多難なソフトバンクグループがアリババ創業者ジャック・マー氏の取締役退任を発表

米国時間5月18日、ソフトバンクグループはアリババグループの共同ファウンダーJack Ma(ジャック・マー)氏が同グループの取締役から去ると発表した。13年間にわたって 取締役を務めてきたマー氏だが、6月25日のソフトバンクグループの年次株主総会で退任が正式に発効する。

ソフトバンクは退任の理由を明らかにしなかったが、この1年、マー氏はチャリティ活動に力を入れており、ビジネス上の役割は減少していた。 2019年9月、同氏はアリババの会長を辞任したが、2020年の年次株主総会で取締役も退任するという。

マー氏とソフトバンクグループの孫正義会長、CEOとのビジネス関係はたいへん長い。ソフトバンクはマー氏のアリババに対する最初期からの大口投資家だった。創立の翌年である2000年には投資額が2000万ドル(約21億5000万円)に上ったと報道された。米SEC(証券取引委員会)への2020年2月の提出書類ではソフトバンクグループはアリババ株の25.1%を所有している。この持ち分は時価で1000億ドル(約10兆7000億円)の価値があり、 ソフトバンクとして最も成功した投資となっていた。

この発表はソフトバンクグループの第1四半期の(極めて憂鬱なものとなった)決算の発表予定の数時間前に行われた。同グループは2020年4月に総額1000億ドル(約10兆7000億円)のビジョンファンドが165億ドル(約1兆8000億円)の損失となると予想していることを発表した。この損失はWeWorkが破綻寸前に追い込まれたこと、新型コロナウイルス(COVID-19)によるパンデミックがUberやOyoを含む他の投資先に強い悪影響を与えたことが大きい。またソフトバンクグループも通年で125億ドル(約1兆3000億円)の営業損失を予想していることを発表した

同グループはこの3月に負債を減らし、現金準備を増やすために410億ドル(約4兆4000億円)の資産を売却または現金化し、47億ドル(約5040億円)の自社株買いを行うと発表した

ちなみにソフトバンクグループの11名の取締役のうち、退任するのはマー氏のみだ。同社は2020年6月の株主総会に向けて新しく3人の取締役候補を指名した。社内からはソフトバンクグループの現CFO(最高財務責任者)の後藤芳光氏が、社外からは電子回路設計企業のケイデンス・デザイン・システムズのCEO、Lip-Bu Tan(リップ・ブー・タン)氏、早稲田大学経営大学院教授の川本裕子氏がそれぞれ選ばれている。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

ソフトバンクが「Vision Fundは1.8兆円の損失」と予測、本体もWeWorkとOneWeb投資が痛手

日本の巨大テクノロジー企業グループ、ソフトバンクは2019年度の損益見通しを発表した。これによれば、Vision Fundの損失は1.8兆円という巨額に上るという。

またソフトバンク本体の投資でも、シェアリングエコノミーのブームを代表したオフィススペース賃貸のWeWork、衛星通信のOneWebに対する投資の失敗が痛手となった。 投資先のテクノロジースタートアップのビジネスの失敗により、グループ全体での損失も7500億円となる予想だ。

この2年間、ソフトバンクとファウンダーの孫正義氏は、Vision Fundの数十億ドルの資金(大半は外部投資家のカネだったが)をスタートアップに投じてきた。機械学習、ロボティクス、次世代テレコムへの投資はやがて数千億ドルの利益を生むという見通しに賭けたものだった。

ともかく孫氏が投資家に売り込んだビジョンはそうだった。しかし実態は、WeWork、OpenDoor、Compassなどへの数十億ドルは要するに不動産投資だった。消費者向けビジネスではBrandlessは事業閉鎖 犬を散歩させるWagでは持ち分売却を余儀なくされた。食品配達のDoorDashへの投資も成功とはいえないだろう。これに加えて大口の投資を行ったホテルチェーンのOyoが苦境に陥っていることでVision Fundの「先見の明」に大きな疑問符がついている。

2019年はこうした投資先がいくつも暗礁に乗り上げた。見事なまでの崩壊をみせたのは、我々も繰り返し報じてきたがWeWorkだ。会社評価額は一時の400億ドル(約4兆3000億円)以上から約80億ドル(約8600億円)に急落した。

Brandlessは2020年初めに廃業した。新型コロナウイルス(COVID-19)のパンデミックの発生により、ホテルのOyoに加えて不動産投資ではCompassも打撃を受けている。

もっともソフトバンクのVision Fundの投資先に失敗企業が続出しているのは事実だが、失敗の多くは経済全体に逆風が吹いている結果だ。またすべての投資が行き詰まっているわけではない。例えばVision Fundは上場前のSlackに巨額の投資をしている。しかも新型コロナウイルスによる否応ないリモートワーク化はSlackの強い追い風となっている。

ソフトバンクの投資の中で最も遠大なビジョンがあったのは(皮肉にもこれはVision Fundからの投資ではなかったが)衛星ネットワークのOneWebだったに違いない。しかし世界のいたるところに高速のインターネット接続サービスを提供するというビジョンは優れていたが、あまりに多額の資本を必要としたためその重みで自壊した。ピザのロボット配達サービス、Zumeも失敗している。

しかしこうしたギャンブルが軒並み失敗に終わってもソフトバンク自体が倒れない理由は、なんといっても大量のアリババ株という金庫を抱えているからだ。またコアビジネスのテレコム事業や傘下の半導体事業も堅調だ。

ソフトバンクは発表で次のように述べている。

「上記に加え、(2019年度比較して2020年度の)税引前利益の減少は、主として営業外損失の計上が予測されることによる。 2019年度における(Vision Fund外の)投資関連の損失総額は8000億円となる。これはAlibaba株式のPVF(プリペイド・バリアブル・フォワード)契約(による売却)から生じる利益によって部分的に相殺される。2019会計年度第1四半期に計上され、Alibaba株保有分の希薄化によって生じた利益は2019年度第3四半期に計上されている。またAlibaba株式関連の投資については対前年比での利益の増大があると予測される」。

結局のところ、孫氏は大胆かつ優れたビジョンを持つ投資家だという神話に自縄自縛となったのではないだろうか。この神話は外部の株主、投資家に損害を与えるものとなったようだ。

4月13日に、Bloombergはop-edコラムで次のように書いている

「(多額の投資をすることで)スタートアップをファウンダーが考えているより早く成長させ、予想以上の収益を上げさせることができる」という孫氏の主張は今や重荷となっている。これはVision Fundやソフトバンク本体への投資家にとって利益より損失を生むリスクをもたらしている。

多額のキャッシュをばらまいたために多数のスタートアップが財政規律を維持することを忘れ、金を使うことに夢中になってしまった。何年もの間、これは賢明な戦略のように見えた。ソフトバンクの投資を受けたスタートアップはライバルよりも多額のキャッシュをユーザー獲得のインセンティブや広告に支出し、、能力の高い人材を惹きつけることができた。これは市場市場シェアを得るために役立った。

現在、ソフトバンクはUber、WeWork、Grab.、Oyoなどの市場リーダーの大株主だ。 しかしナンバーワンになることと、利益を上げることはまったく別の話だ。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

ソフトバンクの孫正義氏はサウジアラビアとの関係をどう説明するのか? まもなく判明

10月を通じて、SoftBankはサウジアラビアのムハンマド・ビン・サルマン皇太子(MBS)との良好な関係を見直す必要に迫られている。皇太子は権力の座につくとともに多額の資金を提供していたが、ジャーナリストのジャマル・カショギ氏の陰惨な殺人と死体遺棄が明るみに出るにつれ急速に負の側面が見えてきた(MBSはサウジアラビアを導いて数多くの恐怖をもたらしてきたが、バージニア州在住のWashington PostコラムニストでMBSを批判してきたカショギ氏の残酷な終末は、イエメンで数万人の子供たちが殺された事件と異なり、欧米の注目を集めることとなった)

もちろんSoftBankにとってMBSとの決別は容易な決断ではない。CEOの孫正義氏は、 今年5月に完了した1000億ドルのVision FundはMBSに支えられていると語った。事実、孫氏によるとMBSはサウジの公共投資ファンド450億ドルの提供を45分間で決定し、さらに第2のVision Fund設立のために別途450億ドルをSoftBankに出資する意志を最近表明している。

これは断るにはかなり大きな金額だ。しかし、SoftBankにとってMBSと仕事をすることの是非を再考することは理にかなった行動といえる。Financial Timesによると、SoftBank COOのMarcelo Claureは先月、SoftBankが新たなVision Fundを立ち上げるかどうか「決定していない」ことを公表した。

そして時間が過ぎた。世間の怒りの矛先は別の方に向けられつつある。そして先週の終わり、SoftBankの準備は整ったようで、一時停止ボタンから指を離し大きな契約が2件交わされた。ロボット調理のスタートアップZumeに3.75億ドルを投資し(後日さらに3.75億ドルを投資する計画が報じられた)、金曜日(米国時間11/2)にはインターネットにつながる窓ガラスに使われるガラスのメーカーであるView11億ドル投資することを発表した。

両社の経営陣とも、SoftBankと提携する方が別の資金調達源を探すより得るものが大きいと考えたようだ。

問題は、SoftBank自身が、会社の将来を計画する上で同じ決断を下すのかどうかだ。それがもうすぐ明らかになりそうだ。Financial Timesが報じているように、孫氏はSoftBankの第2四半期決算を明日報告する予定であり、そこではMBSが支配する主権国家資産ファンドであるPublic Investment FundとSoftbankのつながりに関する長い質問リストを提示されることは間違いない。

少なくとも役に立つ答えがいくつか出てくるだろう。これまで孫氏はカショギ事件について何も語ってこなかった。また、孫氏は2週間前にサウジアラビアのリヤドで行われたMBSの投資カンファレンスに姿を見せなかったものの、イベント前に皇太子と個人的に会っていた。本誌の情報源によると、その会合はカショギ事件に対する彼の懸念を個人的に伝えるためだったということだが、つながりを断ち切る話しは出なかったという印象を受けた。

その予想が正しいかどうかはすぐに分かるだろう。いずれにせよ、SoftBankとMBSとの関係がすぐに忘れられることはなさそうだ。Financial Timesの記事にある通り、SoftBank株はカショギ氏が10月初めにトルコのサウジ領事館に足を踏み入れて出てこなかった運命の日から26%下落している。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

1000億ドルでは足りない、SoftbankがVision Fundの続編続々編を計画中

Softbankが最初の最大1000億ドル規模のVision Fundの後続となるファンドの調達を準備しているようだ。今日、Nikkeiの取材に応じたCEO Masayoshi Sonはこう述べている: “Vision Fundは最初のステップにすぎない。10兆円(880億ドル)では全然足りない。積極的にもっと大きくしていきたい。Vision Funds 2, 3, 4などを2〜3年ごとに設立していきたい”。

Vision Fund 1が発表されたのは2016年10月で、その最初のクローズ(930億ドル)は今年の5月だった。投資の主対象は人工知能と物のインターネット(Internet of Things, IoT)だ。

Sonによると、このファンドの背後には‘人工超知能’の到来が迫っていると彼は確信しているので、急いでいるのだ、という。“それがやってくることは確実だと本当に信じているので、それが急ぐ理由だ。大急ぎでキャッシュをかき集め、投資していきたい”、と2月に語っている。

その巨額な後続ファンドの調達先がどこになるのか、まだ明らかではないが、最初のVision FundのバックにいたのはApple, Qualcomm, Foxconn, アラブ首長国連邦の国家資産ファンド, サウジアラビアの公的投資ファンドなどだ。

次のVision Fundの投資家に関してSoftbankのスポークスマンはこう述べた: “Mr. Sonは彼の投資戦略観について一般的なお話しかしていない。具体的な計画に関するお話はまだない”。

NikkeiへのコメントでSonは、ファンドのサイズに関する予想や、次の10年間における主な投資対象について述べている。

“ファンドの設立能力を10兆円から20兆円、さらに100兆円へと大きくしていける仕組みを今作っている”。そして全体としてそのファンドは、“10年間で少なくとも1000社に投資しているだろう”。

Nikkeiによると、Vision Fundsの主な投資ターゲットはユニコーンである。まだ上場していないが推定時価総額が10億ドルを超えるスタートアップだ。

また、一件の投資案件の規模は、最大で約8億8800万ドル(≒1000億円)である。

本誌TechCrunchは、最初のVision Fundのこれまでの投資先企業のリストを作成している。

また本誌TechCrunchは、Uber-Softbankの契約が“ほぼ確実に”来週締結される、と報じた〔未訳〕。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

SoftBankの投資の狙いを推理する

シリコンバレーではSoftBankが1000億ドルのビジョン・ファンドでいったい何を目論んでいるのかいぶかる声が聞かれる。私的な会話では「酔っぱらいのガンマンが四方八方に小切手の弾を撃ちまくっている」という声も陰口も出ている。

しかしSoftBankに近い情報源によれば、一見クレージーなSoftBankの行動にも原則があるのだという。この情報源はSoftBankはビジョン・ファンドの投資によって最低20%の内部利益率(IRR=internal rate of return)を確保することを目標としていると語った。ファンドの投資先は人工知能、機械学習から製薬、ユーティリティー、ライドシェアリングまで多種多様だ。SoftBankはこうした投資から得た情報をさらに無数のチャンスに変えていくという。

情報源によれば、SoftBankの狙いは、KKRのようなファンドよりも大きい利益を上げることだ。KKRの最初の18件の投資ファンドは投資額の2倍の価値を生み、正味IRRが18.9%だった。SoftBankに近い情報源の1人は「[ビジョン・ファンドに]投資していればKKRやBlackstoneに投資するより儲かるはずだ」と語った。

実のところ、20%のIRR(向こう7年間についての予測)というのはSoftBankにとってワーストケース・シナリオだという。「最良のケースではマサ〔孫正義氏〕がこれまで挙げてきた実績なみの収益を期待できる」と情報源は述べた。

18年間の投資でSoftBankは44%のIRRという成績を誇っている。しかし この成績の大半は「SoftBankのファウンダー、孫正義が2000年のAlibabaの設立最初期から投資したことによっている」と批判するものもいる。 孫氏は5800万ドルを投資してAlibabaの株式を取得したが、現在はこれに1300億ドルの価値があり、別の企業を買収するためにその一部を売却しただけでも100億ドルになった。

Higher And Higher

ビジョン・ファンドが目標とするようなIRR(7年にせよ、もっと標準的な10年にせよ)といえば、封筒の裏に走り書きするような簡単な計算でも、ファンドの投資者にとって1300億ドルから4300億ドルの間の金額から当初の投資額、管理費、借り入れ額など合計、440億ドル程度を差し引いた額を意味する。

LP(リミッテッド・パートナー)がこれだけの成績を挙げることをは容易ではないはずだ。いったいどうやって実現するつもりなのか? 情報源によれば、SoftBankはライドシェアリングを重要な柱と考えているという。もっと詳しく言えば、SoftBankは現在のライドシェアリング企業が順調に成長して巨大な自動運転タクシーのネットワークという新しい交通インフラとなることを期待している。

このビジョンにもとづいてSoftBankはすでに数多くの投資を行っている。中国では滴滴出行(Didi Chuxing)、東南アジアではGrabといったライドシェアリングのメジャー企業に多額の出資を」している。インドでこの分野最大の企業、 Olaが昨日20億ドルの資金調達ラウンドを完了したが、これにもSoftBankが加わっていた。

もちろんアメリカのライドシェアリング企業を成長させることもSoftBankの戦略のきわめて重要な部分だ。SoftBankはUberとLyftに関心を持っていることを以前から公言していたが、結局Uberに投資することになった。事情に詳しい情報源によれば、Uberの取締役会は10億ドル分の株式をSoftBankに売却するという案を承認したが、これはSoftBankがLyftに投資することになるのを恐れたために「金を受け取らざるを得なかった」のだという。

UberがSoftBankを恐れていたのか内心軽蔑していたのかは不明だが、SoftBankが投資してくれないと困るという不安はシリコンバレーに広がりつつある。

先月TechCrunch Disrupに登壇したベンチャーキャピタリストのSteve Jurvetsonに私がSoftBankの投資のインパクトを尋ねたところ、Jurvetsonhは「ある種のキングメーカーだ。ある会社に巨額の資金を投資、別の会社にはしない〔ことによって王を指名できる〕」と述べた。

「ただし長期的にみれば、そうした効果はノイズのようなものだ。成功は結局プロダクトやサービスの質にかかってくる。しかし〔大きな投資は〕短期的には競馬の順位を入れ替えるといった〔程度の〕シフトを生み出すかもしれない」とJurvetsonは付け加えた。

【略】

すべての投資が金を生んでいる

巨額の手元資金にもかかわらず、SoftBankはすでに痛い失敗もしている。

たとえば、先週だが、SoftBankがバイオ製薬企業Roivant$11億ドルの投資ラウンドをリードしてわずか1か月後、Roivantの子会社、Axovantが開発しブロックバスターになると期待されていたアルツハイマーの治療薬に効果がないと判定された。

Axovantの株価はたちまち暴落し、同社の最大の株主であるRoivantに大打撃を与えた。

これはSoftBankにとっても最悪のニュースと思われたが、これでSoftBankの投資戦略を判断するのは早計だったらしい。昨日、Roivantは良いニュースを受け取った。Roivantと日本の武田薬品が共同で設立した子会社が開発していた子宮筋腫の治療薬がフェーズ3の治験で好結果が得られたという。

SoftBankに近い情報源は「〔ビジョン・ファンドが〕何か間違った投資をしていたとしても1年半以内にその結果が分かることはない」と語った。

この人物はNvidiaに対する投資を例として指摘した。Nvidiaは公開企業だが、SoftBankはこの5月に40億ドル分の株式を買収した。この時点で株価は137ドルだったが、現在は180ドルに跳ね上がっている。「今のところすべて金を生んでいる」と情報源は述べた。

画像: Tomohiro Ohsumi/Getty Images

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

SoftBankのNvidia株は時価40億ドルと報道――Vision Fundのプレスリリースから推定

先週末、日本のソフトバンクはVision Fundの最初の資金調達をクローズしたことを発表した。今回の出資コミットメントの総額は930億ドル〔約1兆円〕で、出資者にはApple、Qualcomm、Foxconnらが並んでいる。同時にソフトバンクがすでにNvidiaの株式を所有していることも何気なく発表されていた。

今日(米国時間5/24)のBloombergの記事はソフトバンクが所有するNvidia株式は時価40億ドル相当と推測している。これは持ち分が4.9%とした場合の価格で、Nvidiaの第4位の株主となる。

土曜日に発表されたVision Fundのラウンドのクロージングに関するプレスリリースには、同ファンドが「SoftBank Groupが買収した(あるいは買収が承認された)投資対象を買収する権利がある」旨書かれている。

この一節には投資対象としてNvidiaに並んでARMの24.99%の株式(昨年ソフトバンクが310億ドルで買収している)、 OneWeb、SoFiなども記載されていた。

われわれの取材に対し、ソフトバンクの広報担当者はNvidiaへの投資あるいはBloombergの記事についてコメントすることを避けた。

TechCrunchが最近報じたとおり、NvidiaのGPUは機械学習の爆発的な発達を支えるハードウェアの重要な柱となっている。AIはソフトバンクのVision Fundがもっとも力を入れている分野の一つで、孫正義CEOは、今年初めに、「次の30年はスーパー・インテリジェントなAIの時代になる」という見解を明らかにしている。孫CEOによれば、このことが1000億ドルのファンドをこれほど大急ぎで組成する理由なのだという。そうであれば、Nvidiaに大口投資を行ったのもこのビジョンの一環なのだろう。

そうであるにせよ、ソフトバンクが近年、巨額の投資を行っていることは事実だ。インドのフィンテックのユニコーン企業、Paytmに14億ドルを投資したことが発表されている。ロンドンのVRスタートアップ、Improbableが5億200万ドルを調達したラウンドではリーダーを務めた。、また50億ドルを中国におけるUberである配車サービスのDidi Chuxingに、17億ドルをOneWeb,に追加投資している(ソフトバンクは衛星コミュニケーションのOneWebに10億ドルを昨年出資した)。

NvidiaやARMの持ち分を含めてソフトバンクの投資のかなりの部分は直ちにVision Fundに移管されるだろう。ファンドはまたWeWorkにも投資する可能性がある。

Vision Fundは巨大だが、孫CEOは「普通のファンドだ」と語っている。なるほど規模も前代未聞のサイズだが、ビジネスモデルも詳しく検討する価値があるだろう。孫氏は今年初め、Bloombergのインタビューに答えて 「これらの会社のに対するわれわれの投資の大部分は20%から40%の利益をもたらすと同時に、筆頭株主、取締役会メンバーとして会社のファウンダーたちと将来戦略について話合うチャンスを与えてくれる」と語っている。

どうやら孫氏は金で買える最上のスーパー・インテリジェントAIの能力を最初に試せる少数の人間の1人になりそうだ。

画像: David Becker/Getty Images/Getty Images

〔日本版〕上場企業の株式取得にあたって情報公開義務が生じるのは5%であるところ、ソフトバンクのプレスリリースにはNvidiaの株式を所有していると記載されていたものの、これまで詳細が公開されていなかったことからBloombergは4.9%と推定したもの。なおVison Fundに対する出資者はソフトバンク・グループ他、以下のとおり。 SoftBank Group Corp (“SBG”) 、Public Investment Fund of the Kingdom of Saudi Arabia (“PIF”)…Mubadala Investment Company of the United Arab Emirates (“Mubadala”)、Apple Inc. (“Apple”)、Foxconn Technology Group (“Foxconn”)、Qualcomm Incorporated (“Qualcomm”)、Sharp Corporation ("Sharp")。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

ソフトバンクの次期CEOと目されていたニケシュ・アローラが退任

2016-06-21-nikesh-arora

今日、東京のソフトバンク本社は忙しい1日になった。フィンランドのモバイル向けゲーム・メーカー、Supercellの株式を売却することは事前に予想されていたが、ソフトバンク本社の代表取締役、COOを務めるニケシュ・アローラが退任することが発表されたのは驚きだった。アローラは孫正義によってソフトバンクのCEOの後継者に選ばれたものと考えられてきた。

ソフトバンクに加わる以前、Googleの上級副社長を務めた経歴を持ち、 昨年はサンフランシスコで開催されたTechCrunch Disruptで講演したアローラだが、今年に入ってからは匿名のソフトバンク株主グループからの圧力にさらされていた。このグループは「アローラは報酬が高額すぎ、パフォーマンスが低すぎる」としてアローラの解任を求める書簡をソフトバンクに送っていた。

こうした反対はあったものの、アローラの地位は安泰と思われた。昨日、ソフトバンクはアローラについて内部調査を行った結果、株主グループの書簡に述べられた批判には「根拠が認められなかった」と発表していた。 こうした信任を得たにも関わらず、ソフトバンクの役職から退くことが発表された。アローラはインド生まれで、年俸7300万ドル、おそらくは世界でも最高給の企業トップの1人と報じられていた。

ソフトバンクは短い声明を出し、CEO交代の時期に関してファウンダー、現CEOの孫正義とアローラの間で意見の相違があったことが退任の理由であると示唆した。〔日本版:以下は日本文の声明(PDF)から引用〕

当社代表取締役社長の孫正義は、アローラを有力な自身の後継者候補として考えていましたが、数多くのテーマに取り組む中で、当面は当社グループのトップとして指揮を執り続ける意向です。一方で、アローラは、数年のうちに孫に代わって当社グループのトップとして指揮を執りたいとの意向でした。こうした両者の時間軸のずれを踏まえ、アローラは当社の代表取締役及び取締役を任期満了に伴い退任し、次のステップに進むこととなりました。

アローラはソフトバンクのインドにおける大型投資を主導していたようだ。ソフトバンクははOla、Snapdeal、OYO Roomsなどのインド企業に加えて、アメリカのスタートアップにも投資している。こうした投資の責任者であったアローラが退任した後、ソフトバンクの投資戦略がどうなるのか注目される。

最近ソフトバンクはいろいろなな面で転換点を迎えている。Supercellの株式を86億ドル前後で売却、これに加えて別のゲーム企業、ガンホー・オンライン・エンターテインメント株式の大半も売却した。さらに史上初となったAlibaba株式の売却では79億ドルを手にしている。これらの株式売却は孫正義の“SoftBank 2.0”というビジョンに基づくもので、売却代金の大半は既存の負債の返済に充てられるらしい。同グループの負債は3月末日の時点で最高11兆9000億円(1070億ドル)に上っている。負債がこれほど巨額になったのはアメリカのモバイル・キャリヤ、Sprintの買収費用に関連があるとみられる。

今回、アローラはここ2年ほどの行動から大きく方向を変えた。アローラはソフトバンクグループの取締役に就任したのを機に4億8300万ドルのソフトバンク株式を「個人的な賭け」として購入している

なおアローラ自身がツイートで若干の新たな情報を確認している。それによると、孫正義が(おそらくは)当初アローラとの間で合意した時点よりも長くCEOを務めようとするようになったことが退任の引き金だったもようだ。

マサはさらに5-10年間CEOを続ける。(私はその意思を)尊重する。多くを学べた。詳細な調査の結果、取締役会からクリーンと判定された。新しい段階に進む時期だ。―ニケシュ・アローラ

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ザッカーバーグ、ゲイツ、孫正義らがクリーン・エネルギーに投資―パリで開催のCOP21と協力

2015-12-01-cleanenergy

MicrosoftとFacebookのファウンダーが協力して地球温暖化問題に取り組むことになった。今日(米国時間11/30)、マーク・ザッカーバーグは妻のプリシラ・チャン、Microsoftのファウンダー、ビル・ゲイツらと共にBreakthrough Energy Coalitionを立ち上げたことを発表した

この組織は世界の炭素化合物の排出をゼロにするクリーン・エネルギーの創出を目指している。創立メンバーにはヴァージン・グループのリチャード・ブランソン会長、日本のソフトバンクの孫正義会長、Amazonのジェフ・ベゾスCEO、アリババ・グループのジャック・マー会長、KPCBのジョン・ドーア・ゼネラル・パートナーなど、テクノロジー界の著名人が多数含まれる。

このニュースは、今週パリで国連気候変動会議(COP21)が開催されることにタイミングを合わせ発表された。パリ会議ではオバマ大統領とゲイツとビル・ゲイツがミッション・イノベーション(Mission Innovation)と呼ばれる重要なプロジェクトを発表する予定だ。このプロジェクトではこの5年間に民間セクターが政府の投資と同額を出資し、エネルギーに関する研究を支援する。

Washington Postの記事によると、Mission Innovationにはすでに19ヵ国が参加を決めている。このためクリーン・エネルギーの研究開発のために支出される年間予算は2020年までに200億ドルまで増加するという。

Mission InnovationとザッカーバーグらのBreakthrough Energy Coalitionとは別個のプロジェクトだが、各参加国において緊密に協力していくことになっている。

Breakthrough Energy Coalitionはウェブサイトで「この組織の目的はゼロカーボン化に取り組んでいる国において、公的機関等から生まれる有望かつ規模変更に適したアイディアに投資し、収益化を推進することによって政府投資と民間ビジネスの間のギャップを埋めることだ」と述べている。この組織の特長は柔軟な投資戦略で、公的研究機関などで生まれた有望なアイディアに対し、起業の初期投資からシリーズAに至る資金を提供する。対象となる分野は発電、蓄電、電力移送、産業及び農業における電力利用などを始め、エネルギーシステム全般の効率化だという。

画像:Romolo Tavani/Shutterstock

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