HRテックのROXXがサイバーエージェントなどから総額5億円を資金調達

写真左から、サイバーエージェント社長室 投資戦略本部 本部長 近藤裕文氏、同社経営本部 M&A・投資育成部 関口秀明氏、ROXX代表取締役 中嶋汰朗氏、サイバーエージェント社長室 投資戦略本部 藤田ファンド担当 坡山里帆氏

人材採用関連サービスを提供するROXXは2月19日、サイバーエージェント、SMBCベンチャーキャピタル、みずほキャピタル、三菱UFJキャピタルを引受先として、総額5億円の第三者割当増資を実施したことを明らかにした。今回の資金調達は、2019年7月発表のパーソルキャリアと既存株主からの約3.7億円の調達に続く、シリーズBラウンドに当たり、同社の累積調達額は約12億円となった。

ROXXは現在、月額制のリファレンスチェックサービス「back check」と、求人流通プラットフォーム「agent bank」を提供している。

2018年5月に正式リリースされたagent bank(旧SARDINE)は、人材紹介会社のための求人データベースと業務管理ツールのクラウドサービスだ。月額利用料のみ、成功報酬に対する手数料が不要で、2000件以上の求人に対して転職者を紹介することができる。利用ハードルの低さから、累計400社以上のエージェントがagent bankを利用しているという。

また求人企業の側も、完全成功報酬型で募集求人を何件でも無料で掲載可能。成功報酬は求人ごとに自由に設定でき、従来の人材紹介より低コストで採用が可能になっている。このため、大手企業からスタートアップまで、幅広い規模と業種の求人を集めるようになっている。

リファレンスチェックのback checkは、面接や書類からだけでは見えにくい採用候補者の経歴や実績に関する情報を、候補者の上司や同僚といった一緒に働いた経験のある第三者から取得できるサービスだ。採用予定の職種・ポジションに合わせて数十問の質問を自動生成し、オンライン上でリファレンスチェックを実施できる。

back checkには、候補者の前職における勤怠・対人関係といった基本的信頼性を可視化するスコアリングや、性格診断による職務適性チェックといった機能が備わっており、独自のデータ分析により、入社後のパフォーマンスを総合的、客観的に分析・予測することが可能となっている。レポートに表示される適正を踏まえて、面接での確認事項や、配属先検討の際の組織やメンバーとの相性を考えるための参考とすることができる。

back checkの利用料は月額定額制で、従来のリファレンスチェックサービスに比べて10分の1程度の費用でチェック実施が可能。2019年10月の正式リリースから、2020年2月現在、累計導入企業数が300社を超えた。今回、藤田ファンドからROXXに出資を行うサイバーエージェントも、サービス利用企業の一社だ。

今回の資金調達により、ROXXではagent bank、back checkの各プロダクトの強化と、これにともなう採用強化を図るとしている。ROXX代表取締役の中嶋汰朗氏は「昨年比でagent bank事業は主要KPIがすべて300%超の成長を実現していることに加えて、新規事業のback check事業においては導入企業様の採用フローにリファレンスチェックが確実に浸透している」として、「今回の資金調達は両事業のさらなる成長を加速させることを目的としたラウンドと位置づけている」と述べている。

今後、agent bank事業については、前回のリード投資家で資本提携先でもあるパーソルキャリアのアセットと自社の事業開発力を掛け合わせ、人材紹介の領域拡大を牽引するサービスとなるよう、投資を行うと中嶋氏。「2030年には640万人もの人手が不足すると予測されている中で、中長期で成長し続けるROXXの主力事業とする」(中嶋氏)

またback check事業については、「タクシーCMの公開や導入実績の増加により、リファレンスチェックそのものの認知が拡大されているのを感じているだけでなく、実際に採用のミスマッチを防ぐことができたという事例が日々増えている」と中嶋氏はいう。「日本全体で転職へのネガティブなイメージが払拭され、キャリアの多様化が進むに伴って、採用企業において必要とされるツールになると確信し、事業部全体に対して投資を強化する判断をした」(中嶋氏)

中嶋氏は「前回の調達をきっかけに大手人材会社の経営や事業構造に数多く触れる機会を得て、業界構造の負をインターネットサービスで解決できる領域がまだまだ残されていることに気づいた」と述べ、「決して既存の文化を壊すのではなく、踏襲した上でより良い形を実現することが私たちROXXの役割だと認識した。20年、30年とサービスの価値が上がり続ける事業になるよう、引き続き尽力する」とコメントしている。

人材採用関連サービスのROXXが月額制リファレンスチェック「back check」を正式リリース

人材紹介エージェント支援サービス「agent bank(旧SARDINE)」など、採用関連サービスを提供するROXX(ロックス、旧社名SCOUTER)は10月7日、月額制リファレンスチェックサービス「back check(バックチェック)」に新機能を追加した。今年1月に発表され、3月からベータ版を展開していたback checkはこれまでに累計90社が導入。今回が正式リリースとなる。

back checkは、面接や書類からだけでは見えてこない採用候補者の経歴や実績に関する情報を、候補者の上司や同僚といった一緒に働いた経験のある第三者から取得することができる、リファレンスチェックサービスだ。採用予定の職種やポジションに合わせて数10問の質問を自動生成し、オンライン上で簡単にリファレンスチェックを実施できる。また従来のリファレンスチェックサービスと比較すると10分の1程度の金額(1件あたり1万円以下)でチェックが実施できることから、スタートアップも含め、採用人数やポジションにかかわらず幅広く利用されているという。

本格リリースにあたり、back checkには、候補者の前職における勤怠・対人関係といった基本的信頼性を可視化するスコアリングや、性格診断による職務適性チェックといった新たな機能が導入された。独自のデータ分析により、入社後のパフォーマンスを総合的、客観的に分析・予測することが可能となる。

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本格リリースから先着500社までは、back checkの全機能が無制限で1カ月間使えるキャンペーンも実施される。ROXXでは、2020年末をめどに累計導入企業数1000社を目指すとしている。

人材紹介エージェント支援のSCOUTERがROXXに社名変更、パーソルなどから3.7億円を調達

人材紹介エージェントのためのサービスを提供するSCOUTER(スカウター)は7月1日、総額約3億7000万円の資金調達を実施したことを明らかにした。また同日、社名変更も発表。新たな社名はROXX(ロックス)となる。

今回の資金調達の出資者はパーソルキャリアおよびSMBCベンチャーキャピタルで、パーソルが約3億円を出資する。パーソルとROXXは今後、事業でも連携していく方針だ。

写真左からパーソルキャリア代表取締役社⻑ 峯尾太郎⽒、ROXX代表取締役 中嶋汰朗氏、パーソルキャリア執⾏役員 岩⽥亮⽒

データとツールでエージェントコストを下げ人材流動化を支援

ROXXは、個人が副業で人材エージェントとしてヘッドハンティングを行うためのサービス「SCOUTER」、そして中小規模の人材紹介会社をターゲットにしたクラウド求人データベース「SARDINE(サーディン)」を展開してきた。

個人向けのSCOUTERは、ソーシャルヘッドハンティングサービスとして2016年4月にサービスを開始。TechCrunch Tokyo 2016のスタートアップバトルでファイナリストに選ばれたプロダクトだが、現在はサービスを休止している。

一方、2018年5月に正式リリースされた中小法人向けのSARDINEは、求人データベースと業務管理ツールのクラウドサービスだ。月額利用料のみ、成功報酬に対する手数料が不要で約2000件の求人が利用できる。この料金設定により、小規模エージェントから好評を得ており、現在は、200社近いエージェントがSARDINEを利用しているという。

以前から、ROXX代表取締役社長の中嶋汰朗氏は「成果報酬を100%還元すれば、エージェントはインセンティブが高い(年収が高い)求人を優先するのではなく、転職者本人が希望する求人を選択してプッシュすることになるので、選択をねじ曲げず、マッチング率も高められる」と話していた。

中嶋氏は「求人流通システムを拡充し、中途採用市場の人材流動化をさらに支援したい」という。

人材紹介の成果報酬は一般に、紹介者の年収をベースに何%、と決められるため、年収が高い人を紹介すれば、エージェントへの報酬額は高くなる。人材紹介業では、実は求職者と求人がなかなかマッチしないため、エージェントが1件の紹介にかける時間、すなわちコストがかさむ傾向にある。そこで大手業者では、コスト率を下げるために年収の高い人材しか紹介案件として扱えない、という状況が生まれる。かといって、求人に合った人材が紹介できなければ、また決定率は下がり、コスト率は上がって悪循環となる。

一方、今はダイレクトリクルーティングが簡単に行える時代。能力が高い人材ほど、SNSなどさまざまなルートを使って、自力で求人にたどり着きやすくなっている。エージェントの力が求められるのは、むしろ自分の力だけでは転職が難しい、年収が低い層の求職者だと中嶋氏はいう。

中嶋氏は「エージェントのコストを下げ、転職に当たってサポートがほしい人たちの人材紹介決定率を上げていくことで、年収が低い層の人材も流動化しやすくなる」と話している。業務管理ツールの提供とデータの蓄積により、その決定率アップを狙う。

業務管理ツールについては、SARDINEユーザーには無料で提供。またデータについても、月に4000件近い案件紹介により、蓄積が進む。

「例えば『金髪NG』という採用基準があったとして、実は髪色の判断にもグラデーションがある。『A社の場合、どこからが茶髪としてOK』なのか、求人票ベースだと分からない。そうした『どのラインまでは受かり、どこで落ちたのか』をデータベース上で情報蓄積することで、エージェントの紹介確度を上げられる」(中嶋氏)

今回のパーソルとの提携により、さらに求人・求職者の案件増が見込まれ、またパーソルグループが有する人材プールを活用してエージェントが仕事をしやすくなる、と中嶋氏は期待を寄せている。

「中小エージェントはこれまで、大手企業からの求人を取ることができなかった。パーソルにはその接点がある。SARDINEへ大手の求人案件を供給してもらうことで、企業側もこれまでマッチングできなかった層の求職者と出会うことができるようになる」(中嶋氏)

「今後、副業を探す人のための人材紹介や、新卒紹介にも取り組む予定」という中嶋氏。「さまざまなサービスで小規模の人材紹介会社をエンパワーメントしていくつもりだ。全国展開や正社員以外の雇用形態にサービスを広げることも視野に入れている」と語っている。

「ちゃんと仕事をしてきた人が評価を引き継げるように」

ROXXではSARDINEのほかに、4月より月額制のリファレンスチェックサービス「back check」をクローズドベータ版として、事前登録のあった約200社へ提供開始している。

日本ではまだなじみがないリファレンスチェックだが、欧米企業では応募時に提出が必須となっているところもあるほど浸透しており、最近、外資系企業や大手ベンチャー企業の採用で取り入れが始まっている。「書類や面接で見える情報だけでは本人が部署に合うかどうか、業務の得意不得意はどこか、といったことまで分からないので、リファレンスはあったほうがいい」と中嶋氏はいう。

back checkは「人事の課題にも対応したもの」と中嶋氏。従来の短時間の面接では分かりにくい、採用候補者の適性や経歴、実績などの評価を、上司や同僚、顧客など、候補者のこれまでの働きぶりをよく知る第三者から得る仕組みだ。

リファレンスチェックの実施頻度に応じて月額費用で利用可能なback checkは、従来の調査会社によるチェック費用から比べると、およそ10分の1とかなり安価に利用できる。職種に応じて質問を自動生成し、設問はカスタマイズすることも可能だ。リファレンスは企業が複数の推薦者を企業が指定し、候補者本人から依頼して取るシステムとなっている。オンラインで完結することもあって、推薦者の回答率は93%。平均4営業日で回答を得られているという。

「転職する人が増え、フリーランスをはじめ、働き方が多様化する中で、履歴書や職務経歴書だけで採用を判断することが難しくなってきた」と中嶋氏はいう。短時間の面接の場では、候補者のこれまでの細かい業務内容まで追えないことも多い。また“よそ行き”モードで来る候補者の仕事への姿勢を、その場で判断するのも難しいことだろう。それを複数の目線から詳細に情報収集できることは、実は候補者にとってもメリットがあると中嶋氏は説明する。

「最近、面接では不採用となった候補者が、リファレンスチェックで合格したケースも出てきた。特別に優秀な上位2割の人や明らかにNGな下位2割の人は、企業も採用・不採用の判断がしやすいが、真ん中の6割の人を書類と面接だけで判断するのは困難だ。リファレンスチェックを行うことで、カルチャーフィットや相性などの面で『ウチに合うか』も分かる。候補者にとっても、なじまない組織に無理やり入るリスクを避けられる上、実績の裏付けを出せることでプラスになる」(中嶋氏)

「back checkにデータが蓄積されれば、ゆくゆくは企業ごとに入社後の活躍の可能性も見ることができるようになるだろう」という中嶋氏。近く予定されている正式公開後、まずは1万社の利用を目指す。「今回の調達資金もback checkの開発、強化に充て、よりサービスを伸ばしていきたい」と中嶋氏は述べている。

中嶋氏は「ちゃんと仕事をしてきた人が、次の会社にもキチンと評価を引き継げるように、そしてエージェントが求職者の意思決定を支援できるように」と目指す採用のあり方について話しており、back checkとSARDINE双方向での利用拡大と、求人・人材情報の質向上を図っていく構えだ。

副業ヘッドハンティングのSCOUTERが新サービス、次は人材紹介業の業務効率化

副業ヘッドハンティングサービスの「SCOUTER」などを提供するSCOUTERは1月22日、人材紹介会社向けの業務管理システム「SARDINEクラウド業務管理」をリリースした。

TechCrunch Tokyo 2016のスタートアップバトルにも登場したSCOUTER。個人が副業としてヘッドハンターとなり、知人などを企業に紹介して報酬を得られるサービスの「SCOUTER」が創業以来のメインサービスだ。その後、同社は新サービスとして2018年5月には求人データベースの「SARDINE」をリリースしている。

SARDINEを利用することで、人材紹介会社はSARDINEに掲載された1000社以上の求人データベースにアクセスし、効率的に人材紹介ができる。SCOUTERに支払うのは月額利用料だけで、人材紹介会社は紹介料の100%を受け取ることができるのが特徴だ。SARDINEはこれまでに100社以上の企業に導入されている。

しかし、SCOUTERは人材紹介会社向けにSARDINEの営業を進めるなかで、彼らが抱える課題に気づくことになる。求職者の個人情報や求人情報の管理だ。SCOUTERによれば、それらの情報は多くの企業でいまだに紙やエクセルで管理されており、情報共有の遅れや、選考のリードタイムの長期化といった問題が発生しているという。

そんななか開発されたのが、今回リリースされたSARDINEクラウド業務管理だ。同サービスでは、求職者の情報や面談記録、求人情報、応募後の選考状況などをクラウド上で一括管理できる。求職者が受けた面接の結果や、これから来る選考の日程などもワンクリックで表示できることが特徴だ。

求職者の管理画面のUIは、タスク管理サービス「Trello」のようないわゆる「かんばん方式」を採用。各求職者が今どのフェーズにいるのかを一目で確認できる。

SCOUTERはSERDINEクラウド業務管理を完全無料で提供する。そのことから、同サービスは単体で収益を得るという位置づけのものではなく、SERDINEなど他の自社サービスの導入の足がかりとなる「プロモーション用プロダクト」のような立ち位置なのかもしれない。

これまでにSCOUTER、SARDINEシリーズ、2019年1月にベータ版をリリースしたレファレンスチェックサービスの「back check」など、人材紹介業界に関連するサービスを数多く開発してきたSCOUTER。同社はプレスリリース上で、「SARDINE(サーディン)クラウド業務管理だけでなく、全サービスを通して約20,000事業所の約90%を占める小規模人材紹介会社を包括的に支援できるよう事業展開して参ります」とコメントしている。

SCOUTERが月額制リファレンスチェックサービス「back check」β版の事前登録を開始

有名な企業に務めている誰もが優秀なわけではないが、採用選考時には候補者が所属する会社の知名度によって合否が左右されることは珍しくはないだろう。だが一人当たりの転職回数が増え、副業やフリーランスを始めとした働き方が多様化した結果、従来の履歴書や職務経歴書から取得できる所属企業の知名度、在籍期間、転職回数といった情報は意味を持たなくなりつつある。

そんな時代に重要となってくるのがリファレンスチェックだ。クラウド求人プラットフォーム「SARDINE」などを提供するSCOUTERが1月17日、採用候補者の同僚や上司などから簡単にリファレンスを取得できるリファレンスチェックサービス「back check」β版の事前登録を開始したので紹介したい。

back checkはリファレンスチェックのサービスで、面接や書類からだけでは見えてこない採用候補者の経歴や実績に関する情報を、候補者の上司や同僚といった一緒に働いた経験のある第三者から取得することができる。要するに採用後のミスマッチや職歴詐欺を防げたり、逆に面接では見えてこなかった候補者の“優秀な側面”も元同僚からの評価で判明したりする。

back checkでは採用予定の職種やポジションに合わせて数十問の質問を自動生成。利用経験がないユーザーでも“候補者の情報を登録するだけ”で簡単にリファレンスチェックを実施することができる。

リファレンスチェックで得られた回答はback check上ですべて確認することができ、候補者の人物像や仕事における強みと弱みが一目でわかるようにデザインされている。また、リファレンスチェック時の質問内容は企業ごとにカスタマイズ可能なため、職種やポジションに合わせた最適化が可能だ。

月額価格、サービス利用開始日は未定(事前登録者に随時配信)だが、「ライト」「スタンダード」「エンタープライズ」の3つのプランから選ぶことができる。SCOUTERいわく「業界一低コスト」であり、実施単価は従来のリファレンスチェックの1/10程度。そのため大手企業からスタートアップまで幅広いスケールの企業の利用を同社は見込んでいる。

面接時、多くの採用候補者は口頭による説明以外に過去の実績を証明する手段が少なく、もう一方で、発言内容のファクトチェックも困難だ。同社いわく、それが実態と評価の乖離が発生する要因となっているのだという。「日々の業務における信頼と実績を、次の会社に繰越せる」社会をリファレンスチェックによって実現するべく、同社はback checkの開発に踏み切った。

同社は短期的には選考時の不正や採用後のトラブルやミスマッチの減少を目標としている。中長期では候補者が在籍している「会社の知名度や雇用形態」によるバイアスを解消することで、より一人一人の“本当の価値”による採用の合否が実現された社会を目指す。

SCOUTERは3月中にもback checkを正式リリースする予定だ。

人材採用のOpen API構想を掲げるHERPが「Find Job!」「SCOUTER」とAPI連携開始へ

AI採用プラットフォーム「HERP」は、複数の求人媒体からの応募を自動で登録・通知し、まとめて管理できる採用管理システム「HERP ATS」を軸とした、採用担当者向けのSaaSだ。

サービスを開発するHERPは人材採用業界版のOpen API構想、「Open Recruiting API構想」を掲げる。企業の採用業務に関連するあらゆる情報をオープン化する、というこの構想については以前の記事でも詳しく紹介したが、HERPが目指すのは、エージェントや媒体に偏りがちな求職者の情報、企業の情報のオープン化による、採用業務の合理化だ。

7月23日、同社は構想の第1弾として、ミクシィ・リクルートメントが提供するIT・Web業界の転職・求人サイト「Find Job!」とSCOUTERが提供するソーシャルヘッドハンティングサービス「SCOUTER」とのAPI連携を開始すると発表した。Find Job!やSCOUTERを利用する企業向けにデータをオープン化し、まずは応募者情報の自動連携をHERP ATS上で8月からスタートする予定だ。

HERP代表取締役CEOの庄田一郎氏は、今回の連携について「両社とも(顧客である)採用担当者の利便性向上に対して思いを持っている点が、大きなポイント」と述べ、「HERPとの連携を通じて、媒体自体の利便性も向上すると考えてもらっている」と話す。

庄田氏は「今後さらに他社との連携も考えている」として「網羅性をできる限り担保していきたい」と構想実現に向けての意欲を強調した。

副業ヘッドハンティングのSCOUTERが人材紹介会社向けサービス「SARDINE」を提供開始

個人が副業で、知人や友人などの身近な転職希望者を企業に紹介して報酬を得られる——ソーシャルヘッドハンティングサービス「SCOUTER」はユーザーが人材エージェントとして登録する、というちょっと変わった切り口の人材紹介サービスだ。このサービスを運営するSCOUTERが5月29日、個人ではなく人材紹介会社が求人情報を利用できる、月額制の法人向けサービス「SARDINE(サーディン)」を正式リリースした。

2016年4月のSCOUTER運営開始から、約2年。SCOUTER代表取締役社長の中嶋汰朗氏によると、「スカウター」と呼ばれる個人の紹介者(ヘッドハンター)は順調に増えていて、審査応募数では約9000人となっているとのこと。求人を掲載する法人も約1000社となり、幅広い業界の大手からスタートアップまで求人がそろう。

そうした中、副業でなく本業として人材紹介を行っていた元エージェントや現役エージェントにも、スカウターとして登録するユーザーが現れてきた、と中嶋氏は話す。

有料職業紹介、つまり人材紹介を行う事業所は日本全国で約2万カ所。有効求人倍率が増え続け、紹介免許の許可基準が緩和されたこともあって、さらに増加が見込まれる。そして、そのうちの約85%が従業員数10名以下の小規模事業者と言われている。

しかし、中小規模のエージェントでは求人がそろえられず、転職希望者に紹介できる案件がないケースも多いという。そうした中小エージェントから「SCOUTERを会社で使いたいという要望が出てきた」と中嶋氏。しかしSCOUTERでは紹介者が得られる報酬は転職者の年収の5%に限られる。このため、法人向けにより高い報酬が得られるサービスが求められていた。

新サービスのSARDINEは「月額利用料のみ」「紹介手数料は100%還元」というモデル。毎月利用料を支払えば、SCOUTERと共通でサービス上に掲載されている約1000社の求人を、自社が抱える求人と同様に転職希望者に紹介することが可能になる。

「紹介免許の取得が容易になったことで、人材紹介会社は個人や小規模にシフトし、数も増えている。ただし、どこも同じような業務になっていて、求職者が分散している。SARDINEではクラウドサービスとして個人・小規模業者を一カ所に集めることで、管理コストを減らすことができる」(中嶋氏)

特に中小規模の紹介会社では、求人開拓のリソースが不足していることが課題となる、と中嶋氏は言う。「求人開拓をしなくてもいい、集客しなくてもいい、となれば、その分の時間を企業と求職者のマッチングに充てることができる。アナログ作業も多い業界だが、面談以外の時間を無くせば、人と向き合う時間が増え、求職者に満足いくサポートもできる。結果として採用される確率も高くなり、求職者の満足度も高くなる」(中嶋氏)

SARDINEでは、これまでSCOUTERで蓄積したノウハウをもとに、選考管理に関する機能もエージェントへ提供。面接スケジュールの調整や選考結果のメール・電話連絡などのアナログ作業を削減できるようにしている。

また求人を行う企業にとってのメリットも増える。「求人をサービスに載せるだけで、SCOUTERに加えて複数の紹介会社から一括で紹介を受けることができるので、効率的に採用ができるようになる」(中嶋氏)

SARDINEと同じように中小規模のエージェントと企業をマッチングするサービスでは、groovesが運営する「Croud Agent(クラウドエージェント)」などがあるが、これらのサービスでは月額課金に加え、成約時に成功報酬の30%を利用料として支払うことになっている。

SARDINEは月額利用料のみで利用できる。月額利用料は公表されていないが、3カ月に1人紹介が成立すれば収益化できる金額だということだ。SARDINEはこれまでにクローズドベータ版として、数十社の人材紹介会社向けに運用されていたのだが、既に1000万円を売り上げたところも出ているという。

中嶋氏は成果報酬を100%還元することで「エージェントがインセンティブが高い求人を優先するのではなく、転職者本人が希望する求人を選択してプッシュすることになるので、選択をねじ曲げず、マッチング率も高められる」と話す。

さらに成果報酬の還元でエージェントの利用が増えれば、データの集約・蓄積も進むと中嶋氏は考えている。「求人、エージェントをひとまとめにすることで、紹介数が増え、紹介が増えることでフィードバックがたまり、紹介の精度が上がる。レジュメが蓄積されるだけでは、採用されるかどうかはハッキリわからないが、選考が進めば情報がたまる。そうしたデータはSCOUTERでも共通で使える。利用が増えて、情報がアセットとしてたまるのが我々としては理想だ」(中嶋氏)

サービス名のSARDINEはイワシを意味する。イワシは群れで泳ぐことで生存確率を高め、泳ぐエネルギーを節約できるとも言われる。中嶋氏は「SARDINEは小規模な紹介会社をグループ化して、個の力を集めて大手にも対抗しうる存在となることを目指している」と言う。

「紹介が多く情報が集まる大手と中小エージェントとの差は開きっぱなしだった。しかし小さいからこそきめ細かくできる、というクオリティもある。(クラウドサービスは)中央集権的ではあるけれど、集まる情報を使って、大手だからできていたことを小さいところでもできるというのが大事。それで格差を埋めることができる」(中嶋氏)

「小さなエージェントがビジネスとして成立することで、求職者にも選択肢を提供できる。そのために(成果報酬を手数料に入れない)サブスクリプション型に振り切った」と中嶋氏は、新サービスで求職者へのメリットも増えると話す。

「サービスを通して、どの人がどの分野で成約率が高いかといった、エージェントに関する情報も持つことができ、それを求職者に提供できる。いいことをやっているエージェントに次の仕事が来るように、適切な評価軸を提供することも大切」(中嶋氏)

中嶋氏は「サービスはプロダクトを作る力と、企業の人事担当に営業して説明する力、両方がないと成り立たない。2年間のSCOUTER運営を通じて、そのバランス感覚がわかってきた」と話している。

SCOUTERとSARDINE双方で相互協力も進め、人材紹介カテゴリーでトップを取っていきたい、という中嶋氏。そのために「エージェントが仕事をしやすいように効率化し、データを活用しつつ、求人が集まり、求人が集まれば紹介も増える、といういい循環を作っていきたい」と語った。

人材採用サービス「SCOUTER」運営が1.5億円の調達、専門家が転職支援する新サービスも

SCOUTER代表取締役社長の中嶋汰朗氏

SCOUTER代表取締役社長の中嶋汰朗氏

ユーザー自身がヘッドハンターとなり、知人や友人の採用を支援する——そんな一風変わったソーシャルヘッドハンティングサービスが「SCOUTER」だ。サービスを運営するSCOUTER(旧社名RENO)は5月12日、ANRI、SMBCベンチャーキャピタル、ベクトル、Skyland Ventures(追加投資)、フリークアウトホールディングス代表取締役社長の佐藤裕介氏ほか個人投資家数名を引受先とした総額約1億5000万円の第三者割当増資を実施したことをあきらかにした。

冒頭でふれたとおり、SCOUTERはユーザーが「スカウター(ヘッドハンター)」となり、人材を募集する企業に対して自身の知人や友人を紹介。無事採用が決まれば、転職者の年収の5%を報酬として受け取れる(転職者にも祝い金が支払われる)というサービス。企業のサービス登録は無料。採用時にSCOUTER社は転職者の年収の30%を上限とした手数料を受け取るというモデルだ。スカウターは審査の上、SCOUTER社との雇用契約を結ぶことで有料職業紹介の法律に抵触することを防いでいる。これは厚労省にも確認を取っているという。スカウターは副業、もしくは本業としてヘッドハンティングを行うわけだ。

SCOUTERのサービスの流れ

2016年4月にサービスを開始し、現在のスカウターは2200人。応募はその3倍ほどあるそうで、安定的に人数は増えているそうだ。当初はIT領域の人材がほとんどだったが業種も広がり、現在ではIT領域の人材は約40%になった。地方のスカウターも増えており、すでに全体の15%を占めるという。マッチング率についても数パーセントという実績がある。「業界平均でも5〜6%、大手で10%ほど、求人件数はまだ少ないのは事実だが、マッチング率はほぼ変わらない。つまりプロのエージェントでも、スカウターでも、ほぼ能力の差がないと言えるようになってきた。今後は大手との差の数パーセントをどう技術で解決していくかだ」(SCOUTER代表取締役社長の中嶋汰朗氏)

ポジティブな実績が出ている一方で、課題も見つかった。実際のところスカウターが紹介するのは親しい友人ではなく、あくまでちょっとした知人が中心。「ソーシャル」という点では当初の読みとは異なる状況だという。「元人材エージェントという経歴を持つ、いわばセミプロのようなスカウターも増えてきた。だが一方で本当に身近なところに転職者がいないという課題もある」(中嶋氏)

そこでSCOUTERが打ち出すのは、スカウターの「プロ化」だという。スカウターがこれまでのキャリアや専門性を生かし、自身が知る業界に特化したエージェントとして転職者の相談に乗るという仕組みだ。今夏をめどに、「SCOUTER Pro」としてサービスをリリースする予定だという。「転職情報は我々が提供するので、業界特化で専門性の高い人が専門領域での転職相談に答える仕組みを作る。それは一般のエージェントでもできないことだ」(中嶋氏)。このほかにも、医療業界特化のサービスも準備中だという。

 

なおSCOUTER Proの提供に先駆け、6末にはSCOUTERの大幅アップデートも予定する。すでに一部の機能は実装済みだということだが、履歴書や職務経歴書の自動生成なども用意して、スカウターがより活動しやすい仕組みを作るとしている。

 

友人知人の転職を支援して報酬がもらえる「SCOUTER」約6100万円を調達—開発やマーケティングを強化

左からクルーズ代表取締役社長の小渕宏二氏、SCOUTER代表取締役社長の中嶋汰朗氏

左からクルーズ代表取締役社長の小渕宏二氏、SCOUTER代表取締役社長の中嶋汰朗氏

ソーシャルヘッドハンティング「SCOUTER」を運営するRENOは9月6日、プレシリーズAラウンドでクルーズ、イーストベンチャーズ、三菱UFJキャピタルを引受先とした総額約6100万円の第三者割当増資を実施。同時に社名をサービス名のSCOUTERに変更することを明らかにした。

2016年4月からサービスを開始したSCOUTERは、紹介者としてユーザー登録し審査を通過した「スカウター」が、知人・友人など身の回りの転職希望者を企業に紹介することを支援。無事採用が決まれば、紹介者が転職者の年収の5%(最低15万円から)を報酬として受け取れる、という人材紹介業界では異色のシステムを採用している。企業側は求人情報を無料で登録することができ、広告費をかけずに採用活動を行うことが可能だ。採用が成功した場合、SCOUTER社は転職者の年収の30%を上限とした手数料を受け取り、転職者にも紹介者と同額の祝い金が支払われる。

SCOUTER代表取締役の中嶋汰朗氏によれば、スカウターによる紹介の特徴は「転職を考えてはいるがまだ活動を始めておらず、人材紹介サイトにも未登録の潜在層」や「ヘッドハンターから声がかかり、口コミだけでも次の就職先を決められるような優秀な人材」が集まりやすいことだという。「役員クラスの転職者紹介で、1社目で双方合意して転職が決まった例もある。紹介された転職者が転職後にスカウター登録して知人を紹介するという連鎖反応も起きている」(中嶋氏)

サービス開始から4カ月が経過し、スカウターの数は400人を数え、サービス内に掲載されている求人数も累計1500件を超えた。

中嶋氏はサービス成長の要因について「職種や年収などの条件だけでなく、転職者の人柄を知るスカウターが本当に合う企業を選んで紹介できることだ。スカウターのレポートを見ると『子どもが生まれたので働き方を変えたい』『今の会社のここが合わないので転職を考えている』といった転職者のリアルなニーズが浮かび上がる。他のエージェントではなかなか言えないようなことも本音で話せるのでミスマッチも起こりにくく、人間的な魅力が伝えやすいのだろう」と話す。

SCOUTERでは、今回の調達により開発体制とマーケティング施策を強化。SCOUTERサービスを事業展開の主軸に据えるべく社名を変更し、一層の事業拡大を図る。

「世界最大級の人材紹介エージェントとして、紹介者数で5000名を超える規模のサービスを目指す」と中嶋氏。「そのためスカウターの手間を軽減すべく、簡単な紹介でも登録ができるようにしたい。また現在は職業紹介事業者としてサービスを提供する上で、スカウターには当社と雇用契約を結んでもらっているが、2016年内には雇用契約なしで人材紹介には当たらない活動ができるコースも用意する予定で、副業を禁止されているビジネスマンでも参加できる形にする。さらに新卒者向けのサービス展開も準備している」(中嶋氏)