App Annie(アップ・アニー)が発表した今年の年間レポートによれば、世界のモバイルユーザーは2019年末までにApp StoreとGoogle Play から合計1200億回のダウンロードを行うことになるという。
これは2018年から5%のアップで、再インストールやアップデートのダウンロードは含まない新規ダウンロードだけの回数。ダウンロード回数の新記録という、注目すべき数字だ。2019年の両ストアの売上合計は900億ドル(約9兆8650億円)に近づいており、対前年比で15%のアップだ。このレポートには今年のダウンロード回数、売上などのトップ10もリストアップされている。
世界で最もダウンロード回数が多かったアプリ(ゲームを除く)の顔ぶれは今年も比較的安定していた。シンガポールに本拠を置くショートビデオのLikeeが唯一の新顔だった。ここではTikTokが4位となり、FacebookグループのInstagramだけでなくSnapchat、Netflix、Spotifyも上回った。ただし今年もダウンロード回数トータルではFacebookグループが圧倒しており、Messengerが1位、Facebook本体が2位、WhatsAppが3位だった。
ゲームのダウンロード回数はアプリよりはるかに入れ替わりが多く、トップ10のうち7タイトルが今年の新顔だった。カジュアルカーレースのFun Race 3D、人気シューティングゲームのモバイル版であるCall of Duty: Mobileがこの乱戦に割り込んだのが目立つ。
アプリ売上ではゲームが圧倒的な割合を占めるが、今年のトレンドはサブスクリプションの伸びだった。ゲーム以外のジャンルでの売上の成長は写真とビデオ、エンタテインメント分野が中心となり、App Annieではこのトレンドは2020年に継続するものと予測している。今年大人気となったDisney+のサブスクリプションの売上も来年はリスト入りしてくるかもしれない。この分野ではHBO Max、NBCUのPeacock、ジェフリー・カッツッェンバーグのQuibiといったメジャーなサービスの開始も予定されている。
App Annieが報じたとおり、すでに多くのアプリがサブスクリプション・モデルを採用している。2019年9月を終期とする年度で、ゲーム以外の売上トップ100のアプリの95%はアプリ内課金によるサブスクリプションだった。アプリ、ゲームのパブリッシャーがサブスクリプションを採用するトレンドは今後も継続し、消費者の支出を押し上げるだろうと同社は予測している。
昨年はNetflixが首位だったが、今年はデートアプリのTinderがNetflixを押しのけて1位となった。昨年は「ゲーム・オブ・スローンズ」のおかげで好調だったHBO NOWが今年はトップ10入りを果たせなかった。かわりにLINEマンガが滑りこんだ。Tencent VideoとiQIYIは昨年と同順位だったが、YouTubeは7位から5位に上昇し、逆にPandoraは5位から6位に順位を落とした。
App Annieでは今年は「ブレークアウト」という新しいジャンルを作り、今年人気が出たアプリ、ゲームをリストアップした。これはダウンロード数、売上の各分野で対前年比伸び率が最大だったタイトルだ。ダウンロード回数では7位だったYY IncのLikeeが今年のブレークアウト・アプリのトップとなっている。2位も同じYY IncのNoizz、4位も同社のアプリでインドで人気が出たソーシャルゲームのプラットフォームのHagoだった。ブレークアウトの3位はByteDanceのHeloとなっている。Good Job Gamesのタイトルが1位から3位まで独占しているのが目を引く。
売上のブレークアウトにはYouTube、iQIYI、DAZN、Tencent Videoなどが入っている。顔ぶれは他のトップ10に近い。ゲーム分野ではハイパーカジュアル系タイトルがトップ10のうち7つを占めた。話題のリリース、任天堂のマリオカートツアーとActivisionのCall of Duty: Mobileもランクインしたが、やはり消費者の支出はハイパーカジュアルのようだ。
【Japan編集部追記】App Annieには日本におけるiOSアプリ、ゲームについてのリストも公表している。
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(翻訳:滑川海彦@Facebook)