Facebookは個人的目的のための募金で手数料を無料にした

Cambridge Analyticaに関するあらゆることで責められているFacebookは、それでもまだ、何か良いことをしたい、と望んでいる。今日Facebookは、個人的目的で活動資金などを募金する場合、手数料を無料にする、と発表した。

これまではアメリカで4.3%、カナダで6.2%徴収していた手数料が無料になる。これらの手数料は、募金の目的や募金者の人物を審査するための費用、とされている。これからは、これら安全と保護のための方策に関わる費用を、Facebookが負担する。

Facebookの社会福祉ツール部門のトップAsha Sharmaは、次のように述べている: “この件についてはわれわれもまだ勉強中だが、とにかく人びとの福利を最大にしたいのだ”。

Facebookが無料でも、決済の費用や税金はかかる。アメリカとカナダでは決済の処理費用が2.6%+30セントだ。Facebookは、資金募集ツールの新しい機能を二つ発表した。

ひとつは、人びとが寄付を非営利の資金募集者宛てにできること。もうひとつは、個人の募金目的の種別の拡大だ。これまでのように、動物愛護や個人的緊急事態だけでなく、これからは医療目的のためのコミュニティの旅行や、養子縁組のような家族関連の目的、宗教的イベント、ボランティア活動の支援などでも募金ができる。

これまでに集まった募金の額をFacebookは明かさないが、同社の社会福祉ツールは、75万あまりの非営利目的の寄付獲得を助けた、という。Sharmaは個人的募金目的について、“これらすべての分野や種別で活動があるから、対象に含めざるをえなかった”、と言っている。

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アメリカの労働力をハイテク指向に変える全国的教育訓練事業にGoogleが10億ドルを投入

労働の形が全世界的なレベルで急速に変わりつつある。労働が技術の影響で大きく変わったのはもちろんこれが初めてではないが、しかし今回は、オートメーションやロボット、AIなどの成長によって、これまでなかったような空前のペースで、従来的な仕事がなくなりつつある。そしてGoogleはほぼ確実に、この変化を推進している力の一つだ。

この検索巨人は、これまでも折りに触れて、このネガティブなインパクトを抑えたいという願いを表明してきた。そして今回は、言葉だけでなく、そのために10億ドルという大金を拠出することになった。今日ペンシルヴェニア州ピッツバーグで行われたイベントで、CEOのSundar Pichaiが、Grow with Googleと名付けた事業を発表した。これにより同社は向こう5年間、アメリカの労働者を教育訓練して起業を助けている非営利団体に、総額10億ドルの援助を行う。

そのイベントの場所が持つ意味は、ピッツバーグのここ数十年の成長を見てきた人なら、誰にでも分かるだろう。かつて鋼鉄の町(Steel City)と呼ばれたこの都市は、壊滅の瀬戸際から経済を蘇らせた理想的な範例として、何度も言及されてきた。ピッツバーグの場合、その主な推進力はテクノロジーだった。当地の名門校カーネギーメロン大学の支援によりピッツバーグは、ラストベルト(Rust Belt)の不況に沈むさびれた都市から、アメリカ有数のテクノロジーハブへと生まれ変わった。今ではピッツバーグの工場跡地で、ロボット工学や自動運転技術など、最先端のイノベーションが成長している。

Pichaiは、この町が彼自身にとっても特別の意味がある、と語った。彼は曰く、“24年前アメリカに来たとき、最初に見た都市がここだった。インターネットが本格的に活況を呈するまでは、ずっとここにいた。でも当時からすでに、ここは変わり始めていた。ハイテクの雇用が、急増していた”。

Grow with Googleイニシアチブの一環として10億ドルは、個人を対象とするインキュベータ/アクセラレータGoodwillへ行く。Google.orgからの一つの団体への寄付額としては、これまでで最大だ。この資金によりGoodwillは、アメリカの労働力をハイテク指向へ改造するための教育訓練事業Goodwill Digital Career Acceleratorを立ち上げる。また一方でGrow with Googleは、全国ツアーにより、各地の図書館や地域団体が主催するキャリア育成事業を支援していく。この部分の目標規模としては、5年間で100万時間/人ぶんのボランティア社員を投入する。

Pichaiはスピーチで述べた: “Googleでは、私たちのミッションは、情報が少数者ではなくみんなの役に立つようにすることです。ここピッツバーグでは、Googleの同じ情報に、小学生の子どもがカーネギーメロン大学の教授と同じようにアクセスできます。つまりインターネットは強力なイコライザー(平等化装置)であり、新しいアイデアを人びとが前進する力に換えます”。

このオンライントレーニング事業の詳細は、Grow with Googleのハブにある。

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未来の高度な人工知能技術の私蔵化を防ぐ非営利団体OpenAIがそうそうたる創立メンバーでスタート

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今日(米国時間12/11)、非営利の人工知能研究団体OpenAIの創立が発表された。そのトップは、Googleの研究員Ilya Sutskeverだ。前日には、Facebookが同社のAIハードウェアをオープンソース化した。

その存在理由は、こう説明されている:

目標はデジタルインテリジェンスの高度化をできるかぎり人類全体の利益に資する形で推進すること。それが、経済的(financial)な利益目的に制約されないことだ。

グローバルな支払い決済サービスStripeのCTOだったGreg Brockmanが、OpenAIのCTOになる。このほか多くの著名人が名を連ねており、中でもY CombinatorのSam Altmanと
Tesla/SpaceXのElon Muskが共同で理事長になる:

この団体の創立メンバーは、世界のトップクラスのリサーチエンジニアとサイエンティストである: Trevor Blackwell, Vicki Cheung, Andrej Karpathy, Durk Kingma, John Schulman, Pamela Vagata, そしてWojciech Zaremba。Pieter Abbeel, Yoshua Bengio, Alan Kay, Sergey Levine, およびVishal Sikkaはアドバイザーとなる。OpenAIの共同理事長は、Sam AltmanとElon Muskだ。

資金提供者は、Altman, Brockman, Musk, Jessica Livingston, Peter Theil, Amazon Web Services, Infosysおよび YC Researchで、寄付額の合計は10億ドルだ。Muskが公共的なAI研究に出資するのは、AIがSkynetになってしまうのを防ぐため、といわれる。OpenAIへの出資や理事長就任も、そのねらいの延長だろう。

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コンピュータ科学とプログラミングの全国民“一般教科化”を目指すCode.org

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ハッカソンで何かを簡単に手早く作ってしまうプログラマたちを見ていると、世の中の一般人は、宅配ピザの空き箱とRed Bullの缶が散乱したHarvard(ハーバード大学)の学生寮の、薄暗い一室を想像するかもしれない。なぜなら、世界の、サンフランシスコとニューヨークを除くあらゆる部分で、人びとはプログラマという人種を映画“The Social Network”でしか見たことがないからだ。Hadi Partovi/Ali Partovi兄弟は、今日(米国時間1/22)非営利事業として立ち上げたCode.orgでもってこの状況を変え、コンピュータ科学とプログラミングを誰もがアクセスできるものにしたい、と考えている。誰もがとは、プログラミングをしたい人という意味ではなくて、文字どおり、誰でも、世の中の人すべて、という意味だ。

文章を書くことに比べてコンピュータのプログラムを書くことには、なぜ今のような大きな格差があるのか、昨日Hadiに会ったぼくは、まずそれを聞いてみた。彼は、“それは放っておいてよい格差ではなく、この国が解決しなければならない重要な問題だ”、と言った。格差の原因の一部は、本当なら今や誰もが学ぶべきコンピュータ科学を、学校が教科として教えないことだ。また教師をはじめ今の世の中の一般人は、プログラミングが読み書きと同格の必須スキルであることを、理解していない。Partoviは、この大きな問題に挑戦することを自分のライフワークとし、そのための行動の一環として Code.orgを立ち上げた。

Partoviはこれまでの経歴がすばらしくて、iLikeやTellmeのファウンダの一員だったし、FacebookやDropboxやAirbnbなどにも投資やアドバイスを提供している。

私はこの業界で過ごした経験から貴重なものを多く学び、そして、ソフトウェアというもののおかげで世界が完全に変わってしまったことも知った。そこでは、新しい仕事が増えているだけでなく、産業の形も大きく変わっている。にもかかわらず、学校は逆の方向を向いている。しかし、世界でもっとも高い給与をもらっている人に、世界でもっとも低い給与の仕事をやってもらうことは、困難である*。

〔*: もっとも高い給与をもらっている人==プログラマ(など)、もっとも低い給与の仕事==学校の先生。〕

スタートアップという仕事は、必ずしも収入の良い仕事ではないが、そのことも学生たちのあいだでコンピュータに人気がない理由かもしれない。でも、誰もがある程度コードを書けるようになったら、これまでアイデア倒れに終わっていたような発想にも、実現に向かう道が開けるはずだ。コンピュータプログラミングは、ふつうの仕事に就いた若者にも、そのための道具や武器を与える。

実はPartoviのこのCode.orgプロジェクトを紹介する短編ビデオには、自分のアイデアをプログラミングを通じて大きく実現した人物像のモデルとしてMark Zuckerberg(Facebook CEO)が、出演する可能性もある。Zuckerbergと並んで、Bill Gatesも出演するらしい。このビデオの目的は子どもたちに、コンピュータのプログラミングは勉強する意義のあるすばらしいものであり、しかも、考えていたよりも楽しいことを、伝えることにある。楽しみとしてのプログラミングはそろそろ、親の家の地下室に住む“スーパースマートキッズ”たちの独占を脱し、広く一般に開放される必要がある。

なお、この短編ビデオを作ったLesley Chilcottは、Code.orgのチームの一員であると同時に、映画“An Inconvenient Truth”や“Waiting For Superman”のプロデューサーでもあった人だ。

そのビデオは、制作時の契約に基づいて、全米で50万以上のクラスに寄贈される。先生たちは、それを教室で再生するだろうか? それはまだ未知数だが、ビデオには先生たちに対する啓蒙の意味もある。Code.orgがやっていることに関心のある先生や親たちは、寄贈対象になってなくても、ぜひそのビデオをもらうべきだ。

数字が語る真実

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Partoviによると、コンピュータ業界にはおよそ140万の仕事があるが、これまでコンピュータ科学を専攻して大学を卒業した者の合計はわずか40万だ。その差は、小学生にも分かる、約100万だ。コンピュータを仕事とする人材が、絶対的に不足している。だからこそ、これからは、プログラミングを義務教育の必須教科にしていくことが重要なのだ。Partoviは次のように言う:

オバマ大統領は、税金を上げる必要も、歳出をカットする必要もない。子どもたちをしっかり教育して、それらの仕事が海外に逃げて行かないようにすればよいのだ。

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[インフォグラフィック訳:
2020年にはコンピュータ関連の仕事の数がコンピュータ科学専攻学生の数より100万多い。

コンピュータ科学は大卒の中で二番目に高収入の学位、コンピュータプログラミングの仕事は全国平均の倍以上の成長率。

仕事はコンピュータ科学に多く、しかし専攻学科はコンピュータ科学がとても少ない。

大卒でコンピュータ科学の学位取得者は全学卒の2.4%以下、しかも10年前よりも減少。

高校教師でコンピュータ科学専任は1000人中6人。

あなたの学校をcode.orgに登録しよう。
]

数字の話の続きとしてPartoviとぼくは、スタートアップとテクノロジ企業を全部合わせると今後の雇用機会はどれぐらいになるのか、という話をした。関連してレストランやバーといったサービス業の開業や雇用機会も増えることを、忘れてはならない。Justin KanのExecのようなサービスは、各種サービス業のプロたちと、彼らへのニーズを結びつける。

平等公平なアクセス

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重要なのはアクセス性だ。Code.orgも、そこから始める。Partoviは次のように説明する:

だから、本当は100万以上もの新しい雇用機会がある。それによって、この国の最大の問題が解決できる。しかしその機会に実効性があるためには、すべての子どもや児童生徒学生たちが、全員、簡単にプログラミングを学べるのでなくてはだめだ。

もちろん、プログラミングができることイコール、プロのプログラマになることではない。どんな仕事でも、今および将来は、コンピュータとネットワークと日常使うアプリケーションを正しく理解して、数行のスクリプトぐらい自分で書けることが重要なのだ。医師も弁護士も、クラウドについて、あるいはドキュメントがどこに保存されているかについて、基本的なことを知っているべきだ。Partoviの説では、農家の人たちでさえ、農業は今やテクノロジと無縁ではないから、コンピュータ科学の基礎を理解していないと次世代のイノベーションについて行けなくなるだろう。

Partoviの話は、だんだん熱を帯びてくる:

これは、一業界の問題ではなく、国家の問題だ。宇宙開発に着手したときと同じぐらい、あるいはそれ以上に重要な、全国民の抜本的な能力開発だ。やるかやらないか。今やらなければ、アメリカはずっと後方に置き去りになる。これからの子どもたちには、何を備えさせてやるべきか、真剣に考えよう。わが国の教育システムは150年間変わっていない。その間、新しいものは何一つ加わっていない。だから、今加えるべきものが、ものすごく重要なのだ。

Code.orgが今やろうとしているのは、何らかの形でプログラミングを教えているクラスのデータベースを作ることだ。高校、大学、子どもたちの週末行事、などなど。このデータベースの作成には、誰もが参加できる。うまくいけばそれは、この種のデータベースとしては世界最大のものになるはずだ。今は、まだ始まったばかりだが。

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学ぼうと思えば、公立校の11歳のヒスパニックの少女でも学べるのに、今はまだ、たとえば2〜3人の少女たちがコンピュータを囲んでプログラミングをしている、なんて、ありそうな画像が実はまったくない。この状況をこそ、変える必要がある。

Codecademyなどのサービスも、この問題の克服に取り組んでいる。それは、浅瀬で足を濡らしてみるのに適したサービスだし、また友だちを誘うのにも適している。

テクノロジは多くのドアを多くの人びとに開放しているし、個人にとっての参入障害はほとんどまったくない。コンピュータとインターネットへの接続があれば、今すぐにでも勉強を開始できる。次の”Mark Zuckerberg”は、Zuckが思わず感心してしまうような子どもたちの中から、出現するだろう。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))