オンライン学習サービスのスクーがクラウドワークスと提携、「人材x教育」で地方創生に臨む

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人は誰しもキャリアアップしたいと願うものだろう。キャリアアップを実現するために学び、スキルを身に付け、自分の価値を高めていく。企業に勤めていればトレーニングも提供されるものだが、クラウドワーカーにとっては先行投資でありそのハードルは低くない。だがそれが無料で受講できるとしたらどうだろうか。

インターネットの動画配信を利用したオンライン学習サービス「schoo WEB-campus(スクー)」を運営するスクーは6月12日、クラウドソーシングサービス「クラウドワークス」を運営するクラウドワークスとの提携を発表した。提携第1弾のプロジェクトとして、クラウドワークスに所属するすべてのワーカーに対し、無料で特別カリキュラムを提供するという。

提供されるカリキュラムはデザイナー向けとライター向けの2種類。schooは通常、リアルタイムでの受講(視聴)は無料だが、録画での受講は有料となっている。だがクラウドワークスの会員であれば録画受講も無料になる。

スクー代表取締役の森健志郎氏は、今回の提携を「人材と教育の統合の第一歩」と話す。短期的にはクラウドワークスが抱える65万人もの利用者を取り込めるメリットがあるが、中長期的には利用者の学習データと就労データを結び付け、よりビジネスに直結するカリキュラムを提供することが狙いだ。今後はスクーのカリキュラムを一定時間受講したらクラウドワークスのサイトでバッジを表示するなど、ワーカーのスキルを担保する仕組みも作っていきたいという。

クラウドワークスにとってもメリットは大きい。同社では地方在住のワーカーが多い点を挙げ(約9割が東京都外)、オンライン学習によるスキルの底上げを目指す。また、ワーカーとして登録したものの仕事の実績がないうちは簡単に受注できない現実があるとし、スクーの受講履歴バッジでキャリアを担保し、これを解消したいと話す。

両社が共通して語っていたのが「地方創生」への思いだ。都市部への人口一極集中で都市消滅の問題が叫ばれる中、いつでもどこでも働けるクラウドソーシングは問題解決の糸口となる可能性がある。とはいえ、器を用意しただけでは足りず、仕事を受注できるレベルにまで教育する事が欠かせない。スクーのトレーニングでワーカーのスキルを上げ、将来的には国内だけでなく、海外からの案件も受注出来るレベルにまで育てたいと意気込む。

なおクラウドワークスは6月11日にサイバーエージェントを割当先とする約5億円の第三者割当増資などで合計約30億円の資金を調達すると発表している。今後は今回のような業務提携に加え、M&Aや資本提携などを加速させるとしている。

「赤字上場でもしっかりした成績が残せた」2Q決算でクラウドワークス吉田社長

20年後にクラウドソーシングで年間総契約額3兆円の仕事を提供する——クラウドワークス代表取締役社長の吉田浩一郎氏は、5月15日に開催された決算説明会兼事業戦略発表会でこのように語った。

事業は成長、「しっかりした成績が残せた」

すでに昨日発表済みではあるが、クラウドワークスの2015年9月期第2四半期(第1〜2四半期累計)の営業収益で3億6500万円(前年同期比で307.8%増)、営業利益は2億8300万円の赤字(前年同期は1億700万円の赤字)、経常利益は2億8700万円の赤字(同1億700万円の赤字)、純利益は2億9500億円の赤字(同1億800万円の赤字)。

事前見通しの通り利益を見ると赤字ではあるものの(ただし、質疑応答以外、プレゼンで利益のことに全く触れなかったのはちょっと気になったのだが)、総契約額では前年同期比で97%となる6億5600万円。クラウドワーカー(登録ユーザー数)は年間257%増の58万人(4月末時点の数字、5月に60万人を突破したそう)。営業収益は四半期ベースで見ると前四半期比229%となる218億円。会見でクラウドワークス代表取締役社長の吉田浩一郎氏は「『赤字上場で大丈夫か』と言われたが、しっかりした成績が残せたのではないか」と語る。

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2015年9月期は総契約額はプラットフォームサービスで25億円(上半期実績で8億4000万円)、エンタープライズサービスで9億円(上半期実績で3億円)を目指す。2014年にスタートしたエンタープライズ向けの事業も好調とのことで、継続利用に加えて、大手企業の新規獲得も好調だったとした。

会見で吉田氏が繰り返したのは「総契約額」というKPI。同社では2017年9月期に総計約100億円という計画を掲げていたが、今後体制強化と新サービスで2016年度での達成を目指すという。ただし黒字化の時期については明言せず、事業への投資の可能性も挙げつつ、「(総契約額)100億円での黒字か赤字についてもまだ考えているところ」と説明するにとどまった。

さらに20年後の目標として、年間総契約額3兆円という数字を掲げた。吉田氏は—名前こそ出さないものの、ソフトバンク代表の孫正義氏を暗に例に挙げつつ——「僕らの世代でも夢を持っていい。今は『何を言っているんだ』と言われるかもしれないが、温かく見守って頂きたい」「上場市場の末端に立った以上、投資家のみなさまに精一杯答えたい」と語った。

新サービス「クラウドワークスBPO」を展開

4月には、最長6カ月程度のクライアント企業でのオフィスワークを経てリモートワークへ移行することで企業の不安を取り除き、長期のリモートワークを実現する「クラウドワークステクノロジーズ」を発表していたが、同社は今回新たに「クラウドワークスBPO」なるサービスを開始した。

BPOとはビジネス・プロセス・アウトソーシング、つまり作業ではなく業務そのもののアウトソーシングだ。クラウドワークスBPOでは、同社のスタッフがクライアント企業に常駐。クラウドソーシング事業の「クラウドワークス」や前述のクラウドワークステクノロジーズを使ってアウトソーシングの組織体制を設計するというもの。

このサービスでターゲットとするのは、電力関連事業。2016年4月に電力小売が完全自由化されるが、「関する業務が大量に発生する。その課題に対応する」(吉田氏)のだという。具体的には補助金申請や電力会社向けの接続申請、電力需給管理といった業務に向け、リサーチ・マーケティング・経理・コールセンター・原稿制作・書類作成・監視などを行う。同社ではこの事業で2018年内に10億円規模の業務をクラウドソーシング化するとしている。

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クラウドワークスがリクルートを割当先とした第三者割当増資–理由は資金ニーズより事業シナジー

クラウドソーシングサービス「クラウドワークス」を運営するクラウドワークスは8月8日、リクルートホールディングスの投資子会社である合同会社RSPファンド5号を割当先とする第三者割当増資を実施した。金額は非公開だが、数千万円程度と見られる。

同社はこれまでサイバーエージェント、電通といった事業会社のほか、ベンチャーキャピタルなどから約14億円を調達している。今回の調達は資金ニーズありきの資金調達というよりは、事業シナジーを狙ったもののようだ。

クラウドワークスは2014年7月までに会員登録数19万8000人。累計約3万6000社が発注。登録された仕事の予算総額は142億5000万円を突破。月間契約額も増加しているという。

クラウドワークス代表取締役社長の吉田浩一郎氏によると、今回の増資を契機にリクルートグループ全体でのクラウドワークスの利用を促していくという。あわせて、クラウドソーシングを活用したリクルートグループの新規事業も検討する予定だ。

ところでリクルートグループと言えば、2013年にオーストラリアのクラウドソーシングサービス「Freelancer.com」のM&Aに関する話題があった。今回の資金調達をきっかけにクラウドワークスがリクルートへのバイアウトを狙っているか吉田氏に尋ねたところ、「原則はIPOを目指す。ただし、リクルートとのシナジーを考えると、資本提携の比率を増やすといった選択肢は考えられる。だが100%のM&Aについては現段階ではあり得ない」ということだった。


クラウドワークスがDeNAショッピングと提携–出店者の「ご用聞き」をクラウドソーシングで実現

ランサーズがKDDIとの共同事業でリアルビジネスのクラウドソーシング「ランサーズプレイス」を開始したと発表していたのが昨日。今日4月8日には、クラウドワークスがディー・エヌ・エーが手がけるショッピングサイト「DeNAショッピング」との業務提携を発表した。

今回の提携により、DeNAショッピングへ出店する店舗事業者に対してクラウドソーシングによるロゴ作成や商品画像加工、バナーなどの販促用素材の制作をサポートするという。 具体的にはDeNAショッピングの管理画面上にクラウドワークスのバナーを掲載。クラウドソーシングの利用方法などを紹介するほか、先着50店舗に限定して、クラウドワークスの有料オプションを無料で提供する。詳細は未定だが、今後もユーザーのニーズに合わせて施策を用意するという。

クラウドソーシングは非IT企業の「御用聞き」となるか

今回のクラウドワークスの発表と、昨日のランサーズの発表、いずれの取材でも出てきたキーワードは「御用聞き」だ。 ITリテラシーの高い個人、企業など、いわゆるアーリーアダプター層にはアウトソーシングの手法として認知されてきたクラウドソーシング。今後の課題はより広い層への認知、利用拡大にある。

そういった観点からクラウドワークスは「ECはやっているが、専業ではなくモールに出店する程度」という潜在的なユーザー層に対してリーチすることを狙ったと言えるだろう。 ECモールに出店する中小企業であれば、「今までは自社で画像加工などをしてきたが、アルバイトを1人追加して雇えない。そのためこれ以上の規模の拡大はできない」というケースもある。クラウドワークスは、そんなときにこそクラウドソーシングを使ってみて欲しいと提案しているのだ。狙うユーザー層にこそ違いはあるが、昨日のランサーズも同様の考えがあるようだ。


「経費節減ちゃいまっせ」吉本がクラウドソーシングでチラシ作り、クラウドワークスと提携

クラウドワークスとよしもとクリエイティブ・エージェンシーは13日、若手クリエイターの発掘を目指すクラウドソーシングサービス「クリコン」を開始した。吉本といえば「ケチでギャラが安い」と言われることもあるけれど、経費節減のためではなく、新しい時代のコンテンツ開発体制を作るのが狙いという。まずは吉本に所属する芸人のライブチラシや番組ロゴなどの制作を発注し、今後はメディアと連動したクリエイター発掘も行う。

クリコンでは、全国9つの劇場で年間1万回以上開催される吉本所属お笑い芸人のライブのチラシ・ポスターの制作、番組ロゴやウェブサイト制作、映像編集、ネーミング&キャッチコピーなどを募集する。具体的には、よしもと幕張イオンモール劇場での定期イベント「爆ハリ」のロゴ作成(5万円)や、お笑いトリオ「ジューシーズ」単独ライブのポスター作成(3万円)などがある。一般の企業や団体も仕事を発注できる。

クラウドワークスは、クラウドソーシングのシステムを提供するとともに、サービス運営をサポートする。クラウドワークスによれば、吉本にとって今回の協業は経費節減のためではないと強調しているけれど、クラウドソーシングを使うことで従来よりもデザインや制作にかかるコストは抑えられそうだ。「スキルはあるがコネがない」という若手のクリエイターにとっても、コンペで仕事を受注できるのはとてもありがたい話だろう。


クラウドワークスとテレビ東京、シニア層に特化したクラウドソーシングを共同展開

クラウドワークスは31日、テレビ東京と提携してシニア世代向けクラウドソーシングサービスを開始することを明らかにした。クラウドワークスの吉田浩一郎社長によれば、今回の業務提携は、有力な視聴者層であるシニア層に向けた取り組みを模索していたテレビ東京側から持ちかけられた話だといい、クラウドワークスで徐々に利用が増えているシニア向けのクラウドソーシング市場を共同で開拓していくこととなったのだという。

クラウドワークスは、シニアユーザーに特化したクラウドソーシングプラットフォームを構築するとともに、シニアユーザーに仕事を提供する企業の開拓を強化する。一方、テレビ東京はテレビやインターネットを活用し、シニア世代向けにクラウドソーシングに関する情報を提供する。11月4日にはテレビ東京で「中高年に大人気!―定年知らずのハッピー仕事術―」(仮)という番組を放送する予定だ。

クラウドワークスによれば、同社サービスの最高齢ユーザーはなんと85歳だといい、70代のユーザーも積極的に仕事をしているのだという。50代以上の「シニア世代ユーザー」は直近4カ月で倍増して約5000人に上り、全ユーザーの約7%を占めている。今回の業務提携でクラウドワークスは、現状の20倍となる10万人のシニアユーザーを獲得する見込みで、業務依頼の総額10億円を目指している。収益は両者で折半する。