Squareが日本で供用開始: Dorsey曰く, 日本の美をSquareは元々共有

特殊なクレジットカード読み取り器(“カードリーダー”)を使って携帯からの支払サービスを提供するSquareが、日本でのサービス提供開始発表した。北米以外の国としては初めての海外進出である。日本ではiPhoneの人気が高いので、Squareの進出がふさわしいとも言える。同サービスは最初iOS上でローンチし、その後Androidでも使えるようになった経緯を持つ。

ただし日本はモバイルの支払サービスがNTT docomoKDDIなどの手により、すでに広く厚く普及している市場なので、Squareが楽勝とは行かない。Squareの最大のライバルであるPayPalも、モバイル事業者のSoftbankなどをパートナーとしてすでに日本に定着している。この市場でSquareに商機があるとすればそれは、Jack Dorseyの言うSquare美学だろう。Dorseyは、日本をアジアで最初の国として選んだのは、Squareのデザイン重視の姿勢がそうさせたのだ、と言っている。

“Squareをデザインとイノベーションと伝統の歴史のきわめて厚い国にご紹介できることを、誇りに思う。Squareは日本の歴史が持つ価値と同じ価値を共有し、製品のあらゆる細部にこだわっている”、とSquareのCEOで協同ファウンダのJack Dorseyは言っている。

SquareのiPhoneとのご縁も、日本では力になる。日本のスマートフォン市場では、Apple製品がいまだにAndroid製品に勝っているのだ。Kantarのデータによると、iPhoneのマーケットシェアは66%、対してAndroidは32%だ。

Squareはこれまで、海外進出に関しては慎重だった。同社はつねに、海外進出の具体的なスケジュールはない、と言っていた。これまでで唯一の“外国”といえば、昨年10月にローンチしたカナダだ。しかしそのときには、次はアジア進出だろうという憶測が各所でささやかれた。

グローバル化に関してはマイペースのSquareも、PayPalに対抗するための技術革新や新機能の導入には積極的だった。たとえば今週の初めには、支払をメールで送れるSquare Cash機能をベータでローンチした。また最近では、Googleの中小企業担当営業部長Francoise Brougherをスカウトして、彼女を企業顧客開拓部門のトップに据えた。彼女はSquareで、カスタマサポート、パートナーシップ、国際展開などを担当することになる。

Squareは日本進出に際して、Sumitomo Mitsui Card Corporation(SMCC)とパートナーした。同社は、日本にVisaを導入した企業だ。

Square Readerによって企業はモバイルデバイスからのクレジットカードによる支払を受け取ることができる。その使用料は、ユーザの支払額の3.25%である。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


モバイル決済のSquareが日本でもサービス開始–三井住友カードと提携、1000万ドルの資金調達も実施

北米でモバイル決済サービスのパイオニアとして成長を続けているSquareが日本でのサービス提供を開始した。Squareはスマートフォンやタブレットのイヤホンジャックに小さなカードリーダーを挿入し、アプリをダウンロードするだけでクレジット決済を可能にするサービスだ。利用は決済手数料3.25パーセントを除き、全て無料となっている。

すでにアメリカとカナダを合わせると420万の加盟店が利用しており、年間の取扱い金額は150億ドルだという。ユーザー層は幅広く、飲食店はもちろん、そのシンプルさゆえに医師やゴルフクラブなど様々な事業に利用されているそうだ。

同社が北米意外に進出するのは日本が初めてである。SquareのCEOジャック・ドーシー(Twitterの共同創業者でもある)は日本の事業の99パーセントは中小企業や個人事業主であり、彼らの商取引をシンプルにし、事業の成長を後押ししたいと語った。

Squareの利用方法は簡単で、専用のアプリをダウンロードし、利用申請をすればカードリーダーが送られてくる。これですぐにクレジット決済に対応できるようになる。支払いをするユーザーはカードリーダーにクレジットカードを通し、デバイス上でサインをする。レシートや領収証が欲しいユーザーにも応えてSMSやメールで送信してもらうことも可能だ。

また、単にクレジットの決済に対応するだけではなく、SquareはPOSレジの機能も提供しており、売上データを詳しく管理できる。ジャック・ドーシーによると、例えば雨の日の売上はどのくらい減少するのかといったことも簡単にわかるそうだ。

Squareはこの他、”Square Wallet”というサービスも提供している。これは事前にアプリをダウンロードし、クレジットカードと顔写真の情報を入力しておくと、加盟店での支払い時に名前を伝えるだけで支払いが終る優れものだ(お店側は専用アプリで顔写真をチェックし、本人か確認する)。Square Walletはまだ日本で提供されていないが、今後提供予定だ。

今回Squareの日本進出にあたり三井住友カードが提携したのだが、それと同時にSquareに1000万ドルを出資したと三井住友カード代表取締役社長の島田秀男氏は発表した。

島田氏によると、3.25パーセントという決済手数料のレートはかなり低いのだが、この数字を実現できたのはICTを駆使してトランザクションコストを下げられたからだという。他のモバイル決済サービスを見てみるとソフトバンクと提携したPaypal Hereが5%、クレディセゾンと提携した国産のCoineyが4%となっており、Squareが手数料に関してはリードしている。


Androd版Google Drive、カードスタイルの新デザイン。OCR付きスキャナー機能も追加

Google DriveのAndroidアプリがつい先ほど全面デザイン改訂され、Google Nowライクなカードスタイルのルックスになった。

この新デザインは、Googleが以前よりすっきりしてシンプルになったと言っており、最初にユーザーの目に止まる部分だろうが、アプリには新機能もいくつか加えられている。殆どは、ファイルをAndroid端末にダウンロードできるなど小さな機能追加だが、新しいドキュメントスキャン機能は、Google Driveに全く新しい利用場面を提供するものだ。

スキャナーツールは「Add New」メニューの中にあり、レシート、手紙、請求書などの紙書類を簡単にPDFに変換できる。Googleの高度なOCR技術によって、後で検索することも可能だ。これは明らかにEvernote的であり、果たしてGoogleが今後のアップデートでさらにこの方向へ進むのかどうか興味深い。

新バージョンではGoogleスプレッドシートの編集操作も改善された。フォントのタイプやサイズ、セルのテキスト色や配置をアプリから設定できるようになった。また、Googleのクラウドプリントもようやくサポートされた。

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(翻訳:Nob Takahashi)


Android版Chrome、全画面モードを追加、オムニボックスからの検索を簡易化。iOS版にも音声検索追加へ

Chrome 27のデスクトップ版が昨日公開され、今日(米国時間5/22)Googleは、Andorid版Chromeもバージョン27にアップデートした。デスクトップ版のアップデートは主として性能改善だったが、Android版には新機能がいくつか追加された。一番大きいのは、スマートフォンの全画面モードだろう。iPhoneアプリ(あるいはかつてのAndroidブラウザー)と同じように、スクロールダウンするとツールバーが消える。

さらにこのバージョンでは検索体験がいくらか簡易化された。オムニボックスから検索した際「検索クエリがオムニボックスに表示されたままになるので、編集が容易になり、検索結果の表示が増える」とGoogleは言っている(下図参照)。

Googleでは類似の機能をデスクトップ版Chromeでも実験している。これは、オムニボックスを事実上Google.comの検索フォームに変えるものだ。これまでは、表示を検索結果のURLに切り替えてから、検索結果ページ上に検索インターフェースを再現していた。デスクトップでは、新しいやり方はいつも私を混乱させるのだが、画面サイズの制約を考えれば、これでスクロールせずに検索結果を何行か余計に表示できるのだろう。

他にこのアップデートで加わった新機能には、クライアント側認証(企業のイントラネットに接続する際によく必要になる)とタブレット版でのタブ履歴(戻るボタンの長押しでタブ履歴を見ることができる)がある。

iOSはどうなるのか?

iPhoneおよびiPad版Chromeにも近々音声検索が追加されると今日Googleが発表した。公開は数日以内の予定で、ユーザーは「ローマの天気は?」「サンアントニオからダラスまでは何マイル?」などの質問ができるようになるだろう。

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(翻訳:Nob Takahashi)


Twitter、SMS利用の2段階認証を導入してセキュリティーを強化

数ヶ月前に大量のアカウント情報がリークするという失態を演じたTwitterだが、今日(米国時間5/22)、ユーザーをハッキングやフィッシングから守るためにSMSを利用した2段階認証を発表し、セキュリティーを強化した。

残念ながら、ログインに必要な認証コードが単一の携帯電話に送信される仕様のためこの措置は企業やメディアで単一のアカウントを複数の担当者が利用する場合には使えない。

2月にTwitterのセキュリティー問題から何十万というアカウントがパスワードを再設定する必要に迫られた。これを機にTwitterに2段階認証をサポートするよう要求する声がインターネット・コミュニティで高まった。WiredのMatHonanは先月、Twitterが部内で2段階認証をテスト中だと報じたが、その後もAP通信のアカウントがフィッシングで乗っ取られるなどの不祥事が続きた。

少なくとも個人アカウントについては2段階認証の導入で乗っ取りなどの被害に遭う可能性がずっと少なくなる。

この機能は現在順次公開中だ。まだ自分アカウント設定ページにオプションが表示されていないユーザーはもうしばらく待つ必要がある。2段階認証を有効にするには、設定中のアカウントセキュリティーで「ログイン時に認証コードを要求する」にチェックを入れ、携帯電話の番号を入力すればよい〔まだ日本国内では有効になっていない〕。携帯にSMSで確認メッセージが届けば2段階認証は有効になっている。

以後はログインのたびに認証コードがユーザーの携帯に送られるので、パスワードと同時にその認証コードを入力する。Twitterのログイン認証はモバイル・アプリをサポートしていないので、その場合はアプリに一時的パスワードを設定する

 2段階認証というのは、悪者がユーザー名とパスワードを盗んだとしてもユーザーの携帯まで盗むことはないだろうという前提にもとづいている。

こちらに2段階認証の手順を説明したビデオがある。ヘルプ・センターにも解説がある。

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(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+


彼は最初からそれをJIFにすればよかったのよ, 何を今さら…

The New York TimesがSteve Wilhiteのかわいらしいインタビュー記事を載せている。Wilhiteは、今や有名なあのGIFファイルを発明した人だ。Wilhiteは、White Houseは間違っている、とみんなに伝えたいらしい:

彼はGIFを誇りに思っているが、このフォーマットの発音をめぐっていまだに議論があることに、困惑している。

“Oxford English Dictionaryは両方の発音を載せている”、とWilhite 氏は言う。“でもそれは間違っている。それはソフトな‘G’であり、「ジフ(jif)」と発音する。この話は、これで終わりにしたい”。

GizmodoのCasey Chanは私と同じ意見だ。彼の、わざと滑稽に書かれた記事は、楽しい。“彼によると、われわれアメリカ人は間違っている。それはソフトな‘G’であり、「ジフ(jif)」と発音する。おやおや、だったら最初から、あなた、ピーナッツバターの商標と同じJIFにすればよかったじゃないですか。そうすれば話は終わりですよ。ぼくはもっと前に、この話は終わったと思っていましたよ。でも、ぼくが読んだ本が、間違っていたのかな”。

つまり、Chanも私も合衆国の大統領も、単純にWilhiteを無視して、これからもハードな‘G’で発音するのだ。それは、‘gift’(ギフト)から最後の‘T’を取った発音、つまり「ギフ(gif)」よ。この惑星の上の誰一人として、それを‘jif’なんて発音しないんだから。

お話は、これでおしまい。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


モバイルウェブにネイティブアプリケーション風機能を追加するBrow.si、オープンベータでアドオンの提供を開始

ネイティブアプリケーションとウェブのどちらが良いのかという議論がある。どうやら最近はモバイルウェブの形勢が悪いようだ。FacebookのZuckerbergが声高にHTML5を非難したことも要因となっているだろう。但し、そうはいってもパブリッシャーにとってみれば、ウェブサイトの方が「基本」になるものだ。しゃれたネイティブアプリケーションをリリースしていても、それでもウェブサイトなしで済ませるということは考えにくい。

そんな現状の中、MySiteAppがBrow.siというプロダクトを発表した。現段階では公開ベータとなっている。こちらのプロダクトはモバイルウェブサイトのアドオンとして機能するもので、ネイティブアプリケーション風の機能を実装しようとするものだ。それによってネイティブアプリケーションと同等のエンゲージメント獲得を狙う。実装されているのは、ソーシャルでの共有機能、登録しておいて後で読むためのボタン、読者登録申し込み、ある種のプッシュ通知を受け取るための機能などだ。利用する開発者は自前でBrow.siの拡張機能を開発することもでき、さらにアプリケーション風の機能を実現することができる。これにより、サイトのマネタイズも考えやすくなるだろう。

モバイルウェブサイトにBrow.siのコードを組み込むと、サイトにBrow.siのツールバーが現れるようになる。このツールバーをクリックすると、各種ボタンが表示されるという仕組みになっている。表示されるメニューから上述の各種機能を利用したり、またフォントサイズの変更などを行うこともできる。このBrow.siに関わるサードパーティー製のミニアプリケーションもいろいろと登場予定で、将来的にはマーケットプレイスの開設も視野に入れている。

上に書いた機能や、あるいはその他の便利機能などを実現するために、パブリッシャー側で行わなければならない作業は非常にシンプルなものだ。ソーシャルネットワークで共有するためのボタンをつけるだけの作業と変わらない手間で、さまざまなツールが利用できるようになる。

またBrow.siは、ある種のプッシュ通知も実現している。但しこれは別にBrow.si Readerというアプリケーションが必要となる。アプリケーションの方はiOS用のネイティブアプリケーションで、モバイル環境でウェブを閲覧するのに利用するものだ。Brow.siアドオンを利用しているサイトを訪問すると、このアプリケーションのインストールを促され、そしてこのアプリケーション経由でプッシュ通知を受け取るという仕組みになっている。もちろんこのBrow.si Readerは通常のウェブ閲覧に利用できるもので、Brow.siとしてはアドオンをきっかけとして、本アプリケーションの利用者が増えることも期待しているのだろう。

尚、Brow.siはWOrdPress VIPのフィーチャーパートナーともなっている。つまりWordPress VIPを使っている人は、Brow.siのプラグインをワンクリックで導入して、各種機能を実装することができるようになっている。Drupal、Joomla、そしてBloggerでも利用できるようになっている。

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(翻訳:Maeda, H)


ミクシィが学習管理サービスStudyplusのクラウドスタディに7200万円を出資

ミクシィが本日、クラウドスタディへ7,200万出資したことを発表した。また、ミクシィは同時に、クローズドSNSのCloseなどを運営するREVENTIVEへの出資も発表している。

クラウドスタディは学習管理サービスのStudyplusを運営している。このサービスは講師と生徒、サービスとユーザーといった学習サービスではなく、学習を管理するためのものだ。

サービスに登録後、勉強に使っている教材やアプリを入力する。その後はその教材をどれだけ勉強したかユーザーが記録をつけ、可視化されにくい勉強の成果をグラフで表示する仕組みとなっている。

StudyplusにはSNSとしての側面もあり、ユーザー同士で勉強の成果に対してコメントを残したり、「いいね!」といったアクションを起こせる。お互いに励まし合える点が良い。

クラウドスタディ代表取締役社長の廣瀬高志氏はStudyplusが他のサービスと違うのは匿名性だという。

Studyplusは高校生や大学生のユーザーが多く、大抵のユーザーは自分が何を勉強しているか友人に知られたくないそうだ。そのため、匿名性にして、このサービス内だけの関係(勉強仲間)を作ってもらうことで友人を気にすることなく勉強記録を投稿してもらえるという。

現在Studyplusのユーザー数は約13万人で、サービス上に投稿される勉強記録の数は月間100万件ほどだ。DAU(デイリーアクティブユーザー)が1万2,000人だというから、毎日3件から4件ほどの勉強記録が投稿されていることなる。

こうして蓄積された勉強記録は有益なデータベースになると廣瀬氏は語る。例えば東大に合格したユーザーが使っていたテキストは何で、毎日どれくらい勉強していたのかといった情報や、どのくらいのペースでテキストを勉強し終えれば良いのかの参考にもなる。これは高校や大学受験だけではなく、社会人の資格取得にも使える。

Studyplusのように学習の管理面にフォーカスしたものは珍しいが、廣瀬氏は「ジョギングなどは継続するためのツールが存在するが、勉強に関してはない。勉強はマラソンに似ているので、記録を可視化してあげることで継続に繋がると思った」と語った。

今後は他の学習系サービス/アプリにAPIを提供し、それらを使って勉強すると自動的にStudyplusにログを残すことや、外部と連携しながら学習コンテンツの提供も検討しているという。


ランド・ポール上院議員によるAppleの税対策擁護は概ね正しい


「Appleのような企業が他の米国企業と同じく正当な税法簡易化を求めることを非難するのはばかげている」と、超自由主義者のランド・ポール上院議員がツイートし、「Apple CEO Tim Cookが自社の税対策を擁護しているなどと言いがかりをつけている」と同僚議員らに食ってかかった。

Cookの話題騒然の尋問の前夜、一通の上院議員調査報告書が公表され、Appleは帳薄を操作し疑わしい脱税行為によって、35%の米国税率を逃がれるために海外資金1020億ドルの米国への返還を回避していると訴えた。

「本来やるべきことをせず、議会はビジネスマンやビジネスウーマンたちをここへ呼び出し、彼らが株主の利益を最大化しようとしていることを非難している」とランド議員は別のツイートで付け加えた。

「Appleが全海外収益に対して2%以下の税金しか支払わなくて済む仕組みが、同社に米国税を免れるための複雑な税対策を行わせる財務的動機を与えている」と、常設調査小委員会のカール・レビン、ジョン・マケイン両上院議員の報告書は指摘している(詳細はこちら)。

当然ポール議員は、この告発のAppleが米国政府に対する義務を怠っていると責めるトーンに怒りを露にした。「これは米国企業が最大の利益を上げようとすることに対する確執だ。この場に来て自分たちのゴールはAppleとは違う、納税額を最大にすることだ、と言う企業いたら見てみたいものだ」と彼は言った。

何千(何百万?)もの米国市民がApple株を直接あるいは年金を通じて保有している、「Mr. Appleを痛めつけることは、自分たちを痛めつけることだ」とポール議員は指摘する。実際Appleは、もし何らかの非常に複雑な海外税対策を通じて利益を最大化していなかったなら、一般株主をだましていたことになる。

しかし、ポール議員のわかりやすい主張も、解決案となると物足りない。例えば彼はうかつにも “repatriation holiday”[本国持ち込み税優遇措置] に言及した。2004年に米国政府は、海外資金を国内に戻す動機付けのために、この制度を設けた。しかし、超党派議会調査委員会によると、その資金は研究開発には回らなかった。実際には多くの企業が雇用を削減し、新たな資金を株主への配当に注ぎこんだ。

今ポール議員らは、減税が一般にイノベーションへの投資を刺激することは主張できても、現実的な “repatriation holiday” について軽々しく語るべきではない。

実際の証人喚問は、報道よりもずっと外交的で惜しみなくAppleを褒めたたえる。「私は。Appleを。愛している・・・夫がMacBookに変えるまで彼を責め続けた」とクレア・マカスキル上院議員はまくしたてた。

元大統領候補のジョン・マケイン上院議員も、「私が本当に聞きたかったのは、なぜいつもスマートフォンのアプリを更新してばかりいなければいけないかだった」と、彼なりにジョークを言った。

Tim Cook自身は、2つの解決案を簡単に陳情した。簡易化、減量化された米国税法、および「1桁」の海外資金持ち込み税率だ。こうした税制案は議論を呼ぶところだが、その場で最も説得力があったのは、ロブ・ポートマン上院議員がTim Cookにかけた言葉だった。「君たちにこれ以上税理弁護士は必要ない。必要なのはイノベーターだ」

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(翻訳:Nob Takahashi)


Apple CEOティム・クック:「納めるべき税金は1ドル残さず全て納める」

AppleのCEO Tim Cookは議会の尋問を受け「われわれは納めるべき税金は1ドル残さずすべて納める」と宣言した。上院による激しい調査の結果、Appleは138億ドルの脱税の疑いで訴えられた

冒頭の宣誓でCookは、Appleが納税を逃がれるために「小細工に頼ることはしていない」ことを陳述した(Appleが海外に現金を隠した方法については本誌の記事を参照)。

議会にはCookを支持する議員もいる。中でもクレア・マカスキル上院議員、および法人税率の大幅引下げを推す自由主議者として知られるランド・ポール上院議員が特にそうだ。
ポール議員は同僚議員らを、株主の価値を最大に高めようとしている偉大な米国企業を中傷していると非難した。

マカスキル議員はポール議員が同僚を非難したことを諭しつつも、「私は。Appleを。愛している・・・夫がMacBookに変えるまで彼を責め続けた」と付け加えることを忘れなかった。

Cookは、米国税法の単純化を推進するためのロビー活動を行っており、「税収中立、企業免税の完全撤廃、海外現金を国内に戻す際の税率の妥当化が必要。われわれは、これが自分たちの納税額を増加させるであろうことを承知の上で提案している」と語った。

Cookは自身の税法案に関して「これがAppleの米国税を増加させることは十分理解している」と認めた。

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(翻訳:Nob Takahashi)


フィンランドのMeeGo系スタートアップJollaが初のモバイル製品を披露–着せ替え人形のようなシェルが新奇

フィンランドで元Nokiaの連中がMeeGoを抱えて発足したスタートアップJolla〔発音: “ヨーラ”〕は、独自のモバイルハードウェアとMeeGo由来のSailfish OSを開発していたが、ついにその最初のハンドセットが完成し、そのお姿を同社のWebサイトで披露している。そのデザインは、すっきりとしたエレガントな板状で、そのいちばん目立つ特徴は、裏側が色違いのシェル(外殻)になっていて、全体として表/裏二色のサンドウィッチ状になっていることだ。

シェルの色はユーザが指定できるようだが、それによってSailfishのUIのテーマの色も変わるらしい。この機能のことをJollaは”Other Half”(伴侶)と呼び、“Other Halfが付くことによってJollaに命が通いユニークになる”、と言っている。“不思議なことに、あなたが選んだ色やデザインによってソフトウェアが変わり、あなたの環境、あなたのJollaになる”。ハードウェアとソフトウェアをリンクしている技術の詳細は不明だが、なんとなくNFCが匂う。

取り外し可能で着せ替えのできるシェルは、NokiaのLumia 820を連想させる。このデバイス用にNokiaは3Dプリントのファイルを提供し、3Dプリンタを使えるユーザは自分だけのシェルをデザインしプリントできる。ただしLumia 820の場合、シェルの変化がWindows Phoneのソフトウェアの変化と連動してはいない。

Jollaのハンドセットは定価€399 ($513)で年末に発売される。Jollaは曰く:

発売は2013年の年末を予定しているが、その日程は各地域の需要に合わせて調整する。販売はヨーロッパの国々から始まり、そのほかの国にも広げていく。キャンペーンに参加して予約番号を入手した方は、発売日に付加価値税込み399€でお買い上げいただける。ただし送料や、国や地域による特殊な税等はこの値段に含まれていない。

スペックとしては、画面は4.5インチのEstradeディスプレイ、チップはデュアルコア、4G対応、内部メモリ16GBとmicroSDカードスロット、8MPのオートフォーカスカメラ、ユーザが取り替えられる電池、となる。OSはJollaのSailfish OSだがAndroidのアプリも動かせるのでユーザは助かる。ただしJollaはデベロッパたちに、ネイティブのSailfishアプリを作るよう、勧奨している。

ハードウェアの発表はJollaによる予約販売キャンペーン(先月発表)のスタートでもある。今日(米国時間5/20)から予約を受け付け、出荷は今年のQ4だ。限定版の予約料金は€100または€40で、高い方では特製のOther Halfがもらえる。前金を払わないふつうの予約でも、最初の出荷ぶんの入手は保証される。

問題は、半年以上先に発売される製品に対して人びとの関心をつなぎ止めておくために、Jollaが何をするかだ。クリスマス〜年末商戦ともなれば、Samusungを筆頭に、Android勢も新製品をこぞって出すだろう。

Jollaは今日、ヘルシンキでJolla LoveDayと名付けたイベントを開催している。それは予約販売キャンペーンの一環だが、デザインを今日まで隠しおおせたことも、マーケティング作戦の一環かもしれない。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


ArduinoがWiFiを本体でサポート–物のインターネットをDIYしよう

すばらしいハードウェアのアイデアがひらめいたとしよう。まず何をするか? ファームウェアのコードを考える、デザインを考える、そしてプロトタイプを作る。

プロトタイプを作るためには、まずその製品の脳となるプログラマブルなチップが必要だ。学習曲線が比較的なだらかで、コミュニティがフレンドリーなArduinoにしよう。しかし: そのハードウェアはWiFiが必要なのだ。

これまでは、WiFi内蔵の簡便なICチップがなくて、アイデアはそこで頓挫することが多かった。WiFi回路+ファームウェアの自作は、難しい。

これまでも、ArduinoでWiFiができなかったわけではない。面倒だっただけだ。主に二つの方法があるが、どちらも完全ではない:

  • WiFiシールドを買う。“シールド”とは、Arduinoの機能拡張アタッチメントで、音声の再生/録音、イーサネット、WiFiなどがある。欠点は、WiFiシールドはArduino本体の2〜3倍と高く、でかくて、必要なときに手に入らないこともあった。
  • WiFiを搭載したArduino“クローン”を買う。クローンは、サードパーティが作った非公式のArduinoだ。問題は: トラブルに遭遇するとそのクローンボードに詳しい人をコミュニティに探さなければならない。

先週末のMaker Faireで同社は、Arduino Yúnを発表した(Yúnは中国語で雲(cloud, クラウド)の意味。珍しいúの代わりにuと書く人が多いだろう)。最初からWiFi機能を搭載した初めてのオフィシャルのArduinoだ。

Yúnのファームウェアは、Arduinoの基本部分はArduinoだが、WiFiの通信機能はLinuxが担当する。HTTPの送受信機能もある。また、USBケーブルを使わずにWiFiでプログラムをロードできる。

要するに、DIYハードウェア基板の代表格であるArduinoが、“インターネット接続あり”、になったのだ。Google Calendarが来客を教えてくれたから、その人が家に着く30分前にコーヒーを淹れておこう、なんてことが外出先のスマホからできる。要するに、多様な“物のインターネット”のDIYがとってもやりやすくなる。目覚まし時計のスヌーズボタンを押したら、自動的にPayPalの自分の口座からお金が慈善団体に寄付される、なんてのはどう?

今週はWiFi機能のあるArduino互換ボードのプロジェクトがKickstarterで30万ドルの資金を集めた(目標額はわずか1万ドルだった)。まだ締め切りまで2週間ある。つまり、こんな製品への関心や需要はとても多いのだ。

Yúnは6月末に発売される。お値段は69ドル。素のArduinoの約倍だが、それでも安い。しかもシールドを買って使うより、ずっとコンパクトだ。

〔訳注: 原文コメントには、MiniSocket iWiFi(http://www.connectone.com/?page_id=217)や、USBのWiFiアダプタが使えるRaspberryPiの方が使いやすい、という説が載っています。〕

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


研究結果:パソコン無料配布で教育の貧富格差は埋められない

最新の研究によると、4人に1人の子供が自宅でFarmVilleをプレイできないことに関して、われわれはあまり心配する必要がない。

「われわれの研究によると、パソコンの所有そのものが、低所得児童の短期的学業成績に大きく影響を与える可能性は極めて低い」と、Robert W. FairlieおよびJonathan Robinsonは、カリフォルニアで行われた大規模な無作為パソコン無料配付に関する研究について報告した。一面これは、パソコンを持たない子供たちの破滅の日予言が誇張であったことを示す良いニュースだ。しかし、パソコン無料配布は貧困による学業格差を解消する容易な方法の一つと考えられており、それが振り出しに戻ることになる。

「実験はパソコンの所有と利用時間には多大な影響を与えたが、学業成績、標準テストの得点、単位取得、出席状況、懲罰等、さまざまな教育成果に関する影響の証拠はみられなかった」と最新結果を説明した。これはインターネットのない子供たちが試験で著しく不利であるというこれまでの証拠に反する

パソコンが利用できないために貧しい生徒が不利になるという(理にかなった)不安に基づき、カリフォルニア州では州中央部の15校に通う小6~高1生1123名にパソコンを無料提供した。重要なのは、統計に強い管理者が無作為に生徒の半数を対象に選んだことで、このためパソコンを受け取った子供が普通以上に高い意識を持っていたことを心配する必要はない。

懸念の通り、49%の子供たちがインターネットからファイルをダウンロードする方法も知らなかった。当然ながら、パソコンの利用時間が増えるにつれ、彼らが教育的とはいえないゲームに触れる時間も長くなった。「自宅にパソコンがあると、学校の勉強のためのパソコン利用時間が増えると同時に、ゲームやソーシャルネットワークその他のエンターテイメントに費やす時間も増えるので、両者は相殺されるかもしれない」と研究者らは推測する。

もちろん、パソコンは教育以外の効果ももたらす可能性がある。基礎的なコンピューター・リテラシーは知識経済に間違いなく役立つ。しかし本当の問題は、貧困な子供の多くが情報技術関連の職につく機会すら持てないことであり、貧富格差は広がる一方だ。SATスコアの格差は40%に拡大し、大学卒業に関しては1980年代以来50%に急増した

これは、一番それらしい犯人の方がはあるかに問題であることを意味している・・・家族と環境だ。私は非行の恐れのある青少年を何年か教えたことがあり、大学を重視しない親たちがいかに熱心な子供たちの意欲を削いでいるかを目の当たりにした。私の家庭では、それが何であるかを知る以前から大学へ行くことを期待されていた。

同じ期待をされていない子供たちは大きな不利を強いられており、それを修復できるガジェットは存在しない。

[H/T: @markwarschauer]

[Image Credit: San Jose Library]

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(翻訳:Nob Takahashi)


Yahoo、Flickr Proを廃止。広告嫌いとプロ向けに新たな有料版を提供


Yahooのビッグニュースデー ― 傘下の写真共有サイトFlickrの大規模改修 ― の締めくくりとして、同社はFacebook/Instagramをはじめとするオンライン写真分野のライバルとの戦いを有利にすべく、Flickr Pro版を廃止する、しかし、有料版を全面撤廃するわけではない。広告のないAd Free、およびパワーユーザー向けのdoublrを、それぞれ年間49.99ドル、および499.99で提供する。

Ad Freeサービスは、49.99ドルで写真フィードの右側に並ぶ広告がなくなる。そして、もしYahooのTumblr広告に関する今日の議論が何らかのヒントになるとすれば、近いうちにフォトストリーム中に広告が現れるようになるかもしれない。

doublrサービス(これまた母音欠落・・・これは同社のTumblr買収を後押ししたに違いない)は、499.99ドルで無料の1テラバイトに加えて追加の1テラバイトが手に入る。

Pro版 ― 3ヵ月6.95ドル、12ヵ月24.95ドル、2年間44.95ドル ― には無制限アップロード、無制限ストレージ、広告なしに加えて、アップロードした写真を縮小サイズではなくダウンロードできる、という実にたちの悪い条件があった(つまり、一般利用者はProにアップグレードしない限りフルサイズ画像をダウンロードできなかったという意味だ。オリジナルファイルは常にFlickrに保存されている)。

Flickrに近い筋から聞いたところによると、Proの終了が会社に与える影響は小さい、なぜなら元々Proが好調だったことはないからだと言う。

「全ユーザー中の比較的少ないパーセンテージしかProを使っていなかった」と本誌の情報筋は言い、はるか昔のCEO Terry Semelはプレミアムサービスを強く推していたが、彼が辞めてから(実際には在任中も)、Proバージョン推進のための「投資は事実上ゼロ」だったと付け加えた。

そうはいっても、現行のProユーザーはYahooがどう残りの年間使用料を補償するつもりなのかを心配している。Yahooの注意書きによると、今回の変更に伴い、名前の横に表示されていた “pro” バッジは削除され、Pro版のギフトもできなくなる。奇妙なことに、AOLの定額料金のやり口を彷彿されるかのように、YahooはPro版自動更新ユーザーに対しては更新を可能にしている。

実はPro版にはもう一つ役割があった。今日CEO Marissa Mayerは、Flickrを再考することになったそもそものきっかけは縮小画像のダウンロードだったと語った。「われわれのサービスを見渡してみてこう自問した。何故こんなことをしているのか? それが思考実験の始まりだった」と彼女は言った。そして、Flickrはこれ以上「劣化」画像を提供したくないという決断が下された。「われわれは画像を保管し、ユーザーはいつでも高解像度画像を利用できる。これは大きな差別化要因だ」

しかしDropbox、BitTorrent、Mega等の時代、今や写真を保存できる場所はいくらでもある。保管場所をFlickrにするためにYahooにプレミア料金を払う人などいるだろうか? いずれにせよ、既に指摘されているように、無料アカウントを2つ取ればいいところを、誰が追加ストレージに499.99ドル払うだろうか。

そんな中、FlickrユーザーたちはTumblrの先例にならって、変更に対する辛辣な批判を書き並べている。

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(翻訳:Nob Takahashi)


安価な遺伝子検査が、がん予防を複雑化させる

医療情報が増えると悪いこともある。影響力のある団体である米国予防医療特別委員会は、乳がん検出を目的とする遺伝子スクリーニングは大多数の女性に対して〈推奨しない〉と勧告した。なぜか? 検査が不完全だからだ。乳がん発症に関係する遺伝子検査は、誤って陽性と判定される可能性の方が高く、おびえた被験者が不要な手術に走ったり心理的トラウマに陥いることがある。23andMeなどの先進的医療スタートアップによる超安価な遺伝子検査は、不完全な医療情報の入手を容易にした結果われわれのがん検査を困難にしている。

乳がんの可能性を60~80%増加されることで知られているBRCA1遺伝子変異が発見された女優、アンジェリーナ・ジョリーは、両乳房切除という思い切った予防治療を行った。彼女がNew York Timesで語った勇気ある告白によって、乳がん防止への注目は高まったが、統計に暗い人々にとっては危険もある。

例えば、New York Timesの統計導師、ネイト・シルバーは、ある時私にこう話した。乳がんマンモグラフィーの精度は75%だが、陽性と判定された女性が実際にがんにかかってる確率は約10%にすぎない。大多数の女性はがんにかかっていないため、偽陽性(ここに数字で説明した有益なブログ記事がある)と判定される女性の方がはるかに多いからだ。最大の問題は、調査によると多くの人ががん検査の偽陽性に関する数学を理解できず、その結果無知な判断を下しかねないことだ。

同じ数学は、ジョリーが告白したBRCA1/2遺伝子変異についても適用される。研究者らは欠陥遺伝子を持つ女性の確率はわずか0.11~0.12%であると推定している。「BRCA1/2の遺伝子検査は適切なカウンセリングの下で行うべきであると信じている」と、スティーブ・ジョブズのがん治療にも関わった南カリフォルニア大学のDavid Agusは語った。「答えは単純ではない、経験ある専門家と患者による検討が必要だ」

従来何十万ドルを要した検査に、安価な家内遺伝子検査産業が急速に立ち上がった。最も人気の高い23andMeは、最低99ドルからサービスを提供しており、同社ブログではBRCA議論にまで介入している。

23andMeは、BRCA1変異を知らされた患者に悲観的感情変化がみられなかったという最新研究結果を引用して、「消費者による直接テストに対する度重なる批判の根拠は、一部利用者に深刻な精神的苦痛を引き起こしたり、有害な行動を誘発するという理由だったことを踏まえると、この発見は重要であると主張している

この調査のインタビューに応じた遺伝子変異陽性群の利用者たちたちに、重度の精神的苦痛や不適切な行動の証拠が存在しないことから、「アシュケナージ・ユダヤ系女性に対して、これら3種のBRCA変異に関するスクリーニングを広く行うことを検討すべきだ」と同社は語っている。

しかし、任意回答のアンケートは物語の全貌を語らないこともある。ジョリーの決断に関する特集記事の中でTIME誌は、遺伝子異常を知らされ不必要である可能性の高い予防手術を受けたある女性のエピソードを掲げている。「彼女は動揺して両側乳房切除術を受けた」と米国がん協会最高医療責任者のOtis Brawleyは語る。同氏はこの患者の変異に限って彼女が心配するような悪性ではなかったことを心配する。

興味深いことに、TIMEのKate Pickart記者は、遺伝子検査の経済的コストが大規模な遺伝子検査を滞らせていると主張している。医療保険制度改革(別名、オバマケア)の新規定の下でも、100%保険適用されるのは家族歴に遺伝子異常のある患者に限られる。

しかし、わずか99ドル(将来はずっと安くなると思われる)なら、経済的障壁は崩れる。これは遺伝子検査が悪いと言っているのではない。ただ、われわれ、特に統計を理解しない人々を混乱させると言うだけだ。検査を受ける女性が多くなるほど、偽陽性は多くなり、その結果患者も医師も確信を失う。

おそらくこの安価スパイラルに託す唯一の望みは、検出精度と予測能力を高めるテクノロジーが出てくることだ。深部組織を定期的に監視してがんの兆候を見つける新しいブラ(下の動画)は、一つの有望な解だ。

遠からず、このジレンマから逃がれる革新的方法が見つかることを願いたい。

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(翻訳:Nob Takahashi)


Google+のAndroidアプリは画像フォーマットを秘かにWebPにチェンジ, 帯域を50%節約

今日(米国時間5/17)のデベロッパカンファレンスGoogle I/Oにおける発表によると、約一か月半前にGoogleは、Google+のAndroidアプリの画像を、同社作のWebPフォーマットに変えた。今日のプレゼンテーションを行ったWebPとChromeリモートデスクトップ担当プロダクトマネージャStephen KonigとMake the Web FastチームのメンバーでChromeのデベロッパ情宣担当Ilya Grigorikによると、それにより使用帯域の50%が節約された。

Google+は言うまでもなく画像の多いサービスで、Androidは4.0以降WebPに対応しているから、かなり必然的な移行だとも言える。ただし、今後は、というか来年中には、WebPをGoogleのプロダクトのほとんどすべてに導入していくという計画がある。チームが今日のセッションで見せたスライドには、YouTubeやGoogle Image Search(画像検索)をはじめ、Googleの主なプロダクトのほとんどすべてが‘出演’していた(よく分からないのもあったが)。

この変更は外部に対し黙って行われた。今年初めのChrome Web Storeの場合もそうだった。チームが今日述べたところによると、StoreではWebPの利用によって画像のファイルサイズがPNGのときの約70%に減少した。

現時点でのWebPの問題は、圧縮率の改善で帯域の大きな節約になるとはいえ、AndroidとChromeとOperaしかサポートしていないことだ。そのほかのプラットホームでは従来どおりJPEGやPNGなどしか使えないし、WebPをあえて使うためにはデベロッパが工夫しなければならない。しかし今日の話では、来年はFirefoxもWebPをサポートするそうだ。いずれにしても担当チームとしては、建前上からもこのフォーマットの将来に関してきわめて楽観的であった。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


FacebookはIPOから1年でどう変わったか–12の重要な数字を見る

$FBは$26.25と低迷し、IPO時の$38から相当下げているが、しかし1年前の公開時に比べて企業は大きく成長している。一日のユーザは26%アップ、モバイルの月間ユーザは56%アップ、売上は38%アップだ。先進国では新規登録が枯渇気味だが、成長は順調で天敵も現れず、困難な初年度を無事に生き延びた。

〔以下の各項目のパーセンテージは、とくに記銘のないものは“アップ”を意味します。〕

  • Like(いいね!) – 45億 – 67% – 本年5月の1日平均。2012年8月では27億。
  • 共有コンテンツ数 – 47.5億 – 94% – 本年5月の1日平均。2012年8月では24.5億。

[データと画像はFacebook提供]

Like(いいね!)と共有の増加率はFacebookのユーザ数のそれを上回っており、ユーザのエンゲージメント(参加性)が強いことを表している。Facebookは飽きられつつあるという噂にも反している。Mooreの法則をもじったCEO Zuckerbergの法則によると、人びとの共有数は各年で倍増する。94%はほぼ倍増を意味するから、Markの説は当たっている。この数字の増加は、共有されたコンテンツを見に来るユーザが増えるという意味だから、Facebookの広告収入にとっても重要だ。

そのためFacebookは最近とくに、モバイル体験の参加性アップに努めている。とりわけFacebook Homeは、まだ絶対数は少ないものの、アクティブユーザのFacebook滞留時間を25%上げている。滞留時間が増えれば共有も増える、という算術だ。また人気の高いiOSとAndroidアプリは、HTML5からネイティブアプリに切り替えることによって倍速くなった。これもセッションタイムの増に貢献している。そのほか、コンテンツ特定型のニューズフィードで閲覧密度を高め、 グラフ検索によりデータの付加価値増と(その付加価値への)人びとの貢献度アップを図っている。

iOSとAndroidに関してはモバイルSDKを充実し、いろんなアプリがFacebook上でコンテンツを共有しやすいようにした。Facebookがデベロッパ育成に熱心なのも、そのためだ。デベロッパがwinすればFacebookもwinするという、winwinの関係がある。

  • 月間アクティブユーザ数 – 11.1億 – 23% – 2013年3月。2012年3月では9.01億。
  • 各日アクティブユーザ数 – 6.65億 – 26% – 2013年3月の平均。2012年3月の平均は5.26億。
  • モバイル月間アクティブユーザ数 – 7.51億 – 54% – 2013年3月。2012年3月では4.88億。
  • Instagram – 月間アクティブユーザ数1億 – 2013年2月。

Facebookの新規登録は今でも活発だが、地域によって差がある。2013Q1では、合衆国とカナダでのユーザ一人当たり収益$3.50に対し、インドとブラジルを含む途上国ではわずかに$0.50だ。Facebookのユーザ数が大きく増加しているのは後者の市場だが、増加ぶんがFacebookに持参する新規の‘ユーザ価値’は、したがって年々薄くなっている。

モバイルの成長も、同じ問題を抱える。デスクトップでは最大7つの広告を表示できるFacebookも、モバイルの小さな画面では遠慮しなければならない。だから、デスクトップからモバイルに移行するユーザが増えると、ユーザ一人当たりの広告収入は減る〔広告単価は同じか?〕。デベロッパが自分のアプリを見つけやすくするための、ニューズフィードへの課金にFacebookは期待しているが、アプリのローンチ数と途上国のスマートフォンユーザ数は今後増える一方だから、それは確かに成長市場だ。

しかし全体として見ると、Facebookは立ち上げから9年にして、いまだに強力に成長している。Facebookの、まるで空気や水のような遍在性が持つネットワーク効果は、もはや無敵だ。Facebookを、今の‘万人の万人のためのソーシャルネットワーク’の座から引きずり下ろすためには、何かものすごく画期的なものが必要だ。いまのところは、特定のユースケースを売りにする競合サイトはいくつかあっても、Facebookの、インターネットの住民登記所のような普遍的な性格に勝てるものは見あたらない。Facebookは、Instagramの例に見られるように、若干脅威を感じたものは自分で買ってしまうから、なかなかディスラプトされないし、その支配は今後何年も続くだろう。

  • 地域企業 – 1600万 – 100% – 2013年5月の企業ページ数。2012年6月では800万。
  • 投稿の宣伝(Promoted Posts) – 750万 – 2012年6月から2013年5月までの累積。
  • 売上 – 14.6億ドル – 38% – 2013Q1。2012Q1では10.6億ドル。
  • 広告収入 – 12.5億ドル – 43% – 2013Q1。2012Q1では8.72億ドル。
  • 社員数 – 4900 – 38% – 2013年3月。2012年3月では3,539。
  • 有料ゲームプレーヤー数 – 24%あまり – 2012年3月と2013年3月の対比。

明らかにFacebookは、公開企業になってからお金儲けにまじめに取り組むようになった。ゼロだったモバイルの売上は四半期で$375Mになり、総広告収入の30%を占めるに至った。それは昨年後半に立ち上げたモバイルアプリインストール広告に依るところが大きい。デベロッパが自分のアプリをFacebookのニューズフィードで宣伝すると、広告のリンクがユーザをApple App StoreやGoogle Playストアのダウンロードページへ連れて行くのだ。今やこれらのストアは大量のアプリで渋滞しているが、デベロッパたちは、だからなおさら、Facebookにお金を払って自分のアプリを見つけてもらおうとする。

FacebookのFacebook Exchangeも、広告ビジネスとして順調だ。これはユーザのブラウザの履歴を見て、そのユーザ向きと思われる広告を表示する。Facebookは、企業の通常の広告費のほかに、ターゲット広告のための広告予算も取れるようになった。これに対し、eコマースへの進出ともいえるFacebook Giftsは、あまりうまくいってない。Giftsは成績がよろしくないので、より魅力的なギフト/プレゼント買い物サイトへのオーバホールを迫られている。有料ゲーム等のさや取りも、あまり伸びていない。ゲームのモバイル化で今繁盛しているのは、Apple(iOS)とGoogle(Android)の二大陣営だ。Facebookは、いまいち。

Facebookがグラフ検索に広告を出し始めたことは、投資家を喜ばせるかもしれない。今はFacebookの通常のターゲット広告だが、キーワードターゲットを導入すればGoogleのAdWordsという強敵と互角に戦える。今後は地域企業もますます、ネット志向Web志向になってくるから、(彼らのページのある)Facebookにとっては有利な展開になる。今のところソーシャル広告の活用例が少ないが、でもターゲット性の希薄な印刷広告や電話帳広告からFacebookへの移行の流れが、これからはますます太くなる。

というわけで、これからのFacebookのお金儲けのネタはまだまだある。テレビコマーシャル的な自動再生ビデオ広告はまだやってないし(やるという噂はあるが)、モバイルの広告ネットワークも実験を中断してしまった。個人化〜ターゲット化された広告の再利用が進むと、一部のユーザは不快に思うかもしれないが、売上増には大きく貢献する。広告ネットワークでは、Facebookの無尽蔵な個人データが、よそで表示される広告にも利用されるのだから、自分のサイトやページの物理的な限界が打ち破られ、濡れ手で粟のような広告ビジネスとなる。こういうことを考えると、今のFacebookの株価は実体に対してあまりに低すぎる。

しかもFacebookの場合は、お金儲けに精を出しても本業の“世界を結びつける”仕事が阻害されない。広告は(とくにモバイルで)これからもどんどん増えるが、それはユーザがエンゲージメント意欲を削がれるほどの困惑材料ではない

Facebookは、成長し成熟した。毎年ユーザ数が倍増していたぴちぴちのスタートアップでは、もはやない。しかしその成熟は、まだ円熟にはほど遠い。そのデータとユーザアクションが持つ大きな潜在的付加価値は、まだ十分に掘り起こされていない。IPOを無難に切り抜け、ユーザ体験を損なうことはまったくなかったが、世界の基盤的ユーティリティとなった今とこれからは、直接的な金儲けよりも、そのコミュニティの長期的な健康に注力することによって、人びとの人生そのものをシリアスなビジネスに変えていけるだろう。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


全世界のスマートフォンの営業利益シェア: トップはApple(57%), Android世界でトップはSamsung(95%)

2013Q1の数字を見るかぎり、Appleは依然として利益額が最大のスマートフォンメーカーであり、同時にそれは、利益が最大のモバイルプラットホームでもある*。Q1のスマートフォンの営業利益総額125億ドルの57%をAppleが占めている。これを報じたStrategy Analyticsによると、Android全体の利益額シェアは43%、額面で53億ドルとなる。同社のチーフアナリストNeil Mawstonが、本誌にそう語った。〔*: iOSプラットホームはデバイスのメーカーが複数化していない。〕

Q1のスマートフォンの売上に関しては、複数のアナリストハウスがさまざま数字を上げているが、Strategy Analyticsが今回発表した数字は、それらと趣を異にしている。

たしかに、Androidはスマートフォンの売れ行きを支配している(Gartnerの先日の数字では、このGoogleのプラットホームが同じ三か月で台数ベースでは全売上の75%を占めている)。同じく台数ベースでは、SamsungがAppleとの差を広げ、スマートフォンの全売上の31%を占めている(Appleは18%)。しかしそれでも、利益では、高級ブランドを確立しているAppleを抜いてトップには立てない(これまでAppleが低価格機を出さなかったのも、ブランドイメージがその理由かもしれない)。

[表1]

[表2]

しかし話をAndroidに限定すると、営業利益におけるSamsungのシェアはとても大きい。同社の51億ドルの営業利益は、Android全体の営業利益の95%の相当し[表2]、またスマートフォン全体ではAppleの57%に次いで40.8%である[表1]。Nokia、BlackBerryなどのその他大勢は、全体でQ1の利益額が3億ドル、シェアは2.2%となる[表1]。

Samsungは昨年、一貫して成長を続けたが、そこには確実に利益も伴っていたということだ。1年前の同社のモバイル製品(スマートフォンとフィーチャーフォン計)の売上額は、わずかにAppleの半分にすぎなかったし、利益率も薄かった。

これらの数字は、今月初めに調査会社Canaccord Genuityが発表した数字とおおむね符合する(AllThingsDより)。違いは下位の部分のみで、Canaccord Genuityによると、上位二社以外のベンダは実質的には無に等しい。

たまたまGoogle I/Oが始まったばかりという時節だが、Strategy Analyticsの数字はAndroid世界におけるSamsungの、異常なほどの大きさを示している。同社の営業利益51億ドルはAndroid全域の利益の95%だから、かろうじてLGの2,5%を除けば、世界中のすべてのAndroidベンダが、利益を全部合わせても2.7%の“その他大勢”になってしまうのだ[表2]。

“効率的なサプライチェーンと無駄のない製品設計、そして切れ味の良いマーケティングが、Samsungの驚異的な高利益を支えている”、とStrategy AnalyticsのシニアアナリストWoody Ohは書いている。これと対照的に“LGはこの四半期に少額の利益を上げたが、規模が小さすぎるのでSamsungと互角に論ずることはできない”。

ではもっと小さなAndroid OEMは、どうしたらいいのだ。

Mawstonの考えでは、Androidから生み出している収益はSamsungの方がGoogleよりも大きい。モバイルの広告量もアプリの売上も、Samsungが上だろう。

“Androidプラットホームから上げている売上と利益は、SamsungがGoogleよりも大きいと思う”、と彼は書いている。GoogleのAndroid担当チーフSundar PichaiはI/Oのキーノートで、全世界のAndroidのアクチベーションが9億に達したと報告したが、しかしAndroidという車の運転席に座っているのは本当は誰なのか? 世界のスマートフォン市場を本当に牛耳っているのは?

“Samsungはその強力な市場支配力により、これからもAndroid世界の進むべき方向性に関し影響力を発揮し続けるだろう”、とMawstonは書いている。“たとえばAndroidの新しいアップデートなどは、他社に先がけてSamsungが要求することになるかもしれない”。ソフトウェアに関する要求がSamsungという一介のベンダから来た場合でも、これからのGoogleは、それに抵抗して、従来と同じく完全平等公平なモバイルプラットホームを維持し続けることが、難しくなるのかもしれない。

なお、Strategy Analyticsによると、これらの数字にはタブレットはいっさい含まれていない。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


Google+の写真機能、大幅強化―全自動で色調・露出補正、GIF、パノラマ、HDR、 グループ写真の合成などを実行

Google+の重要なセールスポイントは写真だったが、I/Oカンファレンスで発表されたGoogle+のリニューアルでも写真に重点が置かれていた。

今回Googleが発表したGoogle+写真のアップグレードには昨年11月に買収したNik Softwareのテクノロジーが多用されている。画像の補正と共有の自動化だ。たとえばホワイトバランスや肌色の調整、エッジのシャープ化、ノイズ除去などがワンクリックで自動的にできるようになった。画像処理はすべてクラウド上で実行される。

GoogleのVic Gundotraが事前のわれわれに取材で対して語った(そしてI/Oでも繰り返した)ところによれば、写真というのはもはや「撮影」するものではなく「作り上げる」ものなのだという。ユーザーは写真のハードとソフトに何千ドルも投じているが、写真を整理し、補正する作業は依然として高度に労働集約的で時間のかかる作業だ。「しかし普通のユーザーにはそんな時間がない。それならGoogleのデータセンターがユーザーのデジタル暗室になればどうだろう?」とGundotraは言う。

Googleが今回ローンチしたのはユーザーがアップロードしたデータを解析して、ユーザーにさまざまなフィードバックを提供する仕組みだ。ひどいブレや重複している写真などには印をつけて注意を促す。露出不足の写真は修正する。有名なランドマークが写っている良い写真があればチェックする。顔を認識して笑っているかどうか、ユーザーのGoogle+サークルに含まれている人物かどうかを判断する。これまでユーザーが何時間もかけていた写真の整理がクラウド上で文字通り数秒のうちに処理されてしまう。

そこでGoogle+システムは緑を鮮やかに、肌を魅力的に、湖をブルーにし、コントラストを強くし、等々の画像処理を自動的に行う。またフラッシュによる人物の赤目も自動的に修正してくれる。ユーザーはこうした補正処理を一括して適用することも、個別のフィルタだけを適用することもできる。

すべて非破壊処理なので元の画像ファイルはオリジナルの状態に保たれる。ユーザーはオリジナルと補正後の画像をワンタッチで往復して比較ができる。Googleは今や全ユーザーに無料で15GBの記憶容量を提供しているのでユーザーはフルサイズの画像を大量にアップロードできる。

オートAwesome機能

アニメの人気を反映してGoogle+チームはGIFファイルの制作もサポートすることにしたが、その手法がなかなかユニークだ。Awesomeと名付けられたシステムはアニメに合成可能な一連の写真を見つけ出して自動的にGIFファイルを作成する。Gundotoraは「ユーザーがバーストモードであれ手動であれ短時間に連射した写真があれば、自動的にアニメを作成できる。システムは背景が動いていないこともチェックする」と述べた。

オート“Awesome機能はGIFファイルを作るだけではない。人物が笑っている写真を集めて切り貼りし、全員が笑っているグループ写真を合成したり、風景写真の場合、継ぎ合わせてパノラマ写真を作れる また露出ブラケット撮影した写真があればHDR写真を合成することもできる。しかもこうした処理はGoogleの巨大データセンター内で実行されるので非常に短時間ですむ。

以上の機能はすでに公開ずみで、Googleはユーザーの既存の写真からいろいろすばらしい写真をせっせと作っているところだ。

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(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+


Googleの水中ストリートビューはこうして作られる

Googleの水中ストリートビューは昨年9月にスタートしたが、実は同社のOceanプログラムは、6年前にKeyhole(後にGoogleに買収されてGoogle Earthになった)のファウンダーの一人が、海もマップにしようとひらめいた時に始まった。ここ数年、Googleは海の地図化を進めてきたが、ストリートビューを水中にもちこむことは依然として難題だ。

「われわれのゴールは、海のデータを増やすことによって地図データをより完全なものにすること。みんなを自分の家から海亀の家まで連れていきたい」とGoogleのJennifer Austin Foulkesは語った。これまでにGoogleは、オハフ島、マウイ島、グレートバリアリーフ周辺など6ヵ所でこれを実施している。

このプロジェクトには科学的要因が多く関わっているため、チームは画像を撮影するための厳格な手順を定めた。同プロジェクトでGoogleのパートナーを務めるCatlin Seaview Surveyのディレクター、Richard Veversは、彼のチームがこのプロジェクトで使用するカメラはGoogleが他のストリートビュー撮影者で使用するものとは全く異なると言う。まず、広角レンズを使う必要がある。Googleの水中ストリートビュー艇には、前面にカメラが3台あり、3秒毎に画像を撮影する。カメラの1台は下方に向けられており、これは従来から岩礁撮影で用いられている方法だからだ。水中スクーターの後部にはカメラを制御するためのタブレットが装着されている。

通常1回の潜水で約2kmをカバーし、カメラ1台当たり3000~4000枚の画像を撮影する。チームは1日に3回潜水し、それぞれ約1時間を要する。これまでに合計15万枚の画像が撮影されており、Veversはこの数字が今後数ヵ月で指数的に増えると予想している。長期的には、12時間以上潜水できる無人システムを作ることが目標だ。

通常のカメラに加え、同チームは3D画像を作るためのステレオカメラをテスト中で、最近では水中Hangoutを行ったり、Photo Sphereを使ってユーザーを魅せる実験をしている。

カメラシステムは1式約5万ドルで、現在4セット作られているが、うち2セットはまだ進水していない。

この水中データをストリートビューに取り込むために、VeversはGoogleの標準的ビジネス写真ツールを使用した。なお、画像の実際の位置は三角測量で求めた。これらの画像は科学者たちが無料で利用できることも特筆に値する。

チームは現在アメリカ大陸に焦点を絞っているが、今後3年間のうちに水中ストリートビューを世界中の海に持っていく計画だ(もちろん、全地域ではなくごく一部の場所だ)。もう一つの目標は、もっと多くのデベロッパーを巻き込むこと。データのクラウドソーシングおよび岩礁認識アルゴリズムの改善の両方が目的だ。既存のアルゴリズムは下方を向けたカメラの画像しか解釈できないが、同チームはカメラが捕えた全データを利用できるツールを作りたいと考えている。

海に対する脅威を踏まえれば、当然このプロジェクトには深刻な役割があるとVeversは指摘する。ストリートビューは、現在海が直面している脅威について大衆に知らせる重要なツールの一つだと彼は主張する。「人々は自分の目に見えないものを保護したいとは思わない」と彼は言う。殆どの人はダイビングをしないが、その人たちを仮想ダイビングに連れていけない理由はない。大衆や為政者の手に届かない限り、科学をやる意味はない。

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(翻訳:Nob Takahashi)