MicrosoftがAWSのLambdaに続いてサーバー不要のイベント駆動型クラウドサービスAzure Functionsをローンチ

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Microsoftが今日(米国時間3/31)行われた今年のBuildデベロッパーカンファレンスで、デベロッパー自身がそのためのインフラを作らなくてもイベント駆動のトリガーを作れる、というサービスのプレビューを発表した。

ご存知のようにAWSは昨年のre:Inventカンファレンスで、Lambdaと呼ばれる同様のサービスを発表したが、競争の激しいパブリッククラウドプラットホームの業界だから、Microsoftもそれを黙視できない。Microsoftの、AWS Lambda相当サービスの名前は、Azure Functionsという。

Microsoftから見ればそれは、同社のPaaSサービスの拡張であり、デベロッパーはJava, Python, C#, phpnなど自分が使い慣れている言語でイベントトリガを作れる。そしてそれはAzure上はもちろん、そのほかのサードパーティによるプライベートやハイブリッドのクラウドでも使える。

Microsoftはこれを主に、IoT用と位置づけている。デバイスやセンサーから情報が来ると、それがイベントをトリガーして自動的に何かを起こす。

Azure Functions demo

なお、Googleも最近、Google Cloud Functionsという似たような名前で、同様のツールのアルファを開始した

ファンクションをプラットホーム側で(イベント駆動で)動かすわけだから、ユーザー(デベロッパー)はサーバーが要らない。この考え方は、なかなか魅力的だ。デベロッパーはイベントトリガーを作る、あるいはそれぞれ独自の意味を持った一連のトリガーを作る。するとクラウドサービスがそれら(から起動されるファンクション)を動かしてくれる。そのために必要な計算機資源やメモリ、ストレージなどはクラウドプラットホーム側が手配する。イベントそのものは、単なる引き金(トリガー)だから、一瞬しか存在しない。

それ(ラムダファンクション)は、小さな自己完結的なアプリケーションをデプロイする権限をプログラマーの手に渡し、デベロッパーがアプリケーションを壁の向こうにいるオペレーション(ops)に渡してデプロイしてもらう、という状況がなくなる。デプロイは、デベロッパーが自分でやる。なぜなら、オペレーション相当部分は、Microsoftなどのクラウドプロバイダが、適正なリソース配分を自分でやりながら担当し、アプリケーションのデプロイを行い、イベントのトリガーを扱っていくからだ。

もちろんこれによって、複数のイベントが同時並列的に発生したり、トリガーが別のトリガーをトリガーするといったドミノ効果が起きることもありえる。そして最終的には、いろんなイベントにトリガーされたアクティビティのコンスタントなフローが常在し、それら個々の小さな(大量の)イベントに課金するMicrosoftは、確実に収益を積むだろう。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

MicrosoftのマイクロサービスプラットホームAzure Service Fabricが一般公開へ

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Microsoftが今日(米国時間3/31)、Azure Service Fabricから“プレビュー”のラベルを外した。それは、ステートフルとステートレスの両方のDockerベースのマイクロサービスを、クラウドとオンプレミスで動かすサービスだ。

Service Fabricは、Microsoft自身もAzureの中核的インフラストラクチャの多くを駆動するために使っており、一般のデベロッパーはこれをMicrosoftの次世代PaaS技術の上で利用することにより、高度にスケーラブルなサービスを構築できる。

このサービスの基本的な考え方は、デベロッパーをアプリケーションのコードに集中させ、オーケストレーションやスケーリングはすべてMicrosoftが面倒見る、というものだ。デベロッパーはService Fabricを使って、自分のコードをパッケージし、デプロイするが、その際、それらを支えるサーバーのアーキテクチャをまったく気にする必要がない。今日のキーノートでMicrosoftは、リアルタイムマルチプレーヤーゲームのAge of Ascentのデベロッパーたちが、Service Fabricを利用してそのマイクロサービスを、必要に応じてスケールアップ/ダウンできるところを見せた。

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そのService Fabricが今日から一般公開されるので、MicrosoftはそれをLinuxとWindowsの両方のサーバーでサポートする、と約束どおりの発表をした。どちらの実装も今はまだプレビューだが、それによりデベロッパーはツールをハイブリッドなデプロイ環境でも利用でき、AWSなどほかのクラウド上のランタイムも使えるようになる。

さらにMicrosoftは、Service FabricのプログラミングフレームワークをLinux上でオープンソースにする。

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MicrosoftはAzure Service Fabricを、この前のBuildデベロッパーカンファレンスで初めて発表した。ということは、それをSkypeやCortanaなどで、すでに内部的には使っているにもかかわらず、一般供用までには相当の時間をかけたことになる。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

MicrosoftのNoSQLデータベースDocumentDBがMongoDB完全互換になる

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MongoDBができる人、今日はあなたの吉日だ。MicrosoftのNoSQLドキュメントデータベースDocumentDBが、これからはMongoDBのドライバーをサポートする。今あなたが使っているMongoDBのツールやライブラリをDocumentDBで使って、Microsoftのクラウドを利用できるのだ。

あるいは、DocumentDBのインフラストラクチャからMongoDBと互換性のあるデータベースサービスを提供する、といったハイブリッドなこともできる。今日(米国時間3/31)から、そのプレビューが提供される。

皮肉にもMicrosoftは、MongoDBのサポートの使い方をデモするスライドの中で、Parseを使っている。Parseをベースとするアプリは、MongoDBの命令を使ってDocumentDBとコミュニケートできる。しかし、Facebookは近くParseを閉鎖する。でもご安心を! ParseのサーバーをAzureへ移行できるから、デモでParseを使っているのは意外と正解かもしれない。

DocumentDBはJSONベースのNoSQLドキュメントデータベースへの、Microsoft独自の取り組みだ。顧客はパフォーマンスのレベルを選択でき、あるいは一部のコレクションに対してのみ高いパフォーマンスレベルを割り当てて、そのほかを低くしておくこともできる。

また今日からは、DocumentDBで複数のリージョンのデータをレプリケートできる。前から、世界中の複数のデータセンターにまたがってDocumentDBを利用できるけれども、今日からはそんな展開でも応答性に優れたデータベースを構築できることになる。

DocumentDBの料金体系も変わる。今日のMicrosoft Buildの会場で詳しい説明はなかったが、とにかく今後はDocumentDBがお安くなり、大規模な展開も楽にできるようだ。期待しよう。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

さよならWindows Phone―Build 2016でMicrosoftは自社スマートフォンを無視

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MicrosoftのBuild 2016に出席してすべてのキーノート講演を聞いた。そこで非常に大きな話題が抜けているのに気づいた。Windows Phoneはほとんど無視されていた。実際、Microsoftの登壇者はあらゆるセッションでこの話題を意識して避けているように思えた。どうやらモバイル分野ではMicrosoftはリングにタオルを投げ込むつもりのようだ。

AndroidでもiOSでもかまわない。われわれはどちらにも対応している。

— Microsoft Buildのプレゼンター

たとば、Visual Studioを使った開発に関するセッションで、講演者がXamarinが無料になると発表して会場から大喝采を受けたときのことだ。続いて講演者は、「このプラットフォームがすべてのスマートフォン・プラットフォームをカバーしているのはすばらしいことだ」と述べた。

講演者は「AndroidでもiOSでもかまわない。われわれはどちらにも対応している」とだけ言うと次の話題に移った。 この2項目のリストは短かすぎると思った読者はいるだろうか? プレゼンターはBlackBerry、Symbian OS、Tizen、Sailfish、Palm OSを例に上げなかった。何よりWindows Phoneが言及されなかった。

Showing off a key partnership with BMW at Build 2016... That's not a Windows Phone.

Build 2016でBMWとの重要な提携が発表され …はいいが、それはWindows Phoneではないぞ?.

Windows Phoneが無視されたのはこのキーノート・セッションだけではない。今年のBuildカンファレンスの全セッションでWindows Phoneの名前を聞くことはまずなかった Surfaceはもちろん大いにプッシュされた。Xboxももちろんだ。Windows 10、 IoTその他話題は多岐にわたったが、Windows Phoneは?  このGIF画像が状況の巧みな要約になっていると思う。.

A Starbucks and Outlook demo. Finally! A Windows 10 device! Oh, wait, no.

StarbucksとOutlookのデモ。ついにWindowsデバイス登場かと思いきや、またまた iOS。

Build 2016のデモでBMWは全面的にiOSデバイスを使っていた。Starbucksも同様だ。もし私が何度か居眠りしていたのでないとすれば(その可能性は十分ある)、今年のBuildのすべてのキーノートでWindows Phoneは1度もステージに登場していなかったと思う。

プレゼンターがWindows Phoneに興味を失くしているらしいのと同時に、他のMicrosoftスタッフも誰一人としてこのデバイスを使っていなかった。昨年Microsoftが「われわれはスマートフォン・ビジネスでの努力を倍増させる」と言ったのを真に受けてLumiaを買ったユーザーにはお気の毒なことだ。もっともWindows Phoneをデスクトップ・コンピューターに変えるとも言っていたから、ある意味でそれは実現されつつあるとも言える。

いずれにしてもMicrosoftはAmazonという本をいくらか真面目に読んだとみえる。つまりモバイル分野はiOSとAndroidが戦うにまかせておき、自分たちが本当に付加価値を生める分野に集中すべきだという教訓だ。Microsoftの場合、AzureのクラウドキャプションボットのテクノロジーMicrosoft Inkのエレガントなインターフェイスで素晴らしい仕事をしている。認知科学を応用したサービスもBuildで発表された。

さよなら、Windows Phone。よく知り合う機会がなくて残念だった。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

MicrosoftのCaptionbotは画像のキャプションを作り出す未来的AI、デベロッパーにオブジェクト認識APIを提供

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クラウドの力は私たちの多くにとってそれほど明瞭ではないが、しかしMicrosoftは、デベロッパーに一連のAPIツールを与えることによって、この事態を変えようとしている。そのスイートはCognitive Services〔複数形〕と呼ばれ、デベロッパーに彼らのソフトウェアを大幅にスマートにする能力を与える。たとえばその中には、ユーザーが訓練できる音声テキスト変換処理や、高品質でまるでマジックのようなオブジェクト認識がある。

Drizzle a bit of API-enabled artificial intelligence on your applications with Microsoft's new Cognitive Services.

MicrosoftのCognitive Servicesを使ってAPIによる人工知能機能をあなたのアプリケーションにちょいと加えよう。

Cognitive Servicesのスローガンは、“あなたのアプリケーションに人間性を(give your apps a human side)”だ。つまりそれは、デベロッパーが自分のアプリケーションに利用するAPIの集合だ。今年のBuildカンファレンスで紹介された二つのデモのひとつが、新作のオブジェクト認識エンジンで、たぶんそれはProject Oxfordをリプレースするのだろう。このAPIのデモとしてMicrosoftは、Captionbot.aiというものを作った。これは、やり始めるとやめられなくなるかっぱえびせん的アプリケーションで、しかもSF的なすごさもある。〔自分の手元にある写真をいろいろアップロードしてこのAIと遊ぶ—猫を“猫”と認識するから、けっこうすごい。〕

もうひとつのデモは、スピーチなどの音声からテキストを書き起こす音声認識ツールの、APIの用例だ。低品質のオーディオでも認識できるが、このAPIのキモはユーザーが訓練して自分の目的に合った“書き起こし屋”さんを作れることだ。たとえば、アクセントに癖のある某氏用とか、子ども用、特定のノイズに邪魔されているスピーチ用、などだ。最後のは、たとえば高速道路のドライブスルーなど、騒音の多い環境で使えるだろう。

今年のBuildで見たあらゆるデモの中で、Cognitive Servicesのそれらは、いちばん未来的と言っても大げさではない。今後デベロッパーたちがこれを使って何を作るか、非常に楽しみだ。

〔参考記事: Googleの画像認識API。ほかにも、AlpacaDBなど。〕

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))