メルカリに相次ぐ現金・チャージ済みSuicaの出品——違反商品の監視を強化へ

「クレジットカードを現金化しているのではないか?」といった声が相次ぐなど、Twitterを中心にSNS上で大きな話題を集めている、フリマアプリ「メルカリ」内での現金出品問題。同サービスを運営するメルカリは問題が起きた4月22日、「利用規約の第8条33項にある、『マネー・ロンダリングを目的とした行為』に抵触している可能性がある」とし、現行紙幣の出品を禁止にした。

「現金を額面以上で販売する」出品は想定外だった

もともと、メルカリは過去の希少価値の高い硬貨・紙幣の取引(例:記念硬貨など)は可能していたが、現行貨幣の出品は禁止されていた。しかし、ユーザーの中には、二千円札や円の位置がずれた五円玉など、「現行の硬貨・紙幣でも希少価値の高いものを出品したい」という要望する人もいたようで、2017年2月14日から現行紙幣の出品を可能にした、という背景がある。

そうした状況の中で発生した現金出品の問題。一部ではマネーロンダリングへの利用やクレジットカードの現金化(ここで言うのは、キャッシング枠でなくショッピング枠で現金を得るために、ショッピング枠で現金を購入する行為)などの可能性があると問題視する声が高まった。これに対してメルカリの広報担当者は「弊社が当初、想定していなかった『現金を額面以上で販売する』という出品が行われ始めたため、未然にトラブルを防ぐために現行紙幣の出品禁止にし、取り締まりを強化しました」と説明する。

すでにサポートが対応して現金の取引については削除を進めており、実際メルカリ内で「現金 貨幣」などと検索してみても、現行の硬貨や紙幣の出品は見当たらない。

まるでイタチごっこ、今度は現金チャージ済みのSuicaが出品

出品規制をかけることで、現金を額面以上で販売する出品はなくなった。しかし、今度は1万円以上の現金がチャージされた「Suica」が出品されるという事態になった。このSuicaの出品に対し、広報担当者は「利用規約の第8条33項にある、『マネー・ロンダリングを目的とした行為』に抵触している可能性がある」として、出品を見つけ次第、順次削除しているという。

ただし、Suicaは記念版など希少価値の高いものの出品も考えられる。それに関しては、「カスタマーサポートが人力で確認し、チャージ額が1万円以上など、明らかに金銭が目的となっているものは削除するようにしています」と広報担当者は語った。

現金の出品規制をかけたら、現金チャージ済みのSuicaが販売など、イタチごっこの状況が続いているが、今後どのような対策を講じていくのか? 「健全なマーケットプレイスを提供することが我々の責務。そのために、カスタマーサポートによる監視をより強化していきたいと思っています」(広報担当者)。

photo by Japanexperterna.se

フリマアプリ「メルカリ」、家具や家電の梱包・配送から開梱まですべて“お任せ”の「大型らくらくメルカリ便」を開始

メルカリ取締役社長兼COOの小泉文明氏(左)とヤマトホームコンビニエンス代表取締役社長の市野厚史氏(右)

これまでも「らくらくメルカリ便」の提供などで連携してきたメルカリとヤマトグループ。今度は大型商品の取引に向けた新サービスの提供に乗り出した。メルカリとヤマトホールディングス傘下のヤマトホームコンビニエンス(YHC)は4月17日、フリマアプリ「メルカリ」において、「大型らくらくメルカリ便」の提供を開始した。

メルカリの月間流通額は現在100億円、1日の出品数は100万品超へと成長した。そんなメルカリ上で、出品者が商品を送る際に活用されているのがらくらくメルカリ便だ。メルカリのユーザー(出品者)がクロネコヤマトの営業所や取扱店であるコンビニに商品を持ち込めば、宛名書き不要かつ匿名・全国一律の送料で配信できるサービスとなっている。僕も昨年、実際にサービスを利用したのだけれど、営業所のスタッフから「(らくらくメルカリ便の)配送数は確実に増えている」という話を聞いた。実数こそ出していないがメルカリも「ユーザーの皆様から大変好評をいただいております」としている。

ただこのらくらくメルカリ便、取り扱いサイズが最大でも3辺合計160cmまでの商品に限定されていた。家具や家電といった大型商品を取り扱うには、従来通り自分で梱包するか、業者を手配する必要があったのだ。

今回提供を開始した大型らくらくメルカリ便は、そんな大型商品の配送の煩わしさを解決してくれる。出品の際にアプリ上で「大型らくらくメルカリ便」を選択すると、取引の成立後にYHCのスタッフが出品者の自宅に訪問。荷物の梱包から配送までを行ってくれる。届け先では開梱から設置、使用済み資材の回収までに対応する。料金は3辺合計200cmまでで4320円から。メルカリ上では、出品者が設定した商品価格に送料を上乗せした金額が「販売価格」として表示される。

メルカリ、取締役の小泉氏が代表に——創業者の山田進太郎氏はイギリス市場立ち上げに注力

鹿島アントラーズとのスポンサー契約も発表したばかりで、まさに飛ぶ鳥落とす勢いのフリマアプリ「メルカリ」を運営するメルカリで人事の大きな発表があった。同社は4月14日、取締役だった小泉文明氏を取締役社長兼COOに昇格することを明らかにした。メルカリ創業者であり、代表取締役社長を務めてきた山田進太郎氏は代表取締役会長兼CEOという役職となる。2017年3月にサービスを開始したイギリスでの事業に注力するかたちとなる。この人事はメルカリのグローバルでの成長を加速するためのもの。

小泉氏は早稲田大学商学部を卒業したのちに大和証券SMBCに入社。ミクシィやディー・エヌ・エーなどのネット企業のIPOを担当した。2007年にミクシィに入社。取締役執行役員CFOとしてコーポレート部門全体を統轄する。2012年に退任し、個人でエンジェル投資やスタートアップの支援などを行った後、2013年12月メルカリに参画した。2014年3月には同社の取締役に就任している。

メルカリの山田進太郎氏(左)と、小泉文明氏(右) (メルカリ2周年の2015年7月にTechCrunch Japanが撮影)

メルカリが鹿島アントラーズのオフィシャルスポンサーに、リアルとの融合はかる

フリマアプリ「メルカリ」を展開するメルカリ。テレビCMやフリマイベントなどリアル展開も積極的に行う同社が、今度はサッカークラブのスポンサーになるのだという。メルカリは4月7日、鹿島アントラーズ・エフ・シー(鹿島アントラーズ)とクラブオフィシャルスポンサー契約を締結したことを明らかにした。4月8日開催のJ1リーグ第6節より、茨城県立カシマサッカースタジアムでのホームゲームで各種の施策を展開する。

全長16メートルのウォール。これにノベルティが貼り付けられる

具体的には、スタジアムの最寄り駅である鹿島サッカースタジアム駅からスタジアムまでの太陽光発電下の道を「メルカリロード」と命名。4月8日限定で、メルカリ×鹿島アントラーズのノベルティグッズを取り付けた全長16メートルのウォールを設置(ノベルティを取り外すと、メッセージが現れるという仕掛けだ)。

また試合後には、メルカリのアプリ上に鹿島アントラーズ選手のサイン入りグッズを出品していくという。また鹿島アントラーズ公式マスコットキャラクターの「しかお」とメルカリのコラボレーションステッカーを配布(テック企業とスポーツのマスコットキャラのコラボは初めて見るかも)するなどさまざまな取り組みを進める。試合後の出品に関しては、今後はLIVE配信とも組み合わせて展開する予定だ。またメルカリロードでのフリマイベントなども検討中だという。

「しかお」とメルカリのコラボステッカー

鹿島アントラーズの2017年のスローガンは「Football Dream つなぐ」。説明には「デジタルという新たなプラットフォームで、サポーターと心をつなぐ」とあるように、デジタル、ITを使った施策を模索している。一方でメルカリはこれまで以上に広い層(やはり現状は女性ユーザーが多いそう)に訴求を強めたいという思いががあった。

「スポーツは国民全員が盛り上がれるようなコンテンツ。今のメルカリとはまた違うユーザー層もいる。より多面的に訴求をしていきたい。リアルとネットの境目は本当になくなってきているので、リアルでのコラボレーションをしていく。またメルカリは日本発グローバルを掲げている。同じく鹿島アントラーズも2016年のクラブワールドカップ  ジャパンで準優勝。世界のトップを目指している。我々はスポーツに対してもっと貢献していきたい」——メルカリ取締役の小泉文明氏は今回の取り組みについてこう語る。

メルカリはこれまでにもスポーツ活動支援の取り組みを行っている。1月には車いすバスケットボール選手2人を社員として雇用する旨を発表している。

世界への進出、どうやるの? Facebook、C Channel、メルカリそれぞれの戦略

3月16日から17日にかけて福岡県・博多で開催中の招待制イベント「B Dash Camp 2017 Spring in Fukuoka」。初日のセッション「インターネットビジネス、グローバルでの戦い方」にはフェイスブックジャパン代表取締役の長谷川晋氏、C Channel代表取締役社長の森川亮氏、メルカリ代表取締役社長の山田進太郎氏が登壇。グリーの田中良和氏がモデレートする中、それぞれの世界戦略を買った。

メルカリの世界進出の理由、「ロマンの部分が大きい」

田中氏はまず、「スタートアップが海外進出をする理由」について登壇者に尋ねる。

今日まさにイギリスでサービスをローンチしたばかりのメルカリだが、最初に米国への進出をしている。山田氏は当時を振り返り、「ECのGMV(総流通総額)は10倍。米国で成功できれば世界でも成功できると思っている。だがロマンの部分のほうが大きい。せっかくインターネットのビジネスで世界中繋がっているのだから、大きな市場でいいサービスを作って全世界でやりたいな、と」と振り返る。当時、直接的な競合も居ない状況であり、海外進出のチャンスとも考えたという。「(競合がない方が)可能性があるんじゃないか。でもホームラン狙いのようにビジネスをやっているところがある。当然日本でうまくいったからといって米国やヨーロッパでうまくいく保証はない。でもとれたらでかいよねと」

テレビ局でのビジネス経験もある森川氏。C Channelについて「日本発のメディアブランドを作りたいな、と思った。僕たちのターゲットは若い女性なので、日本だとそれほど多くなかった」と振り返る。現在はタイや台湾、インドネシアに進出するC Channel。月間再生は現在6億6000万回で、そのうち5億回以上は海外なのだという。アジア進出の理由は、競合不在(まだYouTubeが強く、一方では分散型が出なくライブ配信のようなコンテンツが流行している)であり、前職のLINEでの経験も生かせると考えたからだそうだ。

積極的にグローバル展開を進めるFacebook。中でもユーザー数の伸び、ビジネスのスケールを考慮してもアジア圏、特にモバイル、動画の領域は注目だと説明する。

とはいえFacebookは一度モバイルで大失敗しているのだそう。2012年頃、当時はデスクトップからのアクセスが圧倒的だったため、モバイルシフトが大きく遅れてしまったのだと語る。現在ではMAUの90%、売上の80%がモバイルからのものになっているとした。

世界展開するプロダクト、どう作る?

世界進出を進める3社。では本国と海外ではどういったチーム作りをしているのか。メルカリは協働創業者の石塚氏が元RockYouの創業者であり、シリコンバレーのカルチャーにも精通していると言うことで、オペレーションまわりは100%現地のアメリカ人が担当しているそう。

一方で開発はほとんど日本人が担当しているそうだ。もともとは国別に作っていたプロダクトを「グローバル版」として米国の品質に寄せた経験があるそうだ。「ただ去年くらいから米国でプロダクトマネージャーやデザイナーを取り始めている。また日本からも赴任する人も増やし、そこで融合することを試している。そうしないとグローバルなプロダクト作りはできない」(山田氏)。

山田氏はまた、トヨタやソニー、ホンダ、任天堂といった日本企業が過去にどうやって海外で成功してきたかを、「日本は圧倒的に強い技術力があってプロダクト出てくるから、ローカルもマーケティングや販売戦略を立てられた」と説明。日本の強みを持ってしてプロダクトを作り、現地とコミュニケーションを取っているとした。

これに対して、田中氏は「日本の強さ」を作るのが難しくなってきたのではないかと語る。山田氏もそれに同意した上で、「シリコンバレーから新しいテクノロジーがやってくる中で、技術というより、『こういうモノがいいんじゃない?』という強い信念がないといけない」とした。

一方で森川氏が話したところによると、C Channelは、女性向けコンテンツということで現地のカルチャーを理解していることも重要だそうで、コンテンツに関しては現地での制作をおこなっているという。

長谷川氏はFacebookというグローバル企業、またグローバルのマーケティングのために使われるプラットフォームという視点で世界進出について語る。まずグローバル企業としての視点だが、Facebookは本社というよりは、世界に複数ある拠点でサービスを開発しており、一方でビジネス面に関しては、各国に権限委譲する文化なのだそうだ。

一方でプラットフォーマーとして、「米国も1つの国として進出を考えるのは必ずしも正解ではない」と説明する。米国と言っても地域や人種、年齢、性別もさまざま。いくつもあるクラスタのどこに徹底するのかを考えるのが大事だという。またその進出方法にしても、現地チームを作るかどうかだけが大事な訳ではないと語る。「ユーザーインサイトはPC1台で分かる。プロダクトの作り込み、動画の作り込みは現地でやって、マーケティングやブランディングは本社でやる、ということもできるようになってきた」(長谷川氏)

では具体的にどうやって世界に進出すべきなのか。田中氏はFacebookやTwitterといったグローバルサービスを例に、世界進出の鍵になるのは、日本発のプラットフォームを作ることではないかと登壇者に問う。

山田氏もこれに同意した上で、「2年半米国でサービスをやって、やはり経験によって得られるモノもかなりある」と語った。「海外で五里霧中という中で進んでいると、『こういうことなんだ』とか『こうことはやっちゃいけないんだ』と考え、いつの間にか高いレベルで戦えるようになっている」(山田氏)。

森川氏は「原則から言うと、現地の人がモノを作る」ということが大事だと語る。今はコンテンツでもさまざまなパターンが存在しているが、それはやがて成熟してくる。その中で何が大事なのか、差別化要素がどこにあるかを考えていかなければいけないと。自動車や家電メーカーが世界進出した時代は日本の技術が武器であったが、これからは技術だけで勝てる世界ではない。インターネットのビジネスも、よっぽどのものでないかぎり、コンテンツやサービスのデザインが重要だという。数字と感性、両方を見て、現地に根付いたコンテンツを徹底的に作れるチームが大事だとした。

世界進出、いくらかかる?

このあとは会場との質疑が行われたが、興味深かったのは「グローバル展開のためのお金のかけ方」というもの。

山田氏はメルカリについて「日本で収益も立ちはじめて、調達もグローバル進出に理解あるところからなので、お金をかけやすい状況」だとした上で、「市場がデカいということは、市場を取るためにもお金がかかるということ。戦略的にやらないとお金が尽きちゃう。普通にやるなら数十億円は必要。最低でも月1億円は欲しいと思うので」と説明。

森川氏も「あればあるだけいい」とコメント。たとえ話として、中国では1つサービスがローンチすると、80社くらい競合が出てくると説明。そこで勝つ方法というのは、「最後までやること」つまりお金を調達してやりきることだと聞いたと語った。「だから(C Channelは)真っ向からぶつかるのでなく、小さい点を取っていく。アジアで言うと、国ごとに押さえていくというやり方もある」(森川氏)

長谷川氏はまた別の視点で回答した。「2人がスケールも大きい話をしているが、そういう話ばかりではない。例えばドイツで家族経営の家具の会社があった。息子さんが家具の良さを伝えて(筆者注:Facebook Adの事例と思われる)、結果ビジネスが順調になって海外含めて5店舗くらいになった。必ずしもスケールを大きくしないとグローバルにいけないわけではない。そこは会社のスタンスとやりたいことで違うと思う」(長谷川氏)

メルカリがブランド特化フリマアプリ「スマオク」運営のザワットを買収

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メルカリが、2月17日付けでフリマアプリ「スマオク」を運営するザワットの発行済全株式を取得し完全子会社化したことを明らかにした。金額等は非公開。

スマオクは、中古ブランド品に特化したスマオクはブランド品に特化したスマートフォン向けのオークションサービスとしてスタート。現在ではブランド品からアニメグッズまで幅広いアイテムを取り扱うフリマアプリとなっている。毎晩21時には、リアルタイム通信での「フラッシュオークション」を行っており、人気を博しているという。

メルカリでは今回の子会社化により、「Eコマース分野におけるC2C事業のさらなる発展・拡大に取り組んで行きます。両社それぞれの顧客基盤やノウハウを活かし、メルカリ及びスマオクの更なる発展と新しいサービスの創造を目指して参ります」とコメントしている。

ザワットは2011年の設立。同年12月には「○○を売りたい」「○○を買いたい」「○○について教えて欲しい」といった「お願い」を解決するC2Cサービスを「Wishscope」をリリースした(2016年8月にサービス終了)。2013年11月にはスマオクをリリースし、以後同事業に注力してきた。

メルカリによると、今後もザワットの代表取締役の原田大作氏をはじめとして全員がメルカリに参画。今後も同じメンバーでスマオクの運営を行うとしている。

メルカリ創業者の山田進太郎氏、日米5500万DLの躍進をTechCrunch Tokyoで語る

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11月17日、18日に、東京・渋谷で開催したTechCrunch Tokyo 2016。18日のキーノート・セッションでは、フリマアプリ「メルカリ」創業者でCEOの山田進太郎氏に、日米5500万ダウンロードを達成したメルカリの海外展開の取り組み、プロダクトへの姿勢について語ってもらった。聞き手はTechCrunch Japan編集長・西村賢。

躍進するメルカリの海外展開

今年3月に84億円の大型資金調達を果たし、未上場ながら評価額はビリオン(10億ドル)超、日本発のユニコーン企業として注目を集めるメルカリ。この週、11月15日にメルカリでは決算公告を発表していた。既に2015年末時点で黒字化、2016年3月時点で月間の流通総額100億円以上を達成していたメルカリ。2016年6月期の決算では、売上高は122億5600万円と前期の約3倍となり、営業利益は32億8600万円で、2013年創業から4期にして黒字化、大きな話題となった。

発表された決算の数字の中でも興味深いのは、90%を超える高い粗利率。山田氏は「原価のほとんどが人件費」と言う。「日本で300人ぐらいの人員がいて、海外でも結構増えています。」(山田氏)

山田氏はしかし、この超優良な決算公告の数字を「まだ日本単体で、海外や子会社の数字は含まれていない。(世界)全体として見たらまだまだ投資している(モードだ)」と控えめに評価する。「国内でも伸びしろはあるが、次の桁を変えるには海外へ出て行かなければいけない。開発リソースは9割、米国に割いている。最悪、日本を落としてでも、米国市場を取っていく」(山田氏)

なぜ米国にこだわるのか。タイや台湾などは、日本と文化的にも親和性が高いし、インドネシアであれば多くの人口を狙っていけるが、東南アジアではいけないのか。この質問に「米国市場は大きい。ミッションである”世界的なマーケットプレイスを創る”ためには、米国でサービスが使われていないといけない」と山田氏は話す。

「個人的には、世界のいろんな人にサービスを便利に使ってもらうことで、大きく言えば人類への貢献ができるんじゃないかと考えている。そのために会社を作ったんだし、そこ(世界へのサービス展開)をやっていく」(山田氏)

「実は最初(に起業した時)から、(世界への展開に対する)意識はあった」という山田氏は、ウノウのZyngaへの売却と、Zynga Japanへの参加についても「グローバルなインパクトを出すことができると考えたから。Facebookで強かったZyngaはユーザーが全世界に3億人以上いて魅力があった」と言う。

今年だけでも84億円の調達を実施し、株式市場への上場も視野に入っているはずのメルカリだが、これまでのところ、上場は選択していない。海外展開に当たって、海外市場への上場などは検討しているのだろうか。「いろんなオプションを探っているところだ。いつIPOするかも含めて、まだ何も決まっていない。会社が大きくなっていけば、社会責任を果たすこと、社会の公器になることは必要だと思うけれども、まだタイミングではないですね」(山田氏)

そのタイミングとは。山田氏は「米国でのサービスは伸びているが、もっともっと成功しなければ。米欧で成功できれば、いろんな国で継続的に成功していく方法論が確立するのでは、と思っている。今のところ、どうやって米国で成功するかに集中している。その後、日米欧3拠点でどうやって開発していくのか、コミュニケーションをどう取っていくのか、多拠点での事業の進め方も考えなければならない。まだ、事業計画を出して(ワールドワイドで)継続的に成長していくという段階ではない」と堅実に事業を進めていく考えを示す。

プロダクトの差別化は少しずつの改善の積み重ね

アプリケーションとしてのメルカリは、2016年8月時点で、日本で3500万ダウンロードを達成している。メルカリの日本での今後の見通しについて、山田氏は「減速の予見はない。流通額も伸びている」と話す。「PC時代やガラケー時代に比べると、スマホ時代はユーザーが多い。LINEなんかもMAU(月間アクティブユーザー数)が国内で6000万ぐらいある。一家に1台だったPCと比べると、ひとり1台に普及していることが大きい」(山田氏)

米国でも、2000万ダウンロードを2016年9月に達成。ダウンロード数の推移を見ると、この夏、急速に伸びていることが見て取れる。

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「この伸びは、CMなど特別なプロモーションを打ったわけではなくて、インスタグラマーやSnapchatユーザーが“メルカリはいいよ”と投稿を始めて、そこから招待コード制度で拡散したことが理由。App StoreやGoogle Playのランキングに載ったことで、さらに加速した」(山田氏)

現在の米国の状況については「一時よりは落ち着いたが、ベースが上がっている感じ。招待コードキャンペーンは続けている。インフルエンサーにお金をかけるプロモーションは行っていない。ただ、あらゆる機能改善を米国にフォーカスして、1年ぐらい続けてやってきていて、それが広がる下地となった」と山田氏は話している。

この施策が当たった!というものはなく、少しずつの積み重ねが、米国でのDL数増に功を奏したと言う山田氏。「GoogleでもSnapchatでも、エンジニア中心の小さなチームが無数にあって、それぞれが改善を続けている。Facebookで動画が急にきれいに見えるようになったりしたのも、そうした結果。みんな、ちょっとずつそういう改善を続けて、Facebookの場合なら友だちが増えたり投稿が増えたりしていって、今や誰も追いつけないくらいの機能とユーザー数になっている。メルカリにとっても、1%の改善をどれだけ繰り返せるか、ということをやり続けることが強みになっている」(山田氏)

開発には現在100人ぐらいが関わっているが、役割を固定せず、流動性を大きくしている、と言う山田氏。「A/Bテストができる基盤は作ってあるので、各チームの中で自由に『こういうことしたら、いいんじゃない?』と(機能の調整を)やってます」(山田氏)

「Facebookなんかだと、少しずつ違う機能や見た目が部分的に反映された、何万というABテストが(同時に)走っている。メルカリでも数十本は走ってる。米国版ではテストが特に多い。(米国版の機能で)日本だと受け入れられるかどうか、というものは日本でもテストしているので、パターンは膨大にある」(山田氏)

アプリの機能以外のサービス面でも、米国ではトライアルが続いている。手数料の導入はサービス面での大きな変更だ。「米国でも新規の出品者に10%の手数料を導入したところ。まだ結果は分からない。来週からは出品者全体で手数料を始めるので、勝負どころになります」(山田氏)

山田氏は、米国でも日本でも、今までのウェブサービスの普及パターンと違う動きが見えると言う。「LINEなどもそうかもしれないが、日本だと、ユーザー数でいえば東京は多いんだけれども、地方ユーザーでも若くて子どものいるお母さんみたいな層から火が付いた。米国の場合もこれまでは東西海岸の都市部が普及の中心だった。それがメルカリでは、カリフォルニアは確かにユーザー数は一番多いけれども、その後はテキサス、フロリダと続いていって、普通の人が使っている印象。両海岸から広がっているのは今までと同じだが、広がるスピードが早くなっている。スマホ時代になって、時間×量という意味では、地方に住んでいる可処分時間が多い人がサービスを使うようになった。ユーザー数と時間・量の全体で見たときに、総時間では都市も地方も同じになっているのではないか」(山田氏)

メルカリ特有の“文化”について

「取り置き」「○○さん専用ページ」「確認用ページ」……。メルカリにはアプリ独自で、利用規約やシステムとは連動していないユーザーによる“私設ルール”がたくさんある。これらの“メルカリ文化”ともいうべきルールについても、山田氏に聞いてみた。

photo03「本来はシステムや機能で解決すべきだとは思います。Twitterの返信で使われている“@”なんかも、元々はユーザーが勝手に使い始めた運用をシステムで取り入れた例。ユーザーの使われ方によって、機能を取り入れられるのが良いとは思う。メルカリでもやりたいんですが、優先順位の問題で取り入れられていないですね。米国にフォーカスして(開発を)やっているので、日本でやったらいいな、ということがなかなかできていない。それは申し訳ないけど、これから要望に応えていく部分もあるので……」(山田氏)

日本だけにフォーカスした機能は、ローカライズが進みすぎるので避けたい、とも山田氏は言う。「バランスを取っていかなければ。シンプルで誰が見ても使える、というものをユニバーサルに作っていきます。会社全体、経営陣として、全世界に必要な機能は議論(して検討)する。それが日本ローカルな機能なら、優先順位は低くなる」(山田氏)

またeBayなどのオークションサービスでは価格が安定しているのに対し、メルカリでは出品物の価格のばらつきが大きく、状態もさまざまだ。このことについては「オークションでは、モノに適正な値段を付けるというところがある。でも(メルカリの場合は)価格だけじゃない。同じ物でもコンビニはスーパーより高く売っているけれども、それはその分便利という価値がある、ということ。メルカリならすぐに買える、店にないものがある、という購入者の感情と、自分はいらないから誰かに使ってもらいたい、という出品者の感情をうまくつなげている。中には、タダでもいいから、もったいないから使ってほしいという出品もある。その気持ちに経済的価値があるんです」と山田氏は話す。

山田氏は、ポイントの存在も購入行動に影響を及ぼしていると見る。「アマゾンより高い出品もあるのに、なんで売れるのかというと、ユーザーが別の出品で売上を持っていて、ポイントなんかを使う感覚なのではないか。売上を引き出してアマゾンで買えばいいんだけど、それだと手間と時間がかかるので、利便性を取っているのではないかと思う」(山田氏)

メルカリの日本での利用の伸びについては、こうも話している。「昔は日本でも道ばたでモノを売るような世界があったし、新興国では今でもまだそういう売買のシーンがある。それが単純にオンラインで仕組み化されたことで、復活してきているということではないか」(山田氏)

メルカリでは、企業ではなく個人ユーザー同士によるCtoCのフリマにこだわっている。運営側が常に見てくれていて、ヤフオクなどと比べると気を遣ってくれている感じ、安心感がユーザーにあるのではないだろうか。だがここへ来て、業者ではないかと思われるユーザーも出てきているようにも見える。ユーザーのサポートやケアについて、山田氏はどう考えているのか。

「メルカリはできる限り、自由な場であってほしい。(先日Twitterなどで話題になった)お子さんが仮面ライダーカードを買うために、お母さんが子どもの拾ってきたドングリをメルカリに出品したケースのように、何でもやり取りしてもらえれば、と思う。規制していたら、ドングリみたいな新しいものは生まれないです」(山田氏)

一方で取引のトラブルや、悪い出品者・購入者に当たったというケースもある、と山田氏は続ける。「そこでメルカリに問い合わせをすれば、解決してくれる、という安心感があれば、場が健全に保たれる。商品が送られてこなかった、という時でも、すぐにお金を返してくれた、となれば、『今回はたまたま悪い取引に当たっただけで、メルカリ自体はいいところだ』と思ってくれるでしょう」(山田氏)

「こういう出費は5年先、10年先を考えたら回収できる」と山田氏。「長期的に使ってくれて、何十年も続いていけるサービスにしたいと思って、そういうカスタマーサポートをやってます。今はエンジニアとカスタマーサポートにお金をかけている」(山田氏)

日本発ユニコーン企業の先駆者として

日本人メジャーリーガーとして活躍し、イチローや松井秀喜のメジャーリーグ入りに先鞭をつけた、投手・野茂英雄。彼を例えに、山田氏に米国での躍進と、後進への思いについて聞いたところ、その返事は意外なほど慎ましいものだった。

「誰かが(アメリカへ)行って通用すると分かれば、フォロワーが出る。先駆者がいれば後も変わっていくと思っているので、何とかして成功したいとは思っている。だが、そこまで余裕があるわけじゃないんです。自分たちが何とかしなければ、という危機感は社内にも強い。2000万ダウンロードで順風満帆、人材も潤沢で完成されているように見えるかもしれないけれども、実際は大変。日本のプロダクトも改善は足りないし、相当の危機感がある」(山田氏)

好調決算についても「日本単体での数字で、それもアメリカへの投資に使っているわけだし、まだまだ」とさらなる成長を追求する姿勢だ。

さらに競合に関する質問では「プロダクトで勝つしかないので、競合という視点はないんです。プロモーションなどでお金をかけることはできるが、結局いかにいいものにし続けられるかが大事」と山田氏は語る。そのプロモーションについては、メルカリではTV CMに大きく費用を投下しているという。「米国でもCMのテストを行っている。まだ結果は分からないが、分析を続けて、あらゆるチャレンジをしている」(山田氏)

最後に、起業家志望の方に向けて、山田氏からメッセージを伺った。「僕も必死でやっているところだけれど。海外へ出て、何かを作って、便利に使ってもらうことはとても価値があること。一緒に頑張っていきましょう」と山田氏。学生起業を目指す人にはこう語った。「僕が1990年代後半の楽天に内定して働いていた頃は、毎月のように人が増えていて高揚感があった。それが起業家としての原体験にもなっていて、そのころの雰囲気をメルカリでいかに再現するかが指標にもなっている。だから伸び盛りの会社に一度行ってみるのもいいと思う。ただ、やりたいことがもうハッキリしているなら、早くやればいいと思うよ」(山田氏)

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ポケモンの背中にピッタリ―、フリマアプリのメルカリが米App Storeでランキング3位に急浮上

ポケモンGo人気で「日本発」アプリが引き続き注目されるなか、別の日本発アプリが躍進中だ。以前から着々と北米市場進出を狙っていたフリマアプリのメルカリだが、ここ2日ほど急にランキングをあげているようだ。App Annieのデータによれば、以下のように本記事執筆時点(日本時間7月29日午前、アメリカ時間28日午後)で米国向け無償iPhoneアプリ全体の3位に付けている。ポケモンGoの背中にピッタリとくっつき、Instagramを抑えている。ちなみにショッピング部門ではメルカリが1位で、類似の競合サービスで米国で人気のPoshmarkはショッピング部門9位だ。

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直近のメルカリのランキング推移(データはApp Annieによるもので画像はメルカリ提供)。オレンジがショッピング部門、水色が総合部門のランキング。120〜160位にいたのが2日ほどで急上昇しているのが分かる(縦軸は1日単位)

メルカリ創業者でCEOの山田進太郎氏によれば、10位以内にランクインして、まだ24時間程度。日本時間の28日には急浮上して3位に登りつめたようだ。何か特定の施策が奏功したというわけではなく、「普通にバズってる感じですね。一部のフォロワーの多い人たちから火が付いたようです。他にもこれかなという施策もなくもないのですが、まだ精査中」(山田CEO)という。最近実施したいくつかの施策に加えてインフルエンサーが取り上げたことで相乗効果が出ているようだ。

ランキング上位浮上以前には1日3万ほどだったダウンロード数は、現在30万弱と10倍程度になっているという。メルカリの米国でのダウンロード総数はiOS、Android両方で1200万以上。ちなみに、AndroidのPlay Storeでのランキング1位はポケモンGoだが、上位にメルカリは見当たらない。ユーザー層に違いがあるのかもしれない。

日本のスタートアップとしては過去2014年に10月にニュース部門で米国App Storeランキング1位ということあったが、ゲーム以外で総合部門上位ランキングに食い込むのは珍しい。ゲームと違ってネットワーク効果(ユーザーが1人増えるごとに、既存ユーザーにとっての利用価値が上がる効果がある)が効くプラットフォームサービスであることから、ユーザー増はクリティカルだ。いまの上位ランクインが瞬間最大風速のような現象だとしても、普及への弾みとなるだろう。

メルカリは日本向けでは手数料10%を課金している。すでに2015年12月時点で月間数億円規模の黒字を出しているということだったが、まだ米国では課金ははじめていない。メルカリ取締役の小泉文明氏によれば、米国市場での課金開始の議論は続けているものの「まだユーザー獲得のフェーズ」という。また、販売・流通サービスで重要な指標となるGMV(Gross Marchant Volume:取扱高)については「非公開」(小泉氏)としている。

メルカリで自宅発送が可能に、出品者の心理的ハードルを下げる

メルカリが6月20日、自宅から発送できるサービスを開始した。ヤマト運輸との提携で提供する配送サービス「らくらくメルカリ便」の利用者が対象。自宅にいながら出品できるようになったことで、「出品=面倒」という心理的なハードルが下がりそう。

従来の「らくらくメルカリ便」は、ヤマト運輸の営業所かファミリーマートに商品を持ち込む必要があった。今後は出品時に「らくらくメルカリ便」を選択し、配送時にアプリ内で「集荷」を選べば、ヤマト運輸のセールスドライバーが自宅まで商品を取りに来てくれる。

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「らくらくメルカリ便」の「宅急便」と「宅急便コンパクト」が対象。集荷時の料金は、商品持込時の料金と比べて、それぞれ30円高くなる。

サイズ別の料金(カッコ内は持ち込み時の料金)

宅急便コンパクト :410円(380円)

宅急便60サイズ :630円(600円)

宅急便80サイズ :730円(700円)

宅急便100サイズ:930円(900円)

宅急便120サイズ:1030円(1000円)

宅急便160サイズ:1530円(1500円)

「らくらくメルカリ便」は全国均一の料金設定で、ヤマトの通常料金より最大69%オフで利用できるのが特徴。名前や住所を開示せずに匿名で取り引きでき、配送トラブル時にはメルカリが商品代金を全額補償する。

いままでメルカリで1万円以上売り上げた人は177万人ーー。メルカリが6月16日に公開したデータだが、僕もその1人で「らくらくメルカリ便」愛用者でもある。落札後にアプリで生成したQRコードを店頭の端末にかざせば、宛名書き不要、しかもレジ会計不要で発送できるのは、僕にとって「出品=面倒くさい」という印象が大きく変わった。

ただ、唯一不満だったのは、店頭まで商品を持参しなければならなかったこと(重量7〜8kgの漫画全巻セットを運ぶのは、なかなかの重労働だ)。自宅発送が可能になることで、大きな荷物が送りやすくなるし、小さな子どもがいて外出できないという人も、気軽に出品できるようになりそうだ。

エウレカがパパママ社員に優しい新人事制度、英会話全額負担や「pairs婚」手当ても

恋愛マッチングアプリ「pairs」を運営するエウレカが15日、福利厚生プログラム「baniera(バニエラ)」を導入した。これまでも一般的な福利厚生制度はあったが、結婚や出産、育児に関する支援を中心に充実させた。主な内容は以下の通りだ。

バニエラとは、古代ギリシャ語で「お風呂」の意味。アルキメデスが浮力の原理を見つけた場所で、そのとき「エウレカ!(わかったぞ!)」と叫んだと言われている。「エウレカでのひらめき・成長を支える場所」という意を込めて、バニエラと名付けたのだという

バニエラとは、古代ギリシャ語で「お風呂」の意味。アルキメデスが浮力の原理を見つけた場所で、そのとき「エウレカ!(わかったぞ!)」と叫んだと言われている。「エウレカでのひらめき・成長を支える場所」という意を込めて、バニエラと名付けたのだという

・オンライン英会話学習の全額負担
米国とのやり取りがある社員、月間受講日数が15日以上の社員にはレッスン受講料を全額負担する。

・海外カンファレンス参加費用負担
WWDC/Google IO/F8の参加者に飛行機代、ホテル代、カンファレンスチケット代を全額負担する。

・結婚祝い
5万円+上限20万円までの家電をプレゼント。乾燥機付き洗濯機やお掃除ロボットなどで、家事の負担を減らしたいという思いがあるという。

・Happy pairs婚
自社アプリ「pairs」を通じて結婚したメンバーには、結婚祝いに加えて5万円分のギフト券をプレゼントする。

・出産お祝い金
10万円を支給。男性社員には、出産時に家族に寄り添えるように3日間の「出産応援休暇」を付与する。

・育休中1on1/育休中でも会議出席
産休・育休中も月例の上長面談を継続。育休中でも全社会や重要会議に参加できる。どちらも復職を支援することが狙いで、Skypeでの参加も可能。

・banier for ペット
ペットを病院に連れて行く際、年3回の半休を取得可能。ペットが死亡した場合には2日間の休暇を付与する。

エウレカのオフィスでは創業当初から、副社長の西川順さんの愛犬が会社の成長を見守っているそうだ。

エウレカにはCDO(Chief Dog Officer)の「ジョブ」がいる。共同創業者・西川順さんの愛犬で、創業当初から会社の成長を見守っているそうだ。

メガベンチャーの福利厚生のいいとこ取り

エウレカは2008年11月に設立。日本と台湾で400万人が利用するpairs、350万ダウンロード超のカップル向けコミュニケーションアプリ「Couples」を運営する。2015年11月には、MatchやTinderなどのマッチングサービスを世界展開する米IACグループの傘下となった。

新人事制度は従業員が100人に達したことをきっかけに、安心して働ける仕組みを整えた。家族向け制度の内容を考案したのは、まもなく社内で育休取得第1号となる人事総務部の進真穂さん。「メガベンチャーの福利厚生のいいとこ取りをして、私が欲しいものを作りました」と語る。

「エウレカは平均年齢が28歳。出産や育児中の社員は少ないですが、30代で子供を持つ社員も増えましたし、これから必要な人も出てきます。充実した福利厚生があれば、社員が安心して働けるだけでなく、会社としてもアクセルを踏んで事業拡大しやすくなると思います」

バニエラではこのほか、有料セミナー参加費負担や自己負担200円の育児シッター制度、待機児童対策の引越し金援助などがあり、今後も社員の要望に応じて随時充実させる。現在は従業員の健康のために、営業時間中に社内でヨガを実施することを検討している。

スタートアップの福利厚生としては、フリマアプリのメルカリが産休・育休の8カ月間も給与100%を保障する「merci box」が話題になった。大企業に引けをとらないスタートアップの福利厚生は、これからも増えていきそうだ。