Googleアナリティクス等で検索キーワードのデータが以前に比べ
大幅に見えなくなっている状況を知りつつも、とりあえずある程度は見えるのでどうにかなるだろう、と思っているマーケッターが大半かとは思います。しかしあのGoogleリーダーでさえ、Googleの方針転換で簡単に
終了してしまう時代、検索キーワード、つまりリファラーデータが全く見えなくなってしまう日が来ないとは限りません。今回はそんな検索マーケッター恐怖の日を考えた記事を。– SEO Japan
先日、クロームがセキュアサーチに移行するニュースが報じられ、一部のマーケッターは、ウェブ分析で検索データを利用する取り組みの先行きに懸念を抱いている。
サイトに導く検索は、企業にとって貴重なデータである。消費者の要求とニーズに直接アクセスすることが可能なデータのソースは他にあるだろうか?当然だが、直接消費者に尋ねることが出来る。しかし、消費者は本音を隠す可能性がある。あるいは、答えてくれない可能性もある。ビジターが実施した検索に注目することで、顧客が誰なのか、顧客は何を求めているのか、そして、求めているものを自分達が提供することが出来るかどうかについて、多くの情報を得ることが出来る。
検索マーケッターは、以前からこのデータの価値を認めていた。しかし、検索マーケッターに限らず、従来型のマーケッター、製品マネージャー、カスタマーサポートに至るまで、組織の様々な部門においても、有益な情報を得ることが出来る。誰だってオーディエンスのことをもっと良く知りたいはずである。このデータは非常に魅力的であり、本を一冊書いてしまったほどだ: 「Marketing in the Age of Google」
しかし、この情報が姿を消そうとしている。うろたえるべきなのだろうか?このデータを取り戻すために、何かできることはあるのだろうか?
検索データを失いつつある理由
まず、現状を把握する。検索エンジンにクエリを入力し、検索結果内のページをクリックすると、ビジターを当該のページに「照会」(リファラー)したURLは、通常、ビジターが検索したクエリを含んでいる。サイトのサーバーログ内でリファラーのURLを確認し、ウェブ分析パッケージをインストールしているなら、当該のリファラーのURLからビジターが検索したクエリを解析し、便利なレポートとして提供してもらえる。
1年と少し前、グーグルは、特定のケースで、リファラーのURL内に検索用語を含める取り組みを休止した。その代わり、リファラーのURLは、www.google.comと表示されるようになった。ウェブ分析プログラムは、ビジターが検索した用語を把握する手段を用意していなかったため、ビジターがグーグルを経由して訪問したことしか分からなくなってしまった。そのため、ウェブ分析プログラムは、グーグルの自然検索として訪問をカウントし、検索用語を「not provided」と表示するようになった。
それでは、一つずつ特定のケースを振り返っていく
- 2010年5月 – グーグルは、www.google.comとは別のURLで検索の暗号化を立ち上げた。リファラーのデータから検索用語を外すためには、セキュアサーチにアクセスしなければならかった。
- 2011年10月: グーグルのアカウントにログインしているユーザーがwww.google.comで行った検索は、グーグルのセキュアサーチに送られるようになった。当時、グーグルは検索の10%がこの取り組みの影響を受けると推測していた。
- 2012年3月: www.google.com以外のグーグルのサイトで検索を行う場合も(グーグルの米国外のドメイン等)グーグルのセキュアサーチに送られるようになった。
- 2012年7月: 全ての検索に対してグーグルのセキュアサーチを利用するファイヤーフォックス 14がリリースされた。
- 2012年9月: iOS 6のサファリが、グーグルのセキュアサーチの利用を始めた。グーグルは、セキュアサーチをモバイルデバイスでは異なる方法で処理しているため、このトラフィックはリファラーのデータには全く反映されず(www.google.com経由だとしても)、ウェブ分析プログラムでは、ダイレクトトラフィックとして計上されるようになった。
- 2013年1月: クロームの最新版(バージョン 25)は、グーグルのセキュアサーチをアドレスバーでの検索にも適用している(グーグルのアカウントにログインしていないユーザーがwww.google.comで行った検索は、セキュアサーチには送られない)。
グーグルは、セキュアサーチの最新の措置に関して、クロームの公式ブログで説明を行っている。
セキュアサーチのよって曖昧になるトラフィックの割合
それでは、グーグル検索のトラフィックのうち「not provided」として表示されるのは、どれぐらいの割合なのだろうか?そして、このトラフィックはいずれ100%に達するのだろうか?
ご存知の通り、曖昧にされる検索データの割合は、サイトのオーディエンスに左右される。検索を行う際、グーグルのアカウントにログインする傾向があるのだろうか?一部の調査結果によると、ログインするユーザーが急増しており、さらに、右肩上がりで増えていくようだ。しかし、これは緩やかな増加ではなく、各データソースがセキュアサーチに切り換えると、急激に変化し、その後、次の変更が行われるまでは横ばいの状態が続く。
例えば、休暇シーズン中には、iPhoneユーザーのトラフィックの大半は、大勢の消費者が、iOS 6が予めインストールされた最新のiPhoneを購入したため、「ダイレクト」として処理されていた。
さらに多くのデータソースがセキュアサーチに切り換える可能性が高く、今後も不明確なトラフィックの割合は増えていくはずだ。
弊社、Nine By Blueでは、様々な業界のサイト、そして、オーディエンスのタイプの異なるサイトをサンプリングし、現状を把握する取り組みを実施した。思った通り、not providedとして報告される検索の割合は、時間の経過ともに増加していた。私達は、2011年12月、2012年6月、そして、2012年12月の割合に注目し、また、セキュアサーチは当初米国のみに適用されていたため、米国のサイトと海外のサイト(英語)を区別した:
下の図では、2011年12月と2012年12月のデータを比較している:
あるサイト(テクノロジーが好きなオーディエンスを抱える)では、グーグルの自然な検索の用語のうち、54%はnot providedとして処理されていたが、大半のサイト(特に消費者を中心としたサイト)では、このように検索用語が表示される検索の割合はずっと低かった。
うろたえるべきか?データを取り戻すことは出来るのか?
うろたえるべきではない。リファラーは確かに素晴らしいデータであり、失うのは痛い。また、曖昧にされるデータの割合は、今後も増加していくだろう。しかし、同じ決定を行い、同じ行動を特定することが可能なデータは、今後も引き続き手に入れることが出来る。
リファラーデータの失うことで、最も懸念されているのは、トレンドを把握することが出来なくなってしまう点である。私は、個別の用語だけではなく、検索クエリのカテゴリに注目するよう常に推奨している。例えばブランドの用語、または、「how to」の検索は、時間の経過とともに減っているように見えるが、実はこのトラフィックの多くは、単純にnot providedとして処理されているだけである。
グーグルウェブマスターツールのデータを利用する
リファラーのデータを取り戻す上で、ウェブ分析プラットフォーム以外のツールに頼る手が考えられる。検索用語はリファラー内に表示されていないことが問題とされているが、グーグルは、今でも検索用語をまとめてクエリログに表示している。グーグルは、このデータをウェブマスターツールの中で用意している(情報開示: グーグルで働いていた頃、ウェブマスターツールの構築に関わったことがある)。
過去90日間の上位2000の検索用語を確認することが出来る。グーグルは、サイトの98%に対して、ウェブマスターツールは検索用語を漏れなく表示すると指摘している。残りの2%は、このデータを最も知りたい大規模なサイトなのだろう。いずれにせよ、完全な検索のデータがウェブマスターツールで提供されていなくても、トレンドは正確である。そのため、オーディエンスが探している情報、そして、低迷しつつあるトピックの分野に関する情報を十分に把握することが出来るはずだ。
私はウェブマスターツールのデータは、とても価値が高いと考えており(先程述べた理由により、私の意見はバイアスがかかっている)、私の会社では、このデータに関する見解を提供する検索分析ソフトウェアを開発した。Blueprint(情報開示: この製品を販売している)は、ウェブマスターツールのクエリデータを論理的なトピックのカテゴリに分類し、長期間に渡って保存する(従って、90日間が過ぎても問題ない)。
ウェブマスターツールは、このデータに対する、通常のウェブ分析プログラムとは異なる視点をユーザーに与え、各クエリのインプレッションのデータ、ランキング、そして、クリックスルー率を表示する。この視点で検索クエリを見ることで、オーディエンスが関心を抱いている事だけでなく、トラフィックの減少が、ランキングの問題なのか、あるいは、ただ単に季節の影響を植えているだけなのかを理解することが出来るようになる。
例えば、以下のグラフでは、2012年のデータ点ごとのブランドのトラフィックを比較することが出来る。ランキングは一年を通じて変動は少ないものの、トラフィックは、検索の量の変化(季節)、そして、検索結果からのクリックスルー率の変化(9月にrel=authorマークアップを追加)による影響を受け、変動が見られる。
有料検索データの利用
先程も申し上げた通り、検索用語のデータを表示しなくなったのは、リファラーのみである。そのため、グーグルのクエリログでは、今でもこのデータが表示されているだけでなく(そして、ウェブマスターツールのソースとして用いられている)、アドワーズでもこのデータの提供が提供されている。有料検索を利用しているなら、自然な検索データと同じようなオーディエンスの見解を得ることが出来るだろう。当然ながら、有料検索を利用していない場合は、役に立たない。
その他の検索エンジンのデータを利用
恐らく、皆さんのサイトの検索トラフィックの大半は、グーグル検索が占めているのだろう。しかし、オーディエンスのことを深く知りたいなら、 – 何を求めているのか、そして、その要求に応じることが出来ているかどうか – ビングが今もリファラーデータを提供している点を思い出してもらいたい。
ウェブ分析データを新たな方法で利用
「Not Providedを有益で、実用的なデータに変える方法」には、ウェブ分析のデータの見方に関して、検索用語のリスト以外の解釈が取り上げられている。
今後の行方
セキュアサーチに移行するデータソースが増え続けているため(そして、その他の検索エンジンがこの流れに追随する可能性があるため)、今のうちに計画を練って御くことが肝要だ。現状のプロセスを見直そう。
クエリデータの一部がなくなっても、同じ結論および行動計画が導かれるだろうか?ウェブマスターツールやその他のデータを使って、決定を下すために必要な材料を集めることが出来るだろうか?キーワードリサーチを行い、オーディエンスのデータを増やすことが出来る。また、クエリベースのビューではなく、ページベースのビューに注目することで、サイトの行動に関するデータを得ることが可能だ。何を実現する必要があるのかをじっくり考えて、失われたデータに焦点を絞るよりも、この目標を達成する上で効果のあるその他のデータに着目してもらいたい。
この記事は、Search Engine Landに掲載された「Will [Not Provided] Ever Reach 100% In Web Analytics?」を翻訳した内容です。
何というか、結局、グーグルウェブマスターツール(&解析用の自社製品)のPRに終わってしまった内容の気がしなくもないですが、、、100%リファラーや検索キーワードデータは見えなくなる状態は想像がつきにくいですが、多くの人が利用するRSSリーダーでさえ一瞬で終了を決定してしまうGoogle(RSSリーダー製品市場を破壊した上で!)、ブラウザー(普及が進行中)やウェブマスターツール(既にアクセス解析市場もほぼ破壊・・)にマーケッター軽視の大きな変更があっても不思議ではありませんし、たまに余り喜ばしくはない未来の可能性とその対応策について考えることも、マーケッターにはプラスの作業かもしれません。 — SEO Japan [
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