macOSのChromeがSafariより高速に、グーグルが発表

Google Chrome(グーグル・クローム)のバージョン100が数週間以内にローンチされるが、いまだにブラウザを高速化する余地はまだ残されている。Google(グーグル)が米国時間3月7日に発表したように、macOS上のChromeのバージョン99は、Apple(アップル)のWebKitチームが独自に開発したSpeedometerベンチマークで300点を獲得することに成功した。これは、これまでのブラウザの中で最速のパフォーマンスだと、Googleは指摘している。

Speedometer 2.0は応答性をテストするため、ユーザーエクスペリエンスの良い尺度となる。Mozilla(モジラ)のFirefox(ファイヤーフォックス)とAppleのWebKitベースのSafari(サファリ)を例外として、ほとんどのベンダーが同じChromiumコードベースでブラウザを構築している現在、ブラウザ市場の競争が速度に焦点を当ててからしばらく経つ。しかし、だからといって、さまざまな開発チームがユーザーエクスペリエンスを高速化する方法を考えるのをやめたわけではない。多くの成熟したテクノロジーと同様に、最近は大きなブレークスルーが見られないだけだ。Interop 2022の一環として、各社のブラウザをウェブ標準により適合させるために集まっていても、各ベンダーの競争がなくなったわけではない。

新しいチップが登場すれば、常に最適化の余地がある。元々、AppleのM1チップ上のChromeのパフォーマンスは合格点だったが、このArmベースのチップの発売から15カ月後、Chromeはこのチップ上で43%速く動作するようになったとGoogleは指摘し、さらにこの分野でのいくつかの新しい技術のおかげで、ブラウザのグラフィックパフォーマンスがSafariを15%上回ったと強調している。これは、Googleが2021年すでに発表した数多くの一般的なJavaScriptの最適化に加えて行われたものだ。

Windowsユーザーのためのニュースはないが、GoogleはAndroid上のChromeもまた、いくつかの改善がみられると述べている。同社は「ブラウザのユーザーインターフェイスのスレッドで重要なナビゲーションの瞬間」を優先するいくつかのナビゲーション最適化のおかげで、ページの読み込みが15%速くなるはずだと述べている。

このような変化に気づくだろうか?高速接続の最新ブラウザは、事実上どんなページでも瞬きする間にレンダリングする。しかし、ソフトウェアの応答性を感じるには、それほど多くの時間は必要ない。M1 Macの43%は、TikTok(ティックトック)の閲覧(あるいはJiraチケットの管理など、さまざまな場面)において、より生産的な感覚を覚えるだろう。

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(文:Frederic Lardinois、翻訳:Yuta Kaminishi)

グーグル、Chromeに過去の検索をスマートにグループ化する検索履歴ページを導入

Google(グーグル)は米国時間2月8日、Chromeのいくつかのアップデートを発表し、特に、ブラウザ上で過去の検索を再開する新しい方法を導入すると述べた。

「Journeys(ジャーニー)」と名づけられたこの新機能は、現在デスクトップ版のChromeで展開されており、過去の検索をトピックごとにスマートにグループ化することができる。この新機能は、関連する用語の検索を開始すると、ブラウザが自動的にハイライト表示する。また、ブラウザで有効にすると、新しいChrome History Journeyページに直接移動できる。

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「Journeysは、あなたがどれだけサイトにアクセスしたかを考慮して、最も関連性の高い情報を前面に押し出し、次に試したい関連検索の有益な提案もします」と、ChromeチームのプロダクトマネージャーであるYana Yushkina(ヤナ・ユシュキナ)氏は発表で説明した。

何かを調べ始めてから、別のプロジェクトのために中断したことがある人は、以前に訪れたサイトに戻る方法を見つけるのがいかに難しいか知っている。どのブラウザの履歴リストも、しばらくするとすぐに扱いにくくなるが、これまでどのブラウザベンダーも、履歴リストにあまり注意を払っていなかった。競争が激化するブラウザ市場において、長い間手つかずだったこの領域に、各ベンダーの革新が続くと思われる。

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Googleは、ブラウザが自分のためにこれらのクラスタを構築することに抵抗がある場合、ユーザーはこの機能を完全にオフにすることができると強調している。Googleは、Journeysはデバイス上でのみ履歴をグループ化し、クラスタはデバイス上で生成されるだけだと述べている。Googleアカウントには何も保存されない。

ところで、これらのトピックは、広告目的のクッキーを置き換えるGoogleの最新の提案であるTopics(トピック)とはまったく関係がない。これらのTopicsは、訪問したサイトを、あらかじめ設定された約300のトピックを中心にクラスタ化するもので、明らかに基本的な機能の重複が見られるが、Googleの広報担当者は、両者はまったく関係がないとのことだった。

関連記事:グーグルが脱クッキー技術「FLoC」を廃止、代わる新機能「Topics」を公表

この新機能は現在、英語、ドイツ語、スペイン語、フランス語、イタリア語、オランダ語、ポルトガル語、トルコ語のOSで展開されている。

Journeysに加え、Googleはさらに多くのChrome Actionsをブラウザに導入している。これは、アドレスバーで適切な種類のトリガーワードを使用することでアクセスできる機能だ。新しいアクションには「Manage settings」「Customize Chrome」「View your Chrome history」「Manage accessibility settings」「Share this tab」そして最も重要かもしれない「Play Chrome Dino game」などがある。楽しいが、数回クリックすれば同じ目的地に早くたどり着けるのに、本当にこれだけの文字を入力したい人がどれだけいるかはわからない。

モバイルユーザーのために、Googleは、Androidでいくつかの新しいChrome関連のウィジェットを導入している。例えば、恐竜ゲームにアクセスするためのものがあり(ここにテーマを感じる)、他のものはテキスト、音声検索、ビジュアルレンズ検索機能など、ホーム画面からの検索を開始することに重点を置いている。

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(文:Frederic Lardinois、翻訳:Yuta Kaminishi)

【コラム】大手テックの考えや政策で変化し続けるインターネットの世界で道を切り開くために

現代のインターネット事情を語るとき、まず1番に頭をよぎるのはGoogleの圧倒的な市場シェアである。

最新のレポートによると、Googleは世界の検索市場の87%近くを、Chromeは世界のブラウザ市場の67%以上を占め、全世界で26.5億人のユーザーを擁している。そのため、オンラインツールを開発するスタートアップは誰もが何らかの形でGoogleのパートナーであると考えなければならない。しかしGoogleがこのように市場を支配しているということは、ブラウザの優位性を活かして規制を好きなように変更できてしまうということでもある。

実際、Googleは過去10年間にわたり、オンラインスタートアップに対する一定の制限をChrome上に織り込んできた。数年前からGoogleは「単一目的の拡張機能」ポリシーを施行し、拡張機能を一焦点やブラウザ機能に限定するよう求めている。

近年、Googleはユーザーのセキュリティとプライバシーを向上させることを目的としたChrome拡張機能を構築するための新しい仕様であるManifest V3の計画を発表した。原則的にChromeウェブストアは、2022年1月以降従来のManifest V2ガイドラインで構築された新拡張機能を受け付けなくなり、またその翌年までにManifest V3の規制に準拠していない既存のプログラムはすべて停止されることになる。

これにより多くのスタートアップは生死を分けるシナリオに直面することになる。時間とリソースを費やして自社製品をManifest V3に適応させるか、あるいはChrome内で完全に存在しなくなるかのどちらかを迫られるということだ。実際、他の企業と同様にこの問題に直面しているのが、私の雇用主であるGhosteryである。

こういった課題に落胆している人々も多いかもしれないが、実際のところGoogleはこの障害がこの分野の個々のプレイヤーにどのような影響を与えるのか、真摯に耳を傾けてくれている。開発者らの見識を集めるため、ロールアウトのスケジュールを延長さえしてくれているのだ。スタートアップはこの延期期間を最大限に活用して、自社の移行に関する具体的な課題を伝えておくべきである。

Chromeの今回のアップデートは、オンラインでイノベーションを起こしているスタートアップが、いつ何時、不意打ちを受けてもおかしくないということを示す一例であり、これらのポリシーを常に把握し、このような細かな変更に対応できる適切なエンジニアを配置するためのリソースを常に確保する必要があるというリマインダーでもある。

何であれ、コアビジネスをインターネット上で行うというのは、自社のことを広く認知してもらうことができ、簡単にインストールでき、熱心なユーザーにアクセスできるなどの紛れもない利点がある。Googleのような大手企業がスタートアップと協力して、すべての関係者にとって最適なソリューションを見つけようとしているならば(実際にそうしているように感じられる)、このようなオープンなコミュニケーションチャネルを利用して、自社の製品をアピールできるか否かは中小企業次第なのではないだろうか。

ネットワークを活用する

幸いなことに、変化し続けるインターネットの世界でスタートアップが一社で立ち向かう必要はない。あらゆる企業が同じエコシステムの中で活動しているため、サポートやアドバイスを得るために関連企業の広大なネットワークを利用することが可能だ。オンライン分野のスタートアップは、自分たちの課題内で孤独に戦うのではなく、エコシステム内のすべての企業に影響を与える絶え間ない変化において団結すべきなのである。

例えば私たちはManifest V3に対応するため、ウェブ拡張のW3Cグループに参加した。このコミュニティで当社のユースケースを共有し、影響を受けた他の企業と協力することにより、最新のガイドラインに合わせて当社の技術を調整することができる。リソースを共有して共同作業を行うことで、適応プロセスの早い段階でトラブルシューティングを行うことができるのである。

同じようなグループを探したり、創業者やビジネスリーダーのネットワークに直接相談したりして製品や一般的なビジネスの方向性を決めるため、このような過渡期にはスタートアップコミュニティに寄り添うべきなのである。

さまざまな方法で適応できるようになる

オンラインでイノベーションを起こしているスタートアップ企業は、ヒーロー製品に適応するためのリソースを積極的に配分するだけでなく、製品のロードマップを常に見直し、提供する製品を多様化するためのユニークな機会を模索する必要がある。

インターネットの歴史において変化のない年はなく、安定しているのは、エコシステムの中で人々は常にカスタマイズのオプションを望んでいるということだけである。鋭敏なスタートアップはeコマースツールからパスワード保護システム、プライバシースイートなど、最新かつ最高のソリューションを提供する準備を整えている。

企業によっては、Chrome以外の製品開発にも時間を割き、FirefoxやSafariなどの代替ブラウザが提供する機能を研究する必要があるかもしれない。大手企業はブラウザのカスタマイズに関する独自のポリシーを持っているため、スタートアップはまったく新しいユーザー層に門戸を開き、異なるシステムに対応した独自の機能を構築することができるのである。

モバイル分野に進出し、オンライン上の革新的な技術をiOSやAndroidでどのように利用できるか試すこともできるだろう。最終的にはインブラウザからモバイルアプリケーションまで、私たちのオンライン生活を網羅する製品範囲を持つことで、企業はオンライン世界の絶え間ない変化に対応できるようになる。最初から多角化をビジネスプランの一部にしておけば、このようなレジリエンシーの構築はずっと簡単になる。

常に変化することを受け入れる

オンラインツールやプログラムを開発しているスタートアップは政策の変更、規制の変更、市場の要求などの課題に常に直面しているが、ビッグテックとのコラボレーションを恐れずに適応可能な製品戦略を追求する企業は、消費者に最高の製品と体験を提供するための道を歩み続けることができるだろう。

自社のミッションを堅持し、かつ途中でアプローチを変更することを厭わないということが、将来にわたってイノベーションを成功させることにつながるのである。

編集部注:本稿の執筆者Pete Knowlton(ピート・ノウルトン)氏は、デジタルプライバシー企業Ghosteryの運用およびコミュニティのシニアディレクター。

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(文:Pete Knowlton、翻訳:Dragonfly)

Chromeベータ版はよりパワフルな新しいタブページ、ウェブのハイライト、検索の変更を実験的に実施

Googleは米国時間9月1日、Chromeベータ版ブラウザの新バージョンを発表し、ユーザーインターフェースとデザインにいくつかの重要な変更を行った。新しいタブページでは、従来のお気に入りのウェブサイトへのショートカットだけではなく、過去のウェブ検索履歴を表示するカードが追加される。その他の変更点としては、検索結果のナビゲーションがより簡単になり、ウェブ上の引用文をハイライトして共有することができるようになる。

新しいタブページのアップデートは、Chromeベータ版ユーザーが最初に気づく変更点の1つとなるだろう。

このデザイン変更の背景にあるアイデアは、レシピやショッピングなどで利用していたサイトを思い出すために閲覧履歴を調べる必要なく、過去のウェブでのアクティビティにすばやく戻るということだ。また、Googleドライブの最近使ったドキュメントのリストにもすばやく戻ることも可能で、Googleのサービスとのクロスプロモーションにもなる。

画像クレジット:Google

ページには、単なるリンクではなく、Googleが「カード」と呼ぶものが表示され、例えば、最近訪れたレシピサイトでアイデアを探していたり、編集を終えなければならないGoogleドキュメントがあったり、ショッピングカートに入れたままになっている小売業者のウェブサイトにアクセスしたりすることができる。後者は、Googleがオンラインショッピングへの投資を拡大していることに関連している。Googleはすでに、商品リストを無料にしたり、Shopifyといったeコマースプラットフォームと提携したりすることで、この分野でのマーケットシェアを拡大しようとしている。

関連記事:Googleがオンラインショッピング拡大でShopifyと提携

Googleは、Amazonの広告ビジネスが急成長していることに懸念を抱いている。同社の「その他」カテゴリーの大部分を占めている広告事業は、第2四半期に前年同期比87%増の79億ドル(約8687億6000万円)を売り上げた。今回の変更は、Chromeの新しいタブを利用して、ショッピングを活性化させ、ユーザーの取引が完了することを期待してのものだ。

もう1つの変更は、ウェブでのリサーチをより簡単にすることを目的としている。Googleによると、ユーザーがプラットフォーム上で何かを検索する際、答えを見つけるために複数のウェブページに移動することがよくあるという。Android版Chromeで、アドレスバーの下に検索結果の残りの部分を表示する行を追加することで「戻る」ボタンをタップすることなく他のウェブページに移動できるようにしている。

画像クレジット:Google

Android版Chromeベータ版にも搭載された「quote cards(引用カード)」のテストも予定されており、ウェブサイトに上のテキストを使って、ソーシャル共有のための定型化された画像を作成することができる。ウェブサイトのテキストをスクリーンショットで残すことは、すでに一般的になっており、特にニュース記事の重要なポイントをTwitterやFacebook、Instagramといったプラットフォームのフォロワーと共有したい人にとって便利な機能だ。この新機能では、テキストを長押ししてハイライトした後「共有」をタップし、メニューから「カードを作成」をタップしてテンプレートを選ぶことができる。

すべての機能は、Chromeベータ版ブラウザの一部だ。実験を有効にするには、ブラウザのアドレスバーに「chrome://flags」と入力するか、実験ビーカーアイコンをクリックし、フラグを有効にする。これらの実験に関連するフラグは、#ntp-modulesフラグ(新しいタブページ)、#continuous-search(検索結果の変更)、#webnotes-stylizeフラグ(引用カード)だ。

これらの実験は、必ずしもChromeの機能として広く展開されるわけではない。その代わりにGoogleは新デザインのアイデアに関する大規模なユーザーフィードバックを集めており、一般公開前に機能を微調整できるようになっている。

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グーグルがRSSを復活させる
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(文:Sarah Perez、翻訳:Katsuyuki Yasui)

グーグルがRSSを復活させる

Chromeは、少なくともAndroidで実験的に提供されているCanaryバージョン(米国内のユーザーのみ)では、今後数週間のうちに興味深いアップデートが行われる予定だ。これは、Googleリーダーや同様のサービスで、お気に入りのサイトの更新情報を得るためのフォーマットとしてかつて人気を博したRSSを復活させるものだ。

もうすぐChromeでは、RSSをサポートしているサイトの「フォロー」機能が追加され、ブラウザの「新しいタブ」ページには、基本的に(非常に)ベーシックなRSSリーダーが表示されるようになる(ここまできたら「Googleリーダー」と呼んでもいい気もする)。

本格的なRSSリーダーの話をしているわけではない。「新しいタブ」ページでは、あなたがフォローしているサイトの更新情報が時系列で表示されるが、例えば、フィードを簡単に切り替えることなどはできないようだ。とはいえ、これは最初の一歩だ。

画像クレジット: Google

Google ChromeのプロダクトマネージャーであるJanice Wong(ジャニス・ウォン)氏は、米国時間5月19日のアップデートで次のように述べている。「今日、人々はお気に入りのウェブサイトを追うために、メーリングリストの購読、通知、RSSなど、さまざまな方法を利用しています。それらを1人ですべて管理するのは大変なことです。そこで当社は、オープンなウェブ標準であるRSSを利用して、お気に入りのサイトの最新情報をChromeで直接受け取れるようにする方法を検討しています。我々のビジョンは、ユーザーがウェブ上でお気に入りのパブリッシャーやクリエイターとの直接的なつながりを築けるよう支援することです」。

Googleの広報担当者によると、GoogleがRSSフィードをクロールする方法は「Chromeが最新かつ最高のコンテンツを『新しいタブ』ページの『Following(フォロー中)』セクションでユーザーに配信できるようにするために、より頻繁に行う」ように実装したとのこと。

RSSは、Web 2.0時代の基盤技術の1つだった。今でも、お気に入りサイトの最新情報を(フィードを提供しなくなったサイトもあるが)推薦アルゴリズムに邪魔されることなく、タイムリーに入手できる最も簡単な方法だ。ユーザーエクスペリエンスは必ずしも理想的ではなかったが、Googleリーダー(R.I.P.)やFeedly(フィードリー)のようなサービスがフィードの購読や更新情報の取得を簡単にするために多くの努力をし、RSSは常に非常に有用なものだった。しかし2013年、グーグルがGoogleリーダーをGoogle+の祭壇に捧げる犠牲にしたことで、熱烈なニュースジャンキーがFeedlyアカウントやNetNewsWireの古いコピーを持ち続けていたにもかかわらず、その時代は終わりを告げた。

GoogleがRSSをブラウザの中核機能として復活させたことは、多くの人にとって喜ばしいことだと思う。オープンウェブを好むのであれば、たまに不便さを感じることはあっても、RSSが進むべき道だ。

だが今のところ、これはあくまで実験に過ぎない。Googleは「Chromeでのユーザーとウェブパブリッシャーとのより強固なエンゲージメント」を構築するために「パブリッシャー、ブロガー、クリエイター、オープンウェブの市民」からのフィードバックを集めたいと述べている。願わくば、実験のままで終わらないで欲しい。

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カテゴリー:ソフトウェア
タグ:GoogleRSSChrome

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(文:Frederic Lardinois、翻訳:Aya Nakazato)

マイクロソフトの「Edge」ブラウザーがGoogleの広告技術「FloC」を無効化、事実上の「NO」か

マイクロソフトの「Edge」ブラウザーがGoogleの広告技術「FloC」を無効化、事実上の「NO」か

Ben Gabbe via Getty Images

GoogleはChromeブラウザにおけるサードパーティCookieを段階的に廃止していく一方で、新たな広告技術「FloC(Federated Learning of Cohorts)」の導入を計画しています。これは似たブラウジング行動をした人々をグループにまとめることで(個々人のブラウジング履歴はGoogleと共有しない)関連広告を表示する技術とされています。

これはGoogleのブラウザChromeにも実装される技術であり、同じくGoogleが管理するオープンソースのエンジン「Chromium」を使う他社のブラウザにも導入される可能性があります。その1つであるマイクロソフトのEdgeがFloCを無効化しており、事実上GoogleにNOと表明していることが明らかとなりました。

Chromiumのソースコードを確認すると、FloCはデフォルトでは有効とされています。つまりMicrosoft EdgeなどChromiumベースの他社ブラウザにも、コンポーネントを明示的に無効としない限り自動的にインストールされることになります。

しかし大手コンピュータヘルプサイトBleepingComputerによると、Edgeではコマンドライン引数を使ってFloCを有効にしてもブラウザ上で使用できないとのこと。つまりMSが意図的にFloCを無効にしていると解釈できるわけです。

マイクロソフトの「Edge」ブラウザーがGoogleの広告技術「FloC」を無効化、事実上の「NO」か

そこでMSに意図を問い合わせたところ、明確な回答は得られず、代わりに自社の広告提案PARAKEETが紹介されるに留まっています。

GoogleのFLoCに関しては「正しく実装される保証がない」として、ユーザーのプライバシーにとって重大な脅威になるとの批判が相次いでいます。Chromiumベースのブラウザ「Brave」は、「Why Brave Disables FLoC | Brave Browser」にてFloCがプライバシー保護を装いつつ、プライバシーに重大な損害を与えると指摘。また同じくChromiumベースの「Vivaldi」も「No, Google! Vivaldi users will not get FloC’ed. | Vivaldi Browser」を表明し、今まで以上にプライバシーを損なう危険なステップだと痛烈に批判しており、両社ともFloCは採用しないと明言しています。

Googleは現在、何千万人ものChromeユーザーを対象にFloCをテストしており、最終的には数十億人のChromeユーザーに展開する予定です。それに対して、Chromeには及ばないものの大きなシェアを持つMSのEdgeが実質的にNoを突きつけたことで、今後の動向に影響が及ぶのかもしれません。

(Source:BleepingComputer、Via:MSPoweruserEngadget日本版より転載)

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カテゴリー:セキュリティ
タグ:ウェブブラウザー(用語)オープンソース / Open Source(用語)Chromium(製品)Google Chrome(製品・サービス)広告 / アドテック(用語)FLoC(製品・サービス)Brave(企業・サービス)プライバシー(用語)Microsoft / マイクロソフト(企業)Microsoft Edge(製品・サービス)

GoogleがCookieに代わる広告ターゲティング手段FLoCをChromeでテスト開始

米国時間3月30日、GoogleはChromeのPrivacy Sandboxプロジェクトの重要な部分であるFederated Learning of Cohorts(FLoC)の、開発者によるトライアルを展開していることを発表した。

FLoCは、広告のテクノロジー企業がウェブ上でユーザーを追跡するために現在利用されているCookieに代わる技術だ。個人を特定できるCookieと違い、FLoCはローカルでユーザーのブラウジング行動を分析し、同じような興味を持つ志を持つ人々のグループにまとめる(ユーザーのブラウジング履歴をGoogleと共有することはない)。このコホートは、広告主が自分の行動を実行して関連広告を表示できるだけの限定的なものだが、マーケターが個人を特定できるほど具体的ではない。

Googleはこれを「関心に基づく広告」と好んで呼んでいるが、ユーザーが同じ関心を持つユーザーの群れの中に隠れてしまうことになる。ブラウザーが表示するのはグループ(cohort)のIDだけであり、ユーザーの閲覧履歴やその他のデータはローカルに残る。

画像クレジット:Google

トライアルは米国とオーストラリア、ブラジル、カナダ、インド、インドネシア、日本、メキシコ、ニュージーランド、そしてフィリピンでスタートし、Googleの計画では今後徐々にグローバルに展開されるという。2021年3月初めに明らかになったように、GoogleはGDPRなどのプライバシー規制を気にしてヨーロッパではテストを一切行わないい。特に、FLoC IDがその規制の下で個人データと見なされるかが不透明だ。

ユーザーは自分をデータの起点とするトライアルをオプトアウトできるし、Privacy Sandboxの各種トライアルをすべて拒否することもできる。

当然ながらFLoCは既存のオンライン広告システムの多くを否定するから、それが嫌な人たちもいる。広告主は当然、個人ユーザーをターゲットにできることを好むが、Googleの事前データによると「このようなグループ方式でも結果は前とほぼ同様であり、投じた広告費1ドル(約110円)当りに得られるコンバージョンレートは、Cookieを使う広告の場合のレートの95%以上」だという。

Googleによると、同社自身の広告プロダクトも、広告のエコシステムの中の競合他社とまったく同様に、CookieではなくFLoC IDにアクセスするという。

しかしこのプロジェクトを懐疑の目で見ているのは広告業界だけではない。プライバシー活動家たちも、このアイデアを完全には納得していない。たとえばEFF(電子フロンティア財団)は、FLoCによってマーケティング企業が、さまざまなFLoC IDを利用してユーザーの指紋を追跡するのが容易になると主張する。それはGoogleがPrivacy Budget という案で対応しようとしている問題だが、その効果はまだ未知数だ。

一方、ユーザーは広告業界が何と言おうと、広告を見ずに、そしてプライバシーを心配せずに単純にウェブを閲覧したいだろう。しかしオンラインのパブリッシャーたちは依然として、資金を広告収入に依存している。

このように、さまざまな関心がそれぞれ違う方向を向いているが、常に明白なのはGoogleが主導する企画をすべての人が喜ぶことはないということだ。その過程で摩擦が常に生まれる。そして、その他のブラウザーのベンダーが直ちに広告とサードパーティCookieをブロックすることはできるが、広告のエコシステムにおけるGoogleの役割は、それをさらにややこしくしている。単純ではない。

GoogleでPrivacy Sandboxを担当しているプロダクトマネージャーであるMarshall Vale(マーシャル・ベール)氏は、本日の発表声明でこう言っている。「他のブラウザーがサードパーティーCookieをデフォルトでブロックし始めたとき、私たちはその方向性に感激しましたが、その直接のインパクトが心配でした。プライバシーが守られるウェブを私たちは絶対的に必要としているから、感激するのは当然であり、しかもサードパーティーCookieが長期的な答えではないことを私たちは知っています。一方、心配なのは、今日では多くのパブリッシャーがCookieを使う広告に依存して自分たちのコンテンツ努力を支えていることです。そしてCookieのブロックがすでに、フィンガープリンティングのようなプライバシーを侵す抜け道を生み出していることです。つまりユーザーのプライバシーにとって、状況はますます悪くなっています。つまりサードパーティーCookieの完全なブロックを、エコシステムのための有効な代替を欠いた状態でやるのは無責任であり、私たちみんなが享受しているフリーでオープンなウェブにとって有害ですらあります」。

なお、FLoCや、Googleが主導するその他のプライバシーサンドボックスの企画はまだ開発途上である。同社によると、今回は最初のトライアルから学ぶことが主眼であり、学んだことに基づいてプロジェクトを進化させていきたいという。

カテゴリー:ネットサービス
タグ:GoogleChrome広告FLoCプライバシー

画像クレジット:MR.Cole_Photographer/Getty Images

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(文:Frederic Lardinois、翻訳:Hiroshi Iwatani)

Chromeで「シークレットモードでも個人情報を収集」発覚、Googleが約5000億円の集団訴訟に直面

Chromeで「シークレットモードでも個人情報を収集」発覚、Googleが約5000億円の集団訴訟に直面

Mateusz Slodkowski/SOPA Images/LightRocket via Getty Images

Chromeのシークレットモードは、閲覧履歴などを残さずWebサイトを閲覧できるとうたっています。しかし昨年(2020年)6月、Googleが本モード使用中も個人情報を集めているとの集団訴訟が米連邦地裁に提起されていました。

Googleの親会社であるAlphabetは本訴訟を取り下げるよう求めていましたが、地裁判事はこれを退け、Googleに対する集団訴訟を認定したと報じられています。

訴状によれば、ユーザーがGoogleの提供する広告をクリックするかどうかに関係なく、GoogleアナリティクスやGoogleアドマネージャー、スマートフォンアプリを含む他のアプリやWebサイトのプラグインが個人データを収集しているとのこと。原告の3人は、この行いが米国の盗聴法とカリフォルニア州のプライバシー法に違反していると主張しています。

Googleは原告らがプライバシーポリシーに同意したとして、本訴訟の却下を求めていました。裁判所に提出された書類では「“シークレット“とは『目に見えない』という意味ではなく、そのセッション中のユーザーの行動は、訪れたWebサイトや、そこで使用されているサードパーティの分析サービスや広告サービスから見える可能性があることを明示しています」と述べられています。

しかし連邦地裁のルーシー・コー判事は、Googleが「ユーザーがプライベートブラウジングモードにある間、Googleが疑惑のデータ収集を行っているとユーザーに通知していなかったと結論づけた」との判断を語っています。

原告の主張では、本訴訟は2016年6月1日以降、シークレットモードを使ってインターネットを閲覧したGoogleユーザーの「数百万人」が対象になる可能性が高いとのことです。そして1人あたり5000ドルの損害賠償が求められており、合計額は少なく見積もっても50億ドル(約5450億円)に達します。Googleがこの訴えに対して「強く異議を唱え、積極的に弁護していく」と全面対決の姿勢を示しているのも当然でしょう。

またGoogle広報は米Engadgetに「明確に記載されているとおり、新しいシークレットタブを開くたびにWebサイトがセッション中に閲覧アクティビティに関する情報を収集できる場合があります」との声明を出しており、引き続きユーザー追跡を行う模様です。

GoogleはChromeにおけるサードパーティCookieを2022年までに段階的に廃止していくと発表した一方で、それに代わりターゲティング広告の新たな基礎となるFLoC技術のテストを行う予定です。しかしGoogle本体は「ファーストパーティ」として引き続きユーザーを追跡でき、競合他社を排除して自らの優位を強める狙いとのOracleからの批判もありました。

つまりサードパーティCookie完全廃止についても「ただしGoogleによる個人情報の収集は続く」の構図は今回の件と共通しており、こちらでも集団訴訟が起こされる可能性もあるのかもしれません。

(Source:BloombergEngadget日本版より転載)

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カテゴリー:セキュリティ
タグ:Google / グーグル(企業)Google Chrome(製品・サービス)プライバシー(用語)

グーグルがChromeのリリースサイクルを6週から4週に短縮

米国時間3月4日、GoogleはChromeブラウザーのリリースサイクルを現在の6週間間隔(+隔週のセキュリティパッチ)から4週間に短縮すると発表した。それはシンギュラリティを速める1つの方法かもしれないが、Mozillaも2020年、4週間サイクルに移行している。

「Chromeのテストとリリースの工程を改善し、隔週のセキュリティアップデートによってパッチのギャップも解決したため、リリースサイクルを短縮して新機能をより早くお届けできることが確実になった」とChromeの開発チームは説明している。

しかしGoogleは、誰もがこれだけの早さを望んでいるわけでないことも承知している。特に、エンタープライズの世界では。そのためGoogleはエンタープライズ向けにExtended Stableオプション(延長安定版)を提供し、8週ごとのアップデートを届けるという。これを利用できるのはエンタープライズのアドミンとChromiumを組み込み用に使っているユーザーたちだ。そのユーザーたちも隔週のセキュリティは受け取るが、Googleは「これらのアップデートには4週オプションにある新しい機能やセキュリティフィックスはない」と注記している。

新たな4週サイクルが始まるのは、2021第3四半期のChrome 94からだ。これだけ速くなると、Chrome 100の安定版が出るのは2022年の3月29日になる。記念のケーキを期待したいところだ。

カテゴリー:ソフトウェア
タグ:GoogleGoogle Chrome

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(文:Frederic Lardinois、翻訳:Hiroshi Iwatani)

グーグルが「Cookie廃止後、それに代わる他のユーザー追跡技術を採用するつもりはない」と発言

これまでTechCrunchでは、複数のウェブサイトにわたるユーザーを追跡するCookie(クッキー)に代わるものを構築する試みについて何度か記事にしてきた。しかし、Google(グーグル)はそのような道をたどるつもりはないと述べている。

関連記事:米広告業界団体がCookieに代わるユーザー追跡方式を提案

この検索の巨大企業は、すでに同社のブラウザ「Chrome(クローム)」でサードパーティ製Cookieのサポートを段階的に廃止することを発表している。米国時間3月3日、Googleはさらにその先の方針を明らかにした。同社の製品管理ディレクターで広告のプライバシーと信頼を担当するDavid Temkin(デイビッド・テムキン)氏は「サードパーティのCookieが段階的に廃止された後、それに代わってウェブをブラウズする個人を追跡する識別子を我々が構築するつもりはありません。また、そのようなものを我々の製品で使用するつもりはありません」と、ブログ記事に書いている。

関連記事:グーグルはChromeでのサードパーティCookieのサポートを2年以内に段階的に廃止

「他のプロバイダーがウェブ上の広告トラッキングのために、例えばeメールアドレスをベースにしたユーザー識別情報のような、当社が提供しないレベルの(ユーザー識別)機能を提供する可能性があることはわかっています」と、テムキン氏は続けている。「私たちはこれらのソリューションが、ますます高まりつつある消費者のプライバシーに対する要望に合致するとは思いませんし、急速に進化しつつある規制に対応できるとも思えません。そのため、長期的に持続可能な投資ではないと考えます」。

これは、Googleが個人をターゲットにした広告を一切行わないという意味ではない。代わりに「集計、匿名化、オンデバイス処理、その他のプライバシー保護技術の進歩」のおかげで「デジタル広告の利点となるパフォーマンスを得るために、もはやウェブ上で個々の消費者を追跡する必要はない」とテムキン氏は主張する。

例としてテムキン氏は、現在Googleによってテストされている「コホートの連合学習(FLoC)」と呼ばれる新しいアプローチを提示した。これは共通の関心に基づくユーザーの大規模なグループをターゲットにした広告を可能にする。テムキン氏によれば、Googleは2021年の第2四半期に、広告主とFLoCのテストを開始する予定だという。

テムキン氏はまた、これらの変更はサードパーティのデータを対象とするもので、パブリッシャーが自サイトの訪問者を追跡してターゲティングする能力には影響しないと述べている。「私たちはパートナー企業がその顧客と直接関係を持てるように、我々の広告プラットフォームで、引き続きファーストパーティとの関係をサポートしていきます」。

しかし、そのFLoCについて、電子フロンティア財団が「プライバシー保護技術の対極」と表現し「行動的信用スコア」と比較していることは注目に値する。

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Cookieは業界全体で段階的に廃止されているが、英国の競争・市場庁は現在、独占禁止法上の懸念を理由にGoogleのクッキー廃止計画に関する調査を進めている。Googleが市場力を高めるために口実としてプライバシーを利用していると批判する声があるからだ。同様の批判は、近々施されるiOSのプライバシー変更をめぐりApple(アップル)に対しても寄せられている

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(文:Anthony Ha、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

GoogleがChrome開発者向け新機能を発表、拡張機能の新たなプライバシー規則も

Google(グーグル)のChrome(クローム)チームは米国時間12月9日、オンラインで開催された開発者カンファレンス「Chrome Dev Summit」において、開発者向けの新機能や、拡張機能開発者向けのルール改訂、そしてブラウザ全体のパフォーマンスを向上させるための新たなステップを発表した。

Chromeチームは、拡張機能開発者向けの大きな変更も発表した。2021年には、ユーザーが拡張機能でアクセスできるサイトをより細かく制御できるようになる。さらに同年1月からすべての拡張機能はChromeウェブストアで「プライバシープラクティス」セクションが設けられ、その拡張機能がどのようなデータを収集するかが詳細に説明されるようになる。

画像クレジット:Google

また、Chromeチームは同日、「Chrome 88」がStableチャンネルとなる2021年1月中旬に「Manifest V3(マニフェスト・バージョン3)」を導入することも発表した。これは多くの拡張機能開発者、特に広告ブロッカーの開発者が心配していたことだ。マニフェスト V3では、拡張機能開発者がユーザーからの多くのデータにアクセスすることを防ぐ新しい制限が課せられるが、拡張機能がウェブページと相互作用する方法にも比較的厳しい制限が設けらている。グーグルは受け取ったフィードバックに基づき、V3にいくつかの変更を加えたというが、おそらくこれが最後ではないだろう。

しかし全体的には、もしあなたがChromeユーザーであるなら、この日のイベントで最も歓迎すべきニュースは、チームが2020年初めにいくつかのアップデートでブラウザーの全体的なメモリフットプリントの削減に取り組んだように、V8 JavaScriptエンジンに取り組み、そのメモリフットプリントも削減しているということかもしれない。さらにチームはV8を高速化し、サイトのJavaScriptファイルを並列にロードして、ページが実行したいと思った瞬間に使用できるようにすることで、解析の一時停止を排除する新しい方法を見つけた。

チームは、ブラウジング体験を高速化するための新しい方法にも引き続き取り組んでおり、Chromeのコンパイル方法を実際に変更することでこれを実現している。この変更は2020年の夏、Chromeのベータチャンネルに実装された時に初めて言及されたものだ。

「Chromeの利用パターンを見て、ユーザーが実際どのようにChromeを利用しているかを洞察した上で、Chrome自体をより効率的にコンパイルする方法で何かできることはないかと、我々は自問しました。答えはイエスであることがわかりました」と、グーグルのBen Galbraith(ベン・ギャルブレイス)氏は私に語ってくれた。「【略】私たちはこれをプロファイルガイド最適化と呼んでいますが、(特定の)シナリオでは、これらのタスク固有コンパイラの最適化によって、ページロードが最大10%速くなることがわかりました。ほとんどのシナリオは2〜5%の範囲ですが、現在ほとんどのブラウザエンジンがどれだけ成熟しているかを考えると、これは大きな違いです」。

チームは最近、タブのスロットリングを改善し、フォアグラウンドとバックグラウンドのタスクに効率的にリソースを割り当てる方法にも取り組んでいる。ギャルブレイス氏によれば、今後もこれらの作業をさらに進めていく予定だという。

開発者も、グーグルの「Web Vital(ウェブ バイタル)」イニシアチブの一環として、ウェブアプリのパフォーマンスを向上させるための新しいツールを手に入れることができるようになる。これは開発者に、ユーザーがそのウェブアプリをどのように体験しているかを理解するの役立つ、適切なパフォーマンスメトリクスを提供することが目的だ。

Google検索では、2021年5月からこれらのコアメトリクスの一部がランキングに使われる予定だ。グーグルはすでにChromeユーザーエクスペリエンスレポートやSearch Console(サーチコンソール)などでこのデータを強調しているが、今回のイベントではオープンソースのWeb Vitals Reportツールを発表。開発者がGoogleアナリティクスに送信したWeb Vitalsデータに基づいて、カスタマイズした可視化データを作成できるようになる。Googleアナリティクスは現在、Web Vitalsのコンテクストでこのデータを表出していないので、開発者はグーグル独自のホスティングツールを使用してこれらのレポートを実行したり、コードをフォークして独自のインフラストラクチャ上で実行することができる。

画像クレジット :Google

「さまざまなメトリクスがありますが、私たちは自分たちが最も理解しているものに焦点を当てています。読み込み時間、視覚的な安定性、そしてインタラクション、つまり何かをクリックすると実際に何かが起こるということです。これらのメトリクスのミッションは、ユーザー体験の質を本当に理解できるようにすることです」とグーグルのDion Almaer(ディオン・アルマー)氏は説明している。

それだけではない。プライバシーの面においてグーグルは「Privacy Sandbox(プライバシーサンドボックス)」モデルの改良を続けている。そこには2つの新しい実験が追加された。クロスサイト識別子を使用せずに広告のコンバージョンを測定するClick Conversion Measurement API(クリックコンバージョンメジャーメントAPI)と(web.dev記事)、サイトが信頼するユーザーに暗号トークンを発行できるようにする新しいTrust Token API(トラストトークンAPI)だ(web.dev記事)。このトークンの背後にある考え方は、ブラウザが別のコンテクストでもこのトークンを使用することで、ユーザーが自分の言う通りの人物であり、悪意のあるボットや詐称者ではないと評価できるというもの。

さらに、PWAを書きたい開発者のための新機能や、開発者がChromeで支払いを受け付ける方法のアップデートなども発表された。

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タグ:GoogleGoogle Chrome

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(翻訳:TechCrunch Japan)

Chrome開発チームよありがとう!今度のアップデートで軽く、速くなるぞ

2008年にGoogle Chrome(クローム)が登場して以来(未訳記事)、それは常に私の生活に寄り添ってきた。実際、Chromeのローンチは、私が当時働いていたスタートアップを、初めてTechCrunchに取り上げてもらう役に立った(未訳記事)。

私たちは祝杯をあげ、Chromeは輝いていた。私たちは初日からのファンだった。

しかし、時間が経つにつれて、Chromeは少し遅くなり、少し重くなり、そして少し悪化して、かつてのロマンスはすっぱいものとなり始めた。

この劣化はGoogle検索で起きたことと似ていた。そこでは非常に良いアイデアが機能性、スピード、ユーザーの幸せを犠牲にして、ゆっくりとより多くのお金を稼ぎ出すものに変わっていった。その進化の自然な成り行きの詳細はここに(CNBC記事)。

私は短気な子供のようなので、Chromeに起きたことに当惑させられてきた(使うために1ドルも支払ったことがないソフトウェアではあるが)。問題点をはっきりさせるために、何年もの間、Chromeに対して発した文句を1つか2つのツイートにまとめようとしたが、結局5月以降の少なくとも9つの例を見つけて私はうんざりした気持ちになった(12345、6、 789)。話を先に進めることにしよう。

一体、Chromeに何が起きてしまったのだろう?私にはわからない。時間が経つにつれて、RAMの使用量、処理の遅れ、そして一般的な使いにくさが増していった。しかし、G Suiteの世界に住んでいた私には、Chromeの世界に留まることは合理的だった……そのため私は我慢していた。

だがその我慢も、もう不要になるのかもしれない。今週Googleは、もうすぐ行われるChromeアップデートに関する詳細を発表した。この内容読み通すことで、想像される現実の世界への影響は本当に素晴らしいもの。我らがGoogle(グーグル)は、ブラウザをより速く、メモリ使用量を軽く、スマートにする方法を見つけるために、そのコードを深く掘り下げたようだ。

私はとても興奮している。

何がやってくるのだろう?グーグルによるより一般ユーザー向けに行われたブログ投稿ではなく、GoogleのChromiumブログからその内容を抜き出そう(この一連のアップデートに対する私の注意を引いてくれたVergeへは強く感謝したい)、ここに示したのはあくまでも私が気にしている内容だ(各引用文中で太字になっている部分はTechCrunchによるもの)。

多くのタブを開いている場合でも、タスクを完了するためには、それらの一部にしか注目していない可能性があります。今回のリリース以降、関心のあるタブをすばやく表示するために、Chromeはパソコンのリソースを積極的に管理します ―― タブを何百個も開いたままにしておくことが可能になります ―― このため作業を中断したところから再開することが可能になります。

このリリースでは、タブスロットリング(バックグラウンドのタブの消費リソースを抑える)、オクルージョントラッキング(表示されていないタブの消費リソースを抑える)、バック / フォワードキャッシュに対して、Chrome がリソースを理解および管理する方法が改善されました。そのため必要なときに必要な情報をすばやく取得できるようになります。

Googleよ、これは文字通り私のことだ。信じられないものを見たようだ。ありがとう。

バックグラウンドタブがシステムリソースをどのように使用しているかを調査し、JavaScriptタイマーがバックグラウンドタブの作業の40%以上を占めていることがわかりました。ブラウザをより効率的にするには、それらのCPUと消費電力への影響を減らすことが重要です。M87以降は、バックグラウンドタブにおけるJavaScript タイマーのウェイクアップを1分に1回に調整しています(開発者向け文書)。これにより、CPU使用率を最大5分の1に削減し、内部テストによればバッテリ寿命を1.25時間伸ばすことができました。

世界が再び動き始めたら、この作業に参加した全員にランチを御馳走したいくらいだ。

次に、これまではChrome OSとMacには追加されていたオクルージョントラッキング(開発者向け文書)をWindowsにも取り込みました 。この機能はChromeがどのウィンドウやタブが実際に表示されているのかを知るための機能です。この情報によって、Chromeは最小化しているタブではなく、実際に使用しているタブのリソースを最適化することができます。これによりChrome の起動速度が最大25%、ページの読み込みが7%高速になり、メモリ使用量も削減されます。

いいぞ、その通りだ。

ウェブサイトを訪問し、別のページに移動するためにリンクをクリックした後で、そこが求めていたページではなかったことに気がつき『戻る』ボタンを押したことが何回ありますか?【略】Chrome 87では、バック / フォワードキャッシュがそうしたバック / フォワードナビゲーションの20%が瞬時に実行されるようにします。近い将来には、さらなる改善と開発者の支援を通じてこの数字を50%に増やす予定です。

これが必要だということに気がついてはいなかったが、確かにこれは必要だ。それを早く使いたい。

ともあれ、Chromeの内部についてのこの短い記事を書きながら、私は新しく改良されたChromeに対する強い興奮を抑えることができない。ある程度使ってみて、さらにレポートするつもりだが、とにもかくにもやったぜ!という気持ちだ。

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(翻訳:sako)

GoogleがGmail、ドライブ、FitのiOSウィジェットを公開、近日中にカレンダーとChromeも

Google(グーグル)は同サービスの看板iOSアプリ群をアップデート(Googleブログ)し、iOS 14の新機能であるホーム画面ウィジェットに対応した。米国時間11月19日に同社は、Gmail、Googleドライブ、Google Fit(フィット)のウィジェットを新たに公開し、GoogleカレンダーとChromeも近く対応することを発表した。ホーム画面に有用な情報を掲載したり、よく使う機能をすばやくアクセスするためだ。すでにGoogle検索アプリのウィジェットは9月(Googleブログ)から提供されている。

新しいウィジェット群はグーグル製品を日常的に使っている人にとってはホーム画面を便利にすると思われる。ただし、Gmailのウィジェットは少々もの足りない。

Googleドライブのウィジェットでは最近使ったドキュメントをタップ1つで簡単にアクセスできるのに対して、Gmailウィジェットはメールをプレビューすることができない。メールの検索や新規メッセージの作成はできるし、未読数を表示するボタンもある。もちろんアプリのアイコンに表示されるバッジ(小さな数字)を見れば、そもそもウィジェットを使わなくても自分を待っているメールの数はわかる。

画像クレジット:Google

比べてiOSウィジェットに関しては他のメールアプリの方がGmailを上回っている。Basecamp(ベースキャンプ)のメールアプリ、Hey(ヘイ)はさまざまなウィジェットを提供していてメッセージのプレビューもできる。

Gmailがメッセージプレビューを提供できないとしても、ユーザーがカスタマイズしてもっと便利にする方法があればおもしろいと思う。

例えば特定の相手、自分の上司からあるいは職場のドメインからの未読メールが何通あるかを通知するのはどうだろう。あるいは、特定のラベルに関連するメールの数とか。受信箱の設定で「重要」とされた優先トレイのメール数を通知することも考えられる。

画像クレジット:Google

一方、GoogleドライブのiOSウィジェットにはファイルと検索ボックスのクイックアクセスがある。Google Fitウィジェットでは、Heart Points(ハートポイント、強めの運動)やSteps(歩数)などのアクティビティをホーム画面から簡単に確認できる。

画像クレジット:Google

期待のGoogleカレンダーウィジェットはまだ提供されていないが、本日、グーグルはデザインのサンプルを公開した。ウィジェットはミニカレンダーとでもいえるもので、その日の予定がカラーコードされて見やすく並んでいる。タップしてカレンダーアプリを開くこともできる。

画像クレジット:Google

Chromeウィジェットも近日公開予定で、検索バー、シークレットモード、音声検索、QRコードリーダーなどがあり、現在提供されているメインのGoogle検索ウィジェットとほぼ同じだ。

GoogleカレンダーとChrome以外のウィジェットはすでに公開されている。Calendarは「今後数週間」のうちに、Chromeは「年明け」にやってくるとGoogleは述べている。

画像クレジット:Google

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画像クレジット:Google

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Googleが在宅勤務が進む企業向けに役立つChrome OSの機能を多数発表

2020年、企業の在宅勤務への移行が進むと、インターネットでの作業が当たり前になった。そこで、Chrome OSがクラウドベースのアプリケーション用に構築されたオペレーティングシステムであることがはっきりした。ただほとんどの場合、企業における利用方法は若干複雑なものだ。Google(グーグル)は10月20日、IT部門がChrome OSで動くマシンを簡単に配布できるようにするいくつかの新機能を導入した。

クラウドへの移行はここ数年続いていたが、間違いなくパンデミックは企業に従前より速い動きを促すことになった、とChrome OSのエンジニアリングおよびUXのプロジェクトマネージャーであるJohn Maletis(ジョン・マレティス)氏はいう。「新型コロナウイルスの環境下であらゆる企業が求めているのは、労働力が分散している、つまりオフィスに何人かの従業員はいるが、ほとんどは家から働いているという状況で生産的でもあるという状態です。その動きが急速に加速しています」とマレティス氏はTechCrunchに語った。

そのために、グーグルのグループプロダクトマネージャーであるCyrus Mistry(サイラス・ミストリー)氏は、IT部門がChrome OSを簡単に実装できるようにしたいと考えており、それに役立つ機能を多数追加したと述べた。まずグーグルは無料の準備ツールを作成した。これによりIT部門は、Chrome OSで実行可能なアプリケーションと、そうでないアプリケーションを簡単に見分けることができる。ツールからは3色のレポートが発行される。緑は実行可能、黄色は可能性が高く、赤は実行可能でないことがはっきりしている。

黄色や赤のカテゴリーのために、同社はChrome OSでParallels(パラレルズ)が利用可能になると発表した。Chrome OSで実行できないWindowsアプリケーションを使用している企業が仮想マシンのWindows上でネイティブに実行できるようになる。ミストリー氏は、この方法でWindowsを実行したい企業はこのアプローチを可能にするリソースを備えたハイエンドのChromebookが必要となると認めた。だが重要なWindowsアプリケーションを使用している企業にとって、これはChromebookの使用をより多くのユーザーに拡げるための良い方法だ。

「ゼロタッチと呼ばれる方法を実行できます。これは、デバイスがメーカーによってすでに登録されていることを意味します。メーカーがドメインを認識し、直送できるようになります」とミストリー氏は説明した。つまり、これらのマシンには、IT部門がユーザー用にマシンをセットアップしたかのように、適切な設定、ポリシー、アプリケーション、証明書などが装備される。

IT面の生活を快適にするもう1つの方法として、グーグルはChrome OSでの動作が認定されている、Salesforce(セールスフォース)、Zoom(ズーム)、Palo Alto Networks(パロアルトネットワークス)などの認定アプリケーションの新しいセットを提供する。最後に、同社は複数の仮想作業領域の間でのドラッグアンドドロップ機能とともに、Chromeブラウザでタブをグループ化して検索する機能を発表した。今後2カ月程度で準備が整うはずだ。

マレティス氏が指摘するように、同社が約10年前にChrome OSをリリースしたときには市場に先んじていたかもしれない。今年はっきりしたのは、企業は事業を継続するためにクラウドを必要としており、Chrome OSはクラウドのためにゼロから開発されたオペレーティングシステムだということだ。

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画像クレジット:Boston Globe / Getty Images

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(翻訳:Mizoguchi

最新Chromeはタブのグループ化、QRコード生成に加えてパフォーマンスも大きく改善

Google(グーグル)はウェブブラウザであるChromeのアップデート(v.85)を順次公開している。新しいChromeは生産性が向上し、読み込みなどパフォーマンスも高速化されているという。グーグルは、特にChromeの使い勝手の向上としてタブ周りの強化に力を入れており、そのタブをグループ化する新機能は使い勝手を大きく改善する。目に見えない部分での強化では、ページの読み込みが最大10%速くなっている。またバックグラウンドタブがアイドル状態になった場合のリソースを再配分して影響を最小限に止めるよう改良も行われている。

全体として、今回のアップデートはChromeを仕事などで定期的に利用しかつ大量のタブを開くパワーユーザーをターゲットにしたようだ。グーグルは2020年5月に、ユーザーが開いたタブをグループ化し名前をつけられる機能をまずベータ版としてリリースしていた。ユーザーはタブのグループ化機能を利用して繰り返し開くタブにまとめてラベルを付けておくことができる。同様に特定のアプリで開いたタブ、オンライン検索の結果などをグループするのにも使える。今回のアップデートでタブびグループ化機能が一般ユーザーに公開される。ベータテスターからのフィードバックをベースにグーグルは様々な調整を行った模様だ。

また新しいChromeでは、ユーザーはタブをグループ化するだけでなく、作成したタブグループをまとめて開いたり閉じたりできる。つまり現在の作業に必要なタブだけを表示しておくことができるわけだ。グーグルによれば、これがベータテスターから最も多く要望があった機能だという。また2 in 1のノートパソコンなどのデバイスをタブレットモードで利用する際、タッチでタブを操作する機能も加わった。これはまずChromebookから利用できる。これは多数のタブを開いている場合、指を滑らせて素早くページを切り替えることができる。

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Android版Chromeではアドレスバーにページをタイプし始めた際、そのページがすでに開かれていれば移動先候補として表示される。Android版では、コピーないし他のユーザーとの共有を容易にするために短縮URLが提供される。

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さらに、ページをプリントアウトすることもできる。ダウンロードしたりページを開いたりするためのQRコードも生成できる。

QRコードの生成機能はデスクトップ版のChromeにも近く導入される。ChromeのアドレスバーにQRコードのアイコンが表示されるのでそこからアクセスできる。

画像クレジット:Google

今回のアップデートでユーザーに大歓迎されそうなのはChrome内から直接PDF書式に記入して保存できる機能だ。ユーザーは保存したPDFを開き前回中断したところから作業を再開できる。ただし、全ユーザーがこの機能を利用できるようになるには多少時間が必要だ。グーグルによれば数週間かかるという。

なお、Chromeベータ版には開いたタブの上にマウスを乗せると、内容がサムネイル表示される機能が追加された。これはGoogleドキュメントを使っている場合など同一ドメインで多数のファイルを開いている場合に、便利なはずだ。

今回のアップデートでは、タブを多数開くような使い方が非常に快適にできるようになっている。1つはプロフィールを利用したコンパイル最適化で、パフォーマンスに最も重要な影響を与えるコードを高速で実行できるようになった。グーグルによれば頻繁に利用されるタスクに高い優先順位を与えることによりページの読み込みが最大10%速くなったという。この最適化はWindows版、Mac版ともChrome(バージョンM85)で搭載される(この機能は実はWindows版ではChromeの以前の開発環境でMicrosoft Visual C++が利用できたためM53から搭載されていた。今回はClangが使えるようになったためMac版、Windows版ともにアップデートされた)。

Chromeのベータでグーグルは「タブ・スロットリング」というテクノロジーを導入している。これは、現在使用しているタブにリソースを割り当てるという機能で、長い間バックグラウンドにあるタブのリソースをユーザーが現在開いているタブに割り当てる。これにより読み込み速度だけでなくバッテリー消費やメモリー消費なども抑えられるという。

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ChromeのMac版はこれまで重い、リソースを食い過ぎる遅いといった批判を浴びてきた(Cult of Mac記事)。こうした問題には。非常に複雑な原因があるのが普通だが、ユーザーはOSよりまずソフトウェアの問題だと考えがちだ。そこでグーグルも、今回のようなテクニカルな最適化に注力してパフォーマンスの向上を図らざるを得ない。パフォーマンスアップがどの程度実現してるのかは、アップデートが行き渡ってからサードパーティによる公平なテストが必要だろう。

関連記事:Google Chromeにタブ整理に役立つラベル・カラーコード機能が加わる、絵文字での分類も可能に

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(翻訳:滑川海彦@Facebook