今日(米国時間1/21)、Microsoftはシアトルの本社キャンパスでWindows 10イベントを開催し、Windows 7、8からWindows 10へのアップグレードは無料となると発表したが、同時にWindows 10に新たに追加されたホログラム機能についても時間を割いて詳しく説明した。この中で現実世界とホログラムのバーチャル世界を融合させるヘッドセットを開発していることが発表された。
このヘッドセットはHoloLensと呼ばれ、Microsoftによれば「Windows 10とおおよそ同時期にリリースされる」ということだ。HoloLensヘッドセットはワイヤレスでコンピューターやスマートフォンとペアリングしなくても単独で機能する。ヘッドセットはCPU、GPUに加えて、ホログラフィー処理に特化した独自のHPU(ホログラフィック・プロセッシング・ユニット)を備える。 外観は下の写真のとおりだ。
HoloLenはGoogleのGlassやOculus Rift、またMagic Leapのミステリアスなハードウェア、Sulon Cortexなどとライバル関係になるプロダクトといえるだろう。HoloLensはOculus Riftなどとは異なり、Google Glassと同じく外界が透視できるタイプだ。Sulonも外界にホログラムを重ねて表示するタイプだが、バイザーは完全遮蔽で外界映像はバイザーの上部のカメラから供給される。MicrosoftのテクノロジーはGlassのように直接外界を見ることができ、Sulonのように高度な3Dグラフィックスが重ねて表示されるという「いいとこどり」だ。これによってユーザーのVR体験の現実感は大きく高まりそうだ。
HoloLensヘッドセットはWindows 10のホログラム能力に依存するということだが、デバイスもWindows 10のホログラムもまだ直接テストする機会がない。テストできたらアップデートする。
いずれにせよ、Microsoftが独自のハードウェア開発に一段と力を入れてきたことは確かだ。ただし、プレゼン後の質疑応答によれば、希望するサードパーティーには独自ブランドで製造をライセンスするという。
デモの中でMicrosoftのOS担当執行副社長、Terry Myerson自身がホログラムになり、シェークスピアのハムレットのデンマーク王の亡霊よろしく「私はホログラムだぞ」と宣言した。
HoloLensの最初のユースケースは対話的リモート・プレゼンスだというが、エンジニアリング、サイエンス、デザインなどの分野での研究、開発に巨大な可能性があることはもちろんだ。さらに一般に普及するかどうかはユーザー体験の質が決め手になるだろう。Google Glassも含め、拡張現実はユーザー体験という入り口でつまづきを繰り返している。しかしHoloLensはこの点でこれまでの試みよりも質が高そうで、普及にも期待が持てる。
MicrosoftのCEO、サティヤ・ナデラはHoloLensを使ってNASAのマーズ・ローバー探査機を一人称視点で操縦するという例を重要なユースケースの例として挙げた。それはたしかにすごい経験になるだろう。さいわい、われわれはこの後、HoloLensの実機をテストするチャンスがあるという。SFがついに現実になるのを体験できそうだ。
それにしてもMinecraftがHoloLensのようなデバイスを開発するとは!
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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+)