グーグルが自動車用Androidアプリの開発にライブラリの提供などで便宜強化

2021年中に、Volvo(ボルボ)とGMとRenault(ルノー)およびPolestar(ポールスター)の計10車種以上にAndroid Automotiveオペレーティングシステムが搭載され、内蔵のGoogle(グーグル)アプリとサービスのすべてを利用できるようになる。今後同社は、サードパーティの開発者が、ナビゲーションやEVの充電、駐車、メディアなどのアプリを車のスクリーン上にもっと容易かつ直接的に実装できるよう図っていく。

Googleは米国時間5月18日に行われたデベロッパーカンファレンスで、Android for Cars App Libraryの拡張を発表した。ライブラリスイートAndroid Jetpackに含まれ、Android Automotiveオペレーティングシステムをサポートする。これにより開発者は、Android OSとAndroid Autoという、2つの異なる(ただし重複部分もある)プラットフォームに対応したアプリを開発できるため、良いニュースでもある。また開発者は、アプリを1つ開発したらそれが複数の車種で問題なく動くという状態を維持確保できる。

Googleの発表によると、同社はすでに初期パートナーたちとの共同事業を開始しており、ParkwhizやPlugshare、Sygic、ChargePoint、Flitsmeister、SpotHeroらの開発者とともにAndroid Automotive OSで動く各種車載アプリの開発を進めている。

画像クレジット:Google

Android Automotive OSとAndroid Autoを混同しないように。後者はオペレーティングシステムの上に来る二次的なインタフェイスだ。Android Autoは、ユーザーのスマートフォンで動くアプリで、クルマのインフォテインメントシステムとワイヤレスで通信する。一方、Android Automotive OSはLinuxの上で動くオープンソースのモバイルオペレーティングシステムAndroidがその基本形だ。ただしAndroidであってもスマートフォンやタブレットで動くのではなく、自動車メーカーが車載用に使えるよう、Googleが変更を加えている。GoogleはこのOSのオープンソースバージョンを自動車メーカーにしばらく提供していたが、しかし最近では自動車メーカーがテクノロジー企業と共同で、Google AssistantやGoogle Maps、Google Play StoreなどGoogleのアプリとサービスをすべて内蔵するAndroid OSをネイティブで作り込んでいる。

Spotifyなど多くのサードパーティ開発者がAndroid for Cars App Libraryを使って独自のAndroid Autoアプリを開発し、Play Storeへ出している。Cars AppをOSの拡張とすることにより開発者は、アプリを1度だけビルドすればよい。

2年前にGoogleは、Android Automotiveオペレーティングシステムをサードパーティの開発者に公開して、音楽などのエンターテインメントアプリをクルマのインフォテインメントシステム用に作らせようとした。それが最初に実現したのが、Volvoが電動車専門のパフォーマンスブランドとして誕生したPolestarの、Polestar 2だ。その後のVolvo XC40 Rechargeなども、この方式を採用している。

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(文:Kirsten Korosec、翻訳:Hiroshi Iwatani)

NVIDIAが次世代車載半導体「DRIVE Atlan」発表、演算処理性能1000TPSの「車載データセンター」

NVIDIAが次世代車載半導体「DRIVE Atlan」発表、演算処理性能1000TPSの「車載データセンター」

4月12日(現地時間)、半導体メーカーNVIDIAはオンラインカンファレンス「GTC 2021」を開催。この中で、同社のジェンスン・フアンCEOが次世代車載半導体「DRIVE Atlan(ドライブ アトラン)」を発表しました。

NVIDIAの車載半導体は、2018年提供の「Parker(パーカー)」、2020年から供給している「Xavier(エグゼビア)」が現行モデル。来年にはXavierの後継に当たる「Orin(オーリン)」の供給が開始される予定です。すでにメルセデスベンツの次世代車両に搭載されることが決まっており、今回のカンファレンスでも、ボルボの車両に「Orin」の搭載が発表されましたが、早くもその次の車載半導体が発表されたかたちです。

注目の「Atlan」ですが、特筆すべきはその処理能力。「Atlan」はなんと1秒間に1000兆回もの処理を行うことが可能。「Parker」は1TOPS(1秒間に1兆回)、「Xavier」は30TOPS(1秒間に30兆回)、「Orin」は254TOPS(1秒間に254兆回)ですから、これらと比べると「Atlan」は破格の性能を有しているといえます。

高度なAI技術を用いて自律走行を行う無人車両はもちろんのこと、有人車両でもアプリケーションやAI機能が充実したモデルで高い演算能力が求められます。同社は「Atlan」の高い能力を「A Data Center on Wheels(車載データセンター)」と表現していますが、データセンターレベルの能力を車に搭載することができれば、自動運転技術も飛躍的に向上するかもしれません。

「Atlan」は2023年にサンプル提供が行われ、車両への搭載は2025年を予定しているとのこと。

(Source:NVIDIAEngadget日本版より転載)

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Polestarが2030年までに温暖化ガスの排出量をすべて見直して初の「クライメートニュートラル」なEV開発を目指す

Volvo(ボルボ)からスピンアウトしたスウェーデンのEVブランドPolestar(ポールスター)は中央ヨーロッパ時間4月7日、2030年までに初のクライメートニュートラルな自動車を開発するという「ムーンショット・ゴール」を発表した(moonshot=困難だが実現する価値のある壮大な取り組み)。そのためには、植林などの一般的に行われているオフセット手段ではなく、新型EVの製造方法を根本的に変えていくという。

それは、材料の調達から製造、さらには車両のエネルギー効率の向上まで、サプライチェーンのあらゆる要素を見直すことを意味する。

Polestarのサステナビリティ部門の責任者であるFredrika Klarén(フレデリカ・クラレン)氏は、TechCrunchのインタビューに応じ次のように述べた。「当社は、今日多くの人が頼りにしているようなオフセットではなく、排ガスを削減し、除去することでこれを実現しようとしています。オフセットは憂慮すべき戦略だと考えています。製品を生産する際の排出量をオフセットできるかどうか、科学的な裏付けは実際ありません」。

直接的な成果となるのは「Polestar 0(ポールスター0)」と呼ばれる新型車だが、製造工程を全面的に見直す必要があり、最終的にはPolestarの他のモデルにもプロセスが適用される可能性がある。Polestarの全車両が2030年までにクライメートニュートラルになることはないが、同社と親会社のVolvoは、2040年までにPolestarを含む全事業でクライメートニュートラルになるという目標をすでに設定している、とクラレン氏は語った。

Polestarの現行モデルであるPolestar 1(ポールスター1)とPolestar 2(ポールスター2)は、いずれも中国で生産されている。Polestar 0の詳細はまだ決まっていないが、同様に中国製となることを希望しているとクラレン氏は述べた。中国はいまだに石炭への依存度が高いものの、持続可能な技術や製造業は大きく発展していると同氏は指摘した。

「もし私に投票権があるのなら中国での生産を継続しますが、そうは言ってもPolestar 0はどういったソリューションを用いるのかまだ特定されておらず、どこで生産するのか、どんな材料を取り入れるのかなど、以前は考えられなかった新しい方法で考える必要があります」とクラレン氏は述べている。

また、内部システムも定まっていない。Volvo CarsとPolestarの親会社であるGeely AG(ジーリー、吉利汽車)は独自の内部コンピューター・バッテリプラットフォームを開発しているが、Polestarの新モデルにこのシステムを採用するかどうかは決まっていない。

EVの製造工程の中で、クライメートニュートラルに移行するために最も困難な部分は素材であり、具体的にはアルミ、鉄、バッテリー部品がそれにあたると同氏は語った。

「我々は、生産にともなう排出物に取り組む必要があります」と彼女は説明している。鉄やアルミ、そしてリチウムバッテリーに使われる基本的な材料を生産する際の環境負荷は依然として大きい。

Polestarはこの新型車の発表と同時に、Polestar 2および今後発売されるすべてのモデルのカーボンフットプリントを明示するという製品サステナビリティ宣言も発表した。

PolestarのCEOであるThomas Ingenlath(トーマス・インゲンラート)氏は声明の中でこう述べた。「オフセットは言い逃れでしかありません。完全にクライメートニュートラルなクルマを作るために自分たちを奮い立たせることで、当社は今日の可能性を超えることを余儀なくされます。ゼロに向かってデザインするためには、すべてを疑ってかかり、革新し、急成長技術に目を向けなければなりません」。

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タグ:Polestar電気自動車二酸化炭素Volvoカーボンオフセット

画像クレジット:Polestar

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(文:Aria Alamalhodaei、翻訳:TechCrunch Japan)

自動運転技術のオーロラがボルボと提携、高速道路を自律走行するトラックの製造を目指す

自動運転車のスタートアップ企業であるAurora Innovation(オーロラ・イノベーション)は、Volvo(ボルボ)と自動運転セミトラックを北米向けに共同開発することで合意したと発表した。

両社によると、この数年に渡る予定の提携は、ボルボの自動運転ソリューション部門を通じて行われ、同社の顧客が利用するハブ間の高速道路を自動運転で走行できるトラックの製造に焦点を当てたものになるという。オーロラが開発した、自動運転ソフトウェア、コンピュータ、センサー類を含む「Aurora Driver(オーロラ・ドライバー)」と呼ばれる技術スタックが、ボルボのトラックに搭載されることになる。

今回の発表は、オーロラがUber(ウーバー)の自動運転子会社を買収したことや、トヨタ自動車と自動運転ミニバンの開発で提携を結んだことに続くものだ。米国で販売されているクラス8トラックは、半数近くが3社のトラックメーカーによって占められているが、オーロラは現在、そのうちのPaccar(パッカー)とボルボの2社と提携している。

関連記事:Uberが自動運転部門Uber ATGを売却、購入したAuroraの企業価値は1兆円超え

「パッカーなど以前発表したパートナーとの提携は、ボルボとの協業と並行して継続します」と、オーロラの広報担当者はTechCrunchに語った。「パッカー初の自動運転技術パートナーとして、我々の提携の独自性は、安全のために運転手を乗せることなく運用できるパッカー初の大型トラックを製造して、それを市場に初めて投入し、広範囲に展開することを可能にします」。

オーロラによると、同社が買収したBlackmore(ブラックモア)とOURS Technology(アワーズ・テクノロジー)による周波数変調連続波LiDARは、長距離トラックの自動運転を解決する鍵になるという。LiDAR(ライダー)とは、light detection and ranging(光による検知と測距)レーダーのことで、自動運転システムに必要なコンポーネントと考えられている。オーロラの技術は、従来のTime of Flight(光の飛行時間から計測する)方式とは異なり、危険を察知してから停止または減速するのに十分な時間を確保できる長距離の認識が可能であることを売りにしている。

関連記事:自動運転のAuroraがLiDARスタートアップを買収、自動運転トラックの普及へ向け開発加速

今回の発表は、ボルボの自動運転車部門であるVolvo Autonomous Solutions(ボルボ・オートノマス・ソリューションズ)にとっても、大きな加速を示すものだ。同事業部にとって、これが自動運転トラックを公道に導入する初の案件となる。

2017年の創設以来、オーロラは急速に自動運転技術をリードする企業の1つとなり、Amazon(アマゾン)、Sequoia Capital(セコイア・キャピタル)、Greylock Partners(グレイロック・パートナーズ)からの支援を集めている。同社は、Uber、Tesl(テスラ)、Google(グーグル)の元幹部らによって設立された。

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タグ:自動運転Aurora InnovationVolvoトラック電気自動車

画像クレジット:Aurora

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(文:Aria Alamalhodaei、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

高速道路用自動運転技術を自動車メーカーに販売するためLuminarとボルボ子会社が提携

高速道路用の自動運転システムを開発し、最終的には自動車メーカーに販売することを目指しているLuminar Technologies(ルミナー・テクノロジーズ)は、Volvo Cars(ボルボ・カーズ)との関係を深めることになった。米国時間3月11日に発表されたこのパートナーシップは、Luminarとボルボの自動運転ソフトウェア開発子会社であるZenseact(ゼンセアクト)の間で結ばれたものだ。

Luminarの創業者でCEOを務めるAustin Russell(オースティン・ラッセル)氏は、両社の技術を組み合わせて、市販車向けの「ホリスティック(全体論的)な自動運転車スタック」を開発すると述べている。ボルボはその最初の顧客となる。ラッセル氏とZenseactのCEOであるÖdgärd Andersson(オッドガード・アンダーソン)氏は11日、このシステムを他の自動車メーカーにも提供する予定だと述べた。

LuminarとZenseactが、高速道路における自動運転をどのように定義しているかは注目に値する。両社が開発しているシステムは、高速道路上でドライバーが手と目を運転から完全に離すことができるというレベルのもの。つまり、人間のドライバーは運転を代わる事態を想定することなく、運転から完全に開放されるということである。このレベルの自動運転と人間のドライバーによる手動運転の切り替えは、これまで自動車メーカーを悩ませてきた厄介な問題だ。

「これは今後2〜3年の間に解決されるでしょう。そしてボルボを皮切りに、実際にお客様が購入できる車両に搭載され、その後も拡大していく見込みです。それが我々の特色です」と、ラッセル氏は今回の発表に関するウェビナーの中で語った。

他の自動車メーカーに供給されるスタックは「Sentinel(センチネル)」と呼ばれ、Zenseactの自動運転ソフトウェアソリューション「OnePilot(ワンパイロット)」と、LuminarのLiDARユニット「Iris(アイリス)」、そして検知ソフトウェアやその他のコンポーネントが、基盤として統合されたものになる。

Zenseactによると、このシステムは高速道路上の自動運転走行に対応できるように設計されており、積極的に衝突を回避する多数の安全機能を装備し、事故率を最大で7分の1に低減することができるという。また、このSentinelの製品には、無線でアップデートできる(Over-the-Air)機能も備わっており、時間の経過とともに自動運転の動作領域を拡大し、自動車の安全性をさらに向上させることができると、両社は述べている。

Zenseactという社名は聞き慣れないかもしれないが、同社の550人のチームは長年にわたってADAS(先進運転支援システム)とソフトウェアに取り組んできた。ボルボはVeoneer(ヴィオニア)との合弁事業を終了した後、Zenseactを設立した。

自動運転産業の多くがロボットタクシーのような用途に焦点を当てているのに対し、LuminarとZenseactは、量産車にシステムを提供することに注力していると、両社は述べている。多くの自動車メーカーやハイテク企業が、LiDARセンサーは自動運転車を安全に展開するために不可欠な技術であると考えている。だが、ロボットタクシーの商業化実現までかかる時間が長くなるにつれて、自動車メーカーは、もっと近い将来に量産車に搭載する技術の開発に舵を切っている。

「自動運転技術の目的は、事故を減らし、命を救うことにあります。今回の提携により、私たちは自動運転技術をより広く普及させ、より大きなインパクトを与えることも可能になります」と、アンダーソン氏は声明で述べている。

今回の発表の約10カ月前に、ボルボはLuminar製のLiDARと検知技術を搭載した車両の生産を2022年に開始し、高速道路用の自動運転システムを展開すると発表した。ボルボは、この自動運転システムについて全責任を負うと述べている。

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タグ:Luminar TechnologiesVolvo Cars自動運転LiDAR

画像クレジット:Luminar

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(文:Kirsten Korosec、翻訳:Hirokazu Kusakabe)