「本気で世界シェア1位を取りにいく」Reproが4年ぶりの増資で約30億円を調達

Repro代表取締役の平田祐介氏(前列中央)と投資家陣

「前々期まで2期連続で黒字が続いていて、きちんと売上が立っていた反面、攻めの投資ができなかった部分もある。当初は赤字を掘って投資をすることに恐れもあったが、この1〜2年で自分の視座を2段階ぐらいあげることができ、前期は赤字になりながらも先行投資を進めてきた。今回の調達は自分にとって決意表明のような意味もある。世界シェア1位を本気で目指していきたい」

Repro代表取締役の平田祐介氏は自社の現状と展望についてそのように話す。同社は2月13日、YJキャピタルなどを引受先とした第三者割当増資とデットファイナンスを合わせて総額で約30億円を調達したことを明らかにした。

  • YJキャピタル
  • SBIインベストメント
  • NTTドコモ・ベンチャーズ
  • KDDI(グローバル・ブレインが運営するKDDI Open Innovation Fund 3号 )
  • DGベンチャーズ(既存投資家)
  • DG Daiwa Ventures (DG Lab Fund / 既存投資家)
  • ジャフコ(既存投資家)
  • みずほ銀行、三井住友銀行、三菱UFJ銀行、商工組合中央金庫(デットファイナンス)

Reproにとって外部からの資金調達は約4年ぶり。前回の調達は2016年3月まで遡る。2014年の設立後、翌年にアプリ分析ツール「Repro」をローンチ。最初こそ「全然売れなかった」ものの、マーケティング機能を搭載しアプリマーケティングツールへと進化したことで急成長を遂げてきた。

現在Reproのプロダクトは66ヶ国、7300を超えるサービスに導入されている。

2018年に平田氏に取材をした際にもT2D3(SaaSの重要指標で、サービス開始から3倍、3倍、2倍、2倍、2倍と年々売上が成長する状態のこと)の軌道に乗り、事業が年々成長していることは聞いていたので、個人的には「次はエグジットのニュースかも」なんて考えもあった。

事実、もともとReproは2年で数億円規模のM&Aを目指すべく設立された会社であり、前回の調達後にM&Aの交渉を進めていた時期もあったという。

ただ、結果的にReproが選んだのは別の道だった。IPO路線へとシフトし、さらなる成長、ひいては世界シェア1位に向けて、人材採用や研究開発などへ積極的に投資を実行。今回の調達はその流れをさらに加速させるためのものだ。

マーケティングツールからCEプラットフォームへ

Reproは2016年にマーケティング機能を取り入れたことを機に、アプリマーケティングツールとして事業を拡大してきた。

特徴はデータの取得から加工、マーケティング施策へのアウトプットまでを一気通貫でサポートしていること。Reproを使えば、取得したアプリユーザーの行動・属性データをリテンション分析やファネル分析など様々な仕組みを用いて徹底分析し、その結果を基にプッシュ通知やアプリ内メッセージといったマーケティングアクションを実行するところまでをワンストップで完結できる。

この仕組みをベースに、近年力を入れてきたのが「チャネルの拡張」だ。2018年にスタートしたWeb版によって、アプリ・Web横断で施策を実施することが可能に。昨年からはCDP(カスタマーデータプラットフォーム)系の事業者と繋ぎこみを行い、オフラインデータへの対応も始めた。

オフラインもカバーすることで、OMO文脈の複合的な施策もReproでできるようになる。たとえばアパレルブランドの渋谷店でジャケットを購入したとしよう。その情報はPOSデータに入り、CDPを経由してほぼリアルタイムにRepro上にもあがってくる。

Repro上にはそのジャケットと相性が良いネクタイの情報があったので、ジャケットを購入した消費者に対して「先ほどは渋谷店でのお買い上げありがとうございました。店頭には置いてなかったのですがジャケットに合うネクタイがあるので、良かったらいかがですか」というメッセージをアプリに通知する。そんなことが可能になるのだという(この取り組みはまだ正式な商用化はしてないそう)。

チャネルの拡大により顧客層も広がってきた。当初はアプリを作っているIT系企業がほとんどを占めていたが、小売を始め、全国チェーン展開している企業、数十万人以上の従業員を抱えるエンタープライズへの導入も進んでいる。今後は金融や小売、外食などへ積極的に展開していく計画だ。

アプリのデータのみを扱うアプリマーケティングプラットフォームから、Webやオフライン、IoTなどのデータも取り込んだ上で、消費者1人ごとに最適なコミュニケーションを行えるプロダクトに進化したRepro。これを機にプロダクトの打ち出し方も「CE(カスタマーエンゲージメント)プラットフォーム」へとリブランディングしたことも明かしている。

AIの研究開発を加速、子会社設立で本格的なグローバル進出も

チャネルの拡大と並行して強化してきたのが「AIによる自動化」と「グローバル展開」だ。

Reproでは2018年7月に研究開発チーム「Repro AI Labs」を設立し、ユーザーとの適切なコミュニケーションに不可欠な“シナリオ設計”をAIが手助けする仕組みを開発。話題を集めた「少年ジャンプ+」との実証実験では、AIがアプリから離脱しそうな傾向にあるユーザーを予測し、プッシュ通知を通じてユーザーの離脱を防ぐ取り組みを行った。

このチャーン予測機能はすでに商用化済み。蓄積してきたデータとAIを活用して、プッシュ通知のタイミングをパーソナライズする機能や、優良顧客を予測する(たくさん課金してくれそうなユーザーを予測する)機能などを次々と手がけている。

「マーケティングオートメーション(MA)ツールという単語から多くの人が連想するのは、そのツールを買えばマーケティングが自動化されることのはず。でも実際にはめちゃくちゃ人間の手が必要なのが現状で、だからこそ市場が爆発的には伸びなかった。近年は本当に人間が介在せずにマーケティングを自動化することが技術的にも可能になりつつあるので、Reproでもそこを突き詰めていく」(平田氏)

パワーアップしたReproを引っさげ、2019年8月にはシンガポール子会社を設立。まずは東南アジアを軸にCEプラットフォーム領域でシェアを拡大するべく、本格的な海外進出を進めているところだ。

「2年で数億円規模のM&Aを目指す」からのスタート

今回の資金調達は上述した取り組みをさらに前進させることが目的だが、その意思決定に到るまでには様々なドラマがあったようだ。

冒頭で触れた通り、もともとReproは2年で数億円規模のM&Aを目指すことを目標に数人のメンバーが集まって立ち上げた。当初は苦戦し「いつ潰れてもおかしくない状況」に直面しながらも、PMFを達成。事業を成長軌道に乗せられた時には創業から3年が経過していたという。

「ある日創業メンバー全員から呼び出されて『平田、俺たち2年で数億円のエグジットを約束して集まったよね。でも現時点ですでに3年が立っている』という話になった。自分で会社をやっていたり、別のことを抱えながら2年間という約束で協力してくれたメンバーもいたので、そろそろM&Aに向けて動き出してくれということで、投資家とも相談しながら話を進めた」(平田氏)

当時のReproは売上が前年比で300%成長し、勢いに乗り始めていた時期。実際に数社から買収のオファーが届き、そのうちの1社に絞って数十億円単位の具体的な交渉も進めていたという。

「最終的に希望する金額と先方から提示された金額に少し開きがあった。死ぬ気でここまで会社を作ってきて、まだまだ伸ばせる自信があるし良いメンバーと一緒にやれてもいる。安売りするのは自分たちがやってきたことを否定している気もして、徹底的に話し合った結果、IPO路線に切り替えこのチームでさらなる成長を目指すことに決めた」(平田氏)

とはいえ、当初は頭で納得していても精神が追いつかない時期もあった。もともと2年間という前提で「毎日18時間くらい働いて目的達成してやるという気持ちだった」が、IPO路線に変えるということは当面の間CEOとして経営を担い続けることが基本となる。当初の想定より責任も重い。

悩みを抱えていた結果、事業は黒字を継続しているものの思い切った投資ができず、後から振り返れば機会損失や競合の参入を許すことにも繋がった。

「改めてIPOを目指す意義は何か、1年ほど前まで悩んでいた。その中で見えてきたのが、日本がこのままだと暗い国になってしまうのではないかということ。才能ある若い人材が夢や目標を語れなかったり、社会に出ることを危ないことだと考えていたり。これから人口も減りGDPも減少する中で、数少ない成長産業であるIT領域から外貨をしっかり稼げるサービスを出せないと、未来はもっと暗くなってしまう」(平田氏)

Reproは以前から複数の国にユーザーを抱えていて、国外でもニーズがあることはわかっていた。だからこそ「腹をくくって世界シェア1位を目指す」道を選んだ。「日本人は事例ができると強い。自分たちが良い事例を作れれば、もっと大きい産業でも海外で勝負をする起業家が増えるはず。だったら自分の余生をかけてやりきる意義もある」という思いもあった。

直近1年ほどは戦略的に赤字を掘りながら、人材採用を強化中。いよいよ自分たちの資金だけでは足りなくなってきたため4年ぶりの増資を決めた。

増資のテーマは「国内の盤石な体制を築いた上で、海外を攻めること」。今回のラウンドで3大キャリア(関連するVCも含めて)を仲間に招き、金融業界でDXを推進するSBIも株主に加わった。海外子会社にも積極的に投資を実行し、IPO時には少なくとも子会社単体でARR3億円以上を目指すという。

ちなみにメンバーは毎月10人前後増えているそうで、現在は約200名体制。エンジニア(Rubyのコミッターが7人いるそう)やReproのキモとも言えるCS部隊を中心に組織も強くなってきた。

今後は海外に開発拠点を設けグローバル規模で開発体制を強化するほか、シンガポール法人に続く新たな拠点の開設も計画しているという。

プロダクトとCS体制で東南アジアのシェア獲得目指す

Reproが勝負を挑むCEプラットフォームはグローバルの競争が激しい領域だ。平田氏が過去の取材でも名前をあげている「Braze(旧Appboy)」を筆頭に複数のプレイヤーが存在し、東南アジアにおいてもReproはかなりの後発になる。

その状況下においてどう戦っていくのか。1つのポイントは地域ごとのマーケターの成熟度とニーズの違いだ。

平田氏の話では米国はマーケターが成熟していて多くの担当者は自走できる。そのため自分がやりたいことが機能として実装されているのか、スペックが同じならどちらが低価格なのかといったような「プロダクトの機能面」で比較されることがほとんどだという。

一方で日本の場合、米国ほど個々の担当者にマーケティングの知識が浸透していないことが多い。だから機能面以上に「目標達成に向けて密にサポートしてくれるか」が重要なカギとなる。

過去に日本展開していた米国産のツールと比較しても「当時は機能面で2.5倍くらい先行されていた印象」(平田氏)だったが、周りからは“コンサルの域”とも言われるようなCSチームによる手厚い伴走支援によって、Reproは国内市場の競争に勝ってきた。

では東南アジアの場合はどうかというと「米国と日本のミックス」なのだそう。ツールの評価方法は米国に近く機能面がシビアに比較されるが、マーケターが成熟しているわけではないので伴走支援も欠かせない。それがネックになって先行して市場に乗り込んだ米国企業も現時点では苦戦している状況で、後発でも十分に付け入る隙があるというのが平田氏の見解だ。

「(CEプラットフォームも含めて)CRMの領域は日本人に向いている。市場の啓蒙から必要で、アドテクなどと比較して成長に時間がかかる一方、頑張ってやり続ければ確実に伸びる。リングに立ち続けて、死ななければ勝てる領域だということが少しずつ見えてきた」

「海外の競合も複数いるが、10年20年かけて本気でやり続ける起業家がどれだけいるかというと、ほとんどいないという感覚。だからこそ覚悟を持って耐え続ければ世界戦でも勝てる手応えはある」(平田氏)

もちろんCEプラットフォームとしてグローバルで覇権を握るにはプロダクトの改良も不可欠。これについてはAIによる自動化の推進などに加えて新たな試みも進めている。現時点で詳細は明かせないとのことだが「B2C企業向けの次世代CRM」の確立に向けて、現在のReproには足りていない要素を開発していく計画だという。

世界でトップシェアを誇るプロダクトを目指し、4年ぶりの増資を経て次のステージへと動き出したRepro。同社のこれからの動向に注目だ。

Reproとグッドパッチがアプリ成長支援の新サービス、2つの側面からアプリのUXを最適化

モバイルアプリ向けの解析・マーケティングツール「Repro(リプロ)」を提供するReproと、UI/UXデザインを軸にクライアントワークや「Prott(プロット)」など自社プロダクトを展開するグッドパッチ

これまでTechCrunchでも何度か紹介してきたスタートアップ2社がタッグを組み、マーケティングとデザインの力でアプリの成長を支援するサービスを始めるようだ。

Reproは7月11日、グッドパッチと協業しアプリのプロダクト・マーケット・フィット支援サービス(PMFサービス)を開始することを明らかにした。

プロダクトとコミュニケーションの2側面からアプリのUXを最適化

「アプリのグロースハックで困っている企業が増えてきている中で、問い合わせを頂く機会も増えてきた。その一方でReproだけでは全てに対応できるわけではなく、歯がゆさを感じていた」—— Repro代表取締役の平田祐介氏は、今回の協業の背景についてそう話す。

Reproがこれまで手がけてきたマーケティングソリューションの特徴は、アプリに関するデータのIPO(インプット、プロセス、アウトプット)を一気通貫でサポートできること。

SDKを入れることでデータのインプットが始まり、リテンション分析やファネル分析を始めとした解析機能を用いてユーザーの行動を分析。生のデータを使いやすい形に加工することで、プッシュ通知やアプリ内のメッセージ表示などコミュニケーション施策を実行できるようにした。

2016年3月の資金調達時には世界18カ国・1400アプリで導入されているという話だったが、現在は59カ国・5000以上のアプリに導入されるまでに成長。2016年3月からはアプリの成長支援コンサルティングも提供することで、サポートの幅も広げてきた。

ただ平田氏によると、多くのアプリを支援する中で何度か課題を感じるシーンがあったそう。それがグッドパッチの得意とするUIに関するものだった。

「ReproはUIのスペシャリストというわけではない。データを分析することで『こうするともっとよくなる』と提案することはできるが、それをアプリのデザインに落とし込むことはできなかった」(平田氏)

今回新たに開始するアプリのPMFサービスは、アプリを成長期に導くことをゴールにUXを最適化するというもの。平田氏いわくアプリのUXはアプリが提供する機能やUIといった「プロダクト」と、プッシュ通知やポップアップなどを活用した「コミュニケーション」の2つの側面があり、両面を最適化することが必要なのだという。

PMFサービスではグッドパッチがプロダクト面を、Reproがコミュニケーション面を担当。両社の強みを掛け合わせることで、初期段階のアプリをスケールが見込める状態になるまで支援する。

プロダクトの最適化についてはまずReproの分析ツールを用いることで、継続率の高いユーザーに共通するアプリ内行動を抽出。それらの行動をしないユーザーがどこで離脱してしまっているかを特定し、要因を整理した上でグッドパッチが機能やUIを実装する。そして結果を定量的に評価するというサイクルを何度も繰り返していく。

コミュニケーションの最適化はこれまでReproが行ってきたもの。同社のツールやナレッジをフル活用して目標の設定からユーザー成長シナリオの作成、プランの実行、評価まで一連のプロセスをカバーする。

PMFサービスの導入第一弾は講談社の運営する「コミックDAYS」になる予定。まずはReproが単独で同アプリを支援するが、今後協業を進めていく方針だという。

世界の競合にようやく追いついてきた

Reproでは今回のPMFサービスに加えて、これから新サービスや新機能を出していく計画。会社としても5期目を迎えて新たなフェーズに入ってきているようだ。

「初期の顧客はIT企業が中心。そこからこの2年ほどで非IT系の企業も少しずつ増えてくる中で、各アプリのKPIを伸ばすお手伝いをするためにSaaSの提供だけでなく、専門チームによるサポート体制を強化してきた。プロダクトのアップデートも重ね、機能面では世界の競合にようやく追いついてきたという手応えもある」(平田氏)

現在同社が次のステップとして取り組み始めているのが、AIの活用による施策の自動化や効率化だ。

たとえば過去のデータを学習することで「もう少しで離脱してしまいそうなユーザー」を予測し、事前に防止策を実施するという実験をしたところ効果があったそう。このような予測機能のほか、各ユーザーごとにアプリの継続利用に繋がるコンテンツを自動でレコメンドする機能や、ユーザーごとにプッシュ通知の配信時間を最適化する機能なども開発中とのことだ。

並行して中国やシンガポールなどアジア圏を中心にさらなる海外展開を進める方針。プロダクトにおいても夏頃にWeb版の提供、その次のステージではIoTプロダクトの解析サービスも検討しているという。

「まずは世の中に流通しているアプリをどんどん改善したい。日本に限った話ではなく、外貨を獲得できるサービスとして世界で戦えるSaaSを引き続き目指していく。またReproが解決したいのはさまざまなデータのIPOに関する課題。自分たちが培ってきた強みはWebやIoTなどにも活用できるので、アプリマーケティングのみならず、デジタルマーケティングの領域でナンバーワンを狙っていく」(平田氏)

アプリ解析・マーケティングツール「Repro」運営元が3億円の資金調達で米国進出へ

Repro代表取締役の平田祐介氏

Repro代表取締役の平田祐介氏

モバイルアプリ向けのアナリティクス・マーケティングツール「Repro(リプロ)」を提供しているReproは3月7日、ジャフコ、VOYAGE VENTURESおよび個人投資家などを引受先とした総額3億円の第三者割当増資を実施したことをあきらかにした。アプリ開発に向けた人材獲得を進めるほか、米国進出に向けてテストマーケティングなどを進める。

TechCrunchでも何度かご紹介しているRepro。2015年4月の正式版リリース時点では、スマートフォンアプリ上でタップされた位置や離脱した画面などの行動を動画で取得する「モバイルアプリ解析サービス」の色が強かったサービスだったが、最近ではアプリの解析にとどまらず、プッシュ通知やアプリ内メッセージの送信といったマーケティング向けの機能を充実させている。

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「アプリの数字を読み取り、解析までできる人は少ない。社内向けのレポートを作成するためにアナリティクスツールを使っても、数字からアプリの改善までを実現するのは難しい。であればそれを支援できるようにと思った」(Repro代表取締役の平田祐介氏)

現在のReproであれば、アナリティクスとマーケティング向けの機能を組み合わせることで——例えばファネル分析でユーザーの離脱率が高い画面を特定し、そこで離脱したユーザーを抽出してプッシュ通知を送り、アプリの再利用を促すというようなことを実現できる。

サービスは現在、18カ国・1400アプリで利用されている。特にEC関連のアプリでの導入が進んでいるという。同社は2015年9月に招待制イベント「B Dash Camp」内のピッチコンテストで優勝したが、そういった露出を契機にして引き合いが大幅に増えたという。

導入の9割以上は国内のアプリだが、「海外でもMixpanelAppboyといった競合製品から乗り換えてくれるユーザーも出てきた。アナリティクスデータを活用しながらマーケティングができるツールとして、いよいよ世界で戦える準備ができたと思っている」(平田氏)。Reproの開発と並行してアプリ向けのコンサルティング事業も展開。業績も順調に積み上げており、今夏にも単月黒字化できる状態にあるという。また今後はReproをMA(マーケティングオートメーション)向けのツールと定義して機能追加を進めるとしている。

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アプリ操作の録画で定着率を上げる「Repro」が栄冠、B Dash Campピッチコンテスト

京都で開催中の「B Dash Camp」で18日、スタートアップのピッチコンテスト「ピッチアリーナ」が開催された。国内外23社が参加し、前日の予選を通過した10社が本戦でプレゼンを実施。本戦には韓国企業が7社と半数以上を占めたが、最優秀チームには、ユーザーのアプリ利用動画を使ってコンバージョン率や定着率を改善するサービス「Repro」が選ばれた。以下、賞を獲得したサービスを紹介する。

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B Dash Venturesの渡辺洋行社長(左)とReproの平田祐介社長(右)

Repro(日本)※最優秀チーム/PayPal賞

ユーザーの画面操作を動画で取得し、モバイルアプリの課題発見から解決策までを提示する。Reproが提供するSDKを自社アプリに導入すると、例えば、アプリの起動からクラッシュまでのユーザー行動を記録。これを動画を見れば、簡単にクラッシュを再現し、効率的にバグを修正できる。

アプリ操作動画の再生画面。多くの動画を見るときは倍速、じっくり確認したいときはスロー再生ができる

アプリ操作動画の再生画面。多くの動画を見るときは倍速、じっくり確認したいときはスロー再生ができる

ユーザーの離脱率を把握するファネル分析と連携し、離脱しやすい場所を見つけられる。離脱してしまったユーザーと、コンバージョンしたユーザー行動の動画を見比べれば、離脱原因までわかるのが特徴だ。離脱したユーザーだけを抽出してプッシュ通知を送り、再訪やコンバージョンを促す機能もある。

「初回アクセス時にお気に入りを3回実行した」のように設定したユーザー抽出できる

「初回アクセス時にお気に入りを3回実行した」のように設定したユーザー抽出できる

リピーターを増やすためのリテンション分析とも連携。ユーザーが特定のアクションを「いつまでに何回すると定着しやすい」かを示す“マジックナンバー”を導き出せる。マジックナンバーとは、Twitterで言うと、新規ユーザーが5人以上フォローするとリピーターになりやすいといった数値だ。

利用料金は毎月1万2000円〜。4月22日に公開し、これまでに852アプリが導入している。

TALKEY(韓国)※特別賞

スマートデバイス向けの自然言語解析技術。スマートウォッチで「ランチでもどう?」というメッセージを受信した場合、その内容を解析したうえで「何時?」「もちろん」「お前のおごりな!」みたいな返信メッセージ候補を表示する。

現時点では英語版のみだが、日本語を含む多言語に対応する。将来的にはスマートデバイス以外にも、ネット対応の自動車やIoTへの技術提供も視野に入れている。

カバンやポケットからスマホを取り出さずに、スマートウォッチで受信したメッセージに返事できるのが便利そう。

カバンやポケットからスマホを取り出さずに、スマートウォッチで受信したメッセージに返事できるのが便利そう。

Vetpeer(日本)※エボラブルアジア賞

動物病院の獣医師を対象にしたコミュニティサイト。獣医師が読むべきニュースをキュレーションしたり、「パート獣医師の時給どうしてる?」「開業にかかったお金は?」といった同業者だからこそ相談できるQ&Aコーナーがある。2年前にローンチし、全国の獣医師の42%にあたる約6000人が登録している。

収益源は、動物病院に医薬品や療法食を販売するメーカー向けのマーケティング。具体的にはメーカーの獣医師向けセミナーをネット配信する。従来、この種のセミナーは首都圏を中心に開催していたので来場者が限られたが、全国の獣医師に向けて情報発信できるようになる。

獣医必読(?)のニュースをピックアップしたり、獣医師同士だからこそ聞けるQAコーナーなどがある

獣医必読(?)のニュースをピックアップしたり、獣医師同士だからこそ聞けるQAコーナーなどがある

スマホアプリを動画で解析するRepro、デジタルガレージなどから約1億円の資金調達

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App Storeに登録されるアプリの登録者は2014年末で約39万人、アプリ数では120万種類以上にもなっているそうだ。そんな数のアプリの中からユーザーに選ばれるためには、ASO(アプリストア最適化)やブーストを含む広告などでの「どうユーザーに対して露出するか」のテクニック、定期的なキャンペーンやプッシュ通知などを使った継続率向上施策にはじまり、アプリ内やストア内を問わず、本当にいろいろなことが求められる。

もちろんユーザーのユーザーの行動を解析することも重要なことの1つ。タップされた位置や離脱した画面、そういったユーザーの行動を動画で取得し、アプリの改善に生かすことができるのが、動画を使ったモバイルアプリ解析サービス「Repro」だ。サービスを提供するReproは4月22日、DGインキュベーションとブレインパッド、SHIFTを引受先とした総額1億円の資金調達を実施した。同時に約1年ベータ版として提供してきたReproのiOS向けサービスを正式にオープンした。

Reproでは、SDKを組み込んだアプリ上でのユーザーの⾏動をリアルタイムに動画で取得し分析。そのデータをウェブ上で閲覧できる。パスワードやクレジットカード番号の入力なんかはどうするのかと気になったのだけれども、テキスト入力を検知してモザイクをかけるほか、マスキング用のAPIを用意しているのだという。

では具体的にはどんな時にこのツールを利用できるのか? まず開発段階においては、クラッシュレポートを動画とスタックトレース(ざっくり言うとエラー発生時のログのこと)で提供する。この2つをセットで提供することで、クラッシュ時の挙動が非常に分かりやすくなるわけだ。また、ウェブの管理ツールを通じて、アプリ内にテスト操作を依頼する画面を表示したり、その後のアンケートを投稿してもらったりする機能も用意する。

いざアプリをリリースしたあとは、アプリ開発者が設定したイベントがどの程度実行されているのかを分析したり(カスタムイベント分析)、イベントごとのユーザーの遷移率を分析したり(ファネル分析)といったことができる。Repro代表取締役の平田祐介氏いわく、このような定量的な分析と、動画による定性的な分析を同時に行えるのがこのサービスの最大の強みなんだそう。

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海外を見てみると、スウェーデンの「Lookback」やイスラエルの「Appsee」などの競合サービスはいくつかあるそうだが、「開発会社に協力してもらって3つのアプリで調査したが、SDKの容量やCPU使用率、メモリ使用量でもReproは競合製品より優秀。中には十分な品質で撮影できないものもあった」(平田氏)のだそう。そんなこともあってすでに海外市場も視野に入れており、英語版でもサービスを提供しているとのこと。Android版も現在開発中だという。

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