Instacartが事前注文とケータリングソフトウェアのFoodStormを買収

オンデマンド食料品配達プラットフォームのInstacart(インスタカート)は米国時間10月7日、食料品小売業者向けにエンド・ツー・エンドの事前注文とケータリングを提供するSaaS型オーダー・マネジメント・システム(OMS)のFoodStorm(フードストーム)を買収すると発表した。両社は取引条件を明らかにしていないが、買収の一環として、InstacartはFoodStormの技術を自社の一連の企業向け食料品eコマースソリューションに統合する。

FoodStormは、マルチチャネル注文、注文管理、決済、フルフィルメントをカバーするSaaSを開発した。FoodStormの技術は、販売時点情報管理システム(POS)を含む複数のサードパーティのシステムも統合する。また、食料品店がフィードバックを集めたり、プロモーション機能を活用するためのCRM機能も提供している。

「我々の目標は、小売店のパートナーが売上を伸ばし、小売店の顧客の毎日の食事がそうした小売店からのものになるようにすることです。そのため、FoodStormの優秀なチームをInstacartに迎え、FoodStormのエンド・ツー・エンドの事前注文およびケータリングのプラットフォームをInstacartの主要な企業向けプロダクトに統合できることをうれしく思います」と、Instacartの最高技術責任者であるMark Schaaf(マーク・シャーフ)氏は声明で述べた。

14年前に設立されたFoodStormは、Bi-Rite Market、Mollie Stone’s Markets、Uncle Giuseppe’s、Roche Brothersなど、Instacartの既存の小売パートナー数社と提携している。Instacartは、FoodStormの技術をより多くの小売店に提供していく予定だ。

この新しい企業向けソリューションによって、小売業者がより多くの在庫をオンライン化し、顧客のニーズを満たしながらeコマース機能を強化することができるとInstacartは話す。また、顧客にとっても、この技術によってレストランのデリバリーに代わる、より手頃な価格のサービスが可能になるとも指摘する。

「食料品は非常に複雑な小売カテゴリーであり、FoodStormやInstacartのような法人レベルのソリューションは、私たちが食卓を支えるために頼っているこの業界の長期的な成功に不可欠です。Instacartのチームに加わり、小売業者が事業や顧客の絶え間ないニーズに応えるための新しい方法を創造することを楽しみにしています」とFoodStormのCEO、Rob Hill(ロブ・ヒル)氏は声明で述べた。

Instacartは、事前注文技術のソリューションが、食料品小売業者に大きな成長機会を提供すると話す。例えば、調理済み食品やケータリング商品(温・冷のおかず、ケーキ、寿司など)を食料品店で購入するInstacartの顧客は、購入しない顧客に比べて購入量が多く、買い物の頻度も高くなる。また、小売店にとっても、青果やパッケージ商品などの従来の食料品よりも、事前注文した商品や調理済み食品の方が一般的に利益率が高いと説明する。

Instacartは2021年初め、Andreessen Horowitz、Sequoia Capital、D1 Capital Partnersなどの既存投資家から、2億6500万ドル(約297億円)を調達した。この資金調達により、同社の評価額は390億ドル(約4兆3760億円)に達した。また、Instacartは最近、米国とカナダの一部の市場で、より迅速な配達サービス「Priority Delivery」を開始した。これは、少量の買い物やかなり急ぎのニーズのために、これまでは店に駆け込んでいた顧客を引き付けることを目的としている。

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(文:Aisha Malik、翻訳:Nariko Mizoguchi

マサチューセッツ州司法長官がUber、Lyftらが支持するギグワーカー法案にゴーサイン

マサチューセッツ州のMaura Healey(マウラ・ヒーリー)司法長官は、Uber(ウーバー)、Lyft(リフト)らが率いるアプリ利用サービス提供者の連合が、ドライバーを従業員ではなく個人事業主として分類する投票法案を提出するために必要な署名活動を開始することを了承した。

マサチューセッツ州版Proposition 22ともいうべき法案の支持者らは、2022年11月の投票に法案を提出するために万単位の署名を集める必要がある。ヒーリー氏は2020年、ドライバーは個人事業主であり、病気休暇や時間外手当、最低賃金などの対象にならないとするUberとLyftの主張に異を唱える訴訟を提起したにもかかわらず、米国時間9月1日、司法長官として同法案が憲法の要求を満たしていることを認定した。

このニュースの2週間ほど前、最高裁判所は2020年に採択されたカリフォルニア州のProposion 22を違憲とする裁定を下した。労働組合が支持しているCoalition to Protect Workers’ Rights(労働者の権利保護連盟)は、同じ理由で同法案に反対する訴訟を検討しているとReuters(ロイター)に伝えた。

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Uber、Lyft,DoorDash(ドアダッシュ)、Instacart(インスタカート)らが所属する団体、Massachusetts Coalition for Independent Work(マサチューセッツ州独立労働連合)は、2021年8月この住民投票を申請した。Uber CEOのDara Khosrowshahi(ダラ・コスロシャヒ)氏はこれを「正しい行動」であると主張している。この提案では、2023年にドライバーの最低時給を18ドル(チップを含まない)とし、週15時間以上働いた人には健康保険を提供する。さらにドライバーは車両の維持と燃料のために1マイル当たり26セント(約29円)以上の経費が保証される。

連合は12月1日までに有権者から8万239名分の署名を集める必要がある。期日に間に合わなかった場合は、2022年7月6日までにさらに1万3374名の署名を集めることができる。

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(文:Rebecca Bellan、翻訳:Nob Takahashi / facebook

ギグカンパニーが労働者の身分をめぐりマサチューセッツ州でも住民投票を画策

LyftやUber、Doordash、Instacartなど、アプリによるライドシェアやデリバリーのサービスを提供している企業の連合が、住民投票でギグエコノミーの労働者を独立の契約業者と認めるよう、マサチューセッツ州に請願を提出した。これまで同業界は、カリフォルニア州で同様の住民投票を主導して、勝った経験がある。

その連合の正式名であるMassachusetts Coalition for Independent Work(マサチューセッツ州独立労働連合)が今回住民投票を提案したその約1年前には、労働者の権利を擁護する団体とギグエコノミーの企業が対立し、業界側が数百万ドル(数億円)を投じた高価な宣伝活動により、カリフォルニアの有権者は、Proposition 22と呼ばれる同様の住民投票により、業界の主張を認めた

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LyftやUberなどからなるこの連合のメンバーには、地元各地の商工会議所も含まれ、彼らは米国時間8月3日に、2022年11月に行われる州政府選挙に住民投票の可否が含まれることを要求した。投票にかけられる質問は司法の審査を要し、また住民投票が政府選挙に含めること自体も、有権者の十分な数の賛成票を要する。

8月3日に行われたLyftの決算報告で、共同創業者のJohn Zimmer(ジョン・ジマー)氏は次のように述べている。「私たちの第1目標は、マサチューセッツ州で合法的な解決を見出すことです。私たちが一貫して主張してきたことは、圧倒的多数のドライバーが求めていることでもあり、それは私たちのプラットフォームが提供してきた柔軟性のある所得機会、それ加えて福利厚生です。また私たちは住民投票という方法を求めるだけでなく、マサチューセッツ州議会と緊密に協力して、法律に基づく解決も求めていきたい」。

同連合によると、提案されている住民投票の質問は、アプリを用いるライドシェアやデリバリーのワーカーを独立の契約労働者としながらも、健康保険料の給付など、新たな福利厚生を提供するものになっている。

連合の提案の中には、ドライバーやデリバリー労働者の最低賃金をマサチューセッツ州の最低賃金(同種のアプリベースの労働に対し2023年に、チップを除き時給18ドル、約1960円)の120%であったり、週の労働時間が15時間以上のドライバーへの健康保険料給付などがある。これらの計算にチップは含まれず、チップは全額ドライバーのものになる。また車の維持費や燃料費として走行距離1マイルにつき0.26ドル(約28.35円)以上が保証される。

労働運動家たちは、早くも反発している。NAACPニューイングランド支部やマイノリティ近隣社会組合、マサチューセッツ州移民難民連合など、さまざまな団体からなるCoalition to Protect Workers’ Rights(労働者の権利保護連盟)は8月3日に、住民投票方式には労働者を傷つける問題の文言があると反論した。

同団体によると、それらの文言には抜け穴が多いため実質賃金が最低賃金を下回ることが可能であり、また健康保険の内容が極めて貧弱である。さらにまた、反差別主義者に対する保護が取り去られたり、労働者の補償規則が排除されたり、また企業が何億項にものぼる州の失業対策をごまかすこともありうるという。

UberやLyftを軸とするこの幅広い連合は、労働者の独立契約業者化に関して、住民投票や法制化をロビー活動しているが、同時にまた、2020年提出された訴訟にも直面している。その原告であるマサチューセッツ州司法長官Maura Healey(マウラ・ヒーリー)氏は、賃金と労働時間に関する複数の州法に基づき、UberとLyftのドライバーは会社の従業員(被雇用者)である、と主張した。

州の司法長官事務所によると、UberとLyftは、ドライバーを独立の契約業者と認めるために必要な、州法が定める3つの要件を満たしていない。1つは、独立の契約事業者であるためには労働者は会社の指示やコントロールから自由でなければならない。ビジネスの通常のコースから外れたサービスでも実行できる。そして、同様の仕事を自分自身でやっていてもよい。

Uberは2020年以来、カリフォルニア州のProposition 22に似た州法をマサチューセッツ州でも成立させたい、と匂わせていた。UberのCEO、Dara Khosrowshahi氏は2020年の11月の決算報告で、アナリストたちとともに、同社は「Prop22のような法律を強力に推していく」と言明した。その後彼は「米国と世界のすべての政府と協力してこれを実現したい」と付言した。

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(文:Kirsten Korosec、翻訳:Hiroshi Iwatani)

恋に落ちる36の質問(ただし相手は共同ファウンダー)

数カ月間のベータテストを終え、Y Combinator(Yコンビネーター)は共同ファウンダーマッチングプラットフォームを公開した。そこでは起業家たちがプロファイルを作成し、自分自身のことや共同ファウンダーに望むこと、たとえば場所やスキルなどを記入することができる。システムはその情報を分析し、ニーズに合った候補者を何人か選んで提示する。言ってみれば共同ファウンダーのためのTinder(ティンダー)のようなものだ。これまでに4500人の共同ファウンダーの間で9000件のマッチングが出来上がった、とY Combinatorは言っている。

Y Combinatorがこのツールを運用するのに適した立場にあることは明らかだ。このアクセラレーターは、Startup School(スタートアップ・スクール)という人気の無料オンラインプログラムを開設しており、会社を始めたい人なら誰でも、設立に必要なリソースを手に入れ講義を受けることができる。スクールは190か国、23万人のファウンダーからなるコミュニティを作り上げた。このため、マッチングツールの提供はごく自然な流れであり、YCパートナーが新たに芽生えつつある才能を早期に集め、情報収集する場所としても役立っている。中でも、このマッチング・プラットフォームで出会った2つの会社はいずれもY Combinatorの2021年夏学期のメンバーだ。エコシステム万歳!

私の第一感はこうだ。このツールは、気が利いていて需要のあるシンプルなツールとして人々を結びつけることができるだろうが、意味のある形で運用していくのは、みんなが思うよりもはるかに大変だ、YCのように著名で実績のあるアクセラレーターにとってさえも。この後、このツールに関する提案、というよりも私の希望のリストを書いていきたい。January Ventures(ジャニュアリー・ベンチャーズ)の共同ファウンダーであるJennifer Neundorfer(ジェニファー・ニューンドーファー)氏と話して彼女の考えを聞いた後にまとめたものだ。

  1. 共同ファウンダーマッチングツールが最も向いているのは、自分のネットワークを持たず、初期段階で共同作業者を見つける方法を必要としている人たちだ。Startup Schoolは非常に大きいネットワークだが、クラス内の多様化と少数派登用に苦闘しているY Combinatorとしては、ファウンダーをマッチングさせる際にその問題を悪化させない方法を見つける必要がある。性別や民族によるフィルターは可能か?その機能はあるべきなのか? そこは危うい領域だ。
  2. YCは私にこう言った「Startup School参加者には地域年齢に関する情報を、最近追加した性別に関する自由記入テキストボックス以外尋ねていません。そして大部分の人たちは性別情報をまだ記入していません。現在私たちは、この情報を共同ファウンダーのマッチングに使用しています。女性であれば、女性共同ファウンダーを探しているというマークをつけることができ、その場合は共同ファウンダー候補として女性が選ばれる可能性が高くなります」。
  3. 双方が持つ情報が非対称である「逆選択」は実際に起きる。以前ニューンドーファー氏は、共同ファウンダーマッチングツールにはネットワークを持たないファウンダー「のみ」が集まると私に話したが、これは両者の経歴を組み合わせてもまだVCとのミーティングができない場合、あまり意味をなさない。共同ファウンダー・マッチングツールはよい加減の「ゴルディロックス状態」をどうやって見つけるのだろうか。起業家精神に関する鋭いスタートアップ思考を持つスター・プロジェクトマネージャーと、コーディングは大好きだがシリコンバレーにひとりも知り合いのいない大学院生の「両方」をどうやって引きつけるのか?
  4. それは(Tinderのように)右にスワイプするほど簡単ではない。果たしてYCは、マッチングサービス内の共同ファウンダーたちが相性を厳しく吟味する方法を簡単に学べる方法を見つけられるのか?NY Times(ニューヨーク・タイムズ)で人気となった恋に落ちる36の質問は、共同ファウンダー探しにも利用できる。

新ツールを発表したブロク記事で、YCはこの最後の点に言及した。「人はおそらく、1回デートしただけで結婚すべきではないでしょう。同じように、誰かと会社を共同設立するかどうかを決めるためにはビデオ通話が2回以上は必要でしょう」とブログに書かれている。「マッチした候補と実際に顔を合わせ、機会があれば、目的とゴールを明確にした期間限定のテストプロジェクトで一緒に働き、共同ファウンダーとの相性を慎重に吟味することをお勧めします」。

ともあれ、私は応援している。なぜなら、というか、誰でもそうだろう。ニューンドーファー氏はこう言っている「ファウンダーマッチングツールはファウンダーの供給を拡大しファウンダー基盤を多様化する興味深い方法です」。あとはツール群が多様性とアクセシビリティーを考慮して作られているかどうかだけだ。

この記事の後半では、IPO前の会社で起きた珍しい幹部のシャッフル、最新のウェブ・デリバリー・テック・スタックを深堀りしたExtra Crunchの特集EC-1、およびDidi(ディディ)を取り上げる。

Instacartシャッフル

画像クレジット:Instacart

Instacart(インスタカート)は、予定されているIPOを前に、Facebook (フェイスブック)幹部のFidji Simo(フィジー・シモ)氏を新CEOに指名した。食料品デリバリーのスタートアップは最新の評価額が390億ドル(約4兆3040億円)で、現CEOでファウンダーのApoorva Mehta(アプアバ・メフタ)氏は取締役会長に就任する。

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注目ポイントはここだ:上場直前の重要な幹部シャッフルは稀でありかつ疑問符がつく。Instacartのメフタ氏は自身が10年近く前に創業した会社を公開する直前に現職を去ることになる。そして、The Information(ジ・インフォメーション)によると、シモ氏のCEO就任は、Instacartで長らく続いているFacebookの「人材漁り」の最新事例だという。同誌の推計によると、2021年にInstacartは、エンジニア、プロジェクトマネージャー、リクルーター、デザイナー、およびデータサイエンティストの計55人以上をFacebookから引き抜いている。もちろん、シモ氏の新しい仕事は、Facebookが最高ランクの女性幹部を1人失ったことを意味しており、すでに多様性に苦闘している会社にとって見っとも良い話ではない。

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EC-1のNS1特集

画像クレジット:Nigel Sussman

TechCrunchがスタートアップの設立から直面する課題への取り組みまで詳細に分析するEC-1の最新号はNS1を特集している。最新ウェブデリバリー技術スタックの中核を破壊しようとしている会社だ。

注目ポイントはここだ:この記事はITや大企業の仕組みの大ファンではない普通の人たちにとっても一読の価値がある。なぜか?そこでは資金豊富なビッグテック企業とVC支援の大物スタートアップでいっぱいの成熟した市場で、どうやってスタートアップが戦っていくかが書かれているからだ。そして、インターネット・トラフィックの再検討の必要性がなぜニッチな話ではないのかも。

EC-1記事

TechCrunchのEquityチームは今週特にすばらしい仕事をした。私はそこにいなかったので、ここでは多少バイアスの少ない私の言葉を読めるだろう。

注目ポイントはここだ:この回で一番興味深い部分は、Didi、および同社のが中国企業の米国上場に与える影響に関する話題だ。規制の問題には投資家の興味を薄れさせる効果があるが、DidiはTechCrunchがそれを指摘しなければならない唯一の事例ではない。

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(文:Natasha Mascarenhas、翻訳:Nob Takahashi / facebook

グローサリー配達のInstacartが新CEOにフェイスブック幹部のシモ氏を指名

グローサリー配達のInstacart(インスタカート)は、わずか7カ月前に同社の取締役会に加わったFacebook(フェイスブック)の幹部Fidji Simo(フィジー・シモ)氏を新CEOに指名した。元副社長でFacebookアプリ責任者のシモ氏は8月2日にInstacartの創業者で現CEOのApoorva Mehta(アプアバ・メフタ)氏の後を継ぐ。Instacartの声明によると、メフタ氏は取締役会会長に就く。

Instacartはシモ氏に代わり、さらなるコメントの求めを却下した。

10億ドル産業の最前線にいる有色人種女性のCEOは、残念ながらまだ稀だ。シモ氏はプロダクトマネジメントに携わっている女性をサポートし、テック業界における女性のキャリアを啓発する非営利組織Women in Productの共同創業者だ。今回の同氏のCEOは就任は、Facebookが同社における数少ない女性のリーダーの1人を失い、Instacartが2021年に従業員数を50%増やすことを計画する中で新たなエネルギーを得ていることを意味する。

予定しているIPOを直前にしてメフタ氏が現役職から退くことは、その稀有さゆえに注目に値する。同氏は10年前にInstacartを創業し、Y Combinatorの2012年夏のプログラムの参加から、直近の評価額が390億ドル(約4兆2850億円)という企業に育てあげた。

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パンデミックによりInstacartは脚光を浴びた。世界中の何百万という人が隔離を余儀なくされ、グローサリーストアに買い物に行くことも含めた対面やり取りの制限に直面した。デリバリーによるサービスへの消費者支出の増大は、Instacartの数十万人という労働者の雇用や、アボカドだけでなく電化製品やスポーツ用品、処方箋薬などさまざまな種類の商品の同日配達の展開につながった。

成長には論争もともなった。InstacartはProposition 22の主要な支持企業としてUber、Lyft、 DoorDash、Postmatesの仲間に加わった。Prop 22はギグワーカーを独立請負業者として分類し、受けられる福利厚生の種類を制限するものだ。最終的に可決されたProp 22は、Instacartの幹部に恩恵があり、配達を行うショッパーにとっては有害だとみられていた。Prop 22の採決は何年にもわたる抗議、賃金をめぐる集団訴訟、ショッパーに不平等な取り決めのために厳しく調査されることになったチップに関するInstacartの大失敗を経てのものだった。

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シモ氏はFacebookに10年在籍し、議論を呼んでいる企業で働いた経験を明らかに持っている。Facebookの最高執行責任者Sheryl Sandberg(シェリル・サンドバーグ)氏はシモ氏の発表にFacebook上でコメントした。

「フィジー、これまでの10年間にあなたがFacebookにもたらした影響に対して非常に感謝しています。Facebookアプリを率いながら数多くの役割を担い、その間、テック業界におけるジェンダーの平等を啓発しました。あなたが進む方向を誇りに思います。あなたを応援しています」。

Instacartはシモ氏について「Facebookのモバイル収益化戦略」の原動力であり、Facebookの広告事業のアーキテクチャのリーダーと表現する。Facebookが従業員を1000人から10万人に増やし、上場企業となる中でシモ氏は同社の規模拡大をサポートした。上場した経験は、ゆくゆくは公開企業になるというInstacartの野心とぴったり合いそうだ。

シモ氏のCEO就任は、パンデミックが落ち着き、世界の一部が経済を再開し始める中でのものだ。Instacartが今後どのように事業を展開し、好調維持という点での新たな困難にどう立ち向かうのか、新章の幕開けとなりそうだ。

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タグ:Instacart人事Facebook

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(文:Natasha Mascarenhas、翻訳:Nariko Mizoguchi

スーパーの商品を最短30分で届けるサービスをInstacartが導入

Instacart(インスタカート)がグローサリー配達を迅速化している。同社は米国時間5月27日、従来より速い配達サービス「Priority Delivery」を、事業を展開する米国とカナダのいくつかのマーケットで導入すると発表した。そうしたサービスがなければちょっとした買い足し、あるいは急ぎの買い物で店舗に駆け込むであろう消費者をひきつけるのが狙いだ。まずは米国のいくつかの大都市圏で展開し、30分で配達する、とInstacartは話す。同社はまた、配達時間45分と60分というオプションも含め、他の迅速配達サービスを今後数カ月以内に他の都市や小売店へ拡大する。

今日、多くの顧客は毎週、あるいは月1回のグローサリー注文でInstacartを使っているが、その日の夕食の材料など少量のアイテムが必要な時はまだ店舗に足を運んでいる。新しいPriority Deliveryはスーパーの精算エクスプレスレーンに代わるグローサリー配達選択肢になり、こうしたちょっとした買い物時に使ってもらう。

Priority Deliveryが使えるマーケットでは、Instacartアプリ内でサービスが使える小売店に稲妻マークを付ける。そこでは「30分以下」などと想定される配達時間も示される。顧客は必要に応じて精算時にスタンダード配達や配達予約の代わりにPriorityを選ぶことができる。

迅速配達では、注文数の制限や最低注文品数の決まりはない、とInstacartは話す。しかし、たとえば牛乳、チップス、ワイン数本といった急ぎのリクエストは、特選デリ商品やベーカリー商品、あるいは大量のものをリクエストするより早く準備されそうだ。

買い物量が多くなったとき、あるいは注文がやや複雑なものになったとき、アプリは30分配達は利用不可だと情報をアップデートし、新しい配達時間を表示する。

Instacartはこのサービスの価格をまだ最終的に決めていないが、Priority Deliveryはいくらかの追加料金が発生する見込みだ。しかし同社は追加料金は「わずか」で「少しずつ」であり、マーケットの考慮すべき事項に基づいて変化することになると話す。配達オプションとそれにともなう料金と税は精算時に表示され、隠れ手数料などはないとも指摘する。

Priority Deliveryはまずシカゴ、ロサンゼルス、マイアミ、サンディエゴ、サンフランシスコ、シアトルのスーパーや専門店を含む300店超で利用できるようになる見込みだ。その後、他のマーケットや小売店にもサービスを拡大する。

「1週間のまとめ買い、あるいはその日の夕食に使ういくつかの食材など、すべての買い物が同じではないことを承知しています。ですので当社は人々がその日のグローサリーを買い物する多くの方法をサポートする新しい機能を立ち上げます」と同社のプロダクト担当副社長Daniel Danker(ダニエル・ダンカー)氏は話した。「ピンチのときや急いで何かが欲しいとき、多くの顧客は時間に余裕がありません。Priority Deliveryの導入で当社は『店までひと走りする』を再定義し、顧客のためにスーパーのエクスプレスレーンをオンラインに持ってきます」と付け加えた。

またInstacartは45分と60分の配達を提供する都市を米国で拡大し、Priorityが使えなくても従来より速い配達のオプションを提供する。

対象とする店舗の多くで配達を迅速化する動きによって、同社はWalmart(ウォルマート)やAmazon(アマゾン)のグローサリー事業、Target(ターゲット)が展開するShiptといったライバルのグローサリー配達との競争で優位に立てるかもしれない。

今回の動きは、先週のAmazonの発表に続くものだ。AmazonはPrime Now配達アプリとウェブサイトを閉鎖し、グローサリーの即配を希望する買い物客をAmazonのアプリとウェブサイトに誘導すると明らかにした。しかしAmazonの場合、Amazon FreshとWhole Foodsで2時間以内の配達サービスを約束している。30分ではない。一方、Walmartの会員制の配達サービスWalmart+は現在、有料顧客向けにすら同日配達を保証していない。配達時間枠の確保は先着順となっている。残るShiptは同日配達を提供しているが、それは必ずしも30分以内ではない。

今回のアップデートでは、Gopuffの「インスタントニーズ」デリバリーサービスUber Eatsのエッセンシャルズ、そして店に買いに走るようなチップスやアイスクリーム、スパイス、パック食品などのコンビニ商品も2020年から扱うようになったDoorDashといった、グローサリー小売店にサービスを提供していない他の即配達事業者との競争でInstacartは張り合える。

Instacartの新しいサービスは対象マーケットで順次展開される。

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タグ:Instacartグローサリーオンデマンド配送

画像クレジット:Instacart

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(文:Sarah Perez、翻訳:Nariko Mizoguchi

クリエイターのための経済オペレーティングシステム

スタートアップとマーケットの週刊ニュースレター「The TechCrunch Exchange」へようこそ。

先週のTechCrunchでは、Pico(ピコ)の650万ドル(約7億円)の資金調達を取り上げた。そこでは同社を「ニューヨークのPicoは、オンラインのクリエイターやメディア企業がお金を稼げて顧客データを管理できるようにする」と紹介した。The Exchangeは以前にもPicoを取り上げたことがある。最も近いところでは2020年半ばに、独立系出版やサブスクリプションメディアの世界での話題を紹介している。

関連記事:収益化ツールを統合したクリエイター向けCRMのPicoが7.1億円調達

Picoのラウンド記事では、Anthony Ha(アンソニー・ハー)記者がすばらしい仕事をお届けしたが、私もまた同社とZoom(ズーム)コールを行った。なぜなら、彼らの新しい資金調達は一種の再出発のようなものであり、その件について私はもっと理解したかったからだ。

Picoのチームは、クリエイティブなデジタルツールの歴史的変遷を説明しながら、彼らのビジネスの中で何が変わったのかを説明してくれた。彼らによれば、以前、この世界はコンテンツのホスティングや配信を中心に展開していたという。同社の考えでは、クリエイティブに特化した新世代のツールが登場することで、Substack(サブスタック)やWordPress(ワードプレス)のような、CMS(コンテンツ管理システム)がツールの中心ではなくなる時代がやってくる。むしろ、マネタイズが中心となるのだ。

そこに賭けたPicoは、クリエイター市場向けのオペレーティングシステムを開発することにしたのだ。私の直感では、マネタイズを中心としたクリエイティブなデジタルの世界は、それまでの時代よりも収益性が高いと思える。

Picoの想定では、クリエイターが最初にどこでオーディエンスを獲得したかに関わらず、最終的にはマルチSKU(管理単位)、あるいはマルチプラットフォームになるため、顧客データを一元管理することが重要になる。

スタートアップが提供する今回改良されたサービスは、これまでのようなちょっとしたマネタイズのためのツールであると同時に、CMS(コンテンツ管理システム)やその他プラットフォーム上のデジタルアウトプットの上に置くことができる、クリエイターに特化したCRM(顧客関係管理システム)なのだ。これまでのところ、同社の顧客数は順調に伸びていて、2020年は約5倍の伸びを記録した。この先、Picoがそのビジョンにどこまで乗れるのか、クリエイター経済中の中流階級の形成に貢献できるのかどうかを見極めていきたい。

現実世界の食料品店革命

コロナ禍の期間中、Instacart(インスタカート)の驚くべき飛躍が取り沙汰されるなかで、ほとんどの人びとが、まだ果物や野菜を買うために実店舗に行っているという事実がやや忘れられている。

もちろん食料品店はその事実を忘れてはいない。しかし、彼らは歴史的に薄利多売であり、Instacart時代には顧客獲得競争も激化しているため、あまり安心していることはできない。彼らが顧客との関係を第三者に委ねることなく、よりデジタル化された戦略を追求するにはどうすればよいのだろうか?

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その答の1つが、Swiftly(スイフトリー)かもしれない。このスタートアップが開発している技術は、あらゆる規模の食料品チェーンがデジタル化を進め、最新のモバイル技術を活用し、広告によってより多くの収入を得るとともに、消費者により多くの買い物の選択肢を提供できるような技術だ。イイ感じかも?

Crunchbaseのデータによると、このスタートアップはこれまでに1500万ドル(約16億2000万円)強を調達しているが、米国で無数の店舗を展開する消費者向け小売業者Dollar Tree(ダラー・ツリー)との取引を開始したことで、再び私たちの記憶を呼び起こした。

私はSwiftlyについては昔から知っていた。共同創業者のHenry Kim(ヘンリー・キム)氏がSneakpeeq(スニークピーク)(後のSymphony Commerce[シンフォニー・コマース])を開発していた頃に会ったことがある。Symphony Commerceは、最終的にQuantum Retail(クオンタム・リテイル)に買収された。しかし、サンフランシスコ近辺で長年にわたってキム氏と会話をしてきた中では、Symphony Commerceを創業する前に彼が経験していた食料品市場の話が繰り返し出されていた。

5年以上前から、キム氏が食料品店とデジタルの可能性を声高に語っているのを聞いていたので、彼の希望と計画から生まれた会社が有力なパートナーを獲得したのを見るのはうれしい。

Swiftlyは2つの主要製品を提供している。リテールシステムとメディアサービスだ。リテール部門は、モバイルを使う買い物客に対して、レジ精算サービス、ロイヤリティプログラム、パーソナライズされた特典などを提供している。また、メディア部門は、実店舗に対して、通常は見逃されている消費者向けパッケージ商品(CPG)の広告費を手に入れるチャンスを提供する。同時にアナリティクスを活用することで、販売した広告の効果をより正確に把握することができる。

Swiftlyは、現在大きな公開取引案件を抱えているので、今後数四半期でより多くの資金を調達することになると思う。何か分かり次第お知らせする。

UiPath、SPACそしてすてきなベンチャーキャピタルラウンド

先の2週間、The ExchangeはUiPath(ユーアイパス)のIPOについてかなりの量の記事を書いてきた。おそらく書きすぎといわれるくらいに。しかし、念のためにいっておくなら、同社の最初のIPO価格帯は、出された評価額が予想よりも少し低くなったため、レイトステージ投資家に対する警告のようなものとなった。そして同社はその価格帯を引き上げて、私たちの懸念を払拭はしないまでも和らげてくれた。そして、最終的なプライベートラウンドに比べればまだ割安ではあるものの、調達した価格帯を上回る価格をつけた。その後、取引を開始してからは順調に推移して、CFOも「順調だ」と語っている。

同社のプライベート〜パブリック評価額の経緯を詳しく知ろうと、The Exchangeは、Battery VenturesのジェネラルパートナーでB2B投資家であるDharmesh Thakker(ダーメッシュ・タッカー)氏に、IPOの価格よりも少し高めだった同社の最終的なプライベートラウンドに対する彼の見解を尋ねた。彼の言葉を紹介しよう。

あのラウンドには、スマートマネーが絡んでいました。そうした人びとは、Twilio(トゥイリオ)、Atlassian(アトラシアン)、MongoDB(モンゴDB)、Okta(オクタ)、Crowdstrike(クラウドストライク)などがIPO後に価値を5~10倍に上げたように、重要な価値創造はIPO後3~5年で起こることを理解しているのです。

現在、UIPathは、600億ドル(約6兆5000億円)のオートメーション市場の中での普及率は、わずか1%に過ぎない6億800万ドル(約659億円)です。COVID以降、反復的なタスクのためのインテリジェントなプロセスオートメーションに関する緊急性は高まる一方なのです。企業は、自動化を使ったコスト管理を必要としています。よってUiPathは、ターゲット市場に徐々に普及し成長していく中で、継続的な価値をもたらして行くことになるでしょう。それをIPO直前やIPO段階での投資家たちが実感したのです。彼らは忍耐強く待つでしょう」。

つまり彼は強気だということだ。UiPathのIPOについては、PitchBook(ピッチブック)のアナリストであるBrendan Burke(ブレンダン・バーク)氏が、より辛辣な意見を述べている。彼は同社やその市場について以下のように語っている。

RPAは、自動化の需要に応じて急速に拡張されてきましたが、依然として限定的なソリューションであり、恒久的な価値を持たない可能性があります。私たちはカスタムスクリプトに依存しているRPAを、AIネイティブな挑戦者からの競争リスクに直面している、クラウドネイティブなAIオートメーションへの橋渡しをするテクノロジーであると考えています。エンタープライズオートメーションの未来は、フロントラインのユーザーに対して、ダイナミックなデータストリームに適応し、正確な判断を下すことができるクラウドネイティブな機械学習モデルを提供するところにあります。UiPathの実装はクラウドネイティブではありませんし、インテリジェントな意思決定のためには約75のAIモデルベンダーとのサードパーティ統合が必要です。さらに同社は、事業のリスク要因として、AIエンジニアの採用能力を挙げています。UiPathが、AIバリューチェーン全体に展開できる能力があるかどうかが、長期的な展望にとって重要となるのです。

このような発言を引用したのは、一般的なアナリストの世界では、失礼な発言であることを恐れるあまり、実際のネガティブな発言を引き出すのが難しい場合があるからだ。

関連記事:業務自動化のUiPathが約790億円調達、IPOもまもなく

先を急ごう。先週は紹介しておきたい新しいSPACの案件があった。SmartRent(スマートレント)がFifth Wall Acquisition Corp(フィフス・ウォール・アクイジション・コープ)と合併する。Crunchbaseのデータによれば、SmartRentは非公開時代にRET Ventures、Spark Capital、Bain Capital Venturesなどから1億ドル(約108億1000万円)以上を調達している。

そのため、SmartRentに22億ドル(約2377億3000万円)の株式評価額が与えられた今回のSPAC取引は、VC支援による重要なエグジットとなっている。その投資家向け資料はここから見ることができる。私たちがSmartRentに注目しているのは、やはりSPACを行おうとしているLatch(ラッチ)と同じような分野で活動しているからだ。賃貸住宅のインフラ企業同士の激突となるか?こいつは楽しみだ(LatchのSPAC案件についてはこちら)。

今回の主たる話題の最後になるが、HYPRが先週3500万ドル(約37億8000万円)を調達した。先週書きたかったけれど書けなかったベンチャーキャピタルのラウンドの中で、同社を取り上げたのは、HYPRがパスワードのない未来を約束しているからだ。そして、シリーズC調達を行ったばかりだが、その目的を達成できるチャンスがあるかもしれない。ああ神様、どうか実現しますように。

その他のことなど

先週は、Y Combinatorを卒業したばかりのメンバーが行った資金調達を取材した。Queenly(クイーンリー)とAlbedo(アルベド)の記事を書いている。読んでみて欲しい。

そうそう、Afterpay(アフターペイ)の最近の業績を見る限り、Buy-now-Pay-Later(後払い販売)の市場は今も急速に成長しているようだ。

カテゴリー:VC / エンジェル
タグ:The TechCrunch ExchangePicoInstacartUiPathSPAC

画像クレジット:Nigel Sussman

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(文:Alex Wilhelm、翻訳:sako)

買い物代行サービスのInstacartが283億円を調達、評価額は5ヶ月で2倍以上の4兆円超に

オンデマンド食料品配達プラットフォームのInstacart(インスタカート)は、Andreessen Horowitz、Sequoia Capital、D1 Capital Partnersなどを含む既存の投資家から2億6500万ドル(約283億円)の資金を調達地を調達した。過去数回のラウンドと同様、今回の新しい資金調達はアルファベットのシリーズ指定はされていない。同社の評価額は、これにより390億ドル(約4兆1600億円)に押し上げられた。それは、2020年10月に行われた最後の資金調達で同社が2億ドル(約213億円)を調達したときの、177億ドル(約1兆9000億円)の評価額の2倍以上になる。

投資家が同社の事業価値をこれだけ大幅に引き上げようと考えた背景には何があるのか?簡単に言えば、パンデミックだ。昨年、Instacartは6月に2億2500万ドル(約240億円)を獲得した後、続いて7月には1億ドル(約107億円)のラウンドを行い、それらを含む3回の資金調達を発表した。この矢継ぎ早なベンチャー資本の注入は、人々が隔離しようとしたり、一般的にスーパーのような人間の交通量の多い環境で費やす時間を減らそうと努力した中で、食料品の宅配サービスの需要が急増したため、成長を促そうとしたものと思われる。

このニュースを発表したブログ記事では、Instacartは2020年の間の利用率の成長率について具体的なことは書いていないが、2021年には人員を50%増やし、広告、マーケティング、企業努力を具体的にスケールアップして投資を続けていくという意思を表明している。

製品面では、Instacartは食料品から、処方薬、電子機器、ホームデコレーション、スポーツや運動器具などを含む幅広い製品の当日配達も含むようにその提供を拡大した。同社は、現在進行中の危機が雇用に与えた影響を考えると、当初多くの人々が予想していたのとは逆に、パンデミックの間に消費者支出が増加したという現象を利用しているわけだ。

InstacartのCEOであるNick Giovanni(ニック・ジョバンニ)氏は、同社はこれが買い物習慣の「ニューノーマル」になると予想していると述べている。同社の最近の資金調達の規模とペース、さらにはその膨らんだ評価額は、投資家たちも、この買い物トレンドがパンデミック後に元に戻るとは考えていないことを示唆している。

関連記事:買い物代行のInstacartが210億円を調達、バリュエーションは1.8兆円に

カテゴリー:ネットサービス
タグ:Instacart 資金調達

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(文:Darrell Etherington、翻訳:Nakazato)

Human Capital:Instacartが約2000人を解雇へ、GitHubの人事責任者が辞任

1週間の労働、多様性、インクルージョンに関する最新情報をお伝えするHuman Capitalへようこそ。先週は議会議事堂暴動の日にワシントンD.C.の社員にナチスに関する警告を発した社員を解雇したGitHubの公開謝罪で始まった。

その後Google(グーグル)は、AI倫理研究者であるMargaret Mitchell(マーガレット・ミッチェル)氏の会社情報アクセスを停止し、Timnit Gebru(ティムニット・ゲブル)博士に対する扱いを彷彿とさせると一部でささやかれた。一方、Instacart(インスタカート)はプラットフォームの改訂を行い、その結果雇用の喪失が発生した。

GitHubの人事責任者が辞任、会社は解雇したユダヤ系社員に復職を提示

GitHubは内部調査の結果、米国議会議事堂暴動の日にワシントンD.C.地区にナチスがいると同僚に警告を与えたユダヤ系社員を解雇したことについて「判断と手続きに重大な過失」があったことを認めた。

GitHub COO(最高執行責任者)のErica Breascia(エリカ・ブレシア)氏は公式ブログで、同社の人事責任者が事態の全責任を負って前日辞任したことを明らかにした。GitHubは退社した人物の名前を公表しなかったが、GitHubの人事部門の長がCarrie Olesen(キャリー・オレセン)氏であることは広く知られている。

GitHubは、「当該社員を退社させた決定」を覆し、そのこと代理人に伝えると語った。

「ご本人には公の場で、私たちが心よりお詫びしたい気持ちを伝えたく思います」とブレシア氏はブログに書いた。しかし、解雇された社員は以前私に、復職ではなく別のかたちの和解を望んでいると語っていた。

GoogleのAI倫理学者が取り調べを受ける

GoogleはAI倫理研究者であるマーガレット・ミッチェル氏が、ティムニット・ゲブル博士虐待の事例を見つけるために自動化スクリプトを使っていたことについて調査している、とAxiosが報じた。ゲブル氏は、自分はGoogleに解雇されたが会社は彼女が辞職したと主張していると語った。Axiosに向けた声明で、Googleはミッチェル氏のアカウントをロックしたと述べている。

当社のセキュリティシステムは、従業員の社内アカウントが認証問題のために危険に曝されていることを発見した場合、および機密データに関する自動化されたルールが発動された場合、自動的にアカウントをロックします。今般の件で、当社システムは昨日、あるアカウントが数千件のファイルを不当に持ち出し複数の外部アカウントと共有したことを検知しました。本日これを当事者に説明しました。

最近結成されたAlphabet Workers Union(AWU、アルファベット労働組合)は、ミッチェル氏のアカウント停止を憂慮する声明を発表した。

「会社の調査結果に関わらず、本組織のリーダーに対する現在進行中の措置は、GoogleのAIおよびビジネス慣行における倫理に対する姿勢に疑問を投げかけるものです。倫理AIチームのメンバーの多くはAWUのメンバーであり、当組合は彼らの職務の重要性を認識し、彼らのために連帯して立ち上がります」。

Googleのサンダー・ピチャイ氏がHBCUのリーダーらと面会

HBCU(歴史的黒人大学)の代表者5名以上が、Google CEOであるSundar Pichai(サンダー・ピチャイ)氏および多様化最高責任者のMelonie Parker(メロニー・パーカー)氏と2021年1月中に面会し、最近起きた同社における人種などの差別問題について意見を交わす。CNNによる。この会談の目的は、HBCUがGoogleと良好な関係をもち、同社がHBCUの学生や卒業生に対して良い環境を提供することだ。

Amazonがアンチ組合ウェブサイトを立ち上げ

Amazon(アマゾン)のアラバマ州倉庫労働者が組合結成の是非を問う投票を行うのに先立ち、同社はアンチ組合ウェブサイトを立ち上げた。Do It Without Duesと呼ばれるそのサイトは、社員が組合結成に賛成投票しないよう説得することを目的としている。

Instacartが2000人近くを解雇する計画

Instacartは2000近くの従業員を解雇する計画で、その中には2020年に労働組合を結成したKroger傘下のスーパーマーケットMariano’sの社員10名も含まれている。Viceが報じた。対象の従業員は店舗内の接客と商品梱包を担当している。

Viceの記事によると、影響を受ける社員10名が、イリノイ州ストーキーのUnited Food and Commercial Workers(全米商業食品労働組合)Local 1546を結成した。しかし、彼らはまだInstacartとの契約交渉をしていない、とViceは伝えている。Instacartは同組合に対して変更計画を通知した。Instacartは書簡で、Kroger傘下の店舗(ストーキーのMariano’sストアを含む)で販売員の雇用を中止する計画であり、時期は2021年の第1四半期および第2四半期だが、3月中旬以降であると述べている。

カテゴリー: パブリック / ダイバーシティ
タグ:GithubInstacartAmazonGoogle

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

買い物代行のInstacartが210億円を調達、バリュエーションは1.8兆円に

Instacart(インスタカート)は10月8日、既存投資家向けの新たな資金調達ラウンドで2億ドル(約210億円)を調達したことを発表した。D1 CapitalとValiant Peregrine Fundが本ラウンドをリードした。ポストマネーでInstacartの価値は177億ドル(約1兆8700億万円)、プレマネーでは175億ドル(約1兆8500億万円)だ。ブログ投稿によると、調達した資金は顧客エクスペリエンスの向上、法人事業や広告事業のさらなるサポートを目的とする新機能やツールの導入に使われる。

Instacartはこれより前の今年6月に2億2500万ドル(約238億円)に(CrunchBase記事)、7月に1億ドル(約106億円)を調達した (Axios記事)。6月のラウンドで同社の価値は約137億ドル(約1兆4500億円)になり、それから数カ月後の今回のラウンドの調達額はいっそう大きなものとなった。

ほかのテック企業、そしてテックを活用した企業と同様、Instacartもパンデミックの間に需要増を経験した。家から出たくない人々が安全を確保するためにオンデマンドサービスを利用し、新型コロナウイルス感染症と事業成績の間に相関性を見つけることはたやすい。

Uberのフードデリバリー事業の成長は、もう1つの格好の例だ。

Instacartのバリュエーションは、2018年のシリーズF時の79億ドル(約8400億円)から倍になっている。成し遂げた成長ペースは驚くものだが、IPO計画は見通せなくなったようで、またパンデミック収束がまだ見えない中で新型コロナ特需がどのくらい続くのかもわからない。

同社は第2四半期中のある月に黒字化を達成し、The Informationによるとその額は1000万ドル(約10億円)だった。記事はまた、Instacartは2019年に3億ドル(約320億円)の赤字だったとしている。2020年に通年で黒字となるかはまだわからない。

TechCrunchはInstacartに、2020年に黒字となった月が他にあるかどうか、2020年第3四半期の成長幅など多くの質問をしたが、同社の広報担当はそうした質問に答えなかった。

「今回の投資は、既存投資家が当社のチームの強み、顧客やパートナー、グローサリーエコシステム全体にとって当社が担っている重要な役割を支持するものです」とCEOのApoorva Mehta(アプオルワ・メフタ)氏はプレスリリースの中で述べた。「昨年当社の事業を拡大するため、そして前代未聞の消費者需要と成長に対応するチームの働きを本当に誇りに思っています」

Instacartはカリフォルニア州がAB5法案を通過させた後に展開されている規制戦争に直面している企業の1社だ。この法律によりギグワーカーにかかる州の規則が変更された。ライドシェアドライバーやデリバリーワーカーを独立した請負業者と分類することになるかもしれないProp 22という住民投票がカリフォルニアで間もなく行われる。InstacartはUber、Lyft、 DoorDash、Postmates(現在Uber傘下だ)とともに請負業者分類に賛成の立場だ。

Uber、Lyft、Instacart、DoorDashはYes on 22キャンペーンに合計1億8400万8361ドル46セント(約195億円)を支援した。そうした貢献は金によるものとそうでないもの、ローンという形態を伴うものだった。これら4社は9月にそれぞれ1750万ドル(約18億円)をYes on 22キャンペーンに提供した。公正な政治慣行に関する委員会によると、こうした資金の大半はYes on 22が受け取った。

Yes on 22はさておき、InstacartはワシントンD.C.地方検事総長Karl A. Racine(カール・A・ラシーン)氏に訴えられている。同氏は、Instacartが「詐欺的なサービス料金」として顧客に何百万ドルも課金し、そして何十万ドルもの売上税を納めなかったと主張している。訴訟はそうしたサービス料金を支払った顧客への返還、D.C.への滞納税金と利子の支払いを求めている。特に、Instacartは2016年9月から2018年4月までの間、配達員へのチップだと思わせて徴収した10%のサービス料金について、顧客をミスリードしたと主張している。

一方、パンデミックとカリフォルニアの山火事の期間、Instacartのワーカーたちは個人防護具と報酬アップ、そして直近では災害基金を要求した。

カテゴリー:シェアリングエコノミー
タグ:Instacart、買い物代行、資金調達

画像クレジット:Patrick T. Fallon / Bloomberg / Getty Images

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(翻訳:Mizoguchi

Instacartが「欺瞞的」なサービス料金をめぐりワシントンD.C司法長官から訴訟を起こされる

食料品の即日配達サービスを運営するInstacart(インスタカート)は、ワシントンD.C.のKarl A. Racine(カール A. ラシーン)司法長官から、同社が顧客に数百万ドルの「欺瞞的なサービス料金」を請求し、数十万ドル相当の消費税を支払っていないと主張する訴訟に直面している。この訴訟は、これらのサービス料金を支払った顧客への損害賠償と、D.C.に支払うべき税金の追徴と利子を求めている。

訴訟では、2016年9月から2018年4月までの間、Instacartが10%のサービス料について配達員へのチップだと思わせるように顧客を欺いたと主張している。

「Instacartは地区の消費者を騙して食料品配達員にチップを渡していると信じ込ませたが、実際には同社は配達員に上乗せ料金を請求させ、残りをInstacartが手に入れていた」とラシーン司法長官は声明で述べている。「Instacartは、同時にD.C.の消費税を支払うことを怠っている間、その運営コストをカバーするためにこれらの欺瞞的な料金を使用していた。我々は、Instacartに法的義務を果たし、D.C.に支払うべき税金を支払い、騙された地区の消費者に数百万ドルを返還するよう強制するために訴訟を起こしました」と続けた。

TechCrunchへの声明の中でInstacartは「顧客の透明性が重要であり、チップがサービス料とは別物であることを現在顧客に開示している」と述べた。Instacartの広報担当者によると「Instacartはサービス料が同社の運営に使われていることも『明確に』示している」という。

「さらに、顧客のチップの100%は常に顧客のための重要な本質的なサービスを提供しているInstacartの店員に行く」と広報担当者は説明した。「私たちは、この苦情の中で行われた告発は正当性がないと信じています。我々は、司法長官による本日の行動に失望しており、これらの問題についてオープンな対話を続ける機会を歓迎します」と付け加えた。

実はInstacartがサービス料をめぐる法的問題に直面したのは、これが初めてではない。2017年には、同社が個人購入者を独立請負業者と誤認し、人件費の払い戻しを怠ったとする訴えについて460万ドル(約4億8500万円)で和解した。和解の一環としてInstacartは、多くの人がチップを意味すると誤解していたサービス料金の表記方法を変更するよう求められた。しかしInstacartが表記方法を明確にしても、訴訟ではInstacartがチップと誤認させる表現を葬っただけだと主張している。

訴訟では「この点で、Instacartのチェックアウトのデザインは、サービス料と買い物客のチップを混同する消費者の傾向を悪化させた」と主張している。

今回の訴訟は、Instacartがカリフォルニア州で一部の買い物客や配達員の分類方法をめぐって不確実性に直面していることを受けてのものだ。1月にカリフォルニア州で施行された新法では、どのようなタイプの労働者が独立した請負業者に分類されるべきか、また分類されるべきではないかが明確に示されているにもかかわらず、Instacartはまだその労働者を従業員として分類していない。一方でInstacartは、UberやLyft、DoorDashと一緒に、契約ドライバーが独立事業者として分類されたままにする「Prop 22」提案を支持している。
画像クレジット:TechCrunch Disrupt under a license.

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(翻訳:TechCrunch Japan)