セコイアキャピタルがインド・東南アジア向けに1450億円でベンチャーファンドとグロースファンドを設立

Sequoia Capital India(セコイアキャピタル・インド)は米国時間7月6日にLP(リミテッド・パートナー)から13億5000万ドル(約1450億円)を調達し、新たなファンドを2つ設立することを発表した。著名なベンチャーキャピタルは世界第2位のインターネット市場である東南アジアへの投資を強化しようとしている。

2つの新規ファンドである5億2500万ドル(約560億円)のベンチャーファンドと8億2500万ドル(約890億ドル)のグロース(成長株)ファンドは、インドと東南アジアで運営する同ベンチャーファンド にとって、地域のスタートアップエコシステムを包括的に支援するために重要な存在だ、とSequia Capital IndiaのマネージングディレクターであるShailendra Singh(シャイレンドラ・シン)氏は語った。

「資金の調達は、非営利団体や基金、慈善団体が大部分であるSequoiaのリミテッドパートナーに、魅力的なリターンを提供するための責任である。我々は分野を代表する企業を設立している並外れた起業家と協力してこれを推進している」と同氏はいう。

Sequoia Capital Indiaは、元Google India(グーグル・インディア)のトップであるRajan Anandan(ラジャン・アナダン)氏と元Uber India(ウーバー・インディア)の責任者であるAmit Jain(アミット・ジェイン)氏を2019年に雇用し、同年に50件以上の投資を完了した。これはイmンドのどのVCよりも多い。

2019年インドVC上位、実施した投資の回数に基づく。画像クレジット:InnoVen

同社は14年前にインドでの投資を始め、2018年にはインドおよび東南アジア向けに6億9500万ドル(約750億円)のファンドを設立した(未訳記事)。同地域で6件目のファンドだった。

Sequoiaのインド・東南アジア部門である同社は、近年いくつか目立った投資を行っており、教育テックの巨人で現在時価総額105億ドル(約1兆1300億円)の(未訳記事)Byju’s、ライトシェアリング大手のGoJek、eコマースプラットフォームのTokopedia、シンガポールのeコマーススタートアップであるZilingoとフィンテックのスタートアップであるPineLabs、eラーニングのスタートアップであるUnacademy、フィンテック企業のRazorPay、小売業向け帳簿サービスのKhatabookなどが投資先として名を連ねる。2019年にSequoia Capital Indiaは、 インドのホテルスタートアップであるOyoの持ち株を大部分売却した。これまでにインドと東南アジアで11社のユニコーンを支援してきた。

Sequoiaの新規ファンドは、新型コロナウイルスパンデミックによる企業の崩壊(未訳記事)で一部の投資家が関心を失ったをときに登場した。インドの1人あたり収入は未だに世界最低クラスであり、ここ数年改善されていない。

「厳しい競争が頻繁に繰り返されるため、当地のスタートアップは短期間に健全な成長を果たすのに苦闘しており、非常に大きな損失を被る例も多い。このために大規模なテック系企業の出現が妨げられている。こうした課題に加えて、インドのスタートアップはNASDAQなどの海外証券取引所に上場するための制度的フレームワークを持たない。こうした市場環境の中で、ほとんどのスタートアップが非上場を続けているため、資金調達は成功の条件になっている」とSequoiaのシン氏はいう。

「これは別の方法を選ぶチャンスだと信じている。我々のエコシステムは分岐点に来ている」。

画像クレジット:Sequoia India

2019年にSequoia Capital Indiaは、アーリーステージのスタートアップを対象としたアクセラレータープログラムであるSurgeを立ち上げた(未訳記事)。これまでに約50社のスタートアップがSurgeに参加しており、一部のアナリストは当地におけるY Combinatorの魅力を減少させたとTechCrunchに話した。

インドではいくつかのベンチャーキャピタルが積極的に投資を行っており、2019年にインドではスタートアップ企業が新記録となる145億ドル(約1兆5600億円)の資金を調達した。ほとんどのインフラストラクチャーが未だに整備中のインドでは、巨人たちが将来の主要企業になるための早期投資を行う機会を得ている。

Flipkartに早期投資を行ったTiger Globalは、2019年だけでB2B事業を行うインドのスタートアップに何枚もの小切手を書いた(未訳記事)。General Atlanticはインド最大の通信会社であるReliance Jio Platformsに多額の投資をした。 Posus Venturesは、フードデリバリーのスタートアップであるSwiggyの初期投資家である(未訳記事)。そしてAccelは、6回目のベンチャーファンドを5億5000万ドル(約590億円)の規模でインド向けに2019年設立した

これは、中国投資家からの資金調達に苦心しているインドのスタートアップにとって朗報だ。Sequoiaを早期投資家として期待しているZomatoは、2020年1月に新規ラウンドでAnt Financialから1億5000万ドル(約160億円)を調達したことを発表した。フードデリバリースタートアップの同社は1億ドル(約110億円)の資金を獲得した、とZomatoの別の投資家であるEdgeが2週間前の決算会見で語った。

関連記事:政治問題をよそにSequoia Capitalが米中投資向けに約3700億円を調達

画像クレジット:David Paul Morris / Bloomberg / Getty Images

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

女性起業家を支援するために女性が設立したVictress Capitalが2つ目のファンドを組成

米国における起業の40%は女性によって行われているが、彼女たちが受け取っているベンチャー資金はわずか3%に過ぎない。このような極端な資金のギャップが、チャンスに悪影響をもたらす可能性があることを理解するためには数学の才覚は不要だが、もし自分が数学に関心があって、長年投資家を続けてきていて、しかもたまたま女性で、他の男性たちよりも特定の商品や提案をよく理解しているなら、役立つ場面もある。

これが2016年にボストン郊外でVictress Capital(ビクトレス・キャピタル)を創設した2人の女性、Lori Cashman(ロリ・キャッシュマン)氏とSuzanne Norris(スザンヌ・ノリス)氏はそう考えていた。Victress Capitalは消費者に目を向けたシードならびにアーリーステージファームで、その2つ目のファンドを2200万ドル(約23億7000万円)で組成したばかりだ。ファンドの目的は性別に多様性のあるチーム(すなわち創業者チームに少なくとも1名の女性がいるチーム)を支援することだ。

キャッシュマン氏はデューク大学の卒業生で、投資家としてのキャリアを重ねてきた。以前はオーナービジネス専門に投資を行うプライベートエクイティ会社のLinear Capital(リニア・キャピタル)を共同創業したこともある。一方、ハーバード大学から2つの学位を取得したノリス氏は、投資銀行アナリストや経営コンサルタントを務め、Kate Spade(ケイト・スペード)では、ほぼ4年に渡って副社長としてeコマースに注力した。

親しい知人だった2人が、自分たちの「認知の多様性」を高めるたちに協力したのが始まりだったとキャッシュマン氏は語る。2人は実績を打ち立てるために、友人や家族から200万ドル(約2億1500万円)をかき集めた。

最終的に彼女たちはそのお金を、10万ドル(約1100万円)から15万ドル(約1600万円)の資金として14のスタートアップに提供した。それらのいくつかは既に買収されている。無音で装着可能な搾乳器を販売するMoxxly(モクスリー)は、2017年に大手搾乳器メーカーであるMedela(メデラ)に買収された。2019年夏にその製品は終了してしまった(Crunchbase記事)が、キャッシュマン氏とノリス氏は、Randi Zuckerberg(ランディ・ザッカーバーグ)氏もその1人である投資家たちがお金を取り戻すことができて、当時非常に強力な戦略的パートナーのように思われていた会社に買収されたことは嬉しかったと述べている。2番目のポートフォリオ企業であるWerk(ワーク)は、シカゴを拠点とするスタートアップであるThe Mom Project(ザ・マム・プロジェクト)に非公開の条件で最近売却された(AmericanInno記事)。

その他の投資先には、これまでに投資家から4300万ドル(約46億円)を調達した消費者直送の有機食品デリバリービジネスのDaily Harvest(デイリー・ハーベスト)、これまでに400万ドル(4億3000万円)を調達したより暗い肌の色合いの女性に対応する化粧品会社であるMented Cosmetics(メンテッド・コスメティクス)、そしてこれまでに300万ドル(約3億2000万円)を調達したLAを拠点としたオーガニックベトナムコーヒーを製造する若いスタートアップのCopper Cow Coffee(コパ・カウ・コーヒー)がある(調達額はいずれもCrunchbaseによる)。

こうした経緯を経て、より大きなファンドの組成のアイデアが生まれた。Victressの若いポートフォリオが成熟するにつれ、若い革新的なスタートアップたちに投資するのはもちろん、ブレイクした成功企業たちに、より多くの投資をできるようにするためだ。実際、その目的に向けて、Victressはそのチームにここ数年資金を積み上げていたのだ(その最新の資金の大部分は家族から得たもだった)。そして2020年2月に、VictressにKate Castle(ケイト・キャッスル)氏が加わった。長年Flybridge Capital Partners(フライブリッジ・キャピタル・パートナーズ)のマーケティングパートナーを務め、後にXFactor Ventures(エクスファクター・ベンチャーズ)をパートナーとして共同創業した人物だ。2018年には以前Victressのインターンで、現在は副社長に就任しているハーバード・ビジネス・スクール(HBS)卒業生のMadeline Keulen(マデリーン・キューレン)氏も採用した(ノリス氏の経歴とネットワークにより、Victressはハーバード大学ならびにHBSとの間にある種の契約を結んでおり、普段HBSの学生をインターンとして受け入れている)。

チームや新しい資金を集めるのは簡単ではなかった。ノリス氏は冗談めかして、その2000万ドル(約21億5000万円)を、機関投資家の視点から「無人の土地」だと呼ぶ。ファンドの組成は終わったばかりだが、そのための資金集めは2018年の後半から始まっていて、新しい投資資本の25%に相当する資金が既に7つのスタートアップに投資されている。

そして、彼女たちは長期的な取り組みをしており、その過程で行った関係構築は将来報われると考えている。この2つ目のファンドをフォローしている機関投資家たちや、これまでに共同投資を行った国内のVCたちの両方から、多様性のある創業者チームを抱えるスタートアップを検討する際に、Victressに声がかかるようになったのだ。

もちろん、投資先の大成功も役立つはずだ。それが実現するかどうかを今知ることは不可能だが、現在チームはミネアポリスを拠点とする、あるスタートアップに対して特に関心を向けているようだ、Rae(レイ)という名のスタートアップは、精力増強ビーガンビタミンのマーケティングを行っているが、製品は消費者への直販を行うだけでなく、パンデミックの最中も営業を続けた大手小売のTarget(ターゲット)でも販売スペースを確保している

それは非常に貴重なスペースだが、Raeがその確保に成功したのは共同創業者でCEOであるAngie Tebbe(アンジー・テベ)氏が、過去12年にわたってTargetチェーンのビューティ&ウェルネス部門のプライベートラベル製品を監督する、マーチャンダイジングシニアディレクターとして勤めていたからだ。

Raeの製品は価格も手頃で、同社のビタミンは30日分で14ドル(約1500円)だが、これは多くの類似製品の約半分以下の価格だ。

これが、Victessがこのスタートアップにこれほど熱心な理由の一部だ。Victressは、テクノロジーを活用した消費者サービス、マーケットプレイス、デジタルネイティブブランドに焦点を当てている。しかし、最後発のスタートアップが注目を集めたいのならば、「本物で、大多数の米国人にとって手頃な価格帯」も備えたほうが良いだろうとキャッシュマンは語る。「それが私たちにとって重要なのです」。

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(翻訳:sako)

秘密のデータを扱うスタートアップPalantirが秘密裏にIPOを申請

Peter Thiel(ピーター・ティエル)氏が共同設立した秘密のビッグデータとアナリティクスのスタートアップであるPalantirは、米国時間7月6日午後にこれまた秘密裏に上場申請の書類を米国証券取引委員会に提出した。

同社の発表声明は「上場はSECの審査が終わった後、市場などの状況次第で行われるものと思われる」と簡潔なものだった。

Palantirは上場予定日や発行株数、IPOの株価幅といった情報は何も提供していない。IPOを秘密申請することで企業は、財務数値や潜在的なリスクなどの内情がわかってしまう従来のIPO申請の仕組みを回避することができる。さらに上場のための初期段階でマスコミなどに詮索されることなく探究できる。この戦略はSpotifyやSlack、Uberなどでも採用されているが、秘密書類は必ずしもIPOにはつながるわけではない。

Palantirのスポークスパーソンは、上記以上のコメントを拒否している。

Palantirはシリコンバレーで最も秘密性の強い企業の1つで、主に米国政府と諜報関連部門にビッグデータとアナリティクスを提供している。その業務の多くは、プライバシーや人権関連の活動家からの物議を醸し出してきた。例えばいくつかの調査によると、同社のデータマイニングソフトウェアが移民のプロフィール作成に利用され(未訳記事)、その結果としてICE(移民税関捜査局)が国外退去の取り組みを支援した。

新型コロナウイルス(COVID-19)の世界的な流行にともないPalantirは、同社のビッグデータ技術でウイルスや感染者の追跡ができると売り込んでいる。

先週Palantirは4年間で初めてのフォームDを申請し、9億6100万ドル(約1030億円)を調達していることを発表した。その提出文書によると5億5000万ドル(約590億円)は調達済みで、残りの割当に対する資本のコミットメントも確保されているという。

本日のニュースによれば、キャッシュの調達は同社の上場意思にとって補完的なもののようだ。ある記事では、同社の評価額を260億ドル(約2兆8000億円)と推計している(CNBC記事)。

Palantirの申請は、多くの企業の申請が新型コロナウイルスで凍結しているにもかかわらず、IPOの市場が再び熱を帯び始めていることの例の1つだ。先週は保険プロバイダーのLemonadeが好成績で公開市場にデビューした(未訳記事)。ヘルスケアのAccoladeも同様に予想より多くの株を売った(PR Newswireリリース)。

画像クレジット:Jason Alden/Bloomberg / Getty Images

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

神奈川県が新型コロナによる社会課題の解決に挑むスタートアップを募集開始

神奈川県 ビジネス・アクセラレーター・かながわ(BAK) かながわ・スタートアップ・アクセラレーション・プログラム(KSAP)

神奈川県は7月3日、新型コロナウイルス感染症の影響により生じた社会課題の解決などに取り組むスタートアップ企業などによるプロジェクトを募集し、「新しい生活様式」の実行・定着に資する新たなサービスの開発を支援すると発表した。7月14日14時~15時にオンライン説明会を開催する。

募集内容は、ビジネス・アクセラレーター・かながわ(BAK)による「新型コロナに係るイノベーション創出推進委託(オープンイノベーション型)」、かながわ・スタートアップ・アクセラレーション・プログラム(KSAP)による「社会価値型スタートアップ向けアクセラレーションプログラム(スタートアップ型)」の2種類。

審査・採択を経たプロジェクトに対しては、BAKまたはKSAPが開発・実証の支援を行い、社会課題の解決を図るサービスの早期事業化を目指す。

7月14日開催のオンライン説明会への申し込みは、「【BAK/神奈川県】新型コロナに係るイノベーション創出推進委託の公募に関する説明会」を参照。

新型コロナに係るイノベーション創出推進委託(オープンイノベーション型)

BAKの新型コロナに係るイノベーション創出推進委託(オープンイノベーション型)では、ベンチャー企業中心に複数企業などが連携し、新型コロナにより生じる課題の解決を行うなど、神奈川県において新しいビジネスモデルを構築するプロジェクトを募集を行う。

審査・採択したプロジェクトに対して、県が開発・実証にかかる費用を支援(最大1100万円)するとともに、県運営のBAKにおいて事業化を支援する。

「新しい生活様式」の定着・普及に資するプロジェクトの想定例として、地元店舗や大手物流などとの連携による自宅での買い物サービス、AR・VRなどを活用した大規模オンラインイベントや、在宅での買い物体験サービスなどが挙げられている。

想定例以外にも、新型コロナの収束後に成長・発展が見込まれる領域をテーマとしたプロジェクトなども対象としている。

    • 募集期間: 8月7日まで
    • 主な応募要件:
      ・「新しい生活様式」の実行・定着に資するサービスなどの開発・実装を行うプロジェクト(事業計画)であること
      ・ベンチャー企業中心に、複数企業が連携して取り組むプロジェクトであること(今後の連携見込みも含む)
      ・構成法人のうち、少なくとも1社は県内に本店・支店・営業所などを有すること
      ・令和2年度(2020年度)内にサービスなどのプロトタイプ開発を完了すること
    • 主な支援内容:
      ・ベンチャー企業と大企業との連携事例のマネジメント経験を有し、調整に長けたコーディネーターが事業化に向けた助言・調整など個別支援を行う
      ・採択プロジェクトのうち、特に有望なものは、3件程度×1100万円(上限額)の範囲内で開発・実証費用を支援
    • 応募方法などの詳細: 【公募】新型コロナに係るイノベーション創出推進委託(オープンイノベーション型)

神奈川県では、県内に拠点を持つ大企業と、質の高いベンチャー企業による事業連携プロジェクトの創出、オープンイノベーションに向けたコミュニティ形成を目的に、大企業・ベンチャー企業・研究機関・支援機関などが参画する協議会としてBAKを運営。

大企業の経営課題から導き出したテーマなど「テーマ」単位で、オープンイノベーションに向けたプロジェクト組成を支援するとともに、組成されたプロジェクトの事業化をコーディネーターが支援している。

社会価値型スタートアップ向けアクセラレーションプログラム(スタートアップ型)

KSAPによる社会価値型スタートアップ向けアクセラレーションプログラム(スタートアップ型)では、ビジネスを通じて社会の課題を解決するスタートアップを公募・選抜。4ヵ月にわたるアクセラレーションプログラム・メンタリングやネットワークによる支援などを通じ、社会価値の実現と事業拡大を支援する。

プログラム実施期間は、12月20日まで(WEWORKオーシャンゲートみなとみらい、またはオンラインでの開催)。ウィズコロナ時代に求められる新しいサービス・製品の開発に取り組む採択企業に対し、開発実証費用として最大税込み110万円の支援も行う。

想定例としては、リモートワーク支援、オンライン医療・教育、自宅でのバーチャル観光体験やオンラインフィットネスサービスなどが挙げられている。

  • 募集期間: 8月11日まで。7月23日までに応募した者に限り、応募事業について、運営事務局より事業成長に向けたフィードバックコメントをメールなどで送付する。フィードバックを受け、8月11日までに再提出することも可能
  • 主な応募要件:
    ・「新しい生活様式」の実行・定着に資するサービスなどの開発・実装を行うプロジェクト(事業計画)であること
    ・県内に本店を有するスタートアップ企業が行うプロジェクトであること(起業準備者については、支援期間内に法人登記を行うことが条件)
    ・令和2年度(2020年度)内にサービスなどの実証を完了すること
  • 主な支援内容:
    ・個別課題の解決に向けたメンタリングや資金調達に向けたベンチャーキャピタルとのマッチングなど、アクセラレーターと呼ばれる担当者が伴走型の支援を行う
    ・採択プロジェクトのうち、特に有望なものは、10件程度×110万円(上限額)の範囲内で開発・実証費用を支援
  • 応募方法などの詳細: エントリー / 募集要項(KSAPエントリー案内)

KSAPは、世の中の困りごと・解決しにくい社会の課題を、ビジネスを通じて解決するスタートアップを公募・選抜し、メンタリングやネットワークによる支援などを通じて社会価値の実現とスタートアップの事業拡大を支援するプログラムとなっている。

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Contrary Capitalは次なるテック界の大物への投資を狙う

Tesla、Reddit、SoFi、Twitchから資金を集めたContrary Capital(コントラリー・キャピタル)は、輝く「テックマフィア」らとどのように協業すべきか、ある程度は知っている。今では、他の誰よりも先に彼らに投資したいと考えている。

サンフランシスコのファンドでありアクセラレーターでもある同社は、これまで学生起業家に投資してきたが、ここへ来て最高の創業者はキャリアを歩み始めたばかりの従業員であるというアイデアに賭けようとしている。Contrary Capitalは米国時間7月1日、次の大きな賭けとなる「Contrary Talent」を正式に立ち上げた。これはファンド内の新部門で、キャリア初期の人々と学生が抱くテクノロジーへの野望を育てる狙いで投資や支援を行う。

Contrary Capitalの創業者であるEric Tarczynski(エリック・タルシンスキー)氏は、新たな取り組みは同社にとって方向転換ではないと述べたが、キャリア初期のプロフェッショナルらが今後数年でポートフォリオの大部分を占めることになっても驚かないと付け加えた。

同社は一流のハイテク企業の一流のエンジニア、デザイナー、マネージャーを発掘し、メンターシップや就職コンサルティングのために、ハイテク企業のトップオペレーターと引き合わせる。スタートアップの従業員が提案資料を作成する前や、さらにいえば作成する方法を知らなくても、その道の達人に接する機会を提供する。

Contrary Talentのメンバーとして認められグループに参加するには、Contrary Capitalの100を超えるベンチャーパートナーまたはスカウトからの紹介が必要だ。同社のベンチャーパートナーネットワークは過去4年間、大学のキャンパスでContrary Capitalの人材発掘を支援してきたが、今後はキャリア初期の人材にも重点を置く。

目標は最終的に多様な人材を獲得することだ。そのため現在、Contrary Capitalのベンチャーパートナーネットワークの40%が女性、60%が非白人で構成されていることは悪くない。

Contrary Talentはまた、この秋にHBCU(歴史的黒人大学)でベンチャーパートナーチームを立ち上げ(どの大学かは明らかにしていない)、存在感を高める。

Contrary Talent立ち上げ発表と同時に、Contrary Capitalはこのファンドの新部門を率いる人材として、TriplebyteのタレントヘッドだったEllis Briery(エリス・ブリーリー)氏を採用したと発表した。

候補者が紹介されると、Talentコミュニティに加入する前に複数回の選考面接を受ける必要がある。メンバーになると就職の機会、メンターシップ、年に一度のリトリートへの招待、会社を創業すると決めた場合は資金提供を受けることができる。

このプログラムはこれまで6カ月間未公表で運営され、現在150人のメンバーが在籍する。Contrary Talentは毎年およそ100人の新メンバーの加入を認める。そして就職情報に関する軽めの継続的学習、キャリアパスについての1対1のトレーニング、テック業界のトップの人材とのAMA(Ask Me Anything、質問セッション)がある。カリキュラムは不定期で、少しずつだが継続的に行われる生きた学習だと考えて欲しい。

Contraryの創業者であるタルシンスキー氏は、Talentのメンバー向けに資金を確保してあると述べたが、金額は明らかにしなかった。Contraryの管理資産は数千万ドル(数十億円)台前半だ。

「プログラムの長期的な性質のため、またTalentのメンバーが現在起業しているかどうかに関係なくサポートしたいため、複数のファンドからTalentメンバーが起業した企業に投資する」とタルシンスキー氏は語った。現在のファンドからの投資の約33%がTalentコミュニティ向けだと同氏は見積もった。

「率直にいって、Facebook(フェイスブック)のような会社が(果実として)木から落ちてくるようなことは期待していない」と同氏は語った。

Talentは、Contrary Capitalが2016年に創業されて以来、学生向け投資以外の初めての動きとなる。

「時間が経つにつれ、またテクノロジーキャンパスの現場でより多くの時間を費やすにつれ、若い創業者の数が増えていることだけでなく、テクノロジーに関心のあるトップエンジニア、デザイナー、プロダクトヘッドの数も増えることに気付いた」と同氏は述べた。

画像クレジット:Bryce Durbin / TechCrunch

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(翻訳:Mizoguchi

元Salesforce Ventures浅田氏が独立系VCのOne Capital設立、1号ファンドは50億円規模でスタート

6月30日に東証マザーズに上場したばかりのグッドパッチに、名刺管理のSansan、会計・人事労務クラウドのfreee、アプリ開発SaaSのヤプリ、マニュアル作成「Teachme Biz」を提供するスタディスト、そしてイベントサービスのEventHub、受付システムのRECEPTIONIST……これらのスタートアップには、SaaS提供企業であることのほかにもう1つ共通項がある。セールスフォース・ドットコムの投資部門、Salesforce Venturesから資金調達を実施していることだ。

Salesforce Ventures Japan Headとしてこれらの企業への投資を行ってきた浅田慎二氏が、今年3月にセールスフォース・ドットコムを退職し、4月に独立系ベンチャーキャピタルOne Capitalを設立した。同社は7月7日、1号ファンド「One Capital 1号投資事業有限責任組合」の組成と投資活動開始を発表している。

写真左からOne Capital代表取締役CEO・General Partnerの浅田慎二氏、取締役COO・General Partnerの坂倉亘氏

スタートアップ投資に加え事業会社の変革も支援

One Capitalの創業者は、浅田氏と、ボストン・コンサルティング・グループでManaging Director & Partnerを務めていた坂倉亘氏の両名だ。

浅田氏は伊藤忠商事、伊藤忠テクノロジーベンチャーズを経て、2015年にセールスフォース・ドットコムに入社。Salesforce Ventures Japan Headに就任して、述べ10年以上にわたりスタートアップ投資と投資先の支援を行ってきた。また坂倉氏はボストン・コンサルティング・グループで戦略コンサルタントとして、大企業のデジタル変革を約20年間、支援してきた人物だ。

One Capitalでは、VCとしての投資の機能を主に浅田氏が受け持ちつつ、「大企業がイノベーションにアクセスできるように、長期間伴走して、企業変革の手伝いをしたい」(浅田氏)ということで、一部の出資者には坂倉氏がハンズオンで企業の変革を支援するという。

「これまでの日本のスタートアップでは、大企業を足がかりに成長する、あるいはエグジット候補として事業を成長させていくといったオプションは、広がってこなかったところがある。米国では7割のスタートアップを大企業が買収してエグジットする。日本でもそういう選択肢をつくっていきたい。また、大企業と取り組むマーケティングやPoCの成功例が少ない。技術力のあるスタートアップを大企業をきちんとつなげて、スタートアップの成長を支援すると同時に、大企業の変革も推進していくということができないかと考え、サービスを提供し始めている」(坂倉氏)

「VCとしてスタートアップへの出資はもちろん行っていく。同時にLPからお金を集めて出資し、スタートアップのIPOを目指すというだけでなく、出資いただく日本の事業会社に対して、スタートアップにアクセスするという以上、情報提供以上のバリューを出せないかということを考えていた」(浅田氏)

日本のスタートアップ・出資者は「メソッド不足」

浅田氏はSalesforce時代、投資先に対して、SaaS業界でも最も成功した企業の1つであるSalesforceの成長メソッドとして書籍にもなった、SaaS企業が取り入れるべき営業オペレーションの方法論「THE MODEL」を伝えてきたという。

「SaaSを売るときには“営業部”というくくりではなく、4つの役割に分けましょう、というのがTHE MODELの形。日本のアカウント営業はこの対極にあって、ある企業の担当になったら最初から最後までやるのが美徳となっている。これは間違ってはいないが、効率が悪い。特に中堅・中小企業を相手とするスタートアップで、顧客数百社に対して集客・電話営業・クロージング・フォローの4つの営業プロセスを1人でやろうとすると、スケールしない」(浅田氏)

浅田氏は「Salesforceの成長の方法論は、先進的で科学的だった」と述べている。「グローバルで成長している会社のメソッドを投資先に注入してきて、実際に急成長したファクトがあった。Sansanやfreee、ヤプリ、TeachmeBizなど、投資してから5年で売上高が20〜30倍に伸びている」(浅田氏)

浅田慎二氏

Salesforceでは、CVCを運用する他の事業会社からも「参考にして運用したい」との相談もあったという浅田氏は「グローバルでCVCを10数年運用してきたSalesforceは、サステナブルな方法論でやっている。つまり打ち上げ花火を1発上げて終わりというのではなく、会社の従業員、役員、顧客のすべてに沿う方法論を採っている。こういうやり方は、時価総額100兆円といった信じられない数字を持つ、欧米の企業からまだ日本企業が学べることがあるのではないかと考えた」と話している。

「日本からグローバル企業が出ない理由には諸説あるが、僕は“メソッド不足”だからだと考えている。スタートアップも大きな事業会社もそうだが、欧米の先進的なIT会社が伸びている理由をかみ砕く形で、出資者にも伝えるし、スタートアップにも伝えたい。成長メソッドをスタートアップにも大企業にも提供するような、新しいVCを立ち上げたいと思ったのが、今回の創業の背景だ」(浅田氏)

スタートアップと事業会社との関わりといえば、6月30日、公正取引委員会が「スタートアップの取引慣行に関する実態調査」として、スタートアップを対象としたアンケート結果等、中間報告を発表している。この報告によれば、スタートアップの約15%が他社から納得できない行為を受けた経験があると回答している。

スタートアップと事業会社、CVCとの関係について浅田氏は「CVCの5年間では、なぜ投資するのかを大切にしていた」と述べ、「Salesforceでは、既存顧客に役に立つ追加機能を持つ会社を発掘して、業務提携し、投資していた。自社ではグローバルで追加できないが必要な機能がSansanの名刺管理やfreeeのクラウドにはあった。自分たちでは作らないが、必要な企業を探すのが僕の役割だった」と振り返る。

「パクりなどの問題が発生する根本的な問題は、事業会社側がなぜ投資しているのか、誰のためにやっているのかの定義が顧客を向いていないから。自社のターゲット顧客のためのベンチャー投資という位置付けにするのが、長期的にCVCが日本に根付いて反映する、絶対的な法則だと思っている」(浅田氏)

また補完的な提携・出資でなく、圧倒的に欲しい事業があるなら「100%買収でやるべき」と浅田氏。「買収をしたら、買収した会社の統合のため、PMI(Post Marger Integrate:買収後統合)の組織が必要。これを欧米の企業、ウォルマートやディズニーといった企業は戦略投資部門というのを立ち上げてやり始めている。(今の日本では)誰のためのCVCなのか、何のための買収なのかが極めてあいまいな状況になっているように見える」と述べ、「そこをやはり定義すべきではないか」と話している。

坂倉亘氏

坂倉氏からは「テクニカルには、ベンチャーが企業とコラボレーションしながら知財を守る、特にハードウェアが絡まない、ソフトウェアのビジネスで守るのは難しい。だから技術ないしはデザインのどちらかで自分たちの知財を守りながら、大企業と連携していくのが重要」とのコメントがあった。

「ただ、あまりアーリーステージで知財を守ることに投資できるスタートアップはいないだろう。私の感覚ではシリーズBぐらいのタイミングで、最低限の技術とデザインの知財のプロテクトをかけておかないと危なくなるということはあるのではないか」(坂倉氏)

逆にスタートアップ側から見た時に、どの企業と何の事業でどこまで成長するために、どこまでの提携をするのか、ということをきちんと定めることで、「逆に自分たちで一生懸命に知財を守らなくても、大企業から守ってもらうという戦略もある」と坂倉氏は言う。

「例えば名刺管理のSansanの場合でいえば、Salesforceという知財の侵略や転用などの心配がないメガプレーヤーと完全にタッグを組むことで、自分たちのプロダクトの補完となるSansanを守ってくれる。Sansanのビジネスモデルやデザインを真似たいところも、Salesforceを敵に回すとなるとやりにくくなる。本質的に大事なのは、どの企業と一緒に事業を伸ばしていくか、本当にタッグが組めるかというところだと思う」(坂倉氏)

「儲かりそうだから参入するという動機はビジネスではあり得る。でも自社のプロダクトのアイデンティティを考え、それに共感してくれる顧客がハッピーかどうかというのが判断基準になるのが自然。FacebookでもTikTokやSnapchatのモノマネをやって、ことごとく失敗している。あれだけ大きく、ヒトもお金もあって投資予算も旺盛に使っていても、スタートアップに負けるという事実はある。オリジナルのイノベーターとしてプロダクトを作り込んでいけば、絶対に勝てるというのを、理論上かもしれないしフィロソフィーかもしれないけれども、僕は信じている」(浅田氏)

「日本のSaaSはまだまだ伸びしろがある」

1号ファンドの投資対象はB2B SaaSに特化、アーリーステージが中心となる。4月の会社設立から営業を開始、5月のファンド設立と、コロナ禍で市況は厳しい状況にあった時期の立ち上げだったが、ファーストクローズで約50億円の出資が確定しているという。

ファンドへの出資には、みずほ銀行、FFGベンチャービジネスパートナーズ、YJキャピタルといった機関投資家や金融機関のほか、事業会社ではエーザイ、Sansan、日本アジアグループなどが参加。People Fund、Harris Family Foundation、Darhan Investment Corporationといった海外投資家も参加している。

また、投資先起業家へのアドバイスには、日米のSaaS事業家がアドバイザーとして賛同し、参加を予定しているという。

One Capitalが投資対象とするSaaS市場は人口減少・DXの課題解決ソリューションとして、今後の伸びも期待され、コロナ禍の渦中にあっても全般に堅調に評価されている。

「欧米のVCによる投資は年間13兆円でそのうち40%がSaaSに投資されている。それに比べると、日本ではSaaSへの投資は、VC投資の14%しか占めていない。ECやD2Cなど、まだコンシューマー系ビジネスへの投資が多いのが日本の特徴だ」(浅田氏)

欧米でもユニコーンと呼ばれるSaaS企業が出てきたのは最近のことで、2018年には55社となっているが、2008年時点ではゼロだったと浅田氏。「日本でも欧米の5年遅れでSaaS事業は花開く」と語る。

「政府がクラウドファースト政策を2020年から実行する。政府が調達するシステムをクラウドにしていくということで、レギュレーションが発表され、セキュリティ、安心・安全が強化されている。政府にクラウドが入れば、民間へも波及するだろう」(浅田氏)

また、米国のSaaS市場は2018年の時点で年間5兆円規模と言われているが、これはエンタープライズIT市場全体の15%に当たる。日本ではSaaS市場が5000億円規模との推定があるが、これはエンタープライズIT市場全体の10兆円に対し、5%ほど。

浅田氏は「日本のエンタープライズIT費用の大半は、Sierが法人へスクラッチでソフトウェアをつくり、開発・サーバー運用・保守なども含めた費用になる。そのうちの5%しかまだSaaSが占めていないということは、まだまだ伸びしろがあると考えている」と語っている。

元Salesforce Ventures浅田氏が独立系VCのOne Capital設立、1号ファンドは50億円規模でスタート

6月30日に東証マザーズに上場したばかりのグッドパッチに、名刺管理のSansan、会計・人事労務クラウドのfreee、アプリ開発SaaSのヤプリ、マニュアル作成「Teachme Biz」を提供するスタディスト、そしてイベントサービスのEventHub、受付システムのRECEPTIONIST……これらのスタートアップには、SaaS提供企業であることのほかにもう1つ共通項がある。セールスフォース・ドットコムの投資部門、Salesforce Venturesから資金調達を実施していることだ。

Salesforce Ventures Japan Headとしてこれらの企業への投資を行ってきた浅田慎二氏が、今年3月にセールスフォース・ドットコムを退職し、4月に独立系ベンチャーキャピタルOne Capitalを設立した。同社は7月7日、1号ファンド「One Capital 1号投資事業有限責任組合」の組成と投資活動開始を発表している。

写真左からOne Capital代表取締役CEO・General Partnerの浅田慎二氏、取締役COO・General Partnerの坂倉亘氏

スタートアップ投資に加え事業会社の変革も支援

One Capitalの創業者は、浅田氏と、ボストン・コンサルティング・グループでManaging Director & Partnerを務めていた坂倉亘氏の両名だ。

浅田氏は伊藤忠商事、伊藤忠テクノロジーベンチャーズを経て、2015年にセールスフォース・ドットコムに入社。Salesforce Ventures Japan Headに就任して、述べ10年以上にわたりスタートアップ投資と投資先の支援を行ってきた。また坂倉氏はボストン・コンサルティング・グループで戦略コンサルタントとして、大企業のデジタル変革を約20年間、支援してきた人物だ。

One Capitalでは、VCとしての投資の機能を主に浅田氏が受け持ちつつ、「大企業がイノベーションにアクセスできるように、長期間伴走して、企業変革の手伝いをしたい」(浅田氏)ということで、一部の出資者には坂倉氏がハンズオンで企業の変革を支援するという。

「これまでの日本のスタートアップでは、大企業を足がかりに成長する、あるいはエグジット候補として事業を成長させていくといったオプションは、広がってこなかったところがある。米国では7割のスタートアップを大企業が買収してエグジットする。日本でもそういう選択肢をつくっていきたい。また、大企業と取り組むマーケティングやPoCの成功例が少ない。技術力のあるスタートアップを大企業をきちんとつなげて、スタートアップの成長を支援すると同時に、大企業の変革も推進していくということができないかと考え、サービスを提供し始めている」(坂倉氏)

「VCとしてスタートアップへの出資はもちろん行っていく。同時にLPからお金を集めて出資し、スタートアップのIPOを目指すというだけでなく、出資いただく日本の事業会社に対して、スタートアップにアクセスするという以上、情報提供以上のバリューを出せないかということを考えていた」(浅田氏)

日本のスタートアップ・出資者は「メソッド不足」

浅田氏はSalesforce時代、投資先に対して、SaaS業界でも最も成功した企業の1つであるSalesforceの成長メソッドとして書籍にもなった、SaaS企業が取り入れるべき営業オペレーションの方法論「THE MODEL」を伝えてきたという。

「SaaSを売るときには“営業部”というくくりではなく、4つの役割に分けましょう、というのがTHE MODELの形。日本のアカウント営業はこの対極にあって、ある企業の担当になったら最初から最後までやるのが美徳となっている。これは間違ってはいないが、効率が悪い。特に中堅・中小企業を相手とするスタートアップで、顧客数百社に対して集客・電話営業・クロージング・フォローの4つの営業プロセスを1人でやろうとすると、スケールしない」(浅田氏)

浅田氏は「Salesforceの成長の方法論は、先進的で科学的だった」と述べている。「グローバルで成長している会社のメソッドを投資先に注入してきて、実際に急成長したファクトがあった。Sansanやfreee、ヤプリ、TeachmeBizなど、投資してから5年で売上高が20〜30倍に伸びている」(浅田氏)

浅田慎二氏

Salesforceでは、CVCを運用する他の事業会社からも「参考にして運用したい」との相談もあったという浅田氏は「グローバルでCVCを10数年運用してきたSalesforceは、サステナブルな方法論でやっている。つまり打ち上げ花火を1発上げて終わりというのではなく、会社の従業員、役員、顧客のすべてに沿う方法論を採っている。こういうやり方は、時価総額100兆円といった信じられない数字を持つ、欧米の企業からまだ日本企業が学べることがあるのではないかと考えた」と話している。

「日本からグローバル企業が出ない理由には諸説あるが、僕は“メソッド不足”だからだと考えている。スタートアップも大きな事業会社もそうだが、欧米の先進的なIT会社が伸びている理由をかみ砕く形で、出資者にも伝えるし、スタートアップにも伝えたい。成長メソッドをスタートアップにも大企業にも提供するような、新しいVCを立ち上げたいと思ったのが、今回の創業の背景だ」(浅田氏)

スタートアップと事業会社との関わりといえば、6月30日、公正取引委員会が「スタートアップの取引慣行に関する実態調査」として、スタートアップを対象としたアンケート結果等、中間報告を発表している。この報告によれば、スタートアップの約15%が他社から納得できない行為を受けた経験があると回答している。

スタートアップと事業会社、CVCとの関係について浅田氏は「CVCの5年間では、なぜ投資するのかを大切にしていた」と述べ、「Salesforceでは、既存顧客に役に立つ追加機能を持つ会社を発掘して、業務提携し、投資していた。自社ではグローバルで追加できないが必要な機能がSansanの名刺管理やfreeeのクラウドにはあった。自分たちでは作らないが、必要な企業を探すのが僕の役割だった」と振り返る。

「パクりなどの問題が発生する根本的な問題は、事業会社側がなぜ投資しているのか、誰のためにやっているのかの定義が顧客を向いていないから。自社のターゲット顧客のためのベンチャー投資という位置付けにするのが、長期的にCVCが日本に根付いて反映する、絶対的な法則だと思っている」(浅田氏)

また補完的な提携・出資でなく、圧倒的に欲しい事業があるなら「100%買収でやるべき」と浅田氏。「買収をしたら、買収した会社の統合のため、PMI(Post Marger Integrate:買収後統合)の組織が必要。これを欧米の企業、ウォルマートやディズニーといった企業は戦略投資部門というのを立ち上げてやり始めている。(今の日本では)誰のためのCVCなのか、何のための買収なのかが極めてあいまいな状況になっているように見える」と述べ、「そこをやはり定義すべきではないか」と話している。

坂倉亘氏

坂倉氏からは「テクニカルには、ベンチャーが企業とコラボレーションしながら知財を守る、特にハードウェアが絡まない、ソフトウェアのビジネスで守るのは難しい。だから技術ないしはデザインのどちらかで自分たちの知財を守りながら、大企業と連携していくのが重要」とのコメントがあった。

「ただ、あまりアーリーステージで知財を守ることに投資できるスタートアップはいないだろう。私の感覚ではシリーズBぐらいのタイミングで、最低限の技術とデザインの知財のプロテクトをかけておかないと危なくなるということはあるのではないか」(坂倉氏)

逆にスタートアップ側から見た時に、どの企業と何の事業でどこまで成長するために、どこまでの提携をするのか、ということをきちんと定めることで、「逆に自分たちで一生懸命に知財を守らなくても、大企業から守ってもらうという戦略もある」と坂倉氏は言う。

「例えば名刺管理のSansanの場合でいえば、Salesforceという知財の侵略や転用などの心配がないメガプレーヤーと完全にタッグを組むことで、自分たちのプロダクトの補完となるSansanを守ってくれる。Sansanのビジネスモデルやデザインを真似たいところも、Salesforceを敵に回すとなるとやりにくくなる。本質的に大事なのは、どの企業と一緒に事業を伸ばしていくか、本当にタッグが組めるかというところだと思う」(坂倉氏)

「儲かりそうだから参入するという動機はビジネスではあり得る。でも自社のプロダクトのアイデンティティを考え、それに共感してくれる顧客がハッピーかどうかというのが判断基準になるのが自然。FacebookでもTikTokやSnapchatのモノマネをやって、ことごとく失敗している。あれだけ大きく、ヒトもお金もあって投資予算も旺盛に使っていても、スタートアップに負けるという事実はある。オリジナルのイノベーターとしてプロダクトを作り込んでいけば、絶対に勝てるというのを、理論上かもしれないしフィロソフィーかもしれないけれども、僕は信じている」(浅田氏)

「日本のSaaSはまだまだ伸びしろがある」

1号ファンドの投資対象はB2B SaaSに特化、アーリーステージが中心となる。4月の会社設立から営業を開始、5月のファンド設立と、コロナ禍で市況は厳しい状況にあった時期の立ち上げだったが、ファーストクローズで約50億円の出資が確定しているという。

ファンドへの出資には、みずほ銀行、FFGベンチャービジネスパートナーズ、YJキャピタルといった機関投資家や金融機関のほか、事業会社ではエーザイ、Sansan、日本アジアグループなどが参加。People Fund、Harris Family Foundation、Darhan Investment Corporationといった海外投資家も参加している。

また、投資先起業家へのアドバイスには、日米のSaaS事業家がアドバイザーとして賛同し、参加を予定しているという。

One Capitalが投資対象とするSaaS市場は人口減少・DXの課題解決ソリューションとして、今後の伸びも期待され、コロナ禍の渦中にあっても全般に堅調に評価されている。

「欧米のVCによる投資は年間13兆円でそのうち40%がSaaSに投資されている。それに比べると、日本ではSaaSへの投資は、VC投資の14%しか占めていない。ECやD2Cなど、まだコンシューマー系ビジネスへの投資が多いのが日本の特徴だ」(浅田氏)

欧米でもユニコーンと呼ばれるSaaS企業が出てきたのは最近のことで、2018年には55社となっているが、2008年時点ではゼロだったと浅田氏。「日本でも欧米の5年遅れでSaaS事業は花開く」と語る。

「政府がクラウドファースト政策を2020年から実行する。政府が調達するシステムをクラウドにしていくということで、レギュレーションが発表され、セキュリティ、安心・安全が強化されている。政府にクラウドが入れば、民間へも波及するだろう」(浅田氏)

また、米国のSaaS市場は2018年の時点で年間5兆円規模と言われているが、これはエンタープライズIT市場全体の15%に当たる。日本ではSaaS市場が5000億円規模との推定があるが、これはエンタープライズIT市場全体の10兆円に対し、5%ほど。

浅田氏は「日本のエンタープライズIT費用の大半は、Sierが法人へスクラッチでソフトウェアをつくり、開発・サーバー運用・保守なども含めた費用になる。そのうちの5%しかまだSaaSが占めていないということは、まだまだ伸びしろがあると考えている」と語っている。

名古屋市が「Hatch Technology NAGOYA」参加スタートアップを募集開始

Hatch Technology NAGOYA

愛知県名古屋市が7月6日、先進技術を活用した社会実証を支援する「Hatch Technology NAGOYA」(ハッチ テクノロジー ナゴヤ)実施を発表した。名古屋市提示の行政課題や社会課題の解決策を持つ企業、また同市施設・サービスを社会実証フィールドとして活用・提供したい企業などの2種類を募集している。

課題提示型社会実証支援

課題提示型社会実証支援では、名古屋市庁内から集めた行政課題、社会課題(計10課題)に対して、先進技術を活用した解決策を企業などから広く募集。選定した実証プロジェクトに対する費用の一部負担、専門家によるマネジメントなどの支援を実施する。行政課題4件と社会課題2件とを選定する。

行政課題としては「日本語のわからない市民でも理解しやすい、スムーズな児童手当の申請手続きを構築したい!」、社会課題としては「東山動植物園・農業センターの駐車場データを解析して、来園者・地域・行政みんなの悩みを解決!」などが挙げられている。

概要は、以下のとおり。

  • 課題: 提示した10課題の中から、行政課題4件と社会課題2件とを選定
  • 募集対象: 先進技術を活用した解決策を持つ、スタートアップをはじめとする企業
  • 募集期間: 7月6日~7月31日
  • 選定された解決策に対する支援: 負担金支払(行政課題70万円、社会課題400万円を上限)、実証に必要な調整、広報PR、大学・研究機関における技術相談のあっせんなど
  • 事業説明会の日時: 7月17日16時~18時(オンライン開催)。キックオフ&説明会ページより申し込み
  • スケジュール: 実証期間は2020年10月~2021年2月、実証結果とりまとめ・報告は2021年2月~3月

フィールド活用型社会実証支援

名古屋市などの施設やサービス等を社会実証の場(フィールド)として活用・提供したい企業などを募集。

名古屋市および民間施設などを社会実証の場(フィールド)として活用するため、場の提供と課題の整理・解決を行うネットワークコミュニティ「Hatch Meets」(ハッチミーツ)を産学官で新たに立ち上げ、先進技術を有する企業などの提案や実証ニーズを実現する。今回の募集はHatch Meetsの立ち上げにあたり実施している。

  • 募集対象: 「名古屋市・民間部門提供のフィールドにおいて、自社の先進技術を活用した
    社会実証を実施したい、スタートアップをはじめとする企業など」、「自社施設・サービスなどを、実証のためのフィールドとして提供したい企業など」
  • 募集期間: 7月6日から随時
  • 実証に向けた支援: マッチングや実証に必要な調整、広報PR、アドバイザーによる伴走型支援など
  • 事業説明会の日時: 7月16日13時~14時(オンライン開催)。参加申し込みのステップは、Hatch Meets募集概要を参照

Plug and Play Japanが「Winter/Spring 2021 Batch」参加スタートアップの募集開始

Plug and Play Japan

グローバル・ベンチャーキャピタル/アクセラレーターのPlug and Play Japanは7月6日、次期アクセラレータープログラム「Winter/Spring 2021 Batch」の募集を開始した。同社では、約3ヵ月を1つのBatchとして、年に2回プログラムを運営している。

Winter/Spring 2021 Batchの募集期間は7月6日から9月7日。プログラム期間は2020年12月から2021年3月。Plug and Play Japanの企業パートナーとの連携を希望するスタートアップ、登記済みまたはプログラム期間中に登記予定のスタートアップ(すべてのステージのスタートアップが対象)。申し込みは、同社特設ページより行う。

同社のアクセラレーションプログラムは、「テーマ」を主軸として、国内外のスタートアップをグローバルレベルのスタートアップへと支援していくというもの。

同社では、1テーマ(領域)をVertical、1プログラムをBatchという単位で呼び、日本では東京で5 Vertical、京都で1 Vertical、合計6 Verticalを実施。​今回東京では「Fintech」、「Insurtech」「IoT」、「Mobility」、「Brand & Retail」を用意。京都では「Hardtech & Health」のプログラムを用意している。

Plug and Play Japan

スタートアップは、このプログラムを通じて複数企業パートナーとの連携の機会を得られる。また、成果発表会であるEXPOで優勝したスタートアップは、本社シリコンバレーでのピッチ機会が得られ、グローバルマーケットへのアクセスも可能。

Plug and Playは、革新的な技術やアイディアを持つスタートアップを大手企業とともに支援を行う、シリコンバレー本拠のグローバル・ベンチャーキャピタルおよびアクセラレーター。世界33拠点に展開し、日本は東京と京都の2拠点を構えている。

ベンチャーキャピタルとしては、2018年は222社へ投資し、2019年から日本でも投資を開始した。日本ではプログラムのテーマや採択実績に関係なく、投資を検討している。

アクセラレーターとしては、世界30拠点でテーマごとのプログラムを運営しており、年間1000社以上を採択。

Plug and Play Japanはその日本法人として2017年7月に設立。現在まで5回のプログラムを実施し、合計400社の国内外の採択スタートアップを企業パートナーとともに支援してきた(2020年7月6日現在、企業パートナー数は38社)。

Plug and Play Japan

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多様性のあるスタートアップの支援を目指す学生主導のアクセラレーターEnvisionが動き出した

新しいスタートアップ・アクセラレーターEnvision(エンビジョン)を紹介しよう。現役大学生と卒業したばかりの人たちによって設立されたこのグループは、最初のスタートアップ・コホートの募集を締め切った。

だが彼らの目標は、単にスタートアップを支援してくれる企業を探すことではない。Envisionの2人の共同創設者Annabel Strauss(アナベル・ストラウス)氏とEliana Berger(エリアナ・バーガー) 氏は、今や誰もが知るところとなった多様性の現状を打破することだと話す。

「私たちがEnvisionを始めたのは、Womxn、黒人、Latinxの企業創設者が、それぞれ3パーセント以上、1パーセント以上のベンチャー資金を獲得できる未来を確信しているからです」と彼女たちは電子メールに書いてくれた。「学生のチームとして、自分自身で問題に対処し、企業創設者の成功を助けたいと考えました。私たちの使命は、早い時期に成功できるよう起業家を支援し、無視されがちな声を大きく伝えることです」
(訳注:Womxnは女性のインクルーシブな呼称。発音はウォムエックスエヌ。Latinxはラテン系の人たちの男女を問わない呼称。発音はラティネックス)

彼らのデータによれば、Envisionには190件の応募があり、最初に設定したストレッチゴールの100件を大きく上回った。その200件近い応募者の中から、彼らは15組を選考した。ストラウス氏とバーガー氏は、当初は10組まで絞り込む予定だったと話している。しかし、その応募の勢いに応えるべく、最初のコホートのサイズを2倍にしたのだと2人はTechCrunchのインタビューで述べた。

Envisionでは8週間のカリキュラムが予定され、参加企業のエクイティーを求めない資本金およそ1万ドル(約107万円)が提供される(彼らはまだ必要な資金の調達中だが、TechCrunchに提示された数値からすると、急速に金額を伸ばしているようだ)。

8週間のプログラム期間中に予定されているのは、テーマ、1対1のメンタリング、スタートアップ経験が豊富な講師とのオフィスアワー、そして最後にメンターによる投資家対策の集中講座と招待客のみのデモデーだ。Envisionアクセラレーターの回転の軸となっているのは、6月の初めにこの世に現れてから集めたメンターと協力者たちだ。

Envisionは、大学生と卒業したばかりの人たち11人によって運営されており、Ryan Hoover(ライアン・フーバー)氏、Arlan Hamilton(アーラン・ハミルトン)氏、Alexia Tsotsis(アレクシア・ツォツィ)氏など、同プログラムに欠かせない十分な数のスタートアップ専門家講師を急いで選定した。企業からの支援も潤沢にあるようだ。今朝、TechCrunchに送られてきたこの電子メールによれば、Soma Capital、Underscore VC、Breyer Capital、Grasshopper Bank、Lerer Hippeauがスポンサーに加わっている。実際、Envisionのパートナー紹介ページは、シリコンバレー人脈と有名スタートアップ起業家の名士録といった感じだ。

Envisionと話をしているうちに、私は、今日ベンチャー投資に関わっている学生がいかに多かを知り、少々驚かされた。Envisionはその傾向を表す好例だ。たとえばストラウス氏は、General Catalyst(ジェネラル・カタリスト)を「動力」とするRough Draft Ventures(ラフ・ドラフト・ベンチャーズ)に参加している。EnvisionのスタッフであるQuinn Litherland(クイン・リザーランド)氏もまた、Rough Draft Venturesの一員だ。TechCrunchでも今朝お伝えした学生の起業に特化したContrary Capital(コントラリー・キャピタル)は、EnvisionのTimi Dayo-Kayode(ティミ・ダヨカヨデ)氏、James Rogers(ジェームズ・ロジャーズ)氏、Eliana Berger(エリアナ・バーガー)氏、Gefen Skolnick(ゲフィン・スコルニック)氏が代表を務めている。まだまだある。Danielle Lomax(ダニエル・ロマックス)氏、Angel Onuoha(エンジェル・オヌオハ)氏、Kim Patel(キム・パテル)氏も、みなベンチャー投資の世界で活動している。

ストラウス氏、バーガー氏、そしてその他のEnvisionのメンバーの今の悩みは、190件の応募から参加企業をいかにして理性的に選考し、その最初のコホートにどのようにして最大限の支援を提供するかだ。プログラムが首尾良く進み、2カ月以内に開催を予定しているデモデーが、スタートアップと投資家の双方に有意義なものと認めらたならば、Envisionは第二のクラスを開催しないわけがない。だが当然のことながら、今の時点ではY Combinator(ワイ・コントリビューター)、TechStars(テックスターズ)、500 Startups(ファイブハンドレッド・スタートアップス)などの足跡を辿り、支援企業から一定のエクイティーを受け取るほうが得策と言えるだろう。

Envisionのウェブサイトのトップには、大きな文字で「多様な人たちの会社創設を支援します」と書かれている。この目標を達成できれば、それは、歴史的に多様な起業家への投資を拒否してきた昔ながらのベンチャー投資世界への露骨な批判となる。

10名ほどの大学生と卒業したばかりの人たちが、ほんの数週間でアクセラレーターを立ち上げ、200件近くの応募から多様な参加者を選考する。そうなれば、どんな言い訳も通用しなくなる。

画像クレジットchuttersnap Unsplash

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(翻訳:金井哲夫)

凸版印刷が新事業共創プログラム「co-necto」でPoC可能なスタートアップを募集

凸版印刷 co-necto

凸版印刷は7月1日、新事業共創プログラム「co-necto」(コネクト)において、PoC(概念実証)を行えるスタートアップ企業の募集を開始した。

第4回となる2020年度のco-nectoは「Open Innovation PoC Lab.」と題し、凸版印刷とスタートアップ企業との新事業共創に加え、パートナー企業との3者連携で実証実験を行い、新事業を共創していく。募集締め切りは8月16日。特設サイトから応募可能。

第4回co-nectoの募集テーマは、コミュニケーション、健康ライフサイエンス、DX・データドリブン、スマートシティ、SDGs、新しい生活様式の7領域。応募資格は、PoCを行えるサービスやプロダクトを自社で保有している企業および団体であること、凸版印刷およいパートナー企業との協業が可能な企業であること。

選考基準は、競争優位性・革新性、社会課題解決に対する貢献度、事業およびマーケットの成長性、パートナー企業・凸版との協業実現可能性。

インセンティブは、PoC実施フィールドとアセットの提供、PoC実証費用の一部支援(1社平均支援額200万円)、PoCに関する記事発信、実証後の検証、共同事業化などの検討となっている。

パートナー企業としては2020年7月1日現在で、西日本鉄道、九州旅客鉄道、西部ガスなど計15社が名を連ねる。

スポーツウェルネスD2CのTENTIALがプロテニス・西岡良仁選手などからより資金調達

TENTIAL

スポーツウェルネスのD2Cブランドを展開するTENTIAL(テンシャル)は7月1日、第三者割当増資による資金調達を発表した。調達額は非公開。引受先は、アカツキ、MTG Ventures、セゾン・ベンチャーズ(クレディセゾンのコーポレートベンチャーキャピタル)、プロテニスプレイヤー西岡良仁選手など。

同社は、健康増進・ウェルビーイングのDXを加速させるため、スポーツのハウツーから健康情報まで発信するスポーツメディア「SPOSHIRU」と、データを基に企画から販売までを一貫し行うD2Cブランド「TENTIAL」を提供。

TENTIAL

さらに西岡選手など、世界で活躍するアスリートの視点を取り入れ、新商品の開発やグローバル展開へ向けて事業を加速させていくという。オーダーメイドインソールの展開や、大手繊維会社との共同開発商品も準備しており、より豊かな生活へ向けた商品の提供を目指すとしている。

関連記事:スポーツテックのAspoleがアカツキから1.3億円調達、独自インソールなどを扱うD2C事業開始へ

徳島大学発スタートアップが6300万円調達、ゲノム編集受託サービス提供のセツロテック

セツロテック

ゲノム編集受託サービスを提供する徳島県拠点のセツロテックは7月1日、第三者割当増資による6300万円の資金調達を発表した。引受先は、えひめ地域活性化投資事業有限責任組合(えひめ活性化ファンド)、産学連携1号投資事業有限責任組合、産学連携キャピタル。2020年4月以降の累積調達額は総額5億2900万円となった。

セツロテックはゲノム編集技術を提供する徳島大学発のスタートアップ企業。徳島大学で受精卵エレクトロポレーション法(GEEP法)による高効率ゲノム編集技術を開発した徳島大学教授の竹本龍也氏(代表取締役会長CTO)と、培養細胞のゲノム編集技術を開発した徳島大学特任講師の沢津橋俊氏(取締役CSO)らの技術を事業化し、2017年2月に会社設立を行った。

創業以来同社は、ゲノム編集技術を活用した研究支援事業において、大学などの研究機関や製薬会社の研究開発部門に対しゲノム編集マウスやゲノム編集培養細胞を提供。また、ゲノム編集基盤技術を発展させ、畜産分野における新品種開発の事業も進展している。海外でもゲノム編集技術に対するニーズがあることから、調達した資金により海外展開も強化していく。

えひめ活性化ファンドは、愛媛銀行、ゆうちょ銀行、ひめぎんリースおよびフューチャーベンチャーキャピタルが共同で設立。愛媛県内の創業・第二創業期および成長性の高い未上場企業など。

産学連携1号投資事業有限責任組合は、徳島大学発ベンチャー企業の創業・経営支援を目的として、徳島大学、阿波銀行、地域経済活性化支援機構(REVIC)および大学支援機構の協力により設立されたファンド。

産学連携キャピタルは、阿波銀行および大学支援機構の出資により、産学連携1号投資事業有限責任組合の運営母体として設立された。徳島大学発ベンチャーや大学が保有する人的資源、研究シーズを発掘し、投資と事業化へ向けたハンズオン支援を行うことで、徳島から新産業創出の実現を目指している。

みらいワークスと三井住友銀行が「未来2021」参加スタートアップの募集開始

みらいワークス 三井住友銀行 未来2021

みらいワークスは7月1日、インキュベーション・アクセラレーションプログラム「未来」の企画・運営を三井住友銀行と共同で行うと発表した。また「未来2021」参加スタートアップの募集を開始した。募集期間は8月23日17時まで。「未来2021応募フォーム」から応募できる。

「未来」は、イノベーション創出を担うスタートアップ企業と日本経済を牽引する大手企業による共創の強化を目的とするプログラム。開催6回目の今回では同プログラムを強化し、より高度なオープンイノベーションの実現を図るため、企画・運営を三井住友銀行と共同で行うこととなった。

未来2021の応募資格は、以下いずれかに当てはまる個人・チーム、企業となっている。

  • シード・アーリーからミドルステージまでのスタートアップ企業
  • 資金調達ニーズにある企業(資金調達前、シードラウンド、シリーズAなど中心)
  • 企業における研究や新規事業のスピンアウトを考えている、すでにスピンアウトした個人や企業
  • 大学・研究機関などに在籍する研究員・大学院生・学部生で、将来起業を視野に入れている個人

募集テーマはすべての産業・技術分野。審査基準は、事業化の可能性が高いこと、顧客ニーズを意識したビジネスプランであること、将来性・実現可能性が高いこと、事業化への情熱・熱意を有し良いチーム組成ができているもしくはその可能性が高いこと、社会性を有し社会的インパクトが強いこと。

またプログラム参加者には、以下の機会の提供を予定(コロナ禍の影響によりオンラインでの実施を検討中のものもある)。プログラム参加者には、プログラム修了後も継続的な支援を提供するとしている。

  • ビジネスプランの作成・事業開発に向けたアドバイザリー支援など専門家によるメンタリング
  • 未来協賛メンバーやベンチャーキャピタル、その他関連企業・団体などとのネットワーキング・マッチング、協業支援の実施
  • 大企業やベンチャーキャピタルに向けたピッチや展示会、商談会の機会提供
  • 事業開発のための資金サポートGAP GRANT “MIRAI”(総額1000万円程度)の活用(優秀チームのみ、1件上限200万円を予定)

みらいワークス 三井住友銀行 未来2021

オプトベンチャーズがBonds Investment Groupにリブランド、社会課題を解決するスタートアップへの投資に最注力

2013年からスタートアップ企業への投資を進めてきたオプトベンチャーズは7月1日、商号をBonds Investment Groupに変更したことを発表。商号変更に伴い、既存のオプトベンチャーズ1号投資事業有限責任組合、オプトベンチャーズ2号投資事業有限責任組合は、BIG1号投資事業有限責任組合、BIG2号投資事業有限責任組合に名称を変更する。

同社は1号、2号ファンドで累計140億円を運用しており、55社以上のスタートアップ企業への投資を実行。その中の15社超がイグジットを果たしている。注力している分野は、医療・ヘルスケア、建設、不動産、金融、HRなど。新社名に含まれるBondsは、絆という意味を持ち、同社によると「常に起業家に寄り添い、チーム・起業家・投資家 全ステイクホルダーがOne teamのGroupとして、大きな社会課題に挑み、起業家とともに大きな事業を創造するという意味を込めた」とのこと。

同社が今回のリブランディングで社会課題の解決にフォーカスした投資をさらに進めていく計画だ。投資担当者の多くが事業創出に携わった経験を持っており、起業家やステークホルダーとともにワンチームで社会課題の解決に挑む。また従来はハンズオンでスタートアップを支援してきたが、今後は主担当、副担当の2人体制のバディ制を敷き、さらに手厚い支援を行っていくという。

同社はTechCrnchが取り上げた記事でも、以下のさまざなスタートアップに出資しており、スペースマーケットは2019年12月に東証マザーズに上場を果たした。また、One Tap BUYは現在、ソフトバンクが45%超の株を持つ大株主になっている。

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米司法省が元VCのマイク・ローテンバーグ氏を起訴、長期懲役の可能性

シリコンバレーの多くの人が投資家であるMike Rothenberg(マイク・ローゼンバーグ)氏を忘れたがっているかもしれない。彼のベンチャー企業が破綻に向かい始めて4年経つ(未訳記事)が物語はまだ続いていて、最終章は36才のローゼンバーグ氏にとって良い兆しはない。

ローゼンバーグ氏はまず米証券取引委員会と争って敗れたが、それは民事で、彼の残りの人生に付きまとうかもしれないというものだった。

そして現在、米司法省が同氏を2つの通信詐欺の疑いで起訴した(米司法省リリース)。銀行への虚偽申告2件とマネーロンダリングだ。今後の展開次第では、長期の懲役となる可能性がある。

では、どのくらいの刑期となるのか。司法省は銀行詐欺容疑2件、銀行への虚偽申告2件は「それぞれ最長30年の懲役、仮釈放は5年以下、罰金100万ドル(約1億800万円)」となり、マネーロンダリングは「10年以下の懲役、仮釈放は3年以下、罰金は違法に得た派生資産総額の2倍以下」という。

しばらくの間、業界の専門家にも大まかにしか把握されていなかったが、ローゼンバーグ氏が短いベンチャーキャリアの中で発生させた損害はかなり衝撃的だ。司法省が調査で明らかにしたところでは、同氏は自身の会社Rothenberg Ventures(ローゼンバーグ・ベンチャーズ)を興した2012年から2016年にかけて4つのファンドを立ち上げたが、同氏の犯罪行為は立ち上げ後すぐに始まった。

司法省の起訴状によると、最初のファンドをクローズ後、ローゼンバーグ氏は資産に関して銀行に虚偽報告をして自身の資金を2つの目のファンドに部分的に投入した。彼は住宅ローンを借り換え、30万ドル(約3200万円)の個人ローンを組み、これらの一部をファンドに注いだ。

これは銀行詐欺だ。だが司法省によると、これは手始めに過ぎなかった。

翌年2015年に同氏は「出資を募って管理していたファンドの1つからのベンチャーキャピタル手数料を過剰に取った」。というのも「年末に資金が尽きそうな事態となり、それを投資家らに報告したくなかったから」だ。彼は違法の応急措置を取った。中でも司法省は、同氏が「過剰な手数料を取ったファンドにその分を戻そうと、400万ドル(約4億3000万円)という最大貸付額を手に入れるために、虚偽報告と不正確な説明をすることで銀行から搾取した」と主張している。

つまり「ファンドがうまく運用されていると投資家に思わせるための行為」で、明らかにその当時は狙い通りにいっていた、と司法省は指摘している。

もちろん現実には、ローゼンバーグ氏はさらに大きな墓穴を掘っていた、と司法省は見ている。ただ、表面的には同氏はうまくやっているように見えた。司法省の調査によると、2016年2月に同氏は「自信が所有していると主張したバーチャルリアリティのコンテンツ制作会社River Studiosの事業に200万ドル(約2億2000万円)投資すると投資家を欺いた」。

しかし、同氏はその資金の大半をRiver Studiosとはまったく関係のないところで使用した、と司法省は指摘している。

調査では、ローゼンバーグ氏はまた後先を考えずに行動するようになった。おそらくこれは彼が罰せられることなくやりおおせると考えたからかもしれないし、あるいは徐々にやけになったからかもしれない。

その後、最初の投資家を欺いてから5カ月後の2016年7月に、ローゼンバーグ氏は別の5人の投資家を欺いたと起訴状にはある。非上場のソフトウェア企業の未公開株に投資するという名目で投資家らに計135万ドル(約1億5000万円)を振り込ませた。ローゼンバーグ氏は「その資金がソフトウェア企業の株を購入するのに使われると組織に説明することで投資家を騙すことになる」ことは承知の上だった、と訴状にはある。訴状によると、資金が振り込まれたその日のうちに同氏は資金を投資目的の銀行口座から引き出し、多くの用途で使われていたRVMCのメーン銀行口座に移した」。

司法省の調査では、ソフトウェア企業の株はまったく購入されなかった。ローゼンバーグ氏はまた「投資資金を『未開拓の最先端』テクノロジーに使い、ファンド管理費はわずかなものにするとうたってファンドへの出資を勧誘した」としている。だが「示した以上の管理費を取り、同氏は投資家との業務委託契約で示したものよりもはるかに少ない額しか投資しなかった」。

司法省は、ローゼンバーグ氏が少なくとも計1880万ドル(約20億2000万円)を不正に入手したという証拠を手に入れた、としている。

TechCrunchは、これまで一貫して不正を否定しているローゼンバーグ氏にコメントを求めている。いずれにせよ、同氏がこのところ直面している悪いニュースはこれだけではない。

2020年1月、自社のファンドから数百万ドル(数億円)を着服し、その金を個人の事業を継続させるために使用したとSEC(米証券取引員会)に起訴された件で、ローゼンバーグ氏は3100万ドル(約33億円)の罰金が科せられた(未訳記事)。

同氏はまた2018年10月に、5年後に復帰を申し込むことができる権利付きで証券業界から離れることに同意した(米証券取引委員会リリース)。

これまでの展開は、思い上がりとその帰結のほぼ信じ難いような話だ。ローゼンバーグ氏は27才で華々しくベンチャー界に登場し、TechCrunchでも2013年初めに彼のコネクションや若さが年季の入ったVCよりもアドバンテージになっていると取り上げた(未訳記事)。

2年後、BusinessWeekは彼にシリコンバレーの「パーティー・アニマル」というあだ名をつけた(Bloomberg記事)。彼の会社がベイエリアで「起業家を対象にした派手なパーティー」で有名になったからだ。サンフランシスコにある野球場のオラクル・パーク(当時はAT&Tパークという名称だった)での高価なパーティーもあった。ハーバード・ビジネス・スクールでMBAを取得する前はスタンフォード大学に通った、自称前数学オリンピック選手のローゼンバーグ氏は当時「我々は多くのイベントを開催することでスケーラブルなネットワークを構築した」と話していた。

そのパーティーがどのように報われたのかという質問を彼は退けたようだが、Robinhoodに初期投資をしたことをBusinessWeekに明らかにした。Robinhoodは株取引アプリで、最近の企業価値は76億ドル(約8170億円)だ。同社の共同創業者兼CEOはローゼンバーグ氏と同じ時期にスタンフォード大学に通っていた。

要するに、幸先の良いスタートだった。ただ悲しいかな、ローゼンバーグ氏の会社の従業員は四方八方に散り、2016年夏には捜査当局も注目し始めていた。

画像クレジット:Max Morse / TechCrunch

[原文へ]

(翻訳:Mizoguchi

ガイアックスが完全オンラインの起業支援開始、地方在住スタートアップを募集

ガイアックススタートアップスタジオ

ガイアックスの新規事業創出・育成組織ガイアックススタートアップスタジオは6月29日、地方在住の起業家の投資・事業支援を対象としたオンラインの地区選考を開始すると発表した。地区選考は7月18日に九州・沖縄地区から開始し、関西、中国、東北、北海道地区で順次開催予定。

九州・沖縄地区のエントリー締め切りは7月17日18時(定員集まり次第受け付け終了)。定員は8名。参加費無料。対象は、今後1年以内に起業予定の九州・沖縄在住の学生又は社会人3年目までの起業家。エントリーは九州/沖縄地区 選考ページから行い、事業アイデア・発表資料を提出する必要がある。

7月18日当日の選考では、参加者がオンライン上で事業内容に関するプレゼンを行う。スタートアップスタジオメンバーの審査員4名が審査・フィードバックを実施し、選考通過者を発表後その場で投資判断を行う。通過者にはすべてオンラインで投資、または投資に向けた仮説検証の支援を開始する。

ガイアックススタートアップスタジオは、新型コロナウイルスの感染拡大防止をきっかけに完全オンラインでの起業支援を開始。従来起業サポートを受ける機会が少なかった、地方在住の起業家にもチャンスがさらに広がることを目指す。

ガイアックススタートアップスタジオ

九州/沖縄地区の選考概要は、以下のとおり。

  • 開催日時:2020年7月18日19時~21時
  • エントリー締め切り:7月17日18時(定員集まり次第受け付け終了)
  • 九州/沖縄地区 選考ページから申し込み
  • 対象 :今後1年以内に起業予定の九州・沖縄在住の学生または社会人3年目までの起業家(1名、チームのどちらでも参加可能。法人設立前、または法人設立1年未満が対象)
  • 定員:8名
  • 参加方法:オンライン開催(Zoom、アクセス方法はエントリー後に案内予定)
  • 参加費:無料

ACALLが5億円を資金調達、累計調達額は7億円に

ACALL アコール

神戸市拠点のACALL(アコール)は6月29日、シリーズAラウンドにおいて、第三者割当増資による5億円の資金調達実施を発表した。引受先はジャフコとDBJキャピタル。これまでの累計調達額は7億円となった。

ACALLは、さまざまなワークスペース、ハードウェア、ソフトウェアを統合・一元管理することで、スマートなワークスタイルを実現できるプラットフォーム「WorkstyleOS」を開発・提供。

ACALL WorkstyleOS

オフィスのセキュリティゲートや会議室などへのチェックインを実現するアプリケーション群「ACALL applications」と、データ連携基盤としての「WorkstyleOS」により、これまで約3600社のオフィスやビルのスマートオフィス化を支援してきた。

また、6月30日リリース予定のリモートワークチェックインアプリ「ACALL WORK」では、Withコロナ・Afterコロナのワークスタイルを見据え、オフィスワークとリモートワークのベストミックスの実現を目指すとしている。

ACALL WorkstyleOS WORK

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Y Combinatorが育成対象スタートアップへの投資規模を縮小

米国時間6月26日のブログ記事で、Y Combinatorの社長であるGeoff Ralston(ジェフ・ラルストン)氏は、スタートアップのための規約を2カ所変更すると記している。

まず、YCのスタートアップの標準的な契約の規模が、15万ドル(約1600万円)で7%、投資前評価額でほぼ210万ドル(約2億3000万円)から、同じ所有権に対して12万5000ドル(約1400万円)、投資前評価額でおよそ179万ドル(約1億9000万円)に減額される。契約は引き続きSAFEで提供される。これはYCを含むグループが開拓した転換社債よりもシンプルな投資オプションだ。

興味深いのはその規約に、同社は常に今後のラウンドの規模の4%しか比例配分を取らないと明記していることだ。これはいうまでもなく、同社がその資金調達を買っている7%の所有権よりも明らかに小さい。この4%は上限であり、アクセラレーターの所有権が4%未満だった場合は小さい方のパーセンテージが適用される。Y Combinatorの契約に関する規約の全文は同社のウェブサイトで読むことができる

この新たな契約は、Y Combinatorの2021年冬季以降の参加スタートアップに適用され、すでに投資されていると思われる現在の2020夏季のスタートアップは含まれない。

YCの契約は、これまでも変わってきた。同社が10年ほど前にローンチしたときは2万ドル(約210万円)を6%で提供した。

Y Combinatorのスポークスパーソンによると、この変更はアクセラレーターとしての同社の今後の資金調達および予算の現実に即したものだ。すなわちそれは「今後の経済が予測不可能なので、その間は経営をスリム化した方が賢明である。しかし弊社は、これからもできるだけ多くの創業者に出資していきたい。現在のように、消費者と企業の両方に前例のない変化が起きているときには、特にそうだ。変化は、スタートアップに無限の機会をもたらすだろう。弊社の標準的契約を変更したことによって、従来よりもさらに3000社もの企業に出資できる」ということだ。

予算以外にも、ここには少なくとも2つの要素が働いているようだ。ひとつは自宅に限らずどこからでも仕事するに変わってきたことだ。これによりオフィス費用をはじめ、スタートアップのランニングコストが減るだろう。

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また最近のY Combinatorは新興市場のスタートアップへの投資が多いため、人件費をはじめその後の企業成長のための費用が比較的少ない。

しかし今回の縮小は、近年、特に新型コロナウイルス(COVID-19)以降、シリコンバレーに流入する資本がやや減ってきたことの兆候でもある。評価額は低いし、2万5000ドル(約270万円)はその後のベンチャー投資の規模を考えれば巨額な損失とはいえないにしても、評価額の16%カットは、バレーで最近の数週間見られた他の数字と一致している。

[原文へ]

(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

佐賀県が「SAGA′n START起業支援金」の対象スタートアップなどを募集開始

SAGA′n START起業支援金

地方創生ソリューション事業を手掛けるエスビージャパンは6月26日、佐賀県主催の起業家支援プロジェクト「SAGA′n START起業支援金」事業説明会を開催すると発表した。開催日時は7月11日13時30分から。開催場所は佐賀市駅前中央にあるマイクロソフトAI&イノベーションセンター佐賀(佐賀市駅前中央1丁目8-32)。最大200万円(補助率2分の1)の起業支援金に対する支給対象者募集について説明する。

事業説明会は専用サイトから申し込める。なお、事業説明会への参加は補助金申請に関して必須ではない。

SAGA’n START 起業支援金は、佐賀県(地域交流部さが創生推進課)が主催する令和2年度佐賀県地域活性化等起業支援事業。佐賀県内において、地域課題解決に向けた起業を考えている個人や事業者などを対象に最大200万円(補助率2分の1)を支援する(審査あり)。募集期間は7月1日〜8月7日(17時必着)。対象経費は、人件費、店舗・事務所など賃借料・設備費・原材料費・賃借料、謝金、旅費、知的財産権など関連経費、外注費、委託費、広報費、マーケティング調査費など。

また起業資金だけでなく、商品開発、販路開拓、広報・プロモーション、資金計画、労務管理など、補助事業者の要望に合わせて全5回のワークショップも実施する。

支援対象資格は以下のとおり。

  • 交付決定日から完了日までに個人事業または株式・合同・合名・合資・企業組合・共同組合・特定非営利活動法人の設立を行うこと
  • 佐賀県内に居住する、補助事業完了日までに佐賀県内に居住を予定している方
  • 開業届け出、法人登記を佐賀県内で行うこと
  • 申請者、または設立される法人の役員が、暴力団などの反社会的勢力または反社会的勢力との関係を有する者ではないこと