GMが次世代のハンズフリー運転支援システムにクアルコムの自動車用プラットフォームを採用

GMが2023年に、まずはCadillac(キャデラック)から導入を開始する新しいハンズフリー運転支援システム「Ultra Cruise(ウルトラクルーズ)」には、Qualcomm(クアルコム)の最新のSnapdragon(スナップドラゴン)システム・オン・チップ(SoC)が採用される。2022年のCESで行われたこの発表は、Qualcommが自動車分野、特にADAS(Advanced Driver Assistance System、先進運転支援システム)で多くの市場シェアの獲得に成功していることを示している。

「Snapdragon Ride Platform(スナップドラゴン・ライド・プラットフォーム)」と呼ばれるこのSoCは、ADASおよび自動運転向けに開発されたもので、Qualcommが提供する自動車用クラウド接続プラットフォーム群の1つ。自動車メーカーはこれらのプラットフォームの中から、使いたいものを選んで採用することができる。

GMのUltra Cruiseシステムは、2017年に初めて導入された同社のADAS「Super Cruise(スーパークルーズ)」をさらに高度化したものと考えられる。

GMによれば、Ultra Cruiseは運転中に予想されるあらゆる事態の95%に対応でき、最終的には米国とカナダのすべての舗装道路で使用可能になるという。これは大変な仕事だが、この目標を達成するために、同社はカメラ、レーダー、LiDARという3種類のセンサーを使用し、独自のソフトウェアとQualcommのプロセッサを組み合わせた。このシステムはまず、2023年に発売予定の高級電気自動車「Cadillac Celestiq(キャデラック・セレスティック)に搭載されることになっている。

もう少し掘り下げて説明すると、Ultra Cruiseのコンピュートユニットはノートパソコン2台を重ねた程度の大きさで、2基のSnapdragon SA8540P SoCと1基のSA9000P AIアクセラレータで構成されている。16コアのCPUで低レイテンシーの制御機能を提供し、カメラ、レーダー、LiDARの処理には毎秒300テラ以上のAIコンピュートを実行できるという。

このSnapdragon SoCは、5nmプロセス技術で設計されており、コンピュートユニットには、システムの安全性を確保するためのInfineon(インフィニオン)のAurix(オーリックス)TC397プロセッサも搭載されている。Aurix TC397は、自動車安全水準で最高レベルとされるASIL-Dに分類されている車載用マイクロコントローラーだ。

これらをすべて組み合わせると、数百台のパーソナルコンピューターに匹敵する処理能力を持つコンピュートシステムになる。GMの電気自動車・自動運転車・燃料電池車プログラム担当バイスプレジデントのKen Morris(ケン・モリス)氏は、このシステムが2017年に発表された同社の先進運転支援システムを「次のレベルに引き上げ、出発地のドアから目的地のドアまでのハンズフリー運転が可能なる」と述べている。

Qualcomm Technologies, Inc.(クアルコム・テクノロジーズ)のシニアバイスプレジデント兼オートモーティブ担当GMを務めるNakul Duggal(ナクル・ダガル)氏は、キャデラック車に搭載されるSnapdragon Rideを使ったUltra Cruiseシステムは「自動車業界にとって経験的にも技術的にも飛躍的な進歩となる」と述べている。

Super CruiseとUltra Cruiseの比較

Super Cruiseは、LiDARによるマッピングデータ、高精度GPS、カメラ、レーダーセンサーを組み合わせて使用する他、運転者が注意を払っているかどうかを監視するドライバー・アテンション・システムを備える。Super Cruise使用中にドライバーはハンドルに手を置いておく必要はない。しかし、目線はまっすぐ前方に向けていなければならない。

Ultra Cruiseは、より安定性が高く、より多くの道路で利用できるようになるかもしれないが、ドライバーが常に注意を払う必要があることに変わりはない。つまり「完全な自動運転」が可能なレベル4のシステムではないということだ。レベル4システムとは、特定条件のもとであれば、人間の介入を一切必要とせず、すべての運転操作を自動で行うことができる機能レベルのことで、GMの子会社であるCruise(クルーズ)などの企業が、ロボットタクシーへの適用を通じて実用化に取り組んでいる。

Ultra Cruiseは、Super Cruiseシステムの能力をさらに高めるように設計されている。また、Ultra Cruiseはカメラ、レーダー、LiDAR(LiDARのマッピングデータだけではない)の組み合わせを通して、車両周辺の環境を正確に360度、3次元で統計的に把握し、重要なエリアには冗長性を確保している。GMによればこの新システムでは、マッピングよりもセンサー類に大きく頼っているという。

これによってUltra Cruiseのシステムは、信号機への反応、ナビゲーションルートへの追従、制限速度の維持・遵守、自動およびオンデマンドによる車線変更、左折・右折、物体の回避、住宅地のドライブウェイへの駐車などを自動で行えるようになるということだ。

画像クレジット:GM

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(文:Kirsten Korosec、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

GMが「米国とカナダのすべての舗装道路」で使用可能になる新ハンズフリー運転支援システムを2023年より導入

General Motors(ゼネラルモーターズ)は、新しいハンズフリー運転支援システムを2023年に導入する予定だ。このシステムは、運転中に予想される状況の95%に対応でき、最終的には米国とカナダのすべての舗装道路で使用できるようになる。

GMは、米国時間10月6日から開催されている2日間の投資家向けイベントで、この新しい「Ultra Cruise(ウルトラクルーズ)」システムとそのいくつかの機能を発表した。ただし、GMはこのシステムの価格や使用料金、買い切り型になるのかそれともサブスクリプション制になるのかということは、明らかにしなかった。

GMは2017年に発表したハンズフリー運転支援システム「Super Cruise(スーパークルーズ)」を導入した際と同じように、今度も慎重にゆっくりと展開していく戦略を採るようだ。つまり、この新しいシステムはまず、高級車ブランドのCadillac(キャデラック)の新型車にオプションとして導入され、後にChevrolet(シボレー)やGMCなど、他のブランドでも徐々に利用できるようになるということだ。

関連記事:GMがアップグレードした自動運転支援システムSuper Cruiseを2022年に6車種に搭載へ

また、先代のシステムに比べればはるかに少ないものの、当初は利用できる場所が制限されることになる。Ultra Cruise搭載車の発売時には、まずは米国およびカナダの200万マイル(約322万キロメートル)以上の道路で、ドライバーはこのシステムを使用できる。GMによれば、使用できる道路は最終的に340万マイル(約547万キロメートル)にまで拡大される予定だという。Super Cruiseの初期仕様とは異なり、Ultra Cruiseは高速道路だけでなく、市街地や住宅地の道路、地方の舗装された道路でも利用できるように設計されている。

ただし、Super Cruiseがなくなるわけではない。最近では車線変更の自動化や牽引時のサポートもできるようにアップグレードされたこのシステムは、今後もGMの各ブランドのクルマにオプションとして提供される。

Super CruiseとUltra Cruiseの比較

Super Cruiseは、LiDARによるマッピングデータ、高精度GPS、カメラ、レーダーセンサーを組み合わせて使用する他、運転者が注意を払っているかどうかを監視するドライバー・アテンション・システムが搭載されている。Tesla(テスラ)の「Autopilot(オートパイロット)」運転支援システムとは異なり、Super Cruiseのユーザーはハンドルに手を置いておく必要はない。しかし、目線はまっすぐ前方に向けていなければならない。

この点はUltra Cruiseも同様だ。GMの自動運転グループでチーフエンジニアを務めるJason Ditman(ジェイソン・ディットマン)氏は、記者に向けた説明の中で、Ultra Cruiseがいわゆるレベル2の自動運転システムとして設計されていることを何度も指摘した。その機能はSuper Cruiseよりも信頼性が高く、より多くの道路で利用できるようになるにしても、ドライバーが常に注意を払っている必要があることに変わりはない。

つまり、Ultra Cruiseは「完全な自動運転」が可能なレベル4のシステムではないということだ。レベル4システムとは、特定条件のもとであれば、人間の介入を一切必要とせず、すべての運転操作を自動で行うことができる機能レベルのことで、GMの子会社であるCruise(クルーズ)などの企業が、ロボットタクシーという形を通じて実用化に取り組んでいる。

Ultra Cruiseは、Super Cruiseシステムの能力をさらに高めるように設計されている。Ultra Cruiseでは、カメラ、レーダー、LiDARの組み合わせを通して、車両周辺の環境を正確に360度、3次元で統計的に把握し、重要なエリアには冗長性を確保している。ただしGMでは、マッピングよりもセンサー類に大きく頼っているという。

このような仕組みによって、Ultra Cruiseシステムは、信号機への反応、ナビゲーションルートへの追従、制限速度の維持・遵守、自動およびオンデマンドによる車線変更、左折・右折、物体の回避、住宅地のドライブウェイへの駐車などを自動で行える。

さらにUltra Cruiseでは、フロントガラスの裏側に組み込まれたLiDARも使用する。この次世代システムを作動させるのは、5nmの拡張性が高いコンピューター・アーキテクチャで、これはGMの「Ultifi(アルティファイ)」ソフトウェア・プラットフォームや、車両ハードウェア・アーキテクチャ「VIP(ビークル・インテリジェンス・プラットフォーム)」と連携して機能する。

GMは先週、Ultifiという新しいエンド・ツー・エンドのソフトウェア・プラットフォームを開発しており、2023年から生産が始まる新型車に搭載すると発表した。同社によれば、このソフトウェアは、ドライバーがサブスクリプションで提供される車載機能を利用したり、無線アップデートを使って新しいアプリケーションやサービスを導入することが可能になるなど、広範囲にわたるさまざまな機能を提供できるようになるという。このソフトウェア・プラットフォームは、車両のデータ処理能力を向上させるハードウェア・アーキテクチャであるVIPの上に組み込まれる。

関連記事:GMが新しいソフトウェアプラットフォーム「Ultifi」を2023年から生産される次世代車に搭載

Super Cruiseと同様に、Ultra Cruiseにも車内カメラを使ったドライバー監視システムは搭載されることになる。さらに、GMはドライバーが必要とする情報を提供する新しいHMI(ヒューマン・マシン・インターフェース)を、Ultra Cruise搭載車に採用するとしており、これはドライバーが車両を操作する必要がある時にも使用される。その中心的な装備である「Ultra Cruise Dynamic Display(ウルトラ・クルーズ・ダイナミック・ディスプレイ)」について、GMではドライバーの視線の先に情報を直接表示できる「自由形式のディスプレイ」と表現している。

GMは、駐車時に車載センターディスプレイに表示できるUltra Cruiseアプリも開発している。このアプリは、ドライバーの統計情報、走行履歴などを見ることができるという。

画像クレジット:GM

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(文:Kirsten Korosec、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

自動運転用にレーダーの性能をソフトウェアで向上させるOculiiにGMが数億円規模の出資

レーダーセンサーの空間分解能を最大100倍に向上させることを目標としているソフトウェア開発スタートアップ企業のOculii(オキュライ)は、General Motors(ゼネラル・モーターズ)から新たに投資を獲得した。両社によるとその額は数百万ドル(数億円)に上るという。数カ月前にOculiiは、5500万ドル(約60億5000万円)のシリーズB資金調達を完了させたばかりだ。

関連記事:長い歴史を持つ自律走行車用レーダーの機能向上を目指すOculiiが60億円調達

OculiiとGMは「しばらく前から」協力関係にあったと、CEOのSteven Hong(スティーヴン・ホン)氏はTechCrunchによる最近のインタビューで語っている。GMがOculiiのソフトウェアをどのように使用するつもりなのかということについて、同氏は具体的に明かそうとしなかったものの、GMのハンズフリー先進運転支援システム「Super Cruise(スーパークルーズ)」の機能を強化するために使用される可能性が高い。Oculiiは他にもいくつかの自動車メーカーと協力しており、その中の一社からも出資を受けていると、同氏は付け加えた。

「GMのような企業が、これはすばらしい技術だ、これは将来的に使いたいと言ってくれれば、サプライチェーン全体が注目し、そのソリューションや技術を採用するために、より密接に協力してくれるようになります。それが自動車メーカーに販売されるというわけです」と、ホン氏は語る。

Oculiiは顧客の自動車メーカーのためにハードウェアを製造するつもりはない(ただし、協業しているロボット企業のためにはセンサーを製造していると、同社の広報担当者は述べている)。その代わり、Oculiiはレーダーを製造している企業に、ソフトウェアのライセンスを提供したいと考えている。ホン氏によれば、低価格で市販されているレーダーセンサー(自動運転用に設計されたものではなく、緊急ブレーキや駐車支援などの限定されたシナリオ用に設計されたセンサー)に、同社のAIソフトウェアを使えば、より自動運転的な機能を実現させることができるというのが、Oculiiの主張だという。

「拡張性の高いものを提供する方法はソフトウェアによるものだと、私たちは強く確信しています。なぜなら、ソフトウェアはデータによって根本的に改善できるからです」と、ホン氏はいう。「ハードウェアの世代が新しくなれば、性能がより向上したハードウェアに合わせてソフトウェアは根本的に改善されます。また、ソフトウェアは基本的に、時間が経てばハードウェアよりもずっと早く、安価になっていきます」。

今回のニュースは、レーダーにとって間違いなく好材料になるだろう。レーダーは画像処理に限界があるため、一般的に補助的に使用されるセンサーだ。しかし、LiDARよりもはるかに安価に売られているレーダーの性能を、Oculiiが実際に向上させることができれば、自動車メーカーにとっては大幅なコスト削減につながる可能性がある。

世界で最も多くの電気自動車を販売しているTesla(テスラ)は最近、その先進運転支援システムからレーダーセンサーを外し、カメラと強力な車載コンピュータによるニューラルネットワークを使った「ピュアビジョン」と呼ばれるアプローチを採用することにした。しかしホン氏は、テスラが廃止したレーダーは非常に解像度が低く「既存のパイプラインに何も追加するものではない」と述べている。

しかし、技術が進歩すれば、テスラも必ずしもレーダーを排除しようとはしないだろうと、ホン氏は考えている。「基本的に、これらのセンサーはそれぞれがセーフティケースを改善し、それによって99.99999%の信頼性に近づくことができます。結局のところ、それが最も重要なことなのです。信頼性を、できるだけ多くの9が並ぶ確率まで近づけることです」。

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画像クレジット:Oculii

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(文:Aria Alamalhodaei、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

GMとAT&Tが2024年モデルから一部の車両に5G接続機能を提供すると発表

General Motors(GM、ゼネラル・モーターズ)とAT&Tは、2024年モデルから、Chevrolet(シボレー)、Cadillac(キャデラック)、GMCの一部の車両に5G接続を導入する予定だと発表した。両社によると、これによりソフトウェアアップデートの信頼性が向上し、ナビゲーションやダウンロードが高速化され、道路上でのカバレッジも向上するとのこと。

5Gアーキテクチャーの導入は2019年モデル以降の4G LTE搭載のGM車にもメリットをもたらすと、経営陣はメディア向け説明会で述べている。一部のモデルの所有者は「利用可能になった時点で、新しいネットワークインフラに簡単に移行できる」と両社はニュースリリースで述べた。

GMのグローバルコネクテッドサービス担当VPであるSantiago Chamorro(サンティアゴ・チャモロ)氏は、米国時間8月18日に行われたメディア向け説明会で「AT&Tがインフラを改善することでパフォーマンスが底上げされ、2019年モデルイヤー以降の4G機能を搭載した車両も、パフォーマンス向上を実感できるようになるでしょう」と述べた。

5G技術は、さまざまな産業分野で速度の向上とレイテンシの低減を約束するものとして、多くの誇大広告を生み出した。この次世代技術は、今よりはるかに早く世界を変えるだろうと誰もが考えていた。しかし、ネットワークの展開が予想以上に遅かったこともあり、実際にはまだ実現していない。今回の発表は、少なくともAT&Tが、2024年までに「数百万台」のコネクテッドカーに対応できるだけの5Gネットワークを構築すると考えていることを示す明確なシグナルであるといえる。

GMのグローバルコネクテッドサービス担当エグゼクティブディレクターであるTom DeMaria(トム・デマリア)氏は、この性能向上のためにGMが車両に大幅なソフトウェアアップデートを強いる必要はなく、車両は「シームレスに移行される」と付け加えた。

多くの自動車メーカーの市場計画では、より高速で信頼性の高いコネクティビティが鍵を握っている。これらの計画では、オーディオシステムから(EVの場合は)バッテリーまで、すべての機能を維持するために、ほぼ全面的に複雑な車載ソフトウェア機能とワイヤレスネットワークでの無線アップデートが必要となる。また、先進運転支援システムのような、自動車メーカーがドライバーに対して差別化を図るためのもう1つの重要な手段となりつつある技術にとっても、コネクティビティは重要な鍵となる。

GMは、SAEレベル2の機能を備えた「Super Cruise(スーパークルーズ)」と呼ばれるシステムを開発中だ。このシステムは、一定の条件を満たし、ドライバーが常に注意を怠らなければ、一時的に車両をコントロールすることができる。これは、Tesla(テスラ)のAutopilot(オートパイロット)に対するGMの回答と考えられるが、Autopilotと同様、決して「自動運転」ではない。これらの技術に加え、インフォテインメントなどの機能はすべて、GMがビークルインテリジェンスプラットフォームと呼ぶ、基盤となるハードウェアアーキテクチャーの下で動作する。

「ネットワーク接続は、GMがハードウェアとソフトウェアの両面で行っていることをうまく補完してくれるイネーブラーです」とチャモロ氏は付け加えた。

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画像クレジット:zf L / Getty Images

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(文:Aria Alamalhodaei、翻訳:Aya Nakazato)

GMがアップグレードした自動運転支援システムSuper Cruiseを2022年に6車種に搭載へ

GM(ゼネラル・モーターズ)は自動の走行レーン変更やの牽引サポートなど3つの大きなアップグレードをハンズフリー自動運転支援システムSuper Cruiseに加え、2022年に発売するGMC Hummer EVを含む6車種で利用できるようにする。

GMは2017年の導入以来、着実にSuper Cruiseを改良してきた一方で、ここ何年も同社のラグジュアリーなブランドCadillacへの搭載に限定してきた。機能改良と搭載車両の追加は、ChevroletとGMCブランドのピックアップトラックの所有者にテクノロジーを使って機能を販売する同社の意欲、そしておそらく準備が整ったことを示している。

GMがSuper Cruiseを立ち上げたとき、利用できたのはCadillacのフルサイズのCT6セダンのみで、使用は中央分離帯のある高速道路に限定されていた。それは同社がSuper Cruiseの提供を拡大すると発表した2019年から変わり始めた。そしていま、Super Cruiseは米国の長さにして20万マイル(約32万km)超の道路で利用できる。

そしてGMはさらに拡大する計画だ。2023年までに同社は今後発売するEV、Cadillac LyriqやGMC Hummer SUVを含む22種の車両にSuper Cruiseを搭載することを目指している。

同社は米国時間7月23日、ドライバーの介入なしに作動する自動レーン変更機能をSuper Cruiseに加えると明らかにした。改良されたSuper Cruiseのこの機能は、2022 Cadillac Escalade、Cadillac CT4、Cadillac CT5、Chevrolet Silverado、GMC Hummer EV Pickup、GMC Sierraで利用できるようになる見込みだ。同社はまた、ドライバーがボートやキャンピングカーを牽引しながらハンズフリーアシスタンスシステムを利用できるようにする新機能も開発し、導入する。この牽引機能は牽引能力を持つ2022年モデルの車両でのみ提供される。そしてSuper Cruiseが使える高速道路をドライバーに示す車載ナビゲーションをアップデートした。

Super CruiseはLiDARマップデータ、高精度GPS、カメラ、レーダーセンダー、そしてハンドルを握っている人が注意を払っていることを確認するドライバーアテンションシステムで構成される。TeslaのAutopilotドライバーアシストシステムと異なり、Super Cruiseのユーザーはハンドルに手を置く必要はない。だが、視線は進行方向に向けている必要がある。

Super Cruiseの自動車線変更機能ではドライバーは道路を見ておかなければならない。システムがオンのとき、ドライバーは車線を変更する意思を示すためにウィンカーを操作しなくてもいい。代わりにシステムがドライバーに知らせ後に車線を変更する。システムはゆっくり走る車両を追い越すのにも他のレーンを使う。

関連記事:GMがハンズフリー運転支援システムのSuper Cruiseに車線変更機能を追加

ボートやキャンピングカー、トレイラーを牽引するときはドライバーが介入する自動レーン変更がデフォルトとなる。

こうしたアップデートのすべてはVIP(vehicle intelligent platform)というGMの新しいデジタル車両プラットフォームで可能になっている。VIPはこれまで以上の帯域幅とデータ処理力を提供し、エンジニアがSuper Cruiseの能力に追加できるようにしている。VIP電動アーキテクチャを備えた車両は無線ソフトウェアアップデート経由でSuper Cruiseに機能を加えることが可能だ。つまり、一部の2021年モデル、具体的にはCadillac Escaladeはこうしたアップデートを取り込める。

VIPを搭載していないために、2022年Chevrolet Bolt EUVなどいくつかの車両はSuper Cruiseの異なるバージョンを持っている。結果として、Bolt EUVはこうしたアップデートは受けられない。

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カテゴリー:モビリティ
タグ:GM自動運転Super Cruise

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(文:Kirsten Korosec、翻訳:Nariko Mizoguchi

キャデラックのフラグシップ全電動車「リリック」は約650万円から

全電動クロスオーバーCadillac Lyriq(キャデラック・リリック)は、GMの高級車ブランドのフラグシップだ。2022年初めに米国市場に投入されるが、最低価格は6万ドル(約650万円)を少し下回ることに決まった。

諸費用を除いたこの車両価格は、リリックの量産モデルに関して発表された具体的な内容のうち、最後に残されていたものだ。GMが最初にリリックの展示用モデルと公開したのが2020年8月だった。水曜日、同社は量産モデルの最終仕様とともに、価格も発表となった。

リリックは、GMが2025年までに販売を予定している電気自動車30車種のうちの1つに過ぎない。これはキャデラックにとって極めて重要な車両であり、販売が低迷しているこのブランドの新たな標準になることを目指している。GMが大々的に発したメッセージは、この車の発売は間近であり、2021年9月より予約販売の招待状を含むメッセージを送信する、というものだ。

リリックは当初、2022年後半から米国で生産される予定だった。しかし、仮想開発ツールと車両の土台となる柔軟なUltium(アルティアム)プラットフォームを使えば開発をスピードアップできると幹部たちは考えた。

このUltium電気アーキテクチャーとUltiumバッテリーは、GMのキャデラック、ビュイック、シボレー、GMCの各ブランド、さらにCruise Origin(クルーズ・オリジン)自動運転シャトルにも幅広く使われることになっている。このモジュラー式アーキテクチャーは、19種類の異なるバッテリーとドライブ系の設定変更が行える。400ボルトと800ボルトのパックに対応し、容量は50キロワット時から200キロワット時まで。前輪駆動、後輪駆動、全輪駆動の構成も選べる。

2023年型キャデラック・リリックの充電ポート(画像クレジット:Cadillac)

後輪駆動のリリックは、100キロワット時のバッテリーパックを搭載し、キャデラック内部の見積もりでは300マイル(約483キロメートル)以上の走行が可能だという。EPA電費はまだ公開されていない。またリリックは190キロワットでの急速充電にも対応する。10分間で76マイル(約122キロメートル)走れるだけの充電ができる計算になる。家庭での充電用には、19.2キロワットの充電モジュールが用意される。同社によれば、これを使うと1時間の充電で52マイル(約83キロメートル)走れるという。

GMでは「ブラッククリスタル」グリル、33インチの縦型LEDタッチスクリーン、AKGサウンドシステムなど、そのエクステリアとインテリアに豪華さがにじみ出るクルマを目指した。流れるようなルーフラインと幅広のボディーは、現代的で挑発的な外観をかたち作っている。この「ブラッククリスタル」グリルには、オーナーが近づくと歓迎の気持ちを表す「振り付けされた」LED照明など、ダイナミックな機能が組み込まれている。LED照明は、分割されたテールランプ・デザインでリアにも続いていく。

エクステリアとインテリアのカラーは2種類。ボディーはサテンスティールメタリックまたはステラ・ブラックメタリック。内装はスカイクールグレーまたはノワールとなる。また、金属の装飾にレーザー彫刻を施した木材をあしらい、内装を仕上げている。

画像クレジット:Cadillac

リリックには、GMのハンズフリー運転支援機能であるSuper Cruise(スーパー・クルーズ)も装備される。これは、ライダーによるマップデータ、高精度GPS、カメラ、レーダーセンサー、さらにハンドルを握る人の集中力を監視するドライバーアテンションシステムを組み合わせたものだ。Tesla(テスラ)のAutopilot(オートパイロット)と違い、Super Cruiseのユーザーはハンドルに手を置いておく必要がない。ただし、視線はまっすぐ前を向いていなければならない。

GMのシボレー・ボルトのように、リリックにも、ワンペダルドライブと説明される機能が装備される。電気自動車には、通常回生ブレーキ機能が備わる。リリックでも、車両の減速率や完全停止の状態を、ハンドルに設けられた感圧パドルでコントロールできる。

このクルマは、テネシー州スプリングヒルにあるGMの組み立て工場で生産される。GMによれば、この工場を電気自動車の生産に対応させるために20億ドル(約2160億円)を投じたという。GMと合弁事業パートナーであるLG Energy Solution(エナジー・ソリューション)は2021年4月、23億ドル(約2480億円)をかけて、バッテリーセル生産工場をスプリングヒルの組み立て工場の隣に建設するとも発表している。

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カテゴリー:モビリティ
タグ:GMキャデラック電気自動車Super Cruise

画像クレジット:Cadillac

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(文:Kirsten Korosec、翻訳:金井哲夫)