電動ピックアップトラックの戦いが過熱する中、GMがミシガンの4工場に約7970億円投資

General Motors(ゼネラルモーターズ)は、野心的なEV生産目標の達成を目指してバッテリーセルと電動トラックの製造に特化したミシガン州の4工場に70億ドル(約7970億円)超を投資すると発表した。ここにはパートナーのLG Energy Solutions(LGエナジー・ソリューションズ)との3つ目の工場も含まれる。

GMは、この投資計画で4000人の新規雇用を創出し、それとは別に1000人の雇用を維持するとしており、計画にはミシガン州ランシングにあるUltium Cellsバッテリーセル工場とミシガン州オリオンタウンシップのGMの組立工場の改造というすでに発表済みの2拠点への投資も含まれている。

3つ目の新しいUltiumバッテリーセル製造工場も、増え続けるEV特化施設のリストに加わる。26億ドル(約2960億円)が投じられるこのセル工場は、ミシガン州ランシングのGMから借りた土地に建設される予定だ。GMによると、280万平方フィート(約26万平方メートル)の施設の敷地造成が今夏開始され、工場は2024年後半にオープンする予定だ。この工場からミシガン州のOrion AssemblyおよびGMの他のEV組立工場にバッテリーセルが供給される。

LG EnergyとGMの合弁会社であるUltium Cellsは、この施設がフル稼働した場合、50ギガワットアワーのバッテリーセル容量になると予想している。2社はすでに、オハイオ州とテネシー州に建設中の2つのバッテリーセル製造拠点を計画している。

一方、オリオン工場はChevrolet SilveradoのEVと電動GMC Sierraの生産に使用される予定で、これはGMにとってフルサイズの電動ピックアップを生産する2つめの組立工場となる。GMのFactory Zero(旧称デトロイト・ハムトラック)は、GMC Hummer EVピックアップおよびSUV、Chevrolet Silverado電動ピックアップトラック、そして電動の自律走行ロボットタクシーCruise Originなど、GMが今後発売する一連のEVピックアップの生産も行う予定だ。

GMは、2025年末までに北米で100万台以上の電気自動車生産能力を持つことになると述べた。特に注力しているのはEVピックアップトラックで、これはGM、Ford(フォード)、そしてRivian(リビアン)のような新規参入企業が競合する分野だ。

画像クレジット:GM

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(文:Kirsten Korosec、翻訳:Nariko Mizoguchi

GMがディーラーと協力してEV充電ステーション4万基を北米で設置

General Motors(ゼネラル・モーターズ)は、電気自動車の導入を促進するため、7億5000万ドル(約853億円)を投じて充電インフラを整備するという野心的な計画の一環として、北米全域に最大4万基の電気自動車用充電器を設置すると発表した。


このプログラムでは、GMは米国およびカナダの自動車ディーラーに充電器を提供する。しかし、ディーラーは自社の敷地内に充電器を設置するのではなく、適切な場所を特定してインフラの設置を行う。GMは、各ディーラーに最大10基のUltium充電ステーションを提供し、それぞれの地域に配備する。また、ディーラーが充電器を設置するためのインセンティブやその他の資金調達プログラムへの申請を支援するとしている。

GMのEVインフラ担当リードアーキテクトであるAlex Keros(アレックス・ケロス)氏はTechCrunchに「ディーラーはすでに地元で活動していることが多く、この計画(Dealer Community Charging Programと呼ばれている)でGMはディーラーと提携することにしました」と語った。「ディーラーはすでに地域社会でかなり活発に活動しており、すばらしい関係を築いて地域社会のことをよく知っているので、それを活用しない手はありません」。

新しいインフラは「Ultium Chargers」と呼ばれ、GMの明確なブランド名を持つことになるが、TeslaのSuperchargingネットワークと違ってGMの4万基の新しいレベル2充電器は独自のネットワークではない。ケロス氏は、電気自動車の販売を促進するために、独占的なネットワークを展開することには興味がない、と明言した。

「我々の世界観は、『誰でも参加できる 』というものです。私たちは、海を育てるようにしたいのです」。

GMはまた、EV充電器メーカーのCTEKと共同で開発・製造した家庭用および業務用のUltium Level2スマートチャージャー3種を展開する。このうち2種は11.5kW、残る1種は19.2kWで、間もなく発売予定の電気自動車GMC HummerやCadillac Lyriqへの電力供給に最適だ。これらの充電器は、Dealer Community Charging Programで使用されるが、家庭での使用にも適している、とケロス氏は話した。

充電器にはWi-FiとBluetooth機能が搭載され、より強力なタイプにはカスタマイズ可能なスクリーンが搭載される。また、充電器は負荷を分散することができ、車両へのエネルギーの流れを安全に調整することができる。例えば、住宅に設置した場合、自動車と他の家電製品との間の電流のバランスを取ることができる。

GMのアプリ「Ultium Charge 360」を使えば、充電器の状態を把握したり、充電スケジュールを設定したりすることができ、充電の習慣や履歴などの統計情報を閲覧することも可能だ。このアプリではすでにGreenlots、Blink、FLO、ChargePoint、EVgo、EV Connect、Greenlots、SemaConnectなど北米の7つのネットワークの充電器を検索することができる。GMは、GM車と非GM車の間で充電体験がどのように異なるかについて詳細は明らかにせず、すべてのEVに対応するとだけ述べた。

GMは、コミュニティ充電プログラムの開始に合わせて、来年には充電器の販売を開始する予定だ。顧客は充電器の購入費用をGMファイナンシャル・リースや契約に組み込むことができる。

同社は、2025年末までに全世界で30種のEVを発売するという目標を掲げている。同年までにEVと自動運転技術に350億ドル(約3兆9810億円)を投資する計画を立てており、その実現に向けて迅速に動いている。

関連記事:GMが3.8兆円をEV開発へ投資、従来の計画に8850億円上乗せ

先の記者会見で、会長兼CEOのMary Barra(メアリー・バーラ)氏は「入手しやすい価格のEV、真に手ごろ価格のEVを提供します。またそうした車両は多くの人々にとって唯一の自動車となり、信頼できる充電インフラを必要とするため、当社はエコシステムにも取り組んでいます」と述べた。

画像クレジット:General Motors

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(文:Aria Alamalhodaei、翻訳:Nariko Mizoguchi

【レビュー】GMC Hummer EVにしびれる。3つのモーターと四輪操舵ですばらしいスピードとハンドリングを実現

11万ドル(約1230万円)のGMC Hummer EV(ジーエムシー・ハマー・イーブイ)は、最高のオフローダーであるとともに、高級セダンの快適さとスポーツカーのスピードを併せ持つ、欲張りなマッシュアップだ。そしてトラックとしての荷台を備える。GM(ゼネラルモーターズ)は、この車をスーパートラックと呼ぶが、そのとおりだろう。

GMのテストコースでHummer EVを運転してみて、いくつかのことがすぐにわかった。まず、この巨大なHummer EVは、十分なパワーと優れた四輪操舵のおかげで、運転が楽しい。次に、インフォテインメントシステムと運転席のメーターパネルは美しいが、非常に込み入っており、時折表示に遅れが生じる。最後に、Hummer EVは、GMの「Ultium(アルティウム)」プラットフォームが、いかに新規性のある機能や特徴を車に持たせることができるかを示す、絶好の例となっている。

GMの広報担当者は、筆者に運転させる前、あまり大きな期待は抱かせなかった。GMは、Hummer EVの運転や操作の仕方についてのみ説明し、具体的な車両の仕様、性能、入手状況などについては答えられないとしていた。カメラの使用は禁止され、筆者の携帯電話にセキュリティテープを貼るほどだった。筆者がHummer EVを運転したのはわずか30分だけで、すべてミシガン州ミルフォードの僻地にあるGMの試験場奥地でのことだ。

留意すべきは、その試走は量産前の車両で行われたということだ。必要なものはすべて揃っているといわれたが、一部の内装材や付加的な騒音防止材など、いくつかの部材が欠けていた。

Hummer EVで岩場を越えたり、未舗装の道路を突っ走ったり、GMの高速テストコースで時速95マイル(時速約153 km)を叩き出したりした。そして、いろいろなことがわかった。Hummer EVは、どこへでも行けて、何でもできるクルマだ。岩場を登ることも、狭い駐車場に入れることも、大人5人とその荷物を快適に運ぶこともできる。3秒で時速60マイル(時速約97 km)に達し、四輪操舵のおかげで、見た目よりもずっと小回りが利く。

GMCHummer EV、2021年9月25日土曜日、ミシガン州ミルフォードにあるゼネラルモーターズのミルフォード試験場にて(画像クレジット:Steve Fecht for GMC)

四輪操舵が最高

Hummer EVには、楽しい仕掛けがある。この大きな幅広の車は、道路上をのろのろと走り出すが、それはあっという間に軽快な走りに変わる。電気モーターと四輪操舵により、ピックアップトラックよりも軽快に走り、大型クロスオーバー車よりも応答性が良い。つまり、Hummer EVはピックアップトラックではなく、頑丈で幅広のスポーツカーのような走りをする。

往年のハマーは、耐久性のあるトラックのように、圧倒的なパワーが感じられた。このHummer EVもやはり止めることのできない感じがあるが、今では高速道路でも山奥の小道でも同じように快適に走ることができる。購入者は、Hummer EVの性能のために快適さを譲歩する必要はない。過去のハマー(そして現在のJeep[ジープ]や4Runner[フォー・ランナー])は、オフロード性能のためにオンロードでの乗り心地を犠牲にしていたが、Hummer EVでは何も失われていないように見える。あるボタンを押せば、岩場を登り、別のボタンを押せば、ほとんどのスポーツカーを凌駕する走りを見せる。

その公式は、3つの電気モーター+四輪操舵だ。これは秘密の公式というわけではなく、Tesla(テスラ)のCybertruck(サイバートラック)にも同じ組み合わせが搭載されている。

Hummer EVの四輪操舵のインパクトは簡単には語れない。後輪は最大10度まで舵角を変えることができ、全モデルに標準装備されている。「CrabWalk(クラブウォーク、カニ歩き)」と呼ばれる最も極端な使用例では、四輪操舵により、まるで氷の上のように左右に滑るように動き、5人乗りのピックアップトラックというよりも後輪駆動のフォークリフトのような感覚で走行することができる。

後輪操舵は1980年代に登場したが、当時はスポーツカー以外にはほとんど採用されなかった。しかし、2000年代初頭から再度使われ始め、GMは2002年から2005年までハーフトントラックのSuburban(サバーバン)とSilverado(シルバラード)に搭載していた。現在では、いくつかのセダンに搭載されており、一部のモデルでは2~3度、超高級モデルでは最大10度の転舵が可能だ。これらのシステムは、一部の購入者に向けた高価なオプションだが、Hummer EVでは標準装備されており、その機能と魅力に欠かせないものとなっている。

また、この四輪操舵により、Hummer EVは同等のサイズの車よりもはるかに小回りが利く。転回は速く、バックも楽になり、大型SUVというよりファミリーセダンのように扱えるピックアップトラックだ。回転半径は37フィート(約11 m)で、フルサイズピックアップのシボレー・シルバラードよりもコンパクトカーのシボレー・ソニックに近い。

このシステムを試せたのはほんの数分だけだったが、四輪操舵に慣れが必要ということもなく、タイトな転回を補うために自分のドライビング感覚を調整する必要もなかった。自然に機能し、自然に感じられた。後部座席ではこの違いを感じられるかどうか気になるところだ。

四輪操舵は、デフォルトでアクティブになっているが、オフにすることもできる。高速道路を走行しているときには、Hummer EVの前輪と後輪は同位相で動くため、けん引するトレーラーの揺れがなくなり安定するという(検証する機会があるとよいのだが)。

この四輪操舵機能により、Hummer EVは斜めに走ることができる。クラブウォークを作動させるには、ドライバーが車を止めて、いくつかのメニューボタンをクリックする必要がある。一旦作動させると、前輪と後輪が連動して転舵するようになり、今までにない感覚で車を横へ向かって走らせることができる。ハンドルを左に切れば、車体は左斜めに滑るように移動する。車の前部が左に向くのではなく、車両全体が左に流れて行くのだ。四輪操舵はスピードを出すためのものではなく、駐車やロングドライブを快適にし、見る者を感動させるためのシステムだ。そして、これまでにはない感覚だ。

デトロイトで開催された2021年のWoodward Dream Cruise(ウッドワード・ドリーム・クルーズ)においてGM社員がHummer EVの能力を示す熱いデモを行っている。その様子は以下の動画をご覧いただきたい。

Watts to Freedom=WTFモード

Hummer EVは、本気を出せば、とんでもない加速を見せる。Watts to Freedom(ワッツ・トゥ・フリーダム、WTF)モードと呼ばれる発進モードはすばらしく、ドライバーは3秒で時速60マイル(時速約97 km)に達する。これは超絶な速さだ。標準的な車両モードでの普通の発進でも、Hummer EVはスムーズに加速するが、WTFモードのようにドライバーをシートに貼り付けるほどではない。

どのような車でもこの加速があるだけですばらしいことだが、5人乗りのピックアップトラックでそれを実現するのは、さらに衝撃的だ。この四輪駆動のピックアップは、余裕の駆動力によりロケットのような勢いで飛び出していく。これは、テスラのModel X(モデルエックス)など、他の電気自動車からも受けるスタート感覚に似ている。

通常の走行モードでは、Hummer EVのトルクは抑えられているが、それでもなおドラッグレースにも足りる十分な速さがある。加速はモニターされた上で制御されており、このチューニングの精度は評価に値する。

Hummer EVのワイドなボディは、安定した乗り心地につながっている。試験場の裏道でHummer EVを走らせ、砂利道ではテールを振ってみた。アグレッシブなコーナリングでは、車体はしっかりとフラットを保ち安定している印象を受けた。バンクのあるテストコースでも、他の車と同じようにしっかりとした頑丈さが感じられた。トラックの底部に詰め込まれたバッテリーにより、重心は低く保たれ、Hummer EVは、以前のガソリンモデルのようにトップヘビーになることはなかった。

高速周回コースでは、何もしなくても時速90マイル(時速約145 km)に達した。無理をしている様子はなく、アクセルを踏めばあっという間にスピードに乗る。Hummer EVは、ラングラーの35インチ(約89 cm)の巨大なタイヤで道路を疾走し、最高のクルーズを提供する。また、タイヤノイズも気にならない。

Hummer EVは静かではない。アクセルを踏むと、2つの音が聞こえてくる。3つの電気モーターがうなる音と、より鈍重で電気ノイズのように聞こえる人工的な回転音だ。オフロードモードでは、増えたロードノイズをかき消すほど、人工的な音が大きくなる。しかし結局のところ、不快ではないと感じた。これらの音は激しくなく、常にバックグラウンドに溶け込んでいる。GMのエンジニアは、ドライバーが音によるフィードバックを必要とし、無意識のうちに期待していると同社は判断したと説明する。

筆者はHummer EVで数十の大きな岩を乗り越えるボルダリングを試した。乗り越えられたか?もちろん。難なく?そうでもない。Hummer EVは岩の上を滑り、トラクションを維持するのに苦労した。念のためにいっておくと、今回の試走は、GMがビーチボール大の岩を多数敷き詰めたテストコースで行われ、10フィート(約3 m)のセクションを試すことができた。Hummer EVのオフロード性能を結論づけるには、今回の体験だけでは足りないだろう。

工業製品的な使用感

インフォテインメントシステムについては、あまり詳しく見る機会がなかった。それでも、いくつかの発見はあった。1つは、Epic(エピック)のUnreal(アンリアル)グラフィックエンジンのおかげで、このシステムが美しいことだ。ビデオゲーム用に開発されたUnrealエンジンのこの特別なビルドを使用したのは、Hummer EVが初めてだ。このシステムは美しいが、量産前のテスト車両ではラグがあり、入力に反応するまで、常に数秒を要した。これは、画面上でオプションを選択しても、機械的なコントローラー(テレインセレクトのダイヤルなど)を使用しても同じだった。

また、インフォテイメントのデザインは、表示は美しいものの、複雑で込み入っており、いかにも人工的な工業製品のようだ。GMのエンジニアは、大げさなアイコンやメニューを多数使ったインターフェイスにより、画面のグラフィック能力を誇示しようとしたのではないだろうか。グラフィカルな要素は、使いやすさよりも見た目の美しさを重視しているように見える。

GMは、Hummer EVのカメラの性能のデモに熱心だった。車両には18台のカメラが搭載されており、そのうちの数台は車体の下に取り付けられている。これは、不整地を走行するときやトレーダージョーズで駐車するときにドライバーをサポートするためのものだ。これらのカメラは公表されている通りに機能し、一部のカメラには汚れを除去するクリーナーが内蔵されている。

また、GMがエアコンのボタンをタッチスクリーンのメニューに含めるのではなく、物理的なボタンとして残しているのはうれしいことだ。テスラやRivian(リビアン)など、他のEVメーカーは、温度設定ダイヤルやシートヒーター、さらにはベントの向きのコントロールさえもタッチスクリーンに追いやっているが、Hummer EVでは、そうした操作のためにロッカースイッチが並んでいる。

運転席からの視界はすばらしく、ドライバーは、遠くまで見渡すことができる。運転席と助手席の足元と上部には十分なスペースが確保されており、広々としている。後部座席は足元が若干狭くなっているが、それでもワイドボディのおかげで余裕がある。フルサイズSUVといえば、前は広く、後ろは狭いというものだろう。

新しい電動パワートレイン

GMは、Hummer EVのパワートレインの詳細を公表している。Hummer EVエディション1は、ユニボディのフレームに24モジュールのバッテリーシステムを搭載している。これは、GMが2020年3月に発表したUltiumプラットフォームを、同社で初めて採用したものだ。

関連記事:GMが電気自動車戦略のコアとなるモジュラー式アーキテクチャー「Ultium」を公開

3つのモーターを搭載するメリットはいくつかある。これらの電気モーターにより、ハマーの前後輪両軸に電子制御式のディファレンシャル機構を装備することができ、低トラクション時に効果を発揮する。前輪には「eロッカー」を搭載し、後輪の2つのモーターは物理的には接続されていないがソフトウェアによって仮想的にロックされており、トルクベクタリングにより4輪のトラクションを制御でき、各タイヤの駆動や停止はミリ秒単位で制御できる。

Hummer EVのバッテリーについて、バッテリーが原因で二度のリコールを行ったChevy Bolt(シボレー・ボルト)に使用されているバッテリーパックと同様のものではないかと聞いてみた。GMの広報担当者は、GMはLG(エル・ジー)と共同でセルを開発しているが、Hummer EVのパックはミシガン州デトロイトのブラウンズタウン工場で製造しており、このバッテリーはボルトに使われているものよりも新しいセル化学を採用していると説明した。最終的には、オハイオ州ローズタウンにLGと共同で設立した施設でUltium電池を製造する予定だという。

残る疑問

Hummer EVには、筆者が試乗や使用できなかった機能が満載されている。例えば、GMの自動運転モードの最新版である「スーパークルーズ」では、高速道路での車線変更が可能になった。また、自動でタイヤの空気を抜く機能や、26インチ(約66 cm)の水深でも走行できる機能、100マイル(約161 km)の走行に必要な充電を10分で行う機能なども搭載されているという。残念ながら、ルーフパネルを外したり、いわゆるフランクに収納された状態を見たりすることはできなかった。また、インフォテインメントシステムも詳しく見てみたい。没入感は得られそうだが複雑そうでもある。

GMは、Hummer EVのいくつかの点について公表しておらず、今回の試乗でもほとんど何も明かされなかった。価格の詳細と入手状況は未だ不明だ。EPA(米国環境保護庁)の公式な航続距離評価は未発表であり、牽引力や運搬能力もまだわからない。

日頃から大型トレーラーを牽引している筆者には、Hummer EVは運搬や牽引のために作られたものではないように感じられた。パワーはあるが、ユニボディのフレームとエアサスペンションが、シボレー・シルバラード1500やFord(フォード)F-150よりも低い牽引力を物語っている。Hummer EVの牽引力は、ハーフトン・ピックアップ(8000~1万2000ポンド[約3600~5400 kg])よりもフルサイズSUV(6000~8000ポンド[約2700~3600 kg])に近いと推測している。もしそうであれば、Hummer EVはATV(四輪バギー)や小型ボートのトレーラー、そしてカーゴトレーラーなどは牽引できるということだ。しかしその仕様では、トラベルトレーラーについては小型か超軽量タイプ以外を牽引することはできないだろう。また、荷物を運ぶことがバッテリーの航続距離にどう影響するのかについても不明だ。

電気自動車革命

ここからは実際の状況だ。GMはナーバスになっている。Hummer EVは2020年10月に発表され、2021年秋にはディーラーに並ぶ予定だった。2021年10月現在、自動車産業に影響を与える世界的なサプライチェーンの危機に加え、同社のもう1台のEVであるシボレー・ボルトのバッテリーのリコールに思いの他注力しなければならない状況だ。関係者によると、GMは、シボレー・ボルトにおいて2回のバッテリーリコールを行ったことにより、消費者からの信頼について神経質になっているという。

ハマーのEV劇場の主役は、GMのUltiumプラットフォームだ。GMが2020年にEVの青写真を発表した際には、後輪駆動、前輪駆動、全輪駆動など、バッテリーと駆動ユニットの組み合わせにより19種類の構成で車両を作ることができるとしていた。また、400ボルトと800ボルトのバッテリーパックも用意するとし、このデザインはこのアメリカ最大の自動車メーカーに多くの選択肢を与えることを意味している。ハマーのEVは、そのUltiumプラットフォームの能力を実地で示す概念実証だ。もしそれが、Hummer EVの圧倒的なスピードと優れた操縦性を実現するのであれば、ロードスター、クロスオーバー、または7人乗りのファミリーカーに何が提供できるかも明白だ。

Hummer EVは、GMの仰々しく、注目を集めるスーパー電気自動車として成功している。最新のHummer EVは、これまでのハマーと同様に法外であり過剰だ。GMが何か特別な電動ピックアップトラックを作ったことは、ほんの数分でわかる。大きくて、重い電気自動車でありながら、とてつもないスピード、本格的なオフロード性能、充実した荷室容量など、すべてを備えている。Hummer EVにはすべてが詰まっている。

画像クレジット:GMC

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(文:Matt Burns、翻訳:Dragonfly)

GMは「本当に手頃な価格のEV」でテスラの市場シェアを狙う

General Motors(ゼネラルモーターズ)は、米国時間10月6日に開催した投資家向けイベントにおいて、フルサイズの電気自動車ピックアップ「Chevrolet Silverado(シボレー・シルバラード)」を中心とした今後のEVポートフォリオを発表した。

GMはこれまでにも電気自動車「シルバラード」を発表していたが、今回の発表では、一部のモデルに固定式ガラスルーフを採用することや、2022年1月に開催されるCESでデビューするといったいくつかの追加情報を発表した。シルバラードは、Ford(フォード)のF-150 LightningやRivianのR1Tに続いて電動トラック(米国で最も売れている車種の1つであるにもかかわらず空席が目立っていた)分野に参入する。

しかしながら、GMがこのトラックをどのように販売し、どのような顧客を想定しているのか、その詳細はまだ明らかにされていない。「GMのMark Reuss(マーク・ルース)社長は、10月6日に行われたメディアブリーフィングで「誰をターゲットにするかは、トラックを見れば一目瞭然です。長年にわたってピックアップトラックに起こってきたマイクロセグメンテーションを見てみると、さまざまなユーザーがいます。我々がターゲットとするピックアップトラックの購買層は1つではありません」と述べている。

GMは自社ブランドであるChevy(シボレー)とBuick(ビュイック)のクロスオーバーに加え、GMC Hummer(GMCハマー)のピックアップとCadillac(キャデラック)のLYRIQ(リリック)クロスオーバーを発表した。これらの車両は、2025年までに350億ドル(約3兆8990億円)を電動化と自律走行技術に投資し、10年後までに収益を倍増させるという同社計画の一環となる。

これらの目標を達成するために、GMがどれ程度苦しい戦いを強いられるかはわからない。他の自動車メーカーと同じく、GMも第3四半期の売上高は惨憺たるものだったが、その理由として半導体の供給不足が続き、製造や車両の納入に支障をきたしていることを挙げている。レガシーな自動車メーカーとは対照的に、Tesla(テスラ)社の第3四半期における売上は非常に好調で、車両出荷台数と過去の台数の予想を上回っている。

しかし、GMのCEOであるMary Barra(メアリー・バーラ)氏は、テスラの顧客になりそうな人たちの一部を誘い出すために、手頃な価格のEV、つまり「人々にとって本当に手頃な価格のEV」を提供することを強調している。「私たちは、そのような顧客を魅了できると信じています」と述べている。彼女とルース氏は、GMには顧客のロイヤルティ、強力な製造能力、幅広いディーラーネットワークなど、EV市場で有利な立場に立つための利点があると付け加えている。

また、GMは、韓国のLG Energy Solutionsと提携して製造している「Ultium」バッテリー電気推進プラットフォームが、今後発売される車両の競争力を高めると考えている。例えば、電気自動車のシボレー・シルバラードの航続距離は400マイル(約643.7km)だ。

画像クレジット:General Motors

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(文:Aria Alamalhodaei、翻訳:Katsuyuki Yasui)

GMの電動配送トラック部門「BrightDrop」が中型バンを発表、最初の顧客はVerizon

General Motors(GM、ゼネラルモーターズ)の配送トラック事業部門であるBrightDrop(ブライトドロップ)は、同社が商業・配送分野のラストマイルに焦点を当てる中、猛烈な勢いで売り込みを続けている。米国時間9月28日、BrightDropは2番目となる運搬車両をラインアップに加えることを発表した。予定されている最初の顧客は通信の巨人Verizon(ベライゾン)だ。

さらにGMは、主力車種のEV600バンの最初の量産準備が完了したことを発表した。FedEx(フェデラルエクスプレス)は年内に車両の受け取りを開始する(注文数は500台)。会社の歴史上最速の車両販売プログラムだとGMは声明で言った。

同社はEV600の2番目の顧客としてMerchants Fleet(マーチャンツ・フリート)を獲得しており、同社は2月に1万2600台購入すると発表している。

そしてVerizonは、新しい中型車EV410を現場保守とサービス部隊の一部で使用する。Verizon、GMともに発注の規模は明らかにしていない。

新しいバンは、積載容量400立方フィート(11.3立法メートル)で車体の全長は20フィート(6メートル)弱。GMはこの車両について、都市部などの混み合った場所で、特にオンライン食料品配達や通信保守業務などを行うのに適しているという。

同社は、EV600を使うことで車両管理部門は内燃機関車と比べて年間7000ドル(約78万円)節約できるという。

2車種とも、同社のUltium(アルティウム)バッテリープラットフォームを使用しており、航行距離は250マイル(402km)、重量は1万ポンド(4.5トン)以下。EV410はEV600に続いてカナダ、オンタリオ州インガーソルにあるGMのCAMI組立工場で製造される。GMは初期の少数生産についてはミシガン州の米国サプライヤーと提携するという。CAMI工場が2022年11月からのEV600増産への転換を行うためだ。

画像クレジット:General Motors

2021年初めのBrightDropの発表は、商業・デリバリー分野のラストマイル確保を進めるGeneral Motorsの市場機会の多様化に対する関心の強さを表わすものだった。そのために同社は、CAMI工場をカナダ初の電動デリバリー・バン製造施設に転換するために、約10億カナダドル(約879億円)を投資すると語った。

貨物・デリバリー向け電動車分野がGMをはじめとする自動車メーカーにとって膨大な機会であることは間違いない。Verizonは、FedExやUPSなどと同様、事業による炭素排出量の削減さらには完全除去を目指す多くの企業の1社だ。

画像クレジット:General Motors

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(文:Aria Alamalhodaei、翻訳:Nob Takahashi / facebook

GMがハマーEVなどの動力源となるモーターの詳細を発表

General Motors(ゼネラル・モーターズ)は、近日登場するUltium(アルティウム)バッテリーの能力については多くの時間を割いて語ってきたが、このバッテリーが動かすモーターについては多くを語ってこなかった。米国時間9月21日、それが変わった。同社は新しいUltium Driveモーターの詳細について語った。この日発表されたシリーズは3つのモデルからなる。180kW前輪駆動モデル、255kW後輪・前輪駆動モデル、および62kWの全輪アシストモーターだ。最初の2つは永久磁石モーターでGMは重希土類への依存度を減らすために設計した。

それぞれのモデルの具体的なトルクや出力密度について同社は言及しなかったが、それぞれに関して「完璧な」性能を提供するという。さらに同社は、2022 Hummer EV(2022年型ハマー EV)が255kWモデルを3基搭載することを明らかにした。GMは3基のモーターが合わせて1万1500ft/lb(1万5592 Nm)のトルクを生み出し、同車が時速0から60マイルまで約3秒で加速すると説明した。

GMは、同社のエンジニアが安定性を念頭においてモーターを設計したと語った。3種類とも同じようなツールと生産技術を用いてつくることができる。また、パワーインバーターなどの部品を直接モーターに統合することが可能で、それによってコストを削減し製造を単純化できるという。

編集部注:本稿の初出はEngadget。著者Igor Bonifacic(イゴー・ボニファシック)氏はEngadgetのコントリビューティング・ライター。

画像クレジット:GMC

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(文:Igor Bonifacic、翻訳:Nob Takahashi / facebook

GMとLG化学の2つめのEVバッテリー工場は2023年後半開所予定

GM(ゼネラル・モーターズ)とLG Chem(LG化学)は米国時間4月16日、米国で2つめとなるバッテリーセル工場を設置する計画を発表した。23億ドル(約2500億円)をかけてテネシー州スプリングヒルに建設し、GMが2020年代半ばまでに立ち上げる計画の電気自動車(EV)30モデルに搭載するセルを生産する。

GMの既存のスプリングヒル工場の隣に設置されるプラントの建設は間もなく始まる、と同社の会長兼CEOのMary Barra(メアリー・バーラ)氏は記者会見で述べた。バッテリー工場は2023年後半に完成し、1300人を新規雇用する。

フル操業するようになれば、ジョイントベンチャーの2つのバッテリー工場の生産能力は70GWhを超える。これはネバダ州にあるTesla(テスラ)のギガファクトリーの2倍だとLG化学エネルギーソリューションのCEOであるJong Hyun Kim(キム・ジョンヒョン)氏は指摘した。ネバダ州スパークスにあるTeslaの工場は部分的にパナソニックとの提携によるもので、生産能力は35GWhだ。

GMのEVへのシフトの基礎となるのはUltiumプラットフォームと、スプリングヒル工場で作られる予定のUltiumリチウムイオンバッテリーだ。これらの新しいバッテリーはレアアースのコバルトの使用が少なく、現在のGMのバッテリーよりもエネルギー密度が高くて小型であるために効率のいい共通セルデザインとなる、とバーラ氏は話した。

「この多用途性は、幅広い車種により多くのバッテリーパワーを搭載し、顧客に良い価格で提供できることを意味します。何百万という顧客がEVを所有できるようサポートするEVテクノロジーにおける真の革命であり、暮らしや世界を変えます」。

GMは少なくとも10年間、リチウムイオンとエレクトロニクスのサプライヤーとしてLG化学を使ってきた。両社は2009年から協業を始めた。GMがChevy Bolt EVを開発して発表した際に両社の関係は深まった。2019年にGMとLG化学はバッテリーセルを大量生産するために合弁企業を立ち上げ、GMはEVへと軸を移し始めた。当時、両社は新しい合弁会社に最大23億ドルを投資し、オハイオ州北東部のローズタウンエリアにある製造工場敷地にバッテリーセル組立プラントを設置し、1100人超を新規雇用すると述べていた。

ローズタウンのUltium Cells LLCバッテリーセル工場製造施設の鉄骨工事は2020年7月に始まった。同工場は300万平方フィート(約27万8700平方メートル)の広さがあり、Ultiumバッテリーセルとパックを大量生産する。ローズタウン工場の年間生産能力は30GWhだ。

GMの基礎を成す電動アーキテクチャとともにローズタウン工場で生産されるバッテリーは、Cadillac、Buick、Chevrolet、GMCブランド、そして2020年1月に発表された自動走行シャトルCruise Originなど幅広いプロダクトで使用される。Cadillac Lyriq EVと、今秋発表され、2021年第4四半期に生産が始まる全電動のGMC HummerはUltiumバッテリーシステムを搭載する。GMはLyriqを2021年8月6日にバーチャルイベントで発表する計画だ。

「Ultium」と呼ばれるこのモジュラーアーキテクチャ(バッテリーと同じ名称だ)は19種のバッテリーとドライブユニットのコンフィギュレーション、容量50kWh〜200kWhの400〜800Vのパック、そして前輪・後輪・四輪駆動のコンフィギュレーションに対応する。新しいモジュラーアーキテクチャの核心は新工場で製造される大判ポーチのバッテリーセルとなる。

カテゴリー:モビリティ
タグ:GMLG化学工場電気自動車バッテリーUltium

画像クレジット:GM

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(文:Kirsten Korosec、翻訳:Nariko Mizoguchi