:他の奨学金との併用可。休学・復学・転学・退学や、停学・除籍等の処分を受けた際、正規の最短修業年限での成業の見込みが立たなくなった場合等は給付を中止することがある。負傷、疫病などで就学が困難になった場合や、氏名・住所・電話番号・メールアドレスなどの重要事項に変更がある場合には必ず問い合わせフォームより連絡

オンラインイベント概要

  • タイトル:活躍中の先輩が語るSTEM(理系)の面白さ
  • 日時:2021年8月22日17:00〜18:00(オンライン)
  • 対象:理系に興味のある女子中学生
  • 参加料:無料
  • 内容:第1部は「理系職先輩のパネルディスカッション&QA」。登壇者は、スプツニ子!氏(アーティスト/東京藝術大学デザイン科准教授)、高橋祥子氏(ジーンクエスト代表取締役社長/ユーグレナ執行役員、農学博士(生命科学分野))、大隅典子氏(東北大学副学長・附属図書館長・大学院医学系研究科教授)、山田進太郎氏(同財団代表理事/メルカリ 代表取締役CEO)。第2部は奨学金の概要、第3部は事務局QA
  • 申し込み:「8月22日【女性中学生向け】オンライン配信イベント開催のお知らせ」より応募(学校推薦は不要)

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全国14の教科書出版社と提携、有償導入600校超の中高生向けデジタル教材・問題集「リブリー」が資金調達

全国14の教科書出版社と提携、有償導入600校超の中高生向けデジタル教材・問題集「リブリー」が資金調達

デジタル教材とAIドリルの特性を併せ持つデジタル教材プラットフォーム「リブリー」を展開するLibryは7月21日、グロービス・キャピタル・パートナーズ、凸版印刷などを引受先とした第三者割当増資による資金調達を実施したことを発表した。調達金額は非公開。

「一人ひとりが自分の可能性を最大限に発揮できる社会をつくる」をビジョンとするLibryは、2017年にプラットフォーム「リブリー」をリリース。ひとつの端末で複数の教材や問題集を管理でき、学習履歴に基づいた「類似問題」機能などで、生徒ごとの学習状況や理解度に合わせた個別最適化学習を行うというものだ。同時にLibryは、全国14の教科書出版社と提携し、数学、物理、化学、生物、地学、英語の教科書と問題集260冊をデジタル化して提供している。特に高校理数科目では、教科書会社5社中の4社と提携しているという。有償導入している学校は全国600校以上。2022年には複数の出版社が「リブリー」上でデジタル教科書の提供をすることになっている。

今回の資金は、次の目的に使われる。

  • 営業体制の強化による導入校数の拡大
  • 操作性の高いUIへの改善およびカスタマーサクセス体制の強化による顧客の活用促進
  • 「生きるチカラを育むデジタル教科書」に向けた新機能開発
  • 地理・歴史・公民科目など、対応科目の拡張に向けた新機能開発

2012年5月設立のLibryは、共同創設者で代表取締役CEOの後藤匠氏と取締役テクリードの中村文明氏が東京工業大学在学中に立ち上げたスタートアップ。その成り立ちから今日までの記録が、「note」の記事で紹介されている。

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基礎研究を応援するANRIが給付型奨学金プログラム「ANRI基礎科学スカラーシップ」第4期生募集開始

「未来を創る」起業家の支援を行うANRIは、特に研究開発型の大学発スタートアップを支援する中で、すぐに利益を生むことはないものの科学技術の発展には欠かせない基礎研究に資金が集まりづらく、学生には厳しい環境が続いていると感じていた。そこで、給付型奨学金プログラム「ANRI基礎科学スカラーシップ/The ANRI Fellowship」を立ち上げることにしたという。第4期となる今回は、奨学金受給希望者を最大10名募集している。

ANRIのジェネラル・パートナー、鮫島昌弘氏はこう話す。
「基礎研究すぎる? 成果が出るまで時間がかかる? 誰のためになってるの? そんな批判はもういいじゃない。自分がやりたい研究をトコトンやってほしい。もし君が周りからなかなか評価されずに暗闇の中でもがいているなら、僕らが小さなロウソクになれれば嬉しいなと思います」

「ANRI基礎科学スカラーシップ」の主な内容

  • 支給金額:1人あたり50万円(採択より1年間)
  • 募集対象:数学や物理学、生物学、化学などの分野において優秀な成績を収めた学生(年齢制限なし)
  • 募集人数:10名まで
  • 選定方法:書類選考。必要に応じて面接も実施
  • 応募締め切り:2021年8月31日
  • 発表:10月末ごろ
  • 応募注意事項:ANRIが提供可能な資料は「ANRI学生向け研究費支給通知書」「寄附金申込書」「研究費使用規定」の3点のみ

応募はANRI基礎科学スカラーシップ/The ANRI Fellowship」第4期生 応募フォーム」から。

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中央大学とスクエニが「特殊講義(ゲームプランニング)」を国際情報学部で開講

 

  1. 中央大学とスクエニが「特殊講義(ゲームプランニング)」を国際情報学部で開講

スクウェア・エニックス中央大学は4月8日、「特殊講義(ゲームプランニング)スクウェア・エニックス協力講座」を開講すると発表した。同講座は、2021年9月より国際情報学部の開講科目として実施する。教養豊かな国際的人材育成を目的として2018年に締結した、人的・知的資源の交流と活用を図る連携協定に基づくものという。

プログラミングやグラフィックスといったゲーム開発固有の専門知識だけでなく、ローカライズ(翻訳と異文化対応)や人工知能、映画制作の視点からみる映像ディレクションなど、バラエティに富んだ講義をスクウェア・エニックスの現役社員が13回にわたり展開する。

中央大学 国際情報学部は、「『情報の仕組み』と『情報の法学』の融合」を理念に掲げ、2019年4月に開設された学部。国際社会が抱える情報の諸課題を多角的に分析・解明した上で、その問題の解決策を論理的に構築し、国際社会に受容される情報サービス・政策を実現できる人材の養成を目的としている。

同講座は、ITや映像制作・AIなどのコンテンツ開発技術という「情報の仕組み」と、世界市場での事業展開に不可欠な法規制・文化慣習への対応という「情報の法学」の両側面において、スクウェア・エニックスの知見を盛り込んだ実務的かつ多面的な内容としているという。

スクウェア・エニックスと中央大学は、今後も教育・研究分野において協定に基づいた相互協力を推進し、社会の発展と教養豊かな国際的人材育成に貢献する。

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女性起業家の輩出目指す、世界最大の女子中高生向けアプリコンテストTechnovation Girlsが日本公式ピッチイベント

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女性起業家の輩出目指す、世界最大の女子中高生向けアプリコンテストTechnovation Girlsが日本公式ピッチイベント

女性起業家の輩出目指す、世界最大の女子中高生向けアプリコンテストTechnovation Girlsが日本公式ピッチイベント

IT分野のジェンダーギャップの解消を目指すWaffle(ワッフル)は3月24日、世界最大の女子中高生向け社会課題解決型アプリコンテスト「Technovation Girls」(テクノベーション・ガールズ)の日本公式ピッチイベントのオンライン開催(Zoom)を発表した。開催日時は4月25日18時~20時。イベント内容は、日本出場チームによる成果物発表、授賞式、フォトセッションなどで、「Technovation Girls 2021 日本公式ピッチイベント観覧申し込みフォーム」で観覧希望者を広く募集している。

Technovation Girls日本公式ピッチイベント概要

Technovation Girlsは、米国の非営利団体「Technovation」が主催する、次世代の女性IT起業家の育成を目的としたコンテスト。2010年の開始から現在までに世界100か国以上5万人以上の女性が参加しているという。

同コンテストは、10〜18歳の女性を参加対象としており、1〜5人から編成されるチームが約3カ月間をかけて身近な課題を解決するアプリとビジネスプランの制作を行う。プログラミングなどの技術的なスキルだけでなく、社会課題の解決のためのアイディアや、ピッチ(プレゼンテーション)スキル、起業家精神などをチーム形式で競うという。また同イベントの公用語は英語で、公式の情報提供から提出物への記載に至るまで、すべて英語で実施される。

日本国内では、WaffleがTechnovation Girlsの日本公式アンバサダーとして、スポンサー企業とともに日本出場チームのサポートを行っている。各出場チームには、WaffleおよびTechnovation Girlsに賛同する2名の社会人メンターがつき、同コンテストで求められるデザイン思考やプログラミングスキルなどの習得を中心に、総合的なサポートを実施しているという。なお今回日本では、75名23チームが参加しているという。

Waffleは、IT分野のジェンダーギャップの解消を目指す非営利法人。国内の女子中高生向けにオンラインIT(コーディング)コース「Waffle Camp」(ワッフル・キャンプ)の提供、日本国内での「Technovaton Girls」(テクノベーション・ガールズ)のサポート、企業との協働による各種イベントを開催している。

Technovation Girls概要

  • 主催Technovation、Waffle(日本公式アンバサダー)
  • 日程:2020年11月〜2021年8月(予定)

実施内容

  • 2020年11月:参加登録開始
  • 12月:説明会登録および参加登録締締め切り
  • 2021年1月:チーム編成、デザイン思考ワークショップの実施
  • 2月:チームごとの社会課題と解決策の決定、プログラミング学習の実施
  • 3月:ビジネスプランの作成、アプリ開発、ピッチビデオの作成
  • 4月19日:米国本部への応募作品 提出締め切り
  • 4月25日:日本公式ピッチイベント(オンライン) 開催
  • 5月25日:ファーストラウンド審査結果発表(全体の5%)
  • 6月16日:セカンドラウンド審査結果 発表(8チーム)
  • 8月:ワールドサミット(オンライン)の開催

応募資格(日本国内)

  • 世界を変えるために成長する意欲がある
  • 2021年8月1日時点で中学2年生以上、18歳以下
  • 2021年1月から4月の3カ月間に合計30時間ほど、オンライン環境での活動時間を確保できる
  • 日本語が話せること(現時点での英語力は不問)
  • 女性アイデンティティをもつ、またはトランスジェンダー、ノンバイナリー、gender noncomformingの者

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立命館が学生向け社会起業家支援プラットフォームRIMIXを本格化、10億円規模のファンドを創設し起業を後押し

立命館は学生起業の支援に注力している

立命館は学生起業の支援に注力している

学校法人立命館は、学生起業を対象にした支援事業を本格化している。2019年に始めたばかりだが、ピッチイベントなど学生の活動にも熱を入れている。また、立命館は自らの資産だけで10億円規模のファンドを創設し、ソーシャルインパクトを踏まえて、長期的な視点で学生起業を後押ししている。この支援事業は、スタートアップのジレンマでもあるLP投資家に短期間でリターンを求められるといった構造と無縁のものだ。

社会起業家を目指す学生たちに手を差し伸べるRIMIX

「他の大学では真似できないことができるのではないか。立命館らしさを出していきたい」と立命館大学の酒井克也財務部次長兼人事部次長は語る。同氏は立命館による社会起業家支援プラットフォーム「RIMIX」の立ち上げ時から関わっている。

2019年9月にスタートしたRIMIXは「Ritsumeikan Impact-Makers Inter X(Cross) Platform」の略称となる。立命館は、立命館大学や立命館アジア太平洋大学のほか、付属の小中高、大学院まで一貫教育を行う私立総合学園だ。そのため、RIMIXの対象は主に立命館に所属する小中高大院までの学生やその卒業生となる。

同プラットフォームは、社会にインパクトを与える人=「社会起業家(Impact-Makers)」と位置づけている。単に起業家支援というよりも、教育機関としてSDGsをはじめとする社会課題を解決するために起業する学生らの支援に的を絞っており、ソーシャルインパクトをより重要視する。

またRIMIXでは、立命館で行う社会起業家を目指す人材やマインド養成から本格的な起業支援などの取り組みを、1つのプラットフォームとして見える化している。立命館のさまざまな教育プログラムを有機的に組み合わせ、ビジネスを通じて社会課題を解決するImpact-Makersを育成していく考えだ。さらにSony(ソニー)をはじめとした外部機関との連携も含め、起業までの道のりをしっかりと整えている。

ソニー×「総長PITCH CHALLENGE」

ソニーは、自社で行っているスタートアップの創出と事業運営を支援するプログラム「SSAP(Sony Startup Acceleration Program)」を通じてRIMIXと連携する。RIMIXは「総長PITCH CHALLENGE」というコンテストを主催している。学生たちは約半年間、「ワークショップ」「インプット」「ブラッシュアップ」の3段階に分けて、SSAPの支援を受けながら社会起業家を視野に入れたビジネスプランを作り上げ、ブラッシュアップしていく。

総長ピッチで学生は「起業」を学んでいった

総長ピッチで学生は「起業」を学んでいった

2020年の「総長PITCH CHALLENGE」には32チーム(87人)の応募があり、オーディション後、7チーム(17人)が最終決戦の舞台となるピッチイベント「総長PITCH THE FINAL 2020」に挑んだ。

最後のイベントとなる「総長PITCH THE FINAL 2020」は2020年12月19日に開催、その模様はオンラインで配信で配信されている。当日は、立命館大学学長も兼任する学校法人立命館の仲谷善雄総長のほか、Sony Startup Acceleration Programの副部門長小田島伸至氏、新生企業投資インパクト投資チームシニアディレクターの高塚清佳氏、ジャフコグループのパートナーである佐藤直樹氏ら、スタートアップ分野の第一線で活躍する面々を審査員に迎えた。チームにはピッチを行うための5分間と審査員による質疑応答の3分間が与えられ、それぞれのチームが努力の成果を披露した。

ここで、ファイナルの舞台に立った学生の声を紹介したい。

下着を通して性が多様であることが当たり前の世界の実現を目指す「KAKITSUBATA」の代表を務める立命館アジア太平洋大学国際経営学部3回生の安藤晶美さんは「参加前は起業に対する知識もなく、私のビジョンをどうカタチにすればいいのか悩んでいた。しかし参加してみると、起業までのインプットはもちろん、当事者へのインタビューや検証、商品サンプル作成まで進み、商品化の一歩手前までくることができた。この経験を糧に事業の実現に挑みたい」と振り返る。

同大学アジア太平洋学部2回生の三浦宗民さんは「総長PITCHで身につけた知識やスキルをさまざまな場面で活用して、『温もり』や『優しさ』といった目に見えない価値を世の中に広め続けていきたい」と話す。

三浦さんは、人から人へ感謝の物語を紡ぐ珈琲と手紙のセットで、思いやりが循環する社会の創出を目指す「ものがたり喫茶」の代表だ。「総長PITCHで資料作成やプランの順序といった知識を深めた上で、ブラッシュアップをしてもらい、事業の仕組みや規模感なども実践的に学ぶことができた。私たちだけでは気づけなかった視点や方向性を知ることは、今後の活動への良い刺激であり、貴重な経験になった」と振り返った。

総長ピッチのファイナルの舞台に立つ学生たち

総長PITCHのファイナルの舞台に立つ学生たち

酒井氏は「RIMIXは初め、小さな取り組みの1つだったが、総長ピッチによって学園内での認知度も高まりつつある」と期待を寄せる。

他にもマネーフォワードREADYFORコモンズ投資JAFCOSDGs Impact Laboratoryといった企業もRIMIXの取り組みに参画している。外部機関をの招聘は、教育機関だけではフォローできない具体的、実践的なノウハウを補完してもらうことが狙いだ。

立命館単独のファンドで長期的な支援を

10億円規模の立命館ソーシャルインパクトファンド(RSIF)は立命館のみの資産で創設され、単独LP投資家のようなカタチになっている。他のLPを入れるとリターンについての議論に陥ってしまいだが、RSIFは他のLPがいないため、RIMIXのプラットフォームにおける投資機能に集中することができる。酒井氏は「金銭的なリターン目線はやや抑え目であり、融通の利くスキームを取り入れている」と説明する。

ソーシャルインパクトも重要視した支援を図る

ソーシャルインパクトも重要視した支援を図る

学生起業は社会経験を経た大人たちによる起業と比べて、成果が出るまで時間がかかることが多い。RSIFは単独で10億円規模の資金があるため、学生に寄り添いながら未来を見据えた投資回収を考えることができ、社会課題の解決を目指す学生たちの「やりたいこと」に軸足を置いた運用をしやすくなっている。

またRSIFは、経済的リターンだけでなく、事業活動による社会的・環境的な変化や効果といったソーシャルインパクトも求めており、RIMIXの理念に通底している。

RSIFがあることで、RIMIXは経済的な面においてもその社会起業家を産み、育てる環境が盤石なものになっている。短期的なリターンではなく、長期的に事業の成長を支える仕組みは、スタートアップ業界において理想的なものだ。

RSIFによる投資の第一号案件は2020年9月、居住拠点プラットフォームを提供するADDressに対して行われた。代表取締役社長の佐別当隆志氏は、立命館大学の卒業生。空き家対策といった社会課題の解決に挑むサービスなどが、RIMIXの理念と合致した。なお、投資先の選定はプラスソーシャルインベストメントに委託している。

一貫教育で起業への道筋を若い世代から

小学校から大学院までの一貫教育を行う立命館には約5万人の学生が在籍している。RIMIXは小学生を対象にしたSDGs関連イベントなども行っており、いつでも社会起業家を目指せる土壌を用意をしている。

また、付属校から高校、大学に進学する際に入試がないことも強みだ。国立大学などを受験するとなれば、学生は試験勉強でいっぱいになってしまうものだ。立命館では、試験勉強に充てる時間を削減できることで、学生は起業までの効率的なルートを歩むことができる。

幼い頃から起業を啓発し、卒業生らが将来、RIMIXの取り組みを手助けするといったエコシステムの確立も目指している。酒井氏は「社会起業家に興味がある子に起業までの道筋を示すとともに、こちらからも積極的にアプローチしていきたい」と意気込む。

多角的にへ起業の道筋を用意するRIMIX

さまざまな起業への道筋を用意するRIMIX

支援体制のさらなる強化を図るRIMIX

今後は起業を夢みる学生に向けた支援の幅を広げていく。卒業生らが学生をメンタリングしていく枠づくりや、起業だけでなく投資に回る人材などの育成分野も開拓していきたい考えだ。「もうひと段階アクセルを踏まないといけない」と酒井氏はいう。

また、現状はRIMIXによる取り組みは単位取得にはつながらないが、酒井氏は「教育機関としての役割を強める意味も込め、RIMIXと教学との関係をより密にするカタチも検討していきたい」とさらなる展望を語った。

カテゴリー:その他
タグ:立命館起業学生

College Cashを設立したダラスの起業家が学資ローンの返済に苦しむ人々を支援するために奮闘中

Demetrius Curry(デメトリウス・カリー)氏はこの数年間、夢を追いかけてきた。

彼の起こしたスタートアップCollege Cash(カレッジ・キャッシュ)では、企業がユーザーに頼んで、自社の製品やサービスを強調する写真や動画のマーケティングコンテンツを作成してもらうことができるのだが、コンテンツの作成者は、学資ローンの借金返済に直接つながるクレジットというかたちで企業から報酬を得る。このモデルは、関係する企業に社会的な善意と税制上のメリットを与えるものだ。

ダラスに住む創設者のカリー氏は、彼の娘が最終的に自分で学資ローンの借金を返すことになるだろうと話すのを聞いて、学資ローンの借金問題に取り組むことを思いついた。それからカリー氏は2年間を費やして新たなプラットフォームを構築し、パートナー企業を探し出し、アクセラレータープログラムを利用して、ユーザーを惹きつけ、彼のビジョンに賭けてくれる投資家を根気よく探しだした。

College Cashはこれまでに10万5000ドル(約1100万円)を調達しており、最終的にはシードラウンドで100万ドル(約1億500万円)の資金調達を目指している。

スタートアップのエコシステムに流入する資本が歴史的に高いレベルにある中でさえ、チャンスを見つけるために度々苦労してきたカレー氏にとって、このラウンドで資金調達することは独自の困難があった。VCの投資先としてまだわずかなパーセンテージを占める黒人の起業家に対する差別は、これまであまり目立たなかった。2020年の夏に起きた警察の暴行に対する抗議行動の余波で、多くのベンチャーキャピタル企業が制度的人種差別を非難し、より多くの恵まれない起業家を支援することを約束する声明を発表し、多様な起業家のための新たなプログラムを立ち上げた。

College CashのCEOであるデメトリウス・カリー氏

カリー氏は、問題の規模や発言をしている人の善意は理解しているといいつつ、「十分なサービスを受けていない」創業者の定義について、ベンチャーキャピタルのネットワークはまだ学ぶべきことが多いと考えており、既存の取り組みの多くは、同氏にとって「リップサービス」のように感じられるとのこと。

シリコンバレーは相変わらず名門大学の中退者を崇拝し続けているが、貧困の中で戦ってきた創業者や、機会の少ない地域で機会を見つけてきた創業者の功績を認めることに対して、出資者の関心は低いと、カリー氏はいう。

「同じ場所を探していても、何か違うものを探すことはできません」と、カリー氏はTechCrunchに語った。「『恵まれない創業者』というトピックを見るとき、それは肌の色だけではなく、その人がどこから来て何を経験してきたのかということも重要なのです」。

カリー氏によると、投資家がそのパラメータを適切に調整しようとしない場合、アーリーステージの機会を競い合う際にはいら立たしい思いをすることがあるという。カリー氏が特に不満を感じているのは、多様な創業者を対象としたプログラムに参加するためにさえ、「温かい紹介」を求めなければならないことや、「恵まれない」創業者を対象としたアーリーステージプログラムに応募しても、応募資格がないと言われてしまうことだ。

「私達がここまで来るのに、どれだけの苦労が必要だったか考えてみてください」と、カリー氏はいう。「私はウェブホスティング料を払うために血液を売ってきました。何も私を止めることはできません」。

学資ローンの負債に苦しんでいる人々に、返済の機会を拡大するというCollege Cashの使命は、学業に戻れたことで人生の好転を経験したカリー氏にとって他人事ではない。

数十年前、軍を退役したばかりのカリー氏は、Hardee’s(ハーディーズ)で食事をしているときに見知らぬ人と無作為な会話をしたという。彼が人生にもっと望んでいるものは何かということについて話し合ったこの議論は、彼が学業に戻ってGED(後期中等教育修了程度認定試験)に合格し、後にビジネスの学位を取得するための後押しとなった。その後、金融業界でキャリアを積み、最終的にはCollege Cashを設立して起業家としての目標を追求することにつながったのだ。

College Cashは、現時点では明らかに初期段階のベンチャーだが、カリー氏はこの先に向けて大きな野望を抱いている。彼の次の取り組みは、College Cashのチップ機能をギグエコノミーのプラットフォームと統合すること。その目的は、ユーザーである企業が労働者の学生にチップを渡せるようにし、その人の学資ローンの返済に直接お金を回すことができる仕組みを作ることだ。

カリー氏によれば、College Cashのチームは、この統合を試験的に実行するために「全国のギグエコノミープラットフォーム」と協力し、そのお金が学資ローンの返済に使われることを知った企業はチップを支払う可能性が高くなることを示すフォーカスグループを行っているという。

カテゴリー:ネットサービス
タグ:College Cashローン学生

画像クレジット:DNY59 / Getty Images

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(文:Lucas Matney、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

女子大学生のための「ハッカーハウス」がない、だから自分たちで作る

リモート勤務が長引くにつれ、「ハッカーハウス」が起業家たちの間で復活しつつある。企業創設者たちは、自宅に閉じ込められる現在のスタイルを受け入れられても、20代の女子大学生たちは、大学を卒業してそうしたライフスタイルに飛び込むまでの間、ただ待ってはいられない。

大学2年生のCoco Sack(ココ・サック)氏とKendall Titus(ケンダル・タイタス)氏が立ち上げたWomxn Ignite(ウムエックスエヌ・イグナイト)は、女子またはノンバイナリーの学部学生がコンピューターサイエンスを学ぶための家だ。このアイデアは、サック氏とタイタス氏が、それぞれエール大学とスタンフォード大学のリモート授業に疲れ切ってしまったことから生まれている。退屈なZoom講義をさんざん聞かされた挙げ句に、彼女たちは休学し、もっと生産的な時間の過ごし方を模索し始めた。

「高校でコーディングを学んだ若い女性のためのプログラムはたくさんあります。また、就職の機会を逃した女性のための、企業グループや企業創設者のグループも数多くあります」とタイタス氏。「しかし、20歳から25歳の間の、自分で道を切り開き、声を上げ、自分の立場で踏ん張ろうとするすべての女性のための場所がありませんでした」。

そこで彼女たちは、独自のプログラムをスタートさせた。2人は、カリフォルニアのウェディングリゾート施設を借り、ライフスタイルの冒険を望み1年間の休学ができる女性を募った。40%以上の学生が休学を考えているこの時期だけに、みるみる学生の関心が集まった。参加申し込みは500人を超え、そこから20人だけが選ばれた。

Womxn Igniteは、住み込み式のインキュベーターとして整備された。参加者は興味のある分野ごとにグループ分けされ、それぞれに解決すべき課題が与えられる。

こうすることで、各グループはさまざまなメンターセッションが受けられるようになる。月曜日と火曜日と木曜日には、女性起業家が持ち回りでメンターセッションを行うことになっている。また1週間を通して、Melinda Gates(メリンダ・ゲイツ)氏やBumble(バンブル)のWhitney Wolfe Herd(ホイッニー・ウルフ・ハード)氏といった著名な起業家による講演もちりばめられている。

週の終わりには、各グループは課題、解決策、顧客による検証、製品開発の進捗状況をプレゼンテーションする。

タイタス氏によれば、目標はすべての参加者が会社を興すことではなく、むしろ豊富な人脈を築き、事業を立ち上げる際に役立つ豊かなアイデアを身につけて卒業してもらうことだという。ある参加者は、テック業界で生きる黒人女性を題材にしたテレビ番組の脚本を書いている。また別の参加者は、Womxn Igniteのようなプログラムを、もっと簡単に大規模に実施できる企業を創設しようとしている。

セッションの空き時間は、多くがグループ単位の協調とネットワーク作りにあてられる。テーマを持たせたディナーや、ペアを組んで近所を散策したり一緒に何かを行って、互いをよく知り合うための「プラトニック・デート・ナイト」も催される。週末には、彼女たちは、顔認証に対する倫理的な懸念やナノスケール素材など、各自のニッチなこだわりを語る会に招かれる。

タイタス氏とサック氏は、参加費は5000ドル(約52万円)以上にはならないと話しているが、大半の参加者は匿名の起業家が出資する奨学金を利用している。

コホートの多様性は、経歴にこだわらず女性の力を組織的に高めるコミュニティを作ろうとする際に物をいう。Womxn Igniteでの割合は白人が最も多く、次いで黒人とラテン系、中東系、アジア・インド系がそれに続いている。全員がスタンフォード、エール、ジョージタウン、コロンビア、ハーバード、ダートマス、MITといった一流大学の在学生だ。

参加者たち(画像クレジット:Womxn Ignite)

参加者たちは、多くが大学に戻りたいと考えている。人生の中のいまの時期を踏まえ、デモデーや最初に受け取る小切手などといった古典的なアクセラレーターで聞かれる言葉にはこだわってはいない。反対に、プログラムの修了時、各参加者はこんな誘いを受ける。「今後5年間、年収の1%をシンジケート作りに寄付してくれますか?」と。2人の共同創設者によれば、ほとんどが大学に戻ろうといているわけだが、それでもいまのところ、ほぼ全員がイエスと答えているという。

この資金は、企業を創設したいを女性への投資と、Womxn Ignite卒業生のそれぞれの職種での成長のために使われる。

「その額が増えていくことを期待しています」とタイタス氏。「私たちのような企業創設を目指す女性を応援するために、どのように資金を活かせばよいかをみんなで考えられるよう、共同出資していきます」。

Womxn Ignite参加者のClara Schwab(クララ・シュワブ)氏は、この契約はもっと多くの女性が、若い時期から、男性に支配されているベンチャー投資の世界に参加できるようにするものだと話していた。

「私自身と、その他19人の本当に才能があり頭がよくて意欲があって、全員がテクノロジーに興味を持っている女性が集まって、こんな話ができる環境も状況も、他には知りません」と彼女はいう。

2人の共同創設者は、2月に新しいコホートを迎え、彼女たちのためのデジタルコミュニティー作りに専念する計画だ。

カテゴリー:パブリック / ダイバーシティ
タグ:Womxn Igniteアントレプレナーシップ学生

画像クレジット:Softulka / Getty Images

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(翻訳:金井哲夫)

eスポーツが大学を救う

著者紹介:Brandon Byrne(ブランドン・バーン)氏はコンテンツクリエイター、チーム、スポンサーをプログラム上で結び、拡張するテクノロジープラットフォーム、Opera Event(オペラ・イベント)のCEO兼共同設立者である。Team Liquid(チーム・リキッド)のCFOと、Curse(カース)の財務担当VPを歴任している。

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数か月前、私はあるパネルディスカッションに参加し、eスポーツとオリンピックについての記事を書いた。そのパネルディスカッションでは、新型コロナウイルス感染症の拡大を受け、eスポーツが国際オリンピック委員会と連携する機会を得たかどうかを議論した。慎重に検討し調査した結果、私は基本的に「オリンピックは、eスポーツがオリンピックを必要とする以上に、eスポーツを必要とする」という結論に達した。

オリンピックについて調べる過程で明らかになったいくつかのデータには驚いた。特に、国際的なスポーツ、プロスポーツ、大学スポーツの観客についてのデータだ。eスポーツのモデルは従来のスポーツほど成熟していないが、実際には従来のスポーツと同程度の視聴者数を集めており、その数は天文学的に増加している。私は、この現象から最も恩恵を受けるであろう機関投資家がこの現象をいつまで認識しないでいるのだろう、と考えずにはいられなかった。

大学によるeスポーツへの関りについて触れると、現在、NCAA Division I(全米大学体育協会1部)には170を超える大学代表チームのゲーミングプログラムがあり、クラブの数はさらに多い。そのため、機関投資家がeスポーツへ投資する場合に、大学のeスポーツ分野における価値(さらには収益)を促進する可能性について、誤解したり見落としたりする側面がまだ数多くある。

21世紀の大学

現在の大学生活は50年前とは大きく異なっている。大学外での変化のペースはますます加速しており、多くの場合、大学はそのペースについていくのに苦労している。テクノロジー、学生の関心、経済や職場の進化、文化規範の変化などにより、大学は過去のどの時点よりもつながりが弱い場所に置き去りにされている。

同じことは大学スポーツにも当てはまる。大学の誇り、文化力、求人、同窓生との関わりだけでなく、場合によっては収益の源泉として他の追随を許さなかった大学スポーツは、外部からの力によって侵食されている。

私は、世界最大のNCAAイベントである、 Football Bowl Subdivision Bowl Championship(フットボールサブディビジョンのボールチャンピオンシップ)とNCAA Men’s Division I Basketball Tournament(NCAAの男子バスケットボールトーナメント)の観客について、少し調べてみた。

画像クレジット:Brandon Byrne

画像クレジット:Brandon Byrne

2015年にチャンピオンシップシステムが施行される前と後の、ビッグ・ボウル・ゲームの平均視聴者数を見てみよう。上の図は、各ボウル・ゲームの視聴者数の傾向線とその平均を示している。確かに時おり急増することはあるものの、視聴者数に大きな変化はないことが見て取れる。両方の傾向線を分けると、結果は次のようになる。

画像クレジット:Brandon Byrne

全体的に見ると、視聴者数はおおむね下降傾向にあるようだ。

NCAA Final Four(NCAAファイナルフォー)と呼ばれる、準決勝の1戦目、準決勝の2戦目、決勝戦の視聴者数の傾向も見てみよう。

画像クレジット:Brandon Byrne

傾向はかなり似ているようだ。大学スポーツにはまだ多くのファンがいるが、問題が2つある。1つ目は観客がまったく増えていないことだ。実際にはわずかに減少しているらしい。2つ目は観客が高齢化しており、大学スポーツと若者との関わりが弱くなっていることだ。年配の観客は同窓生の寄付や付随的収入の貴重な源泉であることに変わりないが、他の主要なターゲット層(潜在的な大学生)の代わりにはならない。

それにもかかわらず、エリート学科を持つ学校は「フルーティ効果」という現象の恩恵を受けていることを示すデータがある。「フルーティ効果」は、ボストンカレッジのクォーターバックだった Doug Flutie(ダグ・フルーティ)の名前にちなんでいる。彼のアメリカンフットボールでのエキサイティングなパフォーマンスがボストンカレッジへの入学志願者数を増やしたというエピソードから取られた呼び名だ。この現象に関するHBSの調査結果を分析したフォーブス誌の記事を読めば、ここで説明するよりもさらに詳しい理解を得られる。

確かに、データの多くは、大学スポーツの重要性が今より高かったであろう数年前のものだが、要点は大体同じである。つまり、学生が楽しむアクティビティでエリートプログラムを実施することが、出資によって大学スポーツを促進する機関投資家の利益になる、ということだ。しかし学生の間でそのようなアクティビティに対する熱意が薄れている場合、学生が現在興味を示しているものへの参画を検討するのも1つの選択肢だ。

FBSフットボール(最大視聴者数3500万人)およびNCAAファイナルフォー(最大視聴者数2800万人)と比較すると、Riot Games(ライアット・ゲームズ)が開催するLeague of Legends(リーグ・オブ・レジェンド)のMid-Season Invitational(ミッドシーズン・インビテーショナル)イベントは合計6000万人の視聴者を集めた。2番目に多い視聴者を集めたのは、Katowice(カトヴィツェ)で開催されたIntel Extreme Masters tournament(インテル・エクストリーム・マスターズ・トーナメント)であり、視聴者数は4600万人だった。正確な人工統計学的データはすぐには入手できないが、後者の2つのイベントは前者の2つのイベントに比べて若い世代が多いのは明白だ。

これらは正確には同じ条件での比較ではないため、留意すべき点がいくつかある。これらのeスポーツイベントは数日に分けて開催され、かなりの数の試合が行われる。その数はおそらくMarch Madness(マーチ・マッドネス)に匹敵するほどだ。さらに、そのコンテンツはさまざまな方法で消費される。NCAAのコンテンツの多くはテレビで放映され、その一部は有料のプレミアムチャンネルで放映される。一方、eスポーツのイベントはTwitchとYouTubeで無料でストリーム配信される。

しかし、理解しておかなければならないのは、eスポーツの観客は前年比15~16%の割合で増加しており、世界中の観客を獲得しているということ、つまり獲得可能な最大市場規模(TAM)がかなり大きいということだ。NCAAのイベントが北米以外で熱狂的な観客を集める可能性は低い。

新型コロナウイルス感染症

大学に通う主な理由の1つは学内で学生生活を体験することである。パンデミックの影響でそれが不可能になったため、大学は身動きが取れないでいる。人脈を作ること、新しい友人を作ること、新しい経験をすることはすべて大学の魅力だが、どれも、学生が実家で実行するには難しいものだ。同様に私たちが知っているような大学スポーツは、組織としての誇り、マーケティング、および収入源の役割とともに、本質的に存在しなくなった。NCAAトーナメントは2020年3月に中止され、NCAAも他のスポーツもすぐに復活する兆しはない。

一方、eスポーツはリモートで参戦または観戦できるため、パンデミック下でも盛況だ。eスポーツのトーナメントでは、観客、チーム、そして審判員でさえも隔離できるため、コンテンツの作成と消費を安全に行える。

eスポーツと大学

信じられないような話だが、eスポーツはプロスポーツよりも大学スポーツに適している。ここでは詳しくは触れないが、プロスポーツモデルがeスポーツに適していない理由については、以前に別の記事で書いたことがある。そのため、今回の記事では、知的財産について、また、eスポーツのリーグの所有者、そしてあらゆるエンティティが利益を出す方法について説明しようと思う。最大の問題は、プロスポーツではチームがリーグを所有し、すべてのチームの利益を最優先にして行動できる点だ。eスポーツでは通常、リーグはビデオゲームのパブリッシャーによって所有または規制される。つまりプロスポーツとは異なる収益機会が開かれることになる。

興味深いのは、大学の陸上競技も同じ問題を抱えており、その問題を緩和する方法を見つけたことだ。選手には奨学金が支給され、学校、大学競技リーグ、NCAAはそれぞれの収益機会、いわばパイのピースを所有する。パイはパッケージ化され、世界のESPNとFox Sports(Foxスポーツ)に配信するために販売される、という方法だ。

このモデルはeスポーツに非常に適している。プロスポーツの場合、フットボールの知的財産を「所有する」グループがDallas Cowboys(ダラス・カウボーイズ)に、チームのマーケティング方法、チームの取り分、分配の方法を教えることはまずないだろう。しかしこれは大学ではよくあることだ。実のところ、全関係者が収益を得るには、同じプロセスを実践する必要がある。そうすることで学校(チームに相当)もいくらかの収益を手にし、競技連盟(リーグに相当)とNCAA(パブリッシャーに相当)にも利益が入る。このチェーンがどこかで切れてしまうと、プロセス全体が中断し、誰も稼げなくなる。

この点については、オリンピックに関する記事の中で書いたことがある。IOCは、オリンピックの放送方法、競技種目、選手資格などについて当たり前のように完全な自主権を持っている。もしオリンピックがeスポーツを受け入れたら、完全な自主権を行使することはできなくなる。ゲームの表現、放映、審査などに関してはパブリッシャーが大きな影響力を持つことになるだろう。IOCはそういうことに慣れていない。大学では、(eスポーツは)よくある土曜日の過ごし方にすぎないのだが。

大学進学率が下がっている原因は新型コロナウイルスだけではない。パンデミックが起こる前から、大学での経験について見直す動きがあり、大学は潜在的な学生を獲得する足掛かりを見つけようとしていた。フォーブス誌は2019年に、この10年間で大学の入学者数が200万人減少したと書いている。さらに付け加えると、大学への新型コロナウイルスの影響に関する予備データから、2020年の入学者数は5~20%の範囲で減少することがわかる

画像クレジット:Brandon Byrne

今後の展望

大学は今、最悪の状況に直面している。収益は大幅にダウンし、ハーバード大学のような有名大学でさえ大赤字を出している。パンデミックの前から入学者数が減少していたため、今や、大学が生き残りをかけて適応しなければならないところまできた。

eスポーツは大学が生き残るためのきっかけになり得る、というのは朗報であり、私はそうなると信じている。大学はeスポーツに力を入れつつあり、115のさまざまなプログラムがeスポーツのための奨学金を提供している。また、クラブプログラムはさらに急速に成長している。eスポーツは確かに学生を惹きつけるのに役立つ。とはいえ、収益化は本当に難しい

最終的に大学自体を含むあらゆる関係者を補償するエコシステムを構築する方法について、大学が専門家のアドバイスを受けることは非常に重要である。またeスポーツでは、迅速に行動すること、そして今なおリアルタイムに形成されているモデルを採用することが大学に求められる。新型コロナウイルスのパンデミックはすぐに消えることはないが、消えそうな大学は数多くある。今こそ行動を起こすときだ。

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カテゴリー:ゲーム / eSports
タグ:コラム 学生

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(翻訳:Dragonfly)

スタンフォードの大学院生はVCに頼らずクラスメートから投資を受ける

スタンフォード大学がスタートアップ創設者を多く輩出し成功していることは、シリコンバレーでも有名な語り草になっている。スタンフォード卒業生が創設した企業には、Google(グーグル)、Cisco(シスコ)、LinkedIn(リンクトイン)、YouTube(ユーチューブ)、Snapchat(スナップチャット)、Instagram(インスタグラム)、そしてそうこのTechCrunch(テッククランチ)もある。そのためベンチャー投資家は、スタンフォードのビジネススクールを卒業した企業創設者には、米国にある他の大学の出身者よりも多くの資金を日常的に投資(Crunchbase News記事)している。

そこで、自分たちが有利な立場であることをよく理解しているスタンフォードの大学院生のあるグループは、きちんとした投資会社や超大金持ちに頼らず、自分たちでクラスメートに資金提供ができるはずだと考えた。

彼らは、スタンフォードの学生だけで新しいファンドStanford 2020(スタンフォード・トゥエンティー・トゥエンティー)を設立し、学友のベンチャー事業への投資を行うことにした。

発案者は6人の学生。彼らは1年間、Fenwick & West(フェンウィック・アンド・ウェスト)法律事務所と連携して、投資クラブの設立に適した法的枠組みを探し出した。何らかの共有関係を維持している限り、複数の参加者が共同で投資できるというものだ。

Stanford 2020の創設メンバーであり、ベンチャー投資会社NEAの元アソシエイト、Steph Mui(ステフ・ムイ)氏は、シリコンバレーのステータスシンボルの中のエリートと彼女が呼ぶ、ほとんど接触が叶わないエンジェル投資家には頼るまいと、このクラブを立ち上げた。

「特にシリコンバレーでは、地位を確立した人や認められた人だけにそれが許されます。とても特権階級な感じです」と彼女はいう。「クラスの全員が参加できる形でできないか、仲間内で少額の資金を出し合うよりも、もっと利用しやすい形を作れないかと私たちは考えるようになったのです」。

Stanford 2020クラブに参加するためには、最低3000ドル(約31万7000円)の入会金を払う必要がある。利益が出た場合には、出資額に応じたリターンが必ず分配される。今のところ、175名の投資者から150万ドル(約1億5800万円)の資金が集められ、50万ドル(約5280万円)の出資を希望する50人が受け付けを待っている。クラブは「定員オーバー」の状態にあり、返金作業に追われている。

ムイ氏は、クラスの40パーセントがクラブに参加していると見ている。創設メンバーは「役員会メンバー」として定義される。彼らは情熱、多様な経歴、専門的な関心、過去におけるリーダー経験を考慮されて選考されている。

クラブは、ラウンドの規模と評価額に応じて、5万ドル(約530万円)から10万ドル(約1060万円)の投資をスタートアップに対して行う予定でいる。

Stanford 2020の強みは、投資先企業との人間関係によるところが大きいとムイ氏は考えている。つまり成功は、手の届く範囲内にあるということだろう。Cloudflare(クラウドフレア)もRent the Runway(レント・ザ・ランウェイ)もThredUp(スレッドアップ)も、みな同じハーバードビジネススクールの教室で行った課題が発展して生まれた企業だと、CloudflareのCEOであるMatthew Prince(マシュー・プリンス)氏はいう。

「私たちには、元々の強い人間関係があります。資金集めを始める前から、彼らが何に取り組んでいるかを、みんなが知っているのです」とムイ氏は話す。

クラブの参加者つまり仲間たちは、みな深い忠誠心を自覚しているが、その親密性が仲間の企業へ資金提供する際の十分な条件になり得るのかは、これからわかることだ。Stanford 2020は、手数料もキャリーも一切受け取らないが、エクイティは固定される。その点では、シリコンバレーの著名な投資会社のほうがクラスメートより使い勝手がいいかも知れない。

Stanford 2020の構成は、スタンフォード大学が緑豊かな学内の庭に投資するための事業で、2019年に廃止(Silicon Valley Business Journal記事)されたStartX(スタートエックス)と似ている。2013年に設立されたStartXは、大学付属のアクセラレーターを修了したスタートアップならどこでも、株式と交換で投資が受けられるというもので、プロの投資家から50万ドル(約5300万円)の資金を得ていた。

Stanford 2020の構成を見ると、ルールはほぼ同一だ。ムイ氏がTechCrunchに話したところによると、自動的な投資を受けるためにはスタートアップは2つの基準を満たす必要があるという。1つは、共同創設者は同級生であること。もう1つは、評判のよい機関投資家から投資ラウンドで75万ドル(約7900万円)以上を調達することだ。評判がよい会社とは、業界のアドバイザーから彼らに提供されたリストに掲載されている80社をいう。

ルールに基づく自動投資戦略というこのコンセプトには、心配な点もある。創設者の考えが間違っていても、または創設者が悪い人間であっても、基準を満たせば通るのか?

「投資すべきでない悪人や相当に不道徳な人は、私には誰一人思い浮かびません」とムイ氏。「それが、クラスメートだけを対象に投資するという方針のメリットでもあります」。

しかし、スタンフォードの教室から問題のある企業創設者が誕生した場合に備えて、Stanford 2020には拒否投票制度がある。

物事の大きな仕組みの中では、スタンフォード出身のスタートアップは資金調達の面で、他の大学出身者よも有利な立場にある。必死になってファンドを探し求める必要もない。ムイ氏がStanford 2020で抱いている願望に、他の大学でも彼らが1年間かけて(苦労の末に)作り上げた法的枠組みを、そのまま模倣して使えるようにすることだ。

すでにStanford 2020には、スタンフォードの次のクラスや、他スクールの大学院生、学部生からのインバウンドがあるという。現在はクローズしたが、彼女は他のビジネススクールからのニュースを待ち望んでいる。

画像クレジット:Bryce Durbin / TechCrunch

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(翻訳:金井哲夫)