ハードウェアからソフトウェアまで、企業のOpenStackプライベートクラウド導入と管理のすべてを支える「おまかせ」サービスをRackspaceがローンチ

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RackspaceはNASAと共に、オープンソースのクラウドコンピューティングプラットホームプロジェクトOpenStackの創始者であり、また同社は長年、OpenStackのプライベートなデプロイメントを管理するサービスを企業に提供してきた。しかしそのためには企業ユーザーは、ハードウェアのインフラストラクチャを自前で構築する必要があり、かなりの初期コストを要した。

しかし今日(米国時間4/7)からは、OpenStackでプライベートクラウドを構築したいと考えているエンタープライズ(大企業)や中小企業はRackspaceに、ハードウェアからソフトウェアスタックまで完全なワンセットのOpenStackクラウドを作らせて、そのモニタリングや管理も任せることができる。

これまでRackspaceは材料表を提供するだけで、企業がそれをRackspaceのリファレンスアーキテクチャに従ってデプロイしていた。これからの新しいサービスでは、Rackspaceが自分のデータセンターの構築に使用した仕様に基づいて、必要なハードウェアをセットアップする(それには少なくともネットワーキング、ストレージ、コンピュートなど用のキャビネットが含まれる)。デプロイのすべての側面もやはりR社の社員が管理し、顧客を彼らの新しいクラウドに慣れさせていく。R社はアップタイム99.99%のSLAを顧客に提供しするが、もちろんそれには、同社がコントロールできないデータセンターの停電などは含まれない。

RackspaceのOpenStack Private Cloud担当GM兼VP Darrin Hansonによると、その基本的な考え方は、OpenStackを管理付きサービスの集合の完全なスイートから成るサービスとして提供することにより、それを単純化することだ。現状は、多くの企業がOpenStackを使いたいと思っているが、それができる人材がいない。いたとしても、OpenStackのデプロイは複雑なタスクだ。しかし今回立ち上げたサービスなら人材問題をバイパスできるから、OpenStackの敷居がきわめて低くなる、とHansonは主張している。

Rackspaceはこの方式による新しいプライベートクラウドを、ほとんど世界中のどこのデータセンターにもインストールできるが、同社はEquinixともパートナーしているので、同社のデータセンターでのデプロイならさらに迅速容易になる。

この新しいサービスは当面はOpenStackが中心だが、Hansonによれば、長期的にはほかのサービスやプラットホームにも対応していきたい、という。たとえば、完全な管理を伴うHadoopのインストール、なんかだ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

MirantisがRed Hatとの入札競争に勝ちVW全社のプライベートクラウドをOpenStackで構築へ

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わずかに残ったOpenStack専業スタートアップのひとつMirantisが今日(米国時間4/5)、大きな勝利を発表した。VWが、Red Hatよりも同社を選んで、OpenStackの大規模な実装を採用することに決めたのだ。

それは、MirantisとオープンソースのOpenStackプロジェクト、両方にとって大きな意味がある。VWは元々、OpenStackでプライベートクラウドを実装する気だった。しかし、どのベンダにやらせるのか? 各社の提案書を検討した結果、二つに絞られた: MirantisとRed Hatだ。

そのプロジェクトは、数十箇所のデータセンターと数万のノードから成る大規模な計画だ。Mirantisの協同ファウンダーでCMOのBoris Renskiが、そう述べている。

Volkswagen Groupの法人IT運用部長Mario Muellerによると、VWがプライベートクラウドを選んだのは、今市場で提供されているパブリッククラウドのプロダクトには、同社がサポートしたいユースケースに必要な機能が、欠けているからだ。

“ユースケースといっても、うちの場合はスケールが大きいから、ある時点でプライベートクラウドが必要になると考えていた。プライベートクラウドは、こっちのやることが多くなることも分かっていた。しかしVWグループ全体のデジタル化を推進していくためには、難しい問題から手を付けていくべきだ。今日のパブリッククラウドは多様なインフラストラクチャサービスを提供して、すべての産業を水平的にカバーしようとしているから、話がうちの場合のような大規模な垂直のユースケースになると、十分な経済的合理性がない”、とMuellerは説明する。

VWは、ファイナリストのRed HatとMirantisを、63の小さなパイロット事業とユースケースで比較した。どちらも、VWの本社にそのための部屋を与えられた。

Mirantisのグローバル営業担当VP Marque Teegardinは語る: “ものすごく厳しいテストだった。すべてのタスクを2週間で完了し、1週間でVWのチームのためのプレゼンを作らなければならない”。VWは両社を純粋に技術的なメリットに基づいて比較し、それぞれのタスクの結果がVWの技術的要求をどれだけ完全に満たしているかが、比べられた。

そして、その評価点の高かったMirantisが、プロジェクトを勝ち取った。それは、小さなスタートアップにとって相当な重圧だったのでは、という問に対してRenskiは、たしかに大きな仕事だったけれども、大規模な客先実装で入札に勝ったのは今回が初めてではない、と述べた。同社はこれまでにも、AT&TやEricssonn、GAPなどの大企業を扱った経験がある(AT&Tの74のデータセンターをMirantisが動かしている)。

一方、Red Hatのクラウド部門のグローバルマーケティングを担当しているMargaret Dawsonは、今回の件について、“弊社は個別の取引について直接のコメントはしない”、と一蹴した。王道を歩むRed Hat、というところだ。

彼女は曰く: “全般的に弊社は、通信企業や一般的大企業や政府諸機関で、OpenStackがプライベートクラウドのインフラストラクチャとしても採用されてほしい、と願っている。それは巨大な市場であり、451 Researchの予測によると、2017年にはOpenStackのビジネス機会の総額が25億ドルにもなる。したがって弊社は、OpenStackのマーケットのエコシステム全体が活況を呈することを歓迎するし、また必要とする”。

OpenStackは2010年に、オープンソースのプライベートクラウドプロジェクトとしてNASAとRackspaceなどが、主に成長著しいAWSの対抗勢力として開発した〔今でもNASAのプライベートクラウドのベース〕。その後、数多くのOpenStack関連スタートアップが生まれ、またRed Hat、IBM、HP、Oracleなどの世界的大企業も注目するようになった。しかし初期のスタートアップの多くがその後買収されたり、あるいは、高名な企業が廃業に追い込まれたりしたが、Mirantisはしぶとく生き残り、従来型の大手ITベンダとの競争にも、勝ちを収めつつある。

Mirantisは、2011年の創業以来2億2000万ドルを調達した。最近のラウンドは、昨年8月の1億ドルだった

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DreamHostのOpenStackベースのクラウドプラットホームDreamComputeがベータを脱し本番提供へ

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DreamHostはWebホスティングサービスとしてよく知られているが、でも同社はかなり前から、オープンソースのエンタープライズプラットホームOpenStackの、主要なコントリビューターだ。そして数年前からは、OpenStackベースの同社独自のクラウドコンピューティングサービスDreamComputeをベータで提供していた。

今日(米国時間4/5)、そのDreamComputeがベータを終わり、従量制と月額定額制を折衷したような、新しい料金モデルで一般供用を開始した。

DreamComputeは、OpenStackにストレージシステムCephと、Dreamhostが育てたネットワークオーケストレーションサービスProject Astaraを組み合わせたサービスで、AmazonのクラウドコンピューティングサービスEC2などともろに競合する。

約1200社の顧客企業と一緒に、DreamComputeのベータを長年やってきた経験から、チームはDreamHostの合衆国東部データセンターに完全に新しいアーキテクチャを実装した。同社のクラウド担当VP Jonathan LaCourによると、この新しいアーキテクチャはベータ時の倍近いパフォーマンスを提供する。チームがこの新しいアーキテクチャの開発に取り組んだのは約1年前だが、そのときチームがすぐに理解したのは、たとえばユーザーがSSDのストレージを求めていること、そして、たくさんコアがあることよりも、高速なシングルコアのパフォーマンスに関心があることだった。

DreamComputeはベースがOpenStackだから、デベロッパーはマシンにrootアクセスでき、またOpenStackのAPIもすべて利用できる。

料金は時間単位の従量制が基本だが、顧客は25日ぶん以上を請求されることはない。月額の最低料金は4ドル50セントだ。この金額では、従来的なハードディスクを使う古いクラスターは、RAM 1GB、仮想CPU1つだが、SSDを使う高速なクラスターではRAMが512MBのみだ(1GBのマシンは月額6ドルから)。DreamComputeの各クラスターには、100GBのブロックストレージが無料でつく。詳しい料金体系は、ここにある

同社はこの、OpenStackクラウドコンピューティングサービスのローンチに併せて、サービスの使い方を詳細に記した知識ベースを立ち上げた。そのすべての情報はGitHub上にあり、またこれに対する、ユーザーの今後の自由な貢献も期待している。LaCourによると、今後はチュートリアルなどそのほかのドキュメンテーションも、何らかのインセンティブ制により、ユーザー貢献型にしたいという。ドキュメンテーションに対するこのやり方は、Linux仮想サーバーホスティングのLinodeのやり方に似ている。

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HPのOpenStackプラットホームHelionがバージョン2.0にアップ、構成デフォルトとセキュリティを充実

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誰もが知ってるように、HPはそのパブリッククラウドビジネスに終止符をうち、そっちはAWSやMicrosoftやGoogleに譲る、と言っている。その代わり同社は今、プライベートとハイブリッドのクラウドに専心しつつある。プライベートクラウドといえば、今のところ唯一の現実的なオプションがOpenStackだから、同社はHelion OpenStackと名づけた独自のOpenStackプラットホームを1年前から提供している。そして今日同社は、そのOpenStack商用/エンタプライズディストリビューションのバージョン2.0を発表した

HPのクラウド担当SVP Mark Interranteによると、HPがパブリッククラウドビジネスから脱退したことは、同社がこれからプライベートとハイブリッドのクラウドに大きく注力していくことを意味する。“それは、いよいよ焦点が絞られてきたということであり、最良のプライベートクラウドを顧客に提供し、ハイブリッドの管理を加速し、我が社のクラウドのハイブリッド的資質をより強力に打ち出していかなければならない”、という。

Helion OpenStack 2.0はOpenStackの’Kilo’リリースの実装だが、最新リリースは今月初めに出た’Liberty’だ。しかし、プロダクション向けには最新リリースを採らないとする保守的な姿勢が、この世界の標準慣行でもある。そこでHO 2.0には、Kiloリリースの新機能がすべてあるとともに、HP独自の新しい機能もいくつか盛り込まれている。

Interranteによると、HPのチームはOpenStackの標準リリースに独自のキュレーションを加え、穏健妥当な構成デフォルトをセットし、内部および外部の脅威に対するセキュリティを強化している。またバグフィクスに関してはできるかぎり最新リリースからバックポートしているが、最新リリースの新機能はバックポートしていない。

KiloリリースにHPの独自の仕事を加えたHelion OpenStack 2.0には、ダウンタイムののないローリングアップグレードや、アプリケーションを中断しない継続的パッチ管理、アドミンインタフェイスの改良によるログとモニタリングの中央集中化、といった機能がある。またネットワーキング機能はHPのDistributed Cloud Networkingサービスを統合して分散データセンター環境を管理できる。このほか、Nuage NetworksのVirtualized Services Platformもサポートしている。

そしてさらに、HP独自の機能としてユーザインタフェイスのあるインストーラや、ロードバランサ、ファイヤーウォール、VPN SaaSなどがある。opsコンソールもHP独自で、クラウドの状態をオペレータがモニタし、現状や問題点をよく理解できるようにしている。

Interranteと彼のチームによると、顧客はセットアップのカスタマイズよりも構成の自由を求めている。そこでたとえば新しいHelionのLifecycle Management(ライフサイクル管理)サービスを利用するとクラウドのレイアウトを指定でき、僅かな作業でそのインストールをリプレイできる。

HPのOpenStack担当エンジニアは210名おり、そのサブプロジェクトのチームリーダーが8名いる。またこのプロジェクトのTechnical Committeeには3名が参加している。

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OpenStack Foundationがクラウドアドミンの資格認定事業を発表、分かりやすい構造理解のため視覚化ツールをローンチ

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二年に一度行われるOpenStack Foundationのカンファレンスで、OpenStackによるクラウドを管理するアドミンの資格認定プログラムが発表された。

OpenStackは多くのサブプロジェクトで構成されているので相当複雑であり、このソフトウェアフレームワークを使ってクラウドを構築しようとする企業にとってはとくに、有能なアドミニストレータを見つけるのが難しい。

数年前に当Foundationは教育訓練のマーケットプレースを立ち上げ、そこにRedHat、MirantisなどのベンダやLinux Foundationのような団体が提供するコースを陳列した。Foundationの事務局長Jonathan Bryceは今日のキーノートで、このコース紹介は非常にうまくいったが、しかしそれでもまだ、十分な数の有能な人材は育っていない、と述べた。

今回の資格認定事業は、Foundationが多くの企業(Canonical, Cisco, HP, Mirantis, Rackspace, SuSEなど)の協力を得て開発したもので、これがOpenStackアドミンの基準になることをねらっている。

認定が欲しいアドミンは、まず地球上のどこからでも受けられる認定試験を受ける。最初の試験は同FoundationとLinux Foundationの協力により、2016年に行うが、その試験勉強のためのコースはおよそ20社の教育訓練プロバイダから提供される。受験料などは現段階では未定だ。

OpenStack FoundationのCOO Mark Collierが今日の記者会見で語ったところによると、今後はデベロッパをはじめ、OpenStackのエコシステムを構成するそのほかの主要ロールについても、このような資格認定方式を導入するそうだ。

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OpenStack Foundationは今日(米国時間10/26)、資格認定〜教育訓練事業のほかに、Project Navigatorという情報閲覧ツールをローンチした。このサービスもやはり、OpenStackの複雑性対応の一環で、ナビゲータは今のOpenStackを構成するおよそ25あまりのサービスやサブプロジェクトの一つ々々について情報を提供する(それらの成熟度、パッケージング、ドキュメンテーションなど)。Project Navigatorは、OpenStackが最近行った‘構造改革’の成果を前面に打ち出している。それは構成サブプロジェクトを「コア」(コンピューティング、ネットワーキング、ストレージ)と、そのほかの「オプション」の二つに分ける、という構造だ。

“サブプロジェクトを「コア」と「オプション」の2グループに分けた目的は、OpenStackによるクラウドの構築とデプロイを単純化するためだ”、とCollierは述べる。“Project Navigatorはその単純化された構造を分かりやすく視覚化して表現し、ユーザがOpenStackクラウドの構築に取り組むとき、必要な部位の選択を容易にできるようにすることが、ねらいだ”。

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Red HatがITオートメーションのAnsibleを$150Mで買収へ…OpenStackデプロイをDevOpsのために簡易化

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オープンソースで大企業を築いたRed Hat(社員数7300)が、エンタプライズITのポートフォリオ充実のため、また企業買収を行おうとしている。本日(米国時間10/16)同社は、ITオートメーションのスペシャリストAnsibleを買収すると発表した。同社の得意分野は、オンプレミスとクラウドの両ソリューションを組み合わせたハイブリッドITの、構築、デプロイ、そして管理だ。

これまでの噂では買収価額が1億ドル強とされていたが、業界筋によると実際には1億5000万ドルに近いようだ。Red Hat自身は買収の条件を何も公表しないが、買収の完了は今月とされている。ただし、Red Hatのほかにも、Ansibleにアプローチしている企業が数社あるらしい。

2013年にSanta Barbaraで創業したAnsibleはこれまで主にMenlo Venturesと、e.venturesのパートナーDoug Carlisleから計600万ドルしか資金を調達していない。それに対し1億5000万ドルは、相当大きなリターンだ。

AnsibleはOpenStackクラウドのスペシャリストとして名を上げ、今年前半にはその支援者としてCisco, HP, CSCおよびRackSpaceとパートナーシップを結んだ。Red HatによるAnsibleの買収は前者が今後もOpenStackビジネスを拡大していく意思の現れであり、それにはハイブリッドクラウドの管理や、OpenStackとコンテナの展開など広範囲なサービスが含まれる。

とくに今回の買収では、Red HatによるDevOps向けプロダクトの底入れが期待され、デベロッパ兼オペレータが頻繁に現場の問題に即応して、迅速にコードを書き、デプロイもしていくという最近の成長トレンドを、支援していくものと思われる。すでにTwitterなどのテク企業では行われていたこの実践が、今やほかの業界の企業にも普及しつつある。

“Ansibleは、その過程を自動化する方法を提供する”、とMenloのCarliseは語り、それがRed Hatが同社に関心を持った理由でもある、と述べた。

Red HatのVP Joe Fitzgeraldは声明文の中で、“AnsibleはITオートメーションとDevOpsにおける、誰もが認めるリーダーである。同社はRed Hatが目標とする、摩擦のないITの提供に、大きく貢献するものと思われる”、と言っている。

また、Ansibleの協同ファウンダでCEOのSaïd Ziouaniは、“オープンソースのグローバルリーダーであるRed Hatが、ITオートメーションとシステム管理の未来に挑戦するためにAnsibleを選んだことに感動している。このことは、Ansibleのシンプルなサービスと、エンタプライズのカスタマベース、そして強力なコミュニティが、コンピューティングとネットワーキングとクラウドとコンテナのすべてをカバーするエンタプライズITオートメーションにおける、勝者になりつつあることの、強力な認定である”、と声明している。

買収に関するRed Hat自身の説明はここで読める。本誌ライターのFrederic Lardinoisによると、Ansibleは複雑なOpenStackに一見単純な外見を与えて、一般ユーザにとって使いやすいものにしている。

そのようにAnsibleは、コードのデプロイに伴う大量の専門技術や専門知識を不要にして、ふつうに英語でコマンドできるようにした、新世代のITプラットホームに属する、とされている(私の知人がそう説明してくれた)。

買収に関するRed Hatの声明文は、“競合するソリューションと違ってAnsibleではコーディングのスキルが要らないので、ITオートメーションの最大の障害の一つが取り除かれている”、と述べている。

Red Hatによると、Ansibleの技術がカバーしているのは、アプリケーションをプライベートとパブリック両方のクラウドにまたがってデプロイし管理する能力、DevOps方式でサービスのデリバリをスピードアップすること、OpenStackのインストールとアップグレードを簡素化/合理化すること、オーケストレーションと構成を単純化することによってコンテナの採用を加速すること、などである。

Red Hatは今日、ニュースの一部として決算報告の簡単なアップデートも発表した。それによると買収は同社の第三および第四四半期の売上に大きな影響を及ぼさない。2016会計年度のNon-GAAP操業費用はQ3で200万ドル、一株あたり0.01ドル増加し、Q4ではこの買収の結果400万ドル(0.02ドル)となる。

Red Hatは1999年に上場し、今回はその14番目の買収となる。

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Google曰く: 営業力でもコネでもない、これからのエンタプライズ戦略の主力はオープンソース

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GoogleでKubernetesやGoogle Container Engineなどのプロダクトマネージャを担当しているCraig McLuckieが、今日(米国時間8/26)行われたOpenStack Foundationの例年行事Silicon Valley Eventで、こう述べた: “Googleはエンタプライズ企業ではないが、エンタプライズのニーズを知るための努力はしている”。

今や誰の目にも分かるように、Googleは同社のクラウドプラットホームのエンタプライズユーザを増やすべく、懸命の努力をしている。しかし同社には、伝統的なエンタプライズコンピューティング企業が持つ強力な営業部隊がないし、Microsoftなどが長年かけて築いてきた、企業世界とのコネもない。

そんなものの代わりにGoogleは、今後もっともっとオープンであることに、賭けようとしている。そしてオープンソースのソフトウェアをもっと多くリリースすること。それが、エンタプライズに食い込む契機になるだろう。“Googleは、オープンがソフトウェア構築のベターな方法であると認識している”、とMcLuckieは述べる。“オープンソースのコミュニティがイノベーションを引っ張っている。その能力は感嘆に値する”。

彼によると、オープンであることは顧客のためにベターなプロダクトを作り出すだけでなく、(継続的インテグレーションにおいて)より速いインテグレーションサイクルが可能になる。さらに、他社を巻き込んだオープンソースプロジェクトでは、その他社のDNAをプロダクトが吸収できる。

その典型的な例がKubernetesだ。Googleで孵化したそのコンテナ管理/スケジューリングツールは、今では急速に、多くのコンテナアーキテクチャの標準コンポーネントになりつつある。Googleは最近そのコードをCloud Native Computing Foundationに寄贈したので、今後はRed Hat、Docker、IBM、VMWare、Huawei、Twitterなどの企業グループが開発していくことになる。つまり、ますますそれは、オープンソースコミュニティのものになる。

Googleは企業が、自分のワークロードを複数のクラウドやコンテナ間で移動できるようになることを期待しているが(クラウドと言っても主に自分のクラウドだが)、そのような技術の主軸となるのがKubernetesだろう。今後ますます多くのパートナーが採用すれば、確実にそうなる。

McLuckieはスピーチのあとのインタビューで、Googleは同社のインフラストラクチャスタックのそのほかの部分もオープンソースにしていく予定だが、何を、ということは現段階では言えない、と述べた。しかしこれだけでも、Googleがオープンソースを本気でエンタプライズ戦略の中心に据える気であることが分かる。

今後の積極的な攻めの基本戦略として、Googleの“秘密のソース”をオープンソース化していくべきだ、というMcLuckieらの説に、最初のうちはインフラ担当のSVPたちやGoogle Fellowで彼のボスであるUrs Hölzleらは納得しなかったが、今ではそれが、全社的なコンセンサスになっている。

今や、あの、プロプライエタリの古い怪物Microsoftでさえ、多くのコードをオープンソース化しつつある。しかもそれには、十分な理由がある。

“オープンソースでソフトウェアを構築しない者は、そうである者に対し競争上の不利を背負うことになる”、とMcLuckieは語る。

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Mirantisが1年足らずで二度目の$100Mの資金調達、Intelが積極的なパートナーシップ

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昨年10月に、OpenStackの専業ベンダMirantis1億ドルの資金調達ラウンドを発表したが、それからわずか10ヶ月後の今回また、同じ額の資金調達を発表した。今度のラウンドはIntel Capitalがリードし、また 同社は、OpenStackの企業向け売り込みに関してIntelとパートナーする。

Goldman Sachs、August Capital、Insight Venture Partners、Ericsson、Sapphire Ventures、およびWestSummit Capitalがラウンドに参加した。先週SECに提出された文書によると、調達額の75%が株式、残りが直接支出だ。

2010年7月にローンチしたオープンソースのクラウドオペレーティングシステムOpenStackは、Amazon Web ServicesやMicrosoft Azure、Google Cloudなどの、プロプライエタリなパブリッククラウドインフラストラクチャに代わる製品だ。OpenStackのまわりに、最初は多くのスタートアップが誕生したが、昨年からは大企業がこれらのスタートアップを拾い上げるようになった。2014年にはCiscoがMetacloudを買収し、さらに今年の6月にはPistonを買収した。IBMはBlueBoxを買収し、EMCはCloudscalingを取得した。またこのような整理統合の嵐の中で、企業向けOpenStackデプロイサービスのNebulaはこの春閉店した

買収もされず店仕舞いもしなかったMirantisは、Intelとの密接な協働という道を選び、大量の資金を導入して、OpenStackの大企業向け展開を助けている。一応同社は前進してはいるが、これからの問題は大規模なスケーリングだと思われる(後述)。Intelとのパートナーシップにより同社のハードウェア研究所にもアクセスできるようになり、またそのほかのリソースも利用できる。Mirantisの協同ファウンダで社長のAlex Freedlandによると、これらはいずれも、Mirantis単独ではできなかったことだ。

Mirantisは、OpenStackの自称‘ピュアバージョン’を提供している。Freelandによると、そこが大手のOpenStackサービス/プロダクトとの大きな違いだ。“Mirantisはオープンなプラットホームであり、門番も壁もないので、誰でもアクセスし利用できる。それが、コストを下げ機能を充実するための唯一の方法だ”、と彼は語る。

Mirantisのコンペティタは、OpenStackを売っているIBMやCisco、HP、Oracleなどの大企業ばかりではない。VMwareやMicrosoftなどの、成熟度が高く資金状態も良いエンタプライズテクノロジ企業も強敵だ。Freelandの構想では、今回得られた資金とリソース(主にIntelの)により、大企業におけるOpenStackの全面的な展開を手がけられるようになりたい、という。今のところOpenStackは、全社的というより、個々の小さなプロジェクトで実装されることが多い。

彼によると、VMwareやRed Hatも今のような成熟に達するまでに10年近くを要している。OpenStackはまだ、5年の歴史しかない。

一方のIntelにはこのところ、自分のクラウドインフラストラクチャを持ちたいという企業からの、支援のリクエストがますます増えている。Intelのクラウドプラットホーム担当VM/GM Jason Waxmanによると、Mirantisへの投資により、同社のハードウェアのユーザである顧客たちの、OpenStack開発を加速したい、と。

両社の協働により、1年後には目に見えるような成果を上げていたい、と彼らは期待している。またFreelandによると、年内にはこのコラボレーションに関連した事業拡張も行いたい、という。

これが、IntelによるMirantis買収への第一歩、と見る読者もおられると思うが、Waxmanは直ちにその考えを否定した。“買収に関心があるのなら、投資のような余計なことはしないだろう”、と彼は述べる。Mirantisを独立企業として高く評価しているからこそ、投資とパートナーシップという道を選んだのである。しかも、Intel自身がOpenStack導入支援企業になるなんて、そもそも考えられない。

1年足らずで1億ドルのラウンドを2度経験したMirantisは、新たな成長の段階を迎えている。2014年に同社は、Ericssonに対する3000万ドルという、大きなOpenStack関連の売上を計上した。そのことも、今回の投資に貢献している。

今日(米国時間8/23)発表により、同社の資金調達総額は2億2200万ドルになる。

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MirantisがCoreOSのTectonicを統合、Kubernetes管理構造を最初から持つコンテナインフラストラクチャをOpenStack上で提供へ

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OpenStackの専門企業Mirantisと、Linuxコンテナを軸とする分散化/クラスタ化OSを提供するCoreOSが今日(米国時間8/6)、両者のパートナーシップにより、前者のOpenStackディストリビューションとCoreOSのコンテナプラットホームTectonicを統合する、と発表した。これにより事実上、OpenStackとGoogleのコンテナ管理/スケジューリングツールKubernetesが統合されることになり、またそのサポートと管理を伴うプラットホームを、企業ユーザは利用できることになる。

企業の自前のクラウドプラットホームとなるOpenStackとコンテナとの相性は、はっきり言ってまだ未実証だが、OpenStack Foundationは、両者は天国で結婚した仲だと主張している。そのような見方に立てば、企業が従来からのVMと、Kubernetesなどとともにコンテナの両方を使っていくときに、OpenStackクラウドを統合エンジンと位置づけることができる。

OpenStack Foundationの事務局長Jonathan Bryceは、今日の発表声明の中でこう言っている: “OpenStackは今、VMやコンテナ、ベアメタルなどさまざまな技術分野において、オープンソースのクラウドプラットホームとして急速に普及が進んでいる。コントリビューターのCoreOSやMirantis、Googleなどがコミュニティを支援することによって、OpenStackを主軸とするまとまりの良い、オープンソースのクラウドソリューションが企業に提供され始めている”。

CoreOSのTectonicはオンプレミスとパブリッククラウドのどちらでも利用できるが、7月の後半にプレビューでローンチした。それは、KubernetesとCoreOSとDockerを組み合わせたコンテナインフラストラクチャを、商用レベルのサポートを伴うプラットホームとして提供するプロダクトだ。

CoreOSのCEO Alex Polviはこう語る: “つまりTectonicとMirantisのOpenStackを使うと、商用のコンテナ&クラウドプラットホームに最初からKubernetesのコンテナ管理構造があるわけだから、いわば企業は、Googleクラスのインフラストラクチャをその日から簡単に自分のものにできるのだ。Mirantisにはオープンソースのソフトウェアに対する深い理解があり、OpenStackを軸とする同社のオープンソースエコシステムへの貢献度の大きさは、右に並ぶものがない。だから企業がOpenStack上でKubernetesのベネフィットを体験できるためには、Mirantisとのパートナーシップがいちばん自然なのだ”。

企業がOpenStackの本格的な採用を開始するまで、数年を要しているが、しかしRed Hatで同社のIaaS(+OpenStackの商用提供)を担当しているTim Yeatonによると、今ではパイロットから本番稼働に移行する企業が徐々に増えているそうだ。

この、企業によるOpenStackの本格採用の動きと、そしてコンテナへの関心は、たまたま時期的に一致しているので、両者の合体に企業が関心を示すのも、また当然だ。OpenStackが提供するものは、クラウドと呼ばれるネット上の収容構造(いわば大きな風呂敷)だから、そこに何を入れ、何と何を統合しても、問題ない。だからOpenStackのディストリビューションであるMirantisにとって、コンテナ導入のために、自分で車輪を再発明することをせず、CoreOSのTectonicのようなコンテナプラットホームを統合するのが、つねにベストのプロダクトを求める顧客のためでもあるのだ。

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Red Hat Enterprise OpenStack PlatformのアップデートでOpenStackのデプロイを容易にするオペレータインタフェイス(ディレクター)を実装

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Red HatのEnterprise Linux OpenStack Platform 7が今日(米国時間8/5)から一般供用される。これはRed Hat Enterprise Linux ServerとOpenStackの最新リリース“Kilo”を合体したディストリビューションで、さらに、OpenStack Cloudsをインストールし管理するサービスが付随している。

Red Hatによると、このアップデートによりクラウドのオペレータは、OpenStackを使ったクラウドのデプロイと管理が、より容易になる。OpenStackのTripleIOプロジェクトをベースとする新たなOpenStack Platformディレクターによりユーザは、一つのGUI上で日々のオペレーションを管理し、またリソース配置(プロビジョニング)の最適化を図ることができる。このディレクターはさらに、オペレータによるベアメタルサーバのプロビジョンを支援し、ハードウェアリソースの必要に応じてのデプロイとリパーパス(目的変え)を容易にする。

Red HatのIaaS部門を担当しているTim Yeatonによると、こういうディレクターというものを中心に持ってくることになったのも、同社のOpenStackプロダクトがパイロット段階を終えて、最近では企業による正式採用が増えているためだ。パイロットのインフラと違って、本格採用のプロダクション環境では、新たな要求が数多く存在する。そのために、ディレクターと呼ばれる一種のオペレータダッシュボードを提供して、今後のバグフィクスや新しい機能のインストールを容易にする必要がある。これがあることによって、今後のOpenStackのアップデートも、よりシンプルに行えるようになる。

今回のアップデートでもうひとつ新しいのは、Red Hat Enterprise LinuxとIPv6とそのほかのネットワークまわりの強化、およびインクリメンタルバックアップのサポートにより、モニタリングとフェイルオーバーサービスが内蔵され、それによって高可用性のコンピューティングクラスタの作成が可能になったことだ。これらの機能もやはり、従来からエンタプライズユーザの要望が多かったものだ。

Yeatonによると、OpenStackの最近の新しい機能の多くは、OpenStackを初期から採用している通信企業のニーズに触発されたものだ。

彼曰く、“主に通信企業が求めたこれらの機能には、彼らの関心が大きく反映している。しかしそれら通信企業の利害に沿う機能も、その多くはもっと広範囲なエンタプライズによるOpenStackの採用を促進しうるものだ”。彼はその典型的な例として、最近のOpenStackのネットワーキングスタックへの注力と、ネットワーク機能の仮想化(network functions virtualization, NFV)を挙げる。いずれも今では、多くのエンタプライズがOpenStackを採用する重要な動機のひとつになっている。

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GoogleがOpenStackの公式スポンサーに、Kubernetesのデファクトスタンダード化がねらい

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GoogleがOpenStack Foundationに、このオープンソースプロジェクトのいちばん新しいスポンサー企業として参加する。今日(米国時間7/16)両者が、そのことを発表した。Googleはこれまでもさまざまなプロジェクトで、OpenStackと非公式に協力してきた。それはたとえばアプリケーションカタログMuranoやコンテナオーケストレーションサービスMagnumなどだが、これからは実際に一部の技術者をこのプロジェクトに投じていく。

それほど意外でもないが、Googleの貢献はLinuxコンテナ方面が中心となり、中でもとくに、Googleで孵化したコンテナ管理ツールKubernetesをOpenStackに統合することに注力されるだろう。

企業スポンサーとしてのGoogleはOpenStackに毎年25000ドルの支援を提供していく。OpenStackのスポンサーのプラチナランクとゴールドランクは数が限られていて、たとえばゴールドは24社までだ。OpenStackの企業スポンサーには、Alcatel-Lucent、Citrix、Comcast、Cray、GoDaddy、Fujitsu、Oracle、SAP、Nokia、そしてLinux Foundationなどが顔を揃えている。それらの中でGoogleの貢献額は(Googleにしては)小さい方だが、同社はこれまでもこのプロジェクトに深く関わってきているから、今回の‘入会’はほとんど形式的な行為にすぎない。

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GoogleのCloud PlatformのプロダクトマネージャCraig McLuckieはこう語る: “OpenStackは完全にすべてが揃った形(full stack)のプライベートIaaSクラウドを作っている強力なコミュニティだ。コンピューティングの未来を考えた場合には、クラウドネイティブな(最初からクラウドの)コンピューティングに対する企業の関心が大きくなっていることを、無視できない。しかし元々このモデルは、オペレーションを全インターネットのサイズにまでスケールしなければならないインターネット企業が開発したのだ”。つまり、Googleのような巨大インターネット企業がOpenStackを支えるのはむしろ当然、というわけだ。

また彼によると、安価なコモディティハードウェアをたくさん使ってデータセンターを構成するGoogleのやり方が、Google自身とそのほかのインターネット企業にとって、分散システムの運用負担を大幅に軽減している。…これもまた、企業がOpenStackに期待していることだ。彼曰く、“このようなアプリケーション管理のやり方が、一般企業にとっても有効であることは実証されつつある。しかし現状では、移行を阻む障害が、各企業において大きすぎる。Googleはコミュニティを支援することを通じてこのような移行を現実に新しいパラダイムにし、オープンソースの世界できわめて活発に活動してきた。たとえば次世代型のコンテナオーケストレータKubernetesも、Googleはオープンソースとして作ってきた”。

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だからGoogleのスポンサー参加は、同社のCloud Platformで近々OpenStackがサービスとして提供されることを意味してはいない(ユーザ自身がGoogleのサーバ上でOpenStackを動かすことはもちろん可能)。おそらくGoogleのねらいはむしろ、OpenStackと自社のプラットホームの両方でKubernetesをコンテナ管理のスタンダードにし、企業がオンプレミスのOpenStackクラウドから、スケールアウトのためにGoogleのパブリッククラウドに移行する場合のタスクを、完全にスムースにすることにある。

コンテナの役割はOpenStackのコミュニティでもかなり前から議論されており、最新のリリースではコンテナが正式に統合された。VMなどそのほかの新しい技術も、過去に同様の経過をたどってOpenStackに統合されてきた。OpenStackのCOO Mark Collierがバンクーバーで行われたOpenStackカンファレンスで、OpenStackは自分のことを統合化エンジンだと見ている、と言った。Collierは今日の発表声明の中でも、“OpenStackはユーザがVMのような実証済みの技術や、コンテナのような新しい技術を自由に動かせるためのプラットホームだ。Googleはコンテナおよびコンテナ管理に関する比類なき技術力で、コミュニティに貢献しようとしている。Kubernatesのような実証済みのオーケストレーションエンジンにより、コンテナのデプロイメントが大幅に加速されるだろう”、と述べている。

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PistonをCiscoが、Blue BoxをIBMが買収、OpenStack市場の整理統合が進む

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Ciscoが今朝(米国時間6/3)、プライベートクラウドとOpenStackの専門企業Piston Cloud Computingを買収した、と発表した。同社は昨年秋にはMetacloudを買収しており、このようにOpenStackのスタートアップを大企業が買収することによる市場の統合化が、始まっているように見える。

CiscoだけでなくIBMも最近、OpenStackによるプライベートクラウドサービスBlue Boxを買収している。OpenStackの支配をめぐる大企業間のタタカイが、いよいよ熾烈になってきたようだ。

OpenStackは明らかに成熟期を迎えており、成熟期を示す現象の一つとして、スタートアップたちのドミノ倒しが始まっている。そしてOracleやIBM、HP、EMC、などの大企業が、これらの企業の価値に着目して、OpenStackという成長市場の、なるべく大きな分け前を手中に収めようとしている。OpenStackの技術は人材が乏しいから、必然的に、自社で新たに部門を作るよりも、すでにあるものを買う、という選択になるのだ。

そしてCiscoやIBMなどの企業は、必要とする人材だけでなく、貴重な関連知財も入手する。

OpenStackは今年で6歳になるオープンソースのコンピューティングプラットホームで、最初はAmazonのクラウドコンピューティングサービスの急成長に対する対抗勢力として構想された。OpenStackでは、パブリックな、あるいはプライベートなクラウドを作る方法も最初からオープンであり、基本機能であるコンピュート、ストレージ、およびネットワーキングをはじめ、今日の現代的なクラウドコンピューティングプラットホームが必要とするサービスがすべて揃っている(顧客先の実装はプライベートクラウドが多いが)。また、Hadoopやコンテナなど、このところ使われる機会の多いソフトウェアパッケージを、その上で容易に動かすためのさまざまな方法も提供している。

OpenStackは最近とくに、関心と利用が広がったため、大企業の目にとまることになり、彼らもその市場に参戦してきた。大企業は複雑なプライベートクラウドを求める顧客を多く抱えているので、OpenStackのまさにオープンな技術に、開発の効率化や低費用化などの機会を見出そうとしている。そこでたとえばOracleは先月、廃業したNebulaから40名の技術者を拾い上げ、自社のOpenStack部門の増強を図った。EMCが昨秋CloudScalingをさらったのも、類似の例の一つだ。

皮肉なことに、Pistonの協同ファウンダで最初のCTOだったJoshua McKentyは、OpenStackの初期の支持者だったが、最近では“このプロジェクトは心を失った”と嘆き、隔年で行われるOpenStack Summitにも行かなくなった。彼がそう感じた理由は、プロジェクトの企業化だ。その彼が今回は、その憎むべき企業化に自ら手を貸したのだ。

Pistonのメインのプロダクトは、OpenStackのためのオペレーティングシステムCloudOSだ。それの主な利点は、サーバのクラスタ群をあたかも単一のリソースプールのように管理できることだ。Mesosphereが、そうであるように。

Blue BoxはOpenStackをベースとするマネージドクラウド(管理サービスつきのクラウド)のプロバイダで、IBMは同社のハイブリッドクラウド戦略を加速する方法の一つと見なしている。戦略というのは、IBMはいずれ、ハイブリッドクラウド市場を支配するつもりだからだ。Blue Boxの買収により、顧客はデータとアプリケーションを、複数の互いに異なるクラウド環境にまたがって、デプロイできるようになるだろう。

OpenStackプロジェクトの成長とともに、そのまわりにスタートアップたちの大きなエコシステムが形成された。しかしこれらの企業にとっては、エコシステムそのものの成長と充実が遅いため、その利用はまだあまり活発でない。

今年バンクーバーで行われた最新のOpenStack Summitでは、ComcastやWalmartのような優れた実装例が紹介されたが、でもまだ、OpenStackに関しては、小規模な試用、実験、あるいは様子見、という段階の企業が多い。OpenStackは、構造が大きくて複雑なため、実装が難しいのだ。

スタートアップから見ると、エコシステムの成長のペースは遅い。だからその反作用として、大企業への吸収も避けられないだろう。この休眠状態に耐えられるのは、OpenStackがメインの収益源ではない企業だけだ(たとえばOpenStack以外で稼いでいるストレージやネットワーキングの企業)。そのほかの、OpenStackをメインでやってきた企業、たとえばMirantisなどは、市場が十分成熟するまで持ちこたえることができず、今にも買収されそうな瀬戸際に立っている。

CiscoやIBMのような大企業は、この、実装〜実採用のペースの遅さから漁夫の利を得ようとしている。停滞している企業をさっさと買い上げて、自分たちのOpenStackショップを作るのだ。しかしそうやってビッグネームがOpenStackづいてくれば、小さなスタートアップしかいなかった時代に比べて、採用のペースが大きく上がることも期待される。

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OpenStackはコンテナを温かい抱擁で迎え入れる

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このところ急成長しているコンテナへの関心が、OpenStackにとって脅威とも別の選択肢とも取られることがある。OpenStackは2010年にRackSpaceとNASAが作った、クラウドコンピューティングのためのオープンソースのインフラストラクチャだが、コンテナとそれを管理するMesosphereやKubernetesなどとの組み合わせは自分で自分のインフラストラクチャを管理できるから、OpenStackというレイヤは要らない、とする説だ。

しかし、OpenStackのコミュニティからのメッセージは、違う。今週バンクーバーで行われているOpenStack Summitでは、実はむしろ、コンテナがホットな話題だ。OpenStack FoundationのCOO Mark Collierが今日(米国時間5/19)行ったキーノートでも、コンテナに長時間が割かれた。

彼のメッセージの中心的なポイントは、OpenStackを統合化エンジンとして考えよ、というものだ。数年前にはプロジェクトをさまざまなハイパーバイザと統合して仮想マシンを管理していったように、今およびこれからはコンテナと、GoogleのKubernetesのようなコンテナ管理プラットホームを、OpenStackとそのプロジェクトに統合していくだろう。

“コミュニティとして重要なのは、OpenStackを、何でも受け入れる統合化エンジン、と考えることだ”、とCollierは言う。“それによってユーザを、成功に向かう正しい位置につけることができる。ストレージでもネットワーキングでも、OpenStack自身が車輪を再発明することはなかったが、コンテナに関してもそれは同じだ”。

この点を強調するためにCollierはGoogleのクラウドソリューションアーキテクトSandeep Parikhをキーノートのステージ上に招き、Kubernetesが一つの分散アプリケーションをOpenStackのクラウドとGoogleのクラウドインフラストラクチャの両方で動かす様子とそのやり方をデモした。

またOpenStack Foundationが最近ローンチした’Magnum’プロジェクトは、コンテナをプロジェクトにより深く統合する際に必要となる実装技術の面倒を見てくれる。OpenStackのコンピュートプラットホームNovaも、かなり前から一定のコンテナサポートを提供している。

結局のところ、OpenStackはデベロッパたちに、彼らが自分のワークロードを管理するための単一のAPIを提供しなければならない、ということなのだ。その管理の対象は、コンテナの上で動くものもあれば、仮想マシン上もあり、両者の併用もある。どちらかを排除するいわれはない。

OpenStackのベンダたちも、これと同じことを言っている。OpenStackという一つの技術があるからといって、それが何から何まですべてを提供しなければならない理由はない。OpenStackにコンテナを統合すれば、デベロッパはコンテナのアドバンテージとOpenStackのインフラストラクチャサービス(セキュリティ、認証、ネットワーキングなどなど)を組み合わせて利用できるのだ。

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CanonicalがCephやOpenStack Swiftと組んでソフトウェア定義ストレージAdvantage Storageをローンチ

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Canonicalは今でもLinuxのディストリビューションUbuntuで有名だが、しかし最近の同社は、OpenStackを中心とする企業向け有料サービスで稼ごうとしている。カナダのバンクーバーで行われたOpenStack Summitで、CanonicalのファウンダMark Shuttleworthが、同社の最新のプロダクトUbuntu Advantage Storageを披露した。

Canonicalはこのサービスを、”ソフトウェア定義のストレージサポートサービス”と呼ぶ。企業が自分用のストレージサービスをコモディティハードウェアのクラスタ上にデプロイし、そのサポートサービスをCanonicalが提供する(デフォルトではLevel 1)。そのために同社は、ソフトウェア定義ストレージに関する既存のサービスCephやストレージモジュールOpenStack Swift、NexentaEdge、それにSwiftのベースであるSwiftStackなどとパートナーする。

Advantage Storageが既存の企業向けストレージサービスと異なるのは、ストレージの物理的容量ではなく、企業が実際に使っている容量に基づいて課金されることだ。レプリカやリダンダンシーやバックアップに関しては、課金されない。Shuttleworthは今日(米国時間5/18)のOpenStack Summitで、“オンプレミスのOpenStackの料金をパブリッククラウド並にしたい”、と語った。

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Canonicalのファウンダ(趣味は宇宙飛行)Mark Shuttleworth。

CanonicalにはOpenStackクラウドの設営サービスBootStackがあり、今回のストレージサービスの料金は、ユーザ企業がすでに独自にクラウドをデプロイしているか、それとも新規にCanonicalに発注するかで、異なる。

また売上は、このサービスの基盤となっているCephやSwiftなどと分有する。

“弊社は世界最大のオープンストレージクラスタのサポートを提供しており、そしてこれからは、その提供物を顧客の実際の使用に基づいて課金することにより、新規顧客が利用を開始しやすいようにする”、とShuttleworthは述べる。“管理と統合を完全に自動化することによって、小さなクラスタの場合ですら、最初の日から第一級のユーザ体験をご提供できる”、という。

ついでにShuttleworthは、Canonicalのハイパーバイザ製品LXDについて簡単に触れた。彼はこのプロダクトを“lightervisor”(軽量ハイパーバイザ)と呼び、同社による最近のベンチマークではLinuxのKVMのハーパーバイザよりも大幅に高性能だった、という。具体的には、新しいインスタンスのローンチがKVMよりも94%速く(約2倍)、レイテンシは57%少なかった。

彼はまた、LXDをDockerのようなコンテナ技術と比較する報道が多いが、両者は完全に併用可能である、と述べた。LXDは仮想マシン技術であり、Dockerのようなプロセスコンテナではないからだ。

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OpenStackは市場の整理統合がさらに進行、初期の選手Nebulaが引退へ

OpenStackのインストールを単純化してくれるサービスNebulaが、昨日(米国時間4/1)閉店した。

サービス閉鎖の発表が2015年4月1日だったが、しかしそれは、エイプリルフールのジョークではなかった。

たいへん心苦しいことですが、本日、2015年4月1日に、Nebulaがオペレーションを停止することを発表いたします。

これは私たちにとってつらい発表ですが、顧客や株主や社員のみなさまには、あらゆる選択肢を検討した結果、万策尽きたことをご報告申し上げなければなりません。

同社の将来性は大きかった。これまで3850万ドルのベンチャー資金を調達し、2014年4月13日には350万ドルの融資を獲得していた。協同ファウンダには元NASAのCTO Chris Kempもいたが、彼は2013年に同社を去り、今ではOpenStack Foundationの取締役の一人だ。

OpenStackのエコシステムで使われているデータベースTesoraのCEO Ken Ruggは、この発表が今進行中のOpenStack世界の整理統合の一環だ、と言う。

Ruggはこう説明する: “MetacloudCloudScalingは、どちらもすでに買収された。池に大きな魚が入ってきたので、今でも残っている小さな“OpenStack専門/汎用企業”はますます競合が難しくなっている。Red HatやHP、IBM、Oracle EMC、VMwareなどが全員、自分たちのディストリビューションに巨額の投資をしているから、Nebulaのような企業は対抗できない”。

Ruggによれば、Nebulaは市場参入が早すぎて、OpenStackはまだ成熟に達していなかった。同社のようなサードパーティサービスが提供する、より容易なインストールを求める顧客も、まだ十分に多くなかった。アーリーアダプターたちは自分で自分の手を汚すことを厭わないが、しかし市場の成熟とともに、第二波のユーザがやってくる。彼らは、もっとシンプルなやり方を求める。アプライアンス的なサードパーティサービスは、OpenStackを使うための、もっとすっきりとした方法を提供する。Nebulaがまさにそうだったが、まだ市場がそこまで成熟していなかった。

Ruggは説明を続ける、“アプライアンスとしてのソフトウェアソリューションの提供は、市場がもっと成熟していて、それを使うソフトウェアと人間への大きな需要がすでにある、という状態でなければだめだ。つまりそれは、十分な技術力がなくて“プラグ&プレイ”を求める、中〜後期市場の多数派に売れるものだ。データウェアハウスアプライアンスのNetezzaが登場したときは、人びとがすでにデータウェアハウスの必要性を認識していて、上品質でしかも使いやすい実装を探し求めていた。OpenStackはまだ、アーリーアダプターの段階だ”。

そしてNebulaは、市場参入が早すぎたことの高い代価を払ったのだろう。今のような市場の変動期には、小粒な選手たちにとって、生き残り策を見つけることがとても難しいのだ。

情報開示: ぼくはTesoraのブログを担当して給料をもらっていた。

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OpenStackは成熟期に特有の諸課題に直面

今急速に成長しているオープンソースのクラウドコンピューティングプラットホームOpenStackは、今や200あまりの企業が支えていて、その、ほぼ各年行われるカンファレンスが今年はパリで開催された。今回の来場者は4500名を超えて、これまでで最大のイベントになった。それは、このプラットホームへの関心が大きいことを示しているが、しかし同時にこのプロジェクトは、人気の拡大とともに新しい課題も抱えるようになった。

今日のキーノートでは、何人かのスピーカーが、今の6か月のリリースサイクルは、大企業にとっては追随するのがたいへんすぎる、と述べた。たとえばBMWのデータセンターのStefan Lenzは、“しかも、どのリリースでも重要な変更が多すぎる”、という。彼曰く、“今後はもっと安定してほしいが、現状で使えないということではない”。BMWはOpenStackのクラスタを100ぐらいしか動かしていないが、Lenzによればそれは、半分ぐらいが業務向けで、多くはOpenStackまわりの開発専用に使われている。

今朝のキーノートでは、そのほか数名のスピーカーが同様の不満を述べた。またOpenStackのCOO Mark Collierと常務取締役のJonathan Bryceはキーノート後の記者会見で、その問題には自分たちも気づいている、と述べた。しかし、このプロジェクトを構成するモジュールの多くが成熟期に達している今では、毎回のアップグレードを律儀にインストールしなくてもよい、というユーザがほとんどだ。Collierは、あらゆるオプションをユーザにとってオープンにしておきたいが、次回のリリースは既存ユーザがアップデートをもっと容易にできるための仕組みを導入している、と述べた。

もうひとつの問題はOpenStackのセットアップと日常の運用が、当初の難しさを引きずっていることだ。だから企業ユーザの多くが、OpenStackクラウドの立ち上げを、専門知識技能のあるサードパーティのベンダにお願いしている。しかし、今後のユーザ増加策として重要なのは、それを誰でもできるようにすることだ。

メインイベントと並行して、OpenStackのコントリビュータたちは、”Design Summit”と名づけた会を開いて、今後のリリースの優先事項を検討した。それはOpenStackの各モジュールの担当者が自分たちのロードマップを設定するだけでなく、今年はとくに、モジュール間の調整にも力が注がれた。各モジュールに導入する新機能だけではなく、プロジェクトが成熟期に来ている今では、モジュール間の調整の重要性が増しているのだ。

成熟の兆候として挙げられるのが、OpenStackのエコシステムにおけるベンダ数の増加だ。UbuntuSUSERedHatなどのLinuxディストリビューションがあり、OpenStackクラウドのための仮想ネットワークインフラストラクチャ専門のPLUMgridもいる。だから、投資家たちの視線もベンダたちに集中する。たとえばSwiftStackは先月、シリーズBで1600万ドルのラウンドを発表しMirantisは1億ドルを獲得など、資金調達の発表が最近はとても多い。それに今では、OpenStack関連の買収もある…たとえばCiscoは9月に、Metacloudに飛びついた

以上のように、今ではいろんなことがOpenStackプロジェクトの成熟を示している。最初にRackSpaceとNASAがこのプロジェクトを産んでからその後長年、比較的目立たない存在だったが、最近の2年間で技術の改良と、外部への積極的な情報提供が行われた。参加企業が増えて成熟した今でもしかし、現段階で求められている安定性の実現のために、イノベーションの歩みを鈍らせることは許されないのだ。

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OpenStackのストレージプラットホームSwiftによるオブジェクトストレージサービスSwiftStackが$16Mを調達

オープンソースのOpenStackプラットホームの採用がこのところ増加するに伴って、このプラットホームを軸とするエコシステムも成長している。たとえばストレージの分野では、OpenStackのオブジェクトストレージプラットホームSwiftをベースとするオブジェクトストレージサービスを、SwiftStackが提供している。

今日(米国時間10/27)SwiftStackは、B2B専門のVC OpenView Venture Partnersが率いるラウンドにより、シリーズBで1600万ドルを調達した、と発表した。このラウンドには同社のこれまでの投資家Mayfield FundとStorm VenturesとUMC Capitalも参加した。昨年のシリーズAによる610万ドルおよびその前のシード資金を合わせると、同社の総資金額は2360万ドルになる。同社によると、マーケティングや営業のスタッフがほとんどいないにも関わらず、同社の売上は過去1年で4倍に増加した。

OpenStackのSwiftプロジェクトに最大の貢献をしているのが、SwiftStackだ。同社は今回の資金を“企業向けのストレージサービスのスケールアップを手頃なお値段で簡単に提供できるために”使いたい、と言っている。またマーケティングや顧客のエンゲージメント事業にも力を入れたい、と。

Swiftを使うと既存のストレージの再利用ができるし、それだけでなく、安価なコモディティハードウェアを使った社内ストレージシステムとクラウド(パブリックとプライベート)ストレージ併用してデータを保存できる。そのためにSwiftおよびSwiftStackのControllerは、巨大なストレージクラスタの運用を支えるプロビジョニングとレプリケーションとフェイルオーバーとモニタリングなどなどのタスクを、総合的に面倒見る。

SwiftStackもオープンソースなので、顧客に付加的サービスや、Swiftをより使いやすくするためのプロダクトを容易に提供できる。その例が、SwiftStack Management ServiceSwiftStack Controllerだ。SwiftStackは、HPやDisney、Time Warner Cableなども利用している。

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エンタプライズOpenStackのリーダーの座をねらうMirantisが$100Mの巨額を獲得

Mirantisは数年前に、当時まだ無名だったOpenStackに乗り、その後は、各年ごとに高くなるその人気の波に乗ってきた。そして今日(米国時間10/20)同社はシリーズBで1億ドルの資金を調達し、エンタプライズOpenStackのリーダーの地位を目指す旅を、これからも続けて行くことになった。それは、同社の今後の前進のための、十分な額と言えるだろう。

1億ドルはどんな企業にとっても大きいが、同社はしかもオープンソースの企業であり、それまでの二回のラウンドで計2000万ドルしか調達していない。今回のラウンドを仕切ったのはInsight Venture Partners、これにAugust Capitalおよび既存の投資家Intel Capital、WestSummit Capital、Ericsson、SAPが参加した。Insight Venture Partnersの専務Alex Crissesが、Mirantisの取締役会に加わる。

OpenStackは、IaaSを展開するためのオープンソースのプラットホームだ。4年前にRackspaceとNASAの合同プロジェクトとして始まり、IaaSのプロプライエタリな商用プロバイダAmazon Web ServicesやMicrosoft Azure、Google Cloudなどに対するチェック役のオープンソースプロジェクトとしてスタートした。その後順調に成長して、コミュニティとリッチなエコシステムと活気あるサプライヤーネットワークが形成された。後者にはエンタプライズソフトウェアにおける超大手たちも加わっている。

Mirantis自身は言わないが、同社はEnterprise LinuxにおけるRed Hatと同じようなリーダー的な位置を、OpenStackの世界でねらっているようだ。言い換えるとそれは、OpenStackの企業向けの顔だ。しかしエンタプライズOpenStackはHP、IBM、Cisco、それに、そう、Red Hatなどが大きなパイの分け前をねらっている市場だから、それらに伍していくためには大きな資金が必要だ。たとえば2週間前にRed Hatは、クライアント/サーバから、OpenStackをベースとするクラウドコンピューティングに軸足を移す、と発表した

しかしCEOのAdrian Ionelは競争にひるんでいない。むしろ彼は、OpenStackの世界における自社の優位性を固く信じているように見える。彼によると、OpenStackのルーツを継承して真のオープンソースを提供しているのはMirantisだけである、と。しかも彼によると同社は、OpenStackの実装と運用に関してHPやRed HatやCiscoのチームを指導している立場である。“彼らが好打者だとは思わないが、体がでかいことは確かだね”、と彼は皮肉っぽく言っている。

Ionelは、Mirantisが唯一の本物のOpenStackベンダだ、と自負している。同社よりもさらに本物があるとすれば、オープンソースのソースコード本体、それだけだ、と彼は言う。そして彼によると、多くの顧客は特定のベンダの特定のアーキテクチャに閉じ込められることよりも、ピュアな実装を望んでいる。大手ベンダを選べば、必ずプロプライエタリなものがくっついてくる、と彼は警告する。

Ionelによると、同社は大きな展開で実際にテストされた唯一のOpenStack実装系であり、136社の顧客の中にはWells FargoやOrange、DirectTV、Ericssonなどの有名企業もいる。EficssonはMirantisに投資もしている。彼によると、今回の大きな資金が得られたのは、投資家たちも同社の今後の長寿を信じているからだ。“うちもいずれ、VMwareぐらいのサイズの会社になるだろうね”、と彼は言っている。昨年の月商は100万ドルだったが、今では週の売上が100万だ。つまり、文字通りの急成長である。投資家たちが飛びつくのも、当然かもしれない。2016年にはIPOを検討したい、とも言っている。

そもそもMirantisは、やったことのすべてをオープンソースとしてOpenStackプロジェクトへ還元しているし、またOpenStack本体のアップデート等に100名あまりの技術者を提供している。今社員数が600名で、420名が技術者だから、その中の100名提供は、すごい。

そしてもちろん、今回得た1億ドルは人員増にも使われる。Ionelは、もし資金が得られなかったとしても、エンタプライズOpenStackのリーダーを目指す道を進むことは変わらない、と言っている。お金は、あるにこしたことはないが。

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EucalyptusのCEOの突然のOpenStackへの改宗はHPによる買収が下地だった

先月、長年OpenStackを批判していたEucalyptus *のCEO Mårten Mickosが突然心変わりした。昨日(米国時間9/11)は、彼の会社がHPに買収された。HPは、今年OpenStackで大きく稼ごうとしている企業だ。〔*: Eucalyptus, プライベートクラウドのためのIaaSでAWSのAPIを多用。〕

MickosがOpenStackに対して急に前向きになったのは、まさに、それがあったからだ、としか思えない。

彼は自分の会社のWebサイトのブログで、その心変わりを説明している。彼は、OpenStackと競合することでむしろOpenStackに貢献してきた、とジョークを言っている(初期には実際にOpenStackにコードを貢献している)。しかしMickosは、この爆弾投下(買収発表)の前に、来週シリコンバレーで行われるOpenStackのイベントでキーノートを担当する、と発表した。競合どころか今の彼は、OpenStackプロジェクトに真剣に寄与貢献しようとしているのだ。

Mickosはブログの記事にこう書いている: “私から見てOpenStackは何でもありのクラウドプロジェクトで、大小さまざまなベンダがそれを独自に複雑高度にカスタマイズしたパッケージを作って、展開していくものだ。それらは、〔Eucalyptusのように〕AWSとの互換性が必須要件となるような展開ではない”。

MickosがOpenStackに関して心変わりしたときSteven J Vaughan-Nicholsは自分のブログに、EucalyptusとOpenStackの併存は犬と猫が同じ部屋にいるようなものと書き、長年のオープンソース評論家である彼Vaughan-Nicholsは、Mickosの発言に“ぶったまげた”と言っている。Mickosの会社EucalyptusはOpenStackの宿敵AWSとベッドを共にしている。そんな両者が共存できるわけがない。でもMickosは、共存の道を見つけようとしているのだ。

IaaSとしてのOpenStackはいわば、Amazon Web ServicesやGoogle Cloud、Microsoft Azureなど、パブリッククラウドの強力な商用プロバイダたちの、オープンソース版だ。これらの商用サービスは、細部まで透明というわけにはいかないので、ユーザによってはそのことが問題になる。4年前にRackspaceとNASAが共同して、成長著しい大手パブリッククラウドプロバイダたち(中でもとくにAWS)に対するチェック機能としてOpenStackプロジェクトに着手した。それは完全にオープンソースなので、ITの人たちやデベロッパはコードベースに直接アクセスして、必要なカスタマイズを行える。それは、商用システムではできないことだ。

Mickosの会社はそうではなく、パブリックやプライベートなクラウドからAWSのクラウドへのブリッジを作った。しかし、彼自身資金力はあったが、市場はOpenStackをも含むさまざまな競合勢力に席巻されつつあった。

一方、今年になってHPはOpenStackに転向し、同社のこれまでのCloud OSに代わってHP HelionとOpenStackを主軸に据えることになった。しかもおもしろいことに、Helionへの移行と共にAWS APIのサポートをやめた

というわけで、知らない間に両社(HP, Eucalyptus)は、最初は互いに別の方向を向いてクラウドに取り組んでいたにもかかわらず、今ではOpenStackという共通項で結ばれようとしているのだ。

買収の話はかなり前から進んでいたはずだから、Mickosが突然OpenStackへの改宗を発表したときには、買収をめぐってHPとの会話を重ねていた、と見るのが自然だろう。

いずれにしてもHPはついに買収を決定し、Mickosを同社のクラウド事業部担当のSVPに任命することにした。つまりこれからは、MickosがHPのクラウド戦略の鍵を握る人物になる。HPのクラウドビジネスの今後の吉凶を、彼の手腕が決めるのだ。

企業世界で人気を高めつつあるOpenStackも、相当高度な専門知識および技能がないと実用化できないことが、難点と言われている。そこで先週HPは、OpenStackの実装を楽にしてくれる一連のサービスを発表したが、モバイル開発プラットホームKinveyのCEO Sravish Sridharの説では、HPは今回の買収を活用してOpenStackの実装を単純化するための総合的なシステム(ソフトウェアによるアプライアンス)を作ることもありえる。

“Eucalyptusを買収したことによってHPは、展開と管理の容易なクラウドアプライアンスを作れるプロダクト指向のチームを入手した。それは、OpenStackソフトウェアの弱点と言われていた部分だ”。

OpenStackによるクラウドの構築と展開と管理の面倒を見るサービスでHPは、VMwareやIBM、Red Hatなどなどと競合する。RedHatは最近、OpenStackのテストを容易にできるためのソフトウェアアプライアンスを発表した。たぶん同社はこれを皮切りに、OpenStackとそのまわりの実装を容易化するアプライアンスを次々と出していくつもりだろう。

この買収が表面的には奇妙な仲と見えても、HPの市場奪取努力としてはむしろ、きわめて分かりやすいし、これからも同社は、より魅力的なクラウド製品を提供することによって、競争の激しい市場で優位に立とうとするだろう。

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OpenStackをAPIレベルでAWS互換にせよ, という切実なる公開書簡

CloudscalingのCTO Randy Biasが今日(米国時間7/24)、OpenStackに宛てた公開書簡を書いた。その中で彼は、オープンなクラウドを目指す各種の取り組みは、Amazon Web Services(AWS)のデファクトスタンダード性を素直に認めて、それと互換性のあるAPIを整備しなければ勝利できない、と述べている。

彼は、AWSは事実上のリーダーだ、と主張する。だから正しい対応は: OpenStackは独自のAPIを作って自己を差別化する努力をやめて、AWSがパブリッククラウドにおける勝者であるという現実を受け入れることだ。そうすればOpenStackは、AWS的なパブリッククラウドと現代的なデータセンターが交わる“ハイブリッドな”クラウドの分野で勝てる。OpenStackが伸びる場所は、そこだ。その顧客は、それなりの伸縮自在性を持つクラウドオペレーティングシステムを必要とするが、何万何十万もの一般ユーザにサービスを提供する必要はない企業ユーザだ。

とりわけBiasは、OpenStackを使う場合の、スタンダードとなるAPIを作ることを、Rackspaceに呼びかけている。彼は、OpenStackがこれまでRackspaceのオープンクラウド寄りのAPIを作ってきた経緯を、詳しく述べている。Biasによれば、RackspacはOpenStackのAPIを自分のために作ってきた*。同社はOpenStackを利用して、自己のサービスを差別化しようとしてきた。〔*: RackspaceはOpenStackの最有力の創設メンバーの一人。〕

たしかに、それは事実だ。明らかにRackspaceは、OpenStackという公共的な性格の団体を作るという機に乗じて、自分自身をより大きくしようとした。当時の同社は、クラウドの今後の方向性について模索し迷っていた。同社は、ホスティング企業からソフトウェアデベロッパへという、重要な曲がり角にさしかかっていた。そのことを、Rackspace自身も理解していたのか? 理解していたと思う。同社はOpenSackのリーダー役を買って出ることによって、それをコントロールしようとし、自社のクラウドとそのAPIをOpenStackの“ネイティブの”APIと呼ばせようとした。

しかしRackspaceには、世界初の大規模で本格的なオープンクラウド運動の口火を切った、という功績がある。今ではそこに、250社あまりが参加し、何千ものデベロッパが120万行を超えるコードを書いている。IBMもRed HatもHPも、みなOpenStackに加わった。そしてBiasはCloudscalingの新しい市場を開拓でき、そこに対し、クラウドインフラを構築するためのシステムサービスを提供していった。

しかし、ここにきてBiasがAWSを持ち上げるのには、理由がある。それは、彼自身の利害だ。彼の会社はAWSとGoogle Compute Engineを重視している。だからAWSとOpenStackが重なるようなAPIがあれば、彼の若い会社の大きな助けになる。こういった問題に関しては、クラウドコメンテーターのBen Kepesが良い記事を書いているので、一読をおすすめしたい。

それは、奇妙な状況でもある。OpenStackに参加している企業は、強きも弱きも、大きな市場圧力にさらされている。そしてそのプレッシャーを増幅しているのがAWSと、その疑問の余地なきイノベーションだ。OpenStackの創設から今日までの3年間で、AWSはクラウド宇宙を支配してしまった。

しかし、HP、IBM、Red Hat、AT&Tなどなど多くの企業は、AWSをそう簡単にパブリッククラウドのデファクトスタンダードとして受け入れるわけにはいかない、それぞれの事情を抱えている。彼らは、AWSに勝たせたくない。彼らから見ると、Amazonの、自分がコントロールを握ろうとするときのやり方は、あまりにも苛烈で非情だ。そのAPIはクローズドだし、いつでも勝手に変えることができる。独自の理由で、一部のサービスを一方的に切り詰めることすらありえる。

だから、Rackspaceがこれまで我が道を行くでやってきたように、誰もがそうしてきたのだ。

Biasは、OpenStackの将来性に疑問を投げかけている。最終的にそれは、誰の役に立つものになるのか、と。この、AWSのAPIとの互換性、という問題について、RedMonkのアナリストDonnie Berkholzに話を聞いてみた。彼は、結局それは将来性の問題だ、と言った。APIのプロバイダには、それを将来にわたってメンテする義務がある。そのAPIは、今後もずっと動くもの、使えるものでなければならない。その点に関しては、Amazonには疑念の余地がない。しかしOpenStackは、大きなクェスチョンマークだ。OpenStackには今すでに変種が相当多くて、統合を難しくしている。たとえば、Dreamhostはストレージに(分散並列ストレージ)Cephを使い、RackspaceはSwiftを使っている。Dellは、自社製を使っている。

OpenStackは、こういった複雑性を解消すべきである。しかし参加企業が多くてそれぞれが独自の利害を抱えているから、その課題は、言うは易く行うは難しの典型となる。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))