フェイスブックがユーザーアカウントと有料ニュースの購読登録を連携させるテストを実施中

Facebook(フェイスブック)は、ニュースパブリッシャーに有料購読登録をしているユーザーのソーシャルネットワークにおける利便性と有用性を高める新機能のテストを行っている。

仕組みはこうだ。フェイスブックはパートナーになっているパブリッシャーで有料購読登録をしているユーザーを特定すると、そのパブリッシャーのニュースアカウントをFacebookアカウントと連携することを促す招待をユーザーに送る。一度連携してしまえば、ユーザーがフェイスブック上でそのパブリッシャーの有料記事を発見したとき、ログインし直すなどの手間をかけずに読めるようになる。

また、パブリッシャーの購読者が自身のFacebookアカウントを連携させると、通常よりも多く、そのパブリッシャーの記事がフェイスブック上で提示されるようになる。同社は「今後、購読者の利便性向上のためのさらなる機能を開発し提供していく」とも話している。

The Atlanta Journal-Constitution(ジ・アトランタ・ジャーナル・コンステューション)、The Athletic(ジ・アスレティック)、 Winnipeg Free Press(ウィニペグ・フリー・プレス)は、すでにこの機能を試している。フェイスブックによれば、アカウントをリンクさせた購読者は、このテストに参加していないユーザーと比較して、平均して111%多く、記事をクリックするようになったという。さらに、これらの購読者のパブリッシャーのフォロー率は、34%から97%に増加した。

「Facebookアカウントとの連携は、The Athleticの購読者に、大好きなソーシャルメディアのプラットフォームで時を過ごしている最中でも我々の記事にアクセスできる便利で簡単な方法を提供してくれました」と、The Athleticの製品マーケティング担当副社長であるCharlotte Winthrop(シャーロット・ウィンスロップ)氏は声明の中で述べている。「これにより、弊紙購読者のエクスペリエンスは拡大し、The Athleticとの繋がりが保たれ、応援するチーム、リーグ、選手の最新情報が常に届けられるようになります」。

フェイスブックはこれまで、ニュースパブリッシャーと複雑な関係にあった。過去に、フェイスブックの方針転換に痛い目に遭わされたパブリッシャーも少なくない。

報道機関が、購読数を伸ばそうと外部のプラットフォームに依存する場合、一番の問題となるのは、購読者がどちらに帰属するかだ。その点、今回のフェイスブックのアプローチは、各パブリッシャーとの購読契約はこれまでと変わらず必要になるため、パブリッシャーにとってはだいぶ受け入れやすいものとなる(フェイスブックを通して購読するわけではないからだ)。

フェイスブックの現在のニュース戦略は、Facebook News(フェイスブック・ニュース)に重点を置いている。これは、Facebookアプリのメインの画面に表示されるジャーナリズム専用のタブで、最近になってグローバル展開が始まったばかり(未訳記事)のサービスだ。また同社は、限定的に無料でニュース記事を読めるようにするInstant Articles(インスタント・アーティクルズ)で、パブリッシャーの購読増進の応援(Facebookリリース)も行っている。また、ジャーナリズムへの資金援助の一環として、地方の報道機関が、フェイスブックを通していなくても購読者数が増やせるように援助するフェイスブックはLocal News Subscription Accelerator(ローカル・ニューズ・サブスクリプション・アクセラレーター)(未訳記事)も立ち上げている。

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カテゴリー:ネットサービス

タグ:Facebook

画像クレジット:Bryce Durbin / TechCrunch

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(翻訳:金井哲夫)

Facebookがユーザーデータ収集のために規約違反した開発者を英国と米国で提訴、偽の「いいね!」を販売

Facebook(フェイスブック)は米国時間8月27日、米国では複数の開発者を、英国では初めての開発者を、自社のポリシーに違反しているとして提訴すると発表した。英国では、FacebookとFacebook Irelandの両社が、悪質なソフトウェアを通じてFacebookユーザーからデータを収集する、MobiBurnという企業が擁する技術にセキュリティ調査員がフラグを立てた後、Facebookの監査要請に従わなかったとして、MobiBurnの親会社であるOakSmart Technologiesとその創業者であるFatih Haltas(ファティ・ハルタス)氏を高等裁判所に提訴している。またこれとは別にFacebookとInstagramは、偽のエンゲージメントサービスを運営していたとして、サンフランシスコの連邦裁判所でNikolay Holper(ニコライ・ホルパー)氏を提訴した。

Facebookは、8700万人のFacebookユーザーの個人データが流出したケンブリッジ・アナリティカのスキャンダルを受け、悪質な開発者を取り締まってきた。それ以来Facebookは、アプリ開発者がデータにアクセスする方法について、罰則的措置だけでなく、より多くの保護を導入した。今年の初めには、コンプライアンスを確実にするために、必要に応じて開発者のシステムへのリモートアクセスまたは物理的なアクセスを要求することで、サードパーティのアプリを監査する許可を与えた、新しいプラットフォーム規約と開発者ポリシーを導入していた。

Facebookの発表によると、MobiBurnはFacebookの監査要請に「完全に遵守していない」とのことで、同社が悪質なソフトウェア開発キット(SDK)を使用してユーザーデータを収集していたことを調査しようとしていたという。

MobiBurnの活動に関するニュースは、2019年後半にセキュリティ研究界で最初に出回った。11月にはFacebookとTwitterの両社が、MobiBurnと別会社のOne Audienceが悪意のあるSDKをインストールした特定のサードパーティ製アプリにソーシャルアカウントを使ってログインした後、数百人のユーザーの個人データが不正にアクセスされた可能性があると発表した。Facebookは、これらの企業に対して停止命令を出したという。

MobiBurnのケースでは、MobiBurn自体が自社のポリシーに則って強制措置を取り、アプリを無効化して監査への参加を要請した。しかし、MobiBurnは「完全に協力しなかった」とFacebookは述べている。MobiBurnは11月、Facebookからデータを収集、共有、マネタイズしないと回答していた。同社には本日、コメントを求めているがいまだ回答はない。

Facebookの訴訟では、MobiBurnがサードパーティのアプリ開発者に支払い、同社のSDKをアプリにインストールさせたと主張している。「インストールされると、MobiBurnはデバイスから情報を収集し、Facebookにその人の名前、時間帯、メールアドレス、性別などのデータを要求した」とFacebookは訴訟の発表の中で説明している。

訴訟では、MobiBurnに対する差止命令、同社のシステムを監査する機能、アクセスしたデータ、開発者への支払い、受け取った支払いの説明、損害賠償などの救済を求めている。

Facebook vs MobiBurn(TechCrunchのScribdに掲載)

一方米国の訴訟では、Facebookは偽のエンゲージメントサービスを運営していた開発者のニコライ・ホルパー氏を相手取っている。Facebookは、ホルパー氏がボットと自動化ソフトウェアのネットワークを使って Instagram上で偽の「いいね!」「コメント」「ビュー」「フォロワー」を配布していたと主張している。訴状によると、偽のエンゲージメントサービスをインスタグラムのユーザーに販売するために、複数の異なるウェブサイトが使用されていたという。

訴状と展示品(TechCrunchのScribdに掲載)

Facebookが偽のエンゲージメントサービスを取り締まるのは今回が初めてではない。昨年、ニュージーランドのフォロワー購入サービスを閉鎖するために米国で訴訟を起こした。2019年にはInstagramもまた、Instagramユーザーにフォロワーを増やすことを約束する17件の偽エンゲージメントサービスのアカウントを閉鎖した。

Facebookは以前、このエンゲージメントサービスをシャットダウンし、開発者に正式に警告を発し、違反しているとした上で停止命令を出していた。

Facebookが利用規約に違反している開発者を取り締まろうとしている間にも、ユーザーは自分のフォロワー数を無闇に増やす他の方法を見つけている。例えば、多くのInstagramユーザーは「ポッド」に参加して、Instagramのアルゴリズムを弄ぶ方法として、お互いの投稿への「いいね!」や「コメント」を系統的に連携させている。

「本日の行動は、サービスを利用する人々を保護し、プラットフォームを悪用する者に説明責任を課し、データの悪用とプライバシーをめぐる法の状態を前進させるための最新の取り組みです」とFacebookは声明で述べた。

【2020/08/28 16:99(米国東部時間)アップデート】
MobiBurnが声明を発表した。

我々は、MobiBurnが英国の裁判所でFacebookによって提出された訴訟を確認しました。通常、訴訟が進行している最中に公表することはありませんが、この件に関する不正確な記事が公開されていることから、今回の回答はやむを得ないと考えています。

MobiBurnは、2019年11月に初めてFacebookからこの件に関連して停止命令を受けました。それ以来、同社はFacebookのユーザーデータが不正アクセスや誤用の対象になっていないこと、あるいは不適切に取り扱われていないことを示すために、Facebookに協力しようとしてきました。特にMobiBurnは、本件で被告が開発・公開したアプリにはいずれもFacebookログイン機能が組み込まれていなかったため、技術的にFacebookユーザーデータを収集することができなかったことを説明しようとしてきました。

MobiBurnとほかの被告は、Facebookのプライバシーに関する懸念を尊重しており、その懸念を取り除くために英国の裁判所に約束をする用意があります。現在MobiburnはFacebookが要求した監査に協力することを拒否したと報道されていますが、これらの報道は正確ではありません。被告の提案により、Facebookは第三者のサイバーセキュリティ会社を被告の費用負担で指名し、彼らの活動データの分析・解析を行うことができた。被告は、そのような監査に従う意思があります。

我々は今回の提案が受け入れられなかったことを残念に思っており、やむを得ず弁護団にFacebookの主張に対する回答を準備するよう指示しました。しかし引き続き、Mobiburnおよびほかの被告は、この不必要な紛争を友好的に解決するために努力していきます。

画像クレジット:Adam Berry / Getty Images

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(翻訳:TechCrunch Japan)

アップルがiOS 14導入予定の広告トラッキング規制にFacebookは不満を表明

アップルが、現在公開ベータテスト中の次期オペレーティングシステムであるiOS 14は「Facebook(フェイスブック)の広告ネットワークを頼りにしているパブリッシャーに多大な影響を及ぼす」とFacebookは主張している。

Facebookは米国時間8月27日、アップルがWWCDで発表したプライバシー規約の大幅な変更が与える影響について、Audience NetworkFacebook for Businessのブログ記事で概要を説明した。具体的には、ターゲット広告に使用するIDFA(広告識別子)をアプリ開発者に公開したいか否かを、アップルからユーザーに明示的に問うというものだ。

これに対してFacebookは、同社のアプリでは当該データは収集していないがパブリッシャーが自社サイトやアプリでターゲット広告を行う際にFacebookデータが利用できるFacebook Audience Network(オーディエンスネットワーク)(未訳記事)に与える影響は大きいと指摘している。

「iOS 14上のすべての広告ネットワークと同じく、Audience Networkにおいても広告主の正確なターゲティングと広告キャンペーンの効果測定の能力に影響がおよび、その煽りを受けたパブリッシャーは自身の能力を効果的に収益化する力を低下させます」とFacebookは話している。「結果として、私たちの最善の努力にもかかわらず、アップルの変更によりiOS 14におけるAudience Networkの利点は損なわれ、iOS 14上での展開は難しくなります」。

事実、ターゲティングとパーソナライズを禁止したテストの結果、モバイルアプリのインストールキャンペーンによるパブリッシャーの収益は50%減少することが判明しており、「iOS 14でのオーディエンスネットワークの場合はさらに深刻」だと警告している。

その深刻さがどれほどのものなのか、私はアドテク業界のいくつかの企業や投資家に話を聞いてみた。調査会社のApp Annieの分析部門ゼネラルマネージャーを務めるRon Thomas(ロン・トーマス)氏は、これを「IDFAが完全に消滅し、このIDFA後の世界のアトリビューション(メディアごとのコンバージョン貢献度を計測すること)が変化することへの最大手パブリッシャーからの謝辞」と表現している。

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モバイル広告のアトリビューション企業であるAppsFlyerの社長兼ゼネラルマネージャーのBrian Quinn(ブライアン・クイン)氏は、Facebookの発表は「市場への明解なメッセージ」だと話す。

「主要な収入源としてのFacebook Audience Networkを失う可能性は、中小のパブリッシャーや開発者のコミュニティーを世界的な規模で破壊する恐れがあります。これは反対に、日常生活をナビゲートしてくれるアプリの価値を認め、利用している世界中のユーザーに影響を与えます」とクイン氏は私に電子メールで伝えた。「ユーザーに合った広告を提示する能力と、そしてアトリビューションを通じて効率性を提供することは、パブリッシャーと開発者がアプリとユーザーが好む質の高いコンテンツを軸に事業を継続させるためには不可欠なのです」。

さらに同氏は「ユーザーには自身のデータの管理能力を与えつつ、プライバシーを重視したアトリビューション・ソリューションを通して開発者に透明性を提供することは可能です」と提案した。

それに対して、この問題だけを切り取るFacebookのやり方に懐疑的な人たちもいる。例えば、著名なガジェット評論家であるWalt Mossberg(ウォルト・モスバーグ)氏はTwitter投稿で、今後「Facebookやプライバシー窃盗産業である有害なアドテク業界のリーダーたちからの、この問題への不平」をもっと聞くようになると指摘。さらにiOSの変更はすべて、パブリッシャーを虐めるためではなく「消費者に明確な選択肢を与える」ためのものだと話した。

New York TimesやCondé Nast(コンデナスト)などのパブリッシャーを代表する事業者団体であるDigital Content Next(デジタル・コンテント・ネクスト)のJason Kint(ジェイソン・キント)氏は、Facebookは「パブリッシャーの利益を代弁するメッセンジャーを装っている」とTwitterで非難し、同社はAudience Networkのパブリッシャーを利用して、広範なデータ収集業務から目を逸らさせようとしていると指摘した。

「Facebookのデータ収集の大半は同社のサービスの中で行われ、最終的には本体を肥やしている」とキント氏はツイートしていた。同時に同氏とその団体は、アップルがエコシステムを支配する懸念(Wall Street Journal記事)も示している。

Facebookは今回に限らず、この数週間で何度もアップルを批判している。今月の初め、Facebookは有料オンラインイベントの開催を可能にする発表を行ったが、アップルが30%の手数料を免除しないと不満を漏らしている。いずれの場合も、Facebookの口調はずっと穏やかだった。しかし、決まり文句の羅列である企業PRとなると、あからさまなアップルへの敵意が顕著に感じられる。

報道関係に送られた電子メールで、ベンチャー投資企業NFXのJames Currier(ジェームズ・カリアー)氏は、この衝突は歴史の繰り返しの兆候だと示唆した。

2009年、Facebookプラットフォームがスタートした当初、誰もがFacebook上でアプリを制作して、大人気を獲得して、何百万人ものフォロワーを集めることができました。しかし、Facebookは徐々にすべての人気チャンネルを閉鎖してゆき、そこに広告サーバーを挟み込みました。つまり、アプリ開発者はトラフィックを確保するために金を払わなければならなくなったのです。Facebookは、アプリ開発者から徴収できる限りの金を抜き取りました。同じようにFacebookも、iOSプラットフォームのオープン当初、iOSアプリとして大量のユーザーを獲得していました。現在、アップルは、自身の利益のために、徐々に酸素を抜こうとしています。これはジャングルの掟です。このネットワーク効果は、誰が権力を握っているかをじつに明確に示しています。iOSです。

マーケティングとメディアに特化したベンチャー投資企業であるMathCapitalのEric Franchi(エリック・フランチー)氏はプライバシーと広告トラッキングを取り巻く状況の変化について「Facebook、アップル、Audience Networkのパブリッシャーだけでなく、スタートアップにも新たなチャンスをもたらす」と指摘する。ちなみにそのスタートアップには同氏が支援するzeotopとID5も含まれる。

「Facebookの主張は、マーケティングエコシステムがひと握りのオペレーティングシステムとプラットフォームに依存していること、デジタルマーケティングを成立させるためのユーザー識別が重要であることを強調しています」とフランチー氏はコメントしている。「我々は、今こそ、新しい形の同意主導型識別ソリューション構築のチャンスだと考えています」と同氏は続けた。

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(翻訳:金井哲夫)

抗議集会で銃撃犯が2人を殺害後、Facebookは「Kenosha Guard」のアカウントを削除

Facebookは米国時間8月25日、ウィスコンシン州ケノーシャで起きた黒人殺害事件のあと、地元の自称自警団のページと関連イベントを削除した。

17歳のKyle Rittenhouseと(カイル・リッテンハウス)容疑者と思われる男性が、黒人のJacob Blakes(ジェイコブ・ブレイクス)氏を撃った警官に抗議している集団に対して銃撃を始めたとされ、そのとき2人が殺されもう1人が負傷した。ブレイクス氏は警官たちから離れて自分の車に向かおうとしていたときに背中を撃たれた。リッテンハウス容疑者はイリノイ州アンティオクで米国時間8月26日に逮捕され、第一級意図的殺人で告発された。

その夜に公開された一連のビデオでは、抗議集会で警官たちが銃を携行している男たちの集団と有人のように会話し、水のボトルまで与えて彼らの存在に感謝している。リッテンハウス容疑者は抗議集会に集まったその武装集団のメンバーと思われ、彼らは人々の財産を守るために来ていると主張していた。デモの参加者に対抗するその武装集団がどのように組織化され、他のどの集団と関係があるのかについては、まだ報道されていない。

その晩の事件の前には、Kenosha Guard(ケノーシャ自警団)と名乗るFacebookアカウントが「生命と財産を守るために武装した市民」が集まるイベントを発表した。地元紙のMilwaukee Journal Sentinelによると、今は削除されているそのアカウントは「今夜、武装して悪質な凶徒から当市を守る意思のある愛国者」たちの結集を呼びかけていた。

The Vergeによると、2人の別々のFacebookユーザーが銃撃の始まる前にKenosha Guardのアカウントを報告したが、いずれに対してもFacebookは、そのイベントとアカウントは同社のポリシーに違反していないと判定した。

TechCrunch宛ての声明でFacebookは「その集団とイベントページおよび銃撃容疑者のFacebookとInstagramのアカウントを削除した」と説明した。リッテンハウス容疑者自身のアカウントとKenosha Guardのページとの結びつきは同社には見つけられなかった。

「現時点で我々は、銃撃犯がKenosha Guard Pageをフォローしていたとか、彼らが組織したイベントページに招待されていたとする証拠をFacebook上に見出していない」とFacebookのスポークスパーソンは語った。

「しかしながらKenosha Guard Pageと彼らのイベントページは、民兵組織に対するFacebookの新しいポリシーに違反しているので、そのことに基づき削除された」とのこと。

Facebookは現在、銃撃を擁護するコンテンツをFacebook上で監視しており、深刻な暴力の教唆に関する同社の基準に合致するものはすべて削除するつもりだ。

関連記事:Facebook bans ‘violent network’ of far-right boogaloo accounts(未訳)

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

FacebookがMessenger Roomsを改良しZoomに対抗

Facebook(フェイスブック)のZoom(ズーム)に対抗するソーシャルアプリであるMessenger Rooms(メッセンジャー・ルームズ)が、ルームの作成と発見を簡単にするとともに、Rooms体験をパーソナライズするための新機能を追加した。この改良は、Messengerが米国App Storeのランキングで常連だったトップ10からわずかに後退したことに続いて行われた。先週Messengerは最低で15位まで順位を下げたと、モバイルデータ分析会社のApp Annieは報じている。

その後Messengerはトップ10に返り咲いた。しかし、米国でバーチャル登校が始まり、子どもたちかZoomやGoogle Meet(グーグル・ミート)などの競合アプリに慣れ親しみ、放課後のおしゃべりにも使うようになることで、Messengerの利用が減少することが予想される。ちなみにGoogle Meetは、一部の学校が始まった8月中すでに15位に上昇している。そしてZoomは、米国App Storeのナンバーワンだ。

Messenger Roomsの新バージョンでは、招待を受けているルームが受信箱のチャット・タブの先頭に表示され、見つけやすくなっている。作った部屋を見つけやすくする機能もあり、チャットタブの前面中央におくことができる。

Roomsの管理方法も変わる。ルームを作る際に、デフォルトかおすすめかカスタムアクティビティーかを選ぶことができるほか、開始日時を設定したり、参加者の種別をカスタマイズできるようになる、とFacebookは言っている。Manage Rooms機能を使うと、作ったルームの確認、開始、編集、削除をしたり、既存のルームに追加で参加者を招待できる。

Share Roomsオプションを使うと、友だちに通知を送って招待されていることをリマインドすることもできる。

画像クレジット:Facebook


パーソナライズ面では、自分自身のRooms体験をカスタマイズする新機能の追加が始まった。ルームの背景は、これまでにも提供されていた360度背景やムードライティング・フィルターに加えて、自分の写真を使えるようになった。

偶然ではなく、RoomsのライバルであるHouseparty(ハウスパーティー)も最近、独自のパーソナライズ機能であるFramesを公開した。Framesはビデオチャットで使える独立アーティストがデザインした背景のオリジナルコレクションだ。

FacebookがMessenger Roomsを全世界で公開したのは今年の5月で、新型コロナウイルス・パンデミックの中で急速に普及したビデオ・コミュニケーションの世界に、ソーシャルなビデオチャット体験を提供することを目的としていた。世界的健康危機がMessengersのライバルの急増を招き、今も米国アプリストアのトップにいるZoom だけでなく、ソーシャル・ビデオ・アプリのHouseparty、Farm、Bunchなど多数が出現した。Z世代のユーザーもFacebook以外の空間での交流が増え、TikTok(ティクトック)を始め、ゲーミング・プラットフォームのRobloxやFortniteまでがライバルになっている。これは、Messengerがトップ・モバイルアプリの地位を維持する礎であったFacebookとのつながりによるネットワーク効果が失われる可能性を意味している。

こうした懸念には会社も気づいているようだ。今月Facebookは、InstagramとMessengerのチャットシステム統合を開始して、Messengerのトップアプリとしての地位確保を後押ししようとしている。

画像クレジット:Facebook

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Facebookが社内のAR/VR組織を刷新、Oculusの名は消える運命か

Facebook(フェイスブック)がOculus(オキュラス)ブランドからさらに離れようとしている。同社は、拡張現実と仮想現実について研究開発する社内の組織名を「Facebook Reality Labs」に変更することを明らかにした。これは、同社のAR/VR製品である、Oculus、Spark、Portalの各ブランドでカバーする組織となる。

同社のAR/VR研究部門は、2018年にOculus ResearchからFacebook Reality Labsへと名称を変更していた。その部門は現在、FRL Researchとして知られている。さらにFacebookは、同社が毎年開催しているVR開発者向けカンファレンスである「Oculus Connect」を「Facebook Connect」に名称変更し、今年は9月16日に完全にバーチャルで開催することを発表している。

OculusはFacebook内で、InstagramやWhatsAppのような注目を集める買収とはまったく異なる存在だった。独立した組織ではなくなり、社内の中核に深く組み込まれている。AR/VRの組織全体はCEOであるMark Zuckerberg(マーク・ザッカーバーグ)氏の親友でもあるAndrew Bosworth(アンドリュー・ボスワース)氏が長年CEOを務めている。

アンドリュー・ボスワース氏

今回の名前の変更はある意味、2014年のOculusの買収以来、AR/VRの世界におけるFacebookの製品の野望が大きくなったことを示しているに過ぎない。

FacebookはもはやVRヘッドセットだけではなく、拡張現実メガネも開発しているし、Spark ARを通じてコアアプリやInstagramにARソフトウェアを統合も進めている。さらにスマートディスプレイでのFacebook PortalでAR系の機能を試している。

数年前に数十億ドルを費やし、すでにいくつかの製品を持つ部門の最後に「ラボ」という言葉を加えることは、Facebookがそこに含まれるすべてのものが、「かなり実験的」「Facebookの収益にそれほど貢献していない」ということを示しているように感じられる。これらは将来のFacebookのムーンショット(壮大な目標や挑戦を意味する言葉)になりそうだ。

今回の一連の名称変更は、おそらく一部のOculusユーザーを動揺させるだろう。Facebookの評判は、PCゲーマーの間で特に強い影響力を持っており、一部のOculusファンはOculusブランドがFacebookの中核組織の下に入ってくることを示すどんなニュースにも概して不満を抱いている。先週同社は、Oculusヘッドセットの新規ユーザーはFacebookアカウントを使って同プラットフォームにサインインする必要があり、今後はOculusアカウントを段階的に廃止すると発表している。

現時点では、OculusはまだFacebookが販売するVRヘッドセットのブランド名であり、同社はOculusブランドを手放すことはないと主張しているが、同社の方向性としては将来的にはFacebookブランドに統合するつもりのようだ。

画像クレジット:Facebook

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(翻訳:TechCrunch Japan)

Facebookがタイ君主制に批判的なページへのアクセス制限強要に法的措置で対抗

Facebook(フェイスブック)はタイの君主制に批判的な内容の投稿を行った人気のグループのページへのアクセスを制限したが、同社は不法なものとしてコンテンツを制限することを強制されたとしてタイ政府に対して法的措置を取る構えだ。

米国時間8月24日にRoyalist Marketplaceへのアクセスがタイ国内で遮断されているとロイターは報じた。Royalist Marketplaceはメンバー100万人超を抱えるが、タイ国内から同グループのFacebookページにアクセスしようとすると、アクセスは「デジタル経済社会相からの要請によりタイ国内では制限されている」とのメッセージが表示される。

TechCrunchに電子メールで送られてきた発表文の中で、フェイスブックの広報担当は「注意深くレビューを行い、当社はタイ政府が不法だと考えているコンテンツへのアクセス制限を強制されたとの結論に至った。今回のような要請は著しい国際人権法侵害であり、表現の自由に萎縮効果を及ぼす。当社は全インターネットユーザーの権利を守るために働いており、今回の要請に対し法的措置を準備している」。

広報担当はまた「今回のような政府の過度な行為は、オフィスの維持や従業員の保護、フェイスブックに頼っている事業者の直接的なサポートを含め、タイにおける当社の投資活動を阻害するものだ」と付け加えた。

Royalist MarketplaceはPavin Chachavalpongpun(パビン・チャチャバルポンプン)氏が2020年4月に立ち上げたグループだ。パビン氏は反体制として日本に亡命し、現在は京都大学の東南アジア研究センターで准教授を務めている。

同氏はロイターに対し、Royalist Marketplaceは「民主化プロセスの一部であり、表現の自由のためのスペースだ。これ(アクセスの制限)を行うことでフェイスブックは権威主義の体制に協力して民主化を阻害し、タイに独裁主義を根づかせている」と語った。

Royalist Marketplaceの地域限定の制限は、バンコクで何千もの抗議者(Yahoo! News記事)が厳格な不敬罪法(BBC NEWS記事)などを含む君主制の改革を要求したことを受けてのものだ。不敬罪では、君主一族の名誉や尊厳を害した者は最高15年の禁固刑を受ける。

パビン氏はタイの君主制を大っぴらに批判してきた。2020年8月初めに国際関係機関のウェブサイトで公開された文書(CFR投稿)の中で、同氏は「何十年もの間、タイの立憲君主制はたびたび憲法規範と規則が定めるもの以上の力を誇示してきた」と書き、現在の国王であるMaha Vajiralongkorn(マハー・ワチラロンコーン)氏が軍部と近しい関係を築いて政治に干渉しているとも指摘した。

2014年にニューヨークタイムズ紙に寄せたオピニオンで、パビン氏は民主的に選ばれたYingluck Shinawatra(インラック・シナワトラ)政権を同年に転覆させた軍事政権によって、自身に対して逮捕状が出ていることを明らかにした。パビン氏はまた、京都にあるアパートで侵入者に襲われた。この事件について同氏は「考えを引き続き表明するという私の立場に対する警告だった」と確信している。

タイユーザーのRoyalist Marketplaceへのアクセス制限の3週間前には、タイのデジタル経済社会相のPuttipong Punnakanta(プティポン・プンナガン)氏が、政府のコンテンツ制限要求に素早く応じていないとしてフェイスブックに対して措置を取ると脅していた(REUTER記事)。

2016年にタイはコンピューター関連犯罪法を制定した。この法律については、人権NGOのヒューマン・ライツ・ウォッチが「言論の自由を制限し、監視や検閲を可能にし、活動家に報復する過度な力を政府に与える」と警告している(Human Rights Watch投稿)。

フェイスブックはまた、同社にとって最大のマーケットであるインドでも厳しい調査の対象となっている。インドで公共政策の責任者を務める同社のAnkhi Das(アンキ・ダス)氏がヘイトスピーチ規則をNarendra Modi(ナレンドラ・モディ)首相率いる党のメンバーに適用することに反対した、とThe Wall Street Journalは報道している。

関連記事:インドのFacebook幹部がジャーナリストの投稿を批判し刑事告訴

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(翻訳:Mizoguchi

フェイスブックがフランスで132億円超の追徴税を支払う

Facebook France(フェイスブック・フランス)は追徴課税約1億2500億ドル(約132億円)を支払う見込みだ。フランスのビジネス誌であるCapitalが最初に報じている。フランス税務当局は2012年にパリのフェイスブック事業所の強制捜査を行い、その後2009年から2018年にわたる未払い税の捜査を開始した(L’Express記事)。

「今年我々は2009年から2018年について税務当局と和解に達し、1億600万ユーロ(約132億円)を支払うことに合意した。我々は納税義務を真摯に受け止めおり、全世界の税務当局と密接に連携し、フランス税務当局との例と同様、あらゆる税法に則り問題を解決することを確約する」とフェイスブックの広報担当者はTechCrunchに語った。

捜査によると、フェイスブックは売上を欧州他国の子会社に付け替えることによって、フランスでの実効税率を最適化しようとした疑いを持たれている。

これはグレイゾーンだ。なぜなら売上を他国に移すことは合法だからだ。しかしフランスに拠点を持ってフランスの顧客に販売する販売員が1人もいないことを証明する必要がある。そうでない契約はフランスでの契約として再区分される。

多くのテック企業が同じ問題でフランスに追徴課税を支払わなくてはならなかった。例えばGoogle(グーグル)は2019年に5億4900万ドル(約581億円)の罰金と5億1000万ドル(約540億円)の追徴課税を支払うことに合意した。同様にApple(アップル)も、5億7200万ドル(約607億円)の追徴課税支払いに合意した

これはフランス当局の新しい戦略だ。企業は税務当局と直接和解することで、公での戦いを避けることができる。そうすることで大衆の反発を軽減し、手続きを迅速化できる。2018年にAmazon(アマゾン)(未訳記事)は、和解した最初の企業となった。

「我々は事業を営むすべての市場で支払うべき税金を納めている。2018年以降、当社は販売構造を変更し、フランスにいるチームが取り扱う広告主による収益はこの国で計上している。2020年に当社はフランスで846万ユーロ(約11億円)の税金を納めており、これは2019年より50%近く多い」とフェイスブックの広報担当者はTechCrunchに語った。

さらに注目すべきなのは、同社のフランスでの売上が2017年の5600万ユーロ(約70億円)から2018年には3億8900万ユーロ(約486億円)へと急増したことであり、1年間に600%近く売り上げを伸ばした。

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タグ:Facebook フランス

画像クレジット:Peter Foley/Bloomberg/ Getty Images

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

米ベストセラー作家が5Gと新型コロナの陰謀論がはびこる理由を解き明かす

米国時間8月20日早く、Facebook(フェイスブック)は、数百のQAnon(キューアノン)関連グループを削除したことを発表した。さらに多くのグループ、数百のページ、1万件のInstagram(インスタグラム)アカウントにも制限を加えたと話している。

The New York Timesが伝えているように、結成4年目になるQAnonは、かつては取るに足らない動きであったが、たとえば世界はドナルド・トランプの失脚を企てる小児性愛者に支配されていているとか、5Gモバイルネットワークが新型コロナウイルスを広めているとか、明らかに眉唾な、多岐にわたる陰謀論を振りまいているにも関わらず、この数カ月間に社会の本流に現れるようになった(The New York Times記事)。

なぜ、こんなことが起きるのだろうか?我々は今週たまたま、プロポーカープレイヤーからベストセラー作家に転身したことでも有名なAnnie Duke(アニー・デューク)氏(Newyorker記事)に話を聞く機会があったので、人々はこれまでになく陰謀論に感化されやすくなってしまったのか、そうだとしたらその理由は何かを聞いてみた。デューク氏は現在、著書「How to Decide: Simple Tools for Making Better Choices」(いかに決断するか:よりよい選択のための簡単なツール)を間もなく出版するなど、決定理論を教える学者でもある。

同氏の話がとても興味深かったので、ぜひ読者に伝えるべきだと考えた。ここで紹介する以外にも、デューク氏の新著について、またそれが起業家や投資家にどのように役に立つかについて、長く語った内容を、いずれまとめて紹介しようと思うので、お楽しみに。

私たちの脳は無作為性を好みません。私たち人類は、無作為な類のものの原因や結果を常に導き出そうとします。それでも気に入らず、点と点をつないで、存在するはずのない因果関係を作り上げるのです。

陰謀論を信じることと、知性とは関係がありません。物事の道理を理解すれば結果を左右できるという幻想を求める強い気持ちに対して、「そんなこともあるさ、ときとして人生とは無作為なもので、何をやるにも運が大きく関わってくる」と言い切ってしまえれば楽だという気持ちに基づく、まったくの別物なのです。

「新型コロナが流行して人々が死に、自分は家に閉じ込められるといった無作為なことは、いつでも起こり得る」とわかっていても、自分の人生に対する(自分の支配する)力の程度が示唆されてしまうため、すべては運任せだとは思いたくない。私たちの物の考え方は、大変に決定的です……。そのため、常に物事を結び付けることで、決定と結果と物事が、実際よりもずっと決定的に感じられるようにしているのです。

私たちはまた、そこにパターンなど存在していなくても、自然のパターンを見いだすことができます。それだからこそ、私たちは「前にあの平原へ行ったとき、ライオンがたくさんいた(だから安全のためにもう行くべきではない)」とある程度予測できるのです。世界は見た目とは異なること、そして私たちが常に世界に何かを押しつけていることを理解するのは困難なのです。

【編集部注】ここでデューク氏は、動いているように見えて実際には静止している2つの立方体による目の錯覚について話した

私が見たなかでもっとも強烈な錯視。反対方向に回転しているように見える2つの立方体は、じつはまったく動いていない。

立方体は確かに動いていると思えてしまうため、本当のことを知っているという確証が揺らぎます。そこで(ひとつの解決策は)、真実を知っていると自信過剰にならないことです。真実がそれ自身を私たちに押しつけてくるのに対抗して、自分が自分の真実を世界に押しつけているのだと自覚することです。

陰謀論は最近始まったのものではありませんが、いずれにせよ、長い間留まるものです。現在の最大の問題は、いとも簡単にそれが増幅されてしまうことです。

あることが真実か否かを見極める際に、私たちに備わっている発見的手法は、処理の流暢性です。つまり、そのメッセージをどれだけ簡単に理解できるかです。あることを何度も繰り返し聞かされると信ぴょう性が高まると、Stephen Colbert(スティーブン・コルベア)は言っています。写真を加えると……。例えばばキリンは世界で唯一ジャンプできない動物だと私が話すときに、キリンの写真を添えてやれば信ぴょう性が高まります。

それが、ソーシャルメディアのどこに利用されているかがわかるでしょう。陰謀論と反復。それが、真実かフィクションかの見分けづらくしているのです。

近々、デューク氏からは、なぜ会議がいつも間違った方向に進むのか、なぜ物事が正しい方向に進むときのことを十分に研究せずに損失にばかりこだわるのかなど、もっといろいろな話を聞く予定だ。

画像クレジット:JAE C. HONG / AP

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(翻訳:金井哲夫)

Facebookのスマートディスプレイ「Portal」がZoom搭載

Facebook(フェイスブック)のスマートディスプレイ、Portal(ポータル)は2018年に順調とはいえないスタートを切った。Facebookの管理するカメラをユーザーの居住空間にもちこむためには、プライバシー面で解決すべき問題が山ほどあることに当然会社は気づいていた。その後Facebookは、Portalのプライバシーとセキュリティー・ファーストを強調してきた。

そして最近同社は、友達や家族向けだけから、リモート会議へと手を広げ始めた。リモートワークが多くの会社で当たり前になり、これからもしばらく続きそうな今、鉄は熱いうちに打つは当然だ。

PortalでのビジネスをテーマにしたWorkplace(ワークプレース)の発表に続き、今日(米国時間8月19日)午前Facebookは、このスマートディスプレイにテレカンファレンス会社のトップ4からBlueJeans(現在はTechCrunchお親会社であるVerizon[ベライゾン]の一部)、GotoMeeting(ゴートゥーミーティング)、WebEx(ウェブエックス)、およびZoom(ズーム)のアプリが提供されることを発表した。Facebookは4つのアプリがこの日には提供されず、9月中に、Portal Mini、標準のPortal、およびPortal+向けに提供される。

Zoomにとっては特別な日になった。人気のリモート会議サービスは独自に発表を行い、Portalだけでなく、AmazonのEcho ShowとGoogleのNest Hub Maxにも “Zoom for Home” を提供することを公表した。ホーム・スマートスクリーンのハットトリックだ。Portal以外のプラットフォームには年末までにZoomがやってくる。

もちろん狙いは明確だ。Zoomは独自の テレビ会議家電を提供しているが、Y Combinator出身のSidekickなどのサードパーティー・ハードウェアメーカーも同様だ。専用ハードウェアによるソリューションで特に興味深いのは、「常時オン」のアプローチであり、実際の職場をよりよく模倣している。つまるところこの手のデバイスにとって重要なのは、ニューノーマルに合わせるか、少なくとも前進しているように見せることだ。

Facebookは、自社のデバイスを職場環境に合わせる方法をいろいろと研究しているところだと言っている。たとえば背景のカスタマイズやボカシを行う機能はWorkplaceに追加されるほかWebExやほかのアプリでも対応する。リビングでテレビ会議をやったことのある人なら、どれほどこの機能に救われるかわかるだろう。

もうひとつ興味深いのは、各社がこの種のデバイスの一括購入を企業向けに提供する計画があるかどうかだ。Facebookは現時点でその点に関して発表すべきことはないと言っているが、従来型のテレビ会議製品と
競争しようとしているなら、遠くない将来そういったしくみを提供することになっても驚きではない。その価値は企業がどれだけFacebook/Google/Amazonに信頼を置くつもりかによって当然変わってくる。

しかしパンデミックのいらいらが募るなか、遠方の社員を常時つないでおく方法として、この種のデバイスの魅力は増すばかりだ。

画像クレジット:Facebook

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

インドのFacebook幹部がジャーナリストの投稿を批判し刑事告訴

インドのFacebook(フェイスブック)の経営幹部であるAnkhi Das(アンキ・ダス)氏は、Facebookの公開投稿で彼女の名誉を傷つけようとし、「性的偏見による発言」をしたとして一人のジャーナリストを刑事告訴した。

そのジャーナリスト、Awesh Tiwari(アウェッシュ・ティワリ)氏のFacebook投稿は、ヒンディー語(インドでもっとも広く使われている言語)で書かれているが、見たところ新しいウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)の記事の要約に過ぎない。それは、一部の投稿に対してFacebookのヘイトスピーチに関する規約を適用しないダス氏の施行方針を批判した内容だ。

WSJは先週、インドのFacebookで公益担当の最高幹部を務めるダス氏が、同社のヘイトスピーチに関する規約を、インド首相ナレンドラ・モディ氏が所属するインド人民党の党員による投稿への適用を拒んでいると伝えた。

その記事によれば、インド人民党の少なくとも3人または3組以上の個人とグループが、「暴力を奨励し参加した」ことで内部規約に違反したという。ダス氏はそれらの投稿について、モディ首相の党所属議員に罰則を与えては、この国でのFacebookの事業展望に支障をきたすと話していたと、現在と過去の従業員の証言を元に、同記事は書いている。

この記事は、モディ首相のインド国民党と野党のインド国民会議の両方の政治家も交え、ソーシャルメディア上で議論を巻き起こした。互いに批判し合い、Facebookの政治的な偏りも攻撃された(未訳記事)。一部のユーザーは、Twitter(ツイッター)やFacebookにダス氏の判断を批判する投稿をしている。

米国時間8月17日、ダス氏はデリー警察サイバー部隊と共同で、例の記事を投稿したジャーナリストのティワリ氏を含む数人のユーザーを刑事告訴した。ダス氏によれば、その記事は彼女を中傷し脅迫し、さらに性的な偏見に基づく主張を行ったとのことだ。

ただ、ティワリ氏の件に関しては、彼の投稿は単にWSJの記事の要約であり、そこに、すでに公開情報となっているダス氏の経歴の一部を書き加えてあるに過ぎない。

ティワリ氏は、インドの報道機関Newslaundry(ニューズローンドリー)の記事で、Facebookの当該幹部による告訴は、Facebookでの言論の自由を抑圧するものだと話している。

現地の法律に従えば、ティワリ氏とその他の対象者たちは、起訴されて有罪が確定した場合、性的いやがらせで罰金刑と最高2年の懲役刑、名誉毀損で最高2年、犯罪的脅迫で最高7年の懲役刑に処せられる。

ジャーナリスト保護委員会は米国時間8月19日、ティワリ氏の告訴を取り下げ、彼女の批判する市民の権利を尊重するように呼びかけた(CPJリリース)。同委員会との対話の中で、ティワリ氏は、ダス氏による告訴で彼の名前が知れ渡って以来、告訴、肉体的危害、監禁などで脅迫する電話が、知らない人間から11本もかかってきたと訴えている。

公に言論の自由を約束している企業であるFacebookにコメントを求めたが、すぐには応じてくれていない。

米国時間8月19日のロイターの記事では、アンキ・ダス氏が擁護し、自身もシェアしているインド国民党の所属議員による「イスラム教徒への偏見」を含む投稿を告発するよう求める書簡を、数人の従業員が書いたと伝えてられている。

インドのFacebookのトップAjit Mohan(アジット・モハン)氏は、政治家との癒着がインドでの意思決定に影響を与えているというWSJの記事の主張は「不正確であり何ら有用性がない」と従業員に向の内部投稿で伝えたとロイターの記事は報じている。

Facebookは、WSJの記事でなされた主張に対して、いまだ否定できる証拠を示しておらず、各報道機関への反論も一切行なっていない。公的な声明でFacebookは、「施行は進んでおり、的的な監査も行なっている」と述べている。
画像クレジット:MANJUNATH KIRAN / AFP / Getty Images

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(翻訳:金井哲夫)

EUのウェブサイトにおけるGoogleアナリティクスとFacebook Connectの使用禁止を求め集団訴訟が発生

欧州のプライバシーキャンペーングループであるnoybは、欧州連合司法裁判所(CJEU、EU最高裁)が「EUと米国の間の主要データの転送協定を安全ではない」として却下してから1カ月後、GoogleアナリティクスおよびFacebook Connectを介して米国にデータを送信していることを特定した101サイトのウェブサイト運営者を対象に訴えを起こした。

訴状に記載されているのは、Eコマース企業、出版社、放送局、通信事業者、ISP、銀行、大学などだ。具体的には、Airbnb Ireland、Allied Irish Banks、Danske Bank、Fastweb、MTV Internet、Sky Deutschland、Takeaway.com、Tele2などが含まれている。

noybはウェブサイト上で「EUの主要ウェブページのHTMLソースコードを分析すると、多くの企業がEU最高裁による重要な判決から1カ月が経過した今でも、GoogleアナリティクスやFacebook Connectを使用していることがわかります。これらのツールは米国の外国情報監視法であるFISA 702などに明確に該当するものです」(noybプレスリリース)と記載している。

「両社は、データ転送についての法的根拠を持っていないようだ。グーグルは『Privacy Shield』(EU-US Privacy Shield、EUと米国間で商用目的での個人データの交換を規制するためのフレームワーク)が無効になってから1カ月経ったいまでもPrivacy Shieldに頼っていると主張している。Facebook(フェイスブック)は米国の監視法がEUの基本的権利の本質に違反していると裁判所が認めたにもかかわらず『SCCs』(Standard Contractual Clauses、標準契約条項)を使い続けている」とある。

TechCrunchでは、EUと米国間でのデータ転送における両社の法的根拠について質問した。フェイスブックの広報担当者は「フェイスブックは個別のケースについてコメントしていない」と述べたが、米国時間8月17日に投稿されたの同社ブログ記事で「広告や計測製品のデータ転送メカニズムとしてPrivacy Shieldに依存している」ことを明らかにした。同社は「EU最高裁の判決を受けて、当社はこれらの製品のSCCへの移行を進めています。これを反映させるためにそれぞれの条件を更新し、より多くの情報を提供していきます」とコメントした。

プライバシー問題に詳しい人なら、noybの創設者であるMax Schrems(マックス・シュレムス)氏が、2015年にEUと米国のデータ協定であるSafe Harbor(米欧間の越境データ移転に関する二者間協定)の破棄(未訳記事)を実現した最初の訴訟の責任者だった(未訳記事)ことを知っているだろう。そして同氏の最新の訴状により、EUと米国間のPrivacy Shieldも却下された。同氏は実際にはフェイスブックによる別のデータ転送メカニズム(SCC)の利用をターゲットにしており、データ管理者であるアイルランドのDPC(Data Protection Commission、データ保護機関)に介入して同ツールの利用を停止するよう促している。

規制当局は裁判所に出廷することを選択したため、EU-US間のデータ転送協定の合法性に対する懸念が広がった。その結果、EU最高裁は欧州委員会が米国にいわゆる 「妥当性合意」 を与えるべきではなかったと判定し、Privacy Shield下での活動を禁止したわけだ。

この判決は、米国がEUユーザーの情報を処理するための特別な取り決めを持たないまま、データ保護の観点から「第三国」とみなされるようになったことを意味している。

さらにEU裁判所の判決では、EUのデータ監視機関はEUの人々のデータがSCCを介して第三国に転送されることにリスクがあると疑われる場合、介入する責任があることも明確になっている。

欧州のデータ監視当局は、違法となったPrivacy Shieldにいまだに依存している企業には猶予期間がないことを速やかに警告(未訳記事)した。

この件に関連するnoybの最新の訴えは「前述の101サイトのいずれも、各サイトに埋め込まれたGoogleアナリティクスやFacebook Connectを通じてウェブサイト訪問者のデータを米国に転送し続ける有効な法的根拠を持っていない」というものだ。

シュレムス氏は声明で「我々は、各EU加盟国の主要なウェブサイトのフェイスブックとグーグルのコードを検索しました。これらのコードスニペットは、各訪問者のデータをグーグルやフェイスブックに転送しています。両社とも、処理のためにヨーロッパに住む人々のデータを米国に転送していることを認めています。そして、これらの企業には、NSA(米国家安全保障局)のような米国政府機関がデータを利用できるようにする法的義務も負っています。GoogleアナリティクスもFacebook Connectもウェブサイト運営に必要不可欠なツールではありまえん。しかし、両ツールは置き換えられるか、少なくとも無効化できるサービスでもなかった」と述べている。

EU最高裁のいわゆる「Schrems II」裁定以来、実際にはセーフハーバー協定が頓挫して以来、米商務省と欧州委員会は難局に直面している。無効になったPrivacy Shieldを置き換えるために、新たなデータ協定をまとめなければならない(未訳記事)のだ。

しかし、米国の監視法の抜本的な改革がなければ、米国の国家安全保障上の優先事項とEUのプライバシー権との法的な対立を議論するそれぞれの議員による3回目の発議も、同様に失敗する運命にある。

この件に関する高等テクニックとして「データの流れを維持して『通常通りのビジネス』を継続するために、実際には時間を稼ぐことを目的としているだけだ」と皮肉な見方をする人もいるかもしれない。

しかし、現在では、米国の監視法が存在しないかのように振る舞う戦略には、大きな法的リスクが伴う。

これもまたシュレムス氏の発言だが「フェイスブックとグーグルがEUの顧客にデータ責任について積極的に警告しない場合、法的責任の枠内に入る可能性があります」と先月のEU最高裁の判決について指摘している。「裁判所は、米国側のデータ受信者がこれらの集団監視法に該当する場合、SCCを使えないことを明確にしました。米国企業はまだEUの顧客にその逆の論理で説得しようとしているようですが、これは誤っています。SCCの下では、米国でのデータ受信者はEUからのデータ送信者にこれらの法律を通知・警告しなければなりません。これを怠ると、該当する米国企業は実際に金銭的な損害を被った場合に責任を負うことになります」と説明する。

noybのプレスリリースにもあるように、GDPRの罰則制度はEU側のデータ送信者と米国側の受信者の世界的な売上高の4%にもおよぶ可能性がある。

クラウドファンディングで資金を募ったnoybは、EUの規制当局に行動を起こすよう圧力をかけ続けることを約束し、EUのデータ処理業者に米国のデータ転送の取り決めを見直すよう求め、「EU最高裁による明確な判決に適応する」ことを要求している。

ほかのタイプの法的措置も、GDPRの枠組みを利用し始めている。今月初めにオラクルとセールスフォースのトラッキングCookie使用に対する2つの集団訴訟が起こった。この集団訴訟に資金が集まったことに注目だ。TechCrunchがGDPRが2018年に発効されたときに記事にした(未訳記事)ように、訴訟が現実のものになりつつある。

米国の監視法とGDPRでEU最高裁による明確な判決が存在することで、データ処理の面ではすべて問題ないかのように見せかけたいと考えている米国の大手IT企業の利益は減少しそうだ。

なおnoybは、EUの諸機関が迅速な法的秩序の下でデータ処理を行えるようにするためのガイドラインやなども無料で提供(noybプレスリリース)している。

シュレムス氏は最新の訴えについて「我々は、いくつかのことを再調整するために時間が必要であるのは理解していますが、一部の企業が単にEUの最高裁判所の判決を無視しているように見えることは容認できません」とコメントを付け加えた。「この無視しているという事実は、ルールを遵守している企業に対しても不公平です。我々は、GDPRに違反した管理者および処理者、そして休眠状態ともいえるアイルランドのDPCように裁判所の判決を執行しない規制当局に対して、徐々に措置を講じていくつもりです」と続けた。

TechCrunchでは、アイルランドに拠点を置く法人が運営している思われるウェブサイトを対象とした最新のnoybの訴えに対してどのような措置を取るかを尋ねるため、アイルランドのDPCに連絡を取った。

フェイスブックのSCCの使用に対するシュレム氏の2013年の最初の訴えもまた、アイルランドで起こされた。米国のテック企業大手は同国にEU本部を設置することが多い。同氏がDPCにフェイスブックのSCC使用停止を命じるよう求めた要求は、約7年が経過しているほか5件の苦情が出ているにもかかわらず、いまだに実現していない。フェイスブックやグーグルのようなテック大手に対する国境を越えたGDPRの訴えが増加していることを考えると、当局は依然として何もしていないという非難に直面している。

アイルランドのDPCは、これらの主要なGDPRの訴えに対して、いまだに最終的な決定を下していない。しかし、規制当局が怠ってきたことを問い正す集団訴訟が準備されていることからも、DPCとすべてのEU規制当局がGDPRに準拠することを求める法的圧力は高まるばかりだ。

今夏の初め、欧州委員会はGDPRの運用開始から2年間のレビューの中で、GDPRの施行が一様に「積極的」に行われていないことを認めた(未訳記事)。

「欧州データ保護委員会(EDPB)とデータ保護当局は、より首尾一貫した、より実践的なガイダンスを提供することで、真の意味で共通の欧州文化を創造するための作業を強化しなければならない」と欧州委員会の価値観・透明性担当副会長であるVěra Jourová(ヴィエラ・ジョウロヴァ)氏は述べ、GDPRが機能しているかどうかについて、欧州委員会として初めて公開評価を実施した。

TechCrunchは、フランスの個人情報規制当局であるCNILにも連絡を取り、noybの訴えを受けてどのような行動を取るのかを尋ねた。

7月の判決を受けて、フランス当局はEDPBとともに「正確な分析を行っている」(CNILプレスリリース)と述べ、「判決がEUから米国へのデータ転送におよぼす影響について、できるだけ早く結論を出す」ことを目指していると述べた。

その後、EDPBのガイダンスが発表された。明らかなのはPrivacy Shieldに基づくデータ転送は「違法である」こと。そして、EU最高裁の判決はSCCの使用を無効にするものではないが、その裁定は、使用を継続するための非常に適切な許可を与えたにすぎない。

Techcrunchが先月報告したように、SCCを使用してデータを米国に転送できるかどうかは、データ管理者が「米国の法律が転送されたデータの適切な保護レベルに影響を与えない」という法的保証を提供できるかどうかにかかっている(未訳記事)。

「SCCに基づいて個人データを移転できるかどうかは、移転の状況を考慮した評価の結果、および実施することができる補足的な措置に依存する」とEDPBは付け加えた。

画像クレジット:Artur Debat / Getty Images

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(翻訳:TechCrunch Japan)

AI応用のMRIは1/4の時間で従来と同等の結果を得られることが盲検法で判明

AI技術を応用したMRI検査が、従来の方法と同等以上の結果をもたらすことが放射線治療専門家による盲検法によってわかった。そのシステムは、通常の半分から1/4の時間で画質を損なうことなく良好なMRIスキャン結果を出すことが可能であり、待ち時間とそれにともなうコストを減らすことが期待できる。

FastMRIは2015年にNYU(ニューヨーク大学)で開始したプロジェクトで、今からちょうど2年前にFacebook AI Research(FAIR、フェイスブックAI研究所)との共同研究になった(未訳記事)。NYUの医療および画像処理の専門知識がFAIRのAI専門技術と合わさった結果、共同研究は大きな成果をあげた。

背景にある考え方は、実は単純だ。MRIの撮像には必要なデータ量や撮影する角度に応じて15分から1時間くらいかかる。これは患者にとって非常につらい時間であり、巨大でうるさい機械の中で身動きせずにいなければならない。もちろんこれは、1台の機械が1日にスキャンできる人数が限られ、コストも待ち時間も多いことを意味している。

関連記事:NYU and Facebook team up to supercharge MRI scans with AI(未訳記事)

FastMRIのチームは測定データの一部が本質的に冗長であり、よく訓練された機械学習システムならもっと少ないデータから情報を補完できるという理論を立てた。この場合の膝のMRIスキャンは非常に秩序正しく、多くの場合に予測が可能であり、かつAIが学習するためのデータが膨大に存在しているために実現できる。

過去2年間、チームは臨床放射線医師が従来のMRI画像と、AIがはるかに(約75%)少ないデータから生成した画像を比較することで研究を行った。どちらがどちらの画像かはもちろん知らされず、1カ月以上間隔があけれらた。

結果は極めて有望なものだった。

研究の結果、放射線医師の評価に有意な差は見られなかった。MRI画像が従来方式によるものかAI生成であるかによらず、医師は同じ異常や病変を見つけた。参加者全員が、AI利用のMRIの方が従来方式より全体的品質が高いと評価した。6人中5人の放射線医師が、どちらの画像がAIを使って生成されたものか正しく判別できなかった。

AI生成画像が全体的に通常画像よりも高く評価されたのは興味深いが、ただ1人の医師だけはどちらがどちらであるか、偶然以上の確率で指摘した。

「AI生成と従来型MRIとの間で『ノイズ』の量とタイプがわずかに異なることを、1人の放射線医師が認識した可能性がある」と論文の共著者の1人であるFAIRのLarry Zitnick(ラリー・ジトニック)氏が語った。私はAIがどうやって「より良い」画像を作るのか興味を持ったところ、ジトニック氏が詳しく説明してくれた。

「AIは以前の膝MRI、すなわち典型的な膝がどう見えるかを学習しているため、ノイズやその他の人工生成物を除去することによってMRIの画質を向上させることができる」とLarry Zitnick氏は語った。「例えば、ホワイトノイズはAIにとってランダムパターンに見えるので再現する方法を学習するのが難しい。しかし、人間の膝はどの患者も似ているので学習で再現するのが容易だ。その結果AIが膝を再現するとき、ノイズ(学習が困難)を減らし、構造(学習済み)が強調される」。

従来のMRI(左)とAIが1/4のデータから生成したMRI(右)。画像クレジット:NYU/Facebook

この研究にはいくつか但し書きがつく。例えば、現時点では膝についてのみ有効であることを示している。しかし、次は脳のスキャンで実験する予定であり、脳やほかの部分でうまく「いかない」と考える理由はない。

またこの研究で使用したデータは、実際に現場で使われているものと厳密には同じではなく、スキャン量の少ないデータというのは、従来方式のスキャン結果からデータを削除したもの(AIバージョンをオリジナルと比較しやすくなるため)であり、初めから少ないデータをスキャンしたものではない。しかし、MRIの性質上、情報を削除することと初めからデータを収集しないことはほとんど同じなので、実際には問題にならないかもしれない。それでも病院としてフルスキャンしないためには、一定の確証が必要だ。なぜなら、その時がMRIを撮る唯一のチャンスかもしれないからだ。

この研究は、実際に急を要する患者がいる医療現場で、この方法を実際に使えるようにするための重要一歩だ。もしこれが可能になれば、患者が機械の中で過ごす時間を著しく短縮できるだけでなく、放射線医師は診断の回転率が高くなり、多くの患者を救えるようになる。

カテゴリー:ヘルステック

タグ:FastMRI ニューヨーク大学 Facebook AI Research Facebook

画像クレジット:Facebook

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Facebookが大統領選挙に向け米国ユーザーに正確な情報を提供する投票情報ハブを開設

Facebookは、2016年の大統領選で誤った情報を広めたという惨憺たる役割を繰り返さないために、いくつかの対策を講じ始めた。今夏の初めに同社は投票情報ハブの立ち上げを発表(Facebookリリース)した。米国民のために選挙情報を集約し、誤情報の蔓延を回避することを目指す。

投票情報ハブは、FacebookとInstagramの両方からアクセスできる。例えば、場所と年齢に基づいて自分の州での投票に関する関連情報を表示される。情報センターでは、州ごとの投票方法の確認、郵送投票のリクエスト、投票関連の期限なども確認できる。

Facebook選挙情報センター(画像クレジット:Facebook)

Facebookはまた、政治家による投稿に検証済みの選挙情報を添付するために使用するラベル(未訳記事)を拡大している。ラベルは今後、FacebookとInstagramのすべてのユーザーの投票関連の投稿に表示される。

他社の選挙前の動きと同様にFacebookは、以前に発表した「投票アラート」機能を公開する予定だ。Facebookの製品管理および社会問題解決を担当するバイスプレジデントを務めるNaomi Gleit(ナオミ・グレイト)氏は同機能に関するブログ投稿で「有権者に影響を与える可能性のある投票プロセスの変更が遅れる可能性があるため、投票アラート機能は選挙が近づくにつれてますます重要になるだろう」と述べた。同社によると、投票通知は政府のアカウントでのみ利用可能で、州や地方の選挙管理者の個人ページでは利用できないという。

同社は、新型コロナウイルスの感染蔓延の真っ只中で州選挙を行うことの難しさを選挙情報ハブの立ち上げの理由に挙げている。同ハブは、同社が以前立ち上げた新型コロナウイルス情報ハブをモデルにしている。なお、新型コロナウイルス情報ハブは当初、ユーザーのFacebookフィードのトップに表示されていたが、今ではウイルスに関連する検索でのみ表示されるようになっている。

選挙の夜の悪夢

Facebookは、選挙情報ハブの立ち上げによって自らが選挙の夜の「真実の権威者」(Axios記事)になる可能性が十分にあり、居心地が悪さも認識しているようだ。2020年の大統領選挙は記録的な数の投票が郵送される前例のないものになる。その結果、選挙結果が遅れたり混乱したりする可能性がある。クリアな結果が得られなければ、陰謀説や日和見主義などの誤った情報がソーシャルプラットフォーム上で爆発する確率が高い。これこそが、ソーシャルネットワークが先手を打って防ごうとしている悪夢のシナリオだ。

「長引く投票プロセスは、選挙結果に不信感を植え付けるために悪用される可能性がある」とグレイトはFacebookの投稿で選挙ツールの詳細を書いている。

同社は米国時間8月12日に米政府関係者と面会し、選挙日前後のプラットフォーム上での誤報に関する懸念事項をどのように処理するかを議論したテック企業9社のうちの1社だ(Wall Street Journal記事)。

この企業グループには現在、Facebook、Google、Reddit、Twitter、Microsoft、Pinterest、Verizon Media、LinkedIn、Wikimedia Foundationが含まれている。同グループのメンバーには、米国の選挙を前にした取り組みについて議論するために以前にも会合を開いていた企業もあるが、米国の選挙に向けて正式に政府関係者と協力する大規模な企業連合は新しい枠組みだ。

関連記事:「子供は新型コロナに免疫」というトランプ大統領の投稿をFacebookが削除
画像クレジット:Diane555 / Getty Images

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(翻訳:TechCrunch Japan)

Facebookが有料オンラインイベント開催機能をローンチ、iOS上のみ30%の手数料が引かれる

本日から企業はFacebook(フェイスブック)を使って有料オンラインイベントの開催が容易になる。同社は米国とほか19カ国で新たに有料イベント開催機能をローンチした。

記者との電話会議でFacebookアプリの責任者であるFidji Simo(フィジー・シモ)氏は「Facebookのイベント機能は対面イベント用に設計されていたが、新型コロナウイルスのパンデミックと、その結果としての社会的距離(ソーシャルディスタンシング)を保つ命令により、オンラインイベントのサポートに『すぐさまピボットした』」と述べた。

実際に今年6月には、Facebookページでのライブ放送が2019年の同時期に比べて2倍になったとシモ氏は述べている。

同氏はまた、Facebookのブログ記事で新機能の概要を説明(Facebookブログ)した。企業はFacebook Liveを通じて大規模なイベントを主催できるようになるほか、メッセンジャールームで小規模でインタラクティブな集まりを主催する機能もテストしているという。目標は、ビジネスオーナーがイベントの作成、価格の設定、イベントの宣伝、支払いの回収、イベント自体のホストをすべて1カ所で管理できるようにすることだ。

初期のユーザーとのテスト中に開催された有料イベントには、トーク、トリビア、ポッドキャストの録音、ボクシングの試合、料理教室、ミートアンドグリーティング、フィットネスクラスなどがあった。

画像に向かって左がFacebookのイベント機能におけるiOSでの購入の流れ、右がAndroidでの購入の流れ(画像クレジット:Facebook)

「社会的距離の維持の義務化が進む中、多くの企業やクリエイターは、既存の顧客とつながり、新たな顧客にリーチするために、イベントやサービスをオンラインで提供しています。人々はまた、物理的に集まることができない場合には、ライブビデオやインタラクティブな体験をより頼りにしています」とシモ氏。

シモ氏によると「Facebookは少なくとも来年以降、有料オンラインイベントから手数料を徴収しない」という。従ってウェブとAndroidでFacebook Payが利用できる国では、企業はオンラインイベント収益の100%を手に入れられる。一方、iOSではそうはならない。同氏はブログ記事でこの件について、驚くほど率直にこの件についてアップルを批判している。

我々はアップルに、新型コロナウイルスの感染蔓延によって苦労している企業のためにすべてのコストを吸収できるように、App Storeの30%の手数料を減らすか、Facebook Payを提供することを許可するように求めました。残念ながらアップルは我々の要求の両方を却下し、中小企業は苦労して稼いだ収入の70%しか得られません。ユーザーの混乱を避けるため、Facebookが手数料を免除している期間中は、手数料についてサービスの中で明確に記載することにしました。

上図にように購入ボタンの下に「アップルはこの支払いについて30%の手数料を取ります」という小さなテキストメッセージが含まれる。対してAndroidでは「Facebookはこの購入から手数料を取りません」と表示される。Facebookはこのメッセージを含むFacebookアプリのアップデートをアップルに申請したが、承認されるかどうかはわからない。

画像クレジット:Muhammed Selim Korkutata/Anadolu Agency / Getty Images (Image has been modified)

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(翻訳:TechCrunch Japan)

FacebookがTikTokスタイルの動画フォーマットをインドでテスト中

Facebookはショートムービーに全面的に向き合っている。同社は、一部の市場でテストしたTikTokクローンのLasso(未訳記事)のアイデアに興味を持ち、最近ではInstagramにReelsと呼ばれる同様の機能を追加するなど、TikTok風のサービスを定着を狙っている。

同社はTechCrunchに、ユーザー数が最大の市場であるインドのFacebookアプリでショートムービーをテストしていることを明らかにした。現在は「Short Videos」はニュースフィード内に専用セクションに用意されている。その上には「Create」ボタンがあり、タップするとFacebookカメラが起動してユーザーはスワイプしてビデオを見ることができる。

Facebookの広報担当者はTechCrunchに「我々は常に新しいクリエイティブツールをテストしているので、人々がどのように自分自身を表現したいかを学ぶことができます。ショートムービーは非常に人気があり、我々は人々がFacebook上で、ショートムービーを作成・共有するためのサービスを提供するための新しい方法を探しています」と語る。

ソーシャルメディアコンサルタントのMatt Navarra(マット・ナバラ)氏が、新しいテストの存在を最初に発見した。

今回のテストは、ByteDance(バイトダンス)が所有するTikTokが6月末にインドでは使用禁止されている最中に行われた。FacebookはReelsをインドで先月ローンチ(未訳記事)、数週間後にはさらに数十の市場にローンチした。情報筋によると、インドでTikTokが禁止されて以来、インドでのFacebookのデイリーでのサービス利用率は25%以上増加したという。

Twitterの支援を受けているShareChatやTimes InternetのGaana、MX Playerのストリーミングサービスなど、インドの多数のスタートアップが、スタンドアロンアプリや統合機能をローンチし、ここ数週間でユーザーにさまざまなサービスを提供している。あるローカルアプリは、期間中に数千万人の新規ユーザーを獲得したと主張している。

まだテスト段階だが、YouTubeも同様の機能をここ数週間でインドのより多くのユーザーに展開している。

画像クレジット:TechCrunch

TikTokが市場に再参入する方法を模索している中、Facebookは同社のショートムービー機能をユーザーに可及的速やかに普及させることを狙っている。なぜならByteDanceは、インドのコングロマリットであるReliance Industriesと提携してTikTokのローカルビジネスの株式を売却する計画があるからだ。

画像クレジット: MANJUNATH KIRAN / AFP / Getty Images

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(翻訳:TechCrunch Japan)

Epic Gamesに続きFacebookがアップルApp Storeの30%税に反発

Facebookは、アップルがApp Storeを経由した支払いの際に徴収する30%の手数料について、不満を表明する企業の1社として加わった。

これらの不満は、Facebookが有料オンラインイベントを可能にする新機能(未訳記事)に関するブログ投稿の中で明らかにされた(Facebookブログ)。Facebookによると、苦境にある企業を支援するために、少なくとも向こう1年間はこれらのイベントの手数料を徴収しないという。つまり、これらの企業はウェブとAndroidであれば売上の100%を受け取れる。

しかし同社は、iOSではApp Storeに支払う手数料のために対象外であることを説明。驚くほど直接的な表現でアップルを批判したのだ。

我々はアップルにそのApp Storeの30%の手数料を減らす、あるいはFacebook Payを利用して苦戦している企業のコストをすべて負担できるようにすることを求めた。しかし、残念ながらアップルはどちらの要求も却下し、中小企業は苦労して稼いだ売上の70%しか手に入れることができない。ユーザーが理解しやすいように、Facebookでは手数料を免除している期間中に限り、すべてサービスについて手数料について明記することにした。

上図はiOSとAndroidでのイベント参加料の決済画面だ。Androidでは「Facebookは手数料を取らない」、iOSでは「アップルは30%手数料を徴収する」と書かれている。Facebookは、この変更をアプリのアップデートに含めて本日アップルに申請したことを明らかにしたうえで、このアップデートが承認されない可能性があることを予想している。

今回のFacebookのアクションは、Epic GamesがApp Storeを回避した直接支払い機能を導入したことで、Fortnite(フォートナイト)がApp Storeから削除されてから約24時間後のことだった。Epic Gamesは意図的にアップルに戦いを仕掛けようとしているようだ。すぐにアップルに対する訴訟を発表し、アップルの有名なCM「1984」をアップルを悪者にしたパロディにして、Fortnite内でビデオを流した。ちなみに同社は、グーグルやAndroidとも同様の戦いを繰り広げている。

アップルがApp Storeで徴収する30%の手数料は昔からのルールだが、手数料の問題が表面化したのは今夏にBasecampが同社のサブスクリプションメールアプリ「Hey」をめぐってアップルと公然と対立(未訳記事)したあとだった。

アップルのPhil Schiller(フィル・シラー)氏は当時TechCrunchに「この論争は手数料30%ルールの再考を促しているわけではない」(未訳記事)と語った。同氏は、これらの手数料は、良質なアプリ体験を実現するために必要なものであり「アプリをダウンロードしても動かない」という状況を避けるためのものだという。

画像クレジット:Getty Images

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(翻訳:TechCrunch Japan)

Facebookユーザーは自分の利用時間を把握するのがかなり苦手という調査結果

多くのソーシャルメディアの研究では、ユーザーがサービスに費やした時間を、さまざまな理論や結論を導き出す証拠に使っている。しかし実際には、人間はどれだけの時間SNSで過ごしたのかを人に言うのが非常に不得意であることが、Facebook(フェイスブック)の研究でわかった(Facebook Researchレポート)。

例えば、ソーシャルメディアの利用が人の気分にどう影響を与えているのか、あるいは利用時間がどう気分の影響を受けているかを調べようとするとき、おそらくどちらの数値も自己申告に頼るだろう。

もちろん人の気分測る客観的な方法は存在しないので、被験者の言うことを信じるしかない。そして、ユーザーは自分がFacebookやInstagram(インスタグラム)やTwitter(ツイッター)の画面をスクロールするのにどれだけの時間を費やしているか、かなり正確に把握していると思う人もいるだろう。そうではない!

自己申告の数値に誤差があることは誰もが知っているし、それを示した調査結果もあるが、今回Facbeookが実施したメタ分析で、自己申告と実際のサーバーログを比較してみたところ、両者の間には重要な科学研究で使うに足る信頼ある相関がない、可能性が示された。

いくつかの質問の回答を内部データと比較した結果、ユーザーは自分がサイトで過ごした時間を実際より平均して数時間多く申告した。しかし、アプリやサイトを開いた回数については過小報告していた。この実に興味深いグラフを見てみよう。

画像クレジット:Facebook

ご覧のとおり、人々の思っていることとは異なり、1日に3時間以上サイトで過ごした人はごくわずかであり、ほとんどの人はおよそ1時間だった。そして、ログイン回数については逆だった。1日に10回以上アプリを開いたと思った人はほとんどいなかったが、実際にはごく一般的だった。若い人たちは特に間違える傾向が強く、今回の調査対象がその層に偏っているたことが問題を強調する結果となった。

これは「Facebookが滞在時間の多い(おそらく多すぎる)サイトではない」ことを意味しているわけではない。自己申告についても。しかし、こうした現象の研究が信頼できるデータに基づくことは重要であり、自己申告データはそうではなさそうだ。

Facebookは「研究者は数値を直接使用するのではなく、自己申告による滞在時間は、他の被験者と比較して分布のどの位置にあるかをおおまかに推定するための値だと理解すべきだろう」と説明している。

言い換えれば「Facebookで2時間以上過ごすティーンエージャーは○○の傾向が強い」の代わりに、「Facebookの自己申告による利用時間が上位10%のユーザーは△△の傾向が強い」などと言うべきなのかもしれない。もし、正確なオンライン時間が必要なら、追跡アプリを使うかFacebookと共同研究するのがいい考えだろう。

Facebookの研究結果の全文はこちらで読める。

画像クレジット:Adam Berry / Getty Images

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

民主党副大統領候補ハリス氏はテクノロジーの震源地を大統領選に持ち込む

カリフォルニア州選出の上院議員Kamala Harris(カマラ・ハリス)氏を、トランプ大統領の席を奪うクエストで副大統領候補として指名したJoe Biden(ジョー・バイデン)氏の決定は、次の副大統領が初めて、黒人でアジア系米国人女性の候補者から選ばれるかもしれないことを意味するだけではない。

もちろんそれだけでも歴史の大きな節目であることは確かだが、彼女がテクノロジー産業でキャリアを築いたカリフォルニア人でもあることも意味している。

オークランドで生まれたハリス氏はサンフランシスコの地区検察官、そのあとカリフォルニアの司法長官を務めてから、2016年に上院議員に選ばれた。新たに指名された副大統領候補としてテクノロジー業界に関する深い理解を選挙戦に持ち込むこともありえるが、もっと重要なのは強力な複数のテクノロジー企業が前例のないほどの厳しい批判を浴びているこの時期に、民主党政権はどのように振る舞うのか、それに対し彼女がどのような立ち位置で臨むのか、という問題だ。それに関しては、まだ何ひとつ明らかでない。

ハリス氏はシリコンバレーの経営者から、民主党の指名を争うレースで大きく支持され、大手テクノロジー企業の社員たちからの寄付(The New York Times記事)でも、早くから他の候補を抜いている。その支持はレースが進むにつれて変わり、テクノロジー業界の寄付者たちの多くは複数の候補を支持したが、業界はバイデン氏の選択に満足しているだろう。

注目すべきは、ハリス氏が2010年にカリフォルニア州の司法長官に選ばれて2期を務め、テクノロジー産業の最大の爆発的成長期の間に彼らを監督したことだ。テクノロジー業界の規制に向かう彼女のスタンスを予知するには、選挙戦の期間中に彼女が言うことよりも、州の司法長官時代の経験や見聞が重要だ。

でもそれは、シリコンバレーにとって間違いなく単純な時代であり、今のように、選挙の妨害とか誤報合戦、反トラストの執行のような問題をめぐって厳しい会話や論争が生じている時代の、ずっと前のことだ。

慎重な発言

予備選が進み、当時ライバルだったElizabeth Warren(エリザベス・ウォーレン)氏が大手テクノロジー企業を批判する立場(未訳記事)を取り続けているとき、ハリス氏はテクノロジー業界の規制をめぐる難しい問題にはあまり言及しなかった。10月のディベートでハリス氏は、巨大テクノロジー企業が分割された場合に生ずる副次的影響に関する質問を避け、代わりにトランプのTwitterアカウントという、より安全な政治的話題に方向を変えた(The New York Times記事)。テクノロジー企業の説明責任という重い話題を避けたハリス氏は、ルールに違反している大統領のアカウントを停止するよう、Twitterに呼びかけた。そして、その問題は「安全とTwitterという企業の説明責任の事案だ」と述べた。

Kamala Harris:トランプのツイートは暴力を教唆し、目撃者を脅し、正義を妨害している。Facebookを強力に取り締まることはできなくても、Twitterに対し目を閉じているべきではない。大手テクノロジー企業は、そのプラットホームの悪用を彼に許していることに関して、説明責任を負うべきである。

今年の早い時期のインタビューで、FacebookやGoogle、Amazonのような企業は分割されるべきかという直接的な質問(The New York Times記事)に対してもハリスはやはりそれをかわしたが、「それらの企業のユーザーデータの扱い方は気になる」とは語っていた。

「テクノロジー企業は、米国の消費者が自分のプライバシーが侵されることはないと確信できるように規制されるべきと思う」とハリス氏は説明している。彼女は2018年のTwitterのスレッドでも、ユーザーのプライバシーに関する懸念を表明している。

そのスレッドで同氏は「Facebookがユーザーの位置やIPアドレス、いつどこのサイトを訪れたかなど、自分のさまざまなデータを集めていることを知らない人が圧倒的に多い。それは現実の世界では、あなたが今何をしているか、どこへ行ってるか、どこにどれだけ居たか、誰と一緒に居たかなどを監視されているのと同じだ。そんなことをされたら、プライバシーの侵害だと感じる人がほとんどだろう」と述べている。

Facebookへの関心

テクノロジーに関するそのほかの批判では、ハリスはFacebookに言及することが多い。そんなときとくに強く非難するのは、2016年の大統領選でロシアからの偽情報の拡散に果たした同社の役割だ。同氏は同社が集めたデータをどのように取り扱っているのかを気にしている。

Mark Zuckerberg(マーク・ザッカーバーグ)氏に直接会った際にハリス氏は、Cambridge Analyticaによるユーザーデータの悪用をFacebookがどう取り扱ったかに焦点を当てた(未訳記事)。さらに最近では、コロラド州選出上院議員Michael Bennett(マイケル・ベネット)氏との共同書簡(ハリス氏のサイトのプレスリリース)で聴聞の結果が概してよくなかったFacebookのCEOに対し、今度の選挙ではもっとしっかりするよう圧力をかけている。

関連記事:Sen. Harris puts Zuckerberg between a rock and a hard place for not disclosing data misuse(未訳)

二人の上院議員は、その書簡で「最近の新型コロナウイルスに関する偽情報に対しては、同社は抑止の意思を示しているが、2016年の選挙に関しては今だに、事件から学び、有権者に対する抑圧と対決する決意を示していない。われわれは、Facebookが自分が自由に利用できるツールとリソースを使って積極的に有権者に対する抑圧と戦い、市民の権利を保護することに失敗しているという、聴聞者たちの懸念を共有するものである」と書いている。

同社に当てた別の書簡でハリス氏は、The New York Times紙の記事を引用しながら、気候関連の誤報に対するFacebookの事実確認のポリシーを批判(ハリス氏のサイトのプレスリリース)している。

厳しい言葉づかいにもかかわらず同氏は、FacebookのCOOであるSheryl Sandberg(シェリル・サンドバーグ)氏とは仲がいい。サンドバーグ氏は米国時間8月11日にハリス氏の副大統領候補指名を祝った。2013年にハリス氏は、サンドバーグ氏の書籍「Lean In」のマーケティングに協力(HuffPost US記事)して自分自身の話を共有したようだ。ハリス氏はまた、2015年にメンロパークのFacebook本社で行われたサイバーいじめ対策の集会でもスピーチを述べ、会場で二人の写真を撮られた(HuffPost US記事)。

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Today @kamalaharris became the first Black woman to be nominated for Vice President of the United States. This is a huge moment for Black women and girls all over the world – and for all of us. Our nation has a history of great women like Shirley Chisholm who have fought to lead and now, for the first time, we’ll see a Black woman on the ticket for the highest office in the land. In a world where there are still far too few Black women leaders in our companies and government, that really matters – because you can't be what you can't see. Research shows that women running for office face obstacles that men don’t. People are more likely to question their qualifications, criticize their looks, or simply dislike them. For women of color, this gender bias is compounded by racial bias. Black women candidates face double discrimination on the campaign trail, including criticisms of being “too ambitious” or “out for herself.” There’s no denying that Kamala Harris is ambitious – and that’s something we should be celebrating. Today, I am hopeful that many more Black women and girls will be inspired to run for office at every level. It’s only when everyone can compete and get a fair shot that we’ll get a government that truly represents all of us.

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反トラストは後回しか?

ハリス氏のテクノロジー観は、公表されている声明がわずかにあるだけで、未知の部分が多い。予備選における他の候補との差別化努力の中には、副大統領になってからの施策の優先順などは出てこないと思うが、しかしそれまでに分かることも少なからずあるだろう。

目下、次の政権のためのテーブルの上に極めて多くの危機がある。大手テクノロジー企業の規制は、2020年のパンデミック以前の政治情勢の中では選挙戦の大きなテーマだったが、今では警官の暴力をめぐる会話と、コロナウイルスの封じ込めにおける米国人の壊滅的な失敗が前面にある。反トラストの規制や、テクノロジーの力に対する介入が後回しの問題になるのか、それもまだ分からない中で、その間に消さなければならない特A級の大火が全国いたるところにある。

ハリス氏がこの国の次の副大統領になったからといって、テクノロジー産業のための政策形成や反トラスト努力の推進が最優先課題になるとは限らない。しかし同氏がテクノロジー産業の地理的なハブ(シリコンバレー)と深いつながりがあったことが、バイデン氏の大統領府とその優先施策に、何らかの結果をもたらすことは確実だろう。

ハリス氏の政策アプローチには疑問符がいくつか付くとはいえ、テクノロジー業界にとって既知数だ。シリコンバレーを理解している人物であり、また、過去の例から見ても、話は厳しくても業界の最大手に対して過激な施策を取ることはない。バイデン・ハリスコンビの選挙戦からどんなテクノロジー政策が登場しても、この生きのいい副大統領候補には、他の候補と比べてずっと意味のあるテクノロジーとの関わりがある。そのことだけでも、注目の価値があるだろう。

関連記事:Elizabeth Warren, big tech’s sworn foe, drops out of 2020 race(未訳記事)

画像クレジット: Daniel Acker/Bloomberg via Getty Images/Getty Images

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

フェイスブックが新型コロナによる在宅勤務措置を2021年7月まで延長

Facebook(フェイスブック)もGoogle(グーグル)と同様に(未訳記事)、新型コロナウイルス(COVID-19)のパンデミックによる従業員の在宅勤務を2021年半ばまで認めると明らかにした。

「衛生当局と政府の専門家のガイダンス、そして当社の内部協議の結論に基づき、従業員が任意で引き続き2021年7月まで自宅で働くことができるようにする」とフェイスブックの広報担当はReutersに語った

フェイスブックはまた「ホームオフィス需要」に使える追加の1000ドル(約10万1000円)を従業員に支給するとも述べた。

2020年7月下旬にグーグルは新型コロナ措置のリモートワークを延長した(未訳記事)。2021年6月末まで在宅勤務を続けることができるとしている。

2社とも世界中の多くの都市に大きなオフィスを構えている。パンデミックのために通常よりもかなりフレキシブルな勤務体系を提供せざるを得なくなったにもかかわらず、両社はオフィスを維持し続け、職場の提供をアピールしている。(オフィスをさまざまなことができるプレイグラウンドに変えるのに2社がこれまでいくら費やしたのかを考えた時、これはおそらく驚くことではないだろう。スタッフを長時間留められるよう、オフィスには無料のスナックや食事、昼寝ポッド、ビデオゲームアーケード部屋、健康センターすらも用意されていた)。

例えばフェイスブックは2020年8月初めに、ニューヨークにあるアイコン的なビルにメーンオフィスを確保した(未訳記事)。220万平方フィート(約20万平方メートル)ある既存のオフィスに73万平方メートル(約6万8000平方メートル)を追加するというものだ。グーグルは英国の首都ロンドンのキングクロスエリアでメインオフィスの開発を引き続き進めている。予定しているロンドン「ランドスクレイバー」本部の場所で先月勤務を再開した(The Guardian記事)。

2020年7月下旬にApple(アップル)は少なくとも2021年初めまで従業員がオフィスに戻らないことを明らかにした(San Francisco Chronicle記事)。その際、オフィスへの出社は効果のあるワクチン、あるいは有効な治療が利用できるようになっているかどうか次第だとした。つまりアップルは新型コロナによる在宅勤務が長期にわたることを覚悟しているようだ。

オフィスの将来について疑問が渦巻いているが、人間同士の接触は公衆衛生のリスクだ。逆説的にいえば、資金潤沢なテック大企業は従来の職場をすべて捨てて、オフィスワークをリモートで行える現代テクノロジーに全面移行するつもりはないことを示している。

Twitter(ツイッター)は例外だ。パンデミック第1波の間、同社は完全リモートワークを導入し、5月には望むならずっと在宅勤務を続けることができる、と従業員に伝えた

最近の同社アカウント侵入にリモートワークが影響したかどうかはわからない。ツイッターは、ネットワークアクセスクレデンシャルの入手を目的にスタッフを騙すのに電話スピアフィッシングが使われた、と述べた。

もちろん、多くの従業員がパンデミック期間にリモートで働くことによるリスクについて、セキュリティ懸念を抱いた。リモート環境は会社のファイアウォールの外にあるかもしれず、攻撃に弱い。

フェイスブックの広報は、同社が永久にリモートで働くオプションを従業員に提供するかどうかについて回答しなかった。しかし同社はこれまでのところ、そこに踏み込む準備はできていないようだ。少なくとも、かなりのオフィススペースの新規契約にサインしていることからするとそうなのだろう。

フェイスブックは2020年5月にデンバー、ダラス、アトランタに新たなハブを設けると発表するなど、新型コロナパンデミックを受けてオフィスへのアプローチを修正してきた。

またサンディエゴやポートランド、フィラデルフィア、ピッツバーグなどで、オフィス周辺エリアでの新たな人材探しに注力すると明らかにした。

CEOのMark Zuckerberg(マーク・ザッカーバーグ)氏は今後10年内に従業員の半分が完全リモートで働くようになるかもしれない、と述べた(Facebook投稿)。ただしハードウェア開発、データセンター、人事採用、ポリシー、提携などの部門の一部の業務では完全リモートワークはできないと話している。

関連記事:Facebookが社員半数をリモートワークに、シリコンバレー外に複数の拠点開設へ

カテゴリー:ニュース

タグ:Facebook 新型コロナウイルス

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(翻訳:Mizoguchi