DropboxがオンラインドキュメントサービスPaperにテンプレートを導入

Dropboxは、現在市場に出回るコラボレーションツールよりも、よりシンプルなものを提供することで、さらに大規模なビジネスに訴求しようとしている。同社はこの目的に迫るために、オンラインドキュメントツールPaperに、さらに便利な機能を追加した。

Dropboxの発表によれば、Dropbox Paperのために用意された新しいツールによって、ユーザーはテンプレートを使ったドキュメント作成を行うことが可能になった。Google Docsのようなオンラインドキュメントツールを作成しようとしている企業にとって、これは当たり前の仕掛けのように見えるかもしれないが、Paperのコアユースケースがどのように見えるべきかを検討するためには、実際の導入の前に慎重な検討とユーザーリサーチが行われた筈だ。Dropboxは利用者がプロダクトに親しみを感じるようになって欲しいと願っているため、より堅牢なツールの構築は、この新規公開企業にとっての大きな課題である。

このテンプレートツールは、他のツールでも見られるものとほぼ同様に動作する:Dropbox Paperのページを開くと、沢山のテンプレートからドキュメントを作成するオプションが提示される。Dropbox Paperの一般的な利用法としては、製品開発タイムラインやデザインスペックへの継続的な利用などがある、しかし同社はそうした利用法を、ドキュメントプレビューなどの新しい機能の統合を続けて、拡大していこうとしているようだ。Dropbox Paperは白紙の状態から始まったが、世の中にある沢山の類似製品を前にして、最終的には自分自身を差別化する手段を探し出さなければならない。

同社は、他にもいくつかの小さな機能を展開することを公表している。例えば、文書をピン止めしたり、プレゼンテーションを開始したり、テキストに書式設定したり、他の文書やステッカーを挿入したりする機能だ。Paperのコメントセクションには、新しい会議ウィジェットと書式オプションが追加された。さらには、最近利用したPaperドキュメントをアルファベット順に表示したり、iOS上でコメント通知を解除したりドキュメントのアーカイブを行ったり、ドキュメント間でToDoリストを集約したりするなど、数多くのささやかな便利機能アップデートを追加している。

Dropboxは今年の初めの上場を劇的に成功させ、望んでいた注目を集めたあと、2012年の最初の大ヒットIPOの1つとして、多かれ少なかれその勢いを維持してきた。そしてDocuSignなどがその波に続こうとしている。新規IPOに対する投資家の需要への窓が開かれたように見える中で、複数の企業たちがドアを出ようとしているのだ。

どうやらPaperはDropboxの思い描くパズルの重要なピースのようだ。同社は、消費者向け会社としてのルーツから出発して、シンプルなコラボレーションツールを中心とした会社を常に目指してきた。これは徐々に大きな企業に食い込もうと考える企業が(Slackなども同様だが)取ってきたアプローチである。そのシンプルなアプローチのおかげで、ユーザーたちを引きつけることはできたが、企業向けの取引はより利潤の高いものであり、Dropboxに対してより強力なビジネスを提供してくれるだろう。

Dropboxは、Google Docsや他のツールとの差別化を図り続けるだけでなく、オンラインドキュメントツールの中核的なユースケースを追求するスタートアップたちとも差別化を図らなければならない。例えば、Sliteは、組織内のwikiとGoogle Docsのようなオンライン文書システムによるノート作成機能を取り込もうとしている。このスタートアップは今月初めに440万ドルを調達した。また、ドキュメントの見え方そのものを完全に再考しようとするスタートアップCodaもあり、こちらは6000万ドルを調達した 。こうした中で、テンプレートは、ユーザーの手間を減らしシンプルなドキュメントツールのように感じさせ、大企業の注意を自社の製品に引きつけるための手段の1つである。

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(翻訳:sako)

DropboxのコラボレーションツールPaperがドキュメントのプレビュー機能などを加えてアップデート

大企業を相手に一挙に大量のユーザーを獲得したいDropboxは、そのためにプロダクトのチューンナップを続けている。今日(米国時間8/30)のアップデートではコラボレーションツールPaperに、ドキュメントをプレビューしてからロードする機能などを加えた。

シリコンバレーでデザイナーに話を聞くと、みんなPaperの使いやすさをほめる。プロダクトをデザインし構築する過程を、ネット上の呼吸する生き物のような、情報の流れにしてくれるからだ。この製品のユーザーをだいじにすべきだ、と気づき始めたDropboxは、ユーザーの要望に応えて、徐々徐々にプロダクトのアップデートをするようになった。

今日のアップデートをまとめるとこうなる: (1)モバイルデバイス上にフォルダーを作ってPaperのドキュメントを移動〜保存できる。(2)スマートフォン上でPaperのドキュメントを削除したりアーカイブできる。(3)Paperのドキュメントを開く前にプレビューできる。いずれもささやかなアップデートのようだが、Dropboxはかねてからプロダクトの単純性を頑固に守り、機能満載にはしない主義だから、これだけでもすごいことなのだ。

デベロッパー向けには、彼らのアプリケーションの中でPaperドキュメントの作成編集ができる、という機能、すなわちAPIが提供される。いわばDropboxの外で、Dropboxの機能を使えるようになるのだ。また、アプリケーションがそれらのドキュメントを操作しなければならない場合には、このやり方のほうがずっと便利だ。

このようなコラボレーションツールないしコラボレーションの機能は、そのほかの大型製品にもかねてからあるが、Dropboxのねらいは、多くのユーザーの多様なニーズにいちいち対応して複雑怪奇な製品になってしまうことではなく、むしろ、汎用的で抽象レベルの高い製品を維持するところにある。

いよいよ機が熟したと言われている同社のIPOを成功させるためにも、それは重要なことだ。その際、投資家たちは必然的に、同社をBoxやMicrosoftのような企業と比較すると思われるが、消費者製品を起源とするDropboxが彼らに訴求していくためには、Boxなどにはない独自の姿勢が必要なのだ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

この新しい折り紙アルゴリズムならどんなものでも折れる

折り鶴を千羽折ったら、どんな願いでも叶う、と言われている。学生のころ、一度やってみたが、目が赤く充血した。しかしMITから発表されたペーパーは、たとえばたった一枚の紙から千羽の折り紙を作る方法を記述している。折り紙を実現するアルゴリズムを見つけたため、そんなことも可能になったのだ。

計算機に折り紙をやらせることは、コンピューターサイエンスの長年の難問だった。2008年には、Tomohiro Tachi(舘知宏)が、主に長い巻紙のような紙の上に折りのパターンを作り出す、世界で初めてのソフトウェアを考案した。しかし今度のMITのアルゴリズムはふつうの大きな紙を使い、折りが多くて接合部の少ない、“水が漏れにくい”折り紙パターンを作る。

研究者の一人Erik Demaineは語る: “このアルゴリズムの方が、折り方が実践的でずっと良いと思う。実はまだ、折り紙を完全に数学的に定量化できたわけではないが、やってみてこっちの方が良いことは確かなんだ。でも、前の方法とは完全に違う数学的特性がひとつある。われわれの方法では、作ろうとする面の境界として元の紙の境界をキープしている。そのことをぼくらは、水が漏れない(watertightness)と呼んでいる”。

折り紙ソフトがこのアルゴリズムを使うと、何でも折れることになる。紙が十分に大きければ、一枚の紙でシンプルな折り鶴を1000羽折ることもできるだろう。

“多面体を細い紐で巻くような方法は、‘いかさま’と呼ばれていたし、うまくいくはずがない、とも言われていた”、と数学のJoseph O’Rourke教授は語る。“この新しいアルゴリズムは折りを作り出せることが保証されているし、多面体のどの面もシームレスな小面でおおわれているから、いかさまではない。そして紙の境界が多面体の面の集合の境界と同じだから、“水漏れしない”。また、折りを実現するために必要な余計な部分は全部中に隠れているから、外からは見えない”。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

Wacomの手描きメモ帳アプリBamboo PaperがAndroid、Windows 8、Kindle Fireにも対応

お絵描きタブレットやデジタイザなどのハードウェアを作っているWacomが、自分たちで作ったメモ帳アプリの可利用域を、これまでのiPadオンリーからAndroidとWindows 8とAmazonのKindle Fireタブレットにまで拡張した。このメモ帳アプリは手描きの文字や絵で入力でき、Wacomのタブレット用スタイラスBambooシリーズや、Intros Creative Stylus、およびそのほかのメーカーの汎用デバイスで利用できる。

Wacomがメモ帳アプリというソフトウェア分野に進出したのは昨年だが、このプロジェクトではWacom Ink Layer Languageというものを使って、ユーザが複数のデバイスやプラットホームの上で作品の共有と編集ができる。またSurface Pro 3用に特製した手描きメモ帳アプリは、クラウド上の手描き入力サービスOneNoteと共に使用する。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


FiftyThree製のPencilがiOS 8向けアップデートで”面圧”に対応、自由な描画が可能に

Pencilは、アプリのメーカーからハードウェアの製造に転向したFiftyThree作のiPad用スタイラスだが、このほどアップデートし、Paperアプリで描く線の性質を、iPadの面に対するペン先の角度を変えることによって、変えられるようにした。ただしこのアップデートはiOS 8が対象で、OSのこのバージョンからタッチのサイズを変えられるようになったことを利用する。iOS 8ではアプリのデベロッパが、ここはピンポイントのタッチ、ここはかなり広い範囲のタッチに対応、というようにタッチの広がりを変えられるのだ。

そもそもPencilは、最初からそれを前提として作られたような製品だ(もちろん守秘性の強いAppleが未来のiOSについてFiftyThreeにだけ秘密を教えたはずはないが)。Pencilのペン先は一種のコンデンサになっていて、それが人間ユーザのタッチ圧を感取する。そのほかのスタイラスはどれも、ただ一点で人間ユーザの圧力を感知するだけだが、Pencilのペン先は点ではなく幅の広い矩形領域を感知する。

そのためiPad上でPencilを使うと、木炭や5B以上の鉛筆で画用紙の上にスケッチを描くときのように、線の太さを変えられる。一回のストロークで、細い線から太い線へと徐々に太くする描線もできる。また消しゴムなら、やはり消す箇所の太さをコントロールできる。それは、描くとき線の太さを変えるのと、同じ仕組みだ。

FiftyThreeによると、Pencilのペン先はもっと多様なクリエイティブな描き方を念頭においてデザインされているのだが、今回はたまたまその一つが、iOS 8の新機能のおかげで可能になったのだ。そのほかのスタイラスメーカーも、いずれこの機に乗じた製品を出してくるかもしれないが、今のところはFiftyThreeだけで、これによってデジタルアーチストたちのiPadの使い方が変わるだろう。Pencilの描画アプリにはすでに、人間の手のひらを拒否する機能や、複数の線のブレンド機能などがあり、これらもクリエイティブな活用ができる。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


アメリカ国外からでも「Paper」をダウンロードして使ってみる方法

Good news:Facebookの素晴らしいスタンドアロンアプリケーションのPaperがリリースされた。

Bad news:どういう理由だかわからないが、Paperはアメリカ国内でのみダウンロード可能となっている。

Good Newsパート2:但し、アメリカ国内限定という制限を回避するのはさほど難しいことではない。

(Paperのリンクを探していて本記事にたどり着いた方、ダウンロードリンクはこちらとなっている)

これまでにもApp Storeでの地域制限を回避したことのある人は、今回もその方法で大丈夫だ。そんなことをしたことがないという人も、実は簡単にできることなので、どうしてもダウンロードしてみたければすぐに試すことができる。

なすべきことは、iTunesをアメリカ国内から利用しているように見せかけることだ。有料アプリケーションのダウンロードをする場合、これは少々難しい話になる。アメリカ国内での住所、クレジットカードなどが必要となるからだ。しかし幸いなことにPaperは無料だ。この場合は支払情報などが必要ないので簡単に処理を続けることができる。

注意:国情報を変えると、iTunesに登録しておいたクレジットカード情報も消えてしまう。元に戻す際にすぐに詳細情報を入力できるように、利用クレジットカードを手元においておいた方が良いだろう。ギフトカードの残額がある場合、国情報変更前に残額を使うように促されることにもなる。

方法を以下に記す(訳注:具体的方法については、原文のままの掲載といたします。また、訳者環境における動作確認は行っていません)。

  • Grab your iPhone/iPad. Open up the App Store
  • Scroll to the bottom of the screen.
  • Tap the button that says “Apple ID: [your email here]”
  • Tap “View Apple ID”.
  • Enter your password
  • Find the section that keeps track of your country. Tap the “Change country or region” button.
  • Change your country to United States
  • When it asks for your payment info, just choose “None”. Like we said above: if you’re trying to get a paid app, you’ll need to find legit payment info tied to a US address for this part. But since Paper is free, you’re good to go.
  • Hurray! You’re now on the US App Store. Go download Paper, then you can change your settings back by following the same steps again.
  • Here’s the direct link to the app’s page, if you need it

以上で完了だ。但し、もしFacebookが「本気で」このアプリケーションの利用をアメリカ国内に限定しておこうと思っているのであれば、ダウンロードした後でも国外から使えなくする仕組みを実装することは可能だ。しかし(希望的観測かもしれないが)、そこまで徹底的に制限する意味はないのではないかと思う。

アメリカに住んでいる方も、今回のトリックは覚えておいて良いかもしれない。テスト版などをリリースする際に、アメリカのプレスなどに情報が上がることを避けるために、アメリカ国外限定としてリリースされることがあるからだ。どこかの国限定で公開されたアプリケーションをどうしても手に入れたい場合、今回の方法でダウンロードできるようになるケースがほとんどだろう。

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(翻訳:Maeda, H


Facebook、ネット時代の「新聞」を目指して「Paper」をリリース。新しいスタイルで「ストーリー」を提供

ある情報源をチェックしていなかったことが理由で、非常に大きなニュースの入手が遅れてしまうというようなことはある。パーソナライズされたネットメディアから情報を入手していることの多い現在、むしろそのようなケースは増えているかもしれない。そうしたケースへの対応策としてFacebookが用意してきたのがPaperだ。

iOS用スタンドアロンのアプリケーションで、従来のニュースフィードのみでなく、人間とアルゴリズムの双方を活用してキュレーションを行ったニュースも提供する。Tech、LOL、Pop Cultureなどのカテゴリを購読することもできる。アメリカにて、Facebookの10回めの誕生日を控えて、2月3日より提供されることとなった。

このPaperはFacebook Creative Labsから登場する最初のアプリケーションということになる。Facebook Creative Labsは、Facebook内で身軽なスタートアップのように活動する小規模グループだ。ザッカーバーグが収支報告で話した通り、モバイルで主導権を握るために、各種単機能アプリケーションをリリースしていくための主体として機能する。Facebook本体の機能拡充を目指すのとは、また別の動きを見せることになるわけだ。

Paperはニュースフィードの提供方法を根本的に変革するものだが、このアイデアについては、1年前にその萌芽を目にすることができた。またTechCrunchのIngrid Lundenも6月にこのプロダクトを目にしていた。さらにはRe/codeのMike Isaacが今月頭に詳しい記事を掲載してもいる。このように、あちこちでいろいろと話題になってきたPaperが、ついにオフィシャルな存在になったわけだ。機能についてはビデオでも紹介されており、こちらでもそのビデオを掲載しておいた。

Paperの使い方

Paperは、ザッカーバーグが言うところのモダンエイジの新聞としてのサービスを目指す存在だ。

Paperを開くと、まずは新しいスタイルでFacebook上のニュースフィードが表示される。画面の上半分には写真やビデオなどが大きく表示される。下半分に、ステータスアップデートや、関連ストーリーが表示されることになる。右から左にスワイプすると別ストーリーが表示され、あるストーリーをタップすればフルスクリーンモードとなり、動画があれば自動で再生される。ストーリーをピンチすれば元に戻って、改めてPaperのフィードを確認することができる。

そしてPaperのフィードには「セクション」を追加することができるようになっている。

セクションは予めいろいろと用意されていて、たとえば「Score」(スポーツ)、「Headlines」(ワールドニュース)、「Cute」(BuzzFeed風の可愛らしい動物たち)、「Planet」(サステナビリティについてや風景写真など)、「Enterprise」(ビジネス)、「Exposure」(写真)、「Flavor」(食べ物)、そして「Ideas」(日々、面白そうな知的テーマを紹介する)などがある。

それぞれのセクションにはFacebookの編集者が選んだものと、そして出版者やブロガー、著名人などが公に投稿したものからPaperのアルゴリズムが選別してくるものが併せて掲載される。New York Timesなどのような大手の記事を流していくだけでなく、これまで目にしたことのなかったブロガーのの記事や、その筋の権威からのコメント、あるいは一般の人からの意見などもあわせて載せていこうとするわけだ。今のところ、同じセクションを追加した人は、全員が同じストーリーを目にすることとなる。しかし、たとえば「Score」セクションなどで、お気に入りチームの試合結果を優先的に見られるようなパーソナライズ機能を持たせることも考えているところなのだそうだ。

Paperでは、もちろん自分の投稿したストーリーも公開されることになる。編集時には、これまでよりもビジュアル面を強化した編集画面を使うことになる。公開時にどのように見えるのかを、正確にプレビューすることができるようになっているのだ。ストーリー中からどの写真がフィーチャーされることになるのかを気にする必要はない。また、これまでウェブやモバイルであったように、写真のどの部分が表示されるのかと気にする必要もなくなるわけだ。

当初はPaperには広告は表示されない。但しFacebookとしてはPaperに自然な形で広告を掲載するにはどのようなスタイルが良いのかと、検討を行っているところなのだそうだ。

コンテンツ・セレンディピティ

人力および機械の双方を活用したキュレーションは、いわゆる「コンテンツ・セレンディピティ」を可能にするものだ。これまでは、Facebook上では友達からの記事や、フォローしているページからの情報しか見ることはできなかった。従来の「新聞」などでは、エディターの側が主導して、重大であるとか、あるいは読者がきっと面白く感じるはずだと思う記事を掲載するようになっている。読者はエディターを信用することで、自分では積極的に面白いと思っていなかった記事にも目を通すことになり、そこに新たな発見があるようなケースもあった。

Paperというのは、Facebookに軸足をおきつつ、しかし新聞と同様の「驚き」ないし「発見」を読者に届けようとするものだと言える。あちこちのページに「いいね」をしていて埋没してしまったビッグニュースや、あるいはPaperのエディターがこの記事はぜひ見ておくべきだと思うようなものが流れてくることになる。もちろんこれまでも、広い意味では「友達」がキュレーターの役目を果たしていたわけだ。しかし、すべての友達と興味の範囲を同じくしているわけでもあるまい。ビジネスニュースに興味を持つ人や、フード関係に興味を持つ人が友達の中にいないということもあり得る話だ。このような場合も、特定のページを購読したり、あるいは「いいね」しなくても、Paperがニュースを届けてくれるようになる。

Facebookは、従来のアプリケーションもある中、Paperのプロモーションを大々的に行うつもりはないとしている。しかしそれでもFlipboard、Prismatic、Circa、あるいはPulseなどのニュースリーダー系アプリケーションにとっては脅威となるだろう。もちろんそれぞれに強みを持ってはいる。Flipboardは他の利用者からのキュレーションを雑誌風におしゃれにフィードすることがその特徴だ。またPrismaticは「関連」記事をAIを通じてもってくる点に強みがある。Facebookには、特定の利用者がどのようなデータをシェアしたのかという膨大なデータが蓄積されている。これは他のサービスからすると相当の脅威とうつるはずだ。但し、そうした「驚異的」な利点がありながら、FacebookはCameraアプリケーションやPokeなどで悲惨な失敗を繰り返してきてもいる。事態がどのようになっていくのかは、予断を許さないというのが現状であるのだろう。

Paperチームは15名で構成され、1年以上をかけて開発を行ってきた。Facebook VPのChris Coxも陣頭指揮を取り、ザッカーバーグも大いに関与しているように思われる。但し立場的なプロダクトマネジメントはMichael Reckhowが行い、デザインの責任者はMike Matasとなっている。大きな組織の中で鈍重な動きをするのではなく、PaperチームはFacebookの初期時代のように「すぐ動き、物事を変革する」といったポリシーで動いているようだ。

Paperがうまく機能すれば、Facebook上を流れる情報はさらに膨大になっていくこととなるだろう。Paper上で注目されれば、膨大な数の「いいね」を獲得し、またフォロワー数も一気に増えることとなる。そうしたインセンティブをアピールできれば、Twitterに流れるコンテンツクリエイターも取り戻すことができるだろう。最近行っているTwitter対策の一環として捉えることもできる。

ウェブというのは非常に広大な世界だが、Paperは膨大なデータと優秀なエディターにより、新聞のように情報をまとめて提示できるように成長していくことになるかもしれない。

Facebookが新たに提唱しているスタンドアロンアプリケーション戦略については「Facebook’s Plot To Conquer Mobile: Shatter Itself Into Pieces」という記事もご覧頂きたい。

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(翻訳:Maeda, H


小さく切って折り曲げられる画期的マルチタッチセンサーを開発中

MITのメディアラボとドイツのマックス・プランク研究所のチームが小さく切ったり、折り曲げたりできるマルチタッチセンサーを開発中だ。このセンサーはどんなに小さく切ってもマルチタッチ機能を発揮する。またさまざまな形状の表面に貼り付けることができる。

現在のデザインではセンサーの縦端と横端に設置された出力コネクタにタッチを感知する素子が格子状に結線されている。そのため端の部分が損傷すると広い範囲のタッチ情報が読み出せなくなる。この新しいセンサーでは素子がスター状に結線され、コネクタは中央に配置されている(ビデオ参照)。つまり端を切り取っても内側の素子の読み出し情報が失われることはない。たとえば長方形のセンサーの周囲を切り取って円形にしても作動するわけだ。

研究チームのSimon Olberding、Nan-Wei Gong、John Tiab、Joseph A. Paradiso、 JürgenSteimleは次のように書いている

このように切り落として自由に形状を変えることができれば、エンドユーザーがさまざまな物体、たとえばプロトタイプやペーパークラフトにさえ容易にマルチタッチ・センサーによる対話機能を与えることが可能になる。われわれは切断、破損その他の障害に対するセンサーの耐久性を向上させることができる新しいプリント配線のトポロジーおよびエラー訂正に関するテクノロジーを提案している。

研究報告書はこちら。布や紙にもマルチタッチ機能を組み込めるということだから、バンドにマルチタッチを組み込んだスマートウォッチや、それどころか、袖にマルチタッチ機能を組み込んだシャツが現れるかもしれない。

といっても今すぐに実用化されるわけではなさそうだ。今のところごく初期のプロトタイプ段階のようだが、大いに期待のもてるテクノロジーだ。

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(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+