配車サービスGrab、ソフトバンクとDidiから20億ドル調達――今後は決済サービスにも注力

東南アジアでUberとライバル関係にあるGrabが、中国でUberを破った既存株主のDidi Chuxingとソフトバンクから新たに20億ドルを調達した。

他の既存株主や新しい投資家の意向を考慮すると、ラウンドの規模は最大25億ドルになりえたと同社は語っている。またGrabの広報担当者によれば、ソフトバンクからの出資はビジョン・ファンド経由ではなく、ソフトバンクグループ株式会社によるものとのこと。

さらに情報筋によれば、今回の資金調達によってGrabのポストマネー評価額は60億ドルを超えたとされている。これは、2016年9月に同社が7億5000万ドルを調達した際に報じられていた、30億ドルという評価額の倍以上だ。

「Didi・ソフトバンクとの戦略的関係をさらに深めることができ大変嬉しく思っている。また、先進的な両社が私たちと同じように、東南アジアや当地のオンデマンド交通市場、決済市場に期待していて、Grabがその巨大なチャンスを手にする上で有利な立場にあると考えていてくれていることにも勇気づけられる」とGrabの共同ファウンダーでCEOのAnthony Tanは語った。

要するにDidiとソフトバンクは、昨年8月にUberが中国事業をDidiに売却したのと同じように、Grabには東南アジア市場でUberを負かすだけの力があると考えているのだ。今月に入ってUberがロシア事業を現地の競合Yandexに売却したこともあり、その期待は高まる一方だ。

「市場でのポジションやテクノロジーの優位性、現地市場へのフォーカスといった特徴を備えたGrabが、配車事業を手始めに、東南アジアのネット経済でリーダー的な立場を築きつつあるのは明白だ」とDidiのファウンダーでCEOのCheng Weiは声明の中で述べた。これはUberにとってはかなり痛烈なメッセージだ(中国事業を買収したときの契約に基づき、DidiはUberの株式を一部保有している)。

現在Grabは東南アジアの7か国・36都市で営業しており、アプリのダウンロード数は5000万以上、ドライバーの数は110万人にのぼるとされている。サービスの中心は、営業許可を保有するタクシーや自家用車を使ったものだが、国によってはバイクタクシーやシャトルバス、カープーリングなどのサービスも提供している。

Uberは東南アジア事業の数字を公開していない一方で、インドネシアでGrabとしのぎを削るGo-Jekは、同国ではマーケットリーダーとして考えられている。

またビジネス面に関し、Uberは昨夏に東南アジアの一部で黒字化を果たしたと言われていた。しかし同社は中国市場から撤退した後、東南アジア(+インド)市場への投資額を増やしている(前CEOトラビス・カラニックは中国事業には年間10億ドルかかると語っていた)。Grabの広報担当者は「特定のサービス・都市に関しては黒字化を果たしているが、細かな分類は行っていない」と語ったが、同社が以前行った調査では、東南アジア全域に関し、営業許可のある車両を使った配車サービス市場の95%、自家用車を使った市場の71%をGrabが握っているとされていた。

今後ビジネスをひとつ上のレベルに押し上げるため、Grabはモバイル決済プラットフォームの開発にも取り組んでいる。そのかいもあってか、サービスローンチ当初は現金のみの支払いだったのが、クレジットカードも利用できるようになった。さらに決済プラットフォームの開発を進めるうちに、Grabは東南アジアで最大規模の経済、そして世界第4位の人口密度を誇るインドネシアでのフィンテックサービスに商機を見出した。

昨年Googleが共著したレポートによれば、東南アジアの配車サービス市場の規模は、2015年の25億ドルから2025年までに131億ドルへ成長すると予測されており、インドネシアがその半分以上を占めることになると言われている。Grabもインドネシアの古びれた銀行システムの影にその可能性を感じており、パイを拡大するためにも現代的な金融システムの開発を行っているのだ。

今年のはじめに、同社はインドネシアでのサービス開発に向けた7億ドルの投資プログラムを発表し、そのうち少なくとも1億ドルを企業への出資や買収に投じるとされていた。その後、発表から2か月ほどでオフライン決済スタートアップKudoを買収し、関係者によれば買収額は1億ドル近かったと言われている。

Go-JekもGrabが手をつけ始める前から決済サービスを提供しており、両社の正面衝突は必至だ。Go-Jekに近い情報筋よれば、同社は今年の5月にTencentを中心とする投資家から12億ドルを調達したと伝えられているが、当時Go-Jekはそれを認めず、それ以後も資金調達に関する発表を行っていない。しかし今回のGrabのニュースを受けて、Go-Jekは財務面のプレッシャーを感じていることだろう。

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(翻訳:Atsushi Yukutake

韓国のチャットアプリKakao、モビリティ部門を分社化し4億3700万ドルを調達

およそ5000万人のMAU(月間アクティブユーザー)を誇る、韓国で一番人気のメッセージングサービスKakao。その運営元のKakao Corp.は、国内ではUberにも勝る配車サービスを運営しているモビリティ部門を分社化し、引き続き事業の多角化に取り組んでいる。

さらに「Kakao Mobility」の分社化を受け、米投資会社TPGは5000億ウォン(約4億3700万ドル)を同社に投資した。なお、TPGのポートフォリオには、AirbnbやSpotifyのほか、Kakao Mobility最大のライバルUberが含まれている。

分社化は「意思決定の迅速化と積極的な市場拡大」を目的にしていると、2014年に数十億で大手ネット企業Daumと合併したKakaoは述べた。

Kakaoの成長維持に関してプレッシャーを感じている36歳のCEO Jimmy Rimは、主要部門の分社化を通してビジネスの増強を図ってきた。今回のニュースの数か月前にも、同社はモバイル決済サービス「Kakao Pay」やその他の金融サービスを運営するKakao Pay部門を分社化し、Alibabaのフィンテック子会社Ant Financialから2億ドルを調達していた。

Kakao Mobilityが運営するプロダクトの中でもっとも有名なのは、2年前にソウルでローンチした配車サービスのKakao Taxiだ。同プロダクトは、韓国におけるKakaoの支配力(国内で利用されているスマートフォンの95%にインストールされている)を活用し、メッセージングサービス以外の分野に進出するためにつくられた。なお、Kakao Taxiでは現在1日あたり150万件の配車依頼を受け取っており、既に日本への進出も果たしたとKakaoは話す。

一方、Uberは韓国での業績を発表しておらず、苦戦を強いられているようだ。

韓国政府は2014年に、当時CEOだったトラビス・カラニックに対して逮捕状を発行しており、UberXに関しては、2015年に無許可営業を理由に同国から撤退して以降、復活の話は耳にしていない。同年にはどうにかUber Blackのサービスが再開され、外国人や公務員、65歳以上の高齢者の利用に限るというルールもようやく撤廃された。

つまり、Uberは韓国市場には未だ十分に入り込めておらず、KokaoやCallbusといった競合サービスが現在でも幅をきかせている

配車サービス以外のKakao Mobilityの事業としては、270万人のMAUを誇る運転代行サービス「Kakao Driver」や、2016年2月のローンチから登録ユーザー数が1000万人まで増えた地図サービスの「Kakao Navi」などが挙げられる。

今回調達した資金は、さまざまな新サービスの導入に使われることになる。具体的には、法人向けのKakao Taxiや、Kakao PayのKakao Taxiへの導入、試験走行サービスのほか、日本以外の海外市場への進出などが予定されている。さらに同社は、Kakao DriverとKakao Naviの機能拡充も行おうとしている。

「これまであまりインターネットと関係していなかった業界のオンライン化が、世界中で急速に進んでいる。特にモビリティ分野には大きなチャンスが眠っており、注目が集まっている」とKakao MobilityのCEOに就任したJoohwan Jungは声明の中で述べた。

さらに彼は、「無限大の可能性をつかむため、戦略的パートナーシップや優秀な人材の採用を通じて、モビリティサービスのユーザーや顧客企業に新たな価値を提供していきたいと考えている」と記した。

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(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter

Alibaba、東南アジアにおけるUberのライバルGrabへの投資を検討中か

Alibabaは、東南アジアにおけるUberのライバルGrabへの投資を通じて、同地域へさらに攻勢をかけるつもりなのかもしれない。

Bloombergの報道によれば、Alibaba社長のジャック・マーは、同社と関係の深いSoftBankが率いるGrabの投資ラウンド(総額14億ドル)への参加を検討しているとのこと。さらにTechCrunchでは、AlibabaがGrabと投資に関する話し合いを行ったという情報を入手しており、Alibaba傘下のAnt Financialが運営する決済サービスAlipayがGrabアプリに導入される可能性も出てきた。また、AlibabaはGrabの決済プラットフォーム「GrabPay」にも関わろうとしているようだ。

本件に関して両社にコンタクトしたが、Grabはコメントを控えており、Alibabaからは返答も得られなかった。

シンガポールに拠点を置くGrabは、昨年9月に行われたシリーズFで7億5000万ドルを調達しており、その際のバリュエーションは30億ドルだった。設立から5年が経ち、Grabアプリのダウンロード数は4500万回を記録しているほか、ドライバーの数は90万人を超え、現在営業している7か国での1日の合計利用回数は250万回におよぶという。

AlibabaとAnt FinancialのどちらがGrabに投資するかはまだハッキリしていないが、両社ともネット業界の成長が著しい東南アジアでいち早く礎を築くべく、同地域での投資を加速させている。Alibabaは東南アジアで活躍するEC企業Lazadaの株式の過半数を握っている一方で、Ant FinancialはAscend Money(タイ)やMynt(Philippines)といった金融サービスを提供する企業に投資しているほか、インドネシアでも金融サービス系のジョイントベンチャーを立ち上げた

AlibabaがGrabに興味を示したことで、Alibabaと同社最大のライバルTencentは、東南アジアやアジアの他の地域で新しい戦いを繰り広げることになるかもしれない。なお、東南アジアのインターネット市場は今後10年間で2000億ドル規模に成長すると予測されている

先月お伝えした通り、TencentはUberやGrabと競合するインドネシア企業Go-Jekへの投資を決め、12億ドルのラウンドでリードインベスターを務めることになった。本件に詳しい情報筋によれば、AlibabaとAnt FinancialもGo-Jekと話を進めていたが、結局Tencentが本件を勝ち取ったようだ。ちなみに、Go-Jekはまだこの資金調達について正式なアナウンスを行っていない。

両社のインドでの戦いはさらに熱を帯びている。Tencentは、AmazonのライバルであるFlipkartの投資ラウンドにMicrosoftやeBayらと共に参加した一方、Alibabaは決済・EC事業を行うPaytmをインドの投資先に選んだ

先月SoftBankが14億ドルという大金をPaytmに投資したが、それ以前にもAlibabaとAnt FinancialはPaytmに大金を投じていたのだ。そう考えると、Grab絡みの話でこの3社の名前が一緒に出てくるのも何ら不思議ではない。

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(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter

イメージ戦略の一環?―、Uberが財務情報の一部を公開

人気配車スタートアップのUberは、この度Bloombergに財務情報の一部を公開した。その後Bloombergが報じた数字からは、同社が未だに凄まじい勢いで成長を続ける様子や、巨額の赤字を記録しながらも現金の流出を抑えつつある様子がうかがえる。

これまでにもUberの財務状況がリークしたことは何度かあったが、今回発表された内容は同社にとってポジティブなものだった。また、Uberがこのタイミングで情報を公開したというのにも納得がいく。というのも、4月に入って2017年Q1の結果が出揃ったということもあるが、崩壊しきった企業文化や短気なCEO、相次ぐ幹部の離脱を背景に同社には批判が集中している。さらにアメリカのライバルLyftが最近6億ドルを調達し、評価額がさらに上昇したことも関係しているかもしれない。

どうやらUberは、売上が増加している様子を伝えることで、同社に対する論調を変えようとしているようだ。一連のスキャンダルが起きる以前のUberは、売上記録を次々と破るディスラプティブな企業として評価されていたため、同社の経営陣がポジティブな財務情報を公開することで、当時のような評価を取り戻そうとしているのかもしれない。

この記事では、公開された数字をもとに、まずは事実としての数字を並べ、その後にそれぞれが何を意味するのかについて考えていきたい。

事実、数字、調整後損失

Bloombergが公開した情報によれば、2016年度のUberの総取引額は200億ドルだった。そして、その3分の1以下にあたる65億ドルが純売上(GAAPベース)とされている。

さらに、2016年Q4の純損失はQ3よりも5%増大したと報じられている。Q4の純損失が9億9100万ドルだったとするBloombergの報道内容を考慮すると、Q3の損失は約9億4300万ドルだったとわかる。

また、2016年度の純損失額(調整済み)は28億ドルだった。ここに中国事業関連の損失を加えると、トータルの純損失額は38億ドルに達するとBloombergは試算している(なお、以前の報道では、2015年度の純損失額が”少なくとも20億ドル以上”とされていた)。しかしどちらの数字も、「従業員向けの株式報酬や不動産投資、車両購入費などの経費」を考慮していないと記されている。

そのため、”調整後”の2016年度の純損失が38億ドルだったとしても、厳密なGAAPベースの数字はもっと悪かったと考えられる。仮に38億ドルという数字を使うと、2016年度のUberの純利益率は-58.5%だった。

この膨大な赤字額は、急激な売上額の伸びで一部正当化されている。

2016年Q4の総取引額がQ3と比較して28%伸びた結果、Q4の純売上額は29億ドルに到達したとBloombergは報じているが、29億ドルという純売上額は、Q3に比べて74%も伸びている。

なぜだろうか?この差には純売上の計上の仕方が関係しているようだ。

純売上はユーザーが支払う料金のうち、Uberの取り分のみをカウントしている。しかしカープーリングサービス(UberPOOL)に関しては、料金全体が純売上として捉えられている。つまり、複数人のユーザーが1台の車を共有するカープーリングサービスにUberの売上がシフトするにつれて、同社の売上の増加率も高まっていくのだ。

上記を考慮すると、2016年のUberの売上額は、そこまで驚くようなものではないと言えるだろう。さらに、これによってQ4の成績の見方も変わってくるばかりか、総取引額と純売上額の伸び率の差分も一考に値する。

最後に、現在Uberは70億ドル分の現金を保有しており、さらに数十億ドル分の借入ができる状態にあるようだ。ここから、同社がすぐに現金不足の状態に陥る可能性は低いと言える。

赤字は問題なのか?

Uberが赤字を計上すること自体は想定の範囲内だ。会社の規模もあって、同社の赤字は長いあいだ見逃されてきた。

しかし、各四半期の調整後損失額が10億ドル弱というのは注目に値する。特にUberのコスト構造を考えると、圧倒的なバーンレートだ。

以前までのUberであれば、オペレーションや成長を支えるために新たな資金を調達するのにも、何の心配もいらなかった。しかし、数々のスキャンダルや、設立からの年数・評価額・市場の成熟度と見合わない継続的な赤字を考慮すると、投資家はそこまでUberへの投資に意欲的ではないかもしれない。

これまでUberに投資したことがない、もしくは今後同社への継続的な投資を考えている投資家は、きっと「UberPOOLの売上の考え方がUberXの売上とは違うのであれば、GAAPよりもNon-GAAPの数字を信用したほうがいいということですか?」という質問を投げかけたくなるだろう。そうなるとUberは難しい立場に立たされる。というのも、Uberは売上に関してはGAAPベース、損失に関してはNon-GAAPベースの数字を見てもらいたい一方で、投資家は保守的にNon-GAAPベースの(小さな)売上とGAAPベースの(大きな)損失に注目するかもしれないからだ。

以上をまとめると、なかなか答えが見えづらい問いにたどり着く。Uberはどのように黒字化しようとしているのだろうか?

黒字化への道

修正や注意書きを無視すれば、Q4の調整済み営業利益はQ3と比較して大幅に改善している。GAAPベースの純売上額は74%も増加している一方で、調整後の赤字幅は5%しか拡大していない。つまり、売上に対する損失の割合は改善しているのだ。

急速に成長しながらも未だ赤字続きのUberは、このような改善点を投資家に見せ、同社の将来に投資家の目を向けようとしている。永遠に赤字を出し続けようと考えている企業は存在せず、もちろんUberも例外ではない。長期的な利益のために短期的な損失を背負うというのは、資金豊富で成長志向な企業が目指す姿でもある。

そうすると、黒字化はむしろタイミングの問題だと言える。では、Uberはいつ頃黒字化を果たせるのだろうか?

この問いには、オペレーション上のコストを含むさまざまな要因が関わってくる。例えば、特定の時間内の走行距離に応じて、Uberは一定数のドライバーにインセンティブを支払っている。

なぜUberは情報公開に踏み切ったのか?

これまでのリークと違い、今回Uberは自らBloombergに財務情報を手渡すと決めた。その様子からは、同社に対する世間の厳しい風当たりをどうにかしようという、Uberの裏の狙いが垣間見える。

多くの私企業がそうであるように、Uberも基本的には事業に関する情報をできるだけ公開しないようにしている。しかしCEOのTravis Kalanickはそこから一歩踏み出して、繰り返しIPOに対する関心のなさを表明しており、昨年にはIPOを”できるだけ後ろ倒しにしたい”とさえ語っていた。

その一方で、Bloombergの記事からも分かる通り、Uberは赤字を垂れ流し続けているため、資金面では投資家に頼るしかない状態にある。

これまでUberは、さまざま投資家から資金を引き出すことに成功しており、680億ドルという膨大な評価額で、VCからの投資を受けたスタートアップとしては、他社を大きく引き離す最大規模の企業へと成長した。

しかし、その結果株価も急上昇したため、投資家は段々とUberの将来的な成長度合いに疑問を抱きだしているかもしれない。通常ベンチャー投資家は10年間で3倍のリターンを求めているものの、厳しい競争にさらされ、スキャンダル騒ぎで企業文化が疑われているUberの株価が、今後3倍になるというのは想像しづらい。

つまり、Uberが引き続き資金を調達するためには、株式上場以外の道はないのだ。上場を果たせば、Uberの従業員もストックオプションのメリットを享受することができる。

もしかしたら、今回の情報公開は市場の反応をうかがうための作戦だったのかもしれないが、それよりはむしろ、Uberに対して否定的な意見を持っている人を黙らせるための動きであったように見える。

まだわかっていないこと

これまでにも断続的にUberの財務情報がリークされてきたが、四半期ごとや年度ごとの売上成長率に関してはまだハッキリしていない。

さらに、UberPOOLに関する売上の計上の仕方にも疑問が残る。ドライバーの取り分がわかれば、もっと全体像が見えてくるだろう。

また、先日公開された”貢献利益(contribution margins)”に関する記事では、Uberのメイン事業における売上やコストの詳細が明らかになったが、他事業の詳細については未だわかっていない。

例えばフードデリバリー事業のUberEATSは、これまでに世界中の数十都市への進出を果たしている。The Informationの昨年のレポートによれば、2017年度の純売上額におけるUberEATS関連の金額は1億ドルくらいになると予測されている一方、この新規サービスのドライバーに対するインセンティブがかさみ、関連赤字額は1億ドル以上になるだろうと推測されている。

Uberは確かに成長しているが、赤字幅も(売上成長率よりは低いものの)拡大し続けている。同社は明らかに、Amazon式の成長への再投資を見逃してもらおうとしているようだが、いつかはUberも投資家に対して黒字化への戦略を(大々的に発表するかどうかは別にして)示さなければいけなくなるだろう。

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(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter

Lyftがカレンダー情報から目的地を提案するようになった、カスタムショートカット機能ももうすぐ

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配車サービスアプリのLyftは、目的地の提案をアプリ内で行うためにカレンダーへのアクセスを行うことができるようになった。このオプションは本日(米国時間1月30日)から有効だ。そして続けての公開が控えているのが、「自宅」と「職場」に加えて独自の目的地ショートカットを登録する機能だ。これによって、頻繁に訪れる場所を毎回いちいち入力する必要はなくなる。

今日始まったカレンダー統合は、Googleカレンダーとデバイスのネイティブカレンダーに登録されたイベントの住所を取り込む。一度だけ承認を行えば、アプリ内で目的地として提案されたイベントの場所が取り込まれる。

Lyftアプリに、アドレス帳へのアクセスを許すのには気が進まない場合でも、程なくショートカットを登録できるようになるので、Lyftの中で繰り返し使われる目的地を保存しておくことができる。もちろんこうした変更によって、Lyftの使い勝手は向上し、利用率が上がることになるだろう。

Uberは今月初めにそのアプリにカレンダー統合と目的地の提案機能を追加している。そしてLyftに続くように、程なくカスタム目的地登録の機能も追加する予定だ。両者は終わることなく、私たちが自由市場と呼ぶ素晴らしい圧力の下に、お互いに機能を張り合い更に上回ることに鎬を削っている。

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(翻訳:Sako)

Uberが飛行機タクシーを検討中、将来的には自動飛行も視野に

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飛行機タクシーで短距離移動。まさに次世代の話だ。これは一種の妄想か、それとも実際に都市に住む人たちは実現を期待していいものなのだろうか?Uberは後者に賭けているようだ。Uberのプロダクト責任者はRecodeのKara Swisherに週末に開催されたカンファレンスでコメントしている。

UberのJeff Holdenは壇上で、Uberは真剣に垂直離着陸航空機(ブイトール機)を使用して、都市の上空を経由する個人の交通手段を実現する方法を検討しているという。突拍子もないアイデアに聞こえるが、このアイデアに取り憑かれているのはUberだけではない。Airbusは今年の初めに自動飛行タクシー計画の発表しているし、GoogleのLarry Pageはブイトール技術で空飛ぶ車の開発を投資している2社のスタートアップに競わせている。いくつか有名企業の名前を挙げるだけでもこれだけある。

Uberの計画は、パイロットが航空機を操縦するところから始めるという(上の写真にある米軍のV-22オスプレイのように)。だが、ブイトール機のコンセプトは、将来的に今ある商業ドローンのように自律して旋回する自動運転機能を搭載する計画だ。ブイトール機は、商業ドローンやコンシューマードローンといくつか共通点がある。複数のローターがあるデザインなのもその1つだ。Elon Muskはマス向けのフライトの動力源を電気にするのなら、ブイトール機が最適と考えているという。

最近、いくつかのオンデマンド配車サービスは、提供サービスの定義を拡張している。異なる交通手段への投資を行ったり、サービス提供である運転手が所有する車以外の車種を取り揃えるためのパートナーシップを締結したりしている。Lyftは、車のネットワークを拡張し、パートナーであるGMやLyft自身で保有する車種を広く揃えようとしている。これらの車は自動運転ができるだけでなく、乗客のニーズに合わせて設定を変えたり、車種を指定したりすることを目指す。例えば、作業用の車を選択したり、パーティーに向かうのなら車内でリラックスできる車を選択したりできるといった具合だ。Lyftの共同ファウンダーであるJohn Zimmerは最近のインタビューでその構想を説明している。

Holdenも都市空間の再考することに関してZimmerと似たビジョンを描いているという。HoldenはインタビュアーのSwisherに、屋上での離着陸空間の活用とサンフランシスコとオークランドでの車の渋滞を緩和することが目標であると話した。利用可能なコンシューマー向けブイトール機での交通サービスが実現するまでには、まだあまりに多くの仕事をやってのけなければならないだろう。ビイトール機での送迎が自動運転であるならなおさらだ。

さらに最大の障害は規制の制定する機関との話し合いだろう。都市部の上空を低い高度で飛行すること、無人航空機の使用、無人航空機による人の移動には規制がからんでくる。しかし、Uberは新領域に参入するのを躊躇う会社ではない。Uberの自動運転車を開発する取り組みは、カーネギーメロン大学の協力を得てからおよそ18ヶ月で、自動運転車の連隊が公道を走る実践的なトライアルにまで持ち込んでいるのだから。

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(翻訳:Nozomi Okuma /Website

UberとVolvo、2021年の自動運転車発売に向け3億ドルを投資

Volvo XC90 Drive Me

Volvoとの提携で、Uberが2016年末までにピッツバーグの公道で自動運転車によるオンデマンド配車サービスを提供する。さらに、この提携はVolvoが2021年に市場投入を目指す自家用またはタクシー用の自動運転車の開発に弾みをつけるとWall Street Journalは報じている。両社は総額3億ドルをほぼ折半で投資する見通しで、今後はVolvo社のSUV「XC90」プラットフォームをベースとした自動運転車の生産を目指す。

今回の提携は、ドライバーを必要としない配車サービスの提供開始を目指すライバル企業のGoogleやFordに対してUberが優勢になるのを助けることになるが、この計画に投資し、参加することでVolvoが手に入れるものも明らかだ。Uberの自動運転車チームは、Googleの自動運転車プロジェクトの前リーダーTwitterのエンジニアリング部門の前VP、さらにはカーネギーメロン大学ロボット工学部の多くの研究者から成り、そこで蓄積されたノウハウはVolvoにとって非常に有用になる。

Volvoの自動運転車の展望は、ドライバーが同乗しながらも完全な自動運転機能を備えた車だ。投資される資金は、障害物検出や衝突回避のためのセンサーを含むハードウェアの開発、さらなる研究とソフトウェアの開発に使われる。また、Volvoはこの提携の成果である自動運転車の公道テストを中国、イギリスおよびスウェーデンで実施したい考えだ。

今回の提携は、両社が自動運転技術を追求していく上で、他の企業とのパートナーシップを締結する余地を残している。また社員はそれぞれの会社での業務を継続、両社が社員を共有する予定はないとReutersは報じている。

今週初めに、Fordはタクシー向けの自動運転車を2021年までに発売すると発表したばかりだ。どうやら2021年は、自動運転車にとって重要な一年になりそうだ。

[原文へ]

(翻訳:Maki Itoi)

DidiによるUber China買収で先行きが不安な「アンチUber同盟」

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メディアやテック業界にいる人の多くが、中国現地法人をライバルであるDidi Chuxingに売却するというUberの決断が失敗であったと捉えている。Uber Chinaを1番のライバル企業に売却するというのが、メンツを保つための行為であり、逆境に打ち勝って中国での成功を試みていたアメリカ企業にとって避けられない結末だったと考えるのは簡単だ。

しかし、取引の詳細についてもっと詳しく見てみると、今回の事業売却が、両社どちらにとっても上手く出来た話のように見えてくる。

まず、今回の話が急にまとまったものだと思わないでほしい。売却の噂は、両社が否定する中、1ヶ月に渡って広まっていた。さらに、交渉内容に詳しい情報筋によれば、この話はUberとDidiの間に既に2度も行われていたが、上手くいってなかった。つまり、今回の話が3度目の正直だったのだ。さらにもっと大切なことに、事業売却はUberがメンツを保とうとしているというよりも、両社がアライアンスを組もうとしていることを意味する。

同様に、Didiが親切心から買収をしようとしているとも思わないでほしい。Didiは、Uberが中国で数十億ドル規模の投資をし続け、弱っていくのを傍観することもできたのだ。Appleを投資家に含むラウンドで73億ドルもの膨大な資金を調達し、Didiはその資金調達力を見せつけたが、中国やその他の地域でのUberの脅威を取り除くために、彼らから何かを奪おうとしていたのだ。つまり、今回の話には、Uberの戦略的な撤退以外の双方にとっての利点がある。

それでは交渉はどのように進むのだろうか?

まず、もちろんUberは、同社のCEOいわく毎年10億ドルものコストがかかっているという中国事業と引き換えに、中国のライドシェアリング業界において支配的な立場にあり、評価額が350億ドルにおよぶDidiの(恐らく)20%近い株式を取得することになる。なお、350億ドルという評価額は、2015年の合併後にDidiが誕生したときから比べると、約11倍の額だ。

しかし、もっと大きな成長余地がそこにはある。

今年の夏のはじめに、Didiで国際戦略部門のシニアディレクターを務めるLi Zijianは、同社が中国のタクシー市場で1.1%しかシェアをとれていないとの推計を発表した中国の新たな規制により、UberやDidiのサービスは11月から合法化されることから、今回のUber Chinaとの統合と合わせるとDidiのビジネスが何倍にも成長することが見込まれる。さらにUberも同社の最大の単一株主として、その利益を享受することになる。

Didiの株式を保有することで、Uberはバランスシートから現金を食い荒らしていた中国事業を取り除くことができ、待望のIPOに向けて前進することができる。さらに、Didiは自社のIPOの計画に関するニュースをこれまで否定していたものの、膨大な成長可能性を持つDidiの株主となることが、今後大きな利益に繋がる可能性が高い。

中には、Uberがこのような潜在的な財務利益を求めていたなら、単純にもっと早い段階でDidiへ投資することで時間とお金を節約できていたのではないかと主張する人もいる。しかし、もっと早い段階でDidiへ投資するためには、まず合併前のDidi KuaidiとDidi Dacheどちらへ投資するのか選ばなければならなかった。また、もっと重要な点として、Uberとの競争が無くともDidi Chuxingは今日の姿にまで成長することができたと考えるのは賢明ではない。

一例として、Uberは2014年末にPeople’s Uberを発表し、中国におけるP2Pサービスの先駆者となった。それ以前には、Uberが行ったスケールのP2Pサービスは存在しなかったのだ。Didiはその当時まだ準備段階にあったためその波に乗り遅れてしまい、People’s Uberの発表から6ヶ月程経った後に自社のライドシェアリングサービスを発表した。Didiは、当初ライセンスを持ったタクシーのみを利用しており、この例から、Uberとの競争が明らかにDidiのビジネスを形作り、その成長を支えていたと分かる。

uber china

Didi同盟に広がる不透明感

統合の本当にネガティブな影響は、アメリカのLyft、インドのOla、東南アジアのGrabからなるDidi同盟におよぶことになりそうだ。

これら4つの企業は、「アンチUber同盟」と呼ばれる同盟を昨年組み、ユーザーが旅行時に各企業のサービスを利用できるようにしたり、ノウハウを共有したりと、事業におけるシナジー効果を狙っていた。それと同時に、Didiは他3社に対して投資を行っており、Lyftへは1億ドルを出資し、昨年行われたOlaの5億ドルのラウンドと、1年前に行われたGrabの直近となる3億500万ドルのラウンドでは、それぞれ金額非公開のマイノリティ出資を行っていたのだ。

宣伝効果を狙ったものと見られることが多いが、この連合によって、Didiの同盟企業は結束力を高め、Didiからのサポートを受けることができ、さらには投資家を安心させることができたと考えられている。気まぐれに数10億ドル規模の資金調達ができるほどの力を持っているとされるUberのように、グローバルで活躍する大手企業と戦う上で、これらの要素は重要になってくる。

しかし、今回のUberとDidiの統合を受け、同盟関係は良くとも不安定、悪ければ混乱状態にあるように見える。

Didiが天敵であるUberと統合し、株式の相当量を渡してしまっただけではなく、Uberのグローバルビジネスに対しても、Bloombergが10億ドルにのぼると発表している詳細不明の投資を行ったのだ。Uberにとっては、これまでの調達資金額を考慮するとわずかな額でしかないが、Bloombergの数字が正しいとすると、これはDidiが同盟企業に対して出資した額の何倍にもなる。

それだけにとどまらず、Uber CEOのTravis KalanickがDidiの取締役に就任し、さらにはDidi CEOのCheng WeiもUberの取締役となったのだ。

私自身を含む多くの人が、同盟自体やDidiの同盟企業への出資を、海外進出に向けた買収の第一歩として見ており、当時の状況にもマッチしていた。しかし、Uberとの統合により、全てが論争に投げ込まれることとなる。つまり、東南アジアを例にすると、今やUberと同盟を組むことになったDidiは、Grabをどのようにサポートしていくのだろうか。両社を戦わせ合って、買った方と同盟を組むのかもしれない。

これはもちろん仮説だが、昨日までは考えることも出来ない話だった。

Didi同盟企業の反応

Grabはこのニュースを楽観的に捉えており、CEOのAnthony Tanは取引が確定する前から肯定的な態度を示していた。Tanは、TechCrunchが入手した社内向けのメモに、Uberの撤退は各地域のローカル企業でもUberを打ち負かすことができるという証拠だと述べていた。

「一度負けを味わったUberを、私たちがもう一度負かせよう」とTanは社員に向けて語った。

まさしくケンカの売り言葉のようだが、Uberを撤退に追いやった中国の状況と、東南アジアの状況は異なるため、単純比較はできない。ほぼ間違いなく、補助金合戦は中国に比べずっと穏やかなものになるであろうし、Uberは東南アジアへの進出を本格化しはじめたばかりだ。

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Tanは、公の場では社員たちを元気づけていたが、影では今回の出来事の成り行きにがっかりしていたことだろう。

一方Lyftは、UberとDidiの取引について、もっと落ち着いた様子のコメントを発表した。

「今後数週間の間に、Didiとのパートナーシップに関する評価を行っていきます。私たちは、中国の規制面から、Didiに大きなアドバンテージがあるといつも思っていました。」とLyftの広報担当者はWall Street Journalに語った

インドのOlaは、統合に関する公のコメントを求める度重なる依頼に応じなかった。

状況がハッキリして、今回の統合が世界のライドシェアリング経済にどのような影響をもたらすのか分かるまで様子を見ていきたいと思うが、現時点では、多くの人が考えるよりもUberは断然有利な立場にあるようだ。

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(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter

Uberが東南アジアでの黒字化を背景にサービスの拡充を目指す

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Uberは、東南アジアの主要市場での黒字化を背景に「土地の争奪」アプローチをやめ、代わりに新しいプロダクトやサービスの提供へと焦点を移した。

Uber内部の情報筋によれば、Uberはシンガポールとフィリピンで黒字化を達成した。シンガポールとフィリピンは、乗車数と売上が最も大きい2つの市場で、その他の国も両国のすぐ後ろにつけている。Uberは本件に関して、度重なるコメント要請に応じていない。

Uberが先月西欧市場の全てで黒字化を達成したと話していたことから、この情報は興味深い。新興市場でのUberのプレゼンスに関してはあまり知られておらず、特に現在シンガポール、インドネシア、マレーシア、タイ、ベトナム、フィリピン国内の合計15都市をカバーしている東南アジアについての情報はこれまでほとんどなかった。

Uberは、3年前にシンガポールを皮切りに東南アジア市場へ参入したが、「直近」の進出国であるベトナムへの進出は2年前のことだった。それ以降、担当チームは東南アジア中でのスケーリングというタスクを課されており、この度、競争力激化とユーザーベースの拡大を目的に新サービス導入を推し進めるという決定に至った。

合計で6億人もの人口を抱えているにも関わらず、東南アジアは中国とインドの影に隠れてしまっている。これはUberにとっても同じで、子会社のUber Chinaを通じて何十億ドルもの投資を中国で行うと同時に、インドでは、Softbankの支援を受けている企業価値50億ドルOlaとの戦いのため、昨年の夏に10億ドルの活動資金に関する発表を行った。

通貨、文化、規制障壁、そして言語の違う6つの主要国に人口が散らばっていることから、東南アジアのプライオリティはこれまで高くなかったが、TechCrunchの得た情報によると、その状況が変わってきており、UberはGrabとの競争を激化させようとしている。Grabは、1900万回のアプリダウンロード数と35万人のドライバーを誇る配車サービスを提供する企業で、Olaや中国のDidi、そしてLyftと協力関係にある。

フードデリバリー、乗り合い、バイクタクシー

Uberにとって、フードデリバリーサービスであるUberEats、乗り合いサービスのUberPool、そしてバイクタクシーサービスのUberMotoが東南アジアでの優先事項のようだ。クーリエサービスのUberRushも、現在アジアでは提供されていないが、今年中に地域限定で導入されるかもしれない。

最近、UberEatsはアジアで最初の市場となるシンガポールへ進出し、Uberは同サービスを、数ある都市の中でも、タイのバンコクへ今後展開することを示唆していた

シンガポールは、UberPoolでもサービス導入が行われた最初の市場のひとつだった。UberPoolは、同じ方向に行きたい乗客をまとめて移動させるサービスで、交通費の削減と渋滞の解消に一役買っている。同サービスはインドネシアの首都のジャカルタでも提供されており、フィリピンのマニラでは今年、シャトルバスを使った同様のサービスがローンチされている。

最後にUberMotoだが、このサービスはUberが願っていたようなサクセス・ストーリーを描けないでいる。当初2月にバンコクでローンチされたものの、5月にはタイ政府からサービス停止を命じられ、ふたつ目の市場となるインドでも規制対応に苦しんでいる。

現在Uberは、インドネシアをUberMotoの主要なターゲットとして考えているが、インドネシアの競争はかなり激しい。Sequoiaの支援を受けている地場企業のGo-Jekは、バイクタクシーサービスのパイオニアだ。20万人以上のドライバーがプラットフォーム上に登録されており、単に碁盤の目のようなジャカルタの街中をA地点からB地点へ乗客を乗せて4輪車よりも早く移動するだけではなく、フードデリバリーなどのサービスも提供している。Uberも、プラットフォームとしてのバイクタクシー隊を整備してサービスを追加していくという動きをとろうとしているが、Uberは強大な既存競合企業との戦いを強いられることとなる。

ライバル関係

Uberの新サービス導入には競合や抵抗が伴う。東南アジアにはたくさんのフードデリバリー企業が存在しており、メインのライバルとなるFoodPandaのほか、最近同地域に進出したDeliverooや、オーダーメイドサービスを提供するGrainのような企業もある。

そして潤沢な資金を持った競合の存在も見逃せない。

Go-Jekは軍拡競争のための準備を進めているようで、今月はじめにWall Street Journalは、現在インドネシアだけでオペレーションを行っているGo-Jekが、新たに4億ドルの資金を調達中で、その企業価値が10億ドル以上に達しようとしていると報じていた。TechCrunchは、この交渉に詳しい情報筋との確認を通して、ラウンドが向こう数週間のうちに完了するとの情報を得た。

Go-Jekの他にも、Uberとバイクタクシー(と配車サービス)で競争を繰り広げているGrabの企業価値は16億ドルに達し、これまでに6億5000万ドルの資金を調達している。GrabBikeサービスもバンコクでは禁止されているが、同社は書類や小包のデリバリーサービスとしてその事業を継続している。Grabは最近、インドネシアが乗車数で最大の市場であると発表していたが、経営数字については明らかにしなかった。

Grabも新たなサービスの導入を進めており、GrabFoodをインドネシアで運営するほか、シンガポールで昨年ローンチされたGrab式乗り合いサービスのGrabHitchは、その後マレーシアへの進出も果たした。Grabの担当者は、先月の時点で、GrabHitchの登録ドライバー数がシンガポールとマレーシアの2国合わせて5000人に達したと語った。

これで終わりではない。Grabは、今年中にインドネシアを皮切りに、ペイメントプラットフォームを導入していくと先週発表した。このペイメントシステムを利用すればお店での買い物もできるようになり、Grabはサービス開始にあたって、インドネシアの小売コングロマリットであるLippoとパートナーシップを結んだ。これにより、Grabもサービス提供を通じたユーザーベースの拡大を模索するにあたって、方向転換をしていくこととなる。

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(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter