その場で電子証明書を発行できる「Graffer電子証明書取得サポート」

グラファーは11月19日、電子証明書を自宅で即時発行できるサービス「Graffer電子証明書取得サポート」を公開した。

同サービスは、ウェブブラウザー経由で申請に必要な情報を入力すれば、電子証明書の申請に必要な書類などが含まれたキットをインターネット経由で取り寄せられるのが特徴だ。

後日、申請書や申請発行ファイル入りUSBメモリ、登記所への申請用レターパックライトなどが含まれた「取得サポートキット」が郵送されてくる。このキットに含まれる申請書には、申請に必要な各種情報があらかじめ記載されているので、利用者は所定場所に押印して、キットに含まれる申請用レターパックライトに詰めてポストへ投函するだけでいい。数日後に登記所から電子証明書発行確認票が届くので、確認票に記載されているシリアル番号などをウェブサービスの「Graffer電子証明書取得サポート」へ入力すると、電子証明書ファイルをダウンロードできる。

同社によると、キット発送から登録票の受け取りまでの時間を除くと取得まで最短10分で作業が完了するとのこと。なおキットを郵送せずに登記所に直接持ち込む「窓口申請プラン」も利用可能だ。

これまで電子証明書を取得するには、自宅などで専用ソフトを使って電子証明書の発行申請に必要なファイルを作成し、申請書とともに管轄の登記所の窓口で証明期間に応じた発行手数料を支払って申請する手続きが必要だった。そのあとに交付されたシリアル番号等を専用ソフトに入力すると電子証明書を取得できた。しかし、専用ソフトはWindows専用のほか発行申請用のファイルを格納するUSBメモリも別途必要だった。

Graffer電子証明書取得サポートはこれらの問題を解決するため、申請用のウェブサービスと申請に必要な書類やハードウェアがすべてそろったキットを用意することで、Windowsマシンを所有していなくても、Macやスマートフォンなどインターネットに接続できるブラウザーが使えるユーザーであれあ、自宅で手軽に電子証明書を発行可能になった。

同社は、電子申請を義務化する制度改正は今後徐々に増えると予想している。実際に国が提供するサービス以外にも、SmartHRなどに代表される民間企業が提供する税務・労務に関わるクラウドサービス経由で電子申請が行える環境が整備されつつある。また外資系企業やグローバル企業を中心に、企業間の電子契約に電子証明書ケースも増えている。

さらに2020年4月より、特定の法人について社会保険・労働保険に関する一部の手続きは電子申請が義務化されるほか、2018年度(平成30年度)の税制改正により、一定の法人が行う法人税などの申告は、電子情報処理組織(e-Tax)により提出しなければならないことが決まっている。

このようになにかと手間のかかる行政手続きを効率化することをミッションとするGovTechスタートアップの存在が近年注目されている。その1社であるグラファーは2017年7月設立のGovTechスタートアップで、これまでも地方自治体を連携して、法人証明書要求サービスや各種手続きガイドの開発を進めてきた。区役所や市役所を除くと、各種登記所は交通の便の悪いところにあることが多く、移動や待ち時間を含めると半日かかることもしばしば。インターネット経由による各種証明書の申請や発行が普及することで、労働人口減少によって高めなければならない従業員の生産性向上にも寄与するはずだ。

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AWSがマイクロソフトによるJEDI契約獲得へ異議を提出

先月国防総省が、10年にわたる100億ドル(1兆円超)規模のJEDIクラウド契約入札の勝者として、Microsoft(マイクロソフト)を指名したことは、間違いなくほぼ全員を驚かせたことだろう。誰もが勝者だと考えていたAmazonもそれ以上に驚いたに違いない。米国時間11月14日に同社は、連邦異議裁判所に対して異議を提出する意向だという先行していた報道を肯定した。

これを報じたのはThe Federal Timesである。

声明の中でAmazonの広報担当者は、選択プロセスにバイアスや問題があった可能性を示唆している。「AWSは、米国軍が必要とする重要な技術を提供するための、経験豊富で資格を満たす、比類なき存在です。そしてDoDの近代化の取り組みの支援に対して引き続きコミットしています。また、政府と選挙で選ばれた指導者たちが、政治的影響を受けないやりかたで、客観的に調達を管理することが、我が国にとって重要であると考えています」。

「JEDI評価プロセスの多くの側面には、明らかな欠陥、エラー、紛れもないバイアスが含まれていました。これらの問題を検討し、修正することが重要なのです」とAmazonの広報担当者はTechCrunchに語った。

トランプ大統領が、AmazonのCEOでありワシントンポスト紙の所有者でもある創業者のJeff Bezos(ジェフ・ベゾス)氏に対する軽蔑的な姿勢を隠していないことは、たしかに注目に値する。Microsoftが勝った後にも書いたように「マイクロソフトが勝利しても米国防総省JEDIのサーガは終わらない 」。

例えば、アマゾンは、ジェームズ・マティス元国防長官の著書を論拠にできる。マティス氏は大統領から「100億ドルの契約からベゾスを締め出せ」と命じられたという。彼は拒否したと書いているが、この疑惑がある限り、論争は終わらない。

Oracle(オラクル)もまた、プロセス全体を通じて多くの抗議を提出している。 その中には政府説明責任局に対して提出され、最終的には拒絶されたものも含まれている。Oracleは訴訟も起こしたが、その訴えも棄却されている。こうした抗議のすべては、選定プロセスがアマゾンを贔屓していると主張していたが、最終結果はそうではなかったことを証明したことになる。

大統領は8月に意思決定プロセスに介入し、調達プロセスが何らかの形でAmazonを贔屓していたかどうかを再度調査するように国防長官であるMark T. Esper(マーク・T・エスパー)氏に要求した。そしてホワイトハウスは入札の勝者が決定した週にワシントンポスト紙の定期購読を解約している。

10月についに決定が下され、DODはMicrosoftを選定した。現在、Amazonは連邦裁判所へ異議を申し立てようとしている。JEDIのサーガは、これが終わるまでは本当に終わることはない。

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(翻訳:sako)

アマゾンとの入札競争に勝ったマイクロソフトは米国防総省の1兆円相当のクラウドを作る

米国防総省は米国時間10月25日、Joint Enterprise Defense Infrastructure(JEDI、防衛基盤統合事業)クラウドの入札競争でMicrosoft(マイクロソフト)が契約を勝ち取ったと発表した。それは10年間で最大100億ドルにもなる事業契約だ。これに関しマイクロソフトは、ペンタゴンの事業とミッションの実施の双方でインフラとプラットホームサービスを提供する。

国防総省のCIO(情報担当最高責任者)を務めるDana Deasy(ダナ・ディジー)氏は、関連する発表で「(2018年の)国家防衛戦略は、我が国の制服を着た女性と男性に現代的な技術能力を開発装備する速度と実効性を向上すべきことを命じている。国防総省の(2019年の)デジタル近代化戦略は、この至上命令を支持するために作成された。今回の契約裁定は、デジタル近代化戦略の執行における重要段階である」と述べている。

マイクロソフトはこの巨額な入札競争の最終ラウンドでAmazon(アマゾン)を破った。それより前のラウンドではIBMやOracle(オラクル)のような競合企業が2社に敗退した。多くの識者は、アマゾン有利と見ていた。

アマゾンのスポークスパーソンは「この結果は意外である。AWSは明確にクラウドコンピューティングのリーダーであり、互いに競合する分野の詳細比較では、これとは異なる結果に導いていた。弊社は今後も、このまだ新しいデジタルの戦場のためのイノベーションに深く関わっていくつもりであり、そこではセキュリティと効率と自己回復力とリソースのスケーラビリティが成功と失敗を分かつであろう」とコメントしている。

ここに至るまでの過程は「複雑でない」とはとうてい言えない。さまざまな訴訟があり、土壇場の棄権あり、 そのほかの論争や議論もあった。ある時点では大統領の介入もあった。

まだ残っている問題は、マイクロソフトの社員がこれにどう反応するかだ。昨年は、何人かの社員が、会社がこの入札に参加しないことを求める公開書簡を発表した。さらに最近では、GitHubの総額20万ドルと比較的小額な、合衆国移民関税執行局との契約に同社の社員が抗議した。こんな背景がある以上、同社がペンタゴンの契約を勝ち取ったことも同様の抗議に遭うだろう。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

ムスリム少数民族に対する人権侵犯に加担した8つの中国企業が米商務省の禁止リストに載る

SenseTimeやMegviiなど、中国のテクノロジー企業8社が、ウイグル族など中国の少数民族に対する人権侵犯に加担しているとして、合衆国政府のエンティティリストに載せられた。米商務省の発表によると、これらの企業を含む、多くが中国政府の政府機関である28の組織は、新絳(シンジャン)ウイグル自治区における「ウイグル族やカザフ人などムスリムの少数民族に対する弾圧や不法拘禁、ハイテクによる監視などの実施に」関与している。

国連によると、新絳地区のムスリム住民の最大12人に1人、すなわちおよそ100万人が抑留所に拘置され、強制労働や拷問の対象になっている。

エンティティリストに載った企業は、米国のサプライヤーから製品を購入するためには新たに許可証を申請しなければならない。しかし承認を得るのは困難で、実質的には米企業とのビジネスを禁じられた形になる。今年始めにエンティティリストに載ったファーウェイの創業者でCEOのRen Zhengfei(レン・ツェンフェイ、任正非)氏は、そのほかの財務的影響に加え、同社は300億ドルを失うことになると述べた

米国時間10月7日にエンティティリストに置かれた政府機関は、新絳ウイグル自治区人民政府公安局とその関連機関だ。テクノロジー企業はビデオ監視メーカーDahua TechnologyとHikvision、AIのYitu、Megvii、SenseTime、およびiFlyTek、デジタル鑑識企業Meiya PicoとYixin Technology Companyだ。

時価総額が世界最大のAIスタートアップSense Timeは、中国政府に国の監視システムのためのソフトウェアを供給した。そのシステムは、CCTVカメラや警官が装着するスマートグラスなどから成る。

Face++のメーカーMegviiとYitu Technologyはともに、顔認識技術に特化し、監視社会的な大量監視システムで使用するソフトウェアに関して中国政府と協働した。The New York Timesによると、Hikvisionは 少数民族を見つけるシステムを作ったが、昨年それを徐々に廃棄し始めた。

Human Rights Watchの2017年の報告書によると、音声認識技術のiFlyTekは新絳省の警察局に声紋技術を供給した。それは、大量監視のためのバイオメトリクスデータベースの構築に使われた。

ブラックリストに載ったことの影響の大きさは、各社の米企業との関わりの深浅にもよるが、しかし貿易戦争以降、米国の技術への依存を減らし始めた中国企業が多い。例えば、鑑識技術のMeiya Picoは中国の国営誌Chinese Securities Journalで、売上の大半は国内企業向けであり、海外は1%に満たない、と言っている。

TechCrunchは8社にコメントを求めたところ、Hikvisionのスポークスパーソンは声明で次のように述べた。「Hikvisionは本日の米政府の決定に強力に反対する。その決定は世界中で人権を改善しようとするグローバル企業の取り組みを妨害するであろう。セキュリティ産業のグローバルなリーダーであるHikvisionは人権を尊重し、米国と世界の人民を真剣に保護すべき責任を担う。Hikvisionは過去12か月政府職員たちと関わってきたがそれは、会社に関する誤解を解消し、彼らの懸念に応えるためであった」。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

米国海軍がYouTubeクリエイターを起用の新兵募集キャンペーンを展開

合衆国海軍はYouTubeのクリエイターの力を借りて、技術系の新兵を見つけたいようだ。

海軍新兵募集司令部のCMO(Chief Marketing Officer、マーケティング最高責任者)であるMatt Boren(マット・ボレン)大佐によると、これまではテレビなどの伝統的なメディアを利用してきたが、それらではもはや、ポストミレニアルの世代(1997年以降生まれ)に到達できない。

ボーレン大佐は「今のオーディエンスは、何かを見つけたいと思ったらYouTube上の検索エンジンを使う。オーディエンスが実際にいるところへ行かなくては、何を話しても無駄だ」と語る。

そこで海軍は、専属広告代理店のVMLY&RとWavemaker、およびGoogleを起用して、科学やテクノロジー、数学などに強いYouTubeクリエイターを見つけ、彼らに海軍の技術系の仕事や仕事の環境を魅力的に紹介してもらうことにした。具体的には、Kevin Leiber(ケヴィン・レイバー)氏がハンドル名Vsauce2として原子力潜水艦に乗船して撮影、Jake Koehler(ジェイク・コーラー)氏がハンドル名Dallmydとして爆発物処理班と共同作業、そしてWilliam Osman(ウィリアム・オスマン)がサイバーセキュリティのチームと談話した。

ボレン大佐によると「クリエイターたちには彼らの好きなようにさせた。版権は海軍にあるとか、そんな上から目線の口出し手出しをまったくしていない。彼らに海軍の仕事の環境の中で時間を過ごしてもらい、そこで理解し感じたものをオーディエンスに伝えてもらいたかった」とのこと。

本日ローンチする「Sailor VS」シリーズには、わずか3名のYouTubeクリエイターが参加している。今後はインフルエンサーマーケティングキャンペーンの実験をもっとやってみたい、とボレン大佐は言う。そして、一般的なメディア消費のトレンドが完全になくなってしまうわけではないだろうと見ている。

しかしなぜYouTubeクリエイターの起用という話になってしまうのかといえば、海軍の新兵募集の規模が最近はとても大きいからだ。大佐によると、今年だけでも5万名の空きを満たさなければならない。ただし高度な技術職は、そのわずか数%にすぎないが。

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画像クレジット: YouTube

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

米国防省の1兆円超えクラウド入札に関するオラクルの訴訟が棄却

Oracleは、国防省のクラウドプロジェクトであるJEDIの100億ドル(1兆800億円)で10年契約の購買プロセスについて、昨年提案要求書が提示される前から不満を訴えてきた。そして昨年12月には裁判を起こし、購買担当メンバーの中に利益相反する人物がいる可能性を指摘した。米国時間7月14日、連邦裁判所はその訴えを退けた。

訴訟の棄却に際し、連邦請求裁判所のEric Bruggink(エリック・ブルッヒンク)上級判事は、原告は購買手続きの不備を証明できなかったと判断した。これは国防省自身が以前行った二度にわたる内部監査結果とも一致する。ブルッヒンク判事は最終的に国防省の見解に同意した。

本法廷は、組織的な利益相反は存在せず個人的利益相反は購買行動に影響を与えなかったとする契約担当官の報告に、恣意的、専断的、最量の濫用その他の違法性がなかったと裁定した。よって当該管理記録の判定に関する原告の判決申請は棄却された。

以前同社は、会計検査院を訴えた裁判で敗訴しており、そこでも購買プロセスは公正であり特定企業の優遇はなかったと裁定された。Oracleは、手続きがクラウド市場のリーダーであるAWSを優遇するよう仕組まれていたと訴えていた。

なお、問題になっている担当者が元AWS社員だったことは注目に値するだろう。AWSは裁判に被告として加わり、判決申請の際に「Oracleの訴状は具体的にAWSに関わる利益相反であると申し立てている。このためAWSには本裁判に関する直接的かつ重大な経済的利害関係があり、判決がこれらの利益を損なうことは明白である」と主張した。

本日の裁定によって、100億ドル契約の勝者が早ければ来月にも発表される見通しがたった。以前国防省は、この勝者総取り入札の最終選考対象としてMicrosoftおよびAmazonを選んだことを発表した。

関連記事:ペンタゴンの100億ドル規模のプロジェクトJEDI(ジェダイ)が、クラウドは企業たちを悩ます理由

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

神戸市とグラファーがGovTechで連携、介護保健サービス事業者向け手続きガイドを共同開発

行政手続きを効率化するためのサービスを開発・運営するグラファーは7月5日、兵庫県神戸市との連携を発表した。行政手続きの方法などをウェブページ上で確認できる「Graffer手続きガイド」を同市と共同開発し、「神戸市介護事業者手続きガイド」として公開した。具体的には、介護保健サービス事業者における「指定更新手続き」と「各種変更手続き」が対象で、指定更新手続きのガイドを先行公開する。各種変更手続きは後日になる見込みだ。

Graffer手続きガイドでは、PCやスマートフォンから専用ページにアクセスして、用意された質問に答えていくだけで必要な行政手続きがわかる案内サービス。市役所での各種手続きは多岐にわたるので、利用者はどういった申請書や証明書が必要なのか、どの窓口にいけばいいのかなどがわかりにくい。Graffer手続きガイドを利用することで、事前に調べることができるわけだ。政令指定都市である神戸市は、兵庫県からさまざまな事務手続きを移譲されていることもあり、手続きは百数十種類に及ぶ。

市役所側でも質問対応に取られる時間を軽減できるので、より多くの住民が窓口を利用できるようなる。同社によると、手続きガイドで使うコンテンツはExcelファイルで管理でき、複雑な設定も不要なので、最短で数営業日もあれば本番サービスとして運用できるという。

同社は2017年7月設立のスタートアップ。行政手続きを効率化する、いわゆるGovTech(ガブテック)領域のサービスを開発している。「Graffer手続きガイド」はこれまで、神奈川県鎌倉市、埼玉県横瀬町、長野県小諸市の3自治体に導入されおり、神戸市が4件目の事例。鎌倉市と小諸市では、転入、転居、転出、結婚、出産、離婚、氏名変更、死亡の8種類、横瀬町では転入と子育て助成金の2種類の事務処理に必要な書類などを調べられる。なお今回、神戸市と共同開発した神戸市介護事業者手続きガイドは、介護保健事業所指定分野でGrafferが使われる初の事例とのこと。

神戸市がGovTechサミット開催、行政サービス効率化に挑戦したスタートアップ7社が登壇

神戸市は2月10日、「自治体 × スタートアップ企業 GovTechサミット」を東京・大手町にある三井住友銀行東館で開催した。

GovTech(ガブテック)とは、政府(Government)とテクノロジー(Technology)を組み合わせた言葉。日本の行政機関には日本の巨大企業をも上回る300万人以上が従事しているが、残念ながら一般企業に比べると非効率という意見が多い。これら行政機関が提供するサービスをテクノロジーによってを効率化するのがGovTechサミットの目標だ。

同サミットの「自治体×スタートアップ 共創への取り組み事例」というセッションでは、神戸市が選んだ2018年度の「Urban Innovation KOBE」に選出された7社のスタートアップが、GovTechに関連するサービスを紹介した。

ためま

2014年設立で広島県を拠点とする「ゆるくつながる社会作りを目指す」スタートアップ。自治体や地域活動家ともに、公民館や児童館、商店街、商工会、道の駅など、さまざまな地域活動の支援している。具体的には、スマートフォンのGPS機能を利用して「今日、今からでも参加できるイベント情報を5秒で検索できる」という「ためまっぷ」サービスを提供。今回は神戸市長田区との協働開発によって自治体版の「ためまっぷながた」を開設した。

FlyData

米国・シリコンバレーで日本人が起業したスタートアップ。企業内の全データをクラウド内データウェアハウスサービス「Amazon Redshift」にリアルタイムで同期(転送、保管)するサービスを提供。低コストでのビッグデータの管理・分析を得意とする。同社は神戸市との取り組みで、月間20〜30万枚、年間250万枚のレセプト(診療報酬明細書)のチェック作業の効率化を推進。AIを使って手打ちデータからミスを含む可能性が高いものを探し出し、自動でミスを修正する技術を提案。最大で70%の作業効率の削減に成功したという。

コガソフトウェア

「地域コミュニティ交通の予約システムの実証開発」をテーマに、音声自動応答による公共交通機関の電話予約システムを開発。具体的には、同社の運行管理システム「孝行デマンドバス」をベースとして、輸送密度が低い神戸市北区淡河町で利用者が希望する場所や時刻に運行するシステムを開発した。

ディグランド

同社の地図まとめアプリ「Diground」を利用して、神戸の街中に隠されたヴィッセル神戸の選手動画を探すスタンプラリーを2018年11月3日~12月2日に開催。結果、1366人がアクセス、297人がアプリをインストール、48人が全9スポット制覇したそうだ。同社と神戸市職員が約4カ月間の協働開発を行い、市民によるテスト利用や試行導入、実証実験などを通じて新サービスの開発を目指すという。

トラフィックブレイン

「神戸から日本のバスロケを立て直す」テーマに、バスロケ(バスロケーションシステム)の情報の標準化・オープンデータ化に取り組んでいる。神戸市だけをとっても、神戸市交通局、神姫バス、阪急・阪神バス、みなと観光、神戸交通振興など運営団体、企業によって独自のバスロケサービスが提供されている。これらのバラバラのバスロケのデータを、横断的を扱うことで交通分析に役立てることを目指す。今回、導入しているバスロケシステムの機能不足などから、神戸市交通局だけは標準化をうまく進められなかったそうだ。

ACALL

2014年設立の神戸拠点のスタートアップ。「場をデジタル化すること」を使命として、iPadを使った無料受付アプリ「ACALL」(アコール)などを提供する。神戸市東灘区役所との実証実験を経て、窓口の案内をスムーズにするアプリ「ACALL FRONT)」(アコールフロント)を開発。実際に2018年12月より同区役所に導入されている。実証実験では、職員の案内不可件数が61.7%減少、1件あたりの平均案内時間も36.9%減少し、窓口業務の効率化を実現できたという。具体的には、埋火葬許可証の写し、マイナンバーカードの新規交付・紛失届・再交付、麻薬免許などの、区役所のさまざまな案内を自動化している。

モンスター・ラボ

レセプトのチェック業務を同社が開発したRPAツール「Monstar Robo」(モンスター・ロボ)を導入して実証実験を実施。具体的には、レセプトの原票を参照して正確にデータを再入力するRPAの技術を導入。この結果、これまでは職員の手作業のチェックで要していた時間を、年間で最大459時間削減(1カ月で約38時間)できたそうだ。今後はレセプトチェックの範囲の拡大なども目指すという。