SoftbankがAlphabetのロボット企業Boston DynamicsとSchaftを買収

【抄訳】
意外な展開になってきた。あの仲良しロボットPepperを作っているSoftbankがさきほど、Googleの持株会社Alphabetのロボット企業2社の買収を発表して、いよいよロボットに本気であることを示した。その2社とは、Big Dog(上図)を開発しているBoston Dynamicsと、二足歩行ロボットのSchaftだ。買収の価額等は公表されていないが、分かり次第お伝えしよう。

Alphabetにとってはこれは、Google時代に大量にやってきた買収や戦略的投資を整理する努力の一環だ。買収はしたけどその後、本体のビジネスにあまり貢献しなかった、という企業が整理の対象になる。

SoftBank Group Corp.の会長兼CEO Masayoshi Sonは、声明文の中でこう述べている: “今日なお、人間の力では解決できない問題が数多くある。知能化ロボットは情報革命の次の段階を推し進める重要な力となる。MarcとBoston Dynamicsの彼のチームは、先進的な動的ロボットにおける、誰もが認める技術的リーダーだ。彼らをSoftBank家に迎えて、その今後の前進をサポートできることは、きわめて喜ばしい。彼らはロボットという分野をさらに継続的に前進させ、人類の幸福に資する数々のアプリケーションを探求してくれるだろう”。

それは、人材引き抜きではなく全社的な買収のようだ。Boston DynamicsのファウンダーでCEOのMarc Raibertは、こう声明している: “Boston Dynamicsの全員が、SoftBankの大胆なビジョンと、同社が作り出しているテクノロジーの次の革命に参加できることに、感激している。そして、技術の進歩は人類の利益のためであるべき、というSoftBankの信念を、われわれも共有する。SoftBankと共にロボットにできることの限界を打破し、より知能的でより接続された世界にふさわしい、有益なアプリケーションを作っていける日を、待ち望んでいる”。

【後略】

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

Alphabet(旧Google)の秘蔵っ子、日本のSchaft Inc.が、東京でまったく新しい二足ロボットをデモ

schaftbot

今度(東京に)現れた新型ロボットは、Naoみたいに可愛くもなく、SpotやBigDogのように不気味でもなく、Atlasほど人間らしくもないけど、これらのどれよりも実用的かもしれない。二足歩行をするが、それは人間のようでも、熊のようでもない。AlphabetがオーナーであるSchaft Inc.が考えた、独特の動きをするロボットなのだ。

この、まだ名前のないロボットは、日本で行われたNew Economic Summit(新経済サミット)のステージ上を誇らしげに歩き、Schaftの協同ファウンダーYuto Nakanishiと共に、笑顔の群衆に対面した。次に上映されたビデオに登場したロボットは、ステージ上のロボットと同じものではなかったが、機能はほぼ共通していた。

いちばん重要なのは、その歩行システムだろう。人間の足並みは複雑にコントロールされる上下運動だが、このロボットの足(脚)は可撓部のない剛体で、レールのように上下にスライドする。

したがって物を持ち上げたりするときの、曲がる(しゃがむ)動作がない。上部のジョイントにより脚は斜めに突き出され、底部の“関節”が凸凹の地面でも安定性を提供する。電池とモーターは両脚のあいだにあり、低い重心に貢献している。

ロボットが動き回るための方法としては、とても効率的に見える。ビデオではロボットが、森の中や、岩だらけのビーチ、雪原、それにED209(エド・ツーオーナイン)やDalek(ダーレク)たちの弱点である階段すらも歩きまわる。階段を上(のぼ)りながらRoombaみたいなブラシで各段を掃除するやつもいる。Atlasにも、やらせてみたいね。

人間の捕獲者が仕掛けた金属の棒の上でも、滑ったり転んだりせずに、十分に敏速に動き回る。Skynetが本当に人類を滅ぼし始めたときにはきっと、昔見たこのビデオのことを思い出すだろう。

このロボットには腕がないし、掌(てのひら)のような握る部分もない。上にバーベルが載っているプロトタイプもあるから、物を持ち上げて運ぶことはできるのだろうが、荷台や操作部はない。このロボットの設計目的がほかにあるのか、それとも、今回は歩行をデモすることだけが目的で、他の機能や装具を装備してないだけなのか。

終始曖昧な書き方で申し訳ないが、なにしろ具体的な情報は乏しいのだ。Schaftは2013年にGoogleに買収され、その後音沙汰がなかったが、DARPAのRobotics Challengeでは優勝した。同社は今、Webサイトすらなく、その操業内容とプロジェクトはAlphabetのX部門の中で厳しく守秘されている。

この記事の素材はすべて、東京のロボットライターTim HornyakRakutenのツイートで、XがIEEE Spectrumに載せた記事も参考にしている。その記事は、“製品の発表でも、具体的な製品のロードマップでもない。ただ単純に、進捗の現段階をお見せできたことを、嬉しく思っている”、と声明している。

本誌はこの隠密ロボットメーカーに情報を求めているが、彼らのこれまでの3年と次の3年が同じなら、多くは期待できない。この革新的なロボットは、今後もっと社会への露出度を大きくすべきだし、今後も秘密のままキープするのは、もったいない。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

Androidの父、アンディー・ルービンが現在Googleでロボットを開発中と判明―生産と物流のイノベーションを狙う

Andy Rubinは 去る3月、Android事業部の責任者の地位を去り、その地位は当時Chrome担当副社長だったSundar Pichaiが兼任することになった。その後Rubinが何をしているか謎だったが、New York Timesがスクープしたところによると、Googleの中でも非常に実験的な部門で、ロボットとその現実世界への応用に革命を起こす計画に取り組んでいるという。

この情報が今明らかにされたのは偶然ではあるまい。Amazonが「自動操縦ヘリで商品を配達」でサンクスギビングデイ明けのニュースのトップを独り占めしたことにGoogleも対抗することにしたのだろう。New York Timesのインタビューに対してRubinは「ロボット工学分野でのGoogleの目的は、生産と流通市場」と述べた。

この分野でGoogleの努力にはUPSも研究しているイノベーション、つまり中央配送センターから地方拠点への運送を自動化することで物流システムの大幅な効率化を図ることが含まれているだろう。

Rubinが事業を指揮するようになってからGoogleはアメリカと日本で密かに多数のロボティックス企業を買収している。これにはIndustrialPerception(コンピュータによる視覚的認識)、 Schaft、 Meka、Redwood Robotics(いずれもヒューマノイド系ロボット)、Bot& Dolly(カメラ移動ロボット、映画Gravityの撮影で使用)、 Autofuss(広告とデザイン)、Holomni(ロボットの車輪のデザインハウス)などが含まれる。この中にはヒューマノイドロボット関連企業が多いのに気づく。つまりGoogleは人間にはまったく似ていない既存の産業用ロボットを改良するのではなく、まったく新しいスキームでロボット開発を行っているのだろう。

ある場所から別の場所への物の移動をロボットを使って自動化できれば生産性の向上に大きく寄与できる。アジアのOEM企業からアメリカの家庭への物流システムにはロボットが応用できる場面が多数あるだろう。

RubinがAndroidの責任者の地位を去ったとき、Androidの関係者にメモを送り、「私は本質的に起業家だ。これからはGoogle内で新しいプロジェクトに取り組む」と書いている。今回RubinはNew York Timesのインタビューで「ロボティックスには10年前から関心を抱いていた。しかし最近になってやっと自分が考えているような大規模なスケールの利用がビジネスとして意味のある段階になってきた」と語った。

Googleの自動走行車同様、ロボットもおそらくは遠大なプロジェクトだろうから、すぐに目に見える結果が出ることはあるまい。しかし多数の企業を買収していることでも分かるとおり、すでに投資の規模は大きく、Googleのにとってきわめて真剣な事業だということは間違いない。一方、Amazonの配達ドローンでも証明されたように、ロボット事業は世間の注目を大いに集めるという効果もある。Googleが明日にも家事手伝いロボットを売り出すことはないだろうが、Rubinの秘密のロボット工場から何が出てくるか、特等席で見物したいものだ。

〔日本版〕Rubinが買収したとされる各社のうち、Schaftはニューヨーク・タイムズの記事によれば、東京大学情報理工学系研究科・情報システム工学研究室(JSK)からスピンアウトした株式会社Schaftのことと思われるが12/5朝現在、同社のサイトにはGoogleとの関連を示す情報はない。

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(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+