このポルシェがベースの電動スーパーカーは、最長走行距離300キロでクレイジーな加速

オーストラリアの電気自動車会社、Krieselは高性能改造電気自動車の世界では一目置かれる存在だ。完全電動のMercedes G-Classをアーノルド・シュワルツェネッガーと協同で作った同社が、こんどはPorshce 910を改造したEVEX 910eを披露した。完全電動駆動で最高速度300 km/h、0-100 km/h加速2.5秒以下の性能を誇る。

この電動スーパーカーは公道仕様で、1970~80年代のヴィンテージスポーツに特化した自動車メーカーのEVEL Fahzeugbau GmbHと協同開発した。この車を買うことは可能だが、かなりの資力を前提としている。価格はなんと100万ユーロ(1.2億円)。

Krieselの改造で、EVEX 910eは電動モーターによって490馬力を実現しながら排ガスはゼロだ。自社製の2速トランスミッションは、これは別途購入することもできる。1回の充電による最長走行距離350 kmはEPA標準などの公式測定基準によるものではなく「現実的」な数値だと同社は言っている。高速充電が可能であり、家庭用ソーラー発電システムと組み合わせれば充電した電力を家に戻すこともできる。

  1. kreisel-evex-910e-front-copyright-evex-fahrzeugbau-gmbh.jpg

  2. kreisel-evex-910-halle.jpg

  3. kreisel-evex-910e-chassis-copyright-evex-fahrzeugbau-gmbh.jpg

  4. kreisel-evex-910e-messe-1-copyright-kreisel-electric-gmbh-peter-scherb.jpg

  5. kreisel-evex-910e-kreisel-technik-copyright-evex-fahrzeugbau-gmbh.jpg

  6. kreisel-evex-910e-detail-2-coypright-evex-fahrzeugbau-gmbh.jpg

是非とも1台欲しいが、クラウドファンディングのGoFundMeで資金を集めようとしても、あまり支持を得られそうにない。

[原文へ]

(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Waymoの自動運転技術は2016年に大きく進歩、人間の介入機会が極少に

waymo_fca_fully-self-driving-chrysler-pacifica-hybrid-3

Waymo(元Google自動運転車部門)の自動運転ソフトウェアは、2016年に、2015年よりもはるかに長い距離を走行したにもかかわらず、解除される機会がずっと少なかった。カリフォルニア州自動車局の発表によると、Waymoの最新の解除報告では、解除(テスト車の自動運転をoffにする機会)の多くは、事故や軽い接触などではなく、ソフトウェアのなにかを調整したりバグを潰したりするための一時的なポーズ(小休止)だった。

これは、Waymoの技術による自動運転車の商用化に向けての、大きなニュースだ。技術陣のリーダーDmitri Dolgovがこの進歩を祝うブログ記事で、1000マイルあたりの平均解除件数で前年(2015)比4倍の進歩だ、と説明している(下図)。すなわち2015年には0.8件だったが、2016年にはそれが0.2件に減少している。しかもその多くが、事故ではない。

screen-shot-2017-01-25-at-11-28-02-am

Dolgovの説明によると、この走行距離は都市と郊外の両方を含み、とくに一般商用化に向けてWaymoが力を入れている最も複雑な運転状況、ドアツードア・サービスのテストが多く含まれている。またDolgovによると、この数少ない、間隔の長い解除は、システムに貴重な学習機会を提供し、最終的にはソフトウェア自身が、自分をしばらく運転から解除すべき状況を判断できるようになる。もうひとつは、保守的な運転状況で解除するとそれをエラーにする、という調整も行っている。これらのことを勘案すると、2016年の低い解除率はすばらしいと言える。

WaymoのCEO John Krafcikは、自動運転車用のセンサーを今後は自社で作る、と発表したときに、解除率の4倍の向上に言及している。具体的な数字で言うと、解除件数は2016年が124件、2015年が341件、2016年のテスト走行の総走行距離は63万5863マイルだった。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

電動三輪車のArcimotoが本番生産のためにFundableで投資を募る

arcimoto-in-vegas

Arcimotoの電動三輪自動車SRKの八代目がCES 2017に登場した。このバージョンは今年の春に、同社の本社のあるオレゴン州ユージーンで製造され、最初に買った人の戸口に届くのは今年の夏、とされている。

2007年にユージーンで創業したArcimotoにとって、それは長い道のりだった。ファウンダーのMark Frohnmayerは、自分の前の会社GarageGamesからArcimotoのための初期の資金をつぎ込んだ。SRKの本番生産が目前に迫った今、同社はFundableにアカウントを開いて、外部投資家を誘っている。

SRKは、本格的な自動車を目指していない。それはあくまでも、小型で安くてゼロ・エミッションの都市型乗り物だ。同社の最新のPRビデオは、Fun Utility Vehicle(楽しいユーティリティビークル)と呼んでいる。前輪を二つのモーターが駆動し、最高時速80mphを得る。シートの暖房など、快適性のための工夫はいくつかあるが、荷物スペースは助手席背後のバスケットだけだ。ドアはオプションだが、州によってはオートバイ用ヘルメットが必要かもしれない。

推定燃費が230MPGeで航続距離が100マイル、充電は家庭のコンセントでできる(110または220ボルト)。最初はエアコンやオーディオはないが、今後のバージョンには装備される。将来的には直流高速充電にも対応の予定。

電動小型無蓋車が欲しい人は、ArcimotoのWebサイトで100ドルを払うとよい(予約金、払い戻しあり)。製品が無事に届いたときには、メーカー希望価格11900ドルを支払う。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

EVの高速充電装置/ステーションはどんだけ速いのか?、メーカーの発表数値を比較する

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

EVgoが今月、公共直流高速充電ステーションの新記録をカリフォルニアで作る、と発表した。その能力は最大350kw、現在の記録保持者はTesla Superchargerだが、それよりも強力だ。EVgoのステーションの1号機はこの夏、カリフォルニア州ベイカーの世界一背が高い温度計の近くで、供用を開始する。

そこで、疑問が生ずる: そのほかの高速充電ステーションはどれだけ速いのか? そもそも、高速充電ってどれだけ速いのか?

EVの充電に要する時間は、二つのことに依存している: 充電装置が供給する電力と、車の充電システムが対応できる最大電力だ。EVはLevel 3の充電ステーションを使うために、CHAdeMOやSAE CCSの規格に準拠、またはTeslaの車種でなければならない(後者は他の規格のためのアダプタがアクセサリとしてある)。

Level 1の壁際コンセントは、減損したEV用電池の充電に一晩、あるいはそれ以上かかる。Level 2の充電装置は完全充電までに一晩ぐらいかかる。Level 3のステーションでは、80%の再充電が1時間以内に終わる。

以上は一般的なルールだが、メーカーはこんな数字を挙げている:

  • Tesla Model S: 120kw Superchargerステーション、40分で80%充電。
  • Jaguar I-PACE コンセプトEV: 50kw Level 3ステーション、90分で80%充電。
  • Chevy Bolt: 50kw Level 3ステーション、30分充電で90マイル。
  • Nissan Leaf: 50kw Level 3ステーション、30分で80%充電。

EVgoのネットワーク上には800基あまりの高速充電ステーションがあり、そのほかに最新のハイパワーステーションもある。後者は4台の充電装置を内蔵し、将来8台に拡張する予定だ。ひさしにソーラーパネルがあって充電装置に電力を供給、もちろんひさしだから人間と車を直射日光から守る。(充電器への電力供給のない)夜間利用者のための、バックアップ電池も用意している。Tesla SuperchargerのようなWi-Fiホットスポットはないが、でも、忘れちゃいけない、近くに世界でいちばん背の高い温度計がある!

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

マセラティ、2020年に電気自動車市場に参入見込み

small-11429-maseratiattheparismotorshow2016-maseratigranturismomcstradale

Teslaのおかげもあって、電気自動車(EV)はごく一般的なものとなりつつある。しかし未だ参入していない自動車メーカーもあるわけで、その中からついにマセラティがEV界への参入を表明した。他のメーカーに比べて大きく出遅れたわけだが、このフィアット・クライスラー・オートモービルズ傘下の高級車メーカーは、2020年に販売開始を予定しているのだそうだ。それに先立つ2019年中に概要を示したいともしている。

方向としては、Tesla Model S風を追うのではなく、グランドツーリング・クーペとしての方向を目指すらしい。Car and Driverにて、マセラティのエンジニアリング部門のリーダーであるRoberto Fedeliが述べていた。先日行われたパリ・モーターショーでのインタビューによるものだ。

Fedeli曰く、他者に対する遅れは重々認識しているとのこと。高級自動車メーカーの中でも最後発のポジションとなる。それがためにマセラティとしては他メーカーと「大いに異なるもの」を発表するつもりであるとのこと。EV市場に参入するにあたっては、既存のブランドイメージをどのように活かしていくかを十分に考慮する必要もある。マセラティは独特のエンジン音や、車体の軽さに特徴がある。EVとなると音は小さくなり、そしてバッテリーのせいで車体は重くなる。これまでのマセラティとは真逆のものともなるわけだ。

マセラティほどのメーカーが、自らのブランドをどのように活かしたEVを生み出すのかは大いに注目したいところだ。EVは、EVであることの独自性などなくなりつつあり、消費者の要求レベルも高くなりつつある。技術面およびデザイン面で、ライバル社とどのような差別化を行うのかが楽しみだ。

原文へ

(翻訳:Maeda, H

日産自動車曰く、イギリスでは2020年にガソリンスタンドよりEV充電スポットの方が多くなる

148558_10_5

日産自動車が行った最新の調査研究によると、イギリスでは2020年までに、電気自動車のための充電スポットの方がガソリンスタンドよりも数が多くなる、と予測される。2020年というとわずか4年後だから大胆な予言だが、この調査研究がファクターとしているのは、実際に稼働しているガソリンスタンドの近年の減少傾向と、同じく充電スポットの増加傾向だ。

イギリスのガソリンスタンドの減少率は大きい。日産自動車の調査によると、40年前に稼働していたスタンドの75%が今は無く、新設も見られないから、最多だった1970年の37539軒に対し今はわずかに8472軒だ。この率で行けば、2020年のガソリンスタンドの数は7870軒になる。

一方、継続的に増加している充電スポットは、現在はわずか4100箇所だが、現状の増加率を4年後に延ばすと、2020年には7900箇所になる。電気自動車の登録台数も、急速に増加している。メーカーだけでなく政府までもが、排気ガスの少ない車の宣伝に努めており、彼らの数字によると、2016年の前半では13分に1台の率で電気自動車が登録された。

日産自動車がEVのインフラストラクチャの成長を吹きまくるのには理由がある。同社は電気自動車の大量生産車種(LEAF)を最初に作った企業であると自負し、イギリスの都市の通勤者には同社の完全電気自動車が理想のソリューションである、と主張し続けている。

しかし日産ほど強烈な市場動機のない者にとっても、同社の楽観主義は一考に値する。仮にEVインフラストラクチャの支持者がそれほど増えず、またイギリスのような国〔小さな島国〕では長距離ドライブの際の距離をそれほど心配しないとしても、それでも、徐々に多くの車が化石燃料を燃やさなくなるのは、めでたいことだ。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

今年は、電気自動車の販売台数も種類も増える

fiat500e-cropped

どこにでもEV(電気自動車)がいるなと感じている人は、今年はもっと感じるようになるだろう。Navigant Researchは、2016年にEV市場は前年比62%で成長し、今年だけで20万台近いEVが販売されると予測している。

Navigantは、今秋発売予定のChevy Bolt(希望小売価格3万7000ドル)のような、価格4万ドル以下の長距離走行バッテリー電気自動車(BEV)が成長の鍵を握ると指摘している。プレスリリースには他に、Tesla Model X、最新のChevy Volt、プラグインハイブリッド(PHEV)のPrius Prime、および近日発売予定のMitsubishi Outlander PHEV等も、流行を後押しすると書かれている。

過去5年間ほどで、EVは西海岸でちょっとした市場シェアを獲得してきた。Navigantによると、成長は北東部にもやってくるという。メーカーは、マサチューセッツ、ロードアイランド、バーモントという、カリフォルニアに続き2025年までに無公害車を増やすことを推進しているニューイングランドの各州で、目標達成に向けてマーケティングを強化する必要がある。

消費者にとって、EVの走行距離が延び、価格が下がり、車種が増えれば、自分に合ったモデルを見つけやすくなる。エネルギー省によると事態は少し改善されている。2015年には、2シーターから標準サイズSUVまで、9つのクラスからEVを選ぶことがてきた。昨年販売されたプラグイン電気自動車の半数以上、60%がNissan LeafやTesla Model Sのようなミッドサイズまたは大型車だった。

Navigant、エネルギー省ともに、プラグイン電気自動車の始まりは実質的に2011年で一致しており、当時は4種類のモデルがあった(トリビア向けのメモ:エネルギー省はTeslaを2011年発売としていない。同社はRoadsterの受注を停止しており、Model Sの量産車はその時点で生産が始まっていなかった)。今やその数は、全電動のFiat 500eからプラグインハイブリッドのVolvo XC90まで、29種類になった。

販売台数は2011年の2万台から12万台へと増え、これは6倍の大躍進だが未だに米国の全自動車販売の1%に満たない。Navigantの2016年予測が当たれば、EVはこのハードルを越えられるかもしれない。

[原文へ]

(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Teslaの生物兵器防衛モードは、途上国市場に向けた天才的発想

biohazard-bubble

Teslaは今日(米国時間5/2)、同社の微粒子フィルターがいかに効果が高いかを示す詳細情報を披露した。ネタバレ注意:こいつはすごい。車の中の空気をきれいにするだけでなく、車の〈外〉の世界もきれいにする。なぜこれが重要かは、明白ではないかもしれない。同社は非常に限定された顧客を想定していて、これは中国とインドへの市場進出の鍵となるかもしれない。

はっきり言って、車内空気清浄機は何ら新しくない。1970年代後半から高級車に塔載され始め、1980年代半ばからはさらに多くの車種に採用されている。HEPAフィルターはさらに新奇だが、それはこのレベルの浄化をするためにはそもそも車の密閉度が高い必要があり、従来の自動車設計では優先されていなかったためでもある。

TTeslaの生物兵器防衛モードは、準致死量の汚染物質を数分のうちに検出不能にまで減らすことができる。すばらしい。さらに、車の外の汚染レベルも著しく下がっていることにも注目されたい。

Teslaの生物兵器防衛モードは、準致死量の汚染物質を数分のうちに検出不能にまで減らすことができる。すばらしい。さらに、車の外の汚染レベルも著しく下がっていることにも注目されたい。

HEPAフィルターを使うこと自体想像しにくいが、さらに生物兵器防衛モードでその上を行くことは、単なる派手な見世物行為なのか? 〈なぜ〉Teslaがこんなことをしているかは、まだ誰も解明していないようだ。

Teslaのブログには、いくつか自明な理由が書かれている。生物兵器について話せば見出しになる(上を見てごらん!)。しかし本当の論点は、工業規格の微粒子フィルターを使うことによって、Tesla Model SおよびModel Xが、工害のひどい環境に適していることを示すことだ。

もちろん現在のTesla車には様々な特徴があるが、一つないことと言えば「安い」ことだ。
この2つを合わせると、Teslaのターゲット顧客層のベン図が見えてくる。膨大な金銭を持ち、夥しい量の汚染に悩まされている人々だ。

工害は世界的問題だが分布は平等ではない

世界の公害都市トップ1000の約7%は米国にあり、これがパズルの1つ目のピースだ。自国市場のために特によく設計された車を作ることは常識だ ― 特に、公害に関して有利な立場にある電気自動車メーカーなら。

Top 1000

残りのデータも実に興味深く、なぜこの会社にとってこれが重要であるかのヒントを与えてくれる。インド、中国、トルコ、フランス、ドイツは、いずれもトップ1000に多くの都市を抱えている。どの市場も同じように裕福というわけではないが(これらの国々の一人当たりGDPは大きく異なる)、これらの国に、高級車を買える ― そして買う ― 人々が数多くいることは否定できない。

最も重度な公害に苦しんでいる国に限ると、データは大きく変わる。下のグラフは、WHOが「最も汚染されている」とする PM 2.5 が 25 µg/m³ を越える都市だけを見ている。

PM2.5 over 25

公害が中国経済を苦しめていることは明らかであり、最近の報告によると同国GDPの何と6.5%もが、公害対策関連に費されている

インドもひどく苦闘している。この国は世界の公害都市トップ20のうち13を占めている。ちょうど今日(米国時間5/2)、Death By Breathと題された20分のドキュメンタリーが公開され、デリー、パトナ、グワーリヤル等の空気汚染がいかにひどいかが紹介されている。

両国で興味深いのは、Teslaが実行しようとしていることにとって、まさしく完璧なターゲット市場であることだ。

「HEPAフィルターは、Teslaを公害地域に最適な車にする」と考えることは、誤った方向だと私は信じている。むしろ逆だ。Teslaは大成功したい市場を探していて、高度なフィルターを加えた純粋な〈理由〉は、それらの市場がひどい公害問題に悩まされているからだ。

Teslaは大量の車を売る

既に書いたように、車にHEPAフィルターを使うことは決して新しくないが、それをウリにすることは少なかった。むしろ巨大な燃料食いのSUVが、室内は世界一きれいでも、走ることで問題の原因になっているという事実によって少々割引かれてきた。純電気自動車会社であるTeslaは、途上国の富裕層に対して、ユニークな特徴を堂々と提供することができる。自分たちの吸う空気のことと、問題の一部にならないことの両方を気にかけている人々だ。

高級車の世界では、Teslaの価格は比較的平均に近い。この分野には様々な選択肢があり、強力な差別化要因は著しい効果を生む。EVであることはアピールの小さな部分にすぎないが、北京、香港、デリー、ドーハといった、公害の蔓延と富の集中がベン図で重なるピークでは、その効果は倍増する。

[原文へ]

(翻訳:Nob Takahashi / facebook

電気自動車のFaraday Future、インバーターで初の特許取得

inverter-hq-ph-43w

【本稿の執筆者はKristen Hall-Geisler】
Faraday Futureは、小型で強力なインバーターで初の米国特許を取得した。これは同社がCES 2016で披露したバットモービルのようなコンセプトカーではないが、間違いなく有用だ。

まず、これはFaraday Futureの最初の自動車の中核部品として使われる現実世界の装置であり、次のモデル、そのまた次のモデルでも使われていく。Faraday Futureは、コンパクトカーからピックアップトラックまで、同社が作る全車種を支えるバリアブル・ブラットフォーム・アーキテクチャーに賭けている。「われわれは、このプラットフォームの基礎をなすテクノロジーを持つ必要がある」と広報担当のEzekiel Wheelerは言った。

Faraday Futureの電気駆動担当シニアディレクター、Silva Hitiは、インバーターは「バッテリーのエネルギーをモーターが消費できる形に変換する」と説明する。つまりバッテリーに蓄積されているDC電力がインバーターに流れ込み、AC電力としてモーターに送り込まれる。

FF Echelonインバーターと呼ばれるこの新しい装置は、電動車用の「既製」インバーターよりも信頼性が高く製造が容易で出力密度が高い。多くの問題に対する解決策は、少ない部品で単純なシステムを作ることだった。これは故障する部品が少なく、使用する材料が少ないことを意味する。「できる限り軽く、かつ小さくすることで信頼性の問題に対処した」とHitiは言う。

小さく、シンプルにすれば効率も良くなる。「インバーターの効率を最大限にして最大の走行距離をバッテリーから引きだしたい」と、FFの技術フェロー、Steven Schultzは言う。「例えば、入力が100ワットなら、できる限り100ワットに近い出力が欲しい」。

Wheelerによると、これは同社が創業以来出願した約100件の中でも最初の特許だという。FFは、一般公開直前まで車両を公開しない計画なので、製品に近いプロトタイプやコンセプトカーを見られる時 ― 2017年かもしれない ― までに、こうした特許や部品を数多く見ることになりそうだ。

[原文へ]

(翻訳:Nob Takahashi / facebook

米運輸省、自動運転車の規制緩和へ

google-ca

自動運転車が急速に進歩する中、連邦当局はこの技術に対するスタンスを考え直そうとしている。

昨日(米国時間11/24)アンソニー・フォックス運輸長官は、政府の自動運転車政策を数週間のうちに改訂すると発表した。

「運輸省として安全面を警戒するのは当然だが、目の前のイノベーションにおじけづきたくはない」とフォックスは語った。Associated Pressが伝えた。

2年前、米国運輸省は自動運転車に対して慎重な立場を取った。同省は、自動運転車の使用はテストに限定し、「一般市民が通常の運転目的に使うことは認めない」とする方針を打ち出した。

今日のニュースは、Googleが自動運転車のテスト地域をマウンテンビュー本社キャンパスから、カリフォルニア州およびテキサス州オースチンの公道へと拡大したことを受けている。Tesla Motors、日産、およびホンダも同技術の実験を続けている。しかし、いずれの場合も、ハンドルの前には人間が座りいつでも代って運転できるよう備えている。

これまでのところ、自動運転車に関連する規制の殆どは州レベルで施行されている。カリフォルニア、ネバダ、ミシガン、フロリダの各州およびワシントンDCはいずれも、自動運転を規制する法案を通過させた。他の多くの州も同様の法規制を検討している。

Googleが自動運転車の安全性が確認され次第すぐにでも、市場に広めようと推進している中、路上のルールも変わる必要がでてくるだろう。2016年に自立走行車が技術政策に関する数多くの議論を呼ぶことは間違いない。

[原文へ]

(翻訳:Nob Takahashi / facebook

BMW vs Tesla:イノベーターのジレンマのリアル版

編集部注: 本稿のライター、Peter YaredはSaphoのファウンダー・CTOで、元CBS InteractiveのCTO/CIO。

Jill Leporeは、自身のNew Yorkerの記事で破壊的イノベーションに疑問を呈し、シリコンバレーで波紋を呼んだ。彼女は、既存の大企業が生き残り、小さな進歩を繰り返すことによって破壊的テクノロジーを呑み込んでいくと推測する。幸い、われわれには生きている実験台がある。BMWの新電気自動車 i3は、伝統的メーカーがTeslaを前に、イノベーションのジレンマに直面する現在進行形のケーススタディーだ。

Elon Muskは、未来の量産電気自動車の標準をこう定義した ― 価格は4万ドル前後、航行距離は200マイルで、BMW 3シリーズに対抗する。この大胆なゴールを達成するべく、Teslaは「ギガ工場」を作ってバッテリーを高効率低コストで生産し、その夢を現実にする計画に投資している。投資家は、Teslaがその規模を達成した時には市場を支配することに賭けている。まだ年間3万5000台しか生産していないにもかかわらず、時価総額は280億ドルに上る。Muskが、近日発売の大衆車 Model 3を、BMW 3シリーズと直接比較しているのは興味深い。現在BMWは新しいi3を、米国市場に限定的に投入しているだけだ。

BMW対Teslaの戦いからは、多くの有益な教訓を得ることができる。自動車は目に見える製品であり、販売戦術も非常に透明だからだ。

ブランド

車名に “3″ が入っているものの、i3 は明らかにBMWの3シリーズではない。車長は60cmも短かく、むしろBMW 1シリーズの仲間に入れるべきだ。i3の80~100マイルという航行距離は、Nissan LeafやChevrolet Volt等と同等であり、Tesla Model Sのようなテクノロジーの奇蹟とは比較にならない。

その制約にもかかわらず、i3は明らかに共感を呼び、レビューでの評価も高く、先月TrueCarで急騰した価格からも、米国内での高い初期需要がうかがえる。BMWは3シリーズのブランドを効果的に(誤)使用しており、テクノロジーの進歩に合わせて、車体を伸ばしたり航行距離を延ばすなどの機能追加が可能だ。

教訓:伝統的メーカーは、誤った製品名を付けることによってブランドを活用できる。新興企業が直接特定のモデルを比較対象にしている時はなおさら。

Tesla Model 3 (Estimated) BMW i3 BMW 320
Passengers 5 5 5
Range ~200 miles on electric 80-100 miles on electric, 185 miles with gas range extender(Total hack!) 380-576 miles on gas
Base Price ~$40,000 $41,350 $32,750
0-60 N/A 7.2 seconds 7.1 seconds
Dimensions ~182” long x ~71” wide (Matching BMW 3 series) 157” long x 70” wide (Not even close to a 3 series!) 182” long x 71” wide
Availability 2017 2014 2014

テクノロジー

BMWは、完全電動車のプラットフォーム構築に莫大なリソースを注ぎ込んでおり、消費者にいた早く価値を提供するためには、過去のテクノロジーを融合することも厭わない。対照的に、Mercedesは、提携の道を選び、近く発売する電気自動車の駆動部およびバッテリー技術をTeslaから購入している。BMW、Mercedes共に、自動パーキングや高速道路で車線を守り車間距離を一定に保つクルーズコントロール等、高度な車両技術においてはTeslaをはるかに凌いでいる。

バッテリー技術の進化を待つことなく、中価格帯で200マイルを走る電気自動車を作るために、BMWはオプションとして「レンジエクステンダー」を販売している。これはバッテリー動力の5%を維持できる2気筒のオートバイ用エンジンで、航行距離を80マイル延長する。レンジエクステンダーは、バッテリーを充電するものであり駆動はしないので、i3はハイブリッド車ではないが、レンジエクステンダーは常に給油可能なため、動力を失うことがない。これは実に巧妙なしくみだが、よく考えられており競争力がある。BMWの技術者は、このアイデアを思いついた時、ほくそ笑んだに違いない。

このi3によって、BMWは、都市ドライバーや平均的通勤者といった、時折遠出にも使うが、充電ステーションのことを考えたくない人々に、「十分良くできた」高級電気自動車を提供した。

教訓:伝統的メーカーは、新技術を自社の旧技術と混ぜこぜにして、新たなライバルを蹴落とそうとすることが多い。

生産台数

Teslaは、最初の製品を2006年に発売し、2014年には3万5000台のModel Sセダンを売ろうとしている。2014年後半で約1万7500台だ。BMWは2014年にi3を発売し、今年前半に6000台のi3を主にヨーロッパ市場で売った。現在3~6ヵ月待ちの状態だ。需要の急騰を受け、BMWは生産量を年間2万台に引き上げ、現在1日に100台、年間3万台以上のペースで製造している。伝統的メーカーが出荷初年度に、高級電気自動車分野でTeslaを抜きつつあるという事実は、Teslaの優れた製品と何年もの市場におけるリードを踏まえると、驚くべきことだ。

教訓:伝統的企業が技術を融合させると、大量生産が可能になる。

販売

Teslaが旧態依然のディーラー網モデルを破壊しようとしているのに対し、BMWはその広大なディーラー網を活用して世界中の消費者につながっている。また消費者は、TrueCarBeepi等のサービスを使って、新車や下取りの価格を、ディーラーと交渉せずに済ませることもできる。BMWは、多額の報奨金によって、消費者に購入を促すこともできる。自動車メーカーとディーラーたちは、Teslaと戦うために、法規制で足止めをさせ市場参入を制限しようとしている。

教訓:イノベーターは、伝統的企業の巨大で動きの鈍い販売チャネルを過少評価すべきでない。

市場参入

Teslaは、ハイエンド車で市場に参入する必要があった。長い航行距離を可能にするバッテリーを使用しつつ、気まぐれな投資家のために利益を確保するためだ。大衆向けの中価格帯車が可能になる何年も前のことだった。BMWの体力は、中間市場に参入し、翌年i8スーパーカーで米国の超ハイエンドに進むことを可能にした。BMWにとって、特徴ある都市向けのi3は、事実上BMWのイノベーションとグリーンな未来の動く広告塔であり、優位に立つために原価割れで売ることさえ可能だ。

Teslaのハイエンドファースト戦略には、Tesla Sがかなり大型で都市環境に向かないというリスクもある ― BMW 7シリーズより幅が広く、長さはほぼ同じ。大型の高級4ドアセダンは、35歳以上のアッパーミドルクラスの男性が典型的購入者であり、その層は、残念ながら最も流行に敏感な人々ではないことを認めざるを得ない。BMWは、徹底的に市場を研究し、i3の先進的デザインとより小型な都市向けサイズ、そして実証済みの若者層にアピールするブランドによって、流行に敏感な若い都市型人間をターゲットにした。

教訓:伝統的メーカーは、しばしば様々な市場セグメントを持ち、スケールメリットを生かして、新興企業の計画を出し抜く。

本当に破壊されているのは誰か?

大きな疑問は、電気自動車が破壊しようとしているのは、果たしてどの業界なのかである。当初、伝統的自動車メーカーは、電気自動車の挑戦に対抗できないと思われた。彼らはハイブリッド車を広く採用し、今やそこそこ競争力のある電気自動車を販売し、水素燃料電池の実験も続けている。広い視点で見ると、ExxonMobilとChevronの方が、BMWとChevroletよりも、電気自動車に破壊されているのかもしれない。

Elon Muskは起業家のヒーローであり、乗用車、宇宙飛行、および電力業界を同時に破壊しようとしている。これらの業界にいる伝統的企業のいくつかは、ある時点で目を覚まし、積極的に対応する必要があるかもしれない。Muskにとって幸運なことに、United Launch Allianceは、BMWがTeslaに対するほどには、SpaceXに対して敏速ではない。

情報開示:筆者は、Tesla Model Xの待ち行列の6250番目にいる。

[原文へ]

(翻訳:Nob Takahashi / facebook