パンデミック下で成長する多種多様なフェムテック企業、従業員への福利厚生としても注目が集まる

女性の健康とウェルネスを支える技術「フェムテック」。McKinsey & Companyによると、2021年のフェムテック領域の資金調達総額は、25億ドル(約2830億円)に到達し、過去最高を記録した。

The dawn of the FemTech revolutio Published by McKinsey & Company(2022/2/14)


女性の健康とウェルネスに特化したVCであるCoyote Venturesと、フェムテック領域の情報配信やスタートアップサポートを行うNPO団体であるFemtech Focusの予測によれば、フェムテック市場は2027年までに1兆1860億ドル(約138兆円)の市場規模にまで成長するという。

そんなフェムテック業界だが、その注目領域も変化している。Crunchbaseによると、過去5年間は妊娠と子育てがVCの資金調達の最大のシェアを占めていたが、2021年に最も投資を集めたのは、プライマリ・ケアや予防医療領域だった。不妊や更年期など、困った時に頼るフェムテックから、すべての女性が常に自分の健康を守るために必要不可欠な技術になりつつあることがわかる。

欧米での盛り上がりを受け、日本でも注目が集まる領域だが、今回は、パンデミック後も続くと予測されるフェムテック業界のトレンドと注目領域について解説する。

新型コロナの影響で広まった手軽にできる自宅検査・治療

パンデミックによって、病院に行きづらくなったことを受け、遠隔医療や自宅検査キットが注目を集めた。これまで当たり前に診察や検査のために病院に行っていた人々が、パンデミックによって自宅でもできるという便利さを経験した。安全に病院に行けるようになっても、人々がこの便利さを捨てるとは考えにくい。実際に、2021年のMcKinsey & Companyの調査によると、調査対象の消費者の約40%が、今後も遠隔医療を利用すると回答しており、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)以前の遠隔医療利用者の11%から上昇している。

膣内マイクロバイオーム検査キットEvvy

Evvyは、膣内のマイクロバイオームの状態を分析し、健康状態の把握とライフスタイル改善アドバイスなどを提供する。General Catalyst、Box Groupなどから500万ドル(約5億7000万円)を調達している。

筆者も2021年末実際に試してみた。下記のように、検査キットが送られてくる。採取は簡単で、インストラクションを見ながら3分程度で終わった。

画像クレジット:Evvy

箱には「The female body shouldn’t be a medical mystery(女性の身体は、医療で解明できないミステリーであるべきではない)」と記されており、現状研究段階ではあるものの、マイクロバイオーム分析を通して女性の不調を改善したいという気概が感じられた。

次に、オンラインで質問に回答する。生理サイクル、健康の悩み、感染症歴や今回の検査で知りたいことなどを回答する。10分ほどの割と長い質問票だった。


​​採取したサンプルを送付すると、2週間ほどで結果がメールで送られてくる。結果を解説してくれるマイクロバイオーム専門家とのビデオコールも追加コストなしでリクエストできる。ビデオコールでは、自分の悩みを伝え、結果を見ながら改善方法などを教えてくれた。結果を見てもどのように実生活に活用すれば良いのか、わかりにくかったので、マイクロバイオーム初心者の筆者からするとありがたかった。

ユーザーは、3カ月ごとの定期検査のサブスクリプションモデルと1回のみの検査キット購入が選べる。定期的に検査することで、自分の健康状態を見てみたかったので、筆者はサブスクリプションを選択した。

細菌性腟症などの感染症は、一度なると再発しやすい。実際、一部のユーザーは、膣内感染症の再発を防ぐためのヒントを求めてEvvyにたどり着く。また、早産、不妊の可能性や予防法をマイクロバイオームから知りたいというユーザーもいる。

筆者が最も注目しているのは、同社のビジョンだ。まだ研究段階のマイクロバイオームだが、同社は今後、膣内マイクロバイオームと不妊、子宮頸がん、早産などとの関連を調査し解明するというビジョンを持っている。マイクロバイオームから自分の身体の状態を把握するという未来がくるのかもしれない。

カップルの唾液から遺伝疾患リスクを解明する出生前唾液検査キット

画像クレジット:Orchid ウェブサイトより

Orchidは、パートナー両方の唾液サンプルを送付するだけで60億ものゲノムを解析し、子どもが遺伝性疾患を発症するリスクが高いかどうかを判定する唾液検査キットを提供している。2021年4月、シードラウンドで450万ドル(約5億3000万円)を調達。遺伝子キットを開発、販売する23 and Meの創業者も出資​​している。

対象となる遺伝性疾患は、乳がん・前立腺がん・心臓病・心房細動・脳卒中・1型糖尿病・2型糖尿病・炎症性腸疾患・統合失調症・アルツハイマー病の10種類。唾液を送ると、カップル向け、女性・男性の各パートナー向けの3種類のレポートが送付される。

子どもを作る前に、遺伝リスクを検査するというアプローチをとる同社。心配な結果が出たとしても、遺伝カウンセラーと、リスクを最小限に抑える方法などを相談できる。

2020年にシリーズDラウンドで1億2100万ドル(約143億円)の大型調達を発表したSema4も、出生前検査・遺伝性がん検査を手がける企業だ。同社は、2020年フェムテック領域の中で最大額を調達した企業だった。

テレヘルスユニコーンRoが買収、精子分析・保存キット

画像クレジット:Ro

フェムテックではないが、精子を自宅で採取し、分析結果を送ってくれるサービスを提供するDadiを紹介する。同社は、2022年3月にテレヘルスユニコーンのRoに買収されている。米国の国保健社会福祉省によると、不妊症の約3分の1は男性の不妊症に関連しているため、精液の分析と保存は重要な不妊治療サービスだ。自宅で精子を採取した後、採取キットと保存カプセルの両方が、温度変化や提携ラボへの輸送中の障害などから精子を保護・保存するように設計されている。サンプルの分析が完了すると、精子の数、濃度、運動性の評価を含む個人別の報告書が送付される。また、採取した精子は提携ラボで冷凍保存される。

Roは、コアビジネスである勃起不全治療テレヘルスプラットフォームから、テレヘルス全体へ事業拡大を進めるため、過去12カ月に3社(Workpath, Kit, Modern Fertility)を買収している。

成功の鍵は、丁寧なインストラクションと行動に落とし込める分析結果表示

ここまで自宅検査のスタートアップを解説してきた。筆者自身、自宅検査を複数試して感じたのは、自宅検査ビジネスをグロースさせる上で重要なのは「わかりやすい検査のインストラクション」と「ユーザーが行動に落とし込める分析結果を提示する」という点だ。家庭で正しく検査するためには、動画や簡単なイラストなどで、わかりやすいインストラクションが必要だ。

また、検査を受けて良かったと感じてもらうためには、明日からできる行動の変化を促す分析結果を提示することが重要だろう。自分の状態を把握するだけでは、一度きりの購入で終わってしまう。消費者は「xxのサプリを毎日飲む」「○○の栄養素を避ける」「有酸素運動を30分する」など改善のための方法を知りたいのだ。

この満足感が、安定的な収益を達成するためのサブスク顧客獲得に繋がる。現状、専門カウンセラーとのビデオコールを提供し、テスト結果を解説することでこの部分を補う企業が出てきている。専門家たちは、医学的・生物学的な専門知識がない一般消費者をガイドする役割を担っている。ここでの問題点は、スケールだ。ユーザー数が増えるごとに、専門家の数を増やさなければいけない状況では、スケールは難しい。技術を活用し、ある程度自動化をしながら満足度も担保するようなサービスが、今後伸びていくと考える。

人材獲得戦争時代、さらに重要視される企業の充実した福利厚生

米国では現在、労働者が大量に仕事を辞めている。この現象は、大規模離職を意味する「グレイト・レジグネーション(大退職時代)」と呼ばれ、メディアで頻繁に報道されている。​​Fortuneが2000人以上の米国人労働者を対象に行った調査によると、80%が新しい仕事に就くことを考える際に柔軟なスケジュールが重要であると回答している。また、約70%の労働者がリモートワークの選択肢を重要視している。優秀な人材プールを惹きつけるためには、働きやすい環境を作ることが必須だ。そのため、企業は、福利厚生にこれまで以上に投資している。

パンデミックで完全リモートを経験した労働者たちは、今後も働きやすさを求めている。この流れは、B to B to E(Employee)モデルと呼ばれるかたちで、企業向けに福利厚生としてのソリューションを提供するフェムテック企業にとって追い風となる。

働く親のための福利厚生プラットフォーム​​

画像クレジット:Cleoウェブサイトより

従業員は、Cleoを通して、育休からの復職時に悩みを相談できる専門家や、子どもの健康の専門家、助産師や産後うつ専門家などにアクセスできる。同社は、Pinterest、Uber、Upwork、Salesforceなどを含む、55カ国以上の100社を超える多様な企業に導入されている。​​実際、産休・育休後の復職率は、全米での平均が60%であるのに対し、Cleo会員は92%と改善している。

妊娠・出産のサポートから始まった同社のサービスだが、現在は、5歳から12歳の子どもを対象とするCleo Kids、ティーンエイジャーの子どもを対象とするCleo Teensにも拡大している。

多様なニーズに応える福利厚生の変化

画像クレジット:Carrot Fertilityウェブサイトより

これまで対面での不妊治療を中心に提供してきた福利厚生プロバイダーも、パンデミックを受け、そのサービス提供内容と方法をユーザーの求める形に変化させている。

企業の従業員向けに不妊治療を提供するCarrot Fertilityは、SlackやBox groupなど北米、アジア、ヨーロッパ、南米、中東の50カ国以上で、約200社の企業​​を顧客に抱える。これまで約135億円($115M)を調達している。同社は、パンデミックで通院を避けたい患者のニーズを受け、2020年8月に遠隔医療プラットフォームのCarrot at Homeを開始した。また、2021年12月には、自宅で排卵誘発ホルモンや関連バイオマーカーをモニタリングできる自宅検査キットの提供も開始している。2022年2月には、更年期障害向けのプランも追加した。

従業員それぞれのニーズが異なる点に注目し、福利厚生をパーソナライズできるプラットフォームも登場してきている。

画像クレジット:Nayyaウェブサイトより

2022年2月にシリーズCラウンドで5500万ドル(約64億円)を調達したNayyaは、企業の人事福利厚生システムに組み込んで、従業員のための福利厚生をパーソナライズするツールを提供している。

RPAを使って、従業員がプランをより良く選択し、節約する方法を見つけ、より良い支払いオプションを提供し、保険などの福利厚生を総合的にナビゲートできるようにしている。

画像クレジット:Forma

Formaは、​​裁量型福利厚生管理プラットフォームを提供している。同社も2022年2月、シリーズBラウンドで4000万ドル(約47億50000万円)を調達した。同社は、人事担当者が、従業員による福利厚生ベンダーの選定、払い戻し手続き、デジタルウォレットによるプラン利用をチェックできるようなシステムを構築している。

同社によると、企業の福利厚生は通常、企業が従業員に必要なものを決定するトップダウン・モデルで展開されており、これは雇用者と従業員の双方にとって非効率的だという。Formaの使命は、従業員ファーストの福利厚生プログラムを設計することによって、この関係を逆転させることだ。

Formaはプロバイダーと提携し、家族・人間関係、教育・キャリア、ウェルビーイング・ライフスタイル、基礎健康・保護、資産運用、仕事・パフォーマンスの6つの大きなカテゴリーで福利厚生を提供する。Formaの顧客は、社内の予算と戦略に基づいて、これらのカテゴリーから提供するものを選び、従業員に提供したい福利厚生プログラムを設計することができる。

Twitch、Stripe、Zoom、Lululemon、Palo Alto Networks、Squareなど、前年比330%の125社を顧客に抱えており、定着率は99%だという。この1年間で同社は収益を4倍に増やした。

優秀な人材を惹きつけ、繋ぎ止めるために、今後も企業の従業員への投資は、続いていくだろう。​​上記のパーソナライズ福利厚生が成功していることからも、従業員それぞれニーズが異なっており、企業がそのニーズに応えようとしている姿勢が感じられる。

編集部中:本稿の執筆者は大嶋紗季(Saki Oshima)。日本企業と海外スタートアップの新規事業創出を手がけるスクラムスタジオで、大企業とスタートアップのオープンイノベーションを支援するスタジオ事業部門に所属し、既存プログラムの運営や新規プログラムの立ち上げに従事する。各プログラムで培った日本企業とスタートアップをつなぐ経験を生かし、米国スタートアップ情報プラットフォームScrum Connect Onlineの立ち上げ、運営を担当する。欧米のフェムテックトレンドやサービスを日本語で配信。日本初のフェムテックコミュニティFemtech Community Japan創立メンバー。UCサンディエゴ大学院修了(MBA)。

 

なぜVCは更年期障害に取り組むスタートアップにもっと投資しないのか?

近年「フェムテック」への注目度が高まり、デジタルヘルスアプリから、より新しいところでは再生医療企業まで、何十ものスタートアップが誕生し、ベンチャー資金を集めている。

そうした資金調達の多くが不妊症に関連するもので、その理由は容易に理解できる。米疾病予防管理センターによると、出産経験のない15〜49歳の米国女性のうち、26%が妊娠または満期出産までの妊娠の継続で困難を抱えている。

しかし、創業者や投資家は人口の半分が影響を受ける更年期障害というさらに大きなチャンスに徐々に気づきつつある。1960年代後半に始まった核家族への移行や平均寿命の伸びなどにより世界の人口動態が高齢化する中で、更年期障害は注目されつつある(1980年から2016年にかけて、出生時の平均寿命は73.7歳から78.6歳に伸びた)。

数字が示唆するのは、チャンスだ。実際、最近の国連のデータによると、総人口における高齢者の数は急速に増加している。65歳以上は2020年に世界で7億2700万人だったが、2050年にはその数は15億人に倍増すると予想されている。リバースモーゲージ型の融資会社や高齢者向け在宅介護サービスのスタートアップなど、高齢者層に対応した企業が増え始めているのはそのためだ。

しかし、更年期障害は明らかに巨大な市場であるにもかかわらず、依然として少額の投資しか集めていないのが現状だ。Crunchbaseのデータによると、過去12カ月間で資金を獲得した更年期障害に対応するスタートアップはわずか12社だった。

そうした資金調達の最新例がVira Healthだ。同社は更年期を迎える女性にパーソナライズされたデジタルセラピューティクス(デジタル治療)を提供しており、今週第2ラウンドの資金調達(約14億円)を発表したばかりだ。この取引は、女性の性の健康と更年期に焦点を当てたオフラインセンターの開設を目指している(現在2カ所を運営している)企業、HerMDが先月発表した1000万ドル(約12億円)のラウンドに続くものだ。一方、再生医療によって更年期障害を遅らせ、根絶することを目指すGametoは1月に2000万ドル(約24億円)の調達を発表した。

他の企業、それも似たり寄ったりの企業に投資されている金額と比べれば端金だ。閉経前から閉経後にかけての女性は往々にして消費力の絶頂期にあることを考えると、なおさら衝撃的だ。

投資家が躊躇する理由は、投資家の多くが男性であり、自身は更年期を経験しないなど、たくさんある。実際、これまで資金を調達した企業のほとんどは、女性VCから小切手を受け取っている。

更年期を経験する女性向けの消費者ブランドで「ブレイク」したものはない。

最もコストのかかる投資であるホルモン補充療法の開発は、製薬会社にとって大きな利益をもたらすことが証明されているが、安全性の問題にも悩まされており、新薬の展開には失敗がつきものだ(日本の多国籍製薬会社であるアステラス製薬は、アジアでの第3相試験で失敗した最新の例だろう)。

それでも、利益を求める投資家は、市場としての更年期障害に厳しい目を向けるかもしれない。近年の生物学、コンピューティング、自動化、人工知能の進歩により、さまざまな関係者が更年期障害への関心を高めており、再生医療(失われた組織や臓器の機能を修復・代替するために生きた機能組織を作り出すプロセス)に注目している関係者もそこには含まれている。

例えば、Future Venturesが出資しているGametoは、細胞療法を用いて卵巣が臓器として機能しなくなるまでの期間を延ばし、高血圧、心臓病、骨粗鬆症など更年期に関連する一部の症状を遅らせようとしている(同社のCEOは、女性は長生きしているのだから、より質の高い生活を長く送る権利があると信じている)。

治療法の可能性を示唆する証拠も増えてきている。例えば、更年期障害が女性の脳に与える影響について、研究者は今ようやく気づき始めたところだ。

「ほてり、寝汗、不安、うつ、不眠、物忘れなど、更年期障害の症状の多くは卵巣が直接作り出すものではありません」と、ワイルコーネル医学部の神経学准教授で女性の脳イニシアチブ責任者のLisa Mosconi(リサ・モスコニ)氏は7月にニューヨークタイムズ紙に語っている。「これらは脳の症状であり、脳は少なくとも卵巣と同じくらい更年期障害の影響を受けるものと見るべきでしょう 」。

兆候や症状を和らげ、慢性的な症状の管理を助けるなど更年期を経験する女性向けのブレイクしている消費者ブランドはないが、それらは間近に迫っているかもしれない。

1つだけ確かなことがある。更年期障害分野は急成長している、ターゲットが豊富な未開拓市場、ということだ。さらに、カテゴリーを代表するブランドの後ろ盾となるチャンスもあり、なぜVC、そして創業者は、更年期障害にもっと目を向けないのだろうかと不思議に思うのは当然だ。

画像クレジット:Ja_inter / Getty Images

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(文:Connie Loizos、翻訳:Nariko Mizoguchi

「高齢者に役立つテクノロジーはすべての人の役に立つ」とスタートアップはCESで示す

2022年のCESではエイジテックのスタートアップが可能性の広さを示した。テクノロジーが高齢者の生活をもっと快適にする助けになるなら、他の多くの人々の助けにもなるだろう。移動のサポート、健康状態をモニタリングするプラットフォーム、長期的な資金計画などが役に立つのは高齢者に限ったことではない。

米国時間1月5日、筆者はAARP Innovation Labsのバーチャルプレゼンに登場したスタートアップの記事を公開した。このプレゼンではファイナンスのリテラシーに関するプラットフォームから更年期対策プロダクトを開発するD2Cのスタートアップまで、さまざまなテーマが取り上げられた。

TechCrunchでは他にも、開閉式のトレイシステム、棚、オプションの冷蔵庫を備えたLabrador Systemsのロボットカート「Retriever」を紹介した。最大25ポンド(約11.3kg)を運搬できるRetrieverは移動に制限のある人の助けとなり、家庭で洗濯物や食事などを運ぶことができる。このカートはAlexaの音声コントロールにも対応している(同社はAmazon Alexa Fundの支援を受けている)。

関連記事:Labrador Systems、高齢者や不自由がある人を助ける支援ロボットの手を2023年までに家庭へ

Sengledは心拍数や体温、睡眠の記録などをレーダーでセンシングして健康状態を把握できるスマート電球を発表した。スマートモニタは新しいアイデアではないが、Sengledの電球は極めて控えめだ。TechCrunchのハードウェア担当編集者であるBrian Heater(ブライアン・ヒーター)は「転倒検知など、高齢者介護に役立つ可能性のあるアプリケーションを搭載している」と記している。

関連記事:この電球はユーザーの健康状態をモニターする

テック大手が家庭用ヘルスモニタリングに参入する傾向も続いている。LGは、2021年と2022年の同社の全スマートテレビにリモートヘルスプラットフォーム「Independa」のアプリをインストールすると発表した。これにより、ユーザーはLGのテレビで遠隔治療の予約を取り、薬剤給付のプランを利用できる。

医療機器スタートアップのEargoは、最新の補聴器「Eargo 6」を発表した。新機能として自動で設定を調整する専用アルゴリズムの「Sound Adjust」を搭載し、ユーザーは騒がしい環境で手動で切り替えをして会話を聴きやすくする必要がなくなる。また、Eargoのアプリで選択できる環境設定の「マスクモード」も追加され、マスクをつけている人の話がこれまでよりクリアに聞こえるようになる。

Sensorscallは、Apple WatchやFitbitなどのヘルストラッキングデバイスと統合されたリモートモニタリングアプリ「CareAlert」のアップデートを公開した。家族や介護者は新しい健康状態ダッシュボードを通じて、毎日のルーティン、睡眠パターン、衛生の状況、キッチンの使用に関する傾向を見ることができる。CareAlertを開発したのは、自立して生活する(つまり住み慣れた家で生活し、その多くは家族と離れている)高齢者だ。

BOCCO emoロボット

BOCCO emoは介護施設での見守り用に作られた最新のロボットだ。開発したのはクッション型ロボットのQooboを作ったユカイ工学で、テーブルに置ける小型のBocco emoは医療用のIoTデバイスと接続して患者のバイタルを監視し、状態を看護師に通知する。患者が助けを必要とする場合は、看護師が到着するまでBOCCO emoが患者に話しかける。患者の状態を家族に知らせることもできる。BOCCO emoはすでに日本で試験運用を実施し、現在は日本国内の病院で使われている。この小さなロボットは「emo言語」を使う。ユカイ工学はこれについて、ユーザーの話と感情を理解し、それに応じて「効果音、顔の表情、ジェスチャー」で反応するものと説明している。

IoTセンサーを活用して自立した生活を支援するスタートアップには、Nodeus SolutionsのKoKoonがある。これはモバイルアプリに接続された小さなIoTセンサーのネットワークで、介護者や家族を対象としている。アルゴリズムが個人の習慣を学習し、行動に変化があれば介護者に知らせる。

IoTセンサー、AI技術、モバイルアプリを組み合わせたスタートアップとしては他にCaregiver Smart SolutionsUnaideSmart Macadamがある。

画像クレジット:Marko Geber / Getty Images

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(文:Catherine Shu、翻訳:Kaori Koyama)

個人に合わせた更年期障害緩和のためのアプリを開発するVira Health

スタートアップの世界では、次々と新しいトレンドが生まれており、その多くは早すぎるということはない。なぜ、上級職に就く女性は少ないのだろうか?その理由として、更年期を迎えた女性は、一般的にリーダーシップを発揮できなくなるということが知られている。英国での調査によると、更年期は約1400万日の労働損失と100万人の早期退職の原因となっているという。実際にTechCrubchでは、従業員の健康管理によってこの問題に取り組んでいる新しいスタートアップ「Peppy(ペピイ)」について報じたばかりだ。

そして今回、Vira Health(ヴィラ・ヘルス)というスタートアップ企業が、LocalGlobe(ローカルグローブ)とMMC Ventures(MMCベンチャーズ)から150万ポンド(約2億3000万円)のシード資金を調達した。この投資ラウンドには、Hearst Ventures(ハースト・ベンチャーズ)のイケダ・メグミ氏、Elvie(エルビー)のAndrea Zitna(アンドレア・ジトナ)氏、Sophia Bendz(ソフィア・ベンズ)氏、Matt Robinson(マット・ロビンソン)氏、Simon Lambert(サイモン・ランバート)氏などのエンジェル投資家も参加した。

Andrea Berchowitz(アンドレア・バーチョウィッツ)氏とRebecca Love(レベッカ・ラブ)氏が2020年に設立したVira Healthは、個人に合わせた更年期ケアを目的とする会社だ。同社の最初の製品である「Stella(ステラ)」は、12週間の更年期障害治療計画、ヨガクラスや婦人科医とのQ&Aなどのコンテンツやバーチャルイベントを主な特長とする、更年期障害緩和のためのアプリである。

Vira Healthの共同設立者であるバーチョウィッツ氏は、次のように述べている。

女性の健康問題は、歴史的に研究や投資が十分ではなく、現在もその傾向が続いています。今こそテクノロジーを利用して、ヘルスケアにおける女性のデータの収集や使用法を改善し、このバランスを是正する好機です。今回の第1回目のシード資金調達ラウンドは、私たちのビジョンを実現するための一歩です。

LocalGlobeの投資パートナーであるRemus Brett(リーマス・ブレット)氏は次のように述べている。「更年期障害は女性の人生の大きな局面に当たりますが、現在の医療システムでは、女性が必要とする多面的かつ長期的なサポートを提供することが困難です」。

MMC Venturesの投資家であるAlexia Arts(アレクシア・アーツ)氏は、次のように述べている。「MMC Venturesにおいて、ヘルスケアは研究と投資の重要な分野です。私たちは、ヘルスケアの実践と提供の仕方を再構築するために、データ分析を取り込み、活用することに、大きな可能性を見ています。これは特に、性差によるデータの偏りがあることが立証されており、その解決が求められる女性のヘルスケアにとって大きな意義があります」。

Vira Healthを設立する以前、バーチョウィッツ氏はMcKinsey & Company(マッキンゼー・アンド・カンパニー)のアソシエイト・パートナーとして、官民を問わず女性の健康に関わる仕事をしていた他、Bill and Melinda Gates Foundation(ビル&メリンダ・ゲイツ財団)の中東地域における活動を率いていた。

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カテゴリー:フェムテック
タグ:Vira Health女性更年期資金調達ヘルスケア

画像クレジット:Vira Health

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(文:Mike Butcher、翻訳:Hirokazu Kusakabe)