【レビュー】2022 Polestar 2、Android OSと交換可能なバッテリー&パーツがEVに磨きをかける

2020年、Polestar(ポールスター)が発売した最初の電気自動車は、デュアルモーターの全輪駆動構成、インセンティブ前の価格が約5万ドル(約570万円)という単一の仕様だった。しかし同社は2022年、新たなバリエーションを増やすという。

新たにPolestarが発売するのは、シングルモーターの2輪駆動バージョンのセダンだ。デュアルモーターのPolestar 2の特徴を多く備えながらも、より手頃な価格でより環境に優しい、電気自動車への切り替えを検討している人にとっては魅力的なオプションとなっている。今回、試乗であれこれとチェックさせてもらってきた。

シングルモーターVSデュアルモーター

画像クレジット:Kirsten Korosec

シングルモーターの「2022 Polestar 2」の航続距離は270マイル(約435km)とされており、パワーはやや劣りオプションもやや少ないが、ドライブを快適にしてくれるあらゆるテクノロジーが搭載されている。

デュアルモーターのように2つのモーターで4輪を駆動するのではなく、231馬力のパワーと243ポンドフィートのトルクをすべて前輪に配分するのがシングルモーターバージョンだ。2022 Polestar 2シングルモーターには、前輪と後輪の間の床下に78kWhのバッテリーパックが搭載されており、同社によると使用可能容量は75kWh。Polestar 2デュアルモーターにも同じバッテリーパックが搭載されている。Polestarは充電の高速化やバッテリーの設定を微調整して効率を上げるための無線アップデートをすべての車両において取り組んでいる。

The 2022 Polestar 2シングルモーターセダンには、オプションで機械式ヒートポンプ(Plus Packで4000ドル、約45万円増)が追加でき、より厳しい気候でも充電量を維持できるようになっている。同社によると特定の気候条件の下では、ヒートポンプが外気から熱を集め、航続距離を最大10%延長することができるという。Polestarの試算によると、2022 Polestar 2シングルモーターは、ヒートポンプを活用すればさらに27マイル(約43km)の航続距離を得ることができるということになる。

今回のモデルではフル装備のLaunch Editionが廃止され、Polestar 2シングルモーターがその代替となっている。Launch Editionではガラス製だったルーフを金属製に変更し、環境に配慮した内装を採用して装備を簡素化しているが「パック」と呼ばれる複数のオプションも用意している。

ヒートポンプ、ガラス製パノラミックルーフ、Harman Kardon(ハーマン・カードン)製プレミアムオーディオ、ワイヤレス携帯電話充電器などがセットになった「Plus Pack」を選ぶことも可能だ。筆者が試乗したPolestar 2のプロトタイプにはこのパックが搭載されていた。また、アダプティブ・クルーズ・コントロールやLEDエクステリア・ライティングなどを含むPilot Pack(3200ドル、約36万円増)を選ぶこともできる。残念ながら、筆者が運転した車両にはアップグレードされたADASシステムが搭載されていなかったため、同社がいうレベル2の運転支援機能を試すことはできなかった。

ネイティブAndroid OSとOTAアップデート

画像クレジット:Kirsten Korosec

Polestar 2は、Google(グーグル)のAndroid Automotive OSを初めて採用した車でもある。Volvo(ボルボ)も、Volvo XC40 Rechargeのような一部車両にAndroid Automotive OSを展開しているが、Polestarはブランド全体でこのプラットフォームを採用している。

Android Automotive OSはLinux上で動作するオープンソースのOSで、Polestarをはじめとする自動車のインフォテインメントシステムの基盤OSとして使用されている。その結果「Googleアシスタント」や「Googleマップ」「Google Playストア」などのGoogleのサービスが車にあらかじめ組み込まれているわけだ。Android OSは、スマートフォンの機能や操作感を車のセンターディスプレイに映し出すことができる、OSの上にある副次的なインターフェースであるAndroid Autoとは異なるものである。

関連記事:グーグルが自動車用Androidアプリの開発にライブラリの提供などで便宜強化

2022 Polestar 2では「Hey Google」というフレーズを使うことで、エアコンや道案内の操作など、車内のほぼすべての機能をボイスコントロールで利用することが可能だ。Googleのインフラはかなり一般に浸透しているため、誰でも非常に直感的に操作することができるだろう。

足もとが熱いことをシステムに伝えると、GoogleのOSがフットウェルの温度を下げてくれる。サンタバーバラで一番おいしいタコス屋を見つけたければ、筆者がやったようにGoogleに検索してもらい、そこまでナビゲートしてもらえば良い。運転中にタッチスクリーンに触れたことはほとんどなく、必要なことはGoogleにお願いするだけでほぼすべてのことができてしまった。

自然言語認識はGoogleが長年にわたって取り組んできたもので、その性能はますます向上している。このシステムを使っているとき、筆者は何度かリクエストを失敗したり、写真を撮るために地元のビーチに立ち寄ろうとしてぎこちないリクエストをしてしまったりしたことがあったのだが、システムは動揺することなく筆者の言葉を解きほぐし、要求した通りのことをやり遂げてくれた。

筆者が乗ったPolestar 2シングルモーターには、充電ステーションがAndroid OS上のGoogleマッププラットフォームに統合されていたのだが、ここには注意点がある。

Googleにルート上の充電スタンドを検索してもらうと、ブランドごとにフィルタリングをすることができる。しかし充電器が利用可能、または稼働中かどうかは教えてくれない。PolestarはChargePoint(チャージポイント)と提携して充電サービスを提供しているため、センタースクリーンにインストールされたChargePoint Appを使って選択した充電器の詳細を知ることができるが、画面をタップ操作する必要があるため最寄りの充電器に向かう前に一度車を止めることになるだろう。筆者の場合は、ハリウッドのパシフィックデザイン・センターからサンタバーバラまでの往復200マイル(約322km)の旅において、充電のために停車する必要はなかった。

同社によると、DC急速充電器であれば約30分で80%の充電が可能とのこと。Polestarのテクニカルオペレーション・スペシャリストであるGlenn Parker(グレン・パーカー)氏によると、これまでは80%充電するのに40分かかっていたためいくらか短縮されている。また、すべてのオーナーにアップデートを展開していく中で、今後も無線によるアップデートを継続することで、ポートフォリオ全体の効率と航続距離を向上させていくとパーカー氏は話している。

利用可能な充電器を探すのは面倒だが、Google MapsがPolestar 2の技術基盤に統合されたことで、新しい場所に移動したり、途中で寄りたい場所を追加したりするたびに推定航続距離が表示されるのは実に良い。筆者の日帰りドライブではロサンゼルスに戻るタイミングが悪く、ウェストサイドの渋滞に45分間も引っかかってしまったため、航続距離が20%ほど落ちてしまったのだが、最終的にはシステムが当初想定していた航続距離よりも数マイル多い状態で各目的地に到着したのはうれしい驚きだった。

路上にて

2022 Polestar 2デュアルモーターの試乗(ビデオクレジット:Kirsten Korosec)

Polestar 2シングルモーターは、静かかつ快適で、速い。同社によると0-60mphを7秒で達成できるとのことで、これは大したことではないように思えるが、特に低回転域のトルクがすぐに発揮されるため、加速車線から高速道路に合流するには十分な速度である。

筆者が試乗したプロトタイプでは、ステアリングフィールやワンペダルブレーキなど、いくつかの運転機能を調整することができ、車線逸脱警報などの運転支援システムのオン / オフを切り替えることもできた。残念ながら、前述のとおり筆者の試乗車には同社がPilot Packで提供している先進運転支援システムが搭載されていなかったため、それを試すことはできなかった。

電気自動車の楽しさの1つに、ブレーキモード(Bモード)、つまりワンペダルドライブがある。これはアクセルを離したときに、走っている車輪から得られる回生量を調整するものである。

Polestar 2では、ゆっくりと停止することができ、インフォテインメント画面で「Creep」モードの設定を切り替えると、アクセルペダルを踏まなくても車両がゆっくりと動きだす。筆者はほとんどの電気自動車を最もアグレッシブなブレーキ設定で運転しているが、これはロサンゼルスの交通事情においては最も効率的で楽しいモードだからである。Polestar 2の最高設定に多くの人は驚くかもしれないが、数分で慣れ、誰でも直感的に使えるようになる。ただし、筆者は回生ブレーキモードと組み合わせたときに不自然さを感じたので「Creep」機能はオフにした。

また運転中9割は「Firm」と呼ばれる最もアグレッシブなステアリング設定を使用した。基本的には選択した設定に応じてステアリングの比率が変わるシステムで「Firm」は最もダイレクト感のあるレスポンスを提供し、よりソフトな設定だとゆったりとしたレスポンスとなる。

修理、再調整、リサイクルの権利

同社は環境に配慮した製品づくりと素材選びにこだわりを持っており、自動車に搭載するバッテリーのライフサイクル全体に対して積極的に取り組んでいる。パーカー氏によると、同社はバッテリーに使用するコバルトの採掘をブロックチェーンで追跡しており、自動車の製造に使用する他の要素の追跡にもこのシステムの使用を検討しているという。

これに加え、同社はバッテリーとオーナーのライフサイクルについても比較的包括的に考えている。

Polestar 2シングルモーターのスタックパックは、部品が故障しても個別に交換することができ、パーカー氏によると1つの部品が故障した場合、同社がその材料を再び回収して閉ループシステムを形成するという。「再製造や、戻ってきた部品の再利用の方法を検討しています」と同氏。また同社では、修理方法の説明や、オーナーが直接購入できる部品カタログへのアクセスも提供している。

Polestar 2シングルモーターの価格は4万5900ドル(約520万円)からで、2022年1月から販売が開始される予定である(デスティネーションフィーおよび税金は含まれていない)。7500ドル(約85万円)の連邦税優遇措置と一部の州での優遇措置により、3万5000ドル(約400万円)程度まで下げることが可能だ(これにも税金とデスティネーションフィーは含まれていない)。

画像クレジット:Abigail Bassett

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(文:Abigail Bassett、翻訳:Dragonfly)

GMが新しいソフトウェアプラットフォーム「Ultifi」を2023年から生産される次世代車に搭載

General Motors(ゼネラルモーターズ)は「Ultifi(アルティファイ)」と名付けられた新しいエンド・ツー・エンドのソフトウェアプラットフォームを、2023年から生産が始まる次世代車両の一部に搭載すると発表した。これにより、ドライバーがサブスクリプションで提供される車載機能を利用したり、無線アップデートを使って新しいアプリケーションやサービスを導入することが可能になるなど、広範囲にわたるさまざまな機能を提供できるようになると、同社の経営陣は述べている。

このソフトウェアプラットフォームによって、オーナーは車両の全体の機能やセンサーにまでアクセスできるようになる。例えば、後部座席に子どもがいることをカメラが検知すると、自動的にチャイルドロックが作動するように設定できる。また、ドライバーはUltifiを介して、ハンズフリー運転が可能なGMの先進運転支援システム「Super Cruise(スーパークルーズ)」などのサブスクリプションサービスを利用することができる。

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「これは、当社のソフトウェア戦略における大きな次のステップです」と、GMのソフトウェア定義車両担当VPであるScott Miller(スコット・ミラー)氏は、プレスブリーフィングで語った。「今日の自動車はソフトウェアによってさまざまなことが可能になっています。Ultifiではソフトウェアによって自動車が定義されることになるでしょう」。

Ultifiの機能は、GMの「Vehicle Intelligence Platform(VIP、ビークル・インテリジェンス・プラットフォーム)」上に組み込まれる。VIPは、車両のデータ処理能力を向上させるハードウェア・アーキテクチャーで、これを採用したモデルではすでに無線によるソフトウェアアップデートが利用できるが、Ultifiでは車載モジュールが1つのプラットフォームに集約されるため、より迅速なアップデートが可能になるという。

Ultifiは、GMの一部のインフォテインメント・システムに搭載されている「Android Automotive(アンドロイド・オートモーティブ)」OSとともに組み込まれることになる。なお、車載システムのOSとしての役目を担うAndroid Automotiveは、OS上で作動する副次的なインターフェイスである「Android Auto(アンドロイト・オート)」とは別物だ。UltifiとAndroid Automotiveの役割の違いは、機能と可用性にある。「Android Automotiveは、車内における機能の一部を提供するものです」と、ミラー氏は説明する。「Ultifiは、より全体に渡るアンブレラ戦略です」。

Androidと同様に、Ultifiも開発者向けのプラットフォームとして広く使われているLinux(リナックス)をベースにしている。GMがLinuxを選択した理由について、ミラー氏は「ある時点で、私たちは本当にこれをオープンにしたいと思っています」と述べ、将来的にはサードパーティの開発者が車内アプリを作成できるようにしたいと語った。

まだ開発中のUltifiは、2023年より展開を開始する予定であり、利用できるのはそれ以降に生産される車両に限られる。システムの要求する処理能力を車両が備えている必要があるからだ。ミラー氏によれば、スマートフォンに異なる購入プランが用意されているように、消費者は車両を購入するか、あるいはいくつか用意されるアクセスプランを購入するか、選べるようになるという。つまり、価格も購入プランもさまざまということだが、GMは具体的な内容を説明しなかった。また、同社はこの新しいプラットフォームがどのくらいの収益をもたらす見込みであるかということも明らかにしなかった。

今回のGMの発表は、大手自動車メーカーが新型車をこれまで以上にコネクテッドにするために行っている最新の動きの1つである。ゼネラルモーターズとFord(フォード)の両社は、ソフトウェアやサブスクリプションサービスによる収益機会について議論を重ねている。Ultifiはこれらの事業を構築するためのさらなるステップだ。

「私たちは自動車から離れようとしているわけではありません」と、ミラー氏はいう。「私たちは事業を拡大しているのです。他のアプリケーションのために、技術を拡張・活用する新しいビジネスラインの創出は、我々のコアの代わりになるものではなく、(コアに)追加されるものです」。

画像クレジット:GM

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(文:Aria Alamalhodaei、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

Androidスマホに多数の運転者向け新機能、グーグルはホンダとの協業も発表

Google(グーグル)は米国時間9月23日「Android Auto(アンドロイト・オート)」に追加されるさまざまな新機能を発表した。また、2022年後半に北米で発売されるHonda(本田技研工業、ホンダ)の新型車より、ホンダとGoogleの協業による車載向けコネクテッドサービスの搭載が開始されることも、両社から発表されている。

Googleは2015年に「Android Auto(アンドロイト・オート)」と呼ばれるアプリを発表。これを使ってドライバーは車内でスマートフォンと車載オーディオを無線で接続し、スマートフォンから音楽を車内で再生したり、マップのナビゲーションをスピーカーから音声で読み上げたり、ハンドルを握ったまま車載サウンドシステムを通じて電話をかけたりすることができるようになった。それから6年が経った今、Android Autoも、それが動作する車載インフォテインメントシステムも、格段に賢くなっている。Googleは今回、さらに多くの機能をドライバーに提供すると発表した。これらの機能はドライバーがスマートフォンでAndroid Autoを起動しなくても、車載システムを通じて直接利用できる。

Android Autoは運転中のドライバーの気を散らさないように設計されたものだが、これまでは携帯電話を車載インフォテインメントシステムやオーディオシステムに接続するのにも一苦労だった。携帯電話でBluetoothが有効になっていることを確認し、クルマにデバイスを認識させてペアリングし、さらに実際にAndroid Autoにさせたいことをさせるためには、無数の音声コマンドを覚えなければならなかった。しかし、もうそんな必要はなくなるのだ! ドライバーは「Hey Google, let’s drive.」と声をかけるだけで、接続のプロセスを実質的に自動化できるようになる。

さらに、Googleはユーザーインターフェイスも刷新し、Amazon Music(アマゾン・ミュージック)、Audible(オーディブル)、iHeartRadio(アイハートラジオ)、JioSaavn(ジオサーバン)、Pandora(パンドラ)、Podcast Addict(ポッドキャスト・アディクト)、SoundCloud(サウンドクラウド)、YouTube Music(ユーチューブ・ミュージック)など、数多くのコンテンツソースにワンタップでアクセスできるようにした他、受信したテキストメッセージをシステムが読み上げ、ドライバーが音声で応答できるようにした。これらの新機能は、今後数週間のうちに、英語圏をはじめ、ドイツ、スペイン、メキシコ、フランス、イタリアの各市場で提供される予定だ。

また、デュアルSIM携帯電話を使用している国際的な旅行者のために、Android Autoでは仕事用と個人用のプロファイルを別々に設定し、運転している時間や用事に応じて、関連する連絡先リストやカレンダーの予定を表示できるようになる。

車載ディスプレイを搭載している車両では、Android Autoに追加されたゲームなどの新機能を利用できるようになる。GoogleはGameSnacks(ゲームスナックス)と提携し、車を駐車している間、ドライバーに手軽で楽しい気分転換を提供する。これで公共の充電施設で座ったまま、くだらないニュースを読んで時間を潰す行為から解放される。さらにGoogleは、ガソリン代の支払い方法も簡単にした。「Hey Google, pay for gas」というだけで、Google Pay(グーグル・ペイ)による非接触型の支払いが完了する。もっとも、燃料の種類を選択したり、実際に給油したりする作業は依然として必要だが。この機能はまず、Exxon Mobil(エクソンモービル)、Conoco(コノコ)、Phillips 66(フィリップス66)、76(セブンティシックス)の全米3万2500店舗のガソリンスタンドから利用できるようになる。

一方、車両搭載型システムの「Android Automotive OS(アンドロイド・オートモーティブOS)」は現在、Polestar 2 (ポールスター2)やVolvo XC40 Recharge(ボルボXC40リチャージ)といった一部の車に搭載されているが、今後はFord(フォード)やGMなど、さらに多くのメーカーやモデルに搭載されることになる予定だ。Googleはその最新のパートナーがホンダになることを発表した。ホンダはGoogleと協業して「Googleの車載向けコネクテッドサービス」を搭載した新型車を、まずは2022年後半に北米で発売し「その後、順次グローバルに展開」していくと述べている。Googleの車載システムは、Chevy Silverado(シボレー・シルバラード)とRenault Mégane E-Tech(ルノー・メガーヌEテック)にも搭載される予定だ。

編集部注:本稿の初出はEngadget。執筆者のAndrew Tarantolaは、Engadgetの編集主任。

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画像クレジット:Geoff Robins / AFP / Getty Images

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(文:Andrew Tarantola、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

2022年型シボレー・シルバラードに大規模なテクノロジー系アップグレード、ハンズフリー運転支援機能も採用

GMは米国時間9月9日、フルサイズ・ピックアップトラック「Chevrolet Silverado(シボレー・シルバラード)」の2022年モデルを発表した。ハンズフリー走行が可能な先進運転支援システム「Super Cruise(スーパークルーズ)」や、Google(グーグル)サービスを組み込んだインフォテインメントシステムなど、大きなテクノロジー系のアップグレードを受けた他、インテリアが一新されている。また、新たなフラッグシップモデルとして、工場出荷時にサスペンションのリフトアップを施したオフロードトラック「ZR2」もラインナップに加わった。

シルバラードのリフレッシュは、シボレーとGMCのピックアップトラックを含む、GMの電気自動車攻勢に先駆けて行われた。GMは2025年までに30台の新しい電気自動車をグローバル市場に投入し、2035年までに全車をゼロエミッション(排ガスを一切出さない)車に移行することを目指している。GMによれば、この新しいシルバラードは2022年春よりディーラーに並ぶ予定だという。

2022年モデルのシボレー・シルバラードは、エクステリアもリフレッシュされ、新しいフロント・フェイシアや、ドライバーが車両に近づいたり離れたりすると光がアニメーションするデイタイム・ランニング・ライトなどが採用された。しかし、本当の意味での変化は、このトラックのキャビンと、そこに搭載されたハードウェアとソフトウェアの根幹に見出すことができる。

2022年型シボレー・シルバラード ZR2と新型ヘッドライト(画像クレジット:GM)

最もベーシックなエンジンは、2.7リッター直列4気筒ガソリンターボ「High-Output(ハイアウトプット)」エンジンで、その最大トルクは前モデル比20%増の420 lb.-ft.(569Nm)を発生する。これを搭載する2輪駆動モデルの最大牽引力は9500ポンド(約4.3トン)。組み合わされる8速オートマティック・トランスミッションはシフトスケジュールが見直され、シフトがスムーズになっただけでなく、すばやくシフトダウンして必要なパワーを引き出せるようになった。

3.0リッター直列6気筒ターボディーゼル「Duramax(デュラマックス)」エンジンも改良され、最大牽引力が1万3300ポンド(約6トン)になった(2輪駆動車)。グレードによっては、5.3リッターと6.2リッターのV8ガソリンエンジンも選ぶことができる。

より広々とした印象に刷新されたインテリアには、13.4インチのタッチスクリーンと12.3インチの表示変更可能なデジタル・メーターパネルを「LT」以上のグレードに標準装備。オーナーはリアカメラミラーやヘッドアップディスプレイを追加することもできる。

2022年モデルで追加されたシボレー・シルバラード ZR2(画像クレジット:GM)

インテリアは新色が用意され、シートのデザインも変更を受けた。新たにプレミアムな素材も採用されている。バケットシートを装備するモデルでは、センターコンソールに電子制御式シフトコントローラーが内蔵された。

シボレー・トラックのリード・インテリア・デザイナーを務めるAlexandre Scartezini(アレクサンドル・スカルテジーニ)氏は、より現代的で洗練された「デザインのDNAにCorvette(コルベット)からの影響を感じさせる」ものになったと述べている。

すべてGoogle

車内のさらに奥、すなわちインフォテインメントの部分では、Google、さらに言えばAndroid Automotive(アンドロイド・オートモーティブ)がオペレーション・システムの中核を担っていることにユーザーは気がつくだろう。つまり、Googleアシスタント、Googleマップ、Google Playが、すべてインフォテインメント画面に統合されているのだ。

Android Automotive OSと、Android Auto(アンドロイド オート)を混同してはいけない。後者はオペレーション・システムの上に載せる二次的なインターフェースだ。ユーザーのスマートフォン上で動作するアプリであり、車両のインフォテインメントシステムと無線で通信する。新型シルバラードは、Android AutoとApple CarPlay(アップル カープレイ)の両方に対応している。GMによると、このシステムはAmazon Alexa(アマゾン アレクサ)とも連携するという。

一方、Android Automotive OSは、Linux上で動作するオープンソースのモバイルOSを原型としているる。しかし、スマートフォンやタブレットを動かす代わりに、Googleは自動車メーカーが自動車内で使えるように改変した。Googleは以前から、このOSのオープンソース版を自動車メーカーに提供してきた。近年では、自動車メーカーはグーグルと協力して、Googleのすべてのアプリやサービスが組み込まれたAndroid OSをネイティブに構築している。

ハンズフリードライブ

シルバラードの全車には、自動緊急ブレーキ、車線逸脱警告および車線逸脱防止支援、前方衝突警告、車間距離表示、ハイビーム自動切り替え式ヘッドライト、前方歩行者検知ブレーキという6種類のアクティブセーフティ機能が標準装備されている。

今回の大きな変更は、さらにハンズフリー運転支援技術「スーパークルーズ」が追加されたことだ。これは最上級トリムの「High Country(ハイカントリー)」にオプションとして設定される。シルバラードのスーパークルーズは牽引中でも使用できるのが特徴だが、レーンチェンジ・オン・デマンドやオートマティック・レーンチェンジなど一部の機能は、牽引中には制限される。

スーパークルーズは、LiDARマップデータ、高精度GPS、カメラ、レーダーセンサー類の組み合わせで実現する機能だ。併せて、運転者が注意を払っているかどうかを監視するドライバー・アテンション・システムも搭載されている。Tesla(テスラ)の運転支援システム「Autopilot(オートパイロット)」とは異なり、スーパークルーズのユーザーは、ハンドルから手を離しても大丈夫だ。ただし、目線は前方に注意を向けていなければならない。

GMは2017年にスーパークルーズを導入して以来、着実に改良を重ねてきたが、その採用は何年もの間、同社の高級ブランドであるCadillac(キャデラック)に限定されており、ハンズフリー運転が可能な場所も特定の高速道路の定められた区間に限られていた。しかし、それは2019年にGMがより多くのモデルやユースケースに拡大する計画を発表してから変わった。現在、このシステムは米国とカナダの20万マイル(約32万キロメートル)以上の道路で作動させることができる。

他にもシルバラードには、牽引するトレーラーの長さも考慮に入れて、車線変更時に死角にある車両を警告する機能など、牽引時に役立つ運転支援機能が採用されている。

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(文:Kirsten Korosec、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

グーグルが自動車用Androidアプリの開発にライブラリの提供などで便宜強化

2021年中に、Volvo(ボルボ)とGMとRenault(ルノー)およびPolestar(ポールスター)の計10車種以上にAndroid Automotiveオペレーティングシステムが搭載され、内蔵のGoogle(グーグル)アプリとサービスのすべてを利用できるようになる。今後同社は、サードパーティの開発者が、ナビゲーションやEVの充電、駐車、メディアなどのアプリを車のスクリーン上にもっと容易かつ直接的に実装できるよう図っていく。

Googleは米国時間5月18日に行われたデベロッパーカンファレンスで、Android for Cars App Libraryの拡張を発表した。ライブラリスイートAndroid Jetpackに含まれ、Android Automotiveオペレーティングシステムをサポートする。これにより開発者は、Android OSとAndroid Autoという、2つの異なる(ただし重複部分もある)プラットフォームに対応したアプリを開発できるため、良いニュースでもある。また開発者は、アプリを1つ開発したらそれが複数の車種で問題なく動くという状態を維持確保できる。

Googleの発表によると、同社はすでに初期パートナーたちとの共同事業を開始しており、ParkwhizやPlugshare、Sygic、ChargePoint、Flitsmeister、SpotHeroらの開発者とともにAndroid Automotive OSで動く各種車載アプリの開発を進めている。

画像クレジット:Google

Android Automotive OSとAndroid Autoを混同しないように。後者はオペレーティングシステムの上に来る二次的なインタフェイスだ。Android Autoは、ユーザーのスマートフォンで動くアプリで、クルマのインフォテインメントシステムとワイヤレスで通信する。一方、Android Automotive OSはLinuxの上で動くオープンソースのモバイルオペレーティングシステムAndroidがその基本形だ。ただしAndroidであってもスマートフォンやタブレットで動くのではなく、自動車メーカーが車載用に使えるよう、Googleが変更を加えている。GoogleはこのOSのオープンソースバージョンを自動車メーカーにしばらく提供していたが、しかし最近では自動車メーカーがテクノロジー企業と共同で、Google AssistantやGoogle Maps、Google Play StoreなどGoogleのアプリとサービスをすべて内蔵するAndroid OSをネイティブで作り込んでいる。

Spotifyなど多くのサードパーティ開発者がAndroid for Cars App Libraryを使って独自のAndroid Autoアプリを開発し、Play Storeへ出している。Cars AppをOSの拡張とすることにより開発者は、アプリを1度だけビルドすればよい。

2年前にGoogleは、Android Automotiveオペレーティングシステムをサードパーティの開発者に公開して、音楽などのエンターテインメントアプリをクルマのインフォテインメントシステム用に作らせようとした。それが最初に実現したのが、Volvoが電動車専門のパフォーマンスブランドとして誕生したPolestarの、Polestar 2だ。その後のVolvo XC40 Rechargeなども、この方式を採用している。

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(文:Kirsten Korosec、翻訳:Hiroshi Iwatani)