UberやLyft、DoorDashなどが反対していたギグワーカーのための法案、カリフォルニア州下院法案5号(Assembly Bill 5、AB5)が州上院を通過した。その直前にはGavin Newsom(ギャビン・ニューサム)州知事がこの法案を公式に支持すると署名入り記事で述べていた。
AB5はギグエコノミーの労働者に最低賃金と、労災保険などの福利厚生を確保する。
州上院はこの法案を米国時間9月10日夕方、29対11の票決で通した。すでにこの法案を承認していた下院は今後、法案の修正に関して票決する。そして法案が下院を通れば、支持を表明しているニューサム知事のところへ行く。
労働者団体Gig Workers RisingのメンバーでドライバーのEdan Alva(エダン・アルヴァ)氏は声明で「AB5は始まりにすぎない。毎日のように、変化を求めるドライバーたちの声を聞くが彼らは恐れている。自分の唯一の収入源を失いたくないからだ。でも、仕事がどうしても必要であることは、彼らの労働者としての権利が踏みにじられてもよいことではない。だからこそ団結は重要だ。それがなければ、何も実現しなかっただろう」とコメントしている。
法案は2018年12月に提出され、ロサンゼルスの高等裁判所でDynamex Operations West社に対して下された裁定を法文化することを狙っていた。その訴訟では裁判所は被雇用者かそうでないかを判定するためのABCテストを使って、Dynamexが同社の労働者たちを不正に独立の契約労働者と分類していたと判決した。裁判官は「雇用者のためにサービスを実行する労働者は被雇用者であり、賃金や福利厚生に関し主張しうる」と述べた。
契約労働者として働く1099名の労働者は自分でスケジュールを決め、いつどこでどれだか働くかを決められる。雇用主にとっては、1099名を契約労働者として雇用すれば、給与税や時間外給与、労災保険などの福利厚生を払わずにすむ。
そのABCテストでは、雇用者が労働者を合法的に契約労働者と分類できるためには、労働者がコントロールされないこと、雇用者から指示されないこと、一定範囲以外の仕事をさせられないこと、そして頻繁に「その仕事と同質の仕事や職業や事業に関与している」こと(フリーの専門職)を証明しなければならない。
この法案の主なターゲットに属するUberとLyftは猛烈に反対した。先月、UberとLyftとDoorDashは、この法案が成立しないためなら何でもすると言い出した。ドライバーが被雇用者なら、企業の営業コストが増えるからだ。
Lyftのスポークスパーソンはメールでこう声明した。「本日我々の州の政治のリーダーたちは、圧倒的多数のライドシェアドライバーたちを支援する重要な機会を逃した。彼ら圧倒的多数は、収入のスタンダードと福利厚生を柔軟に均衡させる思慮あるソリューションを求めている。AB5の起草に50以上もの業界が関わったことは、きわめて示唆的である。この問題をカリフォルニアの州民投票にかけて、ドライバーとライダーが望み必要とする自由が保全されることを、心から切望する」。
UberとLyftとDoorDashはそれぞれ3000万ドルずつ資金を拠出して、2020年に州民投票を行い、ドライバーをあくまでも独立の契約労働者として位置づけるつもりだ。
ニューサム知事が署名すれば、この法案は2020年1月1日に法として発効する。
AB5が上院を通過した。LorenaAD80の尽力に感謝したい。組織づくりに何年も費やした全州のドライバーたちと共に祝福したい。次は、本物のドライバー組合づくりだ!
【訂正】AB5は上院による修正を票決するため下院に戻される。TechCrunchはこのことを表すために見出しと記事を修正した。
画像クレジッ:TechCrunch/MRD
[原文へ]
(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa)