新生FiNCが約50億円を調達、食事画像解析機能の強化とAI関連特許権取得も発表

FiNC Technologiesは1月6日、約50億円の資金調達を発表した。第三者割当増資による調達だが、引き受け先は非公開。創業からの累計調達額は150億円強になる。なお、同社は同日午前中に南野充則氏が代表取締役兼CEOに就任し、創業者で代表取締役兼CEOだった溝口勇児氏が非常勤取締役となる新体制を発表したばかり。

同社は今回の資金調達により、ヘルスケア/フィットネスアプリ「FiNC」をはじめとした各種サービスで利用しているAI(人工知能)の開発や新規事業の拡大、さらにマーケティングの強化に焦点を当てるとのこと。

資金調達に併せて「食事画像解析」のお大幅アップデートとAI関連特許権の取得も発表された。食事画像解析機能は、AIやディープラーニングを活用して、食事の画像を識別してカロリーや三大栄養素(炭水化物・タンパク質・脂質)を計算する機能。今回のアップデートにより「画像解析」できる食事の種類(カテゴリー)を増やしたほか、より精度の高いカロリー計算や食事の画像解析ができるようになったとのこと。ちなみにこれまでFiNCアプリ上では500万枚超の食事画像の投稿があったとのことで、これらすべてがデータ解析に活用されている。
 
AI関連特許権ついては、食事記録に関連する「メニュー選択」(特許第6486540号)や「食事投稿の評価」(特許第6075905号)をはじめとした「食事画像認識機能」関連の特許を取得。ほかにも国内外において累計60件の特許権を取得している。

そのほか、テレビ朝日で月〜木曜日の0時45分〜0時50分の深夜帯に「フィンク1分フィット」という番組を開始することも発表された。初回放送にはタレントのおのののかがゲスト出演する。

ヘルスケアスタートアップのFiNCが20億円を調達 ーーAI活用の新アプリ開発に注力

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法人向けのウェルネス経営サービス「FiNC for Business」、個人向けのダイエットプログラム「FiNCダイエット家庭教師」などを手がけるFiNCは1月13日、カゴメ、第一生命保険、未来創生ファンド(トヨタ自動車・三井住友銀行などが主要投資家のベンチャー投資ファンド)、明治安田生命保険相互会社、ロート製薬および個人投資家から合計20億円の資金調達を実施したことを明らかにした。

調達した資金は人工知能(AI)領域へのさらなる投資や、2017年内にリリース予定のコンシューマー向けウェルネス・ヘルスケアプラットフォームアプリ「FiNC」の開発およびマーケティングに充てるとしている。

最近ではフィットネス用ウェアラブルデバイス大手のFitbitとの連携を皮切りにカゴメ、東京急行電鉄との連携も発表するなど、法人向けサービスの展開を積極的に推し進めていたFiNC。各サービスでのユーザー数や売上高などは非公開としているが、売上高の比率は法人、個人向け事業でそれぞれ半々程度だという。

新アプリのFiNCは、人工知能を活用したパーソナルヘルスケアアプリ。“キレイになれる キレイが続く”がコンセプトとなっており、人工知能による専属コーチ(AIパーソナルコーチ)が、個人に最適化されたヘルシーレシピやフィットネスプログラムを教えてくれるという。また、著名人や専門家、友人のフォロー機能も搭載予定とのことで、フォローした人たちから美容・健康に役立つ情報やアドバイスが得られるとしてる。サービスは無料で利用できる予定。新アプリの開発を通じて、法人向けサービス(BtoBtoEで提供する従業員向け健康管理アプリ)の機能強化も図るとしている。

先行して提供しているFiNCダイエット家庭教師などもすでにAIを活用してユーザーに対するコーチングを行っているが、今後は食事の画像解析、姿勢の画像解析、フィットネスプログラムのリコメンド機能の精度向上などを通じてAI領域の強化も進める。これにより、ユーザーのお悩み、症状、ライフスタイル、体重・睡眠・歩数などのデータを複合的に解析。コーチングの精度向上を狙っていく。

 

ヘルスケアスタートアップのFiNCがFitbitと提携、ライフログデータの自動転送が可能に

左からFitbit副社長兼アジア・パシフィック責任者Steve Morley氏、Table for two事業開発マネージャー 張一華氏、FiNC代表取締役社長 溝口勇児氏

左からFitbit副社長兼アジア・パシフィック責任者Steve Morley氏、TABLE FOR TWO事業開発マネージャー 張一華氏、FiNC代表取締役社長 溝口勇児氏

法人向けウェルネス経営ソリューションなどを手掛けるFiNCは7月26日、フィットネス用ウェアラブルデバイス大手のFitbitとの提携を発表した。これまで手動で入力していた活動量や睡眠時間などのデータの自動入力を可能とし、FiNCサービスにおけるユーザーの継続意欲の向上を狙う。

FiNCはこれまで、法人向けウェルネスサービス「FiNCプラス」や、企業の人事・労務向け健康データ分析マネジメントツール「FiNCインサイト」を通じ、従業員の心身の健康データを収集し分析。従業員の健康リスクの見える化や、個々人に最適な生活習慣改善に役立てる”ウェルネス経営ソリューション”を提供してきた。

FiNCが掲げる“ウェルネス経営”は“健康経営”に似た意味合いだが、FiNC代表取締役社長の溝口氏は「健康経営は身体だけに焦点を当てているイメージが強い」として、「心」にもフォーカスする意味を込めて、ウェルネス経営という言葉を2012年の創業時から使い続けていると語る。

心身の不調による従業員の離職・休職者の増加や生産性の低下。そして健保組合の財政悪化は企業にとってコスト要因になっているといい、FiNCはデータとソリューションによってこれらの問題の解決するとしている。人工知能(FiNC AI)を活用することで、トレーナーや栄養士を雇うよりも低コストなソリューションを実現したという。

ウェアラブル連携でユーザーの継続率向上狙う

今回の提携により、Fitbitのウェアラブルデバイスで測定した睡眠・心拍・歩数などのライフログデータを、FiNCサービスに自動転送できるようになる。手動でライフログを入力する手間を省くことで、FiNCサービスのユーザー継続率向上が狙えるというわけだ。

連携可能デバイスはFitbit Blaze、Fitbit Charge HRの2機種

連携可能デバイスはFitbit Blaze、Fitbit Charge HRの2機種

連携可能なデバイスはFitbit Blaze、Fitbit Charge HRの2機種。対応サービスはFiNCプラス、FiNCダイエット家庭教師、FiNCウェルネス家庭教師、ボディデザインプログラムの4つ。連携に追加費用は発生しないが、別途Fitbitのデバイス代が必要になる。

なおフィットネス用ウェアラブルデバイスを開発しているメーカーは、FitbitのほかにもWithingsやMisfitなど複数ある。提携先にFitbitを選んだ理由についてFiNC ライフサイエンス事業部 グローバル対応業務担当のLucas Hannell氏は「世界で一番売れているのがFitbit、信頼性があり、かつ一番リーチがあると判断した」と説明。また今後については、「我々はデータの会社なので、Fitbit以外のメーカーを連携対象に加えることもありえる」とした。

またFiNCはFitbitのほか、開発途上国支援を行う特定非営利法人のTABLE FOR TWOとも提携。FiNCプラス導入企業の従業員の減量分を450g=20円として換算し、相当する金額を開発途上国の給食支援プログラムに寄付する取り組みを発表した。

FiNCが法人向けの新サービス「FiNCプラス」を発表、月額500円で従業員の健康管理支援

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法人向けのウェルネス経営ソリューションやダイエットプログラム「FiNC ダイエット家庭教師」などを手がけるFiNCは2月25日、法人向けの新サービス「FiNCプラス」を4月1日より開始することを明らかにした。本日より受付を開始する。

FiNCプラスは、従業員の健康状態や生活習慣改善の為のソリューションの提供、ウェルネスメニューの割引特典、健康教育および企業の健康経営銘柄の基準への対応などを行う法人向けサービス。料金は従業員1人につき月額500円。

専用アプリはHealthKit(iOS)、Google Fit(Android)と連携して歩数や体重などのライフログを取得。といっても現状は歩数のみ自動取得しており、その他のライフログは手動入力する必要がある。将来的にはウェアラブルデバイスと連携するなどして、ライフログの全自動取得を進める。

FiNCではライフログの内容をもとに、食事や運動に関するタスクを従業員ごとに提案。ユーザーはタスクを実行した分だけポイントを得ることができるほか、アプリを通じて、健康に関わる情報が得られる。ポイントはアプリ内からアクセスできるECサイト「FiNC mall」で使用可能だ。FiNC mallは健康食品や健康グッズを販売。ポイントでの購入だけでなく、カード決済などにも対応する。

FiNCによると、すでに導入予定企業は数十社に上るという。同社は2016年3月をめどに50万IDを目指す。

健康ITのFiNC、今度はゴールドマン・サックスから資金を調達

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先週ANAホールディングスやクレディセゾンなど大手企業を中心とした資金調達を実施したヘルスケアITのFiNCだが、今度はThe Goldman Sachs Group(ゴールドマン・サックス) の本社経営委員会メンバーからの資金調達(先週発表のシリーズBの追加出資)を実施したことを明らかにした。金額や出資比率は非公開。

元みずほ銀行常務の乗松文夫氏を代表取締役副社長CAO兼CWOに、元ゴールドマン・サックス証券幹部の小泉泰郎氏を代表取締役副社長CFO兼CSOにそれぞれ招聘。元ミクシィ代表取締役の朝倉祐介氏や元LINE株式会社代表取締役社長の森川亮氏らを戦略顧問に据えるなど経営陣の強化に努めてきたFiNCだが、このステージの国内スタートアップにゴールドマン・サックスが出資するというのは珍しいケースだ。

FiNCでは今回の調達を契機にグローバル事業の本格展開を進めるとしている。

FiNCがANAほか東証一部上場企業などから第三者割当増資を実施、今後は事業提携も

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スマートフォンを活用したダイエット指導サービスなどを手がけるFiNCは12月7日、ANAホールディングス、全日空商事、クレディセゾン、第一生命保険、三菱地所、吉野家ホールディングス、ロート製薬、キユーピー、 ゴルフダイジェスト・オンライン、ネオキャリア、Fenox Venture Capital、グッドパッチおよび、既存株主から第三者割当増資を実施したことを明らかにした。調達額や出資比率は非公開。

FiNCでは今回の資金調達をもとに、人工知能による新サービスおよびプロダクト開発を行うとしている。今後はプロダクト開発に向けての人材を採用するほか、ウェルネスプラットフォームを強化するためM&Aや事業出資、マーケティングやプロモーションなどを進める。

ソフトバンクが10月に開催した新製品発表会の中で、IBMの人工知能「IBM Watson」を活用したヘルスケアサービス「パーソナルカラダサポート」(2016年3月以降提供予定)をFiNCとソフトバンクの共同開発で提供することが発表されていた。今後はこの製品や新プロダクトの開発を進めるということだろう。

またFiNCは10月にソフトバンクやANA、ネスレ日本、みずほ証券など発起人20社による「ウェルネス経営協議会」を設立すると発表している。今回の出資企業の一部はその発起人企業でもある。

ヘルスケアスタートアップのFiNCが個人投資家と銀行借入で6.5億円を調達

finc01利用者個人に最適化したダイエットプログラムと専属の「ダイエット家庭教師」によるダイエットプログラム「FiNCダイエット家庭教師」などを提供するヘルスケアスタートアップのFiNCが今日、個人投資家への第三者割当増資と、みずほ銀行や日本政策金融公庫などの金融機関からの借入を含めて総額6.5億円の資金調達を実施すると発表した。第三者割当増資と借入の比率は非公開。今回参加する個人投資家には、元サッカー日本代表監督の岡田武史氏やイー・アクセス株式会社創業者の千本倖生氏らが含まれるという。FiNCは2012年4月創業で、2014年9月にも同様のスキームで数億円規模の資金調達をしている。

同社は資金調達により、人工知能を利用したソリューション開発への投資や人材採用、ウェアラブルデバイスの開発などを行う。2015年中にリストバンド型のウエアラブル端末を開発することを予定していて、利用者の歩数や消費カロリーなどのデータを端末で自動記録し、健康指導の効果を高める目的でアプリとの連携を考えているという。また今回の資金調達に合わせて、全国でスポーツジム「ジョイフィット」をを運営するウェルネスフロンティアと提携。ダイエット家庭教師を利用すると2カ月間、全国のジョイフィットを自由に利用できる取り組みも始めるという。

60DAYSグループダイエットプログラム」と名付けられた新プログラムはダイエット家庭教師同様に、食習慣や生活習慣に関するアンケートに基づいてダイエット方法を提案・指導、食事の選び方や食べる順序、トレーニングプログラムなどを60日間スマートフォンを通じてサポートする。これに加えて、これまでのマンツーマンでの指導とは異なり、参加時に専門家と利用者3〜6人をアプリ内のソーシャルコミュニティとしてグループ化。ユーザー同士で専属ダイエット家庭教師からのレビューを共有したり、互いにコメントや励ましのスタンプを送り合ったりすることができるようにするという。

また、FiNCでは従業員の心身の健康増進をサポートする法人向けサービス「ウェルネス経営ソリューション」:も提供しているが、こうした法人サービスでもジョイフィットと連携していく予定だとしている。

オンラインダイエットプログラムを展開するFiNC、数億円の資金調達を実施

左から元ミクシィ代表取締役の朝倉祐介氏、FiNC取締役副社長 CFOの乗松文夫氏氏、FiNC代表取締役CEOの溝口勇児氏、元オプト代表取締役CEOの海老根智仁氏

オンラインを中心にしたダイエットプログラム「FiNCオンラインダイエット家庭教師」を提供するFiNCが9月12日、伊藤忠テクノロジーベンチャーズ、グリーベンチャーズ、リンクアンドモチベーション、MIDベンチャーキャピタル、元ミクシィ代表取締役の朝倉祐介氏、元オプト代表取締役CEOの海老根智仁氏を割当先とした第三者割当増資を実施したことを明らかにした。あわせてみずほ銀行などからの融資も実施している。調達額およびバリュエーションは非公開だが、数億円になるという。またこれにあわせて朝倉氏と海老根氏が同社の戦略顧問に就任する。

FiNCのサービスやビジネスモデルについては、以前に紹介したとおりだが、遺伝子検査や血液検査、アンケートに基づいて、管理栄養士によるダイエット指導が受けられるというもの。

ユーザーがサイト上に毎日の食事と体重を写真と共にアップロードすると、60日間のプログラム期間中、栄養士からの評価や指導が受けられる。もちろんスマートフォンでの利用が可能。このほか、東京・永田町と銀座にある同社のスポーツジムや、提携するジムの利用などが可能になる。また、遺伝子検査の結果に応じて独自に組み合わせたサプリメントも提供している。このサプリメントは、プログラム終了後も約50%のユーザーが継続購入しているそうだ。

前回の記事で僕もこのプログラムを利用させてもらっていると紹介したが、その後厳しい指導のおかげで7.5kgのダイエットに成功している(とりあえず終了して2週間ほどでのリバウンドも無いようだ)。

元みずほ銀行常務も参画

話を調達の内容に戻そう。今回の調達では、人材採用による体制強化、本社移転(すでに8月に実施済み)、プロモーションの実施を行うという。

人材採用に関しては、元みずほ銀行常務の乗松文夫氏が取締役副社長 CFOとして同社に参画したことが8月に発表されている。今回の資金調達に関しても、特に融資の面で尽力したという。金額こそ非公開だが融資額も小さくない金額だそうで、シリーズAでの億単位での調達において、あまり株式を希薄化することなく調達に成功しているという。

また、栄養士やトレーナーといった専門職のネットワーク構築を進める。前回の記事でも紹介したとおりだが、クラウドソーシングの仕組みを利用したり、提携スポーツジムを増やすなどして、1000人規模まで拡大する見込みだそうだ。

実は現在プログラム自体は「宣伝もしていないし大きな数字ではないが、満員御礼な状況」(FiNC取締役COOの岡野求氏)だそうで、専門職の人材不足がボトルネックになっているそう。今後は人材や会社の基盤を年内にも確立し、年明けに向けて、プロモーションを強化していくそうだ。「意識的に営業を抑えているが、法人も含めて正直売り込んでいける先はあると思っている。ここ数カ月は内部の業務フロー確立を進める」(乗松氏)

またFiNCでは、料理関係の新事業なども予定。そのほか、時期こそ明らかにされなかったが、海外進出も検討しているという。

ところでこのFiNC、プログラム自体は60日で終了するのだが、ユーザーのLTV(ライフタイムバリュー:継続的な取引でユーザーが企業にもたらす価値)を上げる施策などは考えているのだろうか? 岡野氏は「ビジネスモデルは一時的なプログラムではない。極論だが、最終的にはダイエットだけは無料でもよいと思っている。属性に基づいた宅配やキュレーション、広告などいくらでも検討できる」と将来について語ってくれた。


スマホと遺伝子検査で個人に合ったダイエットを指導する「FiNC」を使ってみた

語学から美容、ダイエットまで、いわゆる「コンプレックス産業」の市場は大きい。例えば語学ビジネスの市場規模(英会話教室やeラーニングなどの主要14分野の合計)は2012年度で7892億円、エステティックサロンの市場規模は2013年度で3554億円、メタボリックシンドローム関連市場(ダイエットや予防から治療まで含む)に至っては、2004年で7兆5000万円という数字が発表されている(いずれも矢野経済研究所調べ)。

そんな巨大市場に挑戦するスタートアップがFiNCだ。同社は3月から、オンラインでの指導を含めたダイエットサービス「REPUL」を提供。6月18日より名称を「FiNCダイエット家庭教師(FiNC) 」に変更して本格的にサービスを開始した。

FiNCではまず、遺伝子検査や血液検査、300項目にわたる生活習慣に関するアンケートを実施。検査結果に基づいて、管理栄養士が「ダイエット家庭教師」となり、60日間でダイエットの知識や食事のバランス、食べる順番、トレーニング方法といった体質に合ったダイエット方法を指導するほか、電話やSkypeで相談を受ける。上位プランでは同社が運営するスポーツジムや、提携する全国200のスポーツジムを自由に利用できる。栄養士に関してはクラウドソーシングを活用しており、サービス開始時点で50人をネットワークしている。

基本的なサービスとしては、毎日専用サイトで朝、昼、晩の食事と、朝晩の体重を専用のサイトに登録する。食事の内容に対しては栄養士から5段階での評価や、指導のコメントが付く。なお食事はもちろんのこと、体重計の写真までアップロードを求めることで、虚偽の申告を防いでいる。

先に言っておくと、僕は約1週間ほど有料サービスをモニターとして利用させてもらっている。その上での感想だが、これがなかなかよくできているのだ。炭水化物や脂質の多い食事だと栄養士から厳しい指導が入るし、毎日の体重を数字で意識することになるので、否が応でも体重を減らすよう意識をするようになる。これまで自分1人ではダイエットを継続できなかった人間にとっては、この“鬼コーチ”の存在は大きい。蕎麦と野菜天丼を食べたあと、「炭水化物×炭水化物、やってしまいましたね…」と栄養士からコメントがあった際にはさすがに参ってしまったが、実際1週間弱で1.5kgほど体重を落とすことができた。FiNCによると、これまで数百人が利用して、平均減量値は6.3kg、途中で脱落したのは2人ほどだそうだ。取締役COOの岡野求氏も7kgを落としたと語っていた。

また日々の行動によってポイントが貯まるようになっており、ダイエット終了時にAmazonのギフト券や同社の商品と交換できるという仕組みになっている。

価格は食事指導の回数やサプリメント提供の有無などで30日2万9800円〜60日9万9000円のプランまで3種類を用意する。プログラム終了後も約半数が月額1万円程度のサプリメントなどを購入しているそうだ。

スマートフォンがビジネスチャンス

「たとえジムに来てもらっても、1週間168時間のうち、2時間ほどしか指導できない。でもそこ以外をカバーしないと意味がない」そう語るのはFiNC代表取締役社長 CEOの溝口勇児氏。同氏は高校在学中からフィットネスクラブの運営・コンサルを手がける企業に入社したのちに独立。自身でフィットネスクラブの運営やコンサルティングを手がけてきた。

同氏が手がけるフィットネスクラブはすでに黒字経営。また、DNA検査やサプリメントなども独自に提供してきたとのことだったが、いざダイエットを成功できるかというと、意志の強い人間でもない限り、前述の“指導をしない166時間”をうまく使うことは難しい。そこで、スマートフォンを利用した指導で1週間168時間の指導を実現すべく、FiNCを立ち上げるに至ったそうだ。「スマートフォンによって、対面でしか提供できなかったサービスを非対面でも提供できるようになった」(溝口氏)

今後は、BtoCでのサービス展開のほか、BtoE(法人の福利厚生)、BtoBtoC(各種スポーツジムと提携してのサービス提供)でのビジネスも予定している。また、食事評価の機能だけをアプリ化し、今夏にもフリーミアムモデルで提供する予定もあるそうだ。将来的にはDNA検査や血液検査を無料にすることも予定する。さらには定期宅配なども予定で、溝口氏は「家庭の冷蔵庫をとっていく」と語る。

ダイエットというと、都市伝説のようなモノからFiNCのように科学的な検査をもとにしたものまで幅広く、ともすれば怪しく見られがちだ。だがネット、スマホと結びついて大きく飛躍する可能性を持つサービスは少なくない。

米国では、糖尿病予防プログラムを展開するOmada HealthがAndreesen Horowitzなどから2300万ドルを調達。ダイエット支援アプリのnoomも7億円を調達して話題になった。FiNCでも、事業シナジーのあるCVCを中心にした資金調達に動いているという。「競合は出てくると思っている。どうぞまねして下さいという気持ちだ。僕らは何歩も前に行く。あとはお金だけというところになってきたので、やりがいもある」(溝口氏)