Uberが東南アジアでの黒字化を背景にサービスの拡充を目指す

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Uberは、東南アジアの主要市場での黒字化を背景に「土地の争奪」アプローチをやめ、代わりに新しいプロダクトやサービスの提供へと焦点を移した。

Uber内部の情報筋によれば、Uberはシンガポールとフィリピンで黒字化を達成した。シンガポールとフィリピンは、乗車数と売上が最も大きい2つの市場で、その他の国も両国のすぐ後ろにつけている。Uberは本件に関して、度重なるコメント要請に応じていない。

Uberが先月西欧市場の全てで黒字化を達成したと話していたことから、この情報は興味深い。新興市場でのUberのプレゼンスに関してはあまり知られておらず、特に現在シンガポール、インドネシア、マレーシア、タイ、ベトナム、フィリピン国内の合計15都市をカバーしている東南アジアについての情報はこれまでほとんどなかった。

Uberは、3年前にシンガポールを皮切りに東南アジア市場へ参入したが、「直近」の進出国であるベトナムへの進出は2年前のことだった。それ以降、担当チームは東南アジア中でのスケーリングというタスクを課されており、この度、競争力激化とユーザーベースの拡大を目的に新サービス導入を推し進めるという決定に至った。

合計で6億人もの人口を抱えているにも関わらず、東南アジアは中国とインドの影に隠れてしまっている。これはUberにとっても同じで、子会社のUber Chinaを通じて何十億ドルもの投資を中国で行うと同時に、インドでは、Softbankの支援を受けている企業価値50億ドルOlaとの戦いのため、昨年の夏に10億ドルの活動資金に関する発表を行った。

通貨、文化、規制障壁、そして言語の違う6つの主要国に人口が散らばっていることから、東南アジアのプライオリティはこれまで高くなかったが、TechCrunchの得た情報によると、その状況が変わってきており、UberはGrabとの競争を激化させようとしている。Grabは、1900万回のアプリダウンロード数と35万人のドライバーを誇る配車サービスを提供する企業で、Olaや中国のDidi、そしてLyftと協力関係にある。

フードデリバリー、乗り合い、バイクタクシー

Uberにとって、フードデリバリーサービスであるUberEats、乗り合いサービスのUberPool、そしてバイクタクシーサービスのUberMotoが東南アジアでの優先事項のようだ。クーリエサービスのUberRushも、現在アジアでは提供されていないが、今年中に地域限定で導入されるかもしれない。

最近、UberEatsはアジアで最初の市場となるシンガポールへ進出し、Uberは同サービスを、数ある都市の中でも、タイのバンコクへ今後展開することを示唆していた

シンガポールは、UberPoolでもサービス導入が行われた最初の市場のひとつだった。UberPoolは、同じ方向に行きたい乗客をまとめて移動させるサービスで、交通費の削減と渋滞の解消に一役買っている。同サービスはインドネシアの首都のジャカルタでも提供されており、フィリピンのマニラでは今年、シャトルバスを使った同様のサービスがローンチされている。

最後にUberMotoだが、このサービスはUberが願っていたようなサクセス・ストーリーを描けないでいる。当初2月にバンコクでローンチされたものの、5月にはタイ政府からサービス停止を命じられ、ふたつ目の市場となるインドでも規制対応に苦しんでいる。

現在Uberは、インドネシアをUberMotoの主要なターゲットとして考えているが、インドネシアの競争はかなり激しい。Sequoiaの支援を受けている地場企業のGo-Jekは、バイクタクシーサービスのパイオニアだ。20万人以上のドライバーがプラットフォーム上に登録されており、単に碁盤の目のようなジャカルタの街中をA地点からB地点へ乗客を乗せて4輪車よりも早く移動するだけではなく、フードデリバリーなどのサービスも提供している。Uberも、プラットフォームとしてのバイクタクシー隊を整備してサービスを追加していくという動きをとろうとしているが、Uberは強大な既存競合企業との戦いを強いられることとなる。

ライバル関係

Uberの新サービス導入には競合や抵抗が伴う。東南アジアにはたくさんのフードデリバリー企業が存在しており、メインのライバルとなるFoodPandaのほか、最近同地域に進出したDeliverooや、オーダーメイドサービスを提供するGrainのような企業もある。

そして潤沢な資金を持った競合の存在も見逃せない。

Go-Jekは軍拡競争のための準備を進めているようで、今月はじめにWall Street Journalは、現在インドネシアだけでオペレーションを行っているGo-Jekが、新たに4億ドルの資金を調達中で、その企業価値が10億ドル以上に達しようとしていると報じていた。TechCrunchは、この交渉に詳しい情報筋との確認を通して、ラウンドが向こう数週間のうちに完了するとの情報を得た。

Go-Jekの他にも、Uberとバイクタクシー(と配車サービス)で競争を繰り広げているGrabの企業価値は16億ドルに達し、これまでに6億5000万ドルの資金を調達している。GrabBikeサービスもバンコクでは禁止されているが、同社は書類や小包のデリバリーサービスとしてその事業を継続している。Grabは最近、インドネシアが乗車数で最大の市場であると発表していたが、経営数字については明らかにしなかった。

Grabも新たなサービスの導入を進めており、GrabFoodをインドネシアで運営するほか、シンガポールで昨年ローンチされたGrab式乗り合いサービスのGrabHitchは、その後マレーシアへの進出も果たした。Grabの担当者は、先月の時点で、GrabHitchの登録ドライバー数がシンガポールとマレーシアの2国合わせて5000人に達したと語った。

これで終わりではない。Grabは、今年中にインドネシアを皮切りに、ペイメントプラットフォームを導入していくと先週発表した。このペイメントシステムを利用すればお店での買い物もできるようになり、Grabはサービス開始にあたって、インドネシアの小売コングロマリットであるLippoとパートナーシップを結んだ。これにより、Grabもサービス提供を通じたユーザーベースの拡大を模索するにあたって、方向転換をしていくこととなる。

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(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter