Twitterは「選挙結果前の勝利宣言」など権力の平和な移行に反するツイートも取り締まる

Twitterが、選挙戦における誤報と戦う取り組みを一層強化した。その厳しい措置は、11月の結果をめぐる厳しい争いをかなり和らげることにも役立つだろう。

まず同社のルールによると、2020年の選挙の結果がまだ確定せず、あるいは一部の候補から異議が出ているときは、9月17日以降有効になる以下のようなTwitterのポリシーに従わなければならない。

Twitterの計画では、選挙の結果が公式に確定する前の勝利宣言は削除または警告ラベルをつける。この新しいポリシーの説明には「『権力の平和的な移行や規律ある引き継ぎを妨害し、不法な行為を煽動する』ツイートは放置しない」とある。米国の選挙にこれだけ厳しい言葉が出てくるのはショックだが、今の状況では妥当でもある。

Twitterの安全性チームは「市民のための行事、中でも最も重要な行事である選挙をめぐって、私達のサービスが濫用されることは許さない。外国でも国内でもそのような試みに対しては、私たちのルールが厳しく執行される。ルールは誰に対しても平等かつ慎重に適用される」と書いている。

トランプ大統領を批判する人たちの多くが「彼が11月の選挙で負けた場合、辞任を拒否するのではないか」と恐れている。「これまで彼の側近たちの多くはさっさと辞めていったが、彼だけは違う」というのだ。昨年の下院監督委員会で、トランプの弁護士だったMichael Cohen(マイケル・コーエン)氏は早くからその心配を述べていた(The Daily Beast記事)。

そのときコーエン氏は「トランプ大統領のために仕事をした経験から言うと、彼が2020年の選挙で負けたら権力の平和的移行はないのではないか」と述べている。

先月の集会でトランプ大統領は「次の4年間の大統領になれたならば『民主党による選挙妨害への罰として、さらにその次の4年も大統領になれるはずだ』」と語った(CNN記事)。彼の支持者にとってはジョークでも、トランプを批判する人々は「大統領がまたとんでもない反民主的な主張で民意を探っている」と取るだろう。

Twitterはさらに「市民的行事とそれを監督する職員や機関をめぐる法律に関して、嘘または誤解を招く情報を提示しているツイートは削除またはラベルをつける」と表明している。このルールは、投票関連の大量の誤報を対象にしている。偽の主張には、投票できる者の資格とか、投票所で提示すべき文書に関するものが多い。

同社はまた、投票に影を投げかけるさまざまな議論も取り上げる。それらは、選挙妨害や投票の改ざん、不正投票、選挙結果の証明といった、いかがわしい話題をめぐって飛び交ううわさ話の数々だ。

ソーシャルネットワークは11月の選挙に忍び込む民主主義への脅威に対して、とても敏感になっている。しかもそれらは、発言者が名乗らないものが多い。このように、悪夢のようなシナリオに備えることはTwitterなどのプラットホームにとって有意義な実践だ。彼らは、11月めがけてやってくるユーザーや外国の運動家や政治家などからの偽情報の洪水に対し、今から態勢を整えようとしている。

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画像クレジット: TechCrunch

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

データ分析統合プラットフォーム開発のAvoが3億円超を調達

企業がチーム間のデータ品質をより良く管理できるように支援するスタートアップであるAvoは米国時間9月3日、GGV Capitalが主導し、Heavybit、Y Combinatorなどが参加する300万ドル(約3億2000万円)のシードラウンドで資金調達したことを発表した。

同社の創業者で、現在はアイスランドに拠点を置くStefania Olafsdóttir(ステファニア・オラフスドッティル)氏は以前、一時は世界中に1億人のユーザーを抱えていたモバイルゲームのQuizUpでデータサイエンスの責任者を務めていた。「私はデータサイエンス部門を立ち上げる機会を得ました。同部門は、人々が正しい質問に回答し、データに興味を持つように支援するという文化的な側面がありました。一方で、インフラストラクチャやツール、パイプラインのセットアップの技術的な部分を支援するという一面もあります。技術的な部分を支援することで、人々は必要なときに正しい答えを得ることができます。私たちは独自開発の製品分析ツールと文化をいち早く取り入れていましたが、データの信頼性を維持するのには非常に苦労しました」と同氏は続ける。

画像クレジット:Avo

企業が製品やチーム全体でより多くのデータを収集するようになると、扱いにくくなり、異なるチームが異なる方法、あるいは単に異なるタグをを使用するようになるため、データパイプライン全体で非効率になってくる。

QuizUpでの経験についてオラフスドッティル氏は「当初、信頼性の低いデータは意思決定を遅らせていました。なぜなら、人々がそのデータを理解しておらず、質問する必要があったからです。しかしそれが原因で、間違ったデータに基づいて間違った製品アップデートをローンチしてしまいました。時が経つにつれて、その問題が明らかになってきたのです」と振り返る。

 

「組織がこの問題の大きさを認識すると、事実上盲目になってしまいます。データの信頼性が低いため、競合他社は市場をリードしているかのように見えることもあります。そういった場合、通常は非効率なプロセスとツールを自分たちで修復して、部分的に法的責任のレベルを高めることになる」と同氏。この面倒な作業には通常、プロダクトマネージャーとスプレッドシートが必要になる。

Avoチームは、この問題を解決するためのより良いプロセスを構築することを目指した。オラフスドッティル氏と共同創業者は、いくつかの回り道や他製品のアイデアを経てY Combinatorプログラムに参加していた時期に、まさにこの問題に焦点を当てるために再編成された。

Avoは開発者、データサイエンティスト、プロダクトマネージャーに、データパイプラインの開発と最適化のための共有ワークスペースを提供する。「優れた製品分析は、これらの部門横断的な利害関係者グループ間のコラボレーションの成果です」とオラフスドッティル氏。Avoの目標は、これらのグループに分析計画と管理のためのプラットフォームを提供することだ。また、分析イベントの作成方法に関する全社的基準を設定することもできる。

これが完了すると、Avoは開発者にタイプセーフ(型安全)なアナリティクスコードとデバッガを提供し、これらのスニペットを取得して数分以内にコードに追加できるようにする。一部の企業では、この新しいプロセスにより、特定の分析問題の修正に10時間を費やしていたのが、1時間以下にまで改善されたそうだ。

「ほとんどの企業は、自分たちのデータを完全に信頼できないことを心の底ではわかっている」とAvoの開発チームは説明する。しかし、この問題を解決する方法を知らないことも少なくない。この問題を解決するためにAvoは本日、Inspector製品をリリースした。このツールは、企業のイベントストリームを処理して可視化して潜在的なエラーをハイライトする。これらのエラーは、型の不一致、プロパティの欠落、またはその他の矛盾などが考えられる。さまざまな意味で、これらの問題を正確に回避することを目的としたサービスにとって、素晴らしいセールスツールであることは明らかだ。

「ほとんどの企業は、自分たちのデータを完全に信頼できないことを「心の底から」知っている」とAvoの開発チームは主張する。しかし、この問題を解決する方法を知らないことも少なくない。これを助けるためにAvoは本日、Inspector製品をリリースした。このツールは、企業のイベントストリームを処理・視覚化し、潜在的なエラーを強調表示する。具体的には、タイプの不一致、プロパティの欠落、その他の不一致などのエラーが考えられる。Inspectorは多くの点で、データ分析のエラー問題を正確に回避することを目的とした優れたツールといえる。

Avoの初期の顧客の1社は、ラテンアメリカの配送サービスRappiだ。「今年は10万人の新しい顧客が配達とカービングサイドピックアップをデジタル化するという需要に応えるために規模を拡大しました。新しいソフトウェアをリリースするたびに問題となっていたのは、分析結果が壊れてしまうことでした。これは、当社のJiraチケットの25%を占めていました」とRappiのエンジニアリング責任者、Damian Sima(ダミアン・シマ)氏。「Avoでは、分析スキーマを事前に作成し、データ分析時の問題を迅速に特定できるので、時間の経過とともに一貫してデータの信頼性を確保できます。我々は顧客がビジネスで毎月1200万人以上のユーザーにサービスを提供するのを支援できました」とのこと。

Avoはこの段階のほとんどのスタートアップ企業と同様に、今回の新たな資金調達を利用してチームを構築し、製品の開発を継続する予定だ。

「次の1兆ドル規模のソフトウェア市場は、開発者があらゆる業界のデジタルトランスフォーメーションを実現するために使用するツールを決定することで、ゼロから推進されることになるでしょう。Avoは、製品リーダーのためのスキーマとデータ分析の管理を維持しながら、エンジニアに実装の容易さを提供します」とGGV CapitalのマネージングパートナーであるGlenn Solomon(グレン・ソロモン)氏は語る。「Avoへの投資は、強い影響力を持つソフトウェア開発者と、新たな使命を持つ製品リーダーへ向けてのものです」と続けた。

画像クレジット:Fernando Trabanco Fotografía / Getty Images

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(翻訳:TechCrunch Japan)

ご近所SNS「マチマチ」が東京消防庁と連携、コロナ禍対応のデジタル防災インフラ目指す

各地域に特化したSNSを運営するマチマチは9月1日、東京消防庁との協定を締結した。東京消防庁が、スタートアップ企業と提携するは初とのこと。

マチマチは、2015年10月設立のスタートアップ。居住地、勤務地、出身地を設定し、半径1〜10km内に地域設定した利用者同士がコミュニ ケーションをとれるSNSを運営している。同SNSでは、設定した地域の情報を得たり、他の利用者の投稿へコメントを投稿するなどの機能を備える。

主な用途としては、子育て中の女性が地域の保育園、幼稚園、病院、イベントなどの情報を交換するのに利用しているとのこと。サービス利用開始時に携帯電話番号を用いたSMS認証による本人確認を行っており、実名もしくはニックネームによりサービスを利用するため、不特定多数が参加する匿名掲示版に比べて安心して使えるのが特徴だ。

東京消防庁との具体的な締結内容としては、東京消防庁がマチマチのSNSを活用し、防災訓練や防災知識の情報を各地域ごと発信可能となる。さらにマチマチ上で、全国1800以上の地域で展開している「災害情報共有コミュニティ」を活用し、住民同士の共助を中心とした防災の強化が行えるという。平時の防災の強化としては、防災訓練の認知度向上、防災知識の共有 台風、地震など。災害時としては、近隣住民同士の共助、被災状況の共有などがある。

なお、東京消防庁は、「あつまれどうぶつの森」を活用した防災動画をSNSで公開するなど、ネットを活用した情報を提供を強化している。

同社は今回の東京消防庁との提携に合わせ、情報システム、化学品の販売を手掛ける三谷産業、マンションの大規模修繕、インフラメンテナンス、建築・リフォームなど事業を手掛けるカシワバラ・コーポレーション、レンタルサービス大手の三和物流サービス、個人投資家などなどを引受先とする第三者割当増資も明らかにした。

今回調達した資金は、開発体制、地方展開の強化を進めていくという。出資元の事業会社との連携で、地域コミュニティの活性化を進めるようだ。

これまでのマチマチの災害発生時の活用例としては、以下のような事例がある。

  1. 2019年台風15号および19号発生時の活用例:台風19号の接近時にマチマチは、近隣の被災状況(川の水位上昇、浸水など)や避難所のキャパシティ(満員で入れないなど)などの情報を住民同士で共有。
  2. 新型コロナウイルス感染拡大時の活用例:2020年3月ごろより、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、近隣住民同士で新型コロナウイルスの感染情報、在宅勤務時の過ごし方、近隣の店舗、公共施設の混雑情報、生活物資の在庫情報(マスクなどの販売状況)、テイクアウト・デリバリー対応店の情報などを活発に共有。

なお同社は、2020年8月31日時点で29の公共機関、1省庁および1団体と提携している。

提携及び協定締結自治体

  • 東京都:渋谷区、豊島区、文京区、港区、中野区、目黒区、江戸川区、品川区、北区、小金井市
  • 埼玉県:さいたま市
  • 神奈川県:横浜市、川崎市、厚木市、寒川町
  • 千葉県:千葉市、習志野市、鴨川市
  • 茨城県:水戸市、土浦市
  • 愛知県:犬山市、名古屋市
  • 静岡県:三島市
  • 岐阜県:関市
  • 大阪府:大阪市
  • 兵庫県:神戸市
  • 秋田県:湯沢市
  • 長崎県:佐世保市
  • 香川県:高松市

提携省庁
東京消防庁

提携団体
一般社団法人大森医師会

「ふるさとチョイス」のトラストバンクが自然災害発生時の復旧力強化を包括支援する自治体向け新サービス

ふるさと納税サイト「ふるさとチョイス」のトラストバンクが自治体の災害復旧力強化を包括支援する新サービス

ふるさと納税総合サイト「ふるさとチョイス」運営のトラストバンクは8月27日、自治体の災害時におけるレジリエンス(災害復旧力)強化を包括的に支援する新サービス「トラストバンク レジリエンス パッケージ」の提供開始を発表した。

同サービスは、災害支援寄付(資金調達)に加えて、「減災・BCP(事業継続計画)」から「復興」までの水資源、緊急医療、エネルギーの3つのインフラ領域のレジリエンス(災害復旧力)強化を図る支援パッケージ。自治体が財源を確保しやすいように、有事のみならず平時にも活用でき、万一の際にそれぞれ有機的に即時対応できるとしている。

トラストバンクは、ミッションである「ICTを通じて、地域とシニアを元気にする」こと、ビジョンである「自立した持続可能な地域をつくる」ことを目指し、地域経済の活性化のためヒト・モノ・お金・情報の循環を促すことに注力。今回発表の「トラストバンク レジリエンス パッケージ」においても、この4資源を軸に被災自治体にサービスを提供する。

ふるさと納税サイト「ふるさとチョイス」のトラストバンクが自治体の災害復旧力強化を包括支援する新サービス

災害支援寄付(資金調達)では、ふるさと納税制度を活用した災害支援寄付「ふるさとチョイス 災害支援」を活用し、被災地の資金調達を支援。すでに全国1788の全自治体にプラットフォームを無償開放しており、2020年7月時点で過去約30件の災害で累計66億円超を被災地に届けているという。

水資源支援では、WOTAとの連携を通じて、災害時でも安全で清潔な水を簡単に扱えるWOTA BOXを提供。税別費用は、1台498万円。WOTAのAI水処理技術によって、一度使った水の98%以上が再利用できるようになる。

避難所での活用に加えて、排水ができない場所でも、温水シャワー・入浴・手洗いなどが可能になり、衛生環境の向上や被災者の精神的なケアにもつながるとしている。また平時では、自治体にとっても大きな投資となる水道敷設の設置が難しい地域でも利用可能。

緊急医療支援は、ふるさとチョイスにおけるクラウドファンディング型の仕組み「ガバメントクラウドファンディング」を通じて、トラストバンクと災害支援における連携実績がある空飛ぶ捜索医療団「ARROWS」とともに提供。

ARROWSは、災害発生時に被災地にいち早く駆け付け救助・救命活動を行うほか、医療・物資配布・避難所運営まで被災地が必要とする現地の医療支援を行う。平時においては、医師の高齢化や後継者不足で医療体制の維持が難しくなった地域への医師派遣や、離島過疎地の巡回診療なども行える。有事には無償支援。

エネルギー支援では、トラストバンクの地域エネルギー事業が独自に、災害時の独立運転が可能な「防災拠点向けの電力インフラ」を提供。同サービスでは、太陽光パネルと蓄電池(テスラ製Powerwall)を防災拠点に設置し、防災拠点において冷暖房だけでなく避難生活に必要な電力を賄える環境を展開する。

また平時には、設置した防災拠点で自家消費できるほか、余剰電力を地域へ売電できる仕組みを構築。エネルギー支援のサービス範囲は、防災拠点の重要な電力(冷暖房や照明など)の自立化から、施設全体の自立電源化まで対応可能。

さらに今後は、地域のレジリエンス強化につながるマイクログリッド事業においても、地域の要望に合わせて検討~運用までの支援が可能な体制を構築する。費用は、対象施設などによって変動するため個別見積もり。マイクログリッドは、送電線を通じて電力供給する従来型システムではなく、地域内に小規模分散型の発電施設や蓄電設備を設置することで、地域内で自立したエネルギーネットワークを構築する仕組み。

2012年4月設立のトラストバンクは、ふるさとチョイスを同年9月開設。同サイトは、2019年12月現在で約2億の月間PV数に到達。2020年7月現在で、契約自治体1570団体、お礼の品登録数28万点超を有する国内最大のふるさと納税総合サイトに成長。

2013年9月、ふるさと納税の制度を活用したプロジェクト型課題解決支援「ガバメントクラウドファンディング」をスタート。2014年9月には災害時にふるさと納税の寄付金を被災地に届ける「ふるさとチョイス災害支援」の仕組みを立ち上げ、全国の自治体に無償でプラットフォームを提供している。

2019年11月には、「LGWAN-ASP」を活用した自治体専用ビジネスチャットツール「LoGoチャット」を開始。2020年8月現在450超の自治体が導入しており、災害時における庁内や自治体間の情報連携など迅速な情報のやり取りが可能な環境を提供している。

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神戸市がスタートアップとの協働で年間5000時間超のリモートワークを推進、5年で4億円超のコスト削減を目指す

神戸市は8月26日、Honeycomeモンスター・ラボママスクエアのスタートアップ3社と協働し、教育委員会における職員の給与支給業務の効率化の研究結果などを発表した。

これまで給与支給業務では、職員が紙の書類を提出し、給与支給部署の担当者が届いた紙書類を1枚1枚点検して手当の金額を決定するという方法で処理されてきた。また、給与システムで計算した給与データの誤り点検は、出力したデータをPC上のエクセルを使って人間が目視点検するという方法だったという。

前述の4者の協働研究の結果、現在では明らかに非効率な同市の給与支給業務を刷新することを決定した。届出から手当の決定までをインターネット上で処理できるシステムを開発。紙ベースだった給与関係の届出書類を電子化してネット申請可能にし、書類の受付・入力などの業務を削減したという。さらに届出の提出件数や処理状況をBIツールを活用して可視化した。

給与データの誤り点検については、電子化した届出のデータをRPAやAIを活用して業務の自動化を進めた。なお、通勤手当・住宅手当の決定事務の効率化についてはモンスター・ラボ、給与システムの刷新についてはHoneycome、届出システムの構築・ワークライフバランスの推進についてはHoneycomeとママスクエアがそれぞれ担当した。

神戸市によると上記のワークフローの導入によって、ネット経由で処理が可能になり、職員の在宅勤務化(対象職員計年5000時間超)やワークシェアが実現できたそうだ。また自動化による業務時間削減効果は年間で6000時間超と見積もっている。費用削減効果は、5年間で4億円という試算だ。

今後のスケジュールとしては、市役所の教職員課とスタートアップでスクラム開発を続け、今年度中にテストを兼ねて実戦投入する。その後、2021年度の予算化、本格導入に向けて、システムや業務、セキュリティなどについて調整を進めるとのこと。

なお、今回協働したスタートアップ3社は、神戸市が地域課題解決プロジェクトとして昨年立ち上げた「Urban Innovation KOBE」(現在はUrban Innovation JAPAN)で「給与支給に関する事務改善の取り組み」に応募した中から選ばれた。同プロジェクトの採択案件については、開発されたアプリやシステムを神戸市が随意契約できる制度を活用して調達する予定だ。もちろん実際には、審査会に申請するかたちとなる。

Honeycomeは2017年8月設立のスタートアップ。ITシステムの構築・運用、インターネットを利用した各種情報提供・情報処理サービス、コンサルティング事業を手掛けている。

モンスター・ラボは、2006年2月設立の企業で、デジタルコンサルティング事業、RPAツールや店舗向けオーダーシステムなどプロダクト事業を展開している。

ママスクエアは、2014年12月のスタートアップ。託児付きワーキングスペースの運営・展開、コールセンター、バックオフィス、マーケティングリサーチ業、保育、託児施設の運営など行っている。

GovTechのスタートアップ育成するベンチャースタジオのHangarが15億円超を調達

Bloombergのデジタル・キャンペーン・アドバイザーでベンチャースタジオの創業者でもあったJosh Mendelsohn(ジョシュ・メンデルゾーン)氏は「地方や国レベルの常に予算に縛られている政府機関が、彼らが直面している課題に対応できるほど十分効果的にテクノロジーを使いこなしていない」と考えている。

そこでEngineの創業者でHatteryの専務取締役だった同氏は、彼の元ボスとKresge Foundationから1500万ドル(約15億9000円)を調達してHangarを立ち上げ、政府が効果的に取り組んでいない問題の解決を支援する企業を育てていくことにした。

メンデルゾーン氏は声明で「この国は今、前例のない状態に置かれており、企業はさまざまな難題に一度に対応しようとしている。新型コロナウイルスとの戦いがあり、経済の再建、高等教育の費用低減、ヘルスケアのちぐはぐな結果の修復など、大きな問題が数多くある」と述べている。

同社はすでに内部に技術者とビジネスコンサルタントのチームを抱え、米国の政府機関が毎年情報技術に支出する2兆ドル(約211兆8550億円)の一部を自ら手にするつもりだ。

同氏氏が創業したHangarはスタートアップ企業を育てるスタジオなので、一般にベンチャースタジオと呼ばれるが、創業後1年半のステルスモードの時期にすでに4つの企業を創業した。Camberは、政府に人の動きに関するデータを提供して、新型コロナウイルスと戦うヘルスケアの研究者に提供している。Camberはいまや、新型コロナウイルスに取り組んでいる公衆衛生の研究者や疫学者、州政府機関などに人の動きのデータのインサイトを提供する実績を持つ。

Corneaは、防災計画とその管理のための予報用ツールキットを開発している。Outcomeは、新しい学生ローンのサービス。Rosterは、テクノロジーを利用してコミュニティのヘルスワーカーの取り組みを支援するサービスだ。

以前にAppNexusを起業してAT&Tに10億ドル(約1060億円)で売却し、今はHangarに投資しているニューヨークの連続起業家であるBrian O’Kelley(ブライアン。オーケリー)氏は「早急にイノベーションと新たなテクノロジーを必要としている分野は、ヘルスケアや防災計画をはじめとして、とても多い。これらの分野は、人の命と幸福と目の前の現実の問題解決のためにテクノロジーを早急かつ有効に活用しなければならない。Hangarにはすでに、シリコンバレーの深い経験を持つ人々と政策立案の経験者から成る混成のチームが在籍しており、すでにその力を発揮しつつある。彼らの次の段階を支援できることを誇りに思う」とコメントしている。

画像クレジット: Bryce Durbin/TechCrunch

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

LINE Fukuokaが自治体向けにLINE公式アカウント機能のソースコードを無償提供、福岡市アカウントがモデル

LINE Fukuoka LINE SMART CITY GovTechプログラム 福岡市 ソースコード

LINE Fukuokaは7月21日、自治体が汎用的に活用できる「LINE SMART CITY GovTechプログラム」のソースコードについて、2020年秋頃から無償で提供開始すると発表した。同プログラムは、LINE公式アカウントの機能について、福岡市LINE公式アカウントをモデルに開発したもの。

また同日、「LINE SMART CITY GovTechプログラム公式ページ」において、詳細な情報を希望する自治体向けの事前登録受付を開始した。事前登録を行った場合、提供可能となり次第ソースコードを提供する。希望者にはLINE Fukuokaと開発について相談の機会を設け、その後同プログラムを用いて開発を行える開発パートナーを案内するという。

今回のLINE SMART CITY GovTechプログラムは、福岡市LINE公式アカウントの機能開発の知見を活かし開発した、全国の自治体が汎用的に活用できるLINE公式アカウントの機能。同ソースコードを活用して機能を開発することで、ゼロから機能を開発する場合と比べ、企画の工数や開発コストを抑えられる。ソースコードを無償提供することで、より多くの自治体がLINE公式アカウントを市民の暮らしの利便性向上に役立てられることを目指しているという。

なお、無償で提供するのはソースコードのみで、機能を実装する際には別途開発やサーバーなどが必要となる。LINE Fukuokaは、アマゾン ウェブ サービス(AWS)を用いることで、提供ソースコードを改変することなくそのまま活用できるしている(AWSの利用は必須ではない)。

LINE Fukuoka LINE SMART CITY GovTechプログラム 福岡市 ソースコード

LINE SMART CITY GovTechプログラムのソースコードに含まれる機能は、「セグメント配信機能」、「申請/アンケート機能」、「FAQ機能 – チャットボット形式応答」「管理機能」の4機能。セグメント配信は、自治体から導入に関する問い合わせの多かったものという。

LINE Fukuoka LINE SMART CITY GovTechプログラム 福岡市 ソースコード

セグメント配信機能では、管理者画面の配信リストで対象ユーザーの条件を絞り込み、指定ユーザーだけに情報を配信できる。また、ユーザー自身が受け取りたい情報を選択し、自分に必要なカテゴリのメッセージだけを受け取れるよう設定することも可能。防災や子育てなど、市民の興味・関心に合わせた情報配信に活用できるとしている。

申請/アンケート機能は、LINEのチャット機能やLINE上でひらくWebアンケートフォームを使い、ユーザーからの申請や情報提供を受け付けられるというもの。FAQ機能は、よくある問い合わせへの回答をチャットボット形式で紹介できる機能。チャットボットのシナリオは管理画面で設定可能。

管理機能では、機能利用の統計情報やロールごとの権限の設定、システムユーザーの管理などのシステム運用に必要な機能を提供する。

LINE Fukuokaは福岡市と共働し、福岡市LINE公式アカウントの機能を拡張。現在では、友だち数は169万人を超え、行政情報の選択受信をはじめ、申請手続き・市民から行政への通報・災害時のサポート機能など様々なサービスを提供している。

福岡市LINE公式アカウントでは、コミュニケーションプラットフォームであるLINEの特徴を活かし、市民と行政のコミュニケーションをサポート。特別定額給付金の支給の際には、市民の不安・疑問の解消、また手続きをスムーズにするため、チャットボットで回答する「特別定額給付金案内機能」を提供。10万回以上の利用があったという。

このほか、災害時に最新の災害情報を地区ごとに通知する機能や、地域の不具合を市民が発見し、自らLINEで行政に通報する機能などを提供。市民と行政の様々なコミュニケーションをLINEでサポートしている。

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コード・フォー・ジャパンが飲食店情報をオープン化する「OPEN EATS JAPAN」プロジェクトを開始

コード・フォー・ジャパン シビックテック OPEN EATS JAPAN

一般社団法人「コード・フォー・ジャパン」(Code for Japan)は7月20日、各地のシビックテック団体や民間サービスと連携し、飲食店情報をオープン化し社会で共有するためのプロジェクト「OPEN EATS JAPAN」を開始した。コード・フォー・ジャパンは、情報技術を活用し、全国の自治体・コミュニティと地域課題の解決に取り組んでいる。

新型コロナウイルス感染症の拡大を防ぐために多くの飲食店が休業を余儀なくされた状況を受け、各地では飲食店を支援するためにテイクアウトやデリバリーが可能な飲食店情報を収集して公開する多くのプロジェクトが立ち上がったという。

これら取り組みを一過性のものに終わらせず、今後も地域で協力し飲食店情報の発信を進めるため、コード・フォー・ジャパンは、各地で収集された飲食店データを広く様々なアプリやサービスで利用可能にするための標準フォーマット「飲食店情報オープンデータ項目定義書」を作成し公開。詳細はOPEN EATS JAPANプロジェクトページから参照できる。

飲食店データの標準フォーマットの検討においては、すでに飲食店情報やテイクアウト・デリバリー情報の検索サービスを運営している民間企業、各地のシビックテック団体と協力し、互いの所有するデータやサービスデザインを共有しながら進めたという。

協力団体(五十音順)は、うちたべ、オープン川崎/Code for Kawasaki、KATTE、Code for YOKOHAMA、Save the tables、トレタ。

今後各協力団体において、今回作成した標準フォーマットに準拠した形での飲食店オープンデータの公開を進める予定。さらに、飲食店情報をより検索しやすくするため、飲食店の分類のための標準タグ(キーワード)の整備を進める予定としている。

また、同プロジェクトはオープンに議論を進めており、誰でも参加可能。コード・フォー・ジャパンは、すでに飲食店の検索サービスを運用している方や、飲食店情報の収集や公開を計画している方からの参加を呼びかけている。

オープンデータを進めるにあたり支援の必要な自治体担当者向けの問い合わせ先、シビックテックに興味があるエンジニア・デザイナーの方や、飲食店情報の標準化に興味がある方向けの参加方法に関する情報もプロジェクトページに掲載されている。

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2016年、市民により良いサービスを提供するために行政はいかに変わるのか

行政サービスのDXを手がけるグラファーが約2.5億円の資金調達、凸版印刷との業務提携も発表

グラファー 凸版印刷 資金調達

行政サービスのデジタル化を手がけるグラファーは7月16日、第三者割当増資として総額約2.5億円の資金調達を実施した。引受先は既存株主および凸版印刷。また凸版印刷との資本業務提携を発表した。グラファーと凸版印刷のリソースを融合した新たな自治体向け事業を共同で推進し、2021年度中の新サービス開発を目指す。

今回の提携により、グラファーが持つ行政手続きのデジタル化を支援する非対面型SaaSおよびGovTechスタートアップとしての知見と、凸版印刷が持つ窓口申請業務電子化サービス、凸版印刷のデータセンターなどのセキュアビジネスソリューションやBPOソリューションを融合。住民と自治体をシームレスにつなぎ、双方にとって利便性の高い行政手続きの実現を支援する。

グラファー 凸版印刷

グラファーは、スマホなどで質問に答えるだけで自分に必要な手続きが分かる「Graffer 手続きガイド」、行政手続きをスマホで完結できる「Graffer スマート申請」を展開。また凸版印刷は、自治体窓口の業務効率化を支援システム「SpeedEntry Goverment」(スピードエントリーガバメント)を提供している。

行政手続きのデジタル化支援サービスとしては、これらグラファーによる住民向けの行政手続き事前確認・申請サービスと、凸版印刷の窓口業務効率化システムの連携などを視野に、庁内外の行政手続きのデジタル化・シームレス化を共同で推進する。

さらに、グラファーが展開する自治体と住民をつなぐ非対面ソリューションと、凸版印刷が自治体向けに展開するBPOソリューションを連携。住民への通知、申請受付け、審査、給付・発行までをワンストップで対応する、自治体向けの新たな行政事務代行BPOソリューションの提供を目指す。

グラファーは、スマホなどを使用してオンライン上で様々な行政手続きを行えるサービスを自治体向けに展開。これまで神戸市・横浜市などの政令指定都市はじめ、全国19の自治体・政府機関との案件実績がある。全国の自治体で使えるシステムを汎用的に開発しクラウドを通じ提供することで、各自治体の多様な手続きに対応できるサービスを提供。デジタル化による非対面での行政手続きの実現により、住民の利便性向上や行政の業務効率化を推進している。

凸版印刷は、セキュア事業のノウハウを活かし、住宅ローンやクレジットカード、自治体の窓口申請業務の手続きをタブレット上で可能にする窓口申請業務電子化サービス「Speed Entry」(スピードエントリー)シリーズを展開。対面サービスのデジタル化・業務効率化を推進するほか、デジタルを活用したBPOソリューションにより、全国の自治体業務を支援している。

TRUSTDOCKが福岡市の実証実験プロジェクトに採択、デジタル身分証による行政手続きを検証

TRUSTDOCK

TRUSTDOCK(トラストドック)は7月2日、福岡県福岡市の実証実験プロジェクト「Beyond Coronavirus」(ビヨンド コロナウイルス)において、同社提案の「デジタル身分証による行政手続き」が採択されたと発表した。

同実証実験では、行政手続きのオンライン化を促進することで、自治体窓口の三密緩和、事務方の業務効率化、同時に住民がリアルな身分証を持ち歩くことなくスマホだけで手続きが可能になることを検証する。Withコロナ時代のニューノーマルを形作る、デジタルガバメントにおけるデジタルアイデンティティの課題検証を目指す。

TRUSTDOCK

TRUSTDOCK

TRUSTDOCKは、オンライン本人確認が可能になるeKYC(electronic Know Your Customer)および公的個人認証に日本で唯一両対応するデジタル身分証アプリ「TRUSTDOCK」と、各種法律準拠のeKYCおよび本人確認APIサービス基盤を展開するスタートアップ。

同サービスでは、犯罪収益移転防止法をはじめ、携帯電話不正利用防止法、古物営業法、労働者派遣法、出会い系サイト規制法、民泊新法などに準拠したKYCをAPI組み込みのみで実現可能。これによりサービス事業者は、本人確認(KYC)用管理画面の開発や、オペレーターの採用や教育、24時間体制でのシフト管理を行うことなく、低コストでKYCを実施可能となる。

また犯収法改正対応のTRUSTDOCKは、施行規則六条一項の「ホ」「ヘ」「ト」「チ」をはじめ、公的個人認証による「ワ」などあらゆる本人確認手段を内包。運転免許証や運転経歴証明書、パスポート、マイナンバーカード、住基カード、在留カード、特別永住者証明書など幅広い本人確認書類に対応している唯一のデジタル身分証アプリとなっている。

TRUSTDOCK

福岡市と福岡地域戦略推進協議会(FDC)は、AI やIoTなどの先端技術を活用した社会課題の解決につながる実証実験プロジェクトを全国から募集。優秀なプロジェクトの場合、福岡市での実証実験をサポートする「福岡市実証実験フルサポート事業」を実施している。

Beyond Coronavirusとは、福岡市の官民協働型スタートアップ支援施設「Fukuoka Growth Next」(FGN)の協力のもと日本全国からスタートアップ企業の実証実験を募り、現在進行させているプロジェクト。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大によって顕在化した、様々な社会課題を解決するための新しいサービスやプロジェクトの創出を目指している。

関連記事:TRUSTDOCKのeKYCサービスが国内でMastercard Awardを受賞、ドバイでの最終選考会へ

新型コロナ禍で神戸市がマイクロソフトと包括連携、Power Virtual Agentsでチャットボット、Twilioで音声自動案内などを構築

神戸市は6月4日、マイクロソフトとの包括連携についての記者発表会を開催した。新型コロナウイルス感染蔓延に関連する情報発信や特別定額給付金に対する市民からの問い合わせに迅速に対応する目的で、同社の業務アプリケーションプラットフォーム「Microsoft Power Platform」と、その他の企業のテクノロジーを活用する。

なお、今回の提携によって神戸市が開発した新型コロナウイルス対策に関連するサービスは、すべてオープンソースとして公開される。ほかの自治体は、Microsoft Azureなどのクラウド環境を構築するコストは別途必要だが、神戸市と同様のシステムを無償で利用可能になる。

新型コロナウイルス関連の市民からの問い合わせ対応については、Microsoft Power Platformに含まれるチャットボット作成サービス「Power Virtual Agents」を利用して「新型コロナウイルス健康相談チャットボット」を開発。
感染したかどうか不安な市民が24時間いつでも受診先などを相談できるようになっている。現在のところ1日あたり100件ほどの利用実績があるという。

新型コロナウイルス関連の情報公開については、こちらもMicrosoft Power Platformに含まれるデータ分析サービス「Power BI」を利用したウェブサイトを構築。これまで市役所のウェブサイトで分散していた情報を1つのサイトに集約した。
集約したウェブサイトはダッシュボードタイプになっており、PCやスマートフォンなど視聴するデバイスごとに最適化されたレイアウトで情報をチェックできる。データの取得や加工、可視化などをすべて自動化したことで常に最新の情報を参照できるとのこと。現在1日あたり1万件ほどのアクセスがあるとのこと。

誰もが気になる特別定額給付金についても、Microsoft Power Platformに含まれるアプリ作成サービス「Power Apps」を利用した検索サービスを構築。検索サービスに10桁の申請番号を入力することで、申請状況を確認できるようになっている。

ピーク時には1日4万件を超える電話問い合わせがあるなど窓口が逼迫していたが、検索サービスの構築後は電話の問い合わせは4万件から3000件に減少。一方で検索サービスのアクセス数は1日あたり3万5000件になったという。

さらに、PCやスマートフォンを使っていない市民に対しては音声による申請状況自動案内サービスを6月5日から提供する。こちらは米国サンフランシスコ拠点のTwilioのAPIを活用している。電話口で10桁の申請車番号を電話機のプッシュボタンで入力することで、申請状況を音声で確認できる。ちなみにTwilioは、国内ではKDDIウェブコミュニケーションズが代理店となっている。

神戸市は今回のマイクロソフトとの包括提携により、新型コロナウイルス関連サービス以外にも、各種申請手続きのオンライン化や遠隔医療、遠隔教育、IoT機器や5Gを活用したモニタリングなどの施策を同社とともに進めていく計画だ。

 

新型コロナ禍の中でカリフォルニアは大統領選挙に向け住民の安全のために郵便投票を採用

米国時間5月8日、米国カリフォルニア州知事のGavin Newsom(ギャビン・ニューサム)氏は、11月の大統領選挙に向けて登録済有権者全員に郵便投票用紙(未訳記事)を発行すると発表した。ニューサム氏はこの決定を、他のカリフォルニア州機関と調整の上、行政命令として下した。

この命令は、すべての郡の選挙担当者に、有権者へ郵便投票用紙を提供することを要求するものだが、同時に障碍者、住所をもたないホームレス、英語以外の言語での投票資料を必要とする人たちのために対面式投票所の設置も設定することも求めている。

カリフォルニアは、郵便投票州になりました。
登録されている有権者の皆さまに、11月の選挙のための郵便投票用紙が送られます。
安全な対面投票オプションも提供します。
投票権は私たちの民主主義の基盤です。その権利を行使するために健康を危険にさらすことを強いられてはなりません。

命令によれば、対面投票を可能な限り安全にするために、知事は州務長官およびカリフォルニア州議会と調整を行う。カリフォルニア州では、州務長官が選挙の最高責任者であり、投票設備、セキュリティ、そしてアクセシビリティの監督を行っている。

Alex Padilla(アレックス・パディラ)州務長官はこの決定について「全登録有権者に投票用紙を郵送することで、カリフォルニア州は新型コロナウイルス(COVID-19)パンデミックに対応する国内で最初の州になります」と語った。「私たちは今年11月の選挙で、アクセスしやすく、安全で、安心な選挙を提供するという義務を果たします。登録されているすべての有権者に、郵便で投票用紙を送ることは賢明な方針ですし、この新型コロナウイルスパンデミック期間で行うこととしては絶対に正しい行動です」。

11月の選挙が迫る中、パンデミックの真っ最中の総選挙が突き付ける独自の課題に、各州は迅速に対応しようとしている。この先投票システムを再考できない州に起き得る混乱を、既に行われた予備選挙戦が予め示したからだ。特にウィスコンシン州では、長い列と混雑した投票所が報じられた。他の多くの州が予備選挙を遅らせて(未訳記事)時間を稼ぐ中、ウィスコンシン州は健康専門家からの警告と有権者からの懸念にもかかわらず、当初の日程で対面投票を進めたのだ。

一部の政治家(特にトランプ大統領はその筆頭)たちは郵便投票を党派的な問題だと片付けようとしているが、現実には、赤い州(共和党支持が多い週)と青い州(民主党支持が多い州)どちらの選挙担当者も、11月には投票用紙を住民に郵便で送ることを検討している。

オレゴン州、ワシントン州、コロラド州、ユタ州、ハワイ州では、すでに郵便投票を主要な投票手段として安全に利用しており、これらの州(ならびに不在者投票を認めている他の州)での投票者の不正行為は、統計的に無視できる程度のものである。

関連記事:Vote-by-mail should be having its moment.Will it?(郵便投票が、いままさに脚光を浴びるのか?、未訳記事)

画像クレジット: Getty Images

新型コロナウイルス 関連アップデート

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(翻訳:sako)

マーク・アンドリーセンやナイチンゲールから学ぶ「真空状態に何かを作ること」

建築工学のエンジニアを喜ばせたければ、宇宙でどんな建物が作れるかを聞いてみるといい。重力と空気力学の制約から解放されれば、一人の人間でも超高層ビルをレゴのように動かせる。地球の重力から逃れるのに必要なロケット燃料のほんの数分の一で、大量の物を動かせるようになる。真空の世界では、ダイソン球のような超現実的なものまで作れてしまう。

問題は、それを地上に持ち帰ろうとしたときに、大気圏の突入でバラバラになり、着地すれば自重で潰れてしまうことだ。

米国の名門VCであるAndreessen Horowitz(アンドリーセン・ホロウィッツ)の共同創業者の一人、Marc Andreessen(マーク・アンドリーセン)氏が書いた、「IT’S TIME TO BUILD」(つくる時間が来た)という記事を読んで、私はそんなことを考えた。同世代で最も印象に残る起業家であり投資家であるマークは武器を手に取って、技術コミュニティーに対してクリーンエネルギー、教育、効率的な医療といった難題を何かを作ることで解決しようと訴えた。これは正しい提案だ。だがもし、2008年の経済危機の最中に銀行の重鎮が世界情勢を見渡して「今こそ金融だ!」と持論を著したとしたら、即座に笑いものにされていただろう。それと同じことをさらに強く訴えたところで、今も賛同は得られない。

ソフトウェア業界には、そうした危機には見舞われなかった。それはソフトウェアの社会基盤のおかげでもある。盤石なコードの基礎と、たゆまないエンジニアの努力により、経済が止まった中でも私たちは機能していられる。しかし今は作る好機であるのと同時に、これらの難題がなぜ今まで解決できなかったのかを聞いて理解する好機でもある。なぜなら真空状態では作ることを継続できないからだ。

間違いなく技術系企業や起業家の間には、政治家、政策団体、市民団体など、実際にユーザーや顧客になる可能性がない人たちを、商売繁盛のための仕事を邪魔するものと見なす習慣がある。今の世界で大成功を享受しているハイテク企業は、そうした真空地帯から生まれてきた。

だが、新しいエネルギーシステムを構築しようとすれば、どうしても政治や政策と深く関わることになる。終わりのない医療の課題を解決するには、あらゆる特殊ケースに対処しなければならない。教育と技能訓練を拡充しようと思えば、そもそも多くのコミュニティーがそれらのサービスを利用できないでいる社会の構造的問題を理解する必要がある。これらの課題に取り組む際には、それぞれに対応した考え方、行政と関わろうとする意欲、それを作った影響で二次的に引き起こされる物事を考える工学上の習慣、信用と法的責任を超えて社会的責任を考える取締役会が求められる。

危機の際に何かを作る方法を知りたい方は、以前から複雑な問題に取り組んできたイノベーターや起業家に学ぶといい。私の場合は、Florence Nightingale(フローレンス・ナイチンゲール)だ。

2020年5月12日はナイチンゲールの生誕200年の記念日。さまざまな功績が知られているが、中でもクリミア戦争での従軍看護に与えた影響が大きい。

最前線から帰還した負傷兵のひどい状態を見た彼女は、死因の調査に乗り出した。データの収集と活用による新しい方法を考案して実践し、当時の偉大なるイノベーターであったIsambard Kingdom Brunel(イザムバード・キングダム・ブルネル)とEdmund Alexander Parkes(エドモンド・アレクサンダー・パイクス)博士とともにまったく新しい看護方法を開発し展開した。さらに、新しいタイプの病院をレンキオイに建設した。彼女はその過程で、戦争と医療と女性としてのルールを破った。彼女は、疲労困憊した実践家としてではなく、変革に意欲を燃やす起業家として、あらゆる問題に取り組んだ。一部の調査によれば、レンキオイ病院の死亡率は9割減少したという。

だが、ナイチンゲールがもたらした最も大きな影響は、これではない。英国に帰国した彼女は、医療のいちばんの課題は、大きな技術的問題ではなく、行動と政治の問題であることに気がついた。そこで彼女は、人材を集め、看護の機構そのものの改革に取り組んだ。ナイチンゲール財団を設立して看護師を養成し、新しい看護方法を広めるために、米国、インド、日本に何度も看護師を派遣した。また彼女はさまざまな政府に掛け合って、家庭の衛生に関する法律の改定にも取り組んだ。わかりやすい言葉での執筆も数多くこなし、近代看護の基礎となる教科書も制作している。それから200年。英国政府は完全装備のICU病院をロンドンの中心部にわずか9日間で作り上げた。今そこは、ナイチンゲール病院と呼ばれている。

この危機に際して、ルールが破られようとしている。そこから生まれのは、通常のものではない。私たちが望めば、またそうすべきなのだが、私たちに強い回復力を与え、強い影響力で多くの人生を変革するものが作れる。フローレンス・ナイチンゲールが発見したように、もっとも難しい課題は、エンジニアだけで解決できる技術的な問題ではなく、社会の問題だ。

実際それがどのような形をしているかはいろいろだ。手始めに自社の企業内文化について考えてみよう。Doteveryonのconsequence scanningのようなツールを使って、最初のユーザーの先に自分が作るもののインパクトを考えてみることだ。Govtech FundPublic.ioといったファンドの活動を通して、企業内の新しい世代が政策問題とどう関わるを見ることから始めてもよいだろう。The Good Webプロジェクトなど、今回の危機で表面化したウェブの本質的な弱点への対処に取り組むプロジェクトに参加することから始めるのもよい。取締役会の運営を改善に興味があるなら、BaldertonのGood Governanceプロジェクトに参加するのもよいだろう。その場合は私たちに連絡して欲しい。

いみじくもマークが言っていたように、今は作るときだ。ただし、持続可能な形で作るときでもある。

【編集部注】著者のJames Wise(ジェームズ・ワイズ)はBalderton Capitalのパートナー、シンクタンクDemosの理事であり、元英国議会の社会的企業に関する専門家顧問。

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(翻訳:金井哲夫)

自治体から住民への通知を自動化する「BetterMe」開発のケイスリーが1.9億円を資金調達

写真後列中央:ケイスリー代表取締役CEO 幸地正樹氏

地方自治体のSDGs推進支援や行政機関向けプロダクトの開発に取り組むケイスリーは3月26日、モバイル・インターネットキャピタルが運営するMICイノベーション5号投資事業有限責任組合を引受先とする第三者割当増資により、総額1億9000万円の資金調達を実施したことを明らかにした。同社の外部からの資金調達はこれが初となる。

コンサルティングとプロダクトの両輪で社会課題解決目指す

ケイスリーは2016年4月、PwCコンサルティングでコンサルタントとして、主に官公庁向けの支援に従事していた代表取締役CEOの幸地正樹氏が「日本でもインパクト投資の手法として、(課題解決の成果に対し報酬を出す契約である)ソーシャルインパクトボンドの導入をもっと進めたい」と設立したスタートアップだ。

ケイスリーが目指すのは、社会課題解決の基盤づくり。これまでに、地方自治体のSDGs推進支援、ソーシャルインパクトボンドの導入推進など、新しい社会的課題解決手法の構築に携わってきた。地方自治体へのコンサルティング事業と、行政分野を対象にしたGovTechプロダクト事業を両輪として展開している。

2017年8月には、日本初のソーシャルインパクトボンドを組成し、八王子市で成果連動型の大腸がん検診受診率向上事業に行政アドバイザーとして関わったケイスリー。その後、広島県内6市で実施した大腸がん受診勧奨事業で得た知見もあわせ、厚生労働省の支援のもとで、2019年3月から沖縄県浦添市で機械学習と行動経済学の知見を用いたプロダクトの実証実験を開始した。浦添市では、大腸がん検診の受信を勧めるメッセージをSMS経由で、国民健康保険に加入する1万7000人の住民に自治体から自動で配信するサービスを、SMS配信事業のアクリートとの提携により行っている。

この実証実験をベースに、さらに公的通知自動化サービスとして進化させたのが、同社が開発中のGovTechプロダクト「BetterMe」だ。BetterMeは2019年10月、500 KOBE ACCELARATORSにも採択され、現在開発を本格化させている。

500 KOBE ACCELARATORSに参加したケイスリーのプロダクトチームメンバー。左から2人目が取締役CFO 森山健氏

ケイスリー取締役CFOの森山健氏は、「コンサルティングとGovTechの両輪で事業展開することで、自治体が抱える課題を発掘して、解決手法を見つけ、洗練し、プロダクトとして戻すという流れを作ることができ、PDCAをまわすことを可能にしている」と同社の特性について説明する。実際、自治体で支援を行うときにも役所の担当者と行動をともにして、住民からのヒアリングをもとにPDCAサイクルに反映しているという森山氏は「現場は大事」と語る。

事業のうち、コンサルティング領域では、現場に近いNPOから国際イニシアチブまで、さまざまな規模の組織について、産官学および金融との連携にかかわる戦略策定から、案件組成に不可欠な現場支援まで、幅広くサービスを提供しているという。

「IT系スタートアップがいきなり地方自治体へプロダクトを持ち込んで営業しても、門前払いされることも多い。ケイスリーでは、成果連動型のソーシャルインパクトボンドを取り入れる手法や、コンペで政策課題の解決を目指す方法をコンサルティングで伝え、課題解決のためにテクノロジーを掛け合わせることで、実際の社会課題解決につなげることを目指している」(森山氏)

また、官民が連携し、成果に連動して報酬が得られるソーシャルインパクトボンドの効用については、森山氏は次のように述べている。「課題に対して、例えばSMSのサービスというモノを売るのでは、1配信につき単価数円といったつまらないビジネスになってしまう。『受診者が増えたら1万円』といった成果・付加価値を売るという形に切り替えることで面白いサービスができ、行政コストの適正化も図ることができる」(森山氏)

浦添市のケースでは、職員が検診を勧める電話などをかけるのにかかる年間4万2000時間を人件費として換算すると、およそ1.3億円をSMSの自動送付で置き換えることができると試算。また受診率を12%改善できるとすれば、早期治療により適正化できる医療費は年間約2000万円と見積もられている。

行動経済学とデータでよりよい意思決定を促すプロダクトづくり

ケイスリーでは事業コンセプトに掲げる「社会課題を最速で解決するための基盤をつくる」を実現するために、データサイエンスと行動経済学を組み合わせ、プロダクトへ取り入れようとしている。

浦添市の実証では、単に自治体から住民への告知を紙からSMSに変えたというだけではなく、どういうメッセージを送るかでも、がん検診の受診率に差が出ているという森山氏。例えば、他の民間業者がこれまで手を付けていなかった、「無関心期」にある未検診者へのメッセージ配信では、受診率1%だったところが16%にまで向上したという。「文面は30パターンほど用意し、12回の配信でPDCAをまわして改善していったところ、よい実証成果が得られたと思う。メッセージへの反応(ナッジ)には地域性もあるようだ」(森山氏)

森山氏は「検診に行かない人には、交通手段がない、検診に行く時間やお金がつくれないなど、何らかの理由があり、これが検診率と密接に関連している。面倒くさがり屋だとか、健康意識が低いと決めつけるのではなく、これこそを行動経済学の知識で階層化していくと、よりよい成果が得られるだろう」と話す。「そのほか、気温と受診率などにも相関がある。今後、行政データや行動データなどのデータベースを拡張し、ビッグデータを解析することでも成果がさらに上がるのではないか」(森山氏)

「行動経済学はノーベル経済学賞を4回受賞している分野だが、紙と鉛筆で研究が行われている非常にアナログな世界。まだテクノロジーがそれほど使われていないので、これはチャンスだと感じている。行動経済学をデジタル化・インフラ化することで、現在手がけているがん検診の受診勧奨だけでなく、今感染症で話題になっているソーシャルディスタンス対策や、災害時の自治体からの迅速で的確な発信などにも役立てることができるようになるだろう」と森山氏は言う。

森山氏は「人間の意思決定の数理モデル化、ナッジと呼ばれる人の行動のきっかけとなるしかけ(浦添市の例ではメッセージの内容に当たる)、成果の効果測定の3つをそろえることで、PDCAサイクルをまわして、行動経済学のデジタル化に取り組むことができる」と考えている。

「行動経済学でアナリティクスカンパニーをやる、というのは世界でも例がない。行動経済学をデジタル化して、API開放することにより、ショートメッセージだけでなく、LINEでも、チャットボットと組み合わせても使えるようにできる。チャネルは多様化させるとして、エンジンとなる部分をこれから掘り下げていけば、世界にないサービス、テクノロジーが提供できると考えている」(森山氏)

調達資金は、500 KOBE ACCELERATORで本格化させた「BetterMe」の開発に活用するというケイスリー。特に、自治体向けサービスを開発するにあたって求められる行政ビッグデータの解析では、情報セキュリティ対策を重視し、インフラ、ネットワークに強いエンジニアの採用を強化すると森山氏は述べている。

「ガンダムに例えれば、僕らがやろうとしているのは、人間をニュータイプにする試み。また、これは消費者保護の取り組みでもあると考えている」という森山氏。「古典経済学で言うところの『合理的判断』ができないのが人間で、不確実性のもとでの人間の意思決定を科学するのが行動経済学だ。これをプロダクトに取り入れることで、『この広告に騙されたらダメだよ』『50代になったので、がん検診に行った方がいいですよ』と、チャットボットなどが分身として人間の判断を助けてくれるようになれば、人間はニュータイプになれるのではないかと思っている」(森山氏)

「行政に都合の良い市民を作りたいというのではなく、市民が情報を正しく認識して、よりよい意思決定を自分のためにできるよう、お手伝いしたい。それが行政が望む姿と重なっている領域で、事業を行っていきたい」(森山氏)

CircleCIとAWS GovCloudが協力して米国政府のアプリ開発のモダナイズを支援

民間企業と同じく合衆国政府も今はワークロードをクラウドへ移す過程にあり、ともに同じような課題に直面している。米国時間2月25日、継続的デリバリーサービスのCircleCIが、AWS GovCloudとのパートナーシップを発表し、AWSの政府向けプラットホームを使っている連邦政府機関のアプリケーション開発のモダナイズを支援していくことになった。

CircleCIのCEOであるJim Rose(ジム・ローズ)氏は「サーバーをわが社のオンプレミスで動かし、それを政府の顧客がAWS GovCloud上の専用の純粋なクラウドリソース上で動かすかたちになる」と語る。

GovCloudは、専用のシングルテナントクラウドプラットホームであり、そこで政府機関はFedRAMP準拠の安全なクラウドソリューションを作ることができる。また、ほかのクラウドベンダーにも同様のサービスがある。FedRAMPは、政府のためのセキュリティスタンダードの集合で、クラウドベンダーが連邦政府の仕事をするときには必ず準拠しなければならない。

CircleCIは、開発チームに急速なサイクルでアプリケーションに変更を行うための継続的インテグレーションと継続的デリバリー(continuous integrationとcontinuous delivery、CI/CD)パイプラインを構築する。

「GovCloudがあることによって、政府機関が求めているオンプレミスと同じレベルのセキュリティとサービスを、専用のシングルテナントのクラウド環境で提供することができる」とローズ氏は説明する。

また、ローズ氏によると、クラウドアプリケーションの構築には多くのステップがあるが、同社が提供するのは継続的デリバリーのパイプラインという基本部分だけだという。他の関連サービスは提供しない。彼が言うように、1〜2年に1回アップデートするだけのレガシーなメインフレームアプリケーションならCircleCIの出番はない。しかし開発環境をモダナイズしようとしたときには、同社のサービスが大きな助けになる。

さらに 「現代的なクラウドアプリケーションの開発工程では、1日に数百回も変更を加えることがある。しかも多くの場合、変更のソースはとても多人数が関わっており複雑で、マニュアルな管理はほぼ不可能なのだ」とローズ氏はいう。

同社はかつて、中小企業庁(Small Business Administration、SBA)の仕事をしたことがあるが、今後はそのときと同じように、省庁を直接相手にすることになるだろう。またときには、システムインテグレーターやAWSも関わってきて、彼らが大きなRFP(業者への提案依頼書)に載っていることもあるはずだ。

政府の仕事では、そこから論争が生じる場合があることも、ローズ氏は承知している。ChefでもSalesforceでもGoogleでも、一部の社員が国防総省(DoD)や移民局(ICE)の仕事はしたくない、とごねたことがある。そこでCircleCIは、国民との対話を改善する意思のある省庁の仕事に集中し、他の省庁とはお近づきになりたくない、とローズ氏はいう。

「我々のような立場は、政府の問題に深く関われるわけではないが、彼らの一部になるのではなく、常に集団の先頭に立っていたい。商用の仕事でも、政府系の仕事でも越えてはならない一線というものを、常に意識していたい」と決意を述べる。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

外国人労働者のビザ取得をサポートするone visaが「GovTechカオスマップ 2020」を公開

オンラインによるビザ申請、管理支援サービス「one visa(ワンビザ)」を提供するone visaは2月26日、「GovTech(ガブテック)」に関連した領域におけるサービスのカオスマップを公開した。

one visaいわく、「政府(Government)」と「技術(Technology)」を組み合わせたGovTechという造語が日本で使われ始めたのは2013年ごろ。同社はGovTechを「行政と市民・事業者の利便性を高めるテクノロジー」と定義している。

GovTechと類似、またはクロスーバーしているXTech領域には、CivicTech、RegTech、LegalTechなどがある。CivicTechは市⺠の視点、RegTechは規制の視点、LegalTechは法律の視点、といった具合に、それぞれ視点が異なっている。詳しくは一般財団法人日本情報経済社会推進協会の資料を参考に。

今回のカオスマップでは、one visaなどビザ申請や管理を支援するサービスに加え、行政手続きの効率化を目指す「Graffer(グラファー)」、AI-CON(アイコン)シリーズで知られるGVA Techの「AI-CON登記」、cotobox(コトボックス)によるオンライン商標登録サービス「Cotobox」から、政治コミュニティアプリの「PoliPoli(ポリポリ)」まで幅広く紹介されている。

one visaは2018年12月、学習機会提供、ビザ取得、定住支援までを一気通貫で行う「海外人材来日・定住支援サービス」をスタート。ビザ取得時に収集する情報を基軸とした信用スコアリングを行い、海外人材に独自の与信を付与し、クレジットカードの発行や家賃保証など、これまで外国籍の人材による利用が困難だった金融サービスの提供を目指している。

同社が提供するような外国籍人材の在留資格に関連するサービスも、「近年の在留外国籍人材の増加、それに伴う手続きの煩雑さから、今後ますます需要が高まることが予想される」(one visa)。

米警察のナンバープレート自動読み取りシステムが悪用されていた

ナンバープレート自動読み取りシステム(Automated License Plate Readers、ALPR)は、防犯など公共の利益に貢献するものではあるが、一方で批判も多い。残念ながら誰も驚かないが、その運用方法は「疑問だらけであり、そのデータの濫用は心配や疑いどころかまさに事実である」とその監査を指示した米国カリフォルニアの州議会議員がコメントしている。

ナンバープレート自動読み取りの監査を要求したのは、民主党でサンフランシスコ選出のScott Weiner氏(スコット・ウェイナー)で、「警察など多くの法執行機関が、州法を破って個人データを長期にわたり保有し、これらの個人データをばらまいている。このような状態は、まったく受け入れられない」と警告。監査は、ロサンゼルス警察とフレスノ警察、およびマリン郡とサクラメント郡の群保安局に対して実施された。

関連記事:Police license plate readers are still exposed on the internet(警察の車のナンバー読み取りがインターネットに漏れている、未訳)

調査は、このナンバープレート読み取り事業がほとんどその存在を正当化されないことを明らかにし、セキュリティとプライバシーのベストプラクティスに従うどころか、それらの内規すらないと結論している。

  • ロサンゼルスだけでも3億2000万のナンバープレートの画像を保存しているが、その99.9%は公式の捜査令状や捜査命令に基づいて収集されたものではなかった
  • それらの画像を他の数百もの機関が共有したが、共有の法的根拠や共有方法の正しさに関する記録はない
  • すべての機関に、2016年に制定された要件を満たすプライバシーポリシーが存在しない。今回の四つの監査対象機関のうち3つは、無許可アクセスについて適切な説明ができず、データの破壊処理をいつどのようにやったか、やらなかったかも述べられなかった。そして他の機関は、ポリシーそのものが作られていなかった
  • アカウントの作成と使用に関するポリシーや保護がほとんどなく、自己のシステムが一度も監査されたことがない
  • 3つの機関が画像とデータをクラウドベンダーに保存している。その契約は不適切であり、データの保護はほとんどない

今回の監査に関するプレスリリースは、「警告に値する重大な疑義がある」と言っている。このナンバープレート自動読み取り事業は州法に違反していると思われるので、訴追されるべきかもしれないし、また既存の法は彼らを規制するタスクには不適切であると思われる。ウェイナー氏は新法が必要と主張し、すでに法案作成を始めている。

監査の報告書全文はCalifornia State Auditorのサイトで読める。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

ウィキメディア財団がインドが提案する仲介者責任規則に深い懸念を表明

Wikipediaをはじめ、さまざまなプロジェクトを運用している非営利団体であるWikimediaが、インド政府に国の仲介者責任規則の変更案を考え直すよう促している。その変更は大量の企業と5億あまりの人々の情報へのオンラインアクセスに影響を及ぼす。

同団体はインド政府に、仲介者(情報の授受を仲介するサービス)ルールの最新の変更案を公開し、インドではインターネットがどのように統治されるべきかに関し、利害を有する者全員に十分な情報に基づく堅固な議論に参加する機会を与えるべきと求めた。

インドの仲介者ルールに対する政府の改定案は12月に提出され、その後数カ月内に承認されると予想される。その提案によると、インドの電子IT省は仲介者アプリケーション(ユーザー数500万以上のサービス)に、インド国内にオフィスを持ち法律的問題に責任を持ちうる上級役員を置くよう要求できる。

Wikimedia Foundationの法務担当Amanda Keton(アマンダ・ケトン)氏は米国時間12月26日、中間者ルールのインドの改定案は、ユーザーの寄与貢献に依存する公開編集方式で、誰もが新しい記事を書いたり既存の記事を改訂できるWikipediaの事業に深刻な影響を及ぼし、他の団体にも影響が及ぶと述べた。

彼女はまた、そのルールにより非営利のテクノロジー団体に相当量の財務的負担が生じ、またインドのインターネットユーザーの表現の自由を損なうと説明する。Wikimedia Foundationはその懸念を、インドの電子IT省長官であるRavi Shankar Prasad(ラビ・シャンカール・プラサード)氏に伝えた。その書簡を誰もが見られるように、自らのブログにも載せた。

仲介者ルールのインドの最近の変更案はインターネットを地元住民にとってより安全な体験にするために起案され、仲介者は「不法な情報やコンテンツへの公開アクセスを事前に見つけて削除または無効化するための」自動ツールをデプロイしなければならないとしている。

この変更案を懸念する者は多い。今年初めにはMozillaとMicrosoftのGitHub、およびWikimediaの連名書簡により、仲介者に不法コンテンツを事前に排除させるというインド政府の要求は、「(仲介者でなく)不法な活動を行っている悪者を有責とし、企業はそういう行為を知っていたときにのみ責任を負うという、既存の法に盛り込まれた細心の均衡を崩す」と主張した。

このグループはまた、インド政府の案では「インターネットサービスの上の監視の要求が大きく拡張される」と注意を喚起した。GoogleやFacebookなども含まれるインドのいくつかの業界団体も、政府案の大幅な変更を求めている。米国時間12月16日に発行された公開書簡でWikimediaのケトン氏もこれらの懸念を繰り返し、「コンサルテーションに参加した者も一般公衆も、昨年以降はルールの新しい案を目にしていない」と言っている。彼女はまた、最近提案されたルール案で仲介者の定義の範囲が広くなりすぎているのを改めるよう政府に求めている。

インドはWikipediaの5番目に大きな市場であり、先月の訪問者は7億7100万件を超えている。Wikimediaはインド語のWikipediaを拡張するために、人々を招いていろんな事業を行っている。

ケトン氏はインド政府に、オンラインのコミュニケーションに「追跡可能性」を導入する要件を考え直すよう説得した。それがあるとWikipediaの寄与貢献者たちが自由に参加することが困難になるからだ。追跡可能性についてはWhatsAppが、そのような要求に応じたら、どのユーザーも自分のメッセージの暗号化を危険にさらすことになると語った。

関連記事: インドが政府による個人データアクセスを可能にする新法案を提案

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

ロシアが独自の内部インターネットのテストを開始

ロシア国内のニュース報道によれば、ロシアは世界的なウェブの代替として機能する、国家規模のインターネットシステムのテストを開始した。ロシアがどの段階に達したかは明確ではないが、障害回復力が高く、そして恐らくはより簡単にコントロールできるインターネットが追求されていることは確かだ。

もちろんインターネットというものは、物理的に、仮想的に、そしてますます政治的にインターフェイスしなければならない接続する国同士の世界的なインフラストラクチャの連携網で構成されている。中国など一部の国は、そのインターフェースのローカル側からアクセスできるウェブサイト、アプリ、およびサービスを制御することで、そのインターフェイスを極めて慎重に規制している。

画像クレジット:Quynh Anh Nguyen

ロシアも徐々にそのアプローチに傾いていて、今年始めにプーチン大統領はRunetに関する法律に署名している。Runetは上記のような規制が必要になった場合(あるいは都合が良くなった場合)に、分離された内部インターネットを維持するために必要なインフラストラクチャを構築するためのものだ。

プーチン大統領は今週初めに国営の報道機関であるタス通信に対して、これは純粋に防衛的な措置であると説明した。

その説明によれば、Runetは「主に海外から管理されているグローバルネットワークからの、世界的規模の切断の悪影響を防ぐことのみを目的としています。インターネットから切断されないようにオンにできる自分たちのリソースを持つこと、これがポイントで、主権というものなのです」ということだ。

BBCによって伝えられた、タスとプラウダからのより新しい報告によれば、この動きが理論上のものから実践的なものになったことを示している。いわゆるモノのインターネット(IoT)の脆弱性に関するテストも行われた。もしロシアのIoTデバイスのセキュリティ慣行が米国同様にお粗末なものるなら、それは残念なことだったに違いない。また、ローカルネットが、どのようなものであれ「外部の負の影響」に立ち向かうことができるかどうかも調査された。

ロシアがここで試みていることは、小規模な仕事ではない。表向きは主権と堅牢なインフラストラクチャについての話だが、米国、ロシア、中国、北朝鮮、および高度なサイバー戦争能力を持つ他の国々との間の緊張関係も間違いなくその一部だ。

世界から切り離されたロシアのインターネットは、現段階ではおそらくほとんど機能しないだろう。ロシアは他の国と同様、常に世界のどこか別の場所にある資源に依存しており、もし国が何らかの理由で殻に閉じこもってしまった場合、インターネットが通常通りに機能するためには、そうした資源の多くを複製する必要があるだろう。

国の一部から他の場所に直接接続する物理インフラストラクチャと同様に、現在は国際接続を介して接続する必要があるDNSも別個のシステムが必要になるだろう。そして、それは単に、ロシアのイントラネットを機能させる基本的な可能性を生み出すために行われる。

堅固な「主権インターネット」が必要になる、という考えに反対するのは難しいが、それは国家インフラへの単純な投資というよりは、紛争への準備だと考えざるを得ない。

とは言うものの、Runetがどのように成長し、どのように使用されるかは、その機能と意図された目的に関するより具体的なレポートを受け取るまでは、推測の範囲を越えることはない。

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(翻訳:sako)

GovTechのグラファーが神戸オフィスを新設、総額約4.5億円の資金調達も

行政手続きの効率化を目指す、いわゆるGovTech(ガブテック)領域の各種サービスを開発・提供しているグラファーは12月20日、シリーズAラウンドで総額約4.5億円の資金調達を発表した。既存株主であるベンチャーキャピタルのCoral Capitalとインキュベイトファンドを引き受け先とする第三者割当増資で、累計資金調達額は約7.2億円。調達した資金は、サービスの開発を人材の採用に使う予定だ。

加えて、神戸オフィスを新設することを発表した。同社は神戸市の行政デジタル化プロジェクトを複数手掛けているほか、近畿エリアで複数の自治体に対してサービスを提供していることから、事業推進拠点として神戸オフィスを開設したという。

グラファーはこれまで、兵庫県神戸市、神奈川県鎌倉市、大阪府四條畷市、長野県小諸市、埼玉県横瀬町などと同社開発の手続きガイドなどを活用した行政手続きの効率化を進めてきた。直近では、大阪・泉大津と共同で「幼児教育無料化 手続きガイド」を開発。近畿エリアでは3自治体と連携しており、神戸オフィスの開設により周辺自治体へのサービスの波及を期待したい。

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