バイデン大統領、ファーウェイやZTEなど国家安全保障上の脅威になりうる通信機器に対する規制強化法案に署名

バイデン米大統領、ファーウェイやZTEなどなど国家安全保障上の脅威になりうる通信機器から政府を保護する規制強化法案に署名

Barcroft Media via Getty Images

バイデン米大統領が、国家安全保障上の脅威になりうる通信機器から政府の「機器認可プログラムおよび競争入札プログラムによる通信サプライチェーン」を保護するための「Secure Equipment Act」に署名しました。この法律によってHuaweiやZTEといった米連邦通信委員会(FCC)の「対象リスト」に掲載されている企業に対してFCCは免許の発行や審査プロセスを実施できなくなります。

FCCコミッショナーのブレンダン・カー氏は「我々はすでにこれらの企業の機器が国家安全保障に受け入れがたいリスクをもたらすと判断しており、これは私が “ファーウェイの抜け穴 “と呼んでいるものを粛々と、適切に塞いでいるということだ」と述べました。

2020年にFCCはHuaweiとZTEを国家安全保障上の脅威とみなし、中国政府(中国共産党)と緊密な関係にあると確認しました。しかし、米国の連邦予算が関与しない部分においては、それら企業は依然として通信機器としてのライセンスを申請できる状態にあり、カー氏はその”抜け穴”をなくすために今回の法制定を呼びかけていました。FCCは2021年より19億ドルの予算を投じて、米国内の通信企業がHuaweiやZTEの機器をリプレースための補助金プログラムを実施しています。

今回のSecure Equipment Actの成立に対し、2社は記事執筆時点でコメントを出していませんが、2020年にはFCCが提出した法改正案に対しHuaweiが「見当違いかつ不当に懲罰的だ」としていました。

FCCは今回成立した法律以外にも、すでに機器に付与されているライセンスを取り消し可能にする新たな法律を提案しています。また先月には、FCCが国家安全保障上の懸念を理由としてチャイナテレコムの米国子会社の米国内事業許可を取り消すことを決議しています。

(Source:ZDNetEngadget日本版より転載)

マイクロソフト・ナデラCEOがTikTok買収交渉を「これまでで最も珍妙な出来事だった」と明かす

マイクロソフト・ナデラCEOがTikTok買収交渉を「これまでで最も珍妙な出来事だった」と明かす

Anushree Fadnavis / Reuters

テクノロジー業界のトップらが集う招待制のカンファレンス「Code Conference 2021」で、マイクロソフトのサティア・ナデラCEOが昨年のTikTok買収交渉に関する体験談を回想し「これまでに取り組んだ中で最も珍妙な出来事だった」と語っています。

2020年8月、中国のByteDanceが親会社のTikTokに対して、ドナルド・トランプ前大統領政権はセキュリティと国家安全保障上の懸念があるとして、サービスを閉鎖するか、米国企業へ売却するよう迫っていました。TikTokはいくつかの企業との間で売却交渉を進め、その候補のひとつがマイクロソフトでした。

しかし、最終的に売却先として決定、公表されたのはOracleで、マイクロソフトはそこで手を引く結果に。最終的に、TikTokの売却話はバイデン新大統領がトランプ政権下でのTikTok禁止の大統領令を取り消したことでなくなっています。

一連の出来事に関して、ナデラCEOはCodeカンファレンスの舞台上で「まず覚えておいていただきたいのは、もともとはTikTokが我々のところへ来て買収を持ちかけたのであって、我々がTikTokのところに出向いたわけではないということです」と述べました。TikTokはセキュリティサービスを提供できるクラウドプロバイダーと手を組みたいと考えており、自らマイクロソフトにパートナーになって欲しいと連絡を取ってきたとのこと。

さらにナデラCEOは「トランプ大統領からは当初、TikTokの買収に関しておそらくなんらかの考えがあるように感じられていました。しかしある時期にそれが消えてしまいました」と述べ、「そして、私は交渉から抜けることにしました。奇妙なことでしたが、面白くも感じました」と語っています。

一方、今でもあのショート動画アプリを買いたいかとの問いに関しては、明確な返答は避けました。しかし、マイクロソフトには「クラウドプラットフォーム、セキュリティ技術、そして「コードベースを引き継ぐことができるエンジニア」がいて「最も適した立場」だったとして、取り引きが魅力的だったことを認めました。

(Source:GeekWireEngadget日本版より転載)

気候変動で米国は安全保障のあり方が再定義される、書評「All Hell Breaking Loose」

今日の気候変動のポリティクスにおける亀裂の中で最も不幸な分断の1つが環境活動家と国家安全保障に関わる人々との連携の欠如だ。左翼系の環境活動家は右よりの軍事戦略家と付き合わず、前者は後者を破壊的で反エコロジカルな略奪者とみなしているし、後者は人々の安全保障よりも木やイルカを優先する非現実的な厄介者とみなしていることが少なくない。

しかし、気候変動により、両者はこれまで以上に緊密に連携することを余儀なくされている。

名誉教授で数多くの著作を持つMichael T. Klare(マイケル・T・クレア)氏は、自著「All Hell Breaking Loose(大混乱:気候変動に対するペンタゴンの視点)」の中で、過去20年間で気候変動がどのように米国の安全保障環境を形作ってきたかについて、ペンダゴンの戦略アセスメントに対するメタアセスメントを行っている。本書は、謹直で繰り返しが多いがいかめしいわけではない。そして防衛に携わる人々が今日最も厄介な世界的課題にどのように対処しているかについて、目を見張るような見方を提供してくれる。

気候変動は、国防の専門家でなければ気が付かないようなかたちで、実質的にあらゆる分野で安全保障環境を弱体化させている。米海軍の場合、沿岸から工廠や港へアクセスするわけだが、海面の上昇は任務遂行力を減退させたり時には破壊する脅威である。そのよい例がハリケーンが米海軍施設の最大の中心地の1つであるバージニアを襲った時であった。

画像クレジット:Metropolitan Books/Macmillan

米国の軍隊は、米国内のみならず世界中に何百もの基地を持っている。その意味で、戦闘部隊であると同時に大家のようなものでもある。これは当たり前のことだが繰り返していう価値がある。こうした施設のほとんどが、任務の遂行に影響を及ぼしかねない気候変動による問題に直面しており、施設の強化にかかる費用は数百億ドル(数兆円)、あるいはそれ以上に達する可能性がある。

これに加えて、エネルギーの問題もある。ペンタゴンは世界でも有数のエネルギー消費者であり、基地向けの電気や飛行機の燃料、船舶用のエネルギーを世界規模で必要としている。これらを調達する任にあたっている担当官にとって気がかりなのは、その費用もさることながら、それが入手できるのか、という点だろう。彼らは最も混乱した状況であっても信用できる燃料オプションを確保する必要があるのだ。石油の輸送オプションがさまざまな混乱にみまわれる可能性があるなか(暴風雨からスエズ運河での船舶の座礁まで)、優先順位を記したリストは気候変動のために曖昧になりつつある。

ペンタゴンの使命と環境活動家の利益が、完璧ではないにしても、強く一致するのはこの点である。クレア氏はペンタゴンが、戦闘部隊の任務遂行力を確保するためにバイオ燃料、分散型グリッドテクノロジー、バッテリーなどの分野に投資している様子を例として示している。ペンタゴンの予算を見て批評家は嘲笑うかもしれないが、ペンタゴンは、より信頼できるエネルギーを確保するため、いわゆる「グリーンプレミアム」を支払っている。これは他の機関では現実的には支払いが難しいような額であり、ペンタゴンは特殊な立場にあると言える。

両者の政治的な協調は、それぞれの理由は大きく異なるものの、人道的対応ということでも続いている。ペンタゴンの責任者が地球温暖化で懸念していることの1つは、この機関が中国、ロシア、イラン、その他の長年の敵対者からの保護といった最優先の任務ではなく人道的危機への対応へとますます足を取られて行くことである。ペンタゴンは、災害の起こった地域に何千という人数を派遣できる設備と後方支援のノウハウを持っている唯一の米国の機関として頼りにされている。ペンタゴンにとって難しいのは、軍隊は人道支援の訓練ではなく戦闘訓練を受けた存在であることだ。ISIS-Kを攻撃するスキルと、気候変動で難民となった人々のキャンプを管理するスキルとはまったく異なるのである。

気候変動活動家は、気候変動により何百万という人々が飢饉と灼熱から逃れるために難民となることがないよう、安定した公平な世界のために戦っている。ペンタゴンも同様にその中核的任務以外の任務に足を取られることのないよう、不安定な国家にテコ入れしたいと考えている。両者は異なる言語を話し、異なる動機を持っているものの、目指すところはほぼ同じなのである。

気候変動と国家安全保障との関係で最も興味深いのは、世界の戦略地図がどのように変化するかである。氷がとけ、北極海航路がほぼ1年を通して航行できるようになった今( そしてまもなく1年中航行できるようになる)、主な勝者はロシアであるが、クレア氏はペンタゴンが北極圏をどのように安定させるかについて的確な説明をしている。米国は、戦闘部隊に対し北極圏での任務の遂行と、この領域での不測の事態に備えるための訓練を初めて実施した。

クレア氏の本は読みやすく、そのテーマは大変興味深いが、どう想像力を膨らませても、見事に書かれた文章とは言えない。同書はまさにドラマ「Eリング」に出てくる防衛計画専門家チームによって書かれたかのようであり、筆者はそれをメタアセスメントと呼んでいる。これはシンクタンクがまとめた数百ページにおよぶ論文であり、これを読了するには、スタミナが必要である。

厳しい見方をすると、本書のリサーチと主な引用はペンタゴンのアセスメントレポート、議会証言、および新聞などの二次的レポートを中心になされており、当事者による直接的なインタビューはわずかであるかまったくないのであって、これは現代の米国の言説における気候変動の政治的な性質を考えると、大きな問題である。クレア氏は確かに政治を注意深く観察しているだろう。しかし将軍や国防長官が政府の報告書として公的にサインをする必要がない場合に、彼らがどのような発言をするかを私たちは知ることができない。これは大きな隔たりであり、本書を読むことで読者がどれほどペンタゴンの真意をつかめるのかは疑問である。

そうはいっても、本書は重要な位置付けを持つ本であり、国家安全保障に関わるコミュニティもまた、その利益を保護しつつではあるが、気候変動における変化を導く重要な先駆者でありうる、ということを思い出させてくれる。活動家と軍事戦略家は敵意を捨ててもう少し頻繁に話し合うべきである。同盟を結ぶ意義はあるのだから。

2021年夏に発表された気候変動に関する本

画像クレジット:Sergei Malgavko / Getty Images

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(文:Danny Crichton、翻訳:Dragonfly)

中国で企業の個人情報の扱い定める「個人情報保護法」が可決、EUのGDPR相当・個人情報の国外持ち出しを規制

中国で企業の個人情報の扱い定める「個人情報保護法」が可決、EUのGDPR相当・個人情報の国外持ち出しを規制

AerialPerspective Works via Getty Images

中国が、ユーザーデータ保護法(PIPL)案を可決したと新華社が伝えています。PIPLは、企業がユーザーデータをどのように収集、処理、保護するかについての包括的なルールを定めるもので、欧州のGDPR(一般データ保護規則)に相当する法律です。

この法律では、データの最小化(データ収集を特定の目的に必要な情報のみに限定すること)が規定されています。また、個人情報の使用方法をユーザーがコントロールできるようにすることも義務付けられており、例えばユーザーにはターゲティング広告を拒否する選択肢などが得られるとのこと。Reutersによると、PIPLでは「企業は明確かつ合理的な目的のもとで個人情報を取り扱わなければならず、取得する情報は目的のために必要最小限な範囲に限定される」とのこと。

また、この法律には第三国へのデータ転送に関しても規定があり、GDPRに定められるデータ保護責任者 (DPO) 的ポストを設置して、プライバシー保護の堅牢性について定期的な監査が行われるとされます。

中国ではPIPLの他にもデータセキュリティ関連の法律(DSL)が可決され9月1日から施行されることになっており、これらは企業が持つ経済的価値と「国家安全保障との関連性」に応じてデータを管理するための明確な枠組みを定めようという動きで、この点においてPIPLは欧州市民の情報を扱うあらゆる企業に適用されるGDPRとは異なっているようです。

中国がこうした法律を用意するのは、巨大化してきた国内テクノロジー企業への規制を強めるためと考えられます。中国最大のEC企業アリババは今年4月に、その支配的立場を乱用した廉で、182億2,800万元(2916億4800万円:当時)の行政処罰を科せられました。またネット配車サービスのDiDiも7月、ニューヨーク証券取引所への新規株式公開(IPO)をおこなった直後に、中国サイバースペース管理局(CAC)がユーザーのプライバシーを侵害した疑いがあるとして調査に入ったことが伝えられ、その出足を大きくくじかれています。また8月7日にはWeChatの”Youth Mode”が児童保護法に違反しているとして、テンセントが提訴されています。

PIPLは2021年11月1日に発効するため、企業がこの法律に対応するための猶予は2か月ほどしか余裕がありません。

(Source:Xinhua。Via CNBCEngadget日本版より転載)

米IT企業がファーウェイによるパキスタン政府機関へのバックドア設置を告発、ただし決定的な証拠は出ず

米IT企業がファーウェイによるパキスタン政府機関へのバックドア設置を告発、ただし決定的な証拠は出ず

Wolfgang Rattay / Reuters

ファーウェイに新たなバックドア設置の疑惑が持ち上がっています。カリフォルニアを拠点とするIT企業Business Efficiency Solutions(BES)は、2016年にファーウェイとの提携でパキスタン政府とのプロジェクトで現地警察向けのソフトウェアを開発した際、ファーウェイがソフトウェアにバックドアを仕掛けたと主張しています。

問題のソフトウェアは2016年にHuawei Technologiesが主体となってパキスタン・パンジャブ州の州都ラホールのパンジャブ警察統合通信センター(PPIC3)向けの1億5000万ドル(約164億円)のプロジェクトで開発したもので、政府機関からのデータ収集、建物へのアクセス制御、ソーシャルメディアの監視、ドローンの管理といった8つの主な機能を備えています。

しかし、BESは8月11日、Huawei Technologiesがソフトウェアに「パキスタンの国家安全保障上重要とされる」機密情報を得るためのバックドアを仕掛けたとカリフォルニア州の連邦裁判所に訴え出ました。BESの主張によれば、当初ファーウェイはパキスタン政府のRFP(Request for Proposal:提案依頼書)に含まれる仕様を満たす技術を持たなかったためBESに協力を求め、パキスタン側もこれを評価していたとのこと。

BESは自社の企業秘密となる独自のコードや設計、図面などの情報を含めたベースとなるソフトウェアを開発したところ、ファーウェイはそのソフトウェアをテストするため中国側へ引き渡すよう要求しました。

証拠として提出された資料の中には、BESの創業者でCEOのJaved Nawaz氏が2017年3月28日にファーウェイに対し、機密データを中国に送ることへの承認を書面でPPIC3から得るよう求めたメールが含まれています。しかしファーウェイからはパキスタン政府から承認は得たが書面は「必要ない」との返答メールが来たのみ。その上で要求に応じなければ契約を解除しすべての支払いも行わないと脅迫じみた要求をされた結果、BESはやむなく中国国内へのシステムの設置を認めたとのことです。

しかし、The Registerが伝えるところでは、ファーウェイは中国国内へのシステム設置の後もBESへの支払いを行わないばかりか、BES抜きでカタールやドバイ、アラブ首長国連邦、サウジアラビアでパキスタンと同様のソフトウェア開発契約をまとめようとしたとされます。さらにBESのソフトウェアの一部を改変して中国からパキスタンのソフトウェアへのバックドアを加え、そこから中国へ国家安全保障に関わる重要なデータやパキスタン国民の個人情報を収集。閲覧可能にしたとBESは主張しています。

BESの訴訟では、2019年4月8日にBBCが報じた過去の事例として、パンジャブ州の政府機関PSCAがパキスタンのCCTVシステムからWiFiカードを取り除くようファーウェイに指示した理由は、それが「パキスタン市民を監視する秘密のバックドア」として遠隔から情報を収集できるように設定されていたからだと述べています。当時のファーウェイの担当者はこれを “誤解 “と主張していました。ほかにもBESは提出した書類で2019年と2020年に米国司法省がファーウェイに対して行った企業秘密窃盗の訴訟を指摘し、その主張を補強しています。

一方、Wall Street Journalに対してファーウェイは、いかなる製品にもバックドアを設置した「証拠はない」と述べています。BESのシステムを中国国内に設置させたことは認めたものの、それは他のネットワークからは「物理的に隔離」された試験用であり顧客からデータを入手することはできないと主張しています。またラホールのプロジェクト担当者は「現在のところ」データが盗まれたという証拠はないと述べています。

火のないところに煙は立たぬと言うように、何らかの争いが起こるところには必ずその原因となる問題が潜んでいるはずです。だれが事実と異なる主張をしているのかはわかりませんが、今回の問題もファーウェイが中国の情報収集に協力しているのではないかと継続的に懸念が持たれていることを浮き彫りにする事例のひとつであることは間違いありません。ただ、決定的な証拠も、まだひとつも出ていません。

(Source:The RegisterWall Street Journal。Via ReutersEngadget日本版より転載)

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米国防総省がセンサー・AI・クラウドを組み合わせ「数日先の異変を察知」する未来予知システム「GIDE」開発中

米国防総省がセンサー・AI・クラウドを組み合わせ「数日先の異変を察知」する未来予知システム「GIDE」開発中

icholakov via Getty Images

アメリカ合衆国統合軍のひとつ、アメリカ北方軍(NORTHCOM)は、Global Information Dominance Experiments(GIDE)と呼ばれるセンサー、AI、クラウドコンピューティングを組み合わせた「未来予測システム」を開発し情報面と意思決定面での優位性を獲得しようとしています。すでに3度目の実験を行っており、司令官いわく「11の戦闘司令部すべてが同じ情報空間で同じ能力を使って協力」して実施したとのこと。

NORTHCOM司令部および北アメリカ航空宇宙防衛司令部(NORAD)の司令官グレン・ヴァンヘルク空軍大将によると、このシステムは膨大なデータセットパターン、異常状態、トレンドデータを評価分析して、国防総省に「数日先を見通す能力」を提供することを目指しています。

わかりやすくいえば、映画『マイノリティ・リポート』でピタピタスーツを着て水浸しになっている予知能力者の役割を、AI技術で実現しようとしているわけですが、GIDEは決して10年単位の未来の話ではなく、すぐに利用できるツールの組み合わせで、リアクティブ(反応的)な情報収集からプロアクティブ(積極的)な情報収集環境を構築しているとのこと。

しかも、このシステムは数分とか数時間単位ではなく、数日単位で情勢を把握できるようなるとされています。たとえば何らかの社会的軍事的異変が起こるとして、それが数分後や数時間後なら、軍として対処するにも時間が少なすぎます。しかしもしそれが数日前にわかるのならしっかりと意思決定や戦略を練る余裕もでき、作戦指揮官たるヴァンヘルク大将にとっても部隊配置や大統領を含め各機関のトップと意思統一をはかることができ、大きな”備え”となるはずです。

GIDEシステムは収集する情報として、たとえばある場所に駐車する自動車の数が突然増えただとか、基地に飛行機が集中しはじめたといった、平時とは異なる手がかり、を予測の材料とします。しかしこのシステムだけで「明日どこそこで事件が起こるから」といった具体的な情報がわかるわけではなく、依然として多くの人々が情報を元に頭を使って手立てを考え、実際に動いて備えを講じる必要があります。それでも、テロのような奇襲攻撃を事前に察知できるようになれば、交渉によって戦いを避ける道も探れるかもしれません。それは、非常に価値あるシステムであるはずです。

(Source:U.S.DoD。Via The DriveEngadget日本版より転載)

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UFOあらため「UAP」報告書が公開、米情報機関を統括する国家情報長官室ODNIが5つの可能性を挙げる

UFOあらため「UAP」報告書が公開、米情報機関を統括する国家情報長官室ODNIが5つの可能性を挙げる

US Navy

米国の情報機関を統括する国家情報長官室ODNIが、国防総省の動画公開で話題となったUFOあらため「UAP」に関する報告書を公開しました(Unidentified Aerial Phenomena、未確認空中現象)。

報告書によれば、2004年から2021年にかけて主に米軍内で記録された目撃・観測事例144件について、国防総省のUAPタスクフォースが調査したところ、1件のみ空気の抜けた気球であったと結論づけたものの、残りはデータ不足から解明に至らず。

大部分は複数の種類のセンサーや目視報告があることから実在の物体であると考えられること、うち18の事例については空中での静止や風に逆らうなど不自然な動きが観測されたこと、さらに一部は推進手段が確認できないにもかかわらず高速での移動、急激な方向転換、加速、あるいは観測を妨げる能力もしくは性質など、発達した技術をうかがわせるものがあったとしています。

報告書ではこうしたUAPについて、未確認の自然現象、ロシア・中国または別の国家や組織の技術によるもの、米国内の秘密計画により作られたものなど5つの可能性を挙げ、航空や国防への脅威となる可能性を認めつつ、解明には今後のさらなる調査・分析に向けた取り組みが必要となると結んでいます。

UFOあらため「UAP」報告書が公開、米情報機関を統括する国家情報長官室ODNIが5つの可能性を挙げる

説明のつかない飛行物体や空中の現象は歴史を通じて目撃されてきましたが、20世紀以降は特に軍事的要請からの観測が飛躍的に進んだこともあり、世界中で多数の証言が残るようになりました。

未確認飛行物体の頭文字「UFO」は、1950年代の米空軍がそうした事象を指すために用いた言葉。しかし宇宙人の乗り物説がSF映画などのメディアを通じて浸透した結果、現在のいわゆるUFOのイメージが定着しました。

米軍や情報機関がこの「UFO」を調査してきたことは公式の記録から分かっていますが、今回改めて話題になったきっかけは、そうした調査計画に関わった職員が2017年に3つの動画をメディアにリークしたこと。

動画は2004年から2015年にかけて、空母ニミッツとセオドア・ルーズベルト所属の戦闘機が記録したもの。高速に移動する正体不明の物体をパイロット含む数名が数分間にわたり目撃したほか、複数のセンサーに記録が残っています。

動画は世界でニュースになりましたが、半世紀以上にわたって「米軍が隠匿するUFOビデオ」ネタに慣れた世間は特に恐慌を来すこともなく、関係者の証言とともにスクープしたニューヨーク・タイムズは怪しい動画をセンセーショナルに伝えて世間の注目を浴びようとしている、UFO陰謀論者にお墨付きを与えると非難される始末でした。

しかしその後、国防総省は上院情報委員会からの照会に対しUAP調査計画の存在を認め、先にリークされていたものを含む動画を正式に公開。今回の報告書はこれを受けて、一連の「UFO」調査と航空・国防上のリスクについて、国家情報長官室が予備的な評価を伝える目的で作成しました。

こうした性格から中身はごく短く、本格的な分析の結論を伝えるというより、現状でどこまで把握しているのか、情報収集はどのような状態なのか、今後の方針はどうすべきか簡潔に伝える内容となっています。

短い内容をさらにまとめるなら、

  • とにかく情報が少なすぎて分からない。情報収集の体制が不十分
  • 技術的には、軍が備える各種センサーはミサイルや軍用機など既知の対象に最適化されているため、想定外の観測には不適切であり充分なデータが記録できていない
  • 制度的には、各軍や情報・諜報機関にはUAP目撃を正式に報告する仕組みも、情報集約の制度もなかった
  • 逆にUAPを目撃した場合も、報告したり話題にすることで不利な扱いを受けるとの証言がパイロットや諜報・情報機関の分析官から寄せられた。こうしたスティグマ(烙印)効果については、有力な科学者や政治家、軍や情報機関の高官が公の場でUAPを真摯な話題として扱うことで軽減されつつあるが、目撃者の多くは組織内での低評価を恐れ沈黙している可能性がある
  • UAP目撃時の正式な報告の仕組みは海軍が2019年3月に、空軍が2020年11月に導入するまで存在しなかった。このため、今回の報告で評価した2004年から2021年にかけての事例144件の大半は2020年と2021年に発生している
  • UAP調査タスクフォースは他の目撃例についてもたびたび伝聞的に情報を得ているものの、今回は上記の報告システムに寄せられた軍関係者からの証言のみを対象とした
  • 144件中、高い確度で正体を推定できたものは空気の抜けたバルーンと思われる1件のみ
  • 144件中、80件が複数のセンサーに記録されている
  • データセットが少なすぎ、傾向やパターンについて分析は難しい
  • うち18のUAPについて不自然な動きが報告されている(同じ対象について別々の目撃報告があったため、報告としては21件)
  • 推進手段が見あたらないにもかかわらず、空中での静止、高速移動、急な方向転換などが報告された
  • いくつかの例では、UAPと関連すると思われる電波が観測されている
  • わずかながら、UAPが加速やある程度のシグネチャーマネジメントと思われる挙動、性質を示したデータがある
  • こうしたデータが意味するところや信頼性については、複数の専門家チームによる分析が必要

軍事用語でのシグネチャーマネジメントはいわゆるステルスや熱光学迷彩など、識別を妨げる能力のこと。おそらくUFOの目撃証言にある変形や消失といった現象、センサーへの不自然な反応について述べているものと思われます。

目撃報告のスティグマ効果については、UAP(未確認空中現象)という用語自体も、軍や諜報関係者に忌避されるUFOという言葉を使わず「現象」としてニュートラルに扱う意味があります。

5つの可能性

データ不足としつつ、報告書では考えられる説明として5つの分類を挙げています。

  • バルーンやドローンなど、大気中の障害物
  • 自然の大気現象
  • 米政府または民間の非公開プロジェクトの産物
  • 中国、ロシア他の国家、あるいは非政府組織のテクノロジーによるもの
  • その他

その他は「分析、特定にさらなる科学的知識が必要になると考えられるもの」「理解には現在以上の科学的進展を待つ必要があるもの」という分類。

空のゴミや自然現象や秘密兵器ならば、原理はともかくそれが何なのかは分かりますが、「その他」は正体がわれわれの知らないものである場合の分類です。報告書では一切言及していませんが、もし仮に本当に宇宙人の乗り物だった場合はここに入ることになります。

脅威の評価

・UAPは航空の安全を脅かす。国防上の脅威となる可能性もある (他国の偵察機であった場合を含む)

・パイロットがUAPとニアミスした報告は11件

さらなる調査に向けた取り組みと提案

  • UAPタスクフォースの長期的な目標は、従来以上に広範な目撃証言や観測記録を収集し、分析対象となるデータセットを拡充すること
  • 当初の注力点として、人工知能 / 機械学習を用いてデータの類似点やパターンの発見を目指す
  • UAPタスクフォースは各軍や情報機関を横断した情報収集・分析ワークフローの開発を開始した
  • 観測範囲が軍事施設や訓練エリアに偏っていることが課題。解決策として、蓄積されてきたレーダーのデータを先進的なアルゴリズムで精査する提案
  • UAPタスクフォースの予算増やして

今回の報告書はあくまで予備的な報告であるため、議会はこれをもとにさらに詳しい説明や報告を求めるはずです。ODNIは議会に対し、今後90日以内に改めて情報収集戦略の改善策について、収集・分析に必要な新テクノロジー開発のロードマップについて報告する見込み。

宇宙人だったとして、わざわざ米軍の近くを堂々とウロチョロする理由についてはやはり分からずじまいですが、警戒システムの不備を含め、潜在的に国防上の懸念がある現象を目撃・観測しても、うっかり口に出したら「ああ、例のUFOの人(笑)」扱いになったり職務不適格な陰謀論ビリーバー扱いになって出世に響くことを恐れ見なかったことにせざるを得ないという、地球人の課題については納得感が高い報告書です。

Engadget日本版より転載)

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タグ:安全保障(用語)ODNI(組織)軍事(用語)テロ / テロリズム(用語)UAP / 未確認空中現象(用語)アメリカ(国・地域)

米空軍が地球規模のロケット貨物輸送プログラムを計画中、SpaceX以外の民間企業も選択肢見込む

米空軍が地球規模のロケット貨物輸送プログラムを計画中、SpaceX以外の民間企業も選択肢見込む

Gene Blevins / reuters

米空軍が、民間の航空宇宙企業の大型ロケットを使い世界のどこへでも貨物を輸送することを想定した小規模な開発プログラムを継続していると述べました。

米国防総省は”Rocket Cargo”と称するこの実験的プログラムはアメリカ宇宙軍(USSF)が主導することになると説明し「これまで陸送や空輸、船便では困難だった場所への貨物輸送を実現させるためにロケットの着陸能力や、大気圏再突入後に貨物を空中投下するための分離可能なポッドを設計し運用する能力を実証する」と予算案に記しています。

宇宙ロケットを使う輸送や旅行は2地点間を短時間で結ぶことを可能します。よりわかりやすく言えば、地球の裏側まで行くにしても、ほんの1時間ほどの時間で到着できる可能性があるということです。

この計画は2022年の予算案で約5000万ドルの要求と規模こそ小さいものの、昨年からのSpaceXとExploration Architecture Corporation(XArc)との契約による研究開発作業を継続します。

Rocket Cargoプログラムでは具体的には言及していないものの、30〜100トンの貨物を輸送でき、完全に再利用可能なロケットとしては、現在はSpaceXのStarshpが唯一の選択肢でしょう。

SpaceXはこれまでにStarshipのプロトタイプSN15を高高度まで上昇させ、地上に垂直着陸させるテストを成功させています(それまでにはいくつもの爆発がありましたが)。SpaceXはロケットを素早く再利用して再び宇宙飛行に送り出し、それを宇宙経由の定期便に発展させるという、これまでの使い捨てによるロケット運用とは全く異なるコンセプトの実現を目指しています。

ただStarshipプロトタイプであっても、まだ一度も軌道には到達できていません。また、空軍はこのプログラムにおける選択肢をより広くしたいと考えています。

米空軍でRocket Cargoプログラムのリーダーを務めるGreg Spanjers博士は、SpaceXの他にこのプログラムに対し潜在的にロケット供給が可能な民間企業として、NASAの月着陸船契約を競っていたBlue OriginやDyneticsの名を挙げました。さらにほかにもいくつかの企業と話をしており、まずはより多くの企業がこの分野に参入することを奨励するため、窓口とロードマップを整備するとしています。

(Source: CNBCEngadget日本版より転載)

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NASAがSpaceX、Blue Origin、Dyneticsの3社を月面着陸船の開発に指名
米国空軍の宇宙試験機「X-37B」が780日間の軌道滞在から帰還
米空軍の衛星打上選定はフェーズ2に、SpaceXがULAに先行

カテゴリー:宇宙
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