ネット動画広告制作の内製化を後押しするリチカが8億円調達、独自の自動生成技術や広告の自動最適化を強化

ネット動画広告制作の内製化を後押しするリチカが8億円調達、制作自動化に向け独自の自動生成技術や広告の自動最適化を強化広告クリエイティブ運用クラウド「リチカ クラウドスタジオ」の開発・運用などを行う広告テック企業リチカは、9月28日、第三者割当増資による約8億円の資金調達の実施を発表した。引受先は、既存株主であるみずほキャピタル、新生企業投資、FFGベンチャービジネスパートナーズ、DIMENSION、マネックスベンチャーズの他、新規株主としてGMO VenturePartners、大和企業投資、博報堂DYベンチャーズ、rooftopが加わった。これにより累積調達額は約10億6000万円になった。調達した資金は、「ネット広告の制作自動化」に向けた、独自の自動生成技術や広告の自動最適化の強化に充てられるという。

リチカ クラウドスタジオは、「導入したその日からネット広告で戦略的なクリエイティブ制作・改善を実現できる」というクラウドサービス。プロレベルの動画広告が簡単に作れるサービスだ。コロナ禍の影響で、広告を内部で制作する企業が増え、ネット広告制作ツールの需要が高まっているという。リチカのシステムは、ベネッセ、カドカワ、セブン銀行など大手を中心とした400社以上に導入され、月間2万本以上の動画広告が作られているとのこと。ネット広告以外にも、渋谷駅前のサイネージやテレビCMにも使われている。

リチカ クラウドスタジオの特徴は、クリエイティブ、テクノロジーなどの専門家集団「リチカ クリエイティブファーム」や独自のマーケティング研究機関「RC総研」を構え、プロレベルの広告用素材や簡単に使える動画制作ツールなどを提供する他、クライアントには専任のコンサルタントが付き、1対1で寄り添いながら、動画制作から広告運用まで総合的な「ワンストップ」でのマーケティング支援をしてくれる点にある。

代表取締役の松尾幸治氏は、デジタル世界でも「定量化できない曖昧なものの価値」を高めたいと話す。伝えにくいものを伝えるテクノロジーを提供するリチカは、それを「作り方の革命であり、届け方の革命」としている。

 

【コラム】物理的セキュリティにおける「IoT」の過去、現在そして未来

Axis Communicationsが1996年のアトランタオリンピックの後に最初のインターネットプロトコル(IP)カメラをリリースしたとき、初期の混乱がある程度存在した。コネクテッドカメラはその当時市場が求めていたものではなく、多くの専門家が必要かどうかを疑問視していた。

もちろん今日では、従来のアナログカメラはほぼ全面的に段階的廃止へと追い込まれており、組織がIoTデバイスのもたらす大きな利点を認識するようになったことを反映している。しかしその技術は、初期の頃は大きなリスクと感じられていた。

それ以来状況が変わったと述べることは、劇的に控えめな表現になるであろう。「モノのインターネット(IoT)」の成長は、物理的セキュリティが進化してきた過程の一端を象徴している。コネクテッドデバイスは標準的なものとなり、録画されるビデオの枠を超えたエキサイティングな新しい可能性を切り開いた。IPカメラの改良や広範な普及といったさらなる進展は、アナリティクスの改善、処理能力の向上、オープンアーキテクチャ技術の成長など、追加的なブレークスルーを後押ししている。IPカメラが最初に発売されてから25周年を迎えた今、この業界がどこまで来たのか、そしてこれからどこに向かうのかを考えてみる価値はあるだろう。

技術の改良がIPカメラ台頭の到来を告げる

現在のIPカメラを1996年に発売されたものと比較するのは、ほとんど滑稽とも言える。当時は確かに革新的だったが、これらの初期のカメラは17秒に1フレームしか処理できなかった。今日のものとはかなりの差がある。

だがこの欠点があった一方で、物理的セキュリティの最先端にいる人々は、IPカメラがどれほど壮大なブレークスルーをもたらすかを理解していた。つまり、カメラのネットワークを構築することでより効果的な遠隔監視が可能になり、この技術を拡張できれば、さらに大規模なシステムを配備して別々のカメラグループを結びつけることが可能になるだろうということだ。初期のアプリケーションとしては、油田、空港の着陸帯、遠隔地の携帯電話基地局の監視などが含まれていただろう。さらに良いことに、この技術は、まったく新しいアナリティクスケイパビリティの世界を開くポテンシャルを有していた。

もちろん、その無限のポテンシャルを現実のものにするには、より優れたチップセットが必要だった。革新的であろうとなかろうと、初期のこの種のカメラの限られたフレームレートでは、従来の監視アプリケーションに広く採用されるほどの有効性は望めなかった。この問題を解決するのに多大なリソース投資を必要としたが、ほどなくこれらのチップセットが改良され、IPカメラは17秒に1フレームから1秒に30フレームの性能を持つようになった。フレームレートの低さはもはやIPカメラを避けてアナログカメラを選ぶ理由にはなり得ず、開発者はこのデバイスのアナリティクスのポテンシャルを探り始めることができるようになった。

おそらく最も重要な技術的飛躍は、組み込みLinuxの導入であろう。これにより、IPカメラは開発者の観点からより実用的なものになった。1990年代は大半のデバイスが独自のオペレーティングシステムを使用していたため、開発に困難をきたしていた。

企業内でさえ、プロプライエタリシステムは開発者が特定の技術について訓練を受ける必要があることを意味しており、時間と費用の両面のコストが企業に生じていた。Wind Riverオペレーティングシステムなど、業界内で標準化が試みられたが、最終的には失敗に終わっている。それらはあまりにも小規模で、その背後には限られたリソースしか置かれてなかった。さらに、より優れたソリューションとしてLinuxがすでに存在していた。

Linuxは広範囲の利点をもたらしたが、その中でも特に大きかったのは、オープンソースコミュニティの他の開発者とのコラボレーションである。これは2つの方向に走る1つの道筋だった。ほとんどのIPカメラにはLinuxを実行するのに必要なハードディスクがなかったため、デバイスがフラッシュメモリチップをハードディスクとして使用できるようにする、JFFSとして知られるハードウェアが開発された。この技術はオープンソース化されており、現在は3世代目だが、今でも広く利用されている。

圧縮技術も同様の課題を呈しており、90年代後半から2000年代前半にかけてのデータ圧縮モデルはビデオにはあまり適していなかった。当時、ビデオストレージでは個々のフレームが1つずつ保存されていたため、データストレージは悪夢のような状況に陥っていた。幸いなことに、H.264圧縮方式がビデオを念頭に置いて設計され、2009年に普及が進んだ。

その年の終わりまでに、IPカメラの90%超と大部分のビデオ管理システムがH.264圧縮方式を使用するようになった。圧縮機能の向上により、メーカーのビデオ解像度も改善された点を注記しておくことが重要である。この新しい圧縮方式が登場するまで、ビデオ解像度は60年代のNTSC/PAL以降変化することはなかった。今日ではほとんどのカメラが高解像度(HD)で録画できるようになっている。

  • 1996年:最初のIPカメラがリリース。
  • 2001年:ビデオモーションを検知するエッジベースのアナリティクスが登場。
  • 2006年:最初のダウンロード可能なエッジベースアナリティクスが利用可能になる。
  • 2009年:フルHDが標準のビデオ解像度に; H.264圧縮が主流になる。
  • 2015年:スマート圧縮がビデオストレージに革命をもたらす。

アナリティクスの成長

アナリティクスは、必ずしも「新しい」技術というわけではない。IPカメラの黎明期にも顧客はさまざまなアナリティクスケイパビリティを求めていた。しかし、この技術は飛躍的な進歩を遂げている。今日の高い基準からすると古めかしく思えるかもしれないが、ビデオモーション検出はIPカメラに搭載された最初期のアナリティクスの1つだった。

顧客が必要としていたのは、特定のパラメータの範囲内で動きを検出して、木が風に揺れたり、リスが通り過ぎることで誤アラームが発生しないようにする方法だった。この種の検出および認識技術のさらなる改良により、物理的セキュリティの多くの側面が自動化され、疑わしいアクティビティが検出された場合にアラートをトリガーし、それが人間の注意喚起につながるようにした。人間の可謬性の問題を解決することで、アナリティクスはビデオ監視をリアクティブツールからプロアクティブなツールへと変化させた。

信頼性の高い動きの検出は、今でも最も広く利用されているアナリティクスの1つである。誤アラームを完全に排除することはできないものの、近代的な改良を経て、潜在的な侵入者を検出する信頼性の高い方法として機能するようになっている。オブジェクト検出も人気が高まっており、自動車、人、動物、その他のオブジェクトを分類する能力の向上が進んでいる。

ナンバープレート認識は多くの国で普及しており(米国ではそれほどでもないが)、犯罪行為に関与する車両を特定するためだけでなく、駐車場での認識のようなシンプルな用途にも利用されている。車のモデル、シャツの色、ナンバープレートの番号といった詳細情報は、人間の目では見逃されたり、認識できなかったりする可能性が高い。しかし、モダンアナリティクスにより、データは容易に参照できるようにカタログ化され、格納される。ディープラーニングのような技術の出現は、ラベリングとカテゴライズの改善によるパターン認識とオブジェクト分類の機能向上を特徴としており、アナリティクスのこの領域におけるさらなる前進を促すだろう。

アナリティクスの台頭は、セキュリティ業界がオープンアーキテクチャ技術を採用した理由を浮き彫りにすることにもつながる。簡単に言えば、単一のメーカーでは顧客が必要とするすべてのアプリケーションに対応することは不可能だということだ。オープンアーキテクチャ技術を使用することで、メーカーは、特定のユースケースに合わせてデバイスを特別に調整することなく、顧客が自身に適したソリューションを追求できる環境を整えることができる。病院は患者の苦痛の兆候を検出する音声分析の追加を検討しているかもしれない。小売店は人数の集計や盗難の検出にフォーカスする可能性がある。法執行機関が発砲の検知に重点を置くことも考えられる。これらのアプリケーションのすべてが同じデバイスモデル内に組み込まれ得るのだ。

新型コロナウイルス(COVID-19)のパンデミックにより、物理的セキュリティデバイスとアナリティクスの両方に興味深い新たな用途が生まれたことにも注目する必要がある。ただし、発熱の測定に対するサーマルカメラの使用など、一部のアプリケーションについては高い精度での実装が難しいことが判明している。医療業界の間ではカメラの使用が大幅に増加したが、こうした精度の問題に変化が生じる可能性は低い。病院は病室内におけるカメラの利点を見出しており、安全な環境を維持しながら、医療専門家が患者をモニタリングし、患者と通信することを可能にするビデオおよびインターコム技術を活用している。

クロスライン検出のようなシンプルなアナリティクスでも、転倒リスクのある患者が指定されたエリアから出ようとする場合のアラートを生成でき、事故や全般的な障害を低減できるポテンシャルがある。このようなアナリティクスが今日ではわずかな言及でしかないという事実は、物理的セキュリティがIPカメラの黎明期からどれほど進んでいるかを浮き彫りにしている。

セキュリティの将来を見据える

つまり、今日のトレンドを検証することで、セキュリティ業界の将来を垣間見ることができる。例えば、ビデオ解像度は確実に向上し続けるだろう。

10年前、ビデオ監視の標準解像度は720p(1メガピクセル)であり、さらにその10年前はアナログNTSC/PAL解像度の572×488、すなわち0.3メガピクセルであった。今日の標準解像度は1080p(2メガピクセル)で、ムーアの法則を定石通りに適用すると、10年後には4K(8メガピクセル)になることが見込まれる。

これまでと同様、高解像度ビデオが生成するストレージの量が制限要因となっているものの、Zipstreamのようなスマートストレージ技術の開発が近年大いに貢献している。高解像度ビデオを可能にするスマートストレージとビデオ圧縮のさらなる改良が期待できるだろう。

サイバーセキュリティはまた、メーカーとエンドユーザーの双方にとって大きな懸念となりつつある。

先頃、スウェーデンの大手小売業者の1社がハッキングのために1週間閉鎖された。他企業も安全性の低いデバイスを使い続ければ同じ運命をたどるだろう。どのようなソフトウェアにもバグが含まれている可能性があるが、これらの潜在的な脆弱性を特定して修正することにコミットする開発者とメーカーだけが信頼できるパートナーと見なされ得る。世界全体にわたって、サイバーセキュリティの改善を義務づける新たな規制が政府により可決される可能性が高くなっている。カリフォルニア州の最近のIoT保護法は、業界が期待し得ることを示す早期の指標となるだろう。

最後に、倫理的な行動がより重要になり続けるだろう。顔認識のような技術が悪用されることなく、どのように使用されることを想定しているかを示すガイドラインを公表し、自社の倫理ポリシーを前景化し始める企業が増えている。

新しい規制が登場する一方で、規制自体は常に遅れをとっている。ポジティブな評価を得たい企業は独自の倫理ガイドラインに準拠する必要がある、ということを特筆すべきであろう。新型コロナウイルス(COVID-19)のパンデミックを受けて、倫理的な配慮を主要な懸念事項として挙げる消費者が増えている。今日の企業は、責任あるプロダクトの使用をどのようにブロードキャストし実施するかについて、強く検討する必要がある。

変化は常にすぐ近くにある

IPカメラが導入されて以降、物理的セキュリティは大きな発展を遂げた。ただし、そこで起こった変化の数々は、顕著ではあるものの、20年を超える年月をかけてもたらされたことを心に留めておくことが重要だ。変化には時間がともない、多くの場合、予想以上に時間がかかる。それでも、現在の業界の状況と25年前の状況を比較するとき、感銘を受けずにはいられない。技術は進化し、エンドユーザーのニーズもシフトしていく。業界の主要プレイヤーでさえ、時代に対応する能力に応じて現れたり消えたりしている。

変化は避けられない。しかし、今日のトレンドを注意深く観察し、それが今日の進化するセキュリティニーズにどのように適合しているかを把握することは、今日の開発者やデバイスメーカーが将来に向けた自らの位置づけを理解することに役立つ。パンデミックは、今日のセキュリティデバイスが、ほんの数年前には誰も予想しなかった方法で付加価値を提供できるという事実を浮き彫りにした。そして、オープンなコミュニケーション、信頼できる顧客サポート、倫理的な行動の重要性をさらに際立たせている。

私たちが将来に向かって進む中で、これらのコアバリューを優先し続ける組織は、最も大きな成功を収める組織の1つとなるであろう。

編集部注:Martin Gren(マーティン・グレン)氏はAxis Communicationsの共同創業者であり起業家、そして最初のネットワークカメラの発明者。

画像クレジット:Erlon Silva/TRI Digital / Getty Images

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(文:Martin Gren、翻訳:Dragonfly)

iPhone 13 Proのカメラに「マクロ」「暗所での撮影」「映画製作向け機能」のアップデート

Apple(アップル)はコンシューマ向けデバイスの写真撮影機能を向上させるという伝統を、米国時間9月14日に発表したiPhone 13とiPhone 13 Proも受け継いでいる。iPhone 13とiPhone 13 Proは、日本では9月17日21時から予約開始、9月24日に発売開始となる。

2020年発売のiPhone 12の背面カメラにはレンズが2つ、iPhone 12 Proには3つあった。これについてはiPhone 13とiPhone 13 Proでも踏襲されている。iPhone 13には広角(f/1.6絞り値)と超広角(f/2.4絞り値)のレンズが搭載され、これはiPhone 12と同じだ。これに対し、iPhone 13 Proはまったく新しいカメラシステムになっている。

関連記事:iPhone 13はバッテリー性能だけでなくはカメラ機能も向上、税込9万8800円から

iPhone 12 Proのメインのレンズの絞り値がf/1.6であったのに対し、iPhone 13 Proではf/1.5となり、明るさが足りない場所でのパフォーマンスが向上している。超広角レンズも同様で、iPhone 12 Proのf/2.4に対してiPhone 13 Proではf/1.8となった。このように絞り値が変更されたことで、バーやコンサート会場といった暗い場所でもこれまでより多くの光を取り込むことができ、画質の向上につながることが期待される。Appleは「超広角カメラは92%多くの光をとらえて」と表現しているが、これは実際にテストしたいところだ。

画像クレジット:Apple

最も注目されるのは、おそらく望遠レンズの向上だろう。絞り値こそiPhone 12 Proのf/2.4からf/2.8に変更されたが、iPhone 12 Proの望遠が52mm相当であったのに対しiPhone 13 Proでは77mm相当だ。このため、画質を犠牲にすることなく遠くのシーンにこれまで以上にズームできる。望遠レンズは、これまで対応していなかったナイトモードにも対応した。

iPhone 13 Proで利用できるマクロモードも発表された。超広角レンズとオートフォーカスシステムの連携で、2cmの距離まで寄れる。ここまで寄るのはプロ向けの、スマートフォンでないカメラでも難しい。ビデオや、さらにはスローモーションビデオもマクロ撮影ができるので、おもしろいオプションとなるだろう。

画像クレジット:Apple

フォトグラフスタイルとシネマティックモードも発表された。両方ともiPhone 13でもiPhone 13 Proでも利用できる。

フォトグラフスタイルは、写真がレンダリングされるとき必要なエリアだけをリアルタイムで編集する機能だ。4つのプリセットから1つを選んで構図を決め、シャッターボタンを押す前に仕上がりを確認できる。もちろんリアルタイムでフィルタをかけて撮る機能は以前からあるが、Appleによればフォトグラフスタイルはもっと先進的なテクノロジーで、機械学習を利用して被写体のスキントーンを損ねることなくインテリジェントに適用できるという。

画像クレジット:Apple

シネマティックモードにより、ビデオを撮影した後で背景のボケ効果を調整したりフォーカスを変えたりすることができる。この機能はどちらかというとプロの映画製作者向けのようだ。映画監督のKathryn Bigelow(キャスリン・ピグロー)氏と撮影監督のGreig Fraizer(グレイグ・フレイザー)氏が撮影しメイキングで語るビデオで、この機能が紹介された。キヤノンやニコンが心配するには及ばない。カメラであることの利点はこれからも常に存在するからだ。これに対して、こちらはスマートフォンのカメラだ。とはいえ、スマートフォンで撮影した映画がアカデミー賞で話題になったことがないわけではない。

iPhone 13の価格は税込9万8800円からで、エントリーレベルのデジタル一眼レフカメラとちゃんとしたレンズよりも高い。望遠レンズやマクロ撮影機能も備えたiPhone 13 Proは税込12万2800円からだ。

画像クレジット:Apple

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(文:Amanda Silberling、翻訳:Kaori Koyama)

ビジネス動画編集クラウドVideo BRAINのオープンエイトが動画活用実態レポートを発表

ビジネス動画編集クラウド「Video BRAIN」のオープンエイトが動画活用実態レポートを発表

プレゼン向けビジネス動画編集クラウド「Video BRAIN」(ビデオブレイン)を運営するオープンエイトは9月13日、テキストと動画だけでは伝わりにくいビジネスコンテンツの調査を行い、動画活用の実態とVideo BRAIN導入による定量成果を発表した。

企業での社内向けや取引先に向けた資料での動画の活用が進んでいるが、動画制作は外注するのではなく「スピーディーな実行の決め手は内製化」とオープンエイトは断言する。同社による調査結果の一部がこのたび公開されたので紹介しよう。

調査概要

  • クロス・マーケティングによるアンケートモニターを使ったインターネット調査(期間は2021年5月7日から5月10日、対象者は一都三県、二府四県、東海三県居住の会社勤務者、サンプル数14272
  • オープンエイト調査(2021年1〜3月期)

テキストと画像だけでは伝わらない内容トップ5は、自社HPやSNSの情報(66%)、自社製品・サービス説明(65%)、採用コンテンツ(62%)、社内向け情報発信(62%)、取引先への提案資料(60%)。

動画制作の目的は、上位からプレゼン資料、商品・サービス紹介、マニュアル、営業資料、広告・キャンペーン、採用・求人、施設紹介、ニュース、IR・PR、CSR、その他。

動画活用を開始した理由は、上位からオンラインでのコミュニケーション増加、静止画や文章での表現の限界、プレゼンの強化、他社の影響、対面で説明する機会の減少、静止画や文章より投資対効果が高い、採用力の強化、メディアやSNSに利用、経営からの指示、チームの提案力強化、社内横断業務で必要。

動画活用と制作を行わない理由トップ3は、予算が採用されていない、見当判断の知見が社内にない、体制が整っていないという(オープンエイト調査)。

マイクロソフトがビデオ制作・編集ソフトウェアのClipchampを買収、Microsoft 365の生産性エクスペリエンス拡大にぴったり

ビデオ編集ソフトウェアが、Microsoft(マイクロソフト)の一連の生産性ツールに加わる次の大きなものになりそうだ。同社は米国9月7日、ウェブベースのビデオ制作・編集ソフトウェアを展開しているClipchamp(クリップチャンプ)を買収すると発表した。Clipchampのソフトウェアでは、ビデオプレゼンテーション、販促、FacebookやInstagram、YouTubeといったソーシャルメディア向けの動画を1つに集約できる。Microsoftによると、家庭、学校、企業で使われるMicrosoft 365の既存の生産性エクスペリエンスを拡大するのにClipchampは「ぴったり」とのことだ。

今回の買収は、いくつかの理由でMicrosoftにとって魅力的なものだった。今日では、プロでない人でも手軽に高度な編集を行ったり、高品質なビデオコンテンツを制作したりできる新しいツールが増えているおかげで、人々はますます動画を制作したり使ったりしている。このため、企業にとって動画はアイデアを発表したり、プロセスを説明したり、あるいはチームメンバーとやり取りしたりするための新種の「書類」としての地位を確立した、とMicrosoftは説明する。

同社はまた、いかに「GPUアクセラレーションを備えたPCの完全なコンピューティングパワーを、ウェブアプリのシンプルさ」と組み合わせているかという点で、Clipchampを興味深い買収対象会社として見ていた、と述べた。この点ではClipchampのソフトウェアはMicrosoftのWindows顧客ベースにうまくフィットする。

Clipchampはビデオ制作・編集分野で数多くのオンラインツールを作り出してきた。そのうちの1つが、トリミングや切り取り、切り出し、回転、スピードコントロール、テキスト挿入、オーディオ、画像、カラー、フィルターなどの機能を提供するビデオメーカーClipchamp Createだ。同社はまた、動画制作をより簡単なものにするテンプレート、無料のビデオ・オーディオライブラリー、スクリーンレコーダー、テキスト読み上げ、その他ブランドのフォントやカラー、ロゴのビデオでの使用をシンプル化するツールを提供している。現在はもうないClipchamp Utilitiesというユーティリティではかつてビデオ圧縮やコンバーター、ブラウザ内ウェブカムレコーダーが提供されていた。しかしこれら機能の一部は新しいClipchampアプリに移された。

Clipchampを使って動画を制作した後は人気のソーシャルメディアネットワーク向けにさまざまな出力スタイルやアスペクト比を選ぶことができるため、オンラインマーケッターにとって人気のツールとなっている。

画像クレジット:Clipchamp

2013年の創業以来、Clipchampは1700万人超のユーザーをひきつけ、39万社にサービスを提供し、前年比54%増というペースで成長してきた。パンデミックによって多くの組織がリモートワークを採用し、企業がトレーニングやコミュニケーション、レポートなどの手段としてビデオを活用するようになったのにともない、動画の使用は増加した。2021年上半期にClipchampのビデオエクスポートは186%増えた。アスペクト比16:9の動画は189%増、Instagram StoriesやTikTokなどでのシェア向けのアスペクト比9:16の動画は140%増だった。Instagram向けのアスペクト比1:1は72%増えた。スクリーン録画も57%増え、ウェブカム録画は65%増だった。

2021年7月にClipchampのCEOであるAlexander Dreiling(アレクサンダー・ドライリング)氏はこの成長についてコメントし、同社が2020年チームの規模を3倍に拡大したと述べた。

「当社は1年前に比べて平均2倍超のユーザーを獲得しています。その一方で使用頻度も2倍となっていて、これはより多くのユーザーがビデオコンテンツをこれまでになく制作していることを意味します。ソーシャルメディアビデオは常にビジネスニーズの最前線にありましたが、2020年は当社のプラットフォームで多くのスクリーンウェブカム録画が行われ、内部コミュニケーションのユースケースの急速な広がりを目のあたりにしました」とドライリング氏は話した。

Microsoftは買収額は開示しなかったが、CrunchbaseによるとClipchampはこれまでに1500万ドル(約16億5000万円)の資金を調達している。

Microsoftがビデオマーケットに足を踏み入れるのは今回が初めてではない。

トランプ氏が国家安全保障の脅威と呼んだ中国企業所有のビデオソーシャルネットワークTikTok(ティクトック)の売却を強制しようとしていたとき、MicrosoftはTikTok買収を検討した企業の1社だった(TikTokの運営を米国内で続けるためにByteDanceはTikTokの米国事業を売却する必要があった。しかしバイデン政権がその動きを棚上げし、売却は実現することはなかった)。数年前、MicrosoftはStreamというビジネスビデオサービスを立ち上げた。これは消費者がYouTubeを使うような手軽さで企業が動画を使えるようにすることを目指していた。2018年に同社は、コラボのために短いビデオクリップを使うソーシャル学習プラットフォームのFlipgridを買収した。リモートワークが当たり前になるにつれ、MicrosoftはチームコラボレーションソフトウェアMicrosoft Teamsにさらに多くのビデオ機能を追加してきた。

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Adobeがビデオ・クリエイティブの雄Frame.ioを1400億円超の巨額で買収

MicrosoftのClipchamp買収は、Adobeの12億8000万ドル(約1410億円)でのビデオレビュー・コラボレーションプラットフォームFrame.io買収に続くものだ。Frame.ioは2014年の創業以来、100万人超に使用されてきた。しかし仕事、学校、あるいは家庭で誰でも使うことを想定しているClipchampのツールと異なり、Frame.ioはどちらかというとクリエイティブなプロをターゲットとしている。

ドライリング氏は、Clipchampが多くの人にとってビデオ編集をアクセスしやすいものにすることに注力し、今後もMicrosoftで成長を続けると述べた。

「Microsoftほどレガシーを持つテック企業はそうありません。我々はみな、アイコン的なMicrosoftのプロダクトで育ち、以来ずっとそのプロダクトを使っています」とドライリング氏は説明する。「Microsoftの一部になることで我々は未来のレガシーの一部になります。我々の前途がこれほどエキサイティングなものになる他のシナリオは考えられません。機会に事欠くことはなく、ビデオ分野には絶対的にチャンスがいくらでもあるとClipchampは常に言ってきました。いかにそのチャンスをつかむか、答えを見つけ出す必要があるだけです。Microsoft内で我々は完全に新しい方法でチャンスをつかみにいくことができます」とドライリング氏は付け加えた。

いつClipchampを既存のソフトウェアに統合する予定なのかMicrosoftは明らかにせず、今後詳細を明らかにすると述べるにとどまった。

画像クレジット:Clipchamp

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(文:Sarah Perez、翻訳:Nariko Mizoguchi

ScientistPageがインド工科大学スタートアップ部門に資金調達ピッチ動画プラットフォーム「GoToPitch」のサービスを提供

ScientistPageがインド工科大学スタートアップ部門に資金調達ピッチ動画プラットフォーム「GoToPitch」のサービスを無償提供

資金調達のためのピッチ動画を撮影し、スタートアップと投資家とのマッチングを行う動画プラットフォーム「GoToPitch」を運営するScientistPage(サイエンティストペイジ)は9月1日、インド工科大学カラグプル校スタートアップ部門とパートナーシップを提携し、「GoToPitch」のサービスを提供すると発表した。

このパートナーシップによりScientistPageは、インド工科大学カラグプル校スタートアップ部門が開催するビジネスコンテスト「Global Business Model Competition – Empresario 2021-22」に参加するスタートアップ企業に対して、GoToPitchのサービスを提供する。同校在校生、卒業生の起業家は、今後1年間GoToPtichを無料で利用できるようになるという。

スタートアップが資金調達を行う際には、投資家との面談の数だけ資料を用意し、アポイントメントをとり、それぞれの投資家の前でピッチを行う必要があり、その膨大な労力が本業を圧迫しかねない。GoToPitchなら、簡単に編集できるピッチ動画を投稿しておけば、世界中の投資家が見てくれるので個別にピッチを行う手間が大幅に省けるということだ。

カラグプル校の他にも、ScientistPageはデリー校、バラナシ校、ダンバード校、ハイデラバード校のスタートアップ部門、さらにアフリカのナミビアスタートアップNPOとも提携している。日本においても、国内のみならず海外の投資家にアピールできるサービスとして利用されており、これにより「世界の起業家と投資家のリレーション構築を実現していきます」と同社は話している。

インド工科大学は、GoogleのCEOサンダー・ピチャイ氏などを輩出した名門大学。ScientistPageの創業者でCEOのシャシャンク ティヤギ氏も、研究者として在籍していたことがある。

Adobeがビデオ・クリエイティブの雄Frame.ioを1400億円超の巨額で買収

米国時間8月19日、AdobeはFrame.ioをキャッシュ12億7500万ドル(約1400億円)で買収したことを発表した。ビデオレビューとコラボレーションを中心とする同プラットフォームは、現在100万以上のユーザーが利用している。

2014年に、ポストプロダクション企業のオーナーEmery Wells(エメリー・ウェルズ)氏と技術者のJohn Traver(ジョン・トラバー)氏がニューヨークで創業したFrame.ioは、駆け出しの映画作家が直面するワークフローの問題を解決することを目的としている。

今やFrame.ioのプラットフォームは、プロのクリエイターたちをサポートし、ビデオの制作過程を合理化、ラッシュや台本、ストーリーボードなどのメディア資産を集中管理したり、フレーム単位のフィードバックやコメント、注釈、リアルタイムの承認などを受け入れる。また同社は、VimeoやBox、Dropboxなどの他社よりもアップロードが速いことが自慢だ。

Frame.ioはこれまで9000万ドル(約98億9000万円)のベンチャー資金を調達し、2019年の11月にはInsight Partnersがリードする5000万ドル(約54億9000万円)のシリーズCを発表している。これには、Accel、FirstMark、SignalFire、そしてShasta Venturesが参加した。2015年に同社のシードとシリーズAのラウンドをリードしたのはAccelだった。

Adobeによると、Frame.ioはPremiere Proやビデオ編集のAfter Effectsなどのようなクリエイティブのソフトウェアと、レビューや承認などの機能性が組み合わさって、ビデオ編集の工程を動かすコラボレーションプラットフォームを作り出す。Frame.ioのウェブプラットフォームは、それが顧客の既存の工程の一部になれるように設計されており、たとえばAdobe Premiere Proのようなノンリニア編集システムの統合もできる。そういう統合があるために編集者はFrame.ioに直接アップロードでき、プロダクトを内部的にも、あるいは外部顧客と共同でも編成したり共有ができる。

Adobeは今日の声明で次のように述べている。「最新の娯楽作品のストリーミングであれ、あるいは運動に点火するソーシャルメディアであれ、また何千人ものリモートワーカーを結びつける企業のビデオであれ、今やビデオの創造と消費はとてつもない成長を経験しています。しかし今日のビデオのワークフローは複数のツールと、ステークホルダーのフィードバックを誘うために使われている複数のコミュニケーションチャネルによって分断されています。Frame.ioは映像のリアルタイムのアップロードとアクセス、そして全作業面にわたる安全でエレガントな体験としてのステークホルダーのインラインコラボレーションを可能にして、ビデオのワークフローの非効率を排除します」。

今回の買収はAdobeの2021会計年度の第4四半期中に完了すると予想され、その過程には規制当局からの承認や慣例的な完了条件が含まれる。完了後にウェルズ氏とトラバー氏はAdobeに加わる。ウェルズ氏はFrame.ioのチームの統轄を続け、Adobeのプロダクト担当最高責任者(CPO)でCreative Cloudの執行副社長でもあるScott Belsky(スコット・ベルスキー)氏が直接の上司となる。

ForresterのシニアアナリストであるNick Barber(ニック・バーバー)氏は、ビデオは人間の感情にインパクトを与える最強のメディアであり、今後ますます多くの企業がビデオを利用していくと考えている。

バーバー氏によると「Frame.ioがAdobeの傘下に入ったことによって、同僚たちと一緒に行うビデオ編集が、まるでGoogleドキュメント上のコラボレーションのようになるだろう。この買収よってAdobeはクリエイティブの工程の一段高いところに属することになるが、そんなAdobeにとってこの買収における最大のチャレンジは、大型のプロダクションハウスではなくて、ためらいや予算制限のあるブランドにこの買収の成果を積極的に採用してもらうことだ」という。

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画像クレジット:Frame.io

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(文:Mary Ann Azevedo、翻訳:Hiroshi Iwatani)

起業家と投資家が自分の時間の都合に合わせてつながれる非同期ピッチ動画プラットフォーム「GoToPitch」がリリース

起業家と投資家が自分の時間の都合に合わせてつながれる非同期ピッチ動画プラットフォーム「GoToPitch」をScientistPageがリリース

「アカデミックの隠れた情報を可視化する」研究成果専門の動画プラットフォーム「ScientistPage」(サイエンティストペイジ)を展開するScientistPageは6月24日、スタートアップの投資活性化を目指したピッチ動画プラットフォーム「GoToPitch」(ゴートゥーピッチ)のリリースを発表した。

同サービスは、ピッチ動画の作成と録画機能にマッチング機能を組み合わせたもの。登録制のクローズド動画プラットフォームで、全世界の起業家と投資家を対象にしている。大きな特徴は次の3つ。

動画で伝える
スタートアップが投資家に初めて連絡する際は、テキストと添付資料を送るのが一般的だが、動画をメインに使うことで「起業家のリアルな声や表情を通して、テキストだけでは伝わりきらない人柄や熱量をそのまま伝える」ことができる。

ピッチ動画に特化した独自の録画機能
余計なものや音が入り込まないよう、決められたフォーマットで「起業家本人とピッチ資料のみを同時に映しながら、自身の声と合わせて簡単に録画」できるため、録画後の編集の手間も省ける。

マッチング機能
起業家はピッチ動画を公開し、目指す投資家にアポイント申請を行える。投資家は、スタートアップのピッチ動画を検索・視聴し、気になったスタートアップに個別にメッセージを出せる。

スタートアップが資金調達を行うには、多くの投資家と面談する必要があり、その都度、時間調整・アポイントメント・資料の提示、そしてピッチを各投資家の前で行わなければならなず、その時間と労力は本業を圧迫しかねない。GoToPitchを使えば時間的・金銭的コストを大幅に効率化でき、投資家も投資先を探し回る労力を削減できるとしている。

ScientistPageは、大学などの研究機関にも積極的に展開し、大学発スタートアップを支援したいと話している。

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NTTSportictがアマチュアスポーツの自動撮影・自動配信が可能な「Stadium Tube Lite」を発表

NTTSportictがアマチュアスポーツの自動撮影・自動配信が可能な「Stadium Tube Lite」を発表

「あなたの頑張る姿を、あなたの誰かに届ける」をミッションとするNTTSportict(エヌティーティー・スポルティクト)は6月16日、アマチュアスポーツの自動撮影と自動配信を行うAIソリューション「Stadium Tube Lite」(スタジアム・チューブ・ライト)を7月16日より提供開始すると発表した。

NTTSportictは、ローカルスポーツの映像化・事業化を目指して、NTT西日本と朝日放送グループホールディングスの共同出資により2020年に設立された企業。先に「Stadium Tube Pro」(スタジアム・チューブ・プロ)をリリースしており、一部体育館や競技場において、特に新型コロナ禍での無観客試合の中継などに活用されている。

「Lite」は、イスラエルのAIカメラメーカー「Pixellot」(ピクセロット)と、メディア向けソフトウェアソリューションを提供する米国「Twizted design」(トゥイステッド・デザイン)との包括契約によって共同開発された。「Pro」の廉価版であり、「世界トップクラスのスポーツチームで使われるAIアルゴリズム」により、誰にでもスポーツ試合の映像化、録画配信の事業化などが行える。試合中継のみならず、アマチュアスポーツや学校スポーツの資金不足やDXの遅れで滞っている、練習やチーム強化に関する映像・データ活用、オンライン化にも貢献する。対応するスポーツは、サッカー、バスケットボール、野球、バレーボール、フットサル、アイスホッケー、ビーチバレーボールの7種目。

利用料金は月額2万9678円(税込)。7月16日より提供開始予定。6月16日から事前予約を受け付けている。200台限定で最大3カ月間月額料金無料キャンペーンも実施される。

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ストックフォト大手Getty ImagesがソーシャルビデオテンプレートツールPromo.comに17.5億円投資

ソーシャルビデオツールのPromo.comが米国時間5月25日、シリーズBで1600万ドル(約17億5000万円)を調達した。ラウンドをリードしたのは、ストックフォトで知られているGetty Imagesだ。

ブランドやクリエイターなどが簡単迅速に特定のビデオが必要なときには、Promo.comで探せる。それは、写真をストックフォトサービスで探すときと同じだ。Gettyにもストックビデオがあるが、Promo.comはビデオクリップと、プロでなくても使える簡単なビデオ編集ツールの両方を提供している。

ブランドはPromo.comのライブラリでプロが作ったビデオクリップを選び、それにメッセージやロゴや独自の音声を追加する。そうやってカスタマイズしたビデオをダウンロードしたら、後はソーシャルのチャネルにポストするだけだ。

 

イスラエル最大の銀行の1つであるMizrahi-Tefahot Bankが、このシリーズBのラウンドに投資ではなく融資で参加している。Promo.comとGetty Imagesの間にはかねてから戦略的パートナーシップがあり、今回の投資でその仲はさらに深まり、PromoがGettyの膨大な量のビデオクリップの集積にアクセスすることになるだろう。

画像クレジット:Promo.com(スクリーンショット)

もちろん、ビデオサービスといえばPromo.comだけではない。2020年12月に700万ドル(約7億6000万円)を調達したBiteableは、企業がテンプレートを使って、ソーシャルにポストするための短編ビデオを作ることができる。合理化の行き届いたグラフィックデザインのプラットフォームであるCanvaも、独自のライブラリを使うストック映像のビデオエディティングをサポートしている。

ビデオのテンプレートは、VimeoもVimeo Createというサービスで提供している。それは、同社が買収したAI利用のビデオエディターMagistoから育ったサービスだ。

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カテゴリー:ネットサービス
タグ:Getty ImagesPromo.com投資動画

画像クレジット:Noah Seelam/Getty Images

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(文:Taylor Hatmaker、翻訳:Hiroshi Iwatani)

中国ByteDanceの動画編集アプリ「CapCut」が米App Storeランキング1位に

​CapCutのスクリーンショット

中国のアプリが、西洋諸国のGoogle PlayとApp Storeのランキングでトップに輝くのをときどき目にする。それはセルフィー画像加工やカジュアルなビデオゲームなど、世界にアピールしローカライゼーションの手間をそれほど伴わないユーティリティツールだったりする。しかし大半は取るに足らないものでありがちだ。

海外のチャートのトップに躍り出た最新の中国アプリはTikTokの運営会社ByteDance(バイトダンス)からのものだ。CapCutというビデオ編集アプリではユーザーはスティッカー、フィルター、エフェクトを加えられるだけでなく、Ken Burnsエフェクトのように作用するズーム機能の使いやすいグリーンスクリーンファンクション、その他にも多くの機能を搭載している。そのためいつでもアクセスできるFinal Cutのようなアプリになっている。

ユーザーは使用する音楽の代金を心配する必要はない。CapCutはライセンスを取得しているサウンドクリップのライブラリーを備えていて、ユーザーはコンテンツをおもしろくするのにそれらを使うことができる。TikTokは2020年ミュージシャンをスカウトしたり大手レーベルと契約を結んだりといった取り組みを通じて音楽ライブラリーの拡充を図ってきた。

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ByteDanceは最初にサービスを無料提供することでかなりのユーザーベースをひきつけ、そしてユーザーがプロダクトを頻繁に使用するようになった後に収益化モデルを模索するという手法に熟達している。CapCutでも同じアプローチを取っているようだ。

CapCutの中国における姉妹アプリJianyingはDouyin(TikTokの中国版)ユーザーの間ですでに成功している。そして現在、そのパターンが中国外で繰り返されている。TikTokユーザーは、何回かスマホをタップするだけでビデオをスムーズでプロの作品のようなものにすることができるCapCutを利用している。

調査会社SensorTowerによると、CapCutは米国時間5月21日以来、米国のApp Store無料アプリランキング第1位で、米国Google Playでは記事執筆時点で第9位だApp Annieによると、世界33カ国で無料iOSアプリランキング第1位となっている。

CapCutはApp StoreとGoogle Play合わせて世界で計2億5000万回超インストールされ、うち950万回近くが米国のアプリストアでのものだとSensorTowerは指摘する。

CapCutの人気ぶりは中国の写真編集アプリ「Meitu」を彷彿とさせる。Meituは中国ではセルフィー画像加工と同義語になったくらい人気で、しっかりとした忠実な国外ユーザーのベースも持っていた。CapCutとMeituの違いは、CapCutの人気が姉妹アプリTikTokのグローバルな優位性の上に築かれているのに対し、ユーザーの使用頻度を増やすための写真ツールソーシャルネットワークを展開しようというMeituの初期の試みは実現することはなかった。

CapCutはおそらく、クチコミで人気となるByteDanceの最後のアプリではない。TikTokの広大なコンテンツ帝国はビデオ編集、あるいはクリエイターが収益を上げるため、そしてユーザーがお気に入りのインフルエンサーおすすめのプロダクトを購入するeコマースサービスなど、さらに派生していくだろう。

カテゴリー:ソフトウェア
タグ:ByteDanceTikTok動画編集App Storeアプリ

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(文:Rita Liao、翻訳:Nariko Mizoguchi

動画クリエイター向けAI作曲サービスSOUNDRAW、楽曲を「選ぶ」のではなく誰もが「作る」時代へ

SOUNDRAWの作曲家による作業風景

動画コンテンツはスマホ1つでいつでもどこでも楽しめるようになり、近年急速に普及している。YouTubeなどの動画サイトや各種SNSで目にしない日はないのではないだろうか。そしてほとんどの動画コンテンツでは楽曲がBGMとして使われている。

現状、動画クリエイターはストックBGM素材サービスから楽曲を探し、動画に合うかを1曲ずつ確認していかなければならない。「動画に合う楽曲を探すのはとても時間が掛かり大変」との声が多いという。

2020年2月に設立したスタートアップのSOUNDRAW(サウンドロー)は従来の「楽曲に合わせて動画を完成させる」といった手順を根本から変える。同社が提供する動画クリエイター向けAI作曲サービスSOUNDRAWは、独自開発したAI技術やアルゴリズムによって楽曲を自動生成し、その楽曲をユーザーが編集して商用利用もできるようにした。

動画クリエイターは動画に合わせて楽曲を「選ぶ」のではなく、SOUNDRAW上で「テーマ」や「ジャンル」などを選ぶことで、曲を作れるようになるのだ。SOUNDRAWの楠太吾代表は「これまで作曲家という特殊能力を持つ人しかできなかった『作曲』を、誰もができるように一般化していきます」と語る。

動画クリエイターなどからの反応も上々だ。2020年6月にベータ版、9月に製品版をリリースし、2021年4月時点ですでにアカウント登録者数は2万人を超えているという。

数多の楽曲から思い通りに編集も可能

自動生成された楽曲を自分好みに編集可能

SOUNDRAWの使い方はシンプルだ。ライフスタイルやビジネスなどの「テーマ」、ヒップホップやアコースティックなどの「ジャンル」といったカテゴリーを選ぶだけで、15個の楽曲が自動生成される。

ユーザーは選んだ楽曲の長さや構成、テンポ、音程などを動画に合うようにカスタムできる。演奏楽器も変更できる上、メロディやドラムといった特定の音を抜くことも可能だ。楠氏は「どんな構成でも、動画に合わせて自由に編集できます」という。

楽曲をダウンロードしたら企業PR動画やCM動画、YouTubeに投稿する動画、ゲームなどに、ロイヤリティフリーで使うことができる。著作権はSOUNDRAWに帰属しており、使用ライセンスをユーザーに付与しているかたちだ。このため楽曲の転売などは禁止している。

SOUNDRAWの会員登録は無料で、月間プランは月額税込1990円、年間プランは年額税込1万9900円。両プランともにAIによる作曲回数無制限、楽曲のダウンロード無制限となる。無料会員は作曲回数無制限と楽曲をキープする機能が使える。SOUNDRAWは今のところPCのみで利用可能だ。

また、SOUNDRAWでは動画編集ソフトAdobeのPremiere Pro、After Effectsのプラグインも開発し、有料会員に無料で提供している。SOUNDRAWはブラウザ版でも使えるが、プラグイン版はより効率よく作業できるようになる。なお、ブラウザ版はSafariでも使えるが、Chromeでの利用を推奨している。

楠氏は「プラグイン版は動画と楽曲を同時に編集できる点が大きなメリットです。楽曲をダウンロードすれば、動画編集ソフト内にインポートされます。そのデータを動画のタイムライン上にもっていくだけで、簡単に音楽と映像を合わせることもできます」と説明した。

楽曲データ量産AI

AI作曲によって自動生成される楽曲の組み合わせは理論上、数億もの数に上るという。「数えるのは途中でやめました」と楠氏は笑顔で話すが、開発に至るまでの2年間はテストをしては壊してを繰り返すなど苦労を重ねてきた。初めは鍵盤をランダムに叩いているだけといったフレーズが生まれてきたという。

楠氏はインプットするデータの質には特にこだわって独自開発を進めた。SOUNDRAWには作曲家が2人おり、インプット用のデータを実際に制作して貯めてきたでは「Melody」「Backing」「Bass」「Drum」と、楽曲を4つの要素に分解し、それぞれAIで生成したフレーズを組み合わせて楽曲を生み出す。

どのような基準で楽曲を作り上げているのか気になるが「あまり詳しくは言えません。ただ、いわゆるヒットソングを学習させているわけではありません」と楠氏はいう。楠氏はSOUNDRAWにおける質の高い楽曲には、独自に作り上げた学習モデルなどが大きく関わっているとの説明にとどめた。

楽曲数の追加と海外進出を

右から3番目がSOUNDRAWの楠太吾代表

SOUNDRAWは数億に上る楽曲の組み合わせを有しているものの、楠氏は「人間の耳で聴くと『どこか似ているな』といったものはどうしても出てきます」と話した。SOUNDRAWは2021年3月1日に3500万円の資金調達を実施し、累計調達額は1億円を超えた。今後は資金調達を元に楽曲数の追加などに力を入れる考えだ。

楠氏は「楽器1つとっても、ピアノならオルガンやエレクトリックといった音色・フレーズの幅などを増やしていくことで、将来的には『聞いたことがある』という状況を回避できるはずです。今は外部人材も加えてチームを作って取り組んでいる最中です」と語った。

また、SOUNDRAWは海外市場への進出も視野に入れている。「これまでは国内を中心にアプローチしていましたが、音楽は非言語であり、デジタルで提供できるため、国境を越えやすい。SOUNDRAWが持つカスタム性やクオリティが高いAI作曲ツールは、海外でもまだ多くはありません。SOUNDRAWは世界で戦うレベルに達していると思っています」と楠氏は意気込む。

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カテゴリー:人工知能・AI
タグ:SOUNDRAW音楽日本動画編集

画像クレジット:SOUNDRAW

開発者向け動画プラットフォーム「Mux」が約115億円調達しユニコーンに

わずか8カ月ほど前に3700万ドル(約40億4000万円)の調達ラウンドを完了したビデオAPIのMuxが、さらに1億500万ドル(約114億8000万円)を獲得した。

そのシリーズDはCoatueがリードしたが、そのとき同社の評価額は10億ドル(約1093億円)を超えていたと思われる(Muxは金額を非公開)。既存の投資家であるAccelやAndreessen Horowitz、そしてCobaltも参加し、また新たな投資家としてDragoneerが加わった。

共同創業者でCEOのJon Dahl(ジョン・ダール)氏によると、同社はさらに多くの財源を必要としていたわけではないが、会社の上部と引き続き縁のあったCoatueとその他の投資家たちにその気があり、結局彼らが「ビデオの転換期」においてより迅速な成長を支援するにはさらなる投資が必要、と決めてしまった。

a16zの共同創業者Marc Andreessen(マーク・アンドリーセン)が流行らせた言葉を借りてダール氏は「10年前にソフトウェアが世界を食べていたのと同じように今は、ビデオがソフトウェアを食べている」と述べたた。つまり、それまではデスクやソファーの上で視るものであった動画が、今や至るところにあり、ソーシャルメディアのフィードをスクロールしても、Pelotonでエクササイズをしても必ず動画がある。

「現在は今後5年か10年かかる大きな移行期の最初期です。その間にビデオはあらゆるソフトウェアプロジェクトのメインのパーツになっていきます」とダール氏はいう。

ダール氏によるとMuxはこの移行期によくなじんでいる。なぜなら同社は「ソフトウェアの開発者のためのビデオプラットフォーム」であり、API中心のアプローチによりビデオを迅速にリリースでき、視聴者から見てストリーミングの信頼性も高い。同社の最初のプロダクトはMux Dataと呼ばれるモニタリングとアナリティクスのツールであり、その次がストリーミングビデオのプロダクトMux Videoだった。

ダール氏はこう説明する。「動画プラットフォームを作ってそれをデータファーストで運用したければ、大量のデータとモニタリングとアナリティクスが必要です。私たちはまず最初にデータのレイヤーを作り、次にストリーミングのプラットフォームを作りました」。

同社の顧客にはRobinhoodやPBS、ViacomCBS、Equinox Media、VSCOなどがいる。ダール氏によると、創業した2015年からMuxはデジタルメディア企業の仕事もしているが「メインの市場はソフトウェアだ」と話していた。その頃、動画はほとんどニッチであり「ESPNやNetflixのような企業にしか必要ないもの」だった。しかし2年前からは「動画がコミュニケーションを支える重要な部分」になり「すべてのソフトウェア企業が動画をプロダクトの主役」と考えるようになった。

Muxの創業者たち、Adam Brown(アダム・ブラウン)氏、Steven Heffernan(スティーブン・ヘファーナン)氏、Matt McClure(マット・マクルーア)氏、そしてジョン・ダール氏(画像クレジット:Mux)

当然ながらパンデミックの間、需要が急増した。この1年でMuxのプラットフォームを利用するオンデマンドのストリーミングは300%成長し、ライブのストリーミングは3700%成長、そして売上は4倍に増えた。

「大量の仕事です。2020年の大半は、顧客の急増と会社の規模拡大とプラットフォームへの投資に追われていていました」とダール氏は笑顔でいう。

今回のシリーズDで調達総額が1億7500万ドル(約191億3000万円)になるMuxは、投資をさらに続けるつもりだ。たとえばダール氏の計画ではチームを今の80名から200名に大きくし、買収も検討することになるという。

CoatueのゼネラルパートナーであるDavid Schneider(デビッド・シュナイダー)氏は、声明でこう述べている。「Muxが開発者のコミュニティに的を絞っていることはすばらしい。そして私たちの目に強い印象を残す顧客の維持拡大の様子は、同社のソリューションが強力な価値を提供していることを表しています。この投資でMuxは同社の顧客中心のプラットフォームの構築を継続でき、そして私たちは、ハイブリッドな未来への道を先導するMuxのパートナーであることを誇りとするものです」。

カテゴリー:ソフトウェア
タグ:Mux資金調達ユニコーン動画制作API

画像クレジット:valentinrussanov/Getty Images

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(文:Anthony Ha、翻訳:Hiroshi Iwatani)