ストックフォトShutterstockの中国検閲問題はハイテク企業が対中関係を見直すべき契機

あまりに強烈な印象を残すために1枚の写真がその時代の象徴となることがある。1989年の天安門事件の際に無名の青年が戦車の隊列の前に立ちふさがっている写真がその1つだ。フォトグラファーの Jeff Widener(ジェフ・ワイドナー)氏はこの写真で軍隊によって強権的に自由を弾圧しようとする中国の支配体制とそれと戦う市民の姿を世界の目に焼き付けた。

この写真は「インターネットの万里の長城」と呼ばれる中国の巨大検閲システムの内側でほとんど見ることができない。「無名の反逆者」ないし「タンクマン」の写真がブラックホールに投げ込まれ、中国の十数億人の記憶から消されたのはジョージ・オーウェルの小説「一九八四年」そのままだ。

Baidu(百度)などの中国の検索エンジンが政治的検閲を受けていることは今ではよく知られている。売上の大半を国内で上げている中国企業が、中国共産党によって定められた法や規則に抵触しないよう細心の注意を払っていることは、賛否は別として十分理解できる。

しかし現在問題になっているのは検閲に従い、協力しているのが中国企業に限らないという点だ。検閲協力企業には西側のハイテク企業が多数含まれている。しかし自由主義国の企業の社員は中国の反自由主義的政策の強制を助けるような作業をすることに強い不快感を抱いている。

最近の例の1つはストック写真を提供するShutterstockだ。同社は中国の「グレート・ファイアーウォール」検閲システムに協力したことが暴露されて強い非難を浴びている。先月、ベテラン・ジャーナリストのSam Biddle(サム・ビドル)氏がThe Interceptに掲載した記事によれば、Shutterstockは自由主義的価値を守ろうとする従業員と上り坂の広大な中国市場でなんとしてもシェアを獲得したい経営陣の間で深刻な分裂に見舞われているという。

ビドル氏は「Shutterstockが検閲機能を実装したことは社員の間に即座に強い反発をもたらした。180人以上のShutterstock社員が検索ブラックリストを作製する機能に反対する請願に署名し、中国市場でシェアを獲得するために自由主義的価値を放棄するものとして会社の姿勢を批判した」と書いている。

Shuttersotckの方針はこの請願でもまったく変わらず、LinkedInのプロフィールによれば、同社にフロントエンドのデベロッパーとして10年近く勤務したというStefan Hayden(ステファン・ヘイデン)氏が辞職するだけに終わった。

今日は私のShuttersotock最後の日となる。ここで9年間働いてきたが、倫理上の見解の相違が解決しないため会社を離れることとした。

しかしこの問題が政治的時限爆弾であることはShutterstock自身も認めざるを得なかった。同社が最近、SECに提出した年間財務報告によれば、重要リスク要因として「検閲機能」と「中国市場へのアクセス」を挙げている。

【略】

つまりこれがカギだ。「市場アクセス」のためならShutterstockは同社がよって立つ基盤である映像コンテンツへの自由なアクセスを犠牲にしてもいいというわけだ。これはストック写真を提供するSutterstockだけに限った問題ではない。この数週間、中国に対する姿勢が激しく批判されているNBAもこうした状況に置かれているのだろう。

Shutterstockの社員が自由とデモクラシーのために立ち上がったのは素晴らしいことだ。たとえ社内で十分な支持を得られなくとも、そうした価値をもっと重視する会社に移ることはできるはずだ。

残念なことに、ドルと元を追求するのに夢中でそれが自身のビジネスの根本的な価値を蝕むことを考ない企業、特にハイテク企業が多すぎる。売上と倫理の間に矛盾が起きればをそのつど慎重に比較衡量することが企業の方針とならないかぎり、この腐食は蓄積する。そうしてShutterstockが直面しているような困難に行き当たるだろう。

中国経済の急成長によって倫理問題の困難も一層拡大された。自由主義経済の企業が中国大陸でビジネスをする際に求められる根本的価値に関する内省と敏感さは新たなレベルに高まったといえる。しかし多くの企業の経営陣はこうした価値とそれが社員、株主にもたらすすリスクに関してきわめて貧弱な知識しか持っていないようだ。

今年初め、Google(グーグル)に中国問題が起きたときに「インターネットが社会の他の要素と切り離されたテクノロジー分野だという考えは100%死んだ。シリコンバレーの企業、社員には倫理的にものを考えるという困難が挑戦が待ち受けている。我々の行動はすべてなんらかの意味で妥協だ。新しい価値を創造すること―これこそシリコンバレーのスタートアップの環境でもっとも重要とされることだが―この創造そのものが著しい不平等の源となっている」とコメントした。

私は中国から撤退したGoogleの決断に全面的に賛成したが、Googleの正しさも相対的なものだ。第一、現在決定を迫られたのであれば決定は違ったものになっていただろう。またGoogleの行動があらゆる面で非の打ち所がないというつもりもない。しかし追求すべき価値が何であるかについて考えてきた点では他の多くのハイテク企業をしのぐと思う。

米国企業はそのビジネスを可能にしている米国社会の自由主義的価値を守るために全力を挙げるべき時期だ。.妥協を重ねていけば最後には守るべき価値をすっかり失ってしまうだろう。

中国は無視するにはあまりに巨大な存在だろう。しかし、いかなる企業も自由かつ民主的な社会を守るという根本的な責任を無視してはならない。 「無名の反逆者」が戦車の隊列の前に立ちふさがることができたなら、米国企業の経営陣は社員ととも倫理的に正しい諸価値を守る隊列の先頭に立つことができるはずだ。

画像:: Ashley Pon/Bloomberg/ Getty Images

原文へ

(翻訳:滑川海彦@Facebook

TikTokはウイグル人虐待に関する動画を削除したことを「人的ミスだった」と謝罪

TikTokは、新疆自治区でのウイグル人とイスラム教グループの虐待にことをみんなに調べて欲しいと投稿した十代の女性のアカウントを一時的に停止した一件を、公式に謝罪した。TikTokは「出来事の時系列に関する説明」をすると共に、そのバイラルな動画が11月23日に投稿されてから4日間、「モデレーターの人的ミス」のために削除されていたと話した。それはTikTokプラットフォームのコミュニティー・ガイドラインには抵触しないという( @getmefamouspartthreeのアカウトと問題の動画は今は復活している)。

だが、ツイッターで「ただ広く知ってもらいたいイスラム教徒」とプロフィールを書いている本人のFeroza Aziz(フェロザ・アジズ)氏は、TikTokの声明を拒絶し、こうツイートした。「私が以前に削除されたアカウントで投稿して削除された、関係のない前の風刺的な動画のために排除されたなんて信じられる? ウイグル人に関する3部構成の動画を投稿した直後に? うそよ」

TikTokが削除した動画で、アジズ氏はまず、見ている人たちにピューラーを使うよう求め、次にこう話している。「今手に持ってるその携帯を使って、中国で何が起きているかを検索してください。彼らが強制収容所を建設し、そこに罪のないイスラム教徒を放り込み、家族を引き裂き、誘拐し、殺し、レイプし、豚肉を食べるよう強制し、飲酒を強制し、改宗を強要しています。これは新しいホロコーストです。でも、まったく問題にされていない。ぜひ、このことを知ってください。新疆について知ったことを、今すぐ拡散してください」

TikTokはByteDance(バイトダンス)が所有する企業であり、問題の動画の削除は、北京に本社を置くバイトダンスが中国共産党の圧力に屈したためだとの説を呼び起こした(バイトダンスが提供するTikTokの中国版ドウインは、他の中国のプラットフォーム同様に法的検閲の対象になっている)。

中国に暮らすイスラム教少数民族への中国政府の指示による虐待は数年前から行われていて、およそ100万人の人々が強制収容所に拘束されていると見られているが、この事態が注目を集めたのは今月になってからだ。それは、2回にわたって漏洩した中国政府の重大な機密情報をニューヨーク・タイムズ国際調査報道ジャーナリスト連合が報じ、元収容者、目撃者、研究者の報告を裏付けたことによる。

アジズ氏は、バズフィード・ニューズに対し、中国少数民族の迫害については2018年から話題にしていると話している。なぜなら「私自身がイスラム教徒で、いつも抑圧され、仲間が抑圧されるのを見てきて、ずっと人権に関心があったから」という。

TikTokが謝罪投稿を行う前にバズフィードに掲載された記事では、アジズ氏のアカウント停止は、彼女が以前にオサマ・ビン・ラーディンの画像を含む別の動画に関係しているとTikTokは主張していた。その動画は、有名人をもてはやすネット上のネタを揶揄するもので、アジズ氏はバズフィード・ニューズに「あれは、究極的には彼だよねというブラックジョーク。まともな人間なら、絶対にそんなことは言わないから」と話している。TikTokの広報担当者は、「いずれにせよ、テロ関連コンテンツに関する規約に反する」と言っている。

「その動画が風刺であることは私たちも認識できますが、その分野に関する規約は、現在非常に厳格化されています。その手のいかなるコンテンツも、特定され次第、コミュニティー・ガイドラインと利用規約に違反したとみなされ、アカウントと関連デバイスは永久追放されます」とTikTokの広報担当者はバズフィードに話している。さらに、お化粧のチュートリアル動画を投稿しているアジズ氏の2つめのアカウントの停止は、前に停止されたTikTokアカウントにリンクされた2406のデバイスのブロックの一環とのことだ。

今日(米国時間28日)のTikTokの謝罪を受けて、TikTok USの安全担当責任者Eric Tan(エリック・タン)は、このプラットフォームはコミュニティー・ガイドラインと人間のモデレーターを「第二防衛ライン」として支えるテクノロジーに依存していると書いている。

「このプロセスが完璧でないことは、私たちも時折認識しています。本日の@getmefamouspartthreeの動画のケースのように、人は間違いを犯すものです」と彼は続ける。「しかし、こうしたミスが発生したときは、私たちは迅速に対処し修正します。トレーニングや、同じミスを繰り返すリスクを減らすための改善を行い、私たちが犯した過ちに対して、完全に責任を追うことにしています」

だがアジズ氏は、ワシントンポストにこう話している。「TikTokは、すべての問題を隠そうとしています。私は決して譲りません」

TikTokは、ユーザーの個人情報の管理に関するアメリカ政府による調査を受けることになり、論争が巻き起こっている。ロイターは27日、今年の第三四半期内に製品事業開発とマーケティングおよび法務部門をドウインから分離する計画をTikTokが立てていると伝えた。

[原文へ]
(翻訳:金井哲夫)

Facebookは言論の自由ではない、暴言に最適化された増幅アルゴリズムだ

Mark Zuckerberg(マーク・ザッカーバーグ)氏は10月17日に講演を行い、「すべての人に発言力を与える」こと、そして「できる限り表現の自由の定義を広く保つ」ための戦いを称賛していた。もちろん、それはいい考えだ。表現の自由は、彼の道標ではないにしても、リベラルな民主主義の道標だ。それに反論する人間はいないだろう。

問題は、Facebook(フェイスブック)が言論の自由を与えていない点だ。それが与えているのは、自由な増幅だ。最初のころのFacebookのように、誰かのページや暴力的な投稿を読むために、そこまでわざわざナビゲートしなければならないとしたら、たとえ嘘であろうが憎悪に満ちた内容だろうが、ほとんど問題にされない。

だが人々がFacebookで実際に読んでいるのは、自分のニュースフィードだ。その中の投稿は、すべての人に同等の発言力を与えられた結果として表示されるわけではない。厳格な時系列に沿って表示されるわけでもない。私たちがFacebookで読んでいる内容は、完全にFacebookのアルゴリズムによって選ばれたものだ。ニュースフィードが自由な言論の場であり、増幅もほとんどされない場だと勘違いしている人からしてみれば、めちゃくちゃ排除され、めちゃくちゃ検閲されている場所だ。

では、増幅とはなんだろう?投稿内容には2つの形式がある。通常のネイティブコンテンツは、エンゲージメントを高めるアルゴリズムにより最適化される。これは、人々にFacebookでより長い時間を過ごさせるためのものだ。それにより、増幅されたもうひとつの形式のコンテンツ、つまり有料広告に触れる時間が長くなる。

もちろんこれは完璧ではない。ザッカーバーグ氏が講演で述べていたように、Facebookは捏造記事や誤った医療情報などが拡散しないように阻止する努力をしている。それがなくともアルゴリズムによって排除されるにも関わらずだ。しかしザッカーバーグ氏は、有料広告による政治的な誤情報の拡散は阻止しないと決意している。

この決断には、私は個人的には同意できないし、分別のある人なら、合意しにくい問題だろうと私は考える。ところが、それを言論の自由を擁護するためだと主張するのは、非常に不誠実なことだと私は感じた。もし誰かが、どこかのプラットフォームなりネットワークに露骨な偽政治広告を出そうとして掲載が拒否されたとき、それを言論の自由に対する攻撃だと真剣に考える人はいるだろうか?いるはずがない。それに対する反論には、まともに応じる必要もない。

だがさらに深刻なのは、アルゴリズムが内容を感知していなければ公正だとFacebookが考えているらしい点だ。ザッカーバーグ氏が人々に発言権を与えることに言及したとき、彼が本当に意味していたのは、Facebookのアルゴリズムによって選ばれた人に発言権を与えるということだ。「人には大規模に自己表現をする力があります。それは世界の新たな権力、第5権力です」と彼が発言したとき、その真意は、Facebookのアルゴリズムこそ第五権力だという点にあった。

その信念とは、明らかに、法律が求め社会契約が示唆する必要最低限のことを超えたコンテンツに基づく人間の判断、つまり、彼が講演の中で指摘していたヘイトスピーチ、嫌がらせ、危険な偽医療情報のフィルタリングは、危険で間違っていて、それはネイティブコンテンツにも有料広告にも通じるというものだ。それに従えば、Facebookのアルゴリズムは、コンテンツに関与しない限りは完全に公正ということになる。

だがこの信念は、完全に間違っている。これまで見てきたとおり、「エンゲージメントのための最適化」は、怒りや二極化や不誠実な偽情報のための最適化であることが非常に多かった。それぞれの問題に関して特定の側に味方することは、たしかになかった。しかしそれは、どちらの側でも、極論、陰謀説、感情的な罵倒を助長してきた。不信感、疑念、争いをいたるところで煽ってきた。私たちは、ずっとそれを見てきた。その中に私たちは暮らしてきた。

Facebookの、内容に関わらず政治広告を承認するという判断は、本質的には、彼らのアルゴリズムがエンゲージメントを最適化する方法の理論的な延長線上にある。それは、内容に基づく判断をしない限り、現在進行中の、今後永遠に続く、人々に何を見せて、何を見せないかの操作(これが言論の自由に反するとお考えなら検閲と読んでもいいだろう)は、したがって公平かつ公正なのだと物語っている。こうした考え方には、10年前いや5年前までは対抗できた。しかし、今はもう対抗できない。

これはもう、変えられないことでもある。Facebookのそもそもの罪は広告ではない。それは利用者にもっと広告を見せることを目的としたエンゲージメントのための最適化だ。Facebookが世界のポジティブな力になるためには、そこを変える必要がある。とは言え、彼らは決して変わらないだろう。なぜなら、そのエンゲージメントこそFacebookのビジネスモデルの基本だからだ。

[原文へ]

(翻訳:金井哲夫)

天安門事件に関するネット上の情報を弾圧する中国政府の手口

毎年6月4日の天安門虐殺記念日が近づくと、中国政府は人々がインターネットで目にする情報の管理を強化し始める。今年は、学生や活動家やその他の中国共産党に抗議する人たちに対して政府が軍を動員し、武力で抗議行動を鎮圧した日から30年目となる。検閲の動きは強化され、その影響は中国国外のソーシャルネットワークのアカウントにまで及ぼうとしている。

当初から中国政府は、300人が死亡したとされる虐殺に関する情報の統制に努めてきたが、国際アムネスティやその他の国際的な監視団体は、死者数はずっと多く、数千の単位に達した恐れがあると主張している。

情報統制とは、当時抗議行動に参加した活動家たちがいまだにその余波に苦しみ続け、長期刑に服している人たちもいるなかで、あらゆる年代にわたり、事件に関する知識がほとんど伝わっていないことを意味する。近年は政府の検閲手段がさらに強力になり、音声と画像の認識技術や機械学習によって、関連記事のブロックや削除が簡単に一挙に行えるようになった。ByteDanceでコンテンツの検閲を行っている従業員は、ロイターにこう話している。「人工知能はメスで、人間は大鉈だと、よく話しています」

毎年政府が行っている情報弾圧のなかでも、今年もっとも注目すべきものは4月に始まった。そこでは、天安門抗議行動やチベットに関するデリケートな問題を中国語で述べた記事や個人的な意見だけでなく、あらゆる言語のウィキペディアが中国国内でブロックされた。

5月には、動画共有サイトBilibiliとAcFunのリアルタイムのコメント機能を停止し、60万人の会員を抱えるセレブのゴシップやニュースを扱う人気フォーラム豆瓣小組(Douban Goose Group)は、5月30日から6月29日までサービスを取り止めている。どちらのサービスも「システムのメンテナンス」が必要なためと主張している。

https://platform.twitter.com/widgets.js
記念日に備えて、Bilibiliはブレットスクリーン(リアルタイムコメント)を6月6日まで停止します。

インターネット上の会話も、すでに中国政府により厳しく管理されていて、どのウェブサイトでも、アカウント登録するユーザーの実名確認が要求される(たとえば、電話番号が政府発行のIDと一致するかなど)。豆瓣小組では、よく政治関連の話題がのぼるが、一層厳しい規制が加えられたようだ。BilibiliとAcFunのリアルタイムコメント(弾幕と呼ばれている)では禁止コンテンツのモニターが難しいが、政府は最近になって、そのコメントを検閲するための新しいガイドラインを発表した。彼らの統制力を維持する上で、検閲は今なお力を振るっている。

つい最近では、非常に広く普及しているメッセージとゲームとEコマースのプラットフォームWeChatが、ユーザーの顔写真、別名、What’s Upのステータスの変更を禁止した。そして先週末、ユーザーからVPNサービスの接続に関する苦情が寄せられるようになった。このサービスを使えば、以前は中国本土のファイヤーウォールを迂回して禁止サイトにアクセスできていた。

https://platform.twitter.com/widgets.js
システムメンテナンスのため、現在、顔写真、別名、What’s Upステータスの変更はできません。その他の機能は通常どおりです。ご不便をおかけしますことをお詫びします。
「♫またこの時期が来たのね♫」

天安門事件に関する情報弾圧の影響は、中国国外にも広がっている。中国の人権と法律を論評するアメリカの英字新聞China Changeの創設者で編集長のYaxue Cao(曹雅学)は、先週末、中国を批判する中国語のTwitterアカウントが数多く停止されているツイートしていた。これには、アメリカ在住者を始め、中国国外のアカウントも含まれている。

Twitterは、そのパブリック・ポリシー・アカウントで、停止されたアカウントは、ほとんどが「スパム、不正な言動、アクセス禁止回避」のためのものだと主張した。「中国に関する解釈に関連する」アカウントの停止について、Twitterのパブリック・ポリシー・アカウントは、予想に反してこう述べた。「これらのアカウントは中国当局から指摘された集団のものではありません。……これは私たちの所定の手続きの一環です。私たちの所定の手続きでは、ときとして誤判定が認められたり、間違いを冒すこともあります。申し訳ありません。現在、すべての間違いの修正に取り組んでいますが、違反者に対するルールの適用は引き続き厳格に行う所存です」

曹が指摘したいくつかのアカウントには、その後に回復を遂げた@Sasha_Gongと@wmeng8も含まれていたが、彼らはTwitterの説明が足りないことと、とりわけ、アカウント停止が非常に多くの反体制派中国人に及んでいること、不確かな容疑で会社にまで捜査が及んだことに不満を抱いている。

https://platform.twitter.com/widgets.js
「違反するとアカウント停止になる4つのルールがあるとTwitterは言う。そのどれに引っ掛かるのかを、自動的に表示できないものか。そうすれば、悪意ある大量通報が判別しやすくなる(たとえば、大量の通常のアカウントが、突然、スパムやポルノとして通報されるような)」
「Twitterは事故だと言うが、特定のユーザーの集団に集中しているように見えることへの説明がない。ボットのフォロワーやスパマーたちには反体制派中国人のツイートが邪魔なのか。説明がない限り陰謀に思えてしまう」

天安門事件に関連する検閲の歴史を振り返る

中国政府が天安門事件に関する情報弾圧を毎年行うようになったのは、2010年にFoursquareがブロックされたのが始まりだ。おそらく、追悼の目的でユーザーが天安門広場に集るの防ぐためだったのだろう。

また中国政府は、それまでなんとかアクセスできたTumblrへのアクセスに制限をかけた。2016年それは、中国国内でブロックされるソーシャルメディアのリストに加えられた。GreatFire.orgの過去のデータによると、Tumblrは、2014年と2015年の6月にはさらにアクセス困難になったが、2016年には年間を通して困難になったようだ。GreatFire.orgが実施したテストでは、それ以降、完全にブロックされていることがわかった(おそらく、中国政府がインターネット上のポルノを禁止したためだろう)。

中国国内での事業許可を欲しがる海外企業にとって、これは、他国のユーザーを怒らせる覚悟で中国政府の検閲に屈服することを意味する。今でも中国で事業が許されている数少ないアメリカのソーシャルメディアのひとつLinkedInは、2014年、それは中国政府に禁じているコンテンツを中国のユーザーが見られないようにするだけでなく、中国発信の禁止コンテンツを海外のユーザーが見られないようにする対策でもあると語った。この決断は、天安門事件の記念日に関連する記事がブロックされていることに気付いた会員から批判されていると、ガーディアンは伝えている

さらに最近になって、LinkedInは中国人活動家Zhou Fengsuo(周鋒鎖)のアカウント停止を取り消した。天安門広場の抗議行動に参加した学生リーダーの一人だった周が、1月、サウスチャイナ・モーニング・ポストに語ったところによると、LinkedInのアカウントよりも、WeChatなどの他のソーシャルメディア・プラットフォームでの活動の政府による監視が検閲につながったと彼は考えているようだ。周のLinkdInのプロファイルを復活させた後、LinkedInは「誤ってブロックした」と釈明した。

海外のユーザーにまで中国政府の検閲の影響が及んだその他の例として、2017年に発生した、記念日の間、ミニブログサービスWeiboが海外ユーザーからの画像と動画のアップロードを禁じた件がある。Bilibiliと豆瓣小組の今年のケースと同じく、Weiboも、システムのアップグレードに関連する処置だったと主張している。

[原文へ]

(翻訳:金井哲夫)

完全に閉鎖されたネットは、国家を孤立させ、成長率を低め、そして停滞させる

細分化され分断化されたインターネットが、私たちの上にもたらされていることに疑いの余地はない。サイバースペースがさまざまな国によって制御され規制されるスプリンターネット(splinternet、splinter=バラバラのnet=ネットから作られた造語)は、もはや単なる概念ではなく、いまや危険な現実となっている。「ワールドワイドウェブ」の将来が危機に瀕している。いまや自由で開かれたインターネットを支持する政府や提唱者はたちは、情報や大衆を管理するためにウェブを隔離しようとする独裁主義的体制の潮流を食い止める義務があるのだ。

中国とロシアはどちらも急速に、デジタル独裁主義につながるインターネットの監視を強化している。今月初めにロシアは、全面的なサイバー戦争のシミュレーションを行うために、全国土をインターネットから切り離す計画を発表した。そして先月、中国は2つの新しい検閲規則を施行した、新たに禁止されるべき100のコンテンツカテゴリを定義し、ショートビデオプラットフォームに投稿されるすべてのコンテンツに対して、レビューを必須としたのだ。

確かに中国とロシアはインターネットを破壊するかもしれないが、決して彼らだけがそうした行為を行っているわけではない。キューバ、イラン、そしてトルコの政治家でさえも「情報主権」の推進を始めている。なおこの「情報主権」という言葉は西側のインターネット会社によって提供されているサービスを、制限はあるものの管理がより簡単な独自製品で置き換える行為を婉曲に表現したものだ。そして2017年の調査では、サウジアラビア、シリア、イエメンを含む多数の国が「実質的に政治的動機のあるフィルタリング」を行っていることが判明した。

このデジタル制御は、独裁主義的体制を超えて広がっている。徐々に、特定のウェブサイトから外国人を締め出そうとする動きが増えているのだ。

例えば、BBCのiPlayerを介して英国の市民が利用できるデジタルコンテンツは、徐々にドイツ人には利用できなくなっている。韓国は、北朝鮮に属する通信社のニュースに対してフィルタリング、検閲、ブロックを行っている。独裁的にせよ民主的にせよ、これまでこれほど多くの政府が、積極的に自国民のインターネットアクセスを制限したことはなかった。

スプリンターネットとデジタル独裁主義の影響が、こうした個々の国の国民をはるかに超えて広がっている。

2016年に、米国の貿易当局は、海外のインターネット幹部たちが貿易障壁として定義するものを、中国のグレートファイアーウォールが生み出したと非難した。インターネットのルールを制御することによって、中国政府はBATとして知られている国内インターネットの3巨人を育てた(バイドゥ、アリババ、テンセント)。彼らは政府の超厳格な体制と足並みを揃えている。

WeChatなどの、これらのインターネット大手が生み出すスーパーアプリは、検閲用に構築されている。その結果は?元Google CEOのエリック・シュミットは、次のように述べている「中国のファイアウォールはインターネットを2つに分断するだろう。米国が西側のインターネットを支配し、中国がアジア全体のインターネットを支配することになるだろう」。

驚くべきことに、米国企業がこのスプリンターネットの推進を手助けをしている。

Googleは、何十年にもわたって中国市場への参入を試みてきたが、中国政府の厳しい検閲とデータ収集との共存が困難であったため、2010年3月には、Googleは検索エンジンおよびその他のサービスを中国から引き揚げることを選択した。しかし現在、2019年になってGoogleは完全にその姿勢を変えた。

Googleは、プロジェクトDragonflyと呼ばれる、まったく異なる中国のインターネットプラットフォームを通じて検閲を受け入れている。Dragonflyは、Googleが西側で提供している検索プラットフォームの検閲付バージョンだが、重要な違いは、デリケートな問題に関する公開クエリに対する結果がブロックされることである。

2018年12月11日火曜日、米国ワシントンDCで下院審判委員会の公聴会が始まるのを待つ、Googleのサンダー・ピチャイCEOはプライバシー法を支持しており、彼が配布を計画している証言の記録によれば、同社が政治的に偏っていることを否定している(写真:Andrew Harrer / Bloomberg via Getty Images)

世界人権宣言(UDHR)には「すべて人は、意見及び表現の自由を享有する権利を有する。この権利は、干渉を受けることなく自己の意見をもつ自由並びにあらゆる手段により、また、国境を越えると否とにかかわりなく、情報及び思想を求め、受け、及び伝える自由を含む」(第19条:国連公式ページより)と述べられている。

1948年に起草されたこの宣言は、人びとがかつて威力をふるった独裁的プロパガンダや検閲と戦った、第二次世界大戦後の気持ちを表している。こうした言葉たちは、インターネット時代のはるか前である70年以上前に書かれたものであるにもかかわらず、この宣言は、現在私たちが見ているスプリンターネットや非民主的デジタル国境の概念に、戦いを挑むものなのである。

世界でウェブがより分裂し、情報がより統制されるようになるにつれて、私たちは民主的システムの悪化、自由市場の腐敗、そしてさらなるサイバー偽情報キャンペーンの危険に晒されるようになっている。歴史が繰り返される前に、私たちは検閲や国際的な操作から、自由で開かれたインターネットを守るために、今すぐ行動を起こさなければならない。

ベルギー、ブリュッセルにて(5月22日)。あるAvaazの活動家がアンチFacebookのデモに参加して、Facebookのトップであるマーク・ザッカーバーグの段ボール人形を並べた。その人形の上には「Fix Fakebook」(Fakebookを修正せよ、fakeは偽情報という意味)と書かれていた。デモは2018年5月22日にベルギーのブリュッセルの欧州委員会本部の前で行われた。Avaaz.orgは、2007年に設立された国際的なサイバー関連NGOである。それは自身を「超国家的民主的運動」と表現し、人権、腐敗または貧困のようなさまざまな国際問題に取り組めるように世界中の市民に力を与えたいと言っている(写真:Thierry Monasse/Corbis via Getty Images)

究極のソリューション

1948年に起草されたUDHRと同様に、2016年には国連が、「オンラインの自由」は、保護されなければならない基本的人権であると宣言した。法的拘束力はないものの、この動きは合意を経て行われたものであるため、国連はオープンインターネット(OI)システムを支持するためのある程度の力を与えられた。基準を満たしていない政府に選択的に圧力をかけることで、国連はデジタル人権標準の適用を進めることができるようになった。

最初のステップは、インターネットの全リソースとそれを操作する能力に対する透明な監視システムを実装することである。その監視システムにはすべての市民が簡単にアクセスできる必要がある。北朝鮮、中国、イラン、シリアなど、ウェブサイトをブロックし、電子メールやソーシャルメディアコミュニケーションをフィルタリングする国に対しては、改善することで結果が良くなるインセンティブを与える。

すべての国が、オープンスタンダード、検閲の不在、およびインターネットへの参入障壁の低さなどの、複数の前向きな要因の達成度でランク付けされることになる。オープンインターネットランキングシステムは、すべての国をFree(自由)、Partly Free(部分的自由)、あるいはNot Free(不自由)の3階層に分類する。最終的な目標は、すべての国々が徐々にFreeカテゴリに移行し、すべての市民がWWW全体で、情報を制限なく、平等にそして自由に利用できるようにすることである。

第二段階は、国連自身が西側の最大手インターネット企業ともっと緊密に連携することである。彼らが協力することで、各国政府へ忍び寄る検閲や、各政府の暴走に関する詳細な報告書をまとめることができる。世界的ハイテク企業は、どの国が検閲とデジタルスピーチの制限に圧力をかけているかを厳しく認識している。国連と世界的ハイテク企業が協力することで手強い相手であることを示すことができれば、世界の市民を保護できることになる。あらゆる国のあらゆる個人には、世界で本当に何が起こっているのかを知る権利がある。

インターネットが開放され、過度の規制や検閲が行われていないFreeカテゴリーの国には、途方もない経済的繁栄の道が開かれるだろう。反対にNot Freeカテゴリーに属し、内向きの政策と社会価値を押し付けようとする国々は、完璧に孤立し、明らかにデジタル人権法に違反していることに気が付くことになるだろう。

これはうわべだけの脅かしではない。完全に閉鎖されたスプリンターネットは、必然的に国家を孤立させ、成長率を低め、そして停滞させるだろう。

【編集部注】著者のKeith Wright(キース・ライト)氏は、英国ヴィラノーバ・ビジネス・スクールの会計ならびに情報システムの講師である。またSimplicity On-Demandの創設者であり、以前はSAPのグローバルセールスオペレーション担当シニアバイスプレジデントでもあった。

[原文へ]

(翻訳:sako)

ロシアはインターネットの遮断スイッチをテストへ

サイバー防衛の方策の1つとして、ロシア政府は、世界のウェブから国を実質的に遮断するような措置を試行する予定だと伝えられている。

昨年、ロシアはDigital Economy National Program(デジタル経済国家プログラム)を導入した。これは、世界規模のインターネットから国ごと切り離した場合でも、ロシア国内のインターネットプロバイダが機能できるようにするための計画だ。この計画では、ロシアのISPは、ウェブのトラフィックを国内のルーティングポイントにリダイレクトし、ドメインネームシステム(DNS)、つまりグローバルなインターネットを支えているドメイン名とアドレスの一覧表を、独自のコピーに切り替える

このテストは、いくつかの理由で有用だろう。ロシアは、国家安全保障に対してある種のサイバー脅威が発生した場合に、取るべき抜本的な措置をシミュレートすることを第1の目的としている。しかし、個人と報道の自由が制限されていることで悪名高い国にとって、このテストは、自国の人々を管理し、外国の影響力から守るために、より密接に管理されたインターネットを、どのように利用できるかを検討するためにも有効な方法だろう。

この極端な措置は、もし成功すれば、ロシアが国家によって管理された独自のインターネットを効果的に運営し、それが適切だと判断した場合には、いつでも世界から切り離すことができるようになる。この試験が実施される日時はまだ分かっていないが、今年の4月1日以前であろうとは予想されている。それは、国会議員がDigital Economy National Programの改定案を提出する期限だからだ。

画像クレジット:MLADEN ANTONOV/AFP/Getty Images/Getty Images

[原文へ]

(翻訳:Fumihiko Shibata)

iOS版Telegramのアップデートが再開――Appleが凍結を解除

一日のあいだに物事は良い方向にも悪い方向にも変わるものだ。6月1日、TelegramのCEO Pavel Durovは、6週間におよぶ凍結期間を経てiOS版Telegramのアップデートを再開すると発表した。凍結期間のあいだ、Appleは世界中のApp Storeに登録されたTelegramには手をつけず、すでに同アプリをインストールしたユーザーに対するプッシュ通知も許可していたが、アップデートは受け付けていなかったのだ。弊誌が確認したところ、現在ではTelegramのアップデートを許可していることをAppleも認めた。

「素晴らしいニュースだ。たった今、Appleが最新のiOS版Telegramのアップデートのレビューを無事終え、ようやく待ち望まれた修正や改善を含む新バージョンのアプリをApp Storeにアップロードできるようになった」とDurovは同日語った。

このAppleによる方針変更のたった一日前には、iOS 11.4のリリース後TelegramのiOS向けのアップデートが世界中のApp Storeでブロックされたため、アプリに一部不具合が生じているとDurovが発言したところだった。なお、アップデート版をユーザーのもとに届けられなかったため、TelegramはEU一般データ保護規則(GDPR)にも準拠できないままでいた。

しかし依然、そもそもなぜAppleがTelegramのアップデートをブロックし、そしてこの段階でアップデートの再開を許可したのかはわかっていない。

ロシア政府がTelegramを取り締まろうとしていることと、この度の凍結には何か関係があるとDurovは主張する。というのも、ロシア連邦通信局(RKN)がAppleに対してTelegramをApp Storeから削除し、すでに同アプリを利用しているユーザーに対してはプッシュ通知を停止するよう求めたという報道の直後にアップデートが凍結されたからだ(実際のところ、RKNは本件について数日前に声明を出していた)。

しかし結局Appleはアップデートを受け付けなくなったものの、TelegramをApp Storeから削除することはなく、プッシュ通知もそのままだった。

「ロシア当局がAppleにTelegramをApp Storeから削除するよう求めて以降、Appleは世界中のApp StoreでTelegramのアップデートを受け付けなくなった」とDurovは5月31日の時点で記している。なお、GoogleやMicrosoftさらにMacのアプリストアに登録されたTelegramは何の影響も受けていない。

弊誌はTelegramに何がこの方針転換の背景にあるのか確認しているが、Appleは本件に関するコメントを控えている。

Telegram上の暗号化されたメッセージを復元する手段を求めるRKNに同社が応じなかったことから、RKNがTelegramの利用を禁じて以降、同アプリをめぐってはさまざまな争いが巻き起こっている。

ロシアでは、国内で利用できるいかなるアプリやサービスの運営者も、政府がデータにアクセスできるようサーバーを現地に置いたり、バックドアを作成したりしなければならないと法律で定められている。政府は安全保障という大義名分のもとにこのような制度を設けているが、多くの企業は同法に異論を示しており、Telegramのように(イデオロギー的な反対は別にして)政府の要請を叶えるようなキーを提供することは不可能だと主張する企業も存在する。

Durovは、以前立ち上げたソーシャルサイトVkontakte.com上での表現の自由をめぐっても当局と衝突した経験があり、それが現在Telegramに導入されている仕組みを作るきっかけのひとつとなった。

ここ数週間のあいだ、Telegramはこの問題に対する一時的な解決策として、ユーザーにVPNを使って同アプリにアクセスするよう勧めると同時に、当局にデータを渡さずにサービスを継続しようとするTelegramに共感するホスティング企業のサービスを利用し、IPアドレスを次々に変えながら生きながらえてきた。

かつてRKNがTelegramのIPアドレスホッピングを阻止しようとした結果、一時は合計1900万件以上ものIPアドレスがブロックされ、Googleを含むさまざまなサービスがダウンしたことがあった。そのときは多くの人々がデモに参加し、結果的にTelegramと事件に関する報道が世界中に広まっていった。しかし、これまでのところAWSやGoogle Cloud Platformは、TelegramにIPアドレスホッピングをやめるようには要請していない。

Telegramは世界中に2億人ものユーザーを抱えており、そのうち約1400万人がロシア国内のユーザーとされている。

原文へ

(翻訳:Atsushi Yukutake

Image Credits: Thomas Trutschel/Photothek via Getty Images

タイでFacebook上の王室中傷を理由に禁錮35年の判決――不敬罪の逮捕者は計100人超

Facebook上に王室を中傷するコンテンツを投稿していたタイに住む男性に対し、禁錮35年の判決が言い渡された。

言論の自由の擁護を目的とする非営利団体iLawの情報によれば、Wichaiと呼ばれるこの男性がFacebook上に投稿した写真や動画、コメント計10件が、王家に対する批判を禁じているタイの厳格な不敬罪に触れたとのこと。

33歳のWichaiは、口論が原因で仲違いした友人に扮した”虚偽の”アカウントを使用して、王室を中傷していたとも言われている。当初彼は容疑を否認していたが、判決を待ちながら1年以上を拘置所で過ごした後に、一転して起訴内容を認めたとiLawは語っている。

なお、軍事裁判所で本日(現地時間6/9)行われた公判には、ジャーナリストは参加できなかった。もともとは1件あたり懲役7年(合計70年)とされていた刑期は、結局35年に短縮された。とは言っても、国連が「国際人権法にそぐわない」と主張するタイの不敬罪に関連した事件の量刑としてはもっとも重い。

本件とは別に、Chaliewと呼ばれる男性も2014年にラジオ番組の音声をファイル共有サイトにアップロードしたことを理由に、禁錮2年半の判決を受けたとiLawには記されている。当該音声も王室を中傷するものだと判断されたのだ。

3年前のクーデターを機に軍事政府が政権を握って以降、タイは不敬罪やその他の検閲策の適用に関して批判を浴びてきた。人権擁護団体のFIDHは、クーデター以後に不敬罪で逮捕された市民の数が、先月100人を超えたと報じている。

Wichai以外にも、Facebook上のコメント”いいね”、さらには単にメッセージを受け取ったことを理由に有罪判決を受けた人が存在し、タイ政府は海外に住む反現行政府派の評論家とのインターネット上でのやりとりさえ禁じている。また、同政府は物議を醸した単一のインターネットゲートウェイの導入を推し進めており、ネット検閲に対する不安が市民の間に広がっている。

政府がインターネットゲートウェイの導入を急いでいるのは、現行のシステムを使ってネット上のコンテンツを管理するためには、検閲に消極的な海外発のプラットフォームの協力を仰がなければならないという背景があるからだ。最近では、政府が直接ソーシャルネットワーク各社に圧力をかけ、違法コンテンツの撲滅に努めている。一方Facebookは、裁判所の命令に応じて一部のポストをブロックしはじめており、今年に入ってからは、FacebookとYouTubeの両サービスで違法だと思われる数百件のリンクが削除された。

しかし、多くのリンクが削除されないままだったことに不満を感じた軍事政府は、Facebookへのアクセスを禁じるという脅しをかけていた。結局、その後政府は引き下がり、現在でもFacebookには問題なくアクセスできる。

このような動きを見ていると、インターネット上の自由を守ろうとしている各団体が、タイの状況を不安視しているのにも納得がいく。アメリカのFreedom Houseは、2016年のレポート内で下記のコメントと共に、タイのインターネットやメディアは「自由ではない(not free)」と評していた。

「引き続き軍事政権が法律を利用して検閲・監視の力を伸ばす中、タイのインターネット上の自由度は2016年中に下落しました」

原文へ

(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter

Googleの新プロジェクト―、文脈を判断できるAIが有害コメントを検出

universal-chat-bot

もしもあなたが普段インターネットで何かを読んでいれば(この記事を読んでいるということはもちろんそうだろう)、「コメントは飛ばす」という黄金律を知っているはずだ。

記事や物語の終わりからさらに下へとスクロールしていくと、そこには人種差別や陰謀論、個人攻撃で溢れる別世界が存在し、すぐに人間という生き物への信頼をなくしてしまう。しかし今後コメント欄では、ゴドウィンの法則よりもGoogleに出会うことの方が多くなるかもしれない。Alphabetの子会社で、ネット上の安全を育むためにつくられたJigsawは、米国時間2月23日にコメント欄の清浄化を目的としたPerspectiveと呼ばれる新たなサービスをローンチした。

Perspectiveはコメント内容を評価し、各コメントに悪意がある可能性を数値化するサービスだ。Jigsawはオンラインでの議論を促進することをゴールとしているため、コメントが「有害」かどうかというのは、他のユーザーを議論から遠ざけてしまうかどうかで判断される。

「朝読んだニュースについて友だちと話している様子を想像してみてください。もしもあなたが何か言うたびに、誰かがあなたの顔めがけて大声を出したり、不快な名前で呼んできたり、言われもない罪であなたを非難してきたりすれば、きっとあなたはその場を去るでしょう」とJigsaw社長のJared Cohenは話す。「残念ながら、こんなことがオンラインでは嫌になるくらい起きています。人がお気に入りのニュースサイトで何かについて議論しようとすると、たちまち有害なコメントで責め立てられてしまうんです」。

Jigsawが算出した有害性をどう理解するかや、有害なコメントにどう対応するかはプラットフォーム次第だ。Jigsawは有害性スコアの提供以外は行っていないため、企業は有害コメントにフラグを立てて担当者が内容をレビューしたり、有害コメントを注意表示で隠して、ユーザーが表示をクリックしないとコメントを読めないようにしたりといった対策を自分たちで考えることができる。またユーザー側は、自分のコメントも有害と判断される可能性もあるため、入力した内容が本当に自分の言いたいことなのか判断できる。

メディア各社は、コメント問題への解決策を編み出そうとこれまで苦しんできた。Reutersをはじめとする数社はコメント欄自体を削除し、BuzzFeedはコメントのキュレーション方法を模索している。一方The New York TImesは、Perspectiveの開発でJigsawと手を組み、1日あたり1万1000件も集まるという同紙の記事へのコメントを、機械学習モデルのトレーニング用にJigsawへ提供していた。

Perspectiveは、特定の人種を中傷するようなキーワードをピックアップするだけでなく、ある言葉の攻撃対象がコメント主なのか、それとも議論の対象となっている話に出てくる人なのかというのを文脈から判断することができる。なお、各プラットフォームはAPIを通じてPerspectiveを利用できる。

またJigsawは、Perspectiveの力を証明するために、Wikipediaのディスカッションページにおける嫌がらせの調査を行った。まず彼らは、編集者がWikipediaの記事のアップデートについて議論を交わすトークページから、100万件以上のコメントを分析のためにかき集めた。その後、10人の審査員が各コメントに個人攻撃が含まれているかや、誰が攻撃の対象になっているのかを評価し、その結果をPerspectiveのトレーニングに使用した。Jigsawは英語で書かれたコメントだけをトレーニングに使っていたので、Perspectiveは少なくとも今のところは英語にしか対応していない。

Wikipediaのコメントに関する調査の結果、モデレーターから警告やブロックを受けた人は18%しかおらず、ほとんどの嫌がらせが野放しにされていたことがわかった。さらにJigsawは、Yahooの初期のコメント管理システムについても調査を実施した。Yahooはモデレーターが有害だと判断したコメントを使ってアルゴリズムをトレーニングしており、調査の結果、その検出率は90%に達することが分かった。

Perspective以外にも、Googleの実験的なプロジェクトを会社化したJigsawは、DDoS攻撃の軽減やニュースのファクトチェックを目的としたサービスを開発している。

原文へ

(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter

Facebookがタイで検閲、政府の要請に応じて一部投稿をブロック

Facebook CEO Mark Zuckerberg speaks at the company's headquarters in Menlo Park, Calif., Thursday, April 4, 2013. Zuckerberg says the company is not building a phone or an operating system. Rather, Facebook is introducing  a new experience for Android phones. The idea behind the new Home service is to bring content right to you, rather than require people to check apps on the device.   (AP Photo/Marcio Jose Sanchez)

何百万人もの人にとって、Facebookはインターネットの全てだ。しかしFacebookを使ってニュースや物事への見解を得ようとしている人の多くは、Facebook上でも検閲が行われているということに気付いていないかもしれない。

タイではそのような状況が明らかになりつつあり、どうやら政府の要請に応じてFacebookが数多くのユーザーの投稿をブロックしているようなのだ。タイの不敬罪は王族の批判を禁じており、この法律がジャーナリストのAndrew MacGregor Marshallをはじめとした、王位継承問題に関する投稿を行っている著名ユーザーの投稿内容を封じ込めるのに利用されているようだ。以前はロイター通信の特派員を務め、現在はEdinburgh Napier Universityで教鞭をとるMacGregor Marshallは、タイ当局からは既によく知られた存在だ。彼が2014年に発表したタイ王室に関する本は、発売禁止となり「国歌の安全そして平和で規律ある社会を脅かすもの」との烙印をおされてしまっていた。

TechCrunchでは、MacGregor Marshallの主張通り、彼の投稿のうち少なくともひとつがタイ国内では読めなくなっている一方、国外では問題なく読めることを情報筋を通して確認した。Marshall McGregorのプロフィールや、残りの投稿内容はタイ国内でも問題なく表示されている。問題となっている投稿は12月末のもので、いつ頃ブロックされてたのかはハッキリしないが、今週再度投稿された内容は本記事の執筆時点ではタイ国内でも読むことができる。

Facebookは本件に関してコメントを拒否している。

Facebookがタイの法律に則った対応をとったのは今回が初めてではない。同社が公開しているデータからも、2016年の上半期に10個のコンテンツがタイでブロックされていることがわかっている。なお、下半期のプライバシーレポートも近日中に公開される予定だ。

世界中の自由に関する問題をモニタリングしているアメリカのシンクタンクFreedom Houseが発行した2016年のレポートでは、タイのインターネットとメディアは「自由ではない(not free)」とされている。実際にタイの軍事政権は2015年のクーデター(クーデター中Facebookは30分間ブロックされていた)で実権を握って以降、オンライン上での批判を封じ込め続けている。

「軍事政権が検閲や監視の権利を成文化しようとする中、タイのインターネットの自由度は2016年中に低下しました」とFreedom Houseはレポートに記載している。

国民の尊敬を集めていたBhumibol Adulyadej前国王が昨年10月に崩御し、息子のMaha Vajiralongkorn新国王が王位を継承すると状況は激化した。先月にも、新国王に関するBBCの記事を受けて、タイ当局が首都バンコクにある同社のオフィスを訪れたばかりだ。

Facebookは最近偽ニュースの対処に失敗し、特にアメリカ大統領選ではこれが大きな問題となっていた。さらにベトナム戦争中にナパーム弾の爆撃から逃げる少女の様子をとらえた写真をブロックするなど、いくつもの検閲に関する事件が明るみになり、Facebookがメディアとしての責任と影響力を果たせていないことが話題になっている。

しかし今回のケースに関して言えば、タイの不敬罪に従うということはFacebookの意図的な判断である。CEOのMark Zuckerbergは、中国など言論の自由が制限されている国では妥協も必要だと話している一方で、「世界をつなぐ」というビジョンのもと同社を率いており、Facebook上のコメントや、単にメッセージを受け取ったことを理由に逮捕者がでているようなタイの法律に追従するというのは、そのビジョンに沿ったアクションだとは言い難い。

さらに、Facebookはタイ最大のプラットフォームだが、検閲の対象となっているのは彼らだけではない。タイ政府はこれまでにもYoutubeDaily MailチャットアプリのLINEといったオンラインプラットフォーム上のコンテンツに対して法的な処置をとっているほか、タイに2000万人以上のユーザーがいるLINE上の会話を監視することができると主張する大臣までいる。なおニューヨーク証券取引所に上場している日本企業のLINEは、この話を事実無根だと否定している。

原文へ

(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter

インターネット上の取り締まり強化を続けるエジプトが暗号化メッセージアプリのSignalをブロック

After subsequent leaks of emails by WikiLeaks and suspected Russian hacks of the Democratic National Convention (DNC) the Clinton campaign is said to advise campaign members to use a messaging app approved by Edward Snowden called Signal. The app uses data encryption to send messages only readable by the designated receiver. (Photo by Jaap Arriens/NurPhoto via Getty Images)

【編集部注】執筆者のFarid Y. Faridはカイロを拠点とするジャーナリスト兼研究者。

暗号化メッセージアプリのSignalが、エジプトで一週間に渡ってブロックされていたが、Signalの親会社であるOpen Whisper Systemsが追加した新たな機能のおかげでサービスは無事復旧した。

これまでに数々の重大な告発を行ってきたEdward Snowdenを含み、活動家の間で人気の暗号化メッセージアプリSignalのユーザーは、先週からサービスに接続できないと報告していた。

エジプトは今年1年を通して言論の取り締まりを段々と強化しており、Signalのブロックは、現政権に対して反対意見を表明している邪魔なオープンジャーナリズムを抑制するための新たな一手でしかない。

「Signalは第三者に連絡先を漏らさずにセキュアなやりとりをするための重要な手段です」とエジプトの有名ブロガーであり、Global Voicesの役員でもあるMohamed ElGoharyは話す。

活動家の中で1番最初にサービス不通の状況をTwitterで報告したのは、ElGoharyだった。

「私が友人にSignal上でメッセージを送ろうとしたところ、『送信できません』という警告が表示され、他の友人も試したのですが結果は同じでした。別のISPを経由してもメッセージは送付できず、VPNを使って初めてメッセージを送ることができました。そのため、私は問題がエジプト国内でだけ起きているのだと考えたんです」とElGoharyはTechCrunchとのインタビューで語った。

iOS、Android、コンピューターの全てで利用可能なSignalは、第三者(例えば政府)がメッセージの内容を見ることができないように、エンドツーエンドの暗号化機能を標準で備えている。このサービスを使うことで情報提供者を保護することができるため、エジプトの活動家やジャーナリストの多くがSignalを利用している

世界中の皆さんへ
昨日からSignalとTelegramはエジプト国内で利用できなくなりました。失われたものは色々とありますが、セキュアな会話ができなくなったのは特に悔やまれます。

エジプトはSignal以外にも、SkypeやWhatappといったVoIPアプリをこれまでにブロックしたことがあるが、このような営利目的のコミュニケーションサービスには、Signalと同じようなレベルの暗号化・プライバシー機能が備わっていない。

エジプト以外の中東諸国や北アフリカ諸国(モロッコなど)も、匿名メッセージサービスのアクセスを制限していたことがあり、トルコは最近起きたロシア大使の暗殺事件を受けて、ソーシャルメディアをブロックしていた。

「このような通信妨害には統一性がなく、その動機もはっきりしません」とカイロにあるAmerican Universityでコミュニケーション論の教授を務め、「The Internet in the Arab World」の著者でもあるRasha Abdullaは話す。彼女自身もSignal利用者で、彼女は同サービスがブロックされていたときもSignalにアクセスすることができた。

エジプトの通信・情報技術省は、Signalをブロックしたという事実を認めても否定してもおらず、TechCrunchからの複数回におよぶ連絡にも応じていない。

Signalを標的とした今回の事件の結果、サンフランシスコを拠点とするOpen Whisper Systemsが「アクセスの検閲」と名付けた、情報セキュリティ上の不安が強まっている。

Open Whisper Systemsは、Signalのアップデート時にドメインフロンティング(domain fronting)と呼ばれる手法を使い、「エジプトとアラブ首長国での検閲回避」を新たな機能として導入した。

「標的のトラフィックをブロックするためには、政府がサービス全体をブロックしなければならないような仕組みをもとに新機能を開発しました。十分な規模のサービスがドメインフロントの役割を担うことで、Sigalをブロックするということを、インターネット全体をブロックするかのように見せることができます」と同社が発行した技術文書には書かれている。

30年間に渡って続いた前大統領ホスニー・ムバーラクの独裁政治が、2011年に起きたアラブの春で覆されたときにも、エジプト当局がインターネットへのアクセスを切断したというのは有名な話だ。

誰か@TEDataEgyptに登録して、このサイト(https://t.co/U7wptEmr4H)にアクセスできるかチェックしてもらえませんか?私だけがアクセスできないとTE Dataは言っているんですが。

「コンテンツをブロックするにしろ、ユーザーの投稿内容を規制するにしろ、インターネット上の自由を奪おうとする動きは、2011年の事件やその数年後に証明された、ソーシャルメディアの力に対抗するための手段に違いありません。オンラインの世界は、これまでになかったような形で、人々が自由に議論を交わして組織をつくるための空間を生み出したんです」とAbdullaは話す。

また、デジタル人権団体のPrivacy Internationalは今年発行したレポートの中で、エジプト国内でアラブの春が盛り上がっていた時期に、政府がイタリア企業のHacking Teamを含む複数のヨーロッパ企業から監視用製品を購入していたと主張している。

Signalのブロックは、表現の自由に対する制限が特に強まっていた時期に発生した。あるFacebookページの管理者は「誤ったニュースを公開していた」ために逮捕され、さらに暴力を扇動しているという理由で、163件のFacebookページが閉鎖に追い込まれた。

アブドルファッターフ・アッ=シーシー大統領のもと、エジプトはインターネット上の取り締まりを強化しており、最近でも物議を醸したFacebookのFree Basicsプログラムを、ユーザーの監視ができないという理由でブロックし、風刺的なポストをFacebook上に投稿した市民を逮捕したほか、Deep Packet Inspectionという技術を使って、エジプト市民のインターネット上での動きを広範に監視しているとの報道までなされている。

27人の命を奪ったイスラム国(IS)によるカイロの教会でのテロ行為が発生した後すぐに、エジプトの各政党は、死刑を含む刑罰が盛り込まれたサイバーセキュリティ関連法を可決するよう国会に再度求めた。

Abdullaは法律の厳しさについて、「残念ながらアラブ社会のほとんどの法律は、規制よりも支配を目的としてつくられています」と説明する。

「さらにこの法案ではISPにも責任が課されるようになっているため、社会の各グループがお互いを監視し合うようになってしまうかもしれません」と彼女は話す。

原文へ

(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter

ベトナムがオバマ大統領の訪問中にFacebookへのアクセスをブロック

screenshot-2016-05-27-16-08-52

話題となっているこのInstagram上の写真以外にも、先日のオバマ大統領によるベトナム訪問中に事件が起きていた。ベトナム政府が、大統領の滞在中にFacebookへのアクセスを遮断していたのだ。

このニュースを発表した、Access Nowに所属する言論の自由の支持者たちは、Facebookへのアクセスが週末の間完全に遮断されていた証拠をまとめた。これは、最近当局が支持を表明していた部分的なアクセス遮断とも意を異にする。ベトナムと言えば、今月初めにも、市民の抗議活動に関する報道を理由にFacebookへのアクセスが遮断されていたことを覚えている人がいるだろう。この報道はFacebook上で広まり、抗議活動の参加者はベトナム国内で3000万人に及んでいる。

TechCrunchのコメント要請に、Facebookはすぐには応じなかった。

何でベトナムでFacebookがブロックされているのかな????

今回のアクセス遮断の理由は、国政選挙であると言われている。活動家はロイターの取材に対し、国政選挙のボイコットに向けて呼びかけを行っている民主活動家を妨害するためにFacebookがブロックされたのだと語った。

「インターネットへのアクセス遮断が、新しい常識になってしまっては絶対にいけません」とAccess Nowはウェブサイト上で主張した。「市民の安全の名の下に正当化されがちですが、アクセス遮断は、命に関わる情報や、オンライン金融サービス、救急サービスへのアクセスさえ断ってしまいます。そして、社会全体を恐怖に陥れ、経済発展を支えつつ小規模ビジネスの存続をサポートするインターネットの力を揺るがすこととなります」

Access Nowはさらに、オバマ大統領による訪問の背景にある使命のひとつであった、貿易やビジネスを検閲が脅かすことになると主張した。

5年頃前に、東南アジアでFacebook人気が高まりだしたとき、ベトナムではFacebookへのアクセスが初めてブロックされた。その影響で、Facebookに取って代わろうとする地場の類似サービスが数多く生まれたが、ベトナムの9000万人におよぶ国民の間では、近年Facebookが主流のサービスとなっていた。

ソーシャルネットワークを抑制しようとする動きは、ベトナムだけに留まらず、露骨な活動を続ける中国政府の他にもたくさんの例が挙がっている。ベトナムの近隣国タイでは、2014年5月に起きた軍事クーデータから1週間もたたない間に、Facebookが一時遮断された。一方トルコでは、政府によるFacebookとTwitterへのアクセス制限が何度も起きている。また、パキスタンは、3年間におよぶYouTubeへのアクセス遮断を今年解除したばかりだ。他にも、首相の汚職に関する調査報道を受けて、マレーシアではMediumへのアクセスが遮断され続けている

 

原文へ

(翻訳:Atsushi Yukutake

Featured Image: Instagram: anthonybourdain