訴訟を受けてSnapchatは物議を醸したスピードフィルターを削除

最近はSnapchatの3D漫画レンズが大好評で、友だちがみんなピクサーのキャラクターみたいになってしまう。しかし2013年以降、短時間で消える写真を共有するそのアプリの主な機能であるフィルターがスピードフィルターになってしまい、写真や動画を撮ったときの移動の速さを誇示するものになってしまった。米国時間6月17日、Snapchatはアプリからそのフィルターを取り去ることにした。

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このニュースを最初に報じたNPRは、その機能に対するSnapの最初の擁護をくつがえす「劇的な逆転」と呼んでいる。最近の数年間で、そのフィルターの使用に関連した複数の事故が起き、負傷者だけでなく死者も出ている。例えば2016年、運転中にSnapchatで自撮りをしていた18歳の少年が、時速172kmで他のクルマにぶつかった。被害者のMaynard Wentworth(メイナード・ウェントワース)氏は脳に外傷を負い、Snapを訴えた。彼の弁護士によると、その18歳は「クルマを時速160kmで走らせてその映像をSnapchatに投稿したかっただけだ」という。

Snapchatのフィルター関連の罪は、これの前にも後にもある。2020年の奴隷制廃止記念日である6月19日にSnapchatは、ユーザーに「笑って鎖を壊しましょう」というフィルターをリリースした。2016年4月20日には、Snapchatはボブ・マーリーの遺産管理団体と提携して、ユーザーのヘアーをドレッドロックスにし、黒い肌にする機能「committing blackface」をリリースした。しかもSnapchatのスピードフィルターで死亡事故が起きた後にもフィルターはアプリに残り「運転中は撮影禁止」という警告が付いただけだ。

Snapの広報担当者は、フィルターの削除を発表する声明で次のように述べている。「ステッカーはもうあまり使われていないため、完全に削除することにしました」。その機能はすでに運転時のスピードでは利用できないようになっている、と付け加えていた。同社はフィルターの削除を始めたが、すべてなくなるまでには数週間かかるだろう。

Snapのこの新しい態度は、2021年5月に米国第9巡回区控訴裁判所が、同社には死亡事故の被告適格ありと裁定した後に出てきた。

一般的には、通信品位法230条がウェブサイトないし「対話的コンピューターサービス」をこのような訴訟から護り、その上にポストされたサードパーティコンテンツからの免責を提供している。しかし2019年には、衝突事故で死亡した2人の子どもの親であるLanden Brown(ランデン・ブラウン)氏とHunter Morby(ハンター・モービー)氏が、もう1件の訴訟を起こした。それによると、原告は「アプリの『怠慢な設計』(何よりもそれはスピードフィルターのことだ)が衝突の原因」と主張している。カリフォルニアの裁判官たちは230条に依拠してその訴訟を却下したが、連邦巡回区控訴裁では3名の判事が、この場合は230条の対象にならないと裁定した。すなわち、触法とされたのはSnapchatのソーシャルメディアプラットフォームとしての役割ではなく、アプリの設計であり、それには危険性を十分証明できるスピードフィルターがあった。

そこで、スピードフィルターの突然の削除は、たまたまに見えても決してそうではない。230条による防御が万能ではなくなったのだからフィルターを維持するという法的リスクに勝ち目はない。フィルター関連の事故があっただけでも、Snapchatがフィルターをやめる理由として十分ではなかったか、とも思えるが、正義は遅くなってもないよりマシである。

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タグ:SnapSnapchat通信品位法230条

画像クレジット:TechCrunch

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(文:Amanda Silberling、翻訳:Hiroshi Iwatani)

SnapchatにARとカメラを活用したコマース重視の新機能追加

Snap(スナップ)のパートナーサミットでは、数々の開発者向けツールやARクリエーター向けソフトウェア「Lens Studio(レンズ・スタジオ)」のアップデートが発表された。その中には、同社の「Snapchat(スナップチャット)」を使ったショッピング体験をより深める機能も含まれている。

中でも最もクールなアップデートの1つが、ユーザーのカメラを通して見たコンテンツを分析して、関連情報をすばやく表示するコンピュータビジョン「Scan」の新機能だ。月に約1億7千万人のユーザーに利用されているというScanは、アプリのカメラセクション内のより目立つ場所に配置されるようになり「Screenshop(スクリーンショップ)」と呼ばれる機能が統合されたことにより、ショッピング用途の性能がさらに高まった。

例えばユーザーが「Snap Camera」を使って友人が着ている服をスキャンすると、何百ものブランドからオススメのショッピング情報がすぐに表示される。また、これと同じ技術を使って、キッチンにある食材の写真を撮影すると、その食材を使った料理のレシピが、Allrecipes(オールレシピ)のサイトから表示される機能の導入も予定されている。

これらの機能は、ユーザーが現在カメラで撮影しているものを解析し、それに基づくインテリジェントな提案を行うという広範な取り組みの一部だ。

画像クレジット:Snap

企業はSnapchat内で公開プロフィールを作成することができ、ユーザーは各企業が「Shop」機能を通じて提供する販売アイテムをはじめ、Lenses(レンズ)、Highlights(ハイライト)、 Stories(ストーリーズ)などを見ることができる。

拡張現実の面では、レンズをよりスマートに統合するAPIを提供し、企業向けソリューションを引き続き重視していく。小売業者は、Business Manager(ビジネス・マネージャー)と呼ばれる機能を使って製品カタログを統合し、ユーザーが現在在庫のある製品の試着レンズにのみアクセスできるようにすることが可能になる。

ラグジュアリーファッションの販売プラットフォームであるFarfetch(ファーフェッチ)やPrada(プラダ)とのパートナーシップにより、ARプラットフォームはさらなるアップデートが施され、3Dメッシュの先進技術を使ったバーチャルな服の試着は一層リアルになる。ユーザーは、音声コマンドやジェスチャーを使って、試着しているアイテムを切り替えることもできるようになる。

「当社のカメラプラットフォームの力によって、Snapchatユーザーと彼らが好感を持っている企業を、有意義な方法で結びつけることができるものと期待しています」と、SnapのグローバルARプロダクト責任者であるCarolina Arguelles Navas(キャロライナ・アーグエレス・ナヴァス)氏は述べている。「これまで以上に、私たちのコミュニティは、自宅で新製品を体験したり、試着したり、触れたり、学んだりすることができるでしょう」。

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Snapが提携企業からの情報を2.5億人が利用するソーシャルマップに追加するLayersを導入
Snapが同社のARグラスに技術を提供するWaveOpticsを545億円以上で買収

カテゴリー:ソフトウェア
タグ:SnapSnapchatAReコマース アプリコンピュータービジョン

画像クレジット:Snap

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(文:Lucas Matney、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

Snapが同社のARグラスに技術を提供するWaveOpticsを545億円以上で買収

米国時間5月20日にAR(拡張現実)メガネ「Spectacles(スペクタクルズ)」の最新バージョンを発表したSnapは、その翌日にさらなるニュースを発表した。それは同社の躍進を後押しする技術を持つスタートアップ企業を買収するというものだ。

写真共有アプリ「Snapchat(スナップチャット)」で知られるこの企業は、ARメガネに使われる導波管とプロジェクターを製造するARスタートアップのWaveOptics(ウェーブオプティクス)を買収する。ARメガネは、それをかけた人が見ている現実世界の景色の上に、バーチャルな画像を重ね合わせて見ることができるというもので、Snapはその最新モデルをWaveOpticsと協力して開発した。

この動きはThe Verge(ザ・ヴァージ)が最初に報じたもので、TechCrunchはSnapの広報担当者に直接その詳細を確認した。SnapはWaveOpticsの買収に、現金と株式交換で5億ドル(約545億円)以上を支払うという。そのうちの半分は、買収が正式に完了した時点で株式の形で支払われ、残りは2年後に現金または株式で支払われる予定だ。

これはWaveOpticsにとって大きな飛躍だ。同社はこれまで、Bosch(ボッシュ)やOctopus Ventures(オクトパス・ベンチャーズ)、そして英国のベテラン起業家で、現在はFiveAI(ファイブAI)に在籍するStan Boland(スタン・ボランド)氏や、初期ARスタートアップのBlippar(ブリッパー)創業者の1人であるAmbarish Mitra(アンバリッシュ・ミトラ)氏などの個人を含む投資家から、約6500万ドル(約70億8000万円)の資金を調達していたが、直近の評価額は1億500万ドル(約114億円)程度にとどまっていた

WaveOpticsはオックスフォードで設立されたが、我々が知る限りでは、今後も英国を拠点に置くようだ。

TechCrunchでは、この会社がホログラム物理学とフォトニック結晶をベースにした導波路という、非常に興味深く、時代を先取りした技術を展示した初期の頃から取材してきた

重要なことは、同社の技術が、画像の処理と表示に必要なハードウェアのサイズと負荷を、劇的に圧縮するということだ。これは、WaveOpticsの技術をベースにしたARハードウェアのフォームファクタが、より幅広く、より適応性が拡大することを意味する。

買収後もWaveOpticsが他の企業と協力を続けていくかどうかは不明だが、Snapにとっては、このスタートアップ企業の技術を自社だけのものにすることが、大きなアドバンテージになることは明らかだと思われる。

Snapはここ最近、同じような買収を繰り返している。1月以降だけでも、eコマースへのAR活用を目指してFit Analytics(フィット・アナリティクス)を買収した他、3Dマッピング技術のPixel8Earth(ピクセルエイトアース)や、位置情報プラットフォームのStreetCred(ストリートクレド)など、少なくとも3社のスタートアップ企業を買収している。

しかし、今回の取引は、Snapにとって評価額の面ではこれまでで最大の買収となる。

これは、基礎的な人工知能技術に依然として高い価値がある(加えて、WaveOpticsを設立した科学者たちのチームは12件の出願済みおよび進行中の特許を保有している)ということを示すだけではない。SnapがARを使用するソーシャルアプリだけに留まらず、ハードウェアにおいても影響力のある地位を築き上げ、その技術を使うだけでなく、どこでどのように展開するかという進行と計画を握る中心的存在でありたいという、財務的な、はっきり言いえば実存的な、コミットメントの表明だ。

これは粘り強い取り組みであり、必ずしも報われるものではないが、しかしSnapは(同社は長い間、自らを「カメラ会社」と表現してきた)、ハードウェアを将来の戦略に不可欠な要素として位置づけている。

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カテゴリー:VR / AR / MR
タグ:SnapARグラス買収Snapchat

画像クレジット:Snap

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(文:Ingrid Lunden、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

Snapが提携企業からの情報を2.5億人が利用するソーシャルマップに追加するLayersを導入

Snap(スナップ)は、ユーザーが自分の周りの世界を、よりパーソナルに見えるようにしたいと考えている。

GoogleマップやApple(アップル)のマップなどの製品は、背景関係を考慮した洞察の質を高めるために長いことデータパートナーに依存してきたが、Snapはサードパーティーからの協力をSnap Mapにさまざまに組み合わせ、ユーザーが自分の関心事に合わせた地理的環境の視点を構築できるような、より実践的なアプローチをユーザーに提供したいと考えている。

米国時間5月20日のSnap Partner Summit(スナップ・パートナー・サミット)で発表された「Layers(レイヤーズ)」と呼ばれる新機能は、Snapから選ばれた開発者パートナーのデータを直接マップに追加することで、ユーザーは世界を特定の視点から見ることができるようになる。

「Layersによって、Snap Mapは単一の製品からプラットフォームへ進化します」と、SnapのBryant Detwiller(ブライアント・デトウィラー)氏はTechCrunchに語った。「最終的には、Snap Mapをより便利にしたいのです」。

Snap Mapは、自動車や道順ではなく、人や友人を中心にデザインされた、根本的にソーシャルな製品を目指している。Layersは、理論的には、Snap Mapのユーザーが関心事に合わせたポイントからマップの構成をカスタマイズできるようにするものだ。

同社によると、Snap Mapの月間アクティブユーザー数は約2億5000万人だという。

SnapによるTicketmasterの統合

SnapがWeChatのような「Minis」や「Games」を導入したときと同様、Layersでもパートナーシップに関してはかなりゆっくりとしたスタートを切っている。現在はまだ2社のみ、Ticketmaster(チケットマスター)と、レストランレビューサイトのThe Infatuation(インファチュエーション)との提携から始まったところだ。

TicketmasterのLayerでは、近くのコンサート会場で開催されるショーを分類し、Layerから新たに設置されたTicketmaster Miniに直接移動して、Snapchatアプリ内でチケットを購入することができる。The InfatuationのLayerでは、地図をスキャンして近くのおすすめレストランを探し、サイトに掲載されているリストやレビューを見ることができる。このようなパートナーシップは今後も増えていく予定だが、Snapが今すぐ開発者に広く門戸を開くことを計画しているわけではなさそうだ。

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タグ:Snap地図SNSアプリ

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(文:Lucas Matney、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

SnapがARグラス「Spectacles」の新世代バージョンを発表

Snap(スナップ)が、事前録画されたPartner Summit(パートナーサミット)で、Snapchat(スナップチャット)のユーザー、クリエイター、企業向けの新しいツールをひと通り紹介した。そのプレゼンテーションの最後にSnapは「もう1つ」という言葉を投げかけて、数年前に手痛いスタートを味わった同社が、ハードウェアの野望をまだ諦めていないことを示した。

Snapが発表したのは最新世代のSpectacles(スペクタクルス)グラスだ。60年代風味の黒を基調とした最新式デザインで、これは同社がこれまでに開発してきた拡張現実技術(AR)の一部を、それに合う特定のデバイスに融合させる、これまでで最大の試みとなる。

Snapの共同創業者でCEOのEvan Spiegel(エバン・スピーゲル)氏は、Spectaclesのことを「拡張現実を生活にもたらす初のグラス(メガネ)」と表現している。もし以前のバージョンのグラスを所有したり試したりしたことがあるなら、今回のグラスはより直感的でシームレスなものになっているように思える。

第4世代のこのグラスは、一度の充電で30分間動作することができると彼はいう。デュアル3D導波路ディスプレイを搭載し、視野角は26.3度で「目の前の世界に自然に重なっているように感じる」没入感のあるレンズ体験を実現している。屋内外で使用できるようにディスプレイは明るいものとなっており、マイク、ステレオスピーカー、タッチパッドを内蔵している。また、134gと比較的軽量だ。

Snapはこのデバイスを、これまで同社のハードウェアがターゲットとしていたコンシューマー向けではなく、Snapプラットフォームを利用するクリエイター向けにマーケティングしていくようだ。今回のSnapのリリースは、その基礎となる技術がまだ大量に市場投入できる状態ではないにもかかわらず、公開してしまうという、他社も採用している戦略に沿ったものだ。

ハードウェア自体の性能は、先行したMagic Leap(マジックリープ)のようなARスタートアップがリリースしたものよりは劣るものの、Snapは機能性を犠牲にしてフォームファクターを追求し、他のARヘッドセットに比べて、ヘルメットのような外観が抑えられたデバイスの提供を選択したようだ。

スピーゲル氏によると、このグラスには同社の新しい空間エンジンが搭載されており「6つの自由度、ハンドトラッキング、サーフェストラッキングを活用し、デジタルオブジェクトを物理的な世界にリアルに置く」とのことで、より高い応答性を実現するために、動作から視覚への遅延は15ミリ秒になっているそうだ。また、このグラスはSnapのLens Studio(レンズスタジオ)と統合されており、クリエイターはこのデバイス用のカスタムレンズを作ることができる。すでに一部のアーリーユーザーにグラスは提供されているので、やがてさまざまなレンズやその他のカスタマイズが、あらかじめ組み込まれた状態で出荷されることになるだろう。

Snapは、拡張現実を大きなチャンスと捉えてきたが、巨大な競合他社の規模に比べると、この分野ではまだ劣勢だ。

今回のAR対応Spectaclesは、Facebook(フェイスブック)がRay Ban(レイバン)と提携して製造を予定しているスマートグラスに先駆けて登場する。そちらのグラスにはディスプレイは内蔵されず、他の入力手段に大きく依存することが予想されている。また、Appleも以前から拡張現実グラスの開発に取り組んでいると噂されており、何千人もの従業員がその製造に携わっていると伝えられている。

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タグ:Snap拡張現実ARグラス

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(文:Ingrid Lunden, Lucas Matney、翻訳:sako)

米SnapがインドでShareChatの動画アプリMojと提携しCamera KitのAR技術を展開

世界第2位のインターネット市場での成長を加速させようとしている米国のSNS・カメラアプリ大手Snap(スナップ)は、同社のCamera KitをインドのShareChatが運営するMojアプリに統合するパートナーシップを発表した。

さまざまな拡張現実(AR)機能をアンロックするCamera Kitの技術において、Snapがインドの企業と提携したのは今回が初めてであると両社は述べている(Snapは世界的には、Trillerを含む数社の企業とCamera Kitのため提携している)。

TechCrunchの取材に対し、Mojのクリエイターはアプリ内からSnapのAR技術を利用できるようになり、クリエイターが制作したレンズの一部はSnapユーザーが利用できるようになると、両社の幹部が語った。

米国時間2月10日の動きは、インドで人気のソーシャルネットワークであるMojを運営しているShareChatが資金調達のための努力を続けている中で発表された。Mojは十数カ国語の現地語に対応してユーザーを集めており、Google(グーグル)やSnap、Twitter(ツイッター)などの投資家と交渉中であると先にTechCrunchが報じていた。

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SnapのSVPであるBen Schwerin(ベン・シュヴェリン)氏はインタビューで、今回のコラボレーションは2つの企業間の関係の始まりであると語ったが、投資の件についてはコメントを避けた。

シュヴェリン氏は、8カ月のMojとのコラボレーションによって、Snapはインドのより多くのユーザーにAR技術のリーチを拡大できるようになると述べた。何年もインドへの進出に苦労してきたSnapは、ここ数四半期、インドで目覚ましい成長を遂げている。

Snapは2020年12月のインドにおける月間アクティブユーザー数が約8000万人(業界幹部がTechCrunchと共有した、モバイルインサイト会社App Annieのデータによる)で、1年前の約2500万人から増加している。

ShareChatはインドで1億6000万人以上の月間アクティブユーザーを獲得しており、2020年6月にインド政府がTikTok(ティックトック)を禁止した後に立ち上げたMojアプリは、同スタートアップによると同年9月には約8000万人のユーザーがいたという。

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インドでは多くのスタートアップが、同国でのTikTokの禁止に乗じてチャンスを生かそうとしている。インドのコングロマリットであるTimes InternetのMX PlayerはMX TakaTakを立ち上げ、ニュースアグリゲーターのDailyHuntはショート動画にJoshで拡大した。彼らの親会社(VerSe Innovation)は今週、1億ドル(約105億円)以上の資金調達を発表したが、これはGoogleが同スタートアップの別の1億ドル以上のラウンドに参加してから2カ月後のことである。

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世界的な大手企業もまた、この機会を利用しようとしている。Facebook(フェイスブック)は2020年、インドでInstagram Reelsを立ち上げ、YouTubeはShortsを立ち上げたが、これはすでにインドで毎日35億以上のビューを集めていると同社は先月述べた。

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Mojは、ローンチ時点でコミュニティ向けに30のSnapによるレンズをリリースしたが、今後数年間で400以上のレンズを開発し、その一部はインドのSnapchat Official Lens Creatorsと共同で開発する予定だと述べている。

「Mojのオーディエンスのためにカスタマイズされ、ローカライズされたARレンズのすばらしい選択肢が出てくるでしょうし、Snapだけでは見られなかったようなイノベーションやユースケースがたくさん出来てくると思います」とシュヴェリン氏は語り、これまでクリエイターたちはSnap用に150万以上のレンズを開発していると付け加えた。

ShareChatの製品担当SVPであるGaurav Mishra(ガウラフ・ミシュラ)氏は、インタビューの中で、このパートナーシップはMojユーザーたちがコミュニティとより深く関わり、群衆の中で際立つことを可能にするだろうと述べている。彼は、ShareChatがレンズの作成のために展開することを計画していたリソースのレベルを共有することは避けた。両社は、取引の財務条件を開示することを辞退している。

インド最大級のARクリエイティブ企業であるSuperFan Studioで働くHardik Shah(ハーディク・シャー)氏は、SnapのAR技術の普及は、インドのほとんどの人が利用できるレンズやフィルターの品質を向上させるだろうとTechCrunchに語った。

「ブランドは『あなたはどのディズニーキャラ?』という質問は2019年のものであり、2021年には捨てるべきだと気づく必要があります。時代遅れで陳腐な演出をするんだったら、AR体験はしない方がいい」と彼はいう。以下の動画は、SuperFan StudioがSnapプラットフォーム上で行った作品の一部だ。

 

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タグ:SnapMojARインド

画像クレジット:Mauricio Santana / Getty Images

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(文:Manish Singh、翻訳:Aya Nakazato)

Twitterに続きSnapchatもトランプ大統領のアカウントを永久停止

Snap(スナップ)が米国時間1月7日にトランプ大統領のSnapchat(スナップチャット)アカウントを無期限停止すると発表してからかなりの動きがあった。Facebook(フェイスブック)、Instagram(インスタグラム)、YouTube(ユーチューブ)の大統領のアカウントが一時停止となり、そしてTwitter(ツイッター)はアカウントを永久停止した後、Snapは大統領のSnapchatカウントを永久停止することを決めた。

ユーザーとしてトランプ大統領のソーシャルメディア好きは明らかだが、大統領の選挙活動にとってSnapchatは若いユーザーに訴える格好のサービスだった。大統領は主要なソーシャルプラットフォームの大半から締め出され、アカウントの永久停止は間違いなく大統領の今後のビジネスや政治的野心の未来を複雑なものにするだろう。

プラットフォームからのトランプ大統領排除は、大統領に扇動されたサポーターの暴徒たちによる米国時間1月6日の議会議事堂での暴動を受けてのものだ。それ以来、多くの企業がトランプブランドとのつながりを断ち、その一方でソーシャルプラットフォームは大統領として残された日々と今後におけるトランプ大統領の存在を最小限化しようとしてきた。

Snapは、過去数カ月にわたってトランプ大統領のアカウントが繰り返し同社のコミュニティガイドラインを破ってきたことから今回の決断に至った、と話している。

「先週当社はトランプ大統領のSnapchatアカウントの無期限停止を発表しました。以来、どのような長期的対応がSnapchatコミュニティにとって最善なのか検討してきました。治安のために、そして明らかに当社のガイドラインに反する、誤情報、ヘイトスピーチ、暴力の扇動を広めようとする大統領の企てに基づいて当社は大統領のアカウントを永久停止することを決めました」とSnapの広報担当はTechCrunchに語った。

Snapによる大統領アカウントの永久停止は最初にAxiosが報じた。

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タグ:SnapchatSnapドナルド・トランプアメリカソーシャルメディアSNS

画像クレジット:TechCrunch

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(翻訳:Mizoguchi

Snapがマッピング・位置情報スタートアップのStreetCredを買収、Snap Map関連機能強化か

Snapchatの親会社であるSnapが、位置情報プラットフォームを構築するニューヨークのスタートアップであるStreetCredを買収した。

TechCrunchの取材に対してSnapはこのニュースを確認するとともに、今回の買収により、共同創業者のRandy Meech(ランディ・ミーチ)氏とDiana Shkolnikov(ダイアナ・シュコリニコフ)氏を含む4人のStreetCredチームメンバーがSnapに入社し、マッピング・位置情報関連の製品に携わることになると述べている。

その戦略の大きな要素となるのがSnap Mapで、ユーザーは指定したエリアの公開スナップを閲覧したり、自分の位置情報を友達と共有したりすることができる。2020年夏、SnapchatのメインナビゲーションバーにSnap Mapが追加され、同社はこの機能が毎月2億人のユーザーにリーチしていると発表した。

同時にSnapchatはユーザーの位置情報と連動する他の機能も追加しており、その中にはたとえばデベロッパーが実際の場所と連動する、地域に特化したAR(拡張現実)レンズを作成することができるLocal Lensesなどがある。

ミーチ氏とシュコリニコフ氏は、豊富なマッピングの経験をSnapにもたらしてくれるはずだ。ミーチ氏は以前、サムスンのオープンマッピング子会社MapzenでCEOを務め、それ以前はTechCrunchの親会社であるAOL(後にVerizon Mediaにリブランド)でローカルおよびマッピング製品のシニアバイスプレジデントを務めていた人物だ。一方、シュコリニコフ氏はMapzenの元エンジニアリングディレクターである。

StreetCredは、Bowery CapitalとNotation Capitalから100万ドル(約1億400万円)のシード資金を調達していた。2018年にミーチ氏に取材をした際、彼の目標はユーザーがそのデータ収集に協力したことで報酬を得るブロックチェーンベースのマーケットプレイスを構築することで、位置情報データを「開放し、分散化」することだと語っていた。

買収の金銭的条件は明らかにされていないが、既存のStreetCredプラットフォームは今回の買収の一環として閉鎖されることになるという。

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タグ:SnapSnapchat買収

画像クレジット:Snap

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(翻訳:Nakazato)

Snapchatもトランプ大統領のアカウントをロック

Snapchatは、親トランプ派の暴徒が米議会議事堂を襲撃した後、Donald Trump(ドナルド・トランプ)大統領のアカウントをロックした。Snapの広報担当者は、この措置は米国時間1月6日に取られたことをTechCrunchに確認し、同社は再審査の前に状況を綿密に監視すると付け加えた。

トランプ大統領の危険な言動に対してSnapが同氏のアカウントに対して行動を起こしたのは、今回が初めてではない。2020年6月には、トランプ氏のSnapchatのコンテンツはDiscoverタブで宣伝されなくなり、ユーザーが購読または検索した場合にのみ表示されるようになったと発表した。

Snapの共同創業者でCEOのEvan Spiegel(エヴァン・シュピーゲル)は、同社がこの決定を発表する直前に公開したブログ記事で、「(Snapchat)は人種的暴力を扇動する人々に関連したアカウントを米国内でプロモーションすることは、我々のプラットフォームの内外問わず禁止されている」と述べている。

広報担当者によると、他の多くのソーシャルメディアプラットフォームとは異なり、Snapchatは多くのユーザーではなく友人とコミュニケーションするために作られたものだという。同社はモデレートされ、吟味されたコンテンツに頼ることで、誤った情報を拡散しにくくすることに注力している。たとえばDiscoverタブにはReutersといった報道機関による編集パートナーのコンテンツしか表示されない。

Twitter(ツイッター)も3つのツイートを削除した後、トランプ大統領のアカウントを締め出したが、その措置は12時間しか続かないかもしれない。Facebook(フェイスブック)とInstagram(インスタグラム)はトランプ大統領の投稿を24時間締め出し、ハッシュタグ「#StormTheCapitol」をブロックした。

多くの活動家がTwitterとFacebookに対して禁止を恒久化するよう求めており、倫理団体のAccountable Techは「今日の国会議事堂への暴力的な攻撃は痛ましいものでしたが、まったく予想外というわけではありません。残念ながら、TwitterとFacebookの準備と対応は非常に不十分でした。暴力の扇動を単にラベリングするだけでは十分ではありません」とツイートしている。

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タグ:ドナルド・トランプアメリカ米国大統領選挙SNSソーシャルメディアSnapSnapchat

画像クレジット:Denis Charlet/AFP / Getty Images

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(翻訳:塚本直樹 / Twitter

グーグルとSnapがインドの都市部以外でも人気のSNS「ShareChat」への投資を協議中

2019年にTwitter(ツイッター)を投資家に加えた(未訳記事)インドのソーシャルネットワークShareChat(シェアチャット)が、間もなくさらに2つの米国企業から支援を受けるようだ。

バンガロールを拠点とするこのスタートアップは、ツイッターを含む複数の既存の投資家だけでなく、Google(グーグル)とSnap(スナップ)から資金を調達するための協議を進めている段階にあると、この件に詳しい3人の情報筋がTechCrunchに語った。

この新たなシリーズEの資金調達ラウンドは、2億ドル(約206億円)を超える規模になる予定で、グーグルだけでも1億ドル(約103億円)以上の資金になると、匿名の情報源はいう。また、そのうち2人によれば、このラウンドでShareChatの価値は10億ドル(約1031億円)以上になるという。

この件についてShareChat、グーグル、Snapはコメントを求めてもすぐに応じなかった。ShareChatはこれまでに約2億6400万ドル(約272億円)を調達しており、2020年は7億ドル(約722億円)近い評価を受けていた

ただし、この取引条件は変更される可能性があり、協議が投資に発展しない可能性があると、情報筋は注意もしている。地元のテレビチャンネルET Nowは2020年、グーグルがShareChatを買収するための協議に入ったと報じている。

ShareChatの社名を冠したアプリは、インドで使われている15の言語に対応しており、同国の小都市や町で多くのフォロワーを得ている。一方、ツイッターとSnapはこの世界第2位のインターネット市場で、都市部を超えてユーザーを獲得するのに苦労している。大手モバイル調査会社によると、ツイッターとSnapchatのインドにおける月間アクティブユーザー数は、両社ともに5000万人程だという。

2020年のTechCrunchによるインタビューで、ShareChatの共同創業者で最高経営責任者であるAnkush Sachdeva(アンクシュ・サクデバ)氏は、同社のアプリが「飛躍的に」成長しており、ユーザーは毎日平均30分以上このアプリを使っていると語った。

今回の資金調達が成立すれば、アプリ「Snapchat(スナップチャット)」の開発元であるSnapは、インドのスタートアップ企業に初めて投資することになる。一方、最近のグーグルはやりたい放題で、2020年12月はDailyHunt(デイリーハント)とInMobi(インモビ)グループに属するGlance(グランス)に投資。どちらもショートビデオアプリを運営している企業だ。

これら両社と同様、ShareChatもショートビデオアプリを運営している。「Moj(モジ)」と呼ばれるそのアプリは、2020年9月の時点で8000万人以上の月間アクティブユーザーを獲得したと、同社は当時語っていた。これらのショートビデオアプリのいくつかと、Times Internet(タイムズインターネット)傘下のMX Playerが運営する「MX TakaTak(MXタカタック)」は、ニューデリーが2020年半ばにByteDance(バイトダンス)のTikTok(ティックトック)や他の数百もの中国製アプリを禁止したこともあり、ここ半年程で加速的な成長を見せている。

グーグルは2020年、インドに5年から7年かけて100億ドル(約1兆310億円)を投資する計画を発表した。その数日後、同社はインドの通信大手Jio Platforms(ジオプラットフォームズ)に45億ドル(約4640億円)を投資。グーグルと、同年Jio Platformsに57億ドル(5878億円)を投資したFacebook(フェイスブック)は、同国で4億人以上のユーザーにリーチしている。

グーグル、フェイスブック、ShareChat、DailyHunt、Glanceは、収益のほとんどを広告で得ている。インドの広告市場の約85%は現在、フェイスブックとグーグルによって支配されている、とBank of America(バンク・オブ・アメリカ)のアナリストは、2020年の顧客向け報告書に記している。「私たちは、この市場が2024年までに100億ドルに上ると見積もっており、フェイスブックの市場シェアはJIOとの提携によって、4年間で4%増加すると見ています。フェイスブックは2024年までに47億ドル(約4847億円)の収益を上げる可能性があると推定されます」と、TechCrunchが入手したその株式調査報告書には書かれている。

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タグ:GoogleSnapShareChatSNSインド資金調達

画像クレジット:ShareChat

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(翻訳:TechCrunch Japan)

Snapが自分のボーカルを重ねた音楽トラックを作成できるアプリVoiseyを買収

Snapchat(スナップチャット)は、写真や動画の中の顔に加工して、平凡な写真メッセージを幻想的なクリエイションに変えるアプリのパイオニアだ。この機能を使えば、人間が例えば猫のようになったり、あるいは猫でさえ(Meowbox記事)祭りの花冠を身にまとったりすることができる。さて、そのSnap(スナップ)が、今度はサウンドにその注意を向けたようだ。

どうやらSnapは、英国のスタートアップであるVoisey(ボイジー)を買収したようだ。この会社は、インストルメント曲に自分の声を重ねて、短い音楽トラック(および動画)を作成できる機能を提供している。またミュージシャンがそうしたトラックの基礎となるインストルメント曲をアップロードできるようにしている。ユーザーは自分の声にオーディオフィルター(オートチューン、自動ハーモニー、ビリー・アイリッシュ風などのおもしろい効果)をかけることもでき、他の人たちが作ったVoiseyトラックを探して聴くこともできる。

その結果がこれや、あるいはこうしたものだ。

この取引は、まずBusiness Insiderによってレポートされた。記事はVoiseyがロンドンにある本社の住所をSnapのアドレスに変更したことを指摘していた。それに加えてCompanies House(カンパニーズハウス、英国の登記所)の記録によれば、スタートアップの共同創業者であるDag Langfoss-Håland(ダグ・ラングフォス=ホーランド)氏、Pal Wagtskjold-Myran(パル・ワグツキョルド=マイラン)氏、Erlend Drevdal Hausken(エルレンド・ドレヴダル・ハウスケン)氏、とOliver Barnes(オリバー・バーンズ)氏の4人と、スタートアップの最初の投資家の2人であるTerry Steven Fisher(テリー・スティーブン・フィッシャー)氏とJason Lee Brook(ジェイソン・リー・ブルック)氏が10月21日付で取締役を退任したことがわかった。また同時に、Snapの従業員である法務チームのAtul Manilal Porwal (アトゥル・マニラル・ポーワル)氏とインターナショナル担当者のAmanda Louise Reid(アマンダ・ルイーズ・リード)氏の2人が新しい取締役として任命された。

Snapのロンドン広報担当者であるTanya Ridd(ターニャ・リッド)は、Snapがこの件についてのコメントを拒否したことを伝えている。Voiseyは私たちからのメールに返信しなかった。

Voiseyはこれまでにわずか188万ドル(約1億9500万円)を調達したにすぎない(PitchBookのデータによると)。そしてAppAnnie(アップアニー)のデータによれば、iOSアプリの音楽部門で143位にランクインしている。SnapがVoiseyに支払った金額は明らかではないが、このニュースが流れたのはいまだに損失を続けるSnapの英国本社が、2020年11月始めに5億ドル(約511億円)の借入を行おうとしているニュース(The Telegraph記事)が流れた直後だった。おそらくは買収のためのキャッシュがそこに含まれているのだろう。

Voiseyはこれまで「音楽創造のためのTikToK」と説明されてきた (musically記事)。そしてそれは実際、Voisey同様にユーザー生成コンテンツに注力してきた、人気のビデオアプリに少し似ている。Voiseyは明らかに強いクリエイター感を提供しており、そのプラットフォーム上で少なくとも1人の歌手が見いだされた。「poutyface」というユーザー名だったビリー・アイリッシュ風歌手のOlivia Knight(オリビア・ナイト)が、2020年初めにアイランドレコード / ワーナー・チャペルと契約した(Music Business Worldwide記事)のだ。

一方、TikTokは、少なくともいまのところは、音楽制作そのものではなく、他の種類のコンテンツ(ダンス、メッセージ、雑談)を作る人たちに音楽を提供している。「いまのところは」と書いた理由は、TikTokの親会社であるByteDanceも、音楽制作のための資産を静かに買収しているからだ。この領域からは目が離せない。

SnapがVoiseyの機能の一部またはすべてを、そのフラッグシップアプリのSnapchatに統合して、新しい音楽サービスを作成するのか、あるいはVoiseyを別の(Snapchatに簡単に組み合わせることのできる)アプリとして運用するのか、もしくはその2つを組み合わせたものにするのかははっきりしていない。これまでの例で考えれば、どの可能性もある。

これまでSnapは音楽への流れをゆっくりと作り上げてきていたが、いまではTikToKのクローンを作っているように感じられる。先月にはSounds on Snapchat(サウンズ・オン・スナップチャット、未訳記事)を立ち上げた。この機能はユーザーがストーリーに音楽を追加できるようにするもので、よりTikTokのビデオに近いものになっている。そのために、大手パブリッシャーとのライセンス取引がますます増えている。

その機能を組み込む以前でも、Snapはサウンドの力を完全に無視していたわけではない。すでに何年もの間(未訳記事)、ビデオによりおもしろい効果を与えるために、音声フィルターを提供していた。しかし、音楽はソーシャルメディア上のフォーマットとして最も魅力的なものの1つである。Voiseyはオリジナルコンテンツを作成するためのプラットフォーム機能レースの中で、SnapならびにSnapchatに対して優位性をもたらすだろう。

興味深いのは、この取引が行われたタイミングだ。

私たちがSnapによるイスラエルのスタートアップ Voca.aiの買収について記事にしたのは(未訳記事)つい先週のことだ。買収額は7000万ドル(約72億7000万円)だった(ただし、より近い情報源はそれに異議を唱えていて、正確には1億2000万ドル(約124億6000万円)だと語っている……)。

Voiseyと同様に、Voca.aiの技術がどこで使われるかについては明らかになっていないが、Voca.aiは企業のカスタマーサービスのための、インタラクティブな音声ベースのチャットボットを可能にするAI ベースのスタートアップだ。これは、Snapが企業に提供するサービスの種類を拡大したり、ユーザーが既存のサービス(特にSpectacles)に声を使って対話することを可能にするのかもしれない(もちろんまったく違うものである可能性もある)。

Voiseyの買収と合わせて考えると、これはただスナップ写真を共有すること以上の、多くのことを提供している企業の振る舞いをしている。

【Japan編集部】日本時間11月21日18時時点ではVoiseyはApp Storeから消されている

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カテゴリー:ネットサービス
タグ:SnapchatSnap買収

画像クレジット:Voisey

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(翻訳:sako)

SnapchatのSnapが予想を大幅に上回る収益で第3四半期後、株価急騰

Snap(スナップ)は予想を大幅に上回る収益を発表した後、時間外取引で20%近く株価を上げた。第3四半期の売上と1株あたり利益の両方がアナリストの予想を超えた。すでに史上最高値を更新していた同社は、米国時間10月20日に28ドル強から34ドル弱へと上昇した。

1株あたり利益は0.01ドルで、0.04ドルの損失という予想を上回ったが、本当の注目点は6億7900万ドル(約715億円)を記録した売上で、四半期売上を5億5500万ドル(約584億円)程度と予測していたウォール街アナリストを圧倒した。

この売上は対前年比52%増に相当し、上場以来苦しい四半期の続いていた同社は、大きなカムバックを見せた。

1日当たりアクティブユーザー数は前四半期末の2億3800万人から4%増の2億4900万人となり、対前年比18%増だった。同社はいまだに2億ドル(約210億円)の純損失を計上しているが、2019年と比べて12%改善した。

カテゴリー:ネットサービス
タグ:SnapSnapchat

画像クレジット:TechCrunch

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

SnapchatがTikTok不安に乗じて8月絶好調、当月だけで2850万回インストール

TikTok(ティクトック)の将来に関する長引く不安が、8月のSnapchat(スナップチャット)に大きな恩恵をもたらしたかもしれない。あるいはバイラルに広がった、目をディズニー風に変えるフィルター(PopSugar記事)のおかげなのか。いずれにせよ、アプリストア調査会社のSensor Tower(センサータワー)の暫定データによると、SnapchatのモバイルアプリはiOSとAndroidを合わせて8月だけで2850万回インストールされた。これは2019年5月に4120万回インストールされて以来の月間記録だ。

ただし、2019年5月はSnapchatの歴史では例外的だった。2019年5月以外に今年8月の月間ダウンロード数を超えたのは2016年12月だけだったことをSensor Towerのデータは示している。

同社の調査によると、Snapchatのダウンロード数は2020年8月に対前年比29%増を記録し、前月比も9%増だった。どんなトレンドの組み合わせがSnapchatに先月のダウンロード数をもたらしたのかはよくわからない。

しかし、今ソーシャルアプリ業界の関心が集中しているひとつの話題は、米国でのTikTok禁止の可能性にまつわるニュースだ。禁止に関するニュース報道はすでにここ数週間のアプリストアランキングに明白な影響を与えている。8月にTikTokの直接の競合アプリである、Likee、Byte、Dubsmash、Trillerなどの米国の週間アクティブユーザーは明らかな増加を見せた。しかし、トランプ氏の大統領令で中国製ビデオアプリが実際に米国から追放されたとき、はっきりとTikTokに取って代わるであろう製品は出てきていない。

TikTokの直接ライバルではないSnapchatも、短尺ビデオアプリを好む同じ若者層を引きつけようとしている。今月Snapchatは、TikTokユーザーへのアピールを狙う新しい音楽機能をスタートさせる計画を発表した。今秋開始予定の同機能を使うと、ユーザーはTikTokと同じように動画に音楽を付加できるようになる。Snapは、Warner Music Group、Warner Chappell、Univerasal Music Publishing Group、NMPAメンバーのMerlinなどといった音楽業界のトップパートナーと各社のコンテンツをSnapchatアプリで使用するライセンス契約を結んだことを発表した。

画像クレジット:TechCrunch(App Storeのスクリーンショット)

Snapchatは7月にも新機能の「Minis」を公開(未訳記事)した。これはSnapchatのチャット画面で動作する一連のミニアプリだ。HTMLを使ってつくられたアプリは、チケット購入やHeadspaceを使った瞑想、友だちとのコラボレーションなどをアプリを離れることなく行える。

SnapchatはApp Storeの目立った位置にいることの恩恵も受けている。アップルは今、App Storeの「App」画面に「New to iPhone?」と名付けた編集者の集めたお勧めアプリを掲載している。ここでは初めてのiPhoneユーザーがダウンロードしたがるお勧めアプリの一覧を、スクロールダウンすることなく見ることができる。

ダウンロード数増加の理由としてほかに考えられるのが宣伝費の増加で、大型アプリの提供元ではよくあることだ。ただしSnapchatは8月に何を変えたかについて具体的にコメントしていない。

さらに言ってしまえば、 #disneyfilterのタグを付けられた6640万本のTikTokビデオが、8月のSnapchatに幸運をもたらしただけかもしれない。

Sensor Towerの最新Snapchatデータは暫定値とされており、これは8月26日までのデータしか対象になっていないためだ。8月の残りの日々が算入されれば結果は多少変わるかもしれないが、あってもごくわずかだろう。

なお上記の数値は当初Sensort Towerのフィナンシェサービスユーザーの1社がアナリストノートの中で報告したもの(Benzinga記事)で、Sensor Towerのデータレポーティングチームは公表していない。しかし、同社はTechCrunchにデータは正確であると確認した。

Snapchatは7月のQ2決算時点で、1日当たりアクティブユーザー数2億3800万人で4月の2億2900万人から4%近く増加したことを報告(CNBC記事)した。新規ダウンロード数についてはコメントしていない。

画像クレジット:Denis Charlet / AFP / Getty Images

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook