世界トップ棋士のイ・セドルにGoogle AIが挑んだ五番勝負、4勝1敗でAIが勝利

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Googleが囲碁の世界チャンピオンでもあったイ・セドル(Lee Sedol)に挑んだ五番勝負が終わりを迎えた。結果はGoogle側からみて4勝1敗となった。

対局したAlphaGoは、ロンドンのDeepMindが開発したものが元となっているプログラムだ。このDeepMindは2014年、5億ドルにてGoogleに買収されている。対局はいずれもソウルで行われた。DeepMindのCEOであるDemis Hassabisのツイートによれば、最終の5局目では序盤でAlphaGo側がやや形成を悪くしていたようだ。しかしそこからうまく打ちまわし逆転に結びつけたのだとのこと。

AlphaGo側に大きなミスがあった(手筋に対応できなかった)。しかしなんとか局面を持ち直し、勝敗不明の形成となっています。

ついに第五局もAlphaGoの勝利となりました。これまでで一番エキサイティングなゲームになったように思います。イ・セドルを相手に劣勢を盛り返すことができるとは、まさに驚きの強さではないでしょうか。

ツイートにもあるように、地球上で最も優れた碁打ちのひとりであるイ・セドルに対しながら、ミスを挽回し得たことがAlphaGoの強さを示すものといえるだろう。AIが真の進化を遂げていることが証明されたともいえるかもしれない。五番勝負はAlphaGo側からみて4勝1敗となったわけだが、これは人工知能にとってまさに歴史的な出来事として記録に残ることとなる。碁は主に東アジアで行われているボードゲームだが、非常に複雑で、戦略や手順の選択肢が多いことで知られている。Hassabisを含むAI研究者にとって、プロ棋士に勝ち得る囲碁プログラムを作ることが、AIの飛躍的進化を示すものと考えられていた。

今回の対局について、AlphaGoが勝てるのかどうかについて懐疑的な人も多かった。昨年の段階でヨーロッパの囲碁チャンピオンに勝利していたとはいえ、囲碁界のレジェンドたるイ・セドルが相手ではまた話が別だと考える人も多かったのだ。

これまでにもAIは、画期的と言われる成果を残してきてはいる。たとえばDeep Blueは、1997年にチェスのグランドマスターであるガルリ・カスパロフ(Garry Kasparov)をやぶっている。またIBMのWatsonは、2011年にジェパディ!(Jeopardy!)で素晴らしい結果を残している。ただし今回のAlphaGoはそれらと異なり、自ら学ぶことができるのが大きな特徴だ。すなわちプログラムされた手順や、予め設定されたパターン以外の手を打つこともできるわけだ。イ・セドル側も1勝し、AIも無敵ではなく、人間側の仕掛けに対してミスすらしてしまう可能性があることを明らかにした。ただし、それも今回素晴らしい結果(4勝1敗)をさらに超えて、はるかに進化し得る可能性を示すものと捉えることもできよう。

イ・セドル氏が第四局を制しました。おめでとうございます。今日のセドル氏はあまりに強すぎました。AlphaGoにプレッシャーをかけ、取り返しのつかないミスをおかさせたのです。

AlphabetのチェアマンであるEric Schmidtは第一局を前に「どのような結果がでようとも、それが人類に役立つものとなることは間違いありません」と述べている。AlphaGo側のものとなった勝利賞金100万ドルもチャリティに寄付されたことも含め、確かに「人類に役立つもの」となったと言えるかもしれない。

対局の様子はYouTubeのDeepMindチャンネルで見ることができる。

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(翻訳:Maeda, H

Appleがスマートフォン上で人工知能で写真を分類するアプリのデベロッパPerceptioを買収

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AppleがディープラーニングのPerceptioを買収したことを、今日(米国時間10/5)Bloombergに確認した。Perceptioのプロダクトは、人工知能を使ってスマートフォン上の写真を分類するアプリだ。

昨年10月のRe/codeの記事によると、Perceptioの技術ではデータをクラウドに保存せずモバイルデバイス本体の上で高度な計算処理ができる。ファウンダのNicolas PintoとZak Stoneは、写真共有アプリSmoothieも作った。

PintoのTwitterプロフィールによると、彼はMITとハーバードのリサーチサイエンティストおよびコンピュータ科学の講師だそうだ。一方Stoneは、ハーバードでコンピュータヴィジョンのPhDを取得している。

AppleのスポークスマンColin JohnsonはBloombergに、“Appleは小さなテクノロジ企業をときどき買収するが、その場合一般的に買収の目的や今後の計画を議論しない”、と述べている。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

Facebookがディープラーニングツールの一部をオープンソース化

機械学習の世界では今、”deep learning”(ディープラーニング, 深層学習)という言葉が流行っている。それはGeoff Hintonなどの研究者が広めた技術で、彼は今Googleにいて、その前はMicrosoft Researchにいた。またYann LeCunなどの研究者は、コンピュータに物や人の話を認識させる、今よりももっと良い方法を模索している。

Facebookも、この分野にかなりの貢献をしていて、今日(米国時間1/16)同社は、機械学習のためのコンピューティングフレームワークTorch7プロジェクトの一部をオープンソースにする。Torchはこれまでも、大学の研究室や、Google、Twitter、Intelなどの企業で機械学習や人工知能のプロジェクトの中核として利用されてきた。

Facebookは今日、Torchを使っているディープラーニングプロジェクトを高速化するために最適化されている一連のツールを、ローンチする。たとえばその一つは、複数のGPUを同時に動かして学習ネットワーク(神経ネットワーク)の教育訓練を並列化する。また、今入手できる最速のコードの23倍速く、多くのディープラーニングシステムの中核であるconvolutional neural nets(畳み込みニューラルネット)を教育訓練できるツールもある。

さらにFacebookがローンチするツールの中には、Torchのそのほかの部分を高速化するものもある。それらの多くはデフォルトのツールの3倍から10倍速いそうだ。

詳しい技術情報に興味のある方は、ここへどうぞ。

ディープラーニングは私たちが日常使うソフトウェアの多くが、直接あるいは間接(クラウドなど)に、徐々に利用し始めている。

たとえばGoogle+ Photosは、ユーザの写真ライブラリ中に画像を見つけるためにそれを利用している。そして先週のCESではNvidiaが、キーノートの時間の大半を費やして、ディープラーニングによるオブジェクトの同定により、車載カメラの能力がアップし、自動運転の実用化が早まる、という話をしていた。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


テキストデータをニューラルネットで分析するAlchemyAPIが$2Mを調達, GoogleやIBM Watsonと競合

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AlchemyAPIが、その高度な学習テクノロジを一層充実させるために200万ドルのシリーズA資金を獲得した。その投資ラウンドの幹事会社はAccess Venture Partnersで、新資金は営業とマーケティング、社員増、そして新サービスのローンチに充てられる。同社の技術は、Webページやテキスト文書、メール、ツイートなどを読んで理解する人工知能技術だ。

ファウンダでCEOのElliot Turnerによると、同社の自然言語処理技術は、金融などの垂直市場(特定業種市場)で利用されており、たとえば証券会社では、Alchemyの技術でテキストを分析し、そこから得られる株価変動の兆候などを株取引のアルゴリズムに放り込む。同社はその技術を、APIサービスまたはデータセンターに据え付ける専用の装置として提供している。

2009年にローンチしたAlchemyは現在、世界の36か国で使われ、毎月30億のAPI呼び出しを処理している。これだけAPI呼び出しの多い同社を、Programmable Webは「APIの殿堂」(API Billionaire’s Club)に加えた。これで同社は、GoogleやFacebookやLinkedInなどが持つ希少なステータスを獲得したのだ。

Alchemyからの課金は、APIの呼び出しまたはトランザクションに対して行われる。呼び出しの90%は、トランザクションベースの支払形式だ。

Alchemyの技術はIBM Watsonに似ていて、顧客がデータ集合に対して質問を投げかけ、答を得るために利用する。ただしAlchemyは、数や量ではなくテキストの分析に特化している。同社は、そのためにニューラルネットの技術を利用している数少ない企業の一つだ。Googleはニューラルネットを脳のシミュレーション に利用しているが、Alchemyのように多様なデータ集合に対するクェリには使っていない。Alchemyの分析技術を使うと、たとえば膨大な量の法律文書から必要な情報を見つける、などのことができる。

Alchemyの技術はデータ分析の技術として画期的だが、しかし今後、IBMなどの超大手と互角に戦えるだろうか? ぼくは、十分に行けると思う。IBMはWatsonをSaaSとして提供していないが、AlchemyはSaaSをやっている。だから、どんな企業でもその技術を利用できる。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))