ツイッターがトランプ大統領息子のアカウントを制限、新型コロナ誤情報の共有で

Twitter(ツイッター)は、Donald Trump(ドナルド・トランプ)大統領の息子であるDonald Trump Jr.(ドナルド・トランプ・ジュニア)氏が偽りの内容を含むビデオと、新型コロナウイルス(COVID-19)パンデミックについて命を脅かす可能性のある主張を共有したとして、同氏のアカウントを一時的に制限した。

「これは見るべき!!!みんなが同調しているものとだいぶ異なる」とツイートしてバイラルビデオへのリンクをシェアした後、トランプJr氏のアカウントは米国時間7月28日朝に制限がかかった。

「件のツイートは当社のCOVID-19誤情報ポリシーに反する」とツイッターの広報担当はTechCrunchに語った。同社はトランプJr氏のツイートがCOVID-19誤情報についてのルールを破り、削除する必要があったと述べた。同氏のアカウントは一時停止ではないが、利用できる機能が12時間制限される。

ビデオはBreitbart Newsによって広範に宣伝されていて、白衣に身を包んだ多くの自称「米国の最前線医師」を特集している。ビデオの中で、そうした人たちは様々な嘘や危険な主張を展開している。そこにはマスクはウイルス拡散を防がないという主張や、新型コロナウイルスへの効果が確認されていない薬剤ヒドロキシクロロキンの擁護が含まれる。

ビデオの中心人物の1人であるStella Immanuel(ステラ・イマニュエル)氏は過去に奇妙な非科学的主張を展開しているとDaily BeastのWill Sommer(ウィマー・ソマー)記者は報じている。主張には「エイリアンのDNA」がいくつかの治療に現在使用されている、一部の婦人科問題は悪魔のような「魂を持った夫と妻」がセックスしている結果だ、というものがある。

トランプ大統領は7月27日の夜、ツイートの中で複数回ビデオをシェアした。それらのツイートは現在、大統領のタイムラインで「no longer available(利用できません)」となっている。削除されたツイートは、ヒドロキシクロロキンを「ゴールドスタンダード」「ゲームチェンジャー」と擁護するまだ残っている多くのツイートの間に割り込んでいる。リツイートはまた、ホワイトハウスのパンデミックアドバイザーであるAnthony Fauci(アンソニー・ファウチ)博士の信用性を攻撃している。

Facebook(フェイスブック)とYouTube(ユーチューブ)もバイラルビデオを含むコンテンツの洗い出しに取り組んでいる。バイラルビデオはフェイスブック上で1400万回超閲覧され、同社が削除という行動に出る前、同プラットフォームで最も人気の投稿の1つになった。

関連記事:新型コロナ偽情報の動画「Plandemic」にYouTubeやTwitter、Facebookなどが緊急対応

画像クレジット:David Paul Morris/Bloomberg / Getty Images

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(翻訳:Mizoguchi

ドイツ拠点のEverphoneが約42億円調達、リモートワーク流行の中で社用スマホなどの貸与・修理・交換をまとめてサービス化

新型コロナウイルス(COVID-19)のパンデミックによって引き起こされたリモートワークブーム(未訳記事)によって関心を集めている最新のスタートアップの1つが、ドイツ・ベルリンを拠点とするEverphoneだ。同社は、従業員にモバイルデバイスを携行させる必要がある企業に対して、ハードウェアと関連するサポートを提供する「サービスとしてのモバイル」レンタルパッケージを販売している。

米国時間7月28日にEverphone は、新しい投資家のsignals Venture Capitalの主導による、3400万ユーロ(約42億円)のシリーズBラウンドを発表した。ラウンドに参加する他の新しい投資家には、ドイツキャリアのDeutsche Telekom (戦略的投資ファンドであるTelekom Innovation Poolを通した投資)や、米国のアーリーステージVCであるAlleyCorp、そしてオランダの銀行NIBCなどが名を連ねている。

同社がTechCrunchに語ったところによれば、パンデミック以前と比べてインバウンドリードが倍増しているために、危機前の期間に比べて販売が70から100%増える見込みだということだ。そのため今回のシリーズBの調達資金は、増大する需要に対応するための拡大に使われる。

「世界的なパンデミックは、デジタル化の分野での成長の触媒になっています。現在、国内外で需要が大幅な増加が見込まれています。これが資金調達によってヨーロッパでの拡大を目指す理由です」とCEOで共同創業者であるJan Dzulko(ヤン・ズルコ)氏は声明で述べている。

Everphoneは、自身のサービスをワンストップショップとして説明している。このサービスは、(新品または再生品の)スマートフォンやタブレットのレンタルだけでなく、修理/交換の取り扱いを含む管理サービスラッパーを含んでいる。従来のレンタル保険のように細かい約款と格闘する必要はなく、必要ならば24時間以内に交換を行い顧客のリストが軽減される。

その他にも「サービスとしてのデバイス」というアプローチの利点として、挙げられているものには、柔軟性(例えばユーザーはiOSやAndroidデバイスの中から選択できる)や、低コスト(価格は顧客のサイズ、デバイスの選択、レンタル期間によって異なりものの、再生品デバイスの場合は予算は月額7.99ユーロ(約980円)から始まり、12カ月のアップグレードが伴ったハイエンドキットの場合は月額49.99ユーロ(約6155円)。顧客が既存のITポリシーやプロセスにレンタルハードウェアを組み込むことを可能にする標準的なモバイルデバイス管理ソフトが含まれたレンタルバンドルなどがある。

Everphoneは、このサービスラッパーを活用する。このラッパーは有料アプリ、例えば語学学習用のBabbelなどを取り込むように拡張でき、従業員向けのオンデバイス福利厚生として含めることもできる。こうすることで、CHG-MeridianやDe Lage Landeなどの既存のリースプロバイダーや、卸売業者との差別化を提供できるのだ。また、グローバルな展開機能を宣伝することで、スケーラビリティを強調し、顧客を引きつけようとしている。

ドイツのキャリアであるDKを含む投資家の多くは、新型コロナウイルスによりオフィスから在宅勤務へとシフトすることで、個人のデバイスや個人データが仕事用のものと不適切に混ざってしまうリスクを軽減するために、適切に管理され安全に保護された仕事用の携帯電話の需要が急増すると確信していることから勢いづいている。ちなみにEverphoneのウェブサイトには、脅迫的マーケティングへと転用された、ヨーロッパのデータ保護フレームワークGDPRへの言及があふれている。

「Everphoneは、すべての従業員が1日中1スマートフォンで仕事をすることを想定しています。この従業員中心のアプローチと統合プラットフォームにより、EverphoneはスマートフォンのITインフラストラクチャの単なるアウトソーシング以上のものを提供しています」と、補足的な声明を出しているのはsignals Venture CapitalのパートナーであるMarcus Polke(マーカス・ポーク)氏である。

2016年に創業したこのスタートアップと、Ernst & Youngなどの現在400以上の中小企業、多国籍企業の顧客が契約している。従業員数100人から1500人の中小企業向けには、既製パッケージとセルフサービスのデバイス管理ポータルを提供し、より大きな従業員3万人までの企業にはカスタムインテグレーションを提供することで、同社は両極端のマーケットに対応している。

同社は、返却後のデバイスを消費者向けに再生し販売することによって、キットを再利用してもらう道筋をつけているため、新しいデバイスをレンタルする際に「非常に競争力のある」価格を提供できるのだと述べている。「この収益性の高い中古戦略のおかげで、レンタルデバイスに対して非常に競争力のある価格と幅広いサービスレベルを提供できるのです」とEverphoneはウェブサイトで宣伝している。

中古スマートフォン市場も地域的な成長を見せている。例えば再生されたiPhoneを販売するヨーロッパのeコマーススタートアップのSwappie(未訳記事)は、EUの議員が推す電子機器の「修理する権利」 の求めに沿う形で、6月にはシリーズBで4000万ドル(約42億円)弱の資金を調達した。この中古市場は、Everphoneにとってレンタルから返ってきたiPhoneの潜在的な販路の1つだ。

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(翻訳:sako)

アメリカ農村部の5G化を目指す研究プロジェクトでアイオワとネブラスカがテスト地域に決定

誰もが、なるべく広い帯域を享受したい。でも、研究プロジェクトが実際に社会のインフラストラクチャになるまでには、大量のテストを経なければならない。しかし「5G]と呼ばれているものも、そうでないものも含め、今では数多くの新しい技術が、現実世界での実用化を目指してしのぎを削っている。

技術の実用化のためには、多くの調査や試行が必要で、それを経て初めて、消費者により良いワイヤレスのブロードバンドを届けることができる。

そのようなテストベッドのひとつ、マンハッタン北部コロンビア大学近くのCOSMOSについては、本誌も過去に取り上げたが、それは人口密度の高い都市地区における5G技術の先駆者だ。そしてそのプロジェクトの資金源で同じくアメリカ国立科学財団(NSF)から資金を得ている研究グループPlatforms for Advanced Wireless Research(PAWR)プログラムが、都市ではなく農村地区を対象とするワイヤレス技術のテスト地区として、二つの場所を選んだ。

関連記事: The 5G wireless revolution will come, if your city council doesn’t block it first…ワイヤレスの5G革命の実現は市議会が鍵を握る(未訳)

アイオワ州立大学と組んだアイオワ州エームズ市と、ネブラスカ大学リンカーン校と組んだネブラスカ州リンカーン市の研究チームが、それぞれ30万ドルの補助金を獲得して、テストベッドの計画を加速していくことになった。補助金は彼らの提案の最適化のために使われ、どちらかが、来年の補助金全額を受け取る。

この最新のテストベッドの目標は、アメリカの農村部に安くて良質な帯域を提供できるための、次世代ワイヤレス技術のテクノロジースタックを見つけることだ。それらの地域は従来のケーブルやファイバーの普及率が低く、現在のセルネットワークも圏外が多い。

勝った方の研究チームは、既存の三つのワイヤレステストベッドの仲間に加わる。それらは、ニューヨークとソルトレイクシティ、そしてノースカロライナのリサーチ・トライアングルだ。

PAWRそのものは民間の合同プロジェクトで、1億ドルの資金でアメリカの辺境地域のワイヤレス革命を加速しようとしている。その共同リーダーはUS Igniteとノースイースタン大学で、前者はやはりNSFが支えるプロジェクトで、スマートシティの実現を目指している。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

カリフォルニア州がAmazon倉庫の新型コロナ安全対策を調査

裁判所に提出された書類によると、カリフォルニア州の複数の地方当局は新型コロナウイルス(COVID-19)が米国中でいまだ猛威をふるっている中、Amazon(アマゾン)が従業員の安全確保で適切に対応したかを調査している。

ロイターが報じたところによると、書類の中でサンフランシスコ上位裁判所の判事Ethan Schulman(イーサン・シュルマン)氏は、カリフォルニア州司法長官のXavier Becerra(ザビエル・べセラ)氏、カリフォルニア州労働安全衛生局、サンフランシスコ公衆衛生当局がオンライン小売大企業であるアマゾンのパンデミックに関する労働慣行について調査を開始したとしている。司法長官のオフィスはTechCrunchのコメント要求に応じなかった。

アマゾンはパンデミック以前も頻繁に労働者のウェルビーイングに関して批判されてきたが、現在進行中の新型コロナ危機ではそうした懸念がさらに顕著になった。ホワイトカラーの労働者が在宅勤務をしている間に、ソーシャルディスタンシングが強制されなかった全米各地にある工場や倉庫で働く労働者の間であっという間に新型コロナが広まった。ペンシルバニア州ポコノマウンテンズやオレゴン州にあるものを含め、アマゾンの出荷センターでクラスターが発生し、2020年5月までにアマゾンの倉庫で働いていた従業員8人が新型コロナで死亡した(未訳記事)。

カリフォルニア州などによる調査は、アマゾンがサンフランシスコにあるフレッシュフルフィルメントセンターで働く労働者を十分に守らなかったとする訴えがきっかけとなった。3月にアマゾンを提訴した同センターの労働者Chiyomi Brent(チヨミ・ブレント)氏(The Mercury News記事)は、冷凍室に入るのに着用するスーツを使用ごとにクリーニングすることなく共有させるなど、リスクを負わせたと同社を批判した。ブレント氏はまた、カリフォルニア州労働安全衛生局も提訴した。同局は現在アマゾンの配送センターの慣行を調査している。

関連記事:ベゾス氏がアマゾン全従業員の新型コロナ検査の詳細を株主へのレターで説明

画像クレジット:Spencer Platt / Getty Images

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(翻訳:Mizoguchi

「TENET テネット」が米国に先立ち8月に世界70カ所で先行公開、新型コロナの感染が抑えられない米国は9月から

「TENET テネット」は、映画ファンが劇場に戻ってくる指標になることをずっと期待されてきた。Christopher Nolan(クリストファー・ノーラン)監督は大ヒットメーカーであり、最悪のパンデミックの中で観客を夢中にさせられる人がいるとすれば、おそらく彼だろう。そして実際に、この作品は一種のリトマス試験紙の役割を果たしたが、それはWarner Bros.(ワーナー・ブラザース)の望んでいたものではなかった。

度重なる延期を経て、Tenetの新たな公開日が決まった。ただし、最終公開日ではない。新型コロナウイルス(COVID-19)に教えられたことがあるとするなら、物事は常に悪くなりうるということだ。しかし今のところ、このミステリアスなSFスリラーはレイバーデー週末の9月3日に北米の一部都市で公開される予定だ。

しかし、なんと同作品は世界70カ所の国と地域で来月、8月に公開される。そこにはオーストラリア、カナダ、フランス、ドイツ、イタリア、日本、韓国、ロシア、英国などの名前がある。米国の映画館主が公開を熱望している一方、多くの主要都市の封鎖によって大々的な公開は現在でも許される状況ではない。一連の状況は、ウイルスの感染拡大を抑えきれない米国に対する一種の非難と見ることもできる。

Variety誌が指摘するように、世界同時公開はこの種のヒット作品では前例がないわけではないが、Tenetの魅力の大部分は作品のミステリー要素にある。そのため、これまでに公開された予告編でも意図的に内容がぼやかされていた。米国に先立つワールドワイドな公開が、海賊行為やネタバレ投稿によって作品のミステリー要素を奪ってしまうことはほぼ間違いない。

同じく近日公開予定の「ムーラン」と「クワイエット・プレイス PART II」も、最近再延期が決まった。

画像クレジット:Warner Bros.

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

わずか2年足らず前に8430億円で買収したQualtricsをSAPがスピンアウト

まあ、こんな話は滅多に聞くことはないだろう。

ドイツのソフトウェア大手であるSAPは、エクスペリエンス管理プラットフォームのQualtrics(クアルトリックス)をIPO直前に80億ドル(約8430億円)で買収したが、買収後2年も経たないうちに、同社を新規IPOとしてスピンアウトすることを決定した。

関連記事:SAP、オンライン調査のQualtricsを80億ドルで買収へ――SaaS企業買収として最大規模

米国時間7月26日に発表されたプレスリリースの中でSAPはCEOのChristian Klein(クリスチャン・クライン)氏の言葉を引用しつつ、Qualtricsのクラウド上での成長が「40%を超えた」と記している。新しいスピンアウト会社はQualtricsの買収とともにSAPに合流し、事業をSAPの中で率いてきた、創業者で元CEOのRyan Smith(ライアン・スミス)氏によって引き続き経営が行われる予定だ。

SAPは新しいスピンアウト会社の過半数の所有権を保持する。興味深いことに、プレスリリースは「ライアン・スミス氏Qualtricsの最大個人株主になる予定だ」と指摘している。

SAPのプレスリリースは曖昧だが、その意図はこの分離によってQualtricsが親会社SAPの影響の強い顧客やパートナー以外ともより自由に連携できるようにするというものだ。

私のEquityの同僚であるAlex Wilhelm(アレックス・ウィルヘルム)が彼のExchangeコラムでより詳細に分析する予定だが、買収に対するSAPの急速な方向転換は大きな驚きだ。未公開株投資会社が、買収した企業を非公開にした上で再びIPOを行わせるということはときどき見られるが、SAPのような大企業が買収の判断を短期間に反転させることは滅多に見られることではない。

しかし、最近の熱気に満ちたSaaSを考えると、特に私たちが最後に見た財務状況が保持されているならば、Qualtricsが公開市場に戻る動機は明らかだ。Wilhelmと彼のCrunchbaseニュースチームが、S-1(企業がIPOに向けて初期にSECに提出する書類)提出時に書いた記事では以下のような書かれている

Qualtricsは、2020年に株式を公開するほとんどの企業とは異なり、成長という名の下に損失を抱えた企業ではない。それが示しているのは、成長が可能だということ、そして持っている資金のすべてを同時に失うことはないということだ。

「損失を抱えた企業ではない」という表現は、当時としては褒め言葉だったが、Qualtricsは確かに同業他社よりも優れていた。こうしたファンダメンタルズが変化していないとするならば、SAPの戦略的計画の途中変更からもたらされた今回のIPOは、Qualtricsとスミス氏にとって真の勝利であるように思える。

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(翻訳:sako)

TikTokが約214億円の米国のクリエイター向けファンドを発表

TikTok(ティックトック)は米国時間7月23日、2億ドル(約214億円)のファンドを発表した。米国のトップクリエイターの収入を補い、次のCharli D’Amelio(チャーリー・ダミリオ)の発掘を狙う。

この「TikTok Creator Fund」(ティックトック・クリエイターファンド)は、プラットフォーム上の「適格」クリエイターが生計を立てるのを助けることが目的だと同社は述べた。現在のところ対象条件は、18歳以上で、フォロワーに関し一定の基準(まだ明らかにされていない)を満たし、TikTokのコミュニティガイドラインに沿ったオリジナルコンテンツを一貫して投稿していることだ。TikTokは来月から、米国を拠点とするクリエイターからの申請受け付けを始め、来年資金を分配する。

支払宣言は、TikTokと中国の親会社であるByteDance(バイトダンス)にとって重要なタイミングで行われた。TikTokは売上高で最大の市場である米国で、ユーザーデータの取り扱いと中国とのつながりに関して高まる批判に直面している。トランプ政権からは人気アプリを全面的に禁止するよう求める声が出ている。

それに応えてTikTokは米国に対し、フレンドリーな側面を強調する動きを見せている。米国でさらに1万人のスタッフを増員すると誓った(Axios記事)。今週流れ始めた噂(The Information記事)では、米国の投資家がTikTok事業の過半数の株式をByteDanceから買い戻し、中国の手から会社の支配権を取り戻すことを検討しているという。

なお、後半部分は反応を見るためのテストなのか、単なる噂なのか明らかではない。一方、ByteDanceとTikTokの最近のPR方法を見ると、2社がつながっていないことを手を尽くして示そうとしていることがわかる。中国の広報担当者はTikTok関連の質問に答えず、報道陣への対応を米国チームに行わせている。

TikTokの米国事業担当GMであるVanessa Pappas(バネッサ・パパス)氏はブログ投稿で「ByteDanceはCreator Fundを2億ドル(約214億円)から始め、今後増額する計画だ」と述べている。同氏はTikTokが個々のクリエイターに支払う金額をどう決めるか、支払いを受けるために追加の条件を設けるかについては明らかにしなかった。なお現在、クリエイターが適格となるために必要なフォロワーの数について質問中で情報を入手次第更新する。

TikTokはすでにクリエイターをブランド提携契約やスポンサー契約の締結で支援しており、ライブストリームの収益化をもたらしている。TikTokには教師をプラットフォームに紹介する5000万ドル(約54億円)のCreative Learning Fund(クリエイティブラーニングファンド)もあり、すでに米国の約1000人の教師が使用している。また、Creator Marketplace(クリエイターマーケットプレイス)は、ブランドとクリエイターをつなぎ、有料キャンペーンでコラボレーションする。

「クリエイターはTikTok Creator Fundを通じて追加の収入を得ることができる。追加の収入はクリエイターが投入した時間、配慮、貢献によって決まる。クリエイターはそのアイデアで視聴者を触発し、クリエイティブなつながりを築くために努力する」と同氏は語る。

TikTokは現在、米国で約1400人の従業員を雇用している。最近、世界でインストールが20億回というマイルストーンを達成した。同社によると昨年米国でのユーザーは2600万人を数えた。

Chuck Schumer(チャック・シュマー)上院議員とTom Cotton(トム・コットン)上院議員を含む数人の議員はこの数カ月、TikTokのユーザーデータが中国政府に共有される可能性があると懸念を表明している。中国に本社を置くByteDanceは、ユーザーのデータを中国政府と共有しないこと、米国のユーザーデータを米国とシンガポールに保存することを表明している。下院は今週初め、連邦政府職員が政府発行のデバイスでのTikTok使用禁止に関し投票(Reuters記事)し、336対71票となった。

今年5月にDisney(ディズニー)のストリーミング担当幹部だったKevin Mayer(ケビン・メイヤー)氏を最高経営責任者に任命(未訳記事)したTikTokは、自社がケイマン諸島の法人企業であると主張(The NewYork Times記事)している。

今のところTikTokが立ち上げるプログラムの狙いは、正面切って米国で消火活動を行うことのようだ。他国の市場でクリエイターの収入を補うために何をしているのか尋ねたが、コメントの要求には応じなかった。

TikTokが2億人を超えるユーザーと100万人を超えるクリエイターを抱えるインドは、サイバーセキュリティ上の懸念を理由に先月末、中国企業が開発したTikTokなど58のアプリを禁止した。隣国のパキスタンは、今週初めに「不道徳、わいせつ、下品なコンテンツ」と見なしたものについて「最終警告」をTikTokに通達した。

画像クレジット:Joe Scarnici / Getty Images

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(翻訳:Mizoguchi

ランサムウェア攻撃によってGarminが世界的に停止

事件を直接知っている2つの情報筋よれば、スポーツおよびフィットネステックの巨人Garmin (ガーミン)が現在世界中で直面している障害は、ランサムウェア攻撃によるものだ。

障害は米国時間7月22日の終わりに始まり、週末まで続いているため、同社のオンラインサービスを使う何百万ものユーザーに対してに混乱が引き起こされている。影響を受けたサービスには、ユーザーのアクティビティとデータをクラウドや他のデバイスに同期するGarmin Connectも含まれている。この攻撃はまた、航空航行ならびにルート計画サービスであるflyGarminも停止させた。

GarminのWebサイトの一部も記事執筆時にはオフラインのままだった。

Garminはこれまでのところ、事件についてほとんど語っていない。そのウェブサイトのバナーには次のように書かれている。「現在、Garmin.comならびにGarmin Connectに障害が発生しております。この障害はコールセンターにも影響し、現在、電話、メール、そしてオンラインチャットも受信することができません。この問題をできる限り迅速に解決すべく作業を行っております、ご不便をおかけして誠に申し訳ございません」。

メディアに話す権限がないことから、匿名を条件で話をしてくれた2人の情報筋は、TechCrunchに対して、Garminがランサムウェア攻撃を受けてネットワークをオンライン状態に戻そうとしているのだと語った。情報筋の1つによれば、WastedLocker(ウェイステッドロッカー)という名のランサムウェアが障害の原因だということである。

また別のニュースソース(BleepingComputer記事)も障害の原因をWastedLockerであるとしているようだ。

Garmin’のオンラインサービスの停止は数日に及んでいる。事件を直接知っている2つの情報筋によれば、原因はランサムウェアであると考えられている。(スクリーンショット:TechCrunch)

WastedLockerは新種のランサムウェアであり、5月にMalwarebytes(マルウェアバイツ)のセキュリティ研究者により(Malwarebytesブログ)詳細が報告された。このランサムウェアはEvil Corp(イビル・コープ)として知られるハッカーグループによって運用されている。他のファイル暗号化マルウェア同様に、WastedLockerはコンピューターに感染し、ユーザーの’ファイルをロックして身代金(ランサム)を要求する。通常支払は暗号通貨で行うことが求められる。

Malwarebytesによれば、WastedLockerいまのところ、他のより新しいランサムウェア系統(未訳記事)とは異なり、被害者の’ファイルを暗号化する前にデータを盗んだり外に持ち出したりする機能は無いようだ。つまり、バックアップを持っている企業なら、身代金を支払わずに済む可能性があるということだ。だが、バックアップを持たない企業たちは、1000万ドル(約10億6000万円)もの身代金要求に直面してきた。

FBIはまた、マルウェア攻撃に関連した身代金の支払を行ったにもかかわらず残念な状態に置かれたままの、たくさんの犠牲者(FBIサイト)を知っている。

Evil Corpは、長年におよぶマルウェアおよびランサムウェア攻撃の長い歴史を持つ。ロシア国籍の(未訳記事)Maksim Yakubets(マクシム・ヤクベッツ)が率いているとされるこのグループは、過去10年間に数百の銀行から1億ドル(約106億円)以上を盗むために使用された、強力なパスワード窃盗マルウェアのDridex(ドライデックス)を使用してきたことで知られている。その後、Dridexはランサムウェアを配布する手段(未訳記事)としても使用された。

逃亡中のヤクベッツは、米国の検察官によれば過去10年の間に、グループ’の「想像を絶する」量のサイバー犯罪に関与したとの疑惑で、昨年司法省によって起訴(未訳記事)されている。

米国財務省はまた、10年間にわたるハッキング活動への関与から、ヤクベッツと他の2人の疑わしいメンバーを含むEvil Corpに対して制裁も課した(米国財務省サイト)。

制裁を課したことで、米国に拠点を置く企業が身代金を支払うことは、たとえ彼らが望んだとしてもほぼ不可能になる。財務省の声明によれば、米国人は「一般に、彼らとの取引を行うことがに従事することが禁止される」からである。

セキュリティ会社Emsisoftの脅威アナリストならびにランサムウェアの専門家であるBrett Callow(ブレット・キャロウ)氏は、こうした制裁によって、WastedLocker感染に対処しようとする米国を拠点とする企業にとって、事態は「特に複雑になった」という。

「WastedLockerは、一部のセキュリティ会社によってEvil Corpが主犯だと名指しされていて、ロシア政府とのゆるいつながりを持つと言われているEvil Corpの既知のメンバーは、米国財務省によって制裁を受けています」とキャロウ氏は語った。「そうした制裁の結果として、米国人は一般に、これらの既知メンバーとの取引を禁止されているのです。これによって、WastedLockerの身代金の支払いを検討している可能性のあるすべての企業に、法的地雷原が設置されてしまうようなものなのです」と彼はいう。

疑わしいハッカーに連絡する試みは失敗した。グループは、身代金メモごとに異なるメールアドレスを使用している。以前のWastedLocker事件に関連付けられていた、2つの既知のメールアドレスにメールを送信してみたが、返信は届いていない。

米国時間7月25日には、電話ならびにメールで、Garminの広報担当者にコメントを求めようと試みたが、連絡はとれなかった。(Garminの電子メールサーバーは事件発生以来ダウンしている)Twitter経由で送信されたメッセージにも返信は届いていない。何か返信があれば’記事を更新する。

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(翻訳:sako)

プライバシーに配慮した体温センサーを素早く作り直し新型コロナとの戦いを支援するスタートアップButlr

まだ世の中にあまり知られていない、ホームおよび小売オートメーションの小さなスタートアップが、流行中のパンデミックとの戦いを支えてくれる可能性なんてあり得ない、と思われるかもしれない。だがその創業者は同社の技術は、たとえそれが会社の当初の計画ではなかったとしても、実現できるという。

MITメディアラボのスピンアウトであるButlr(バトラー)は、バッテリー駆動の無線ハードウェア(Butlrサイト)と人工知能を組み合わせて使用し、プライバシーを侵害することなく室内での人々の動きを追跡する。スタートアップは、天井に取り付けられたセンサーを使用して個人の体温を検出し、人が歩いている場所や次に行くと予想される場所を追跡する。ユースケースはほぼ無限だ。センサーは、動きを検出するとムード照明またはエアコンをオンにしたり、買い物客が店内を動く様子を経営側に知らせたり、列に並んだ人の待ち時間を計算したり、業務時間外に人の動きを検知したときに警報を鳴らしたりすることもできる。

パッシブな赤外線センサーを使用して体温のみを検出するため、センサーは相手が誰かを知ることはない。単に検出対象がどこにいて、どちらに向かっているかがわかるだけだ。店舗を離れた場合など、人間がセンサーの範囲を離れれば、すぐに追跡は停止する。

この技術には高い需要が集まっている。Butlrによれば、現在約20万軒の小売店が同社のテクノロジーを使用しているという。少なくとも監視カメラや顔認識といったより強くプライバシーを侵害し高価な代替製品よりも、はるかに安価だからだ。

しかしパンデミックが発生したとき、継続的な新型コロナウイルス(COVID-19)からの脅威に対抗するために、それらの店のほとんどが(都市や国全体に伴うように)閉鎖された。だが、そうした店舗も再び開かれなければならず、そこでButlrも再び仕事に戻ることとなった。

Butlrのプライバシーに配慮した体温センサーは、あなたが誰であるかを知らない。どこにいるかを知っているだけだ。現在、同社は新型コロナウイルスとの戦いを支援するために、そのテクノロジーを再構築している最中だ。画像クレジット:Butlr

Butlrの共同創業者であるHonghao Deng(ホンハオ・デン)氏は、TechCrunchに対して店舗の再開を支援するために、自社のテクノロジーを再構築し始めたと語った。

同社は、最大収容人数やキュー管理などの新しいソフトウェア機能を素早く展開して、同社のセンサーがすでに設置されている店舗を、各企業が従わなければならない新しく常に変化し続ける法律やガイダンスに対応できるようにした。

デン氏によれば、センサーを使うことで一度に店舗に入ることができる人数を超えないようにし、ソーシャルディスタンスのルールを適用することで、スタッフを顧客から保護することができるという。また顧客がライブキューのデータを確認して、買い物客の少ない時間を選ぶことにも役立つとデン氏はいう。

パンデミック以前であれば、率直にいってこうしたことは少々退屈な話に聞こえたかもしれない。だが、パンデミックの真ん中へと時間を早送りしてみれば、得ることができるこれらすべての支援(そしてテクノロジー)に、おそらく感謝したくなるだろう。

Butlrは、その新機能のテストをパンデミックが迫りつつある2020年2月に中国で行い、その後米国を含む世界中の顧客に公開した。デン氏は、Butlrの技術はすでに他の人へのリスクを最小限に抑えながら再開できるように、スーパーマーケットチェーンの99 Ranch Market、アラブ首長国にあるルーブル・アブダビといった顧客を支援しているという。

それは報われる方針転換だ。2020年7月に米国でパンデミックがピークに達したころ、Butlrは120万ドル(約1億2700万円)のシード資金を調達した。

パンデミックが来るなんて誰も知らなかったし、もちろんデン氏もそうだった。そして、パンデミックが広がるにつれて、企業の苦しみも広がった。もし素早く考えを巡らしていなければ、Butlrもパンデミックに屈したスタートアップの1つだったかもしれない。

だがButlrは、そうなることなくおそらく人の命を救う手助けをするようになるだろう、しかもプライバシーを危険にさらすことなく。

関連記事:AIは新型コロナを打ち破るだろう、でもプライバシーを犠牲にしてはならない

画像クレジット:Butlr

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(翻訳:sako)

アップルがセキュリティ研究者や熟練ハッカーに脱獄済みの特別なiPhoneを提供開始

過去10年の間、Apple(アップル)はiPhoneを市場で最も安全なデバイスの1つにするべく努力を重ねてきた。そのソフトウェアを厳重に保護することによって、同社は20億人のiPhoneオーナーを安全に保っている。だが、セキュリティの研究者たちは、それが理由で実際に問題が発生したときに何が起こったかを把握することが難しくなっているという。

同社はかつて、自社のコンピューターにはウイルスは感染しない(Wired記事)と主張していたが、近年同社は、これまでにない方法でセキュリティ研究者やハッカーを受け入れ始めた。

昨年開催されたセキュリティカンファレンス「Black hat USA 2019」で、アップルのセキュリティ責任者であるIvan Krstic(アイバン・キルスティック)氏は、集まったセキュリティ研究者たちに対して、最も信頼できる研究者にデバイス深部へのかつてないアクセス(Forbes記事)を提供する特別なiPhoneを提供すると語った。このiOS Security Research Deviceプログラムの下に提供されるiPhoneを使うことで、アップルが修正できるセキュリティの脆弱性を発見・報告することが容易になる。

アップルは米国時間7月22日から、特別な研究用iPhoneをプログラムの適格性を満たす熟練し精査された研究者に対して貸し出し始める(Appleサイト)。

これらの研究用iPhoneには、SSHアクセスや、ソフトウェアへの最高のアクセス権を持つカスタムコマンドを実行するルートシェル、そしてセキュリティ研究者が自身のコードを実行して深部で何が起きているかを理解しやすくするデバッグツールなど、通常のiPhoneが持つことはない特別なカスタムビルドiOSが搭載されている。

アップルはTechCrunchに対してこのプログラムを「デバイスを送り出してお終いというわけではなく、コラボレーション主体のものにしたい」と述べた。研究デバイスプログラムに参加する研究者やハッカーたちは、より広範なドキュメントや、アップルのエンジニアが質問に答えたりフィードバックを得たりする専用のフォーラムにアクセスすることができる。

こうした研究デバイス自身は特に目新しいものではないが、これまで研究者たちに直接開放されたことはない。一部の研究者は、発見したセキュリティの問題点をテストするために、地下マーケットに赴いて、これらの内部的ないわゆる「dev-fused」(開発用特別仕様)デバイスを探し出し(Vice記事)て手に入れたことが知られている。そうした運に恵まれなかった者は、デバイスの内部にアクセスするためには、まず最初に通常のiPhoneを「脱獄」(ジェイルブレイク)することに頼らなければならなかった。しかし、これらの脱獄は最新のiPhoneではかなり難しくなっているため、ハッカーが自分が見つけた脆弱性が悪用可能なのか、それとも修正されているのかどうかを知ることはより困難になっている。

最高のハッカーたちに、通常のセキュリティ制限の一部を取り除いた、事実上最新で脱獄済みのiPhoneを提供することによってアップルは、信頼できるセキュリティ研究者やハッカーが、これまで見つかっていないソフトウェア深部の脆弱性を見つけやすくしたいと考えている。

しかし、これらの研究用携帯電話はハッカーに対して可能な限りオープンではあるものの、アップルは、個々のデバイスが紛失したり盗まれたりしても、他のiPhoneのセキュリティにはリスクが及ばないと説明している。

この新しいプログラムは、かつて非公開だったバグ報奨金プログラムをやっと1年前に公開した同社にとって、非常に大きな跳躍である。この動きはほかのほとんどのテック企業に比べると、はるかに出遅れ感がある。長い間、有名なハッカーの中には、最初にアップルに警告することなく発見したバグをオンラインで公開(未訳記事)するものがいた。なお、こうしたバグは、企業にパッチをする時間を与えないことから、ハッカーに「ゼロデイ」と呼ばれている。こうした振る舞いは、かつて非常に制限的だったアップルのバグ報奨金条件への不満に起因していた。

現在は、その報奨金プログラムの下で同社はハッカーにバグとセキュリティ問題を非公開で送信してもらって自社のエンジニアに修正させ、iPhoneを他国家からの攻撃や脱獄からさらに強力に保護しようとしている。その見返りに、ハッカーは、脆弱性の深刻度に基いて段階的に増額される報酬を受け取る。

アップルは、研究デバイスプログラムはバグ報奨金プログラムと並行して実施されると説明する。プログラムに参加するハッカーも、アップルにセキュリティバグレポートを提出することが可能で、最大100万ドル(約1億700万円)の報奨金を受け取ることができる。さらに、リリース前のソフトウェアにある最も深刻な脆弱性に対しては、最大50%のボーナスを追加で得られる。

新しいプログラムが示しているのは、アップルが以前よりも慎重さの度合いを下げ、ハッカーコミュニティをより受け入れている姿勢だ。たとえ遅くてもやらないよりはましだ。

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Twitterが右翼陰謀論を広めるQAnonを取り締まり、7000アカウントをすでに停止

Twitter(ツイッター)は米国7月21日、QAnon(Qアノン)として知られる右翼の陰謀論を広める多数のアカウントは、Twitterのプラットフォームでは歓迎されないと発表した。

同社は「オフラインの危害」に関する懸念を理由に、プラットフォームでのQAnonコンテンツの扱いを変更し、トレンドページの関連トピックやアルゴリズムによるレコメンデーションを削除し、関連するURLをブロックすると説明した。また、QAnonについてツイートしたために一時的に停止されていたアカウントを永久に停止すると発表した。そうしたアカウントは個人に対する組織的な嫌がらせを仕掛けたり、複数のアカウント間で同一のコンテンツを掲載していたという。

Twitterによると今回の措置は今週から発効する。同社は関連するプラットフォームポリシーを今後選択する際に、引き続き透明性をもって背景を説明していくという。Twitterの広報担当者によると、この措置により15万アカウントに影響が出ると考えており、QAnonに関連した7000以上のアカウントがプラットフォームの運用ルールを破り、アカウント停止を免れようとしたという理由ですでに削除された。

QAnonはトランプ政権になって出現(The Daily Beast記事)し、陰謀論の支持者らは一般に大統領を熱烈に支持し、トランプ大領領の集会やイベントに頻繁に姿を現している。QAnonの支持者は、トランプ大統領がディープステートと呼ばれる秘密主義のエリートとの隠れた戦いを繰り広げていると信じている。彼らの目にはその密かな戦いの手がかりが次々に生み出されていると映り、それが匿名のオンラインアカウントに散りばめられたり、大統領自身のメッセージに隠されていると主張している。

QAnonが知られたのはPizzagate(ピザゲート)との関連だ。Hillary Clinton(ヒラリー・クリントン)氏がワシントンD.C.のピザ屋を拠点に性的人身売買に関与していると非難した根拠のない陰謀論だ。これを信じた者が武装してピザ屋に現れ、店の中でライフルを発砲した。負傷者は出なかった。

陰謀論は複雑かつ奇妙でほとんどが首尾一貫していないが、メインストリームに顔を出している。ニューヨーク市で最も著名な警察組合の1つで組合長を務めるEd Mullins(エド・マリンズ)氏はフォックスニュースにライブで出演した際、QAnonのロゴが入ったマグカップを使い、カメラがはっきりととらえた。オレゴン州ではQAnonの支持者が予備選挙で勝利し、州上院の共和党候補になった。

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フォードがテスラの挑発に乗り1400馬力のEVマスタングMach-Eを発表

スピードは売りものになる。 テスラが新しい車両を発売したり、既存の車両をアップデートしたりする際には、しばしば0-60mph(停止状態から時速約96.6キロへ)の加速時間が引き合いに出される。こうした数値は、電気モーターが動力を発揮する方法の違いで、ガソリン車の数値を上回ることがしばしばだ。日常の運転にこうした 0-60mph 加速はほとんど無関係ではあるが、それでもテスラは、他の多くのメーカー同様に、これを重要な市場性のある数値とみなしている。

米国時間7月21日フォードは、近日発売予定の4ドアEVマスタングの、特別仕様車を発表した。上で述べたように、スピードが売り物になるため、これは速いマシンだ。7つのモーターが合計1400馬力を生み出す。要するにバカみたいにパワフルだということだ。

フォードはこの特別仕様車を売るつもりはない。フォードはこの車をEV技術の限界を探るために開発したのだという ―― そして、もちろんそれを世間に見せつけるためだ。

フォードマスタングMach-E(マッハ-E)は、パワー調整を行って、市場にはGTという名前で登場することになる。そして、それは7つではなく2つのモーターしか搭載しないものの、それでも決して軟弱なマシンにはならないだろう。2つのモーターは459馬力を生み出すが、これはスリル満点の十分なパワーだ。

今回のものはフォードの2番目の特別版マスタングMach-Eだ。今年初めに発表されたマスタングCobra Jet(コブラジェット)も1400馬力を誇っていたが、主に直線を高速に走る構成でデザインされていた。

これらのコンセプト版マスタングは、テスラの「Insane mode」(非常識モード)や「Ludicrous mode」(不条理モード)がその車に興奮をもたらしたように、コアなユーザー層に興奮を巻き起こすだろう。フォードのマスタングMach-Eは窮地に追い込まれており、買い手に対してこの4ドアEVが、マスタングの名に恥じないことを示す必要があるのだ。そもそも、マスタングを有名にしたのは何か?手頃な価格で手に入る興奮だ。

マスタングMach-Eはフォード初のモダンEVになる予定で、これまでのところ、ゼネラルモーターズ(GM)が発売した初のEVであるChevy Bolt(シェビー・ボルト)とは異なる道を辿っている。誰に聞いても、Chevy Boltは低価格で、バランスが良く高速な素晴らしいEVだ。しかしChevyは自身を、凡庸な移動手段として位置付けている。マスタングMach-Eも人間の移動手段としては似たような能力を持つが、フォードはマスタングの名前と性能を押し出したマーケティングで興奮を高めている。

レースでの勝利は売り上げを生み出すという、古い自動車業界の格言がある。「日曜日に勝ち、月曜日に売る」という言葉は、NASCARの車両が、市販車と似通ったものであった時代に言われていた。とはいえ今ではそれは昔話だ。現在のNASCARの車両は、市販車に使われている部品をほとんど利用することはないが、格言自身は依然として意味を持っている。NASCARの代わりに、自動車メーカーはYouTubeの世界での勝利を目指している。そこで視聴回数がチェッカーフラッグと同じ位重要なのだ。

テスラの最初の車両は、改造されたロータスクーペだった。当時、ほとんどのEVは人や物を運ぶためにデザインされた 実用的なものだったのだ。テスラロードスターには実用性はほとんどなかったものの、大きな興奮を巻き起こした。そしてテスラはModel Sを発表し、すぐに強力なモーターを追加してパフォーマンスを絞り出し、ポルシェを0-60mphの性能で打ち負かすようにチューニングした。テスラがModel X SUVを発売したときには、ドラッグレースでスーパーカーを打ち負かす様子を頻繁に見せつけた。改めて言うが、オーナーがその能力を使うことは滅多にないとしてもスピードは売りものになるのだ。

画像クレジット: Ford

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(翻訳:sako)

Tencentと中国の科学者たちがディープラーニングを使用してCOVID-19症例の重症化確率を予測

世界中のハイテク企業が、コロナウイルスパンデミックとの闘いを支援するために、フル回転している。研究によれば、新型コロナウィルス感染症(COVID-19)患者の6.5%(ネイチャー記事)が突然重症化する可能性があり、その重症例の中での死亡率は、高ければ49%(JAMA記事)にも達することがある。したがって、保健当局の重要な任務の1つは、重度または致命的な症候群に陥る可能性のある患者を早期に特定して治療することだ。

これが、Tencent AI Lab(テンセントAIラボ)と、中国の公衆衛生科学者のグループによって結成されたチームで行われている研究だ。公衆衛生科学者のグループを率いているのは2月の発足以来(Tencent記事)、COVID-19に関わる中国の上級医療顧問を務めるZhong Nanshan(鍾南山、チョン・ナンシャン)氏である。

今週このチームが、コロナウイルス患者が重症化するリスクを予測できる、深層学習ベースのモデルを発表した。詳細はネイチャーコミュニケーションズで発表された。そこでは同ラボが、中国の575箇所の医療センターの1590人の患者群に基づいてモデルをどのように考案したのか、そしてさらに1393人の患者を使ってどのように検証を行ったのかが詳述されている。

共同ラボはこの予測機能をオンラインで利用できるようにして(Tencentサイト)、世界中の臨床スタッフが10種の臨床パラメーターを使って、5、10、30日以内に重症になる確率を計算できるようにした。これが直接焦点を当てているのはCOVID-19だが、研究室の長期的な使命は、自身の言葉で表現するなら「ビッグデータとAIを使用して、大規模感染、呼吸器疾患、および胸部疾患に向けての、スクリーニング、予防、制御、および警告を行うこと」である。

中国の他のハイテク大手も、この致命的なウイルスを封じ込めるために同様のプロジェクトを進めている。Alibaba(アリババ)は、機械学習とディープラーニングを使用して、90%の精度でCOVID-19の拡散を予測できるとする、公共機関向けのツール(Alibabaサイト)を開発した。Baidu(バイドゥ)はウイルス構造解析のアルゴリズムをオープンソース化(Baiduサイト)したが、同社はこの手法が従来の方法より120倍速いと主張している。

Tencent AI Labは、ビデオゲームやソーシャルネットワークなどの収益ビジネスと並んで、最先端のテクノロジー開発競争に身を投じようとする、Tencentの取り組みである。2016年に発足した研究部門は、70人の研究者と300人のエンジニアのチーム(Tencent AI Labサイト)を抱え、コンピュータービジョン、音声認識、自然言語処理、機械学習に取り組んでいる。

同ラボは、アリババのDamo Academy(ダモアカデミー)やBaidu Research(バイドゥリサーチ)などの国内ライバルと競争しながら、世界最高のAI人材を追い求めている。多くの場合、それは著名な科学者を雇って若い才能を引き付けることを意味している。近年、BaiduはAndrew Ng(吳恩達、アンドリュー・ン)氏とLu Qi (陸奇、リー・キー)氏の辞任に苦しみ、Tencent AI Labもまた、昨年その代表的な人物である Zhang Tong (張潼、チャン・トン)氏を失っている(未訳記事)。

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ニールセンがデジタルメディアの視聴率計測方法をデータ指向で改良

視聴率を測定する企業であるNielsen(ニールセン)が今日(米国時間7/21)、同社のデジタルプロダクトが使っている方法を変えることを計画している、と発表した。それらのプロダクトは、Digital Content Ratings、Total Content Ratings、Digital in TV Ratings、Digital Ad Ratings、そしてTotal Ad Ratingsなどだ。

同社の計画では、新しい方法の展開は2021年の段階で開始する。詳細の発表はないが、目標は規制やプラットホームの変化、そしてユーザーのプライバシーやデータの収集をめぐる変化に対応することだ。変化の例は、たとえばサードパーティのクッキーをブロックするブラウザーが増えていることなどだ。

COOのKarthik Rao氏が、次のように語った: 「今後は、いや今でさえも、データの入手がますます難しくなる。人材とスキルと技術が必要だし、適正なクラウドパートナーと提携しなければならない」。

Rao氏によると、Nielsenがユニークなのは、このような新しい、プライバシーを重視する世界に元々適合していることだ。その理由の一部は、同社がデータを消費者パネルから集めるという歴史的なルーツにある。これは、彼に言わせると「プライバシーをもっとも遵守する方法」であり、また、視聴者と消費者の行動の「もっとも確かな理解」が得られるという。

彼曰く、「メディアのビヘイビアの理解能力でも、うちの右に出るものはない」そうだ。

Rao氏によると、Nielsenの新しい方法はデータの可搬性とデータモデル、および視聴者の重複防止に力を入れる。複数のプラットホーム上に同じ人がいるとき、それを誤って複数の視聴者と数えてはいけない。

氏は曰く、「この業界では重複を防ぐことがきわめて重要だ。われわれは、朝起きたら真っ先にそのことを考える。いわば、業界のモットーだ。昔から存在しているが、現在の進化の時代においても実に重要であり、未来においてもだ」。

関連記事: Nielsen explains how COVID-19 could impact media usage across the US…新型コロナウイルスがアメリカ人のメディア利用にどんな影響を与えたか(未訳)

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

Microsoftがリアルタイム顧客フィードバックツールのCustomer Voiceを発表

米国時間7月21日に開催されたMicrosoft Inspireで、同社はDynamics 365 Customer Voice(ダイナミクス365カスタマーボイス)を含む、いくつかのDynamics 365関連の発表を行った。このDynamics 365 Customer Voiceは、2018年にSAPが80億ドル(約8540億円)で購入したQualtrics(クアルトリクス)と競い合うことが可能な、リアルタイム顧客フィードバックツールである。

Microsoft(マイクロソフト)のジェネラルマネージャーであるBrenda Bown(ブレンダ・ボウン)氏は、パンデミックの中でオンラインに移行する顧客が増えるにつれて、リアルタイムのカスタマーフィードバックを捕えることが、かつてなく重要になっているという。それを他のデータと組み合わせることで、より完璧な顧客像を描き出し、将来のより良いユーザー操作に導くことができるからだ。

「Customer Voiceはフィードバック管理ソリューションです、企業や組織がより優れた製品を開発し、顧客により良いエクスペリエンスを提供して、このフィードバック管理ツールで顧客との関係を構築できるようにデザインされています」とボウン氏はTechCrunchに語った。

データはMicrosoft(マイクロソフト)の顧客データプラットフォーム(CDP)と共有され、Dynamics 365とPower Platformの上に置かれる。後者は、個々の企業のニーズに合わせてCustomer Voiceツールをカスタマイズする手段を提供する。

CRM Essentials(CRMエッセンシャルズ)のパートナーであり、共同創業者でもあるBrent Leary(ブレント・リアリー)氏は、これにより、ユーザー操作が行われているときにフィードバックを得る課題を解決できるという。そのデータをCDPと直接共有できることで、CDPの価値がさらに高まるとリアリー氏は付け加える。

「顧客のフィードバックが上手く行われるためには、ユーザー操作、トランザクションが行われている場所のできるだけ近くで行われる必要がありますし、できるだけ簡単に行えるようになっている必要があります。そうでなければ顧客はフィードバックを返してくれません。そして、そのデータを本当に利用するためには、他のすべてのデータと一緒にCDPに統合する必要があります。そして、フィードバックキャプチャとデータ統合の両方を処理するプラットフォームがあることで、そうしたことを行いやすくなるのです」とリアリー氏は語る。

同社はまた、Dynamics 365 Connected Store(ダイナミック365コネクテッドストア)も発表した。これは特に店舗側が、店内ならびにカーブサイド(店舗周囲)の人の流れを管理する際に役立つようにデザインされたツールである。パンデミックが、一度に店内にいられる人数の制限を要求する中で、Connected Storeはセンサーとカメラを使用して、店舗マネージャーが店内の人数を常時把握して管理し、ソーシャルディスタンスを保つ手助けをする。

また、カーブサイドでの商品受け取りの一定の自動化を追加して、顧客の到着を従業員に知らせるようにできる(「カーブサイドピックアップ」はドライブスルーよりも広い概念で、駐車場などに従業員が商品を持ってきてくれるサービス)。「システムが従業員に通知を行うことで、彼らはよりシームレスで迅速なピックアップのために、顧客の注文品を用意することが可能になります。そして明らかにこのシナリオは、(多くの人が)非接触型ピックアップを希望しているため、現在とても重要になっています」とボウン氏は語った。

最後に、同社は詐欺防止コンポーネントを発表した。ボウン氏はDynamics 365 Fraud Protection(ダイナミック365フロウドプロテクション)がオンラインならびに実店舗でのビジネスを、詐欺的な行為から保護するのに役立つという。そして、デジタルで行われるトランザクションが増えるにつれて、その重要度はさらに増すと語る。新機能には、アカウント保護と紛失防止ツールが含まれている。

Microsoft Inspireは同社が毎年開催しているパートナーカンファレンスで、2020年はオンライン開催となった。ボウン氏は、オンラインで開催したことで、通常の対面式の会議よりも多くのパートナーに参加してもらえることができたと語った。これは、コストと距離が原因でこれまで参加できなかった企業が今回参加できたためだという。

画像クレジット: Jane_Kelly / Getty Images

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Amazonが支援するAuroraが自動運転トラックへの取り組みを強化するためにテキサスに進出

Amazon(アマゾン)が支援する自動運転車両技術のスタートアップであるAurora(オーロラ)が、自動運転トラックの開発を加速することを目的としてテキサス州に進出している。

同社は、フィアットクライスラーのパシフィカミニバンとクラス8トラックを組み合わせて、ダラスとフォートワースエリア間の商用ルートをテストする計画であると語った。パシフィカの小編成がまず登場する。同社によれば、年末までにトラックはテキサス州で走行することが予定されている。

Auroraのテキサスオフィスは約24人のスタッフを擁するが、ほとんどが新規採用社員だ。Auroraによれば技術者、チームリーダー、トラックの運転手、車両操作者などさまざまな職種を採用しているとのことだ。

Autoraは自らが「Driver(ドライバー)」と呼ぶ、自動運転車用のフルスタックソリューションを開発している。2017年の立ち上げ以来、同スタートアップは、その自動運転スタック(ソフトウェアと自動運転の頭脳を提供するハードウェアの組み合わせ)が、いかなる車両にも適用できると述べている。とはいえ、Auroraの最初の2年間のパートナーシップと公式コメントは、物流ではなくロボタクシーを中心としたものだった。

それが変わり始めたのは昨年のことだ。 2019年10月に、Auroraは乗用車よりも自動運転トラックの開発を優先するというブログ投稿を行った。この数カ月、同社の共同創業者たちは、トラックを優先事項にすることについてより率直に話し合ってきた。

「私たちのDriver製品は、最終的には人とモノの両方を動かしますが、最初の商用製品はトラックになります。今日その市場は最大であり、ユニットエコノミクスが最高で、サービス要件のレベルが最も融通が効くからです」と同社は7月20日に発表したブログに書いている(medium投稿)。

ユニットエコノミクスが原動力ではあったが、同社によればはライダー企業Blackmore(ブラックモア)の買収とその技術の自動運転スタックへの統合が、トラックへの移行を可能にしたのだという。Auroraは同社のFirstLight Lidar(ファーストライトライダー)が、高速自動運転において決定的な競争上の優位性を与えるという。

自動運転トラックは、かつて自動運転車技術業界においてニッチなカテゴリーと見なされていた。それが変化したのは、ロボタクシーの運行の複雑さはもちろん、ユニットエコノミクスの厳しさに各企業が気が付き始めたからだ。

自動運転トラックには独自の課題がある。しかし収益性への道はより明快だというコンセンサスが高まっている。

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(翻訳:sako)

UAEが三菱重工業のH-IIAロケットで初の火星探査機打ち上げに成功

アラブ首長国連邦(UAE)は三菱重工業のH-IIAロケットの打ち上げにより、初の火星探査ミッションの初期段階をクリアした。日本の種子島宇宙センターから7月20日に打ち上げられたロケットは、2021年2月までに火星に到達し軌道上で1年(地球では687日分)を過ごし大気圏のデータを収集するUAEの周回衛星「Al Amal(希望)」を搭載していた。

これは、7月中に予定されている3回の火星探査ミッションのうちの最初の打ち上げであり、中国からの火星探査衛星と着陸機の打ち上げが今週に、そしてNASAの探査車であるMars Perseveranceのミッションが7月30日に予定されている。

UAEのAl Amalは、火星大気の測定という科学ミッションを担う。これは火星が表面に液体の水を持つ温かい世界から、現在のように信じられないほど寒く、岩だらけで乾燥した惑星になった経緯を科学者がよりよく理解するためのものだ。打ち上げが成功した後、UAEは火星探査機と地上局との通信が成功し、数カ月間におよぶ飛行のスタートが良好であることを報告した。

これはUAEにとって初めての深宇宙探査への参入であり、2014年に宇宙機関を設立したばかりの国としては驚くべき成果だ。UAEはこれまでに2回人工衛星を打ち上げているが、今回が初の軌道外のミッションであり、探査機はコロラド大学ボルダー校の大気・宇宙物理学研究所を含む研究チームとの提携の下、わずか6年の歳月で開発された。

火星への探査機の打ち上げ時期が重なるのには、理由がある。このタイミングは、宇宙船が火星とランデブーするための相対的な距離が最短になるからだ。そしてこれは約2年に一度しか起こらないので、もし時期を逃せば次の打ち上げに機会まで長く待つ必要がある。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

宇宙セクターへの投資は新型コロナパンデミックにも関わらず堅調な兆しを見せる

専門投資家のSpace Capitalからの最新の四半期レポートによれば、現在の新型コロナウイルス(COVID-19)のパンデミックに起因する明らかな影響にも関わらず、全体的にみれば宇宙スタートアップへの投資は予測されたほどは影響を受けなかったことが示されている。特に彼らが追跡している「アプリケーション」分野への関心が高まっている。これは宇宙での観測機器ならびに通信設備によって可能になるデータレイヤーを扱うソフトウェアを開発する企業たちが関わる分野だ。

Space Capitalの第2四半期のレポートでは、インフラストラクチャへの投資が第1四半期と比べて85%減少したと報告されている。実際、有名な衛星オペレーターであるOneWebの倒産と売却などをはじめとする、合併や倒産による撤退の事例も目にした。

レポートによれば、ソフトウェアレイヤーに対する良いニュースは、この四半期に関連企業に対して53億ドル(約5690億円)の投資が行われたことだ、この中には米国内での45億ドル(約4830億円)も含まれている。また、VCの資金調達額全体は、2020年上半期と2019年上半期を比べると、実際には前年比で4%増加している、と同社は指摘している。ただし第2四半期同士に比較では2019年に対して23%の減少となっている。

全体として、2020年の宇宙セクターは、これまでに112回のラウンドで株式ベースの投資が121億ドル(約1兆2980億円)に達している、またアーリーステージ企業へは67回のラウンドで合計3億300万ドル(約325億円)が投資されている。それらの多くがシードまたはシリーズAのラウンドだった。

Space Capitalによって追跡されるアプリケーションレイヤーには、基本的にそのソフトウェアがGPSとPNT(Positioning Navigating Timing system)ベースのナビゲーションに大きく依存している企業が含まれていることは指摘しておこう。例えばWaymo(ウェイモ)のような大企業は、自身の自動運転技術を活かすためにそうしたデータを必要としている。

GPSは間違いなく最大かつ最も成功した宇宙ベースのインフラ投資の1つであり、新しいビジネスの構築、およびレガシー産業の更新と破壊という側面で、かなりの成果を上げ続けている。宇宙へ向かう投資の多くがGPSの後継技術を求めている。必ずしも特定の機能というわけではなく、広く持続的な影響を持つ宇宙ベースの技術が求められているのだ。

Space Capitalからの完全なレポートは以下から読むことができる。

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画像クレジット:Aleksandar Georgiev / Getty Images

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(翻訳:sako)

英保険会社Direct Line Groupがロンドン拠点の保険アプリBrollyを買収

英国のデジタル保険アプリであるBrolly(ブローリー)はDirect Line Group(ダイレクトライングループ)に買収された。買収条件は未公表。買収は2020年第3四半期に正式に完了する予定だ。

もともとは、Aviva(アビバ)のアンダーライターでプロダクトマネージャーだったPhoebe Hugh(フィービー・ヒュー)氏と、Skype(スカイプ)とMicrosoft(マイクロソフト)でエンジニアリングマネージャーだったMykhailo Loginov(ミカイロ・ロギノフ)氏がアクセラレーターのEntrepreneur First(アントレプレナーファースト)で出会った後に、個人向け保険コンシェルジュ(未訳記事)としてBrollyを立ち上げた。このアプリでは、自分の保険契約の補償範囲の漏れや重複を見つけ、適切な保険を探すことができる。

そこまでは同社が単にインシュアテックになっただけに見えたが、2019年8月に「Brolly Contents」を立ち上げ、同社が空白になっているとみた家財保険の領域を埋めた(未訳理事)。

デジタル時代にふさわしく設計されたこのプロダクトは、個人の所有物のすべてまたは一部を「柔軟な」月額料金で補償し、Brollyのモバイルアプリを介して従来より便利な方法で提供されている。Brolly Contentsには最大4万ポンド(約540万円)相当の家財を補償する機能があり、賃貸人や不動産所有者に適している。また保険の更新に手数料はかからない。

画像クレジット:Brolly

さらに最大25%のロイヤルティ割引が約束されており、Brollyとの契約を続け、保険金の請求を行わない限り割引率は毎月増加する。BrollyのCEOであるヒュー氏が当時TechCrunchに語ったように、これは新しい顧客に大幅な割引を提供している既存の保険会社に対するアンチテーゼだ。顧客らが契約後数年間、時間がなかったり怠慢のために切り替えをしなければ、保険会社が最初の割り引きの元を取ることになる。

共同発表によると、Brollyのチームは買収後Direct Line Groupに加わり、「Direct Line Groupが保険業界のリーディングデジタルプレーヤーになるための変革の加速に貢献する」ことを目的として、これまでの仕事を継続する見込みだ。

ヒュー氏は声明の中で次のようにコメントした。「私は個人向け保険を作り変えるためにBrollyを始めた。新しい世代の消費者の声に耳を傾け、それに対応することで我々はこれまで大きく前進してきた。この旅の中で、私とチームがテクノロジーとプロダクトをもっと多くのオーディエンスに拡げるためのステップを踏むことができ大変嬉しく思う。英国で最も革新的な大手保険会社の1つであるDirect Line Group内で保険を簡素化するために、美しくパーソナライズされた製品を引き続き開発できることを心から喜んでいる」。

ただしTechCrunchが知るところでは、既存のBrollyアプリのユーザーは「保険管理プラットフォーム」が7月30日にシャットダウンされるとの通知を受け取っている。現在有効および期限切れのいずれの保険に関しても主要なデータをエクスポートするオプションを用意された。Brolly Contentsも個々の顧客の保険契約が満了日を迎えるとそこで終了となる。

最後に、後世のためにヒュー氏がEntrepreneur Firstで最初に行った投資家向けプレゼンをご紹介しよう。

画像クレジット:Brolly

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(翻訳:Mizoguchi

インフラ自動化のPuppetがブラックロックからの約43億円のデットラウンドを発表

オレゴン州ポートランドに拠点を置くインフラ自動化企業であるPuppet(パペット)は米国時間7月16日、BlackRock Investments(ブラックロック・インベストメンツ)からの4000万ドル(約43億円)のデットラウンドを発表した。

Yvonne Wassenaar(イボンヌ・ワッセナー)CEOは「PuppetはこのデットラウンドをBlackRockとの長期的な関係の一部だと考えている」と語った。「当社がBlackRockとともに歩もうと決めた理由でもあり、興味深い点でもあるのは、彼らの投資はいつも長期的な関係の最初のステップになってきたことだ」と同氏はTechCrunchに語った。

スキームとしては、BlackRockが同社に出資するのではなく、Puppetによる借り入れが選択された。「当社は、時間が経てば返済義務が生じる借り入れを選んだ。BlackRockは当社の取締役会にオブザーバーの席を確保した。彼らは当社のビジネスの成長・発展のための協働に意欲的だからだ」とワッセナー氏は述べた。

Puppetは約18カ月前にワッセナー氏が加わり、経営陣の刷新を進めている。同氏は2019年に、業界のベテランであるErik Frieberg(エリック・フリーバーグ)氏をCMOとして、Paul Heywood(ポール・ヘイウッド)氏をCROとしてそれぞれ招いた。2020年になってCloud Foundry Foundationのディレクターを務めたAbby Kearns(アビー・カーンズ)氏をCTOに迎えている(未訳記事)。

こうした動きはすべて、将来のIPOを視野に入れているとワッセナー氏はいう。「当社は理想的には、最終的にIPOへの道を進みたい。どう進むべきなのか、その過程で何が必要なのかを考えている」と述べた。

ワッセナー氏は「いくつかの点で企業は、パンデミックによりPuppetが提供するような自動化ソリューションを詳細に検討する必要に迫られた」と指摘する。「パンデミックによって当社の帆に風が当たり始めたことは本当に興味深い。企業には自動化の必要性が生じ、テクノロジーの観点から自動化をどう活用し、拡張するか考えなければならなくなった」。

Puppetが成長を続ける中、ワッセナー氏によると「多様性が組織の中心的な価値であり、当社はジェンダーの観点では進歩を遂げた」(経営幹部に同氏とカーンズ氏がいる)が、人種的多様性については現在取り組みんでいるところだ。

「今注目されており、もっとやるべきことがあると私が思うのは、ジェンダーの多様性を人種的観点から補完することだ。それは私が個人的に行ってきたことであり、私は当社が人種的多様性を進められるよう会社を変革することに真剣に取り組む」と同氏は述べた。

Crunchbaseのデータによると、同社はこれまで1億5000万ドル(約160億円)近くを調達した。直近のラウンドは2018年のシリーズFで、4200万ドル(約45億円)を調達した。同社はワッセナー氏が来る前の2016年に2200万ドル(約24億円)の債務融資を受けていた。

関連記事:Puppet names former Cloud Foundry Foundation executive director Abby Kearns as CTO(未訳記事)

画像クレジット:kanawatvector / Getty Images

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(翻訳:Mizoguchi