IoT企業はプライバシーとセキュリティーに最優先で取り組め―FTC委員長がCES講演で強く警告

FTC(アメリカ連邦取引委員会) は、モノのインターネット(Internet of Things)に潜むプライバシーとセキュリティー上のリスクに対して関係者に強く注意を促した。インターネットに接続するさまざまなデバイスの数は2015年中に250億個に達すると予測されている。サーモスタットやドアロックなど、いわゆるスマートホーム・デバイスの数も今年は2500万になると見られる。

FTCは「ひとたびプライバシー、セキュリティー上の大規模な事故が発生すれば、消費者にIoT1への抜きがたい不信感を植え付けることになりかねない」と警告した。こうした破壊的シナリオを避けるために、IoTビジネスはセキュリティーおよびプライバシーのリスク対策に現在よりもずっと真剣に取り組む必要があるというのがFTCの考えだ。

FTCのEdith Ramirez委員長はラスベガスで開催中のConsumer Electronics Showを視察した後でIoTビジネスの将来に関する講演を行った。

「[モノのインターネット]は消費者に巨大な便益を与える一方、プライバシーとセキュリティー上のリスクも重大だ。IoTデバイスは、たとえばヘルス、医療関連分野で普及し始めているが、、膨大な個人情報を収集、転送することになる。こうした情報は極めてプラバシー性の高いもので、その処理には潜在的に非常に大きなリスクを伴う」とRamirez委員長は警告した。

3つの高リスク要素

Ramirez委員長は、プライバシー上、特にリスクの高い3つの要素について分析した。

(1) データ収集の遍在化; (2) 個人に不利益を与えるような個人情報の目的外使用; (3) 悪意による攻撃

データ収集の遍在化というのは、センサーやモニター・テクノロジーの発達にともなって「驚くほど大量かつ正確な個人的情報が蓄積される」という問題を指す。しかも収集されたデータを強力なツールによって分析することで、その影響力は一層拡大される。

しかもIoTデバイスは、家庭、自動車、さらには体表、体内にまで入り込み、きわめて個人的な情報を収集する。「IoTによってビジネスはわれわれの私生活のあらゆる側面を把握することができるようになる」とRamirezは述べた。.

そこで、収集されたデータが当初の目的や予期に反して使用されるというリスクが重大なものとなってくる。フィットネスや医療のために利用されるはずのデバイスから得られた個人情報が横流しされ、企業の採用選考に用いられるなどという例が考えられる。あるいは保険会社が健康保険や生命保険の料率を計算するために用いるかもしれない。消費者が便利なデバイスを購入したつもりで、実は知らないうちに自分の個人情報を売り渡す結果となるかもしれない。

「われわれは最終的な結果を慎重に考慮することなく無制限な個人情報の収集と流通を許すわけにはいかない」とRamirezは付け加えた。

またRamirezはIoTデバイスがハッカーの攻撃にさらされるセキュリティー上のリスクについて言及した。また侵入されたIoTデバイスがさらに広汎なネットワークへの侵入の突破口となる危険性にも注意を喚起した。

最近、いくつもの大規模なデータ漏えいがトップ・ニュースとなっている。データ・セキュリティーの困難性はますます高まっているといえる。しかしIoTはまた別種のセキュリティー上の問題を生じる。その一つは、伝統的インターネット業界はセキュリティーに対して数十年の経験を積んでいるのに対して、最近IoT市場に参入しているソフト、ハード企業の多くがセキュリティー問題に未経験であることだ。同時にIoTデバイスのサイズが小さく、処理能力に限界があることが暗号化その他の強力なセキュリティー施策を導入することを妨げている。また一部のIoTデバイスは安価な使い捨てモデルだ。こうしたことから、IoTデバイスに深刻な脆弱性が発見されてもソフトウェアをアップデートすてパッチを当てるなどの対策が難しい。それどころか脆弱性があることを消費者に周知することさえ困難だろう。

IoTデバイスには最初からセキュリティーを「焼きこむ」必要がある

こうした課題に対処するため、IoT企業はプライバシーとセキュリティーの重要性を認識し、ビジネスモデルそのものに「焼きこんでいく」必要があるとFTCは考えている。 それが企業自身、さらにはIoT市場全体への消費者の信頼をつなぎ止める道だという。

Ramirez委員長は具体的に3つの施策を挙げた。

(1) 「セキュリティー・デザイン」の採用; (2) データ収集、保存の最小化; (3) システムの透明性の確保、また予期せぬ情報漏えいや目的外使用が発生した場合の消費者に対する適切・迅速な情報開示

セキュリティー・デザインの採用とは、プロダクトやサービスのデザインにおいてセキュリティーを優先させることだ。「デバイスはデザインの段階でセキュリティーが作りこまれて居なければならない」としてRamirez委員長は次のように述べた。

デザインの過程でプライバシーとセキュリティーのリスクに関する十分な検討が行われる必要がある。プロダクトの市販、一般公開前に必ずセキュリティーがテストされなければならない。またデバイスのセットアップの段階で消費者がかならず独自のパスワードを設定しなければならい〔デフォールトのパスワードを使い続けることができない〕スマート・デフォールトを採用すべきだ。可能な限り暗号化を図る必要がある。またプロダクトのリリース後もモニターを続け、脆弱性の発見と修整に努めねばならない。 また社内にセキュリティー問題に関する責任者を置かねばならない。

これらはいずれも大企業では標準的に実施されている措置だが、小規模なスタートアップの場合、人的その他のリソース上の制限が厳しく、また新しいプロダクトをリリースすることを急ぐあまり、プライバシーとセキュリティーの保護がないがしろにされがちだ。

Ramirez委員長はまた「データ最小化」の原則についても触れた。これもまたスタートアップにとっては利益の相反となる分野だ。スタートアップのビジネスチャンスは取得するデータの種類や量に比例して向上する。そこで「サービス、デバイスが機能するために必要最小限のデータのみ取得する」、「取得後も必要のなかくなったデータは即座に破棄する」という方針は生まれにくい。 FTCの求めるこの原理は多くのスタートアップのビジネスモデルと衝突することになる。

「多量の個人データを取得、保持していればいるほど、その漏洩によるダメージは大きくなる。ビッグデータの恩恵を受けるために企業はできる限り多種多様なデータを取得、保持すべきだという議論がある。しかし私はこのような議論には疑問を持っている。将来もしかするとビジネスに役立つかもしれないというようなあやふやな理由で現在の業務に不必要な個人情報を持ち続けることは企業に大きなリスクを追わせるjものだ」とRamirezは述べた。

またRamirezは「個人識別情報を削除して保管する」という方法についても「そうして削除された情報はさまざまな方法で復元可能なので十分な対策にはならない」と警告した。また「企業は個人識別情報を削除された情報を再度個人識別可能にするような処理を行わない」と公式に約束すべきだとも述べた。

最後にRamirez委員長は透明性とユーザーに選択権を与えることの重要性を強調した。

IoT企業がユーザー情報を利用する場合、ユーザーはその内容を明示し、ユーザーが承諾ないし拒絶する機会を与えねばならない。この選択は長々しい利用約款の中に埋め込んでユーザーが一括して承諾するか拒絶する以外にないような方法で提示されてはならない。利用約款は一般消費者が通読する可能性がほとんどない。FTCは個人情報の利用に関する選択は一般の利用約款とは別に提示されるべきだと考える。

つまり「スマート薬缶」を販売する企業が、ユーザーが1日に何杯、いつ湯を沸かすかについての情報を地元のスーパーマーケットに売りたければ、そのことを別途、明示してユーザーの承諾を得なければならないということだ。

「IoTデバイスの場合、通例ユーザーインタフェースがきわめて限定されているか、そもそも存在しない。そのため消費者から明示的承諾を得ることが技術的に難しいことは私も理解している。それであっても、私は消費者に目的外使用を承諾するか否かについて選択の余地を与えることは必須だと考える。問題はそうすべきかどうかではなく、いかにしてそれをするかだ」とRamirez委員長は結論づけた。

[原文へ]

(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+


人の心を読むこの車は、走るところを想像するだけで動き出す

脳波の利用がブレークスルーだというわけではない。われわれは脳の電気活動をかなり前から読み取ることができていたが、IEEEの賢い連中は、脳波計の出力をもっと楽しいことに利用する創造的な方法を研究中だ。

新しいヘッドセット、Emotivは、脳の通常状態を測定し、何か特定の行動に備えて調整する。われわれの場合は、小さな車を2台競争させるよう調整しこ。小さな車を走らせることに神経を集中すれば、レースの始まりだ。

私に関しては、うまくいった。コースを走るところを想像すると、車は走り出した。同僚のDarrell Etheringtonには少々問題が起きていたが、おそらくそれは彼がApple製品のことばかり考えていたからだと思われる。

ヘッドセットは当然のようにちゃちだったが、もっと現実的に使えそうなフォームファクターにすることができれば、応用範囲は無限だ。照明をオンオフすることを考えたり、コーヒーメーカーが沸くところを考えたり、テレビのチャンネルが変わることを考えたり。

原文へ
 
(翻訳:Nob Takahashi / facebook


CES 2015からのベストビデオ

CESは非常に巨大なイベントだ。私たちはHardware Battlefieldを開催しつつ、コンベンションセンター中を広く歩き回りもした。そこで何時間分ものビデオを撮影したが、以下ではその中で「ベスト」なものをいくつか紹介しようと思う。

ちなみに撮影した全ビデオはこちらに置いてある。「ベスト」として選んだのは愉快なものや、ドローン・ラブがあふれたもの、あるいはいかにもCESらしいものなどだ。ぜひお楽しみいただきたい。また来年のCESで面白いプロダクト(とビデオ)を発掘したいと思っている。

CES Drone Rodeo


 

Indiegogo Going Strong


 

Parade of Drones


 

Garmin’s New Smartwatches


 

Bitcoin World


 

Panasonic’s Secrets Of Good Living!


 

Audi’s Concept Cars


 

HP Sprout


 

All About The Selfie Stick


 

原文へ

(翻訳:Maeda, H


Fitbit CEOのJames Park曰く「Apple Watchは脅威ではない」

FitbitはCESにてSurgeとChargeという新しいスマートデバイスの出荷開始をアナウンスした。この新プロダクトはもちろんCESにも出品されている。TechCrunchではFitbitのCEOであるJames Parkに話を聞く機会をもつことができた。話題はウェアラブル全般のことや、そしてApple Watchに関することだ。

話の中、ParkはAppleを脅威には感じていないと話している。脅威となるのかどうかについてはまだよくわからない面もある。しかしウェアラブルがファッション分野などにも分化していく中、FitbitのターゲットがAppleのターゲットとは違うところに存在すると考えているようだ。すなわち、Fitbitを欲しがる人と、Apple Watchを欲しがる人は別の層に属するという話だ。

いずれにせよ、Parkは話が上手で非常に興味深い人物だ。話を聞く機会ができたことを本当に嬉しく思う。ぜひ上のビデオをご覧頂きたい。Fitbitの新デバイスについてのレビューも近々掲載する予定だ。

原文へ

(翻訳:Maeda, H


CES:Switchmateは、配線をいじらずにスマホで壁スイッチを制御できるシステム


威勢のいいスタートアップから、メガ巨人PhilipsやGEまで、今や誰もがスマート電球を作りたがっている。つまるところ、消し忘れた1階の照明を快適なベッドの上から消したいと〈思わない〉人などいるだろうか。

スマート電球は、しかし、ど派手な失敗作だった:誰かが壁のスイッチを押した瞬間 ― 人はそうするものだ ― その価値はなくなる。

Switchmateは、今年のCESでハードウェア・バトルフィールドを戦っている会社で、この問題を反対側 ― 壁スイッチ ― から解決しようとしている。

配線のための工具は一切不要、Switchmateは今あるスイッチの上にかぶせるだけだ。ポンと置いただけですぐにスマホから照明を制御できるようになる。しかも、スマホなしで普通にスイッチを使うことも妨げない。

照明をつけたいけどスマホが近くにない? スイッチを押すだけ。ほら、明るくなった。

あるいは、他の電化製品でもいい。照明スイッチでオンオフができるものである限り、Switchmateはその器具を制御できる。スイッチの先にあるものが照明だろうがミキサーだろうが気にしない。

Switchmateは、配線工事を〈一切〉不要にするために、電源にはバッテリーを使っている。欠点はバッテリーが消耗することだが、同社によると持続時間は8~12ヵ月で充電が可能なため、あまり心配〈しすぎる〉ことではなさそうだ。

Switchmateは、iOSまたはAndroid端末からBluetooth LE経由で約30メートルの距離で操作可能だ。Switchmateのハブをシステムに加えれば、全スイッチがWiFi接続され、地球上のおよそどこからでも制御できるようになる。

家に着いたらすぐに明るくしてほしいって? もちろんできる。設定したスケジュールに沿ってオンオフして、泥棒の目をごまかしたいって?それもできる。

私はこのアイデアを断然気に入った。家にスマート照明を設置したいと〈何年も前から〉思っていたが、これまでに見た電球ベースのソリューションは、ほぼどれもアプローチが誤っていると感じた。これは正解のようだ。

悲しいかな、会社はまだ価格の詳細を話せる段階にないので、一番肝心な部分は未解決だ。それでも彼らは、2月には予約受付を開始すると言っていた。詳しくは、ウェブで。

[原文へ]

(翻訳:Nob Takahashi / facebook


Eインクを使ったスマートブレスレット、LookSeeのデザインは無限

ファッションとITはありそうにない組み合わせだが、ここ数年実にうまく融合しているように思える。LookSeeは、Eインクを使ったスマートブレスレットで、デザインを自由にカスタマイズできる。

LookSeeは、LookSeeアプリとBluetooth経由でつながり、ユーザーは数百枚の組み合み写真やパターン、あるいは自分の写真を選ぶことができる。複数の写真がブレスレットの上で次々と表示される。Eインクを使っているのでバッテリーは節約できるが、モノクロ(グレースケール)表示のみだ。ファウンダーらによると、LookSeeは一回の充電で1年間使えるそうだ。

ブレスレットのデザインをいつでも変えられるという特徴の他に、ユーザーはブレスレットで通知を受け取ったり、様々な文字盤の時計を表示したりできる。

人はその日のムードを正しく表現するために何万種類ものアクセサリーを買う必要はない、というアイデアに基づいている。LookSeeなら、1つのブレスレットで無限のデザインを楽しめる。浮かない気分の時には、ガイコツとクロスした骨。ロマンチックな気分なら、ハートとバラはいかが。

LookSeeの詳細はここで見られる。

[原文へ]

(翻訳:Nob Takahashi / facebook


CES:Peepleは、ドアの向こうに誰がいるかを知らせてくれるスマート覗き穴


Peepleは、ドアの向こうにいる人をスマホ画面に写し出す「つながっている」覗き穴だ。誰かがドアをノックすると、Peepleは写真を撮ってあなたのスマートフォンに送る。あなたが家にいてもいなくても、立ち寄った人をモニターすることができる。Peepleは、CESのハードウェア・バトルフィールドで戦っている。

「使い方は人それぞれです」と、共同ファウンダー・CEOのChris ChuterがCES前の電話インタビューで私に話した。「これが役に立つ重要な理由は、玄関ドアの前は死角だからです。ドアの前で何が起きているかあなたは知る由もありません」

これをセキュリティーのために使う人もいれば、配達人が来たことを確認するために使う人もいるし、電話の発信者番号のように、訪問者をより分けることもできる。初期ユーザーたちは、ドア前の状況をライブツイートしたり、ハウスクリーニングが来るのを見るのに使っていた。そしてもちろん、Peepleはホームパーティーを開いた時、ドアチャイムの大きな音を聞かずにすむためにも価値ある道具になるだろう。

要するに、Peepleはドアをノックした人のログを取るツールだ。Chuterがこのプロジェクトを思いついたのは、幼い息子2人が親の知らない間に家を出て道路で遊んでいた時だった。ドアを内側から開いた時でも、Peepleはそこで起きたことを記録する。

しくみは極めてシンプルだ。元からある覗き穴の前に小さな箱を取り付けるだけ。中にはカメラ、加速度計、バッテリー、およびWi-Fiチップセットが入っている。

誰かがドアをノックすると、デバイスが起動して写真を撮り家のWi-Fiネットワークに再接続する。次に写真とタイムスタンプをPeepleのサーバーに送る。そして、家主のスマートフォンにプッシュ通知がきて誰かが家の前にいることを知らされる。バッテリーは1回の充電で最低6ヵ月使用できる。

テキサス州オースチンを拠点とする3人のチームは、インキュベーター、Highway1の最新学期を卒業したばかりだ。

Peepleは3月頃にKickstarterキャンペーンを開始する予定。価格はまだ決まっていない。しかし一つ確実なことがある。この製品が出荷された暁には、あなたはもう“knock, knock – who’s there?”と言わずに済む。

[原文へ]

(翻訳:Nob Takahashi / facebook


光療法で頭髪を成長させるiGrowはまるでSFのようにクール、というかSF映画の小道具のよう

おヘアがうすくなってきた方に、朗報。Apira Scienceという新進企業が、低光療法(low-light therapy)…弱い光(レーザー、赤外線など)を当てる療法…で、もうすぐあなたのヘアを育て、お顔のお肌も若返らせてくれる。

信じられない?

私もそう思ったから、同社の製品iGrow(ヘア用)とiDerma(お肌用)をチェックしてみた。

同社によると、この技術はFDAの承認を得ており、大規模な試験により有効性を実証している。とはいえ、光療法で髪を伸ばし、肌をきれいにする、というアイデアは比較的新しい。

製品にはiPodにつなぐヘッドフォンがついている。ユーザはiGrowとiDermaの両方を、週に4回、各回25分以上装着しなければならないから、賢明なアクセサリだ。

お肌が若返るiDermaはまだ開発中で、その予価は300から400ドル。iGrowは600ドルあまりだ。

詳しくはここで

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


Samsung、容量1テラバイトの超小型SSDドライブを発表


今日(米国時間1/5)の午後ラスベガスで、Samsungが新しいストレージ製品を発表した。SSD T1は、名刺サイズ、重さ約25gのデバイスで最大1テラバイトのデータを収納できる。

SSD T1には、256 GBおよび500 GBの機種もある。価格は容量に応じて179ドルから599ドルまで。今月中に出荷される。

クラウドストレージが遍在しかつ無料の時代に、Samsungが強化版USBメモリーとも言える製品を作ることに違和感を覚える人もいるだろう。しかし、コンテンツをWiFiネットワーク経由でアップロードするのが苦痛に感じることもあり、LTEネットワークではなおさらだ。つまり、こと大量データに関しては、旧式メディアがよりよい選択肢になることもある。

(ハードディスクを満載して高速道路を走る車の転送速度を過小評価する古いジョークがここではぴったり来る)

果たして、巨大ファイルを持ち歩いたりシェアしたりする必要のあるクリエィティブ専門家たち以外で、T1に魅力を感じる市場が存在するのか、興味深い。

[原文へ]

(翻訳:Nob Takahashi / facebook


CES:Nvidia、モバイル・グラフィックス・カード、Tegra X1を発表―パワーはA8Xの2倍のモンスター

ラスベガスで開催中のCESで今日(米国時間1/5)、Nvidiaが発表したTegra X1モバイル・チップセットはモンスター級のパワーだ。消費電力は同程度のままでiPad Air 2に採用されているA8Xチップセットの約2倍のグラフィックス能力を発揮する。Tegra X1はすでに量産に入っており、このチップセットを搭載したタブレットが市場に登場する日は近い。

ベンチマークによればTegra X1は、タブレットをデスクトップ・コンピューターなみのゲームマシンにできそうだ。X1は最新のGeForce GTXデスクトップ・グラフィックスカードにも採用されているMaxwell GPUマイクロアーキテクチャーを採用しているのだから不思議ではない。またX1はデスクトップ版のゲームAPIを利用できるのでデベロッパーはゲームのモバイル化が容易になる。

X1は256コアのMaxwell GPUと8コアの64bit ARM CPUを搭載し、Nvidiaによれば「史上初のテラフロップスモバイル・グラフィックス・プロセッサー」だという。 X1はH.265またはVP9コーデックを利用して60fps 4KウルトラHD動画を再生できる。AppleのA8Xと同じ20nmプロセスのチップなのでAppleのタブレットとグラフィック・ベンチマークを比較しやすい。NvidiaはX1とiPadおよびNvidia自身のTegra K1チップセットを搭載したNvidia Shieldタブレットを比較する各種のベンチマークテストをデモした。

それによると、X1のパフォーマンスはTegra K1、iPad Air 2のほぼ2倍、3Dmark 1.3 Icestorm UnlimitedとBasemarkX 1.1の1.5倍だった。またX1はエネルギー効率もすばらしい成績で、K1の2倍のパフォーマンスで消費電力はほぼ同等、A8Xと同等の電力消費の場合1.7倍のパフォーマンスを示した。

Nvidiaの新グラフィック・チップセットの驚異的な能力はNetflixを始め、多くのコンテンツ・プロバイダーに大きな影響を与えるだろう。これで60fps、4Kビデオのストリーミングが急速に現実化する。60fps能力はゲームやスポーツの中継に重要だ。またバーチャル・リアリティーの進歩にも大きく寄与する。

Tegra X1と在来モデルを並べて4Kビデオを再生するとその違いは大きい。60fpsの4Kがバターのように滑らかな動きなのに対して、30fpsは明らかにガクガクとして見える。もっとも現状では60fps、4Kのソースを見つけるのは難しい。しかし最近発表されたGoPro Hero 4 Blackは60fps、4Kの動画撮影能力がある。またX1の登場によってこのクラスのコンテンツ供給は急速に拡大するはずだ。

もちろんNvidiaはこのパワーを活かせるソフトウェアの確保に努める必要がある。そしてこれはフラグメント化に悩むAndroidプラットフォームの場合は難事業だ。このことがNvidiaが独自のShieldシリーズを始めとする独自のタブレット製品を開発している理由でもある。

いずれにせよX1が量産体制に入っている以上、近々X1に最適化されたハードウェアが登場するだろう。消費者がX1のパフォーマンスを体験する日は近そうだ。

[原文へ]

(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+


CES:Gogoroはバッテリーレンタルの電気スクーター・システム―調達資金は1億5000万ドル

2011年にGogoroは5000万ドルを調達した。3年後にさらに1億ドルを調達。しかし誰もGogoroが何をしている会社か分からなかった。

今日までは。

これほど長い間秘密をほぼ完全に守り通すことができたとは驚くべきことだ。そして今朝、CESで正式発表があった。実はわれわれは数週間前に取材を許されていた。

昨日までGogogroについて知られていたのは次のような点だけだった。

  • なにかエネルギー関連の事業である
  • HTCに関連が深い。エンジニアの多くはHTCから来ている。共同ファウンダーの1人、Horace LukeはHTCの最高イノベーション責任者を2007年から2011年まで務めた。1億5000万ドルの資金の相当部分はHTCの女性会長、Cher Wangの出資。

一言で要約すれば、GogoroはSmartscooterと呼ばれる電動スクーターとユニークなバッテリーレンタル・インフラを開発していた。

スクーターとバッテリー・ネットワークは一枚のコインの裏表だ。ただしスクーターはバッテリー・レンタル・ネットワークを利用する最初のデバイスなのだろう。このネットワークを利用するさらに多様なデバイスが計画されてるに違いない。

バッテリーとGoStation充電ハブ

Battery Closeup

まずバッテリーから説明しよう。これがGogoroのコアとなる部分だ。

バッテリー自体はパナソニックの18650リチウム・イオン・セル(Tesla Model Sにも採用されている)を利用し、いくつかのセンサーが付加されている。バッテリー・ユニットのサイズは靴箱よりやや大きい程度で重量は9kg前後だ。

充電する際には専用アプリが最寄りのGoStation充電ハブの位置を示してくれる。GoStationのユニットは1.8mほどで、屋外に設置できる。 ユニットは写真のように横にいくつでも連結できる。

ユーザーは空いているスロットに空のバッテリーを挿入する。6秒すると、他のスロットから満充電されたバッテリーがポップアップする。ユーザーは専用アプリから事前にバッテリーを予約しておくことができる。

重要なのは、Gogoroのユーザーはバッテリーを所有するのではなく、あくまでレンタルするシステムだという点だ(家庭で充電することはできない)。

ただし、われわれが取材した時点ではバッテリー・レンタルの料金については未定ということだった。

当然ながらこのGoStationハブの設置数、設置位置がGogoroシステムが成功するか否かの鍵となる。当然ながらユーザーは充電のためにわざわざ遠くまで行きたがらない。カバーする都市圏のサイズに応じて十分な数のハブを設置する必要がある。Gogoroでは当初の設置場所としてガソリンスタンドを考えているようだ。しかし220Vの電力が得られる場所ならどこにでも設置は可能だ。

私の取材に対して共同ファウンダーのHorace Lukeは、「トラック1台分のハブで大学のキャンパスや小都市をカバーできる」と語った。

Smartscooter

GogoroのSmartscooterは、フレームから電気モーターまで完全にオリジナルだ。

時速30マイル〔48.2kmh〕までの加速が4.2秒、最高速度は時速60マイル〔96.5kmh〕だという。バッテリー2個を搭載し、満充電で100マイル〔161km〕走れる。スマートフォン・メーカーに関連が深いスタートアップの製品として予想されるとおり、このスクーターは名前のとおり非常にスマートだ。

このスクーターは30個もの自己診断センサーを備えており、スマートフォンを通じてクラウドに接続している。考えつくかぎりほとんどの故障は即座に探知、分析される。修理やメンテナンスが必要になれば、アプリにその内容が表示される。またバッテリーを交換するとスクーターのディスプレイにも情報が表示される。

一方でセンサーは最大の航続距離を得られるようユーザーにアドバイスする。たとえば坂道で無駄にスロットルを開けていると、そのことを指摘する。.

ロック、アンロック、バッテリー交換の認証はBluetoothLEを利用したリモートキーで行う。

さて、肝心の価格は? それはまだ検討中ということだ。

バッテリー充電ハブ・インフラの構築という大きなハードルを抱えているGogoroのような会社を現時点で評価するのは非常に難しい。しかし、 現在私の目に映った限りでいえば、このスクーターはすばらしい。今まで見た中で最高に美しいスクーターだ。専用アプリもよく出来ている。このスクーターの美しさには本当に感心した。

[原文へ]

(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+


屋根の瓦や板のように隣接トラックを”重ねた”シングルドライブ、ギガバイト単価わずか3セント

屋根板のような薄い板切れ(shingle)がほしいな、と思ったのは、子どものころ、どこかが痒かったときぐらいだ。かゆいところを、こするために。Seagateは、その薄い板を、屋根瓦にように部分的に重ねて敷き詰めることを考えた。そうして生まれたShingled Magnetic Recording(SMR) Drivesは、ギガバイト単価約3セントで8テラバイトを保存できるハードディスクだ。

ただしバックアップドライブとしては良くても、あまり速くない。5900RPMで平均読み書き速度が150MB/秒だから、ふつうのSSD(1800MB/秒)より相当遅いし、今のハードディスクに多い7200RPMよりも遅い。

シングルドライブ(Shingled Drives)は、一枚のディスクにたくさんトラックを詰め込み、トラックとトラックの間の小さなスペースをなくす。そうすると一枚のディスクに1テラバイト以上を収められる。

結局これは、SSDが主流になったときのバックアップメディアが本来の役のようだ。その昔(今でも?)テープがそうであったように。日常頻繁につかうデータはSSDに載せておき、めったに使わないデータをSMRに収めておく、という使い方だろう。あるいは、ストリーミングビデオのためのキャッシン用など。

Seagateは1月に、SMRの8テラバイト機を260ドルで発売する。2007年には1TBが375ドルだったから、すごい進歩だ。ぼくならその8TBに、食べ物の写真やホームビデオのたまりすぎたやつを、全部放り込むね。あなたは?

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))