シャオミの第2四半期売上高は3.1%増、新型コロナでインドでのスマホ生産減の影響も

中国スマホメーカーであるXiaomi(シャオミ)の2020年4〜6月期の売上高は昨年同期比3.1%増の77億7000万ドル(約8235億円)だった。海外マーケットの大半で復調し、前四半期比では7.7%増だった。

今週新たなCFOに前クレディ・スイスAPACシニアエグゼクティブのAlain Lam(アライン・ラム)氏を指名した同社は、第2四半期の利益が6億5000万ドル(約688億円)で前年同期比129.8%、前四半期比108%となったと明らかにした。

同社の売上高の大半を占めるスマートフォンの販売はほとんどの海外マーケットで回復がみられた。「インドを除くマーケットでの1日あたりのスマホアクティベーション平均数は2020年1月に記録したパンデミック前の水準の120%に達した」とも述べた。

ただ、中国外で最大のマーケットであるインドでは状況は異なる。インド政府は3月下旬に全土ロックダウンを発令し、その結果、国中のほとんどの店が閉鎖された。オンラインで注文された「必要不可欠でない」アイテムの小包配達もまた数週間制限された(未訳記事)。

シャオミは過去12四半期でインドでスマホ販売台数トップだ。インドがロックダウンを緩和(未訳記事)して数カ月がたつが、それでも1日あたりのスマホアクティベーション数は「先月の時点で、2020年1月に比べて72%だった」と同社は決算会見で述べた。

主な原因はインド国内での生産にあるとし、「生産能力がまだ標準レベルに戻っていないため、販売は生産減の影響を受けている」と説明した。

同社は欧州に希望の光を見出した。調査会社Canalys(カナリス)によると、2020年第2四半期に欧州におけるシャオミのスマホ出荷台数は前年同期比で64.9%増え、マーケットシェアは16.8%になった。

西欧では同社のスマホ出荷台数は前年同期比115.9%で、マーケットシェアは12.4%だった。そしてスペインでは出荷台数トップとなり、フランスでは第2位、ドイツとイタリアでは第4位だった。

シャオミは、販売価格が300ユーロ(約3万8000円)超のプレミアムスマホの出荷が国際マーケットで99.2%伸びたと話した。「中〜高価格のスマホの割合が増えたことで、スマホの平均販売価格が前年同期から11.8%増え、前四半期に比べても7.5%増となった」と付け加えた。

広告事業の成長にも力を入れいてるシャオミは、同社のモバイル端末向けファームウェアMIUIのユーザーが6月30日時点で3億4350万人で、前年に比べ23.3%増えたと述べた。MIUIは同社が展開しているスマホの大半で駆動する独自のAndroidオペレーティングシステムだ。もちろん同社は、純正Androidバージョンのスマホもいくつか展開している。

同社のスマホの使用ベースが増えるにつれ、広告の売上高も伸びている。第2四半期の広告売上高は前年同期比23.2%増の4億5000万ドル(約477億円)だった。

画像クレジット: Budrul Chukrut / SOPA Images / LightRocket / Getty Images

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ウォルマートの第2四半期eコマース売上は97%増、新型コロナによる消費行動変容が寄与

Walmart(ウォルマート)のeコマースへの投資は利益をもたらし続けている。eコマースはオンラインを通した食料品の配達とピックアップを含む。ウォルマートは8月18日午前の第2四半期決算発表で、米国のeコマース売上が97%増加したと発表した。新型コロナウイルスの感染拡大の間にオンラインで買い物をする顧客が増えた。家庭用品を買いだめしたり、オンラインで食料品を購入したりしているのだ。

現在ウォルマートは、3450店で食料品のピックアップ、2730店で即日配送のサービスを提供している。2月以降、消費者の需要を満たすため利用可能時間帯を30%拡大した。

全体としては、同四半期に米国の消費者が受け取った政府の景気刺激策としての給付金の影響が同社にとってプラスに働いた。刺激策による給付が終わると、売上高は元に戻り始めた。それでも同社の7月の売上高は前年同月比4%以上増加だと同社は述べた。

ウォルマートのオンラインマーケットプレイスもeコマース全般の売上増加に押し上げられ、売上高がパーセンテージで3桁増加した。

さらに、第2四半期の米国の既存店売上高は9.3%増加した。食料品と雑貨が伸びた。ウォルマートのDoug McMillon(ダグ・マクミロン)社長兼CEOは、テレビ、コンピューティングデバイス、コネクテッドホームなどのカテゴリーの売り上げが好調だったと指摘した。いずれも人々が在宅を余儀なくされたパンデミックに関わりのある商品だ。また、新型コロナウイルスの感染が拡大している地域の消費者は、いまだに品切れであることが多い清掃用洗剤などの買いだめを続けていると述べた。同四半期の消耗品売上は、清掃用洗剤と紙製品(トイレットペーパーやペーパータオルなど)が牽引した。

一方、食料品全体の購買増加はパンデミックの影響によるところもあり、オンラインにより食料品の買い物がしやすくなったことだけが理由ではないと思われる。レストランでの食事の代わりに家で食事を作る人が増えるにつれ、食料品の購入も増えた。ウォルマートは、同四半期の食料品の配達とピックアップの両方で「史上最高の販売量」を記録したと述べた。

パンデミックは消費者の買い物の仕方も変えたと同社は指摘する。消費者は定期的に店に買い物に行くのではなく、頻度を減らし1回の買い物でたくさん買うようになった。eコマースへのシフトも加わり、同四半期の買い物1回あたりの購入額は前年同期比27%増加し、買い物の回数は同14%減少した。

すでに報じられているがマクミロン氏は決算発表の電話で、メンバーシップサービスを導入する計画を簡単に説明した(Vox記事)。Amazonプライムに相当する「Walmart +」(ウォルマートプラス)に取り組んでいる模様だ。だが立ち上げは、繰り返し延期されている(Vox記事)。CEOによれば、ウォルマートは昨年から「Delivery Unlimited」(配達無制限)プログラムで会員サービスの配達部分をテストしている。同社はこれが会員プログラムの「素晴らしい基盤となる」とうたっている。

「昨年末からメンバーシップでの配達サービスを限られた会員数でテストしてきた」とマクミロン氏は語った。「顧客の選択肢は食料品と消耗品の配達サービスに限られていた。サービス開始以降、スーパーセンター全体で幅広いカテゴリーから選択できるようにした。食料品や消耗品だけでなく、その他の一般的な商品も取り揃えている。品揃えの幅や全米で迅速に顧客に配達できる能力は、その他のメリットとあわせて説得力のある提案になると考えている」と同氏は付け加えた。

現在、Delivery Unlimitedの会員はWalmart.comからオンラインで食料品を注文する際、注文ごとに利用料を払うのではなく、月12.95ドル(約1380円)または年98ドル(約1万400円)を支払う。ただしWalmart+にはガソリン割引や商品特別割引などの特典が含まれる(Vox記事)とのことだ。

マクミロン氏はサービスの詳細については明らかにしなかったが、準備が整い次第、より詳細に説明すると語った。

全体として、ウォルマートの同四半期の業績は予想を上回った。売上高は1377億4000万ドル(約1兆4600億円)で、市場予想の1354億8000万ドル(約1兆4400億円)を上回った。1株当たり利益は、市場予想の1.25ドル(約133円)に対し、調整後で1.56ドル(約165円)だった。同四半期の純利益は64億8000万ドル(約6900億円)で1株当たり2.27ドル(約240円)と、前年同四半期の36億1000万ドル(約3800億円)で同1.26ドル(約134円)から増加した。

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Uber Eatsはライドシェア事業より大きくなったが、まだ利益は出ていない

米国時間8月6日にUberは第2四半期の決算報告を発表した。その派手な数字の中に、同社が新型コロナウイルス(COVID-19)のパンデミック中に大きく変わったことを示す驚くべき数字が隠れていた。

Uber Eatsの名で知られているUberのデリバリー事業は、調整後の純収益は同社の創業時からの本業であるライドシェアリング事業よりも大きい。この調整後の純収益は、Uberの進化を物語るごく一部にすぎない。Uberのデリバリー事業の場合は、収益や損失も重要だ。

しかしそれでも過去1年、特に過去2四半期の変化を見れば、Uberの戦略が変わったことは明らかだ。そして今や、すべてデリバリーの方を向いている。

深く掘り下げる前に、決算をざっと見ておこう。

Uberの2020年第2四半期は純損失が17億8000万ドル(約1890億円)で、前年同期の52億4000万ドル(約5550億円)と比べて減少した。2019年に株式を公開したため、さまざまな一度限りの現金支出以外の費用が生じた。同社の損失は1株当たり1.02ドルになる。それでも、アナリストたちが予想した1株当たり0.86ドルの赤字を上回るものだった。

Uberは同四半期の収益性では予想を下回ったが、売上高は投資家たちが予想した21億8000万ドル(約2310億円)を上回った。

デリバリーへの移行

同社のさまざまなビジネスを評価するためには、需要な3つの柱がある。その中の2つが、Uberの経営成績に実質的な影響を与えている。それがモビリティ(ライドシェア)とデリバリー(Uber Eats)だ。この2つは、2020第2四半期においてどうだったのだろうか。

  • モビリティの利用総額:30億5000万ドル(約3230億円)
  • デリバリーの利用総額:69億6000万ドル(約7370億円)

上記のうち純収益(売上)は、

  • モビリティの調整後純収益:7億9300万ドル(約840億円)
  • デリバリーの調整後純収益:8億8500万ドル(約940億円)

そして上記からの調整後利益と調整後損失は

  • モビリティの調整EBITDA:5000万ドル(約50億円)
  • デリバリーの調整EBITDA:-2億3200万ドル(約250億円)

となる。

ご覧のようにUberのフードデリバリー事業は取引量ではるかに稼いでいる。しかしテイクレート(総支出のうち収益として維持できる部分)はライドシェアの方が大きいため、調整後純収益は近い数字となっているが、やはりデリバリーの方がモビリティを上回っている。

調整後の利益となると、Uberの伝統的なコアビジネスであるライドシェアの結果が良く、調整後のEBITDAがプラスになっているが、同じ利益計算方法ではデリバリーは損失になる。

2020第1四半期では、モビリティの利用総額と調整後純収益、および調整EBITDAがデリバリーより大きかった。しかし新型コロナウイルス(COVID-19)の影響が及ぶ第2四半期では、この3つの数字のうち2つの順位が逆転している。今後ライドシェアが回復した場合、この数字がどの程度の速さで変化するかはわからない。しかし今日の決算報告からいえるのは、もはやUberが空港に利用者を連れて行くことよりも、食べ物を運んでくれることを重視していることが明らかであり、米国の企業にとってこれは大きな変化だ。

はっきりしているのは、Uberのライドシェアサービスは今後も継続するということだ。新型コロナパンデミックの荒波を乗り切り、より安定した時代に収益を上げる可能性を強化するために、Uberはデリバリーとライドシェアの2つを頼りにしている。

UberのCEOであるDara Khosrowshahi(ダラ・コスロシャヒ)氏は、8月6日に「はっきりしてきたのは、2つのコアビジネスには非常に価値あるヘッジがあり、今後の回復シナリオにおいても、それが重要なアドバンテージになる。移動制限が解除されれば、当然モビリティは回復する。制限が継続したり、再度制限される場合は、デリバリーサービスで埋め合わせできるだろう」と語っている。

グラフではこうなる

Uberの第2四半期の本稿関連部分を、Uberが投資家のために作ったスライドを見てよう。

まず、同社のモビリティの数字。

画像クレジット:Uber

そしてこれが、デリバリーの結果だ。

画像クレジット:Uber

関連記事:UberのQ2売上高は29%減の約2365億円、好調の配達事業の赤字幅は縮小

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タグ:Uber決算発表Uber Eats

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

UberのQ2売上高は29%減の約2365億円、好調の配達事業の赤字幅は縮小

米国8月6日の株式取引開始直後に米国の配車サービス大手Uber(ウーバー)は第2四半期決算を発表した。

同社の売上高は2019年第2四半期、そして2020年第1四半期に比べて減少した。投資家らは新型コロナウイルス(COVID-19)の影響による減少を懸念し、同社は今年初めにどのような状況であれ同社が2020年の事業費を賄えるだけの十分な現金を持っていると投資家らを安心させるのに時間を割いていた。

第2四半期のUberの利用総額は前年同期比35%減の102億ドル(約1兆780億円)だった。その結果、売上高は22億4000万ドル(約2365億円)で、31億7000万ドル(約3350億円)だった前年同期から29%減った。純損失は、前年同期の52億4000万ドル(約5530億円)から減って17億8000万ドル(約1880億円)だった。同社は昨年上場し、その際1度限りのさまざまな非現金コストが発生した。

同社の純損失は1株あたり1.02ドル(約107円)の損失となった。決算発表に先立ってアナリストは1株あたり0.86ドル(約90円)の損失を予想していた。同社は第2四半期で黒字化を達成できなかったが、売上高は投資家らが予想していた21億8000万ドル(約2300億円)を上回った。

Uberの株価は、決算を受けて時間外取引で4%強下げている。

第1四半期との比較

2020年第1四半期に比べて決算内容がどうだったのかをみてみよう。結論をいうと、よくなかった。

2020年第2四半期にUberは、第1四半期の1株あたり損失が1.70ドル(約180円)で売上高は35億4000万ドル(約3740億円)だったと発表した。第1四半期は29億4000万ドル(約3100億円)の赤字だった。前述したように、第2四半期の1株あたりの損失は1.02ドルとなったが、一方で売上高は22億4000万ドルに減少した。ゆえに売上高は前期比36.7%減となった。

さらに見ると、Uberは第2四半期に配車サービスで7億3700万ドル(約780億円)を売り上げた。第1四半期は16億6000万ドル(約1750億円)だった。利用総額も第1四半期の157億8000万ドル(約1兆6700億円)から35%落ち込んだ。

この猛吹雪のような数字の中にいくつか良いニュースもあった。UberのFreightとEatsの事業は赤字だったが、赤字幅は減少した。

「配達」部門の調整後EBITDA(償却前営業利益)は、第1四半期の3億1300万ドル(約330億円)の損失から、第2四半期には2億3200万ドル(約245億円)の損失へと損失幅が縮小した。Uber Freightの調整後EBITDAは第2四半期に4900万ドル(約52億円)の損失で、第1四半期の6400万ドル(約68億円)よりも縮小した。

変わりつつある事業

Uberの第2四半期は変動期だった。前年同期に比べると、配達事業(以前のUber Eats部門)は調整後純収益が前年同期比162%増と大幅に伸びた。同時に、モビリティ部門(以前のRides部門)の調整後純収益は同66%減となった。

人々が外出を控えたため配車サービス事業は大幅に落ち込んだが、そうした人々はフードデリバリーを注文した。フードデリバリーへの予約のミックスシフトは配車サービスの損失をかなり埋めたが、それでも完全にではない。

かつて黒字化達成の鍵を握っていた配車サービスの第2四半期の調整後EBITDAはわずか5000万ドル(約53億円)だった。これは前年同期より4億6500万ドル(約490億円)少なく、今年第1四半期からも5億3100万ドル(約560億円)少なかった。

「モビリティの回復は明らかに公衆衛生状況次第だ」とCEOのDara Khosrowshahi(ダラ・コスロシャヒ)氏は決算会見で述べた。「アジアとインドは回復基調にある。香港とニュージーランドの利用総額は新型コロナ前の最高額を上回っていて、欧州の動向もまた期待できるものだ」

一方、米国の回復は遅れている。同社が世界中で事業を展開しているのはアドバンテージだ、とコスロシャヒ氏は指摘した。そして経済活動が再開したら人々の移動は急激に戻る、とも述べた。

配車サービスが衰えた一方で、にわかに稼ぎ頭となっている配達事業は前年同期、そして前期から赤字幅を縮小した。第2四半期の調整後EBITDA損失は2億3200万ドル(約245億円)で、前年同期の2億8600万ドル(約300億円)の損失から5000万ドル(約53億円)以上少なくなった。2020年第1四半期の配達事業は3億1300万ドル(約330億円)の調整後損失を計上した。

当然のことながら、利用減少の大半はUberの手に負えないものによる。しかしグローバルパンデミックと経済の一時停止が2019年のIPOに多大な影響を及ぼしたことが見て取れる。

Uberの第2四半期の期末残高(現金、現金同等物、短期投資)は78億ドル(約8200億円)で、前期末は90億ドル(約9500億円)だった。

画像クレジット: ANTHONY WALLACE

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SpotifyのユーザはQ2に増加し3億人に近づく、コロナ禍で広告売上は依然苦戦

Spotify(スポティファイ)のビジネスが新型コロナウイルスのパンデミックから継続的に影響を受けていることが、7月29日の2020年第2四半期決算発表で明らかになった。良いニュースもあった。ソーシャルディスタンスを保ちながら娯楽を求めてストリーミングサービスを利用するユーザーが増え、月間アクティブユーザーは29%増加し2億9900万人に達した。有料会員数もウォール街が予想した1億3640万人を上回り、1億3800万人に増加した。だがパンデミックが広告ビジネスにマイナスの影響を与え、同四半期の広告売上は前年比21%減の1億3100万ユーロ(約170億円)となった。

Spotifyの売上高の大部分(約90%)を占めるプレミアムプランは、同四半期は17%増加して17億6000万ユーロ(約2200億円)に達した。同社は成長の要因を、より高額なファミリープラン会員の増加、新しい2人向けのデュオプラン、ロシアなどの新しい市場へのプラン拡大などによるものと考えている。

また同社はユーザーのリスニング時間も新型コロナの健康危機前のレベルに戻ったと強調した。パンデミックの影響で第1四半期当初、デイリーアクティブユーザーとリスニング時間が減少した。在宅勤務や子供のホームスクーリングなど、ユーザーが突然のライフスタイルの変化への対応を迫られたためだ。本日のSpotifyの発表によると、6月30日の時点でラテンアメリカを除く世界のすべての市場で消費時間が「新型コロナ前のレベル」に回復した。ラテンアメリカではグローバルな健康危機の前のレベルを6%下回る水準にとどまっている。

リスニング時間の回復は、EUやアジア太平洋地域など新型コロナの拡大が鈍化している地域が主導したと同社は指摘した。また、政府のロックダウンや在宅勤務により利用が鈍化した他の地域でも伸びた。例えば車内利用は4月の最低時点で新型コロナ前の50%にまで減少していたが、同四半期末では10%未満の下落にとどまった。

マイナス面として、Spotifyの広告売上は同四半期を通じて低下した。新型コロナ危機前より市場全体が慎重になったためだ。同社はこの傾向が年間を通じて続くと見込む(ロイター記事)。この影響により同四半期の売上高は市場予想に届かなかった。売上高は13%増の18億9000万ユーロ(約2340億円)だったが、アナリスト予想は19億3000万ユーロ(約2400億円)だった。

「前四半期は世界的な健康危機により売上高が著しく減少した。特に3月の最後の3週間で当社の見通しと比べて20%以上落ち込んだ」と同社は株主への書簡(PDF文書)で述べた。「業績は4~5月は予想を下回ったが、6月は大幅に上回った。4~5月の累計で広告売上は前年比25%減だったが、6月の業績は大幅に改善し前年比12%減にとどまった」。

現在、広告は売上の主な原動力ではないが、同社のポッドキャスティングビジネスの戦略の重要な一部だ。同社は最近、 Kim Kardashian West(キム・カーダシアン・ウエスト)氏、Joe Rogan(ジョー・ローガン)氏、Michelle Obama(ミシェル・オバマ)氏、DC and Warner Bros.(DCとワーナーブラザーズ)、TikTokスターのAddison Rae(アディソン・レイ)氏などとの独占契約に多額の投資を行った。同社は積極的に資金を使っている。例えば、伝えられるところによればジョー・ローガン氏との契約には1億ドル(約105億円)以上かかったようだ(Wall Street Journal記事)。

また、この分野への投資の一環として、独自のポッドキャスト広告を販売するほか、ポッドキャストの作成、編集、配信のためのツールに取り組んでいる。例えば同社は、ポッドキャストの収益化を狙った新しい広告テクノロジーを開発している。一例は同社が最近テストしているアプリ内オファー(未訳記事)で、ユーザーはSpotifyアプリからいつでもオーディオ広告に表示されるクーポンコードやその他のオファーを使用できる。

最近ではビデオポッドキャストにも投資した。Streaming Ad Insertion(ストリーミング広告挿入)テクノロジーも、この夏米国の広告主にも広く利用可能になる予定だ。それから、Omnicom Media Group(オムニコム・メディア・グループ)との2000万ドル(約21億円)の広告提携を発表した。同社によれば、ポッドキャスト広告の提携としては史上最大の全世界ベースでの戦略的提携だという。

Spotifyは、全体として同四半期のポッドキャスト広告の実績は予想を上回り、その傾向が7月は続いていると語った。

画像クレジット:Bryce Durbin

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サムスンはメモリー事業が堅調で営業利益は23%増

Samsung Electronics(サムスン電子)の7月30日の四半期決算発表は、慎重ながらも楽観的なトーンが漂った。同社は引き続き新型コロナウイルス(COVID-19)パンデミックの影響に対応しているが、リモートワークとリモート教育の増加を受けたデータセンターのDRAMチップ需要によりメモリー事業が堅調だった。

サムスンはGalaxy Noteやフォルダブルデバイスなどを含む旗艦スマホの新モデルを8月5日のオンラインイベント「Galaxy Unpacked」で発表する。しかし低〜中価格帯のスマホ販売増にも注力し、この部門が今年後半の売上高を牽引すると見込んでいる。

第2四半期の営業利益は、DRAMチップの販売増が主に貢献して前四半期比26%増、前年同期比23%増の8兆1500億ウォン(約7160億円)だった。売上高は前四半期比4%減、前年同期比6%減の53兆ウォン(約4兆6500億円)だった一方で、純利益は7%増の5兆6000億ウォン(約4900億円)だった。売上高はスマホや他のデバイスの販売低迷の影響を受けたが、マーケティング支出の減少や他のコスト抑制策によっていくぶん相殺された、と同社は述べた。

同社はまた、他のスマホメーカーとの激しい競争に直面していることにも触れた。実際、同社が第2四半期決算を発表した同じ日に調査会社Canalysは「Huawei(ファーウェイ)が米政府の規制にもかかわらず第2四半期に最も多くのスマホを出荷し、サムスンは初めて首位の座を明け渡した」とするレポートを発表(Canalysレポート)した。

明るい要素に目を向けると、Intel(インテル)はこのほど半導体製造をこれまで以上に外部に委託すると発表したが、多くのアナリストはサムスンがTSMCとともにこの外部委託促進の恩恵を受けると考えている。

リモートサービスがDRAMチップ需要を押し上げ

サムスンの半導体部門は、リモートワークやオンライン教育を支えるオンラインインフラを充実させる必要に迫られたデータセンターからのDRAMチップ需要に助けられた。PC需要も低価格帯のラップトップ販売により引き続き堅調だった。

しかしモバイルデバイス向けのチップ販売は、消費者がパンデミックの影響で支出を減らしたことを受けて振るわなかった。消費者が購入するモバイルデバイスは低〜中価格帯のプロダクトになる傾向があり、これらはさほどパワフルでないチップを使用している。

「一度限りの」収入でディスプレイ売上高アップ

サムスンのディスプレイパネル事業の売上高は、モバイルディスプレイの収益を押し上げた「一度限りの収入」のおかげで前年同期を上回った。その収入がどこからきているのか同社は詳細を明らかにしなかったが、Bloomberg(ブルームバーグ)は「予想よりも少ないディスプレイの発注となったことを受けてのアップルからの1兆1000億ウォン(約970億円)の調整支払いだった」と報道(Bloomberg記事)している。

しかしディスプレイに対する全体的な需要は、新型コロナウイルスがスマホ販売を直撃したために低迷している。営業損失は、人々の在宅勤務から発生したモニター購入で若干相殺された。

パンデミックによる不透明な見通しにもかかわらず、サムスンは同社の最大の顧客が新プロダクトを引き続き投入するために、モバイルディスプレイ需要は今年回復する、と述べた。また、新たなスマホとゲームコンソールがリリースされるのに伴い、モバイルとグラフィック向けのチップの注文が増加すると見込んでいる。そして、主に低〜中価格のスマホ販売が貢献して今年末までに「モバイルディスプレイの収益は本格的にリバウンドする」と予想している。

画像クレジット: JUNG YEON-JE/AFP / Getty Images

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(翻訳:Mizoguchi

ツイッターのQ2は利用増も売上高は約730億円にとどまる

Twitter(ツイッター)では先週大規模なセキュリティ侵害があり、複数の著名人のアカウントにビットコイン詐欺が拡がったばかりという状況で、同社は第2四半期決算を発表した。広告ベースのソーシャルプラットフォームがパンデミックの嵐を乗り切る戦いが続いていることを象徴する内容だった。皮肉なことにトラフィックは記録的な水準であり、それに伴って増加する問題の処理に追われている。

売上高は6億8300万ドル(約730億円)、1株当たりの損失(GAAPベース)は0.01ドル(約1.1円)となった。アナリスト予想とツイッター自身の見通しのいずれをも下回り、前年同四半期比でも減少した。一方、同四半期mDAU(ツイッター独自の利用者数の指標で、1日当たりの収益化可能なアクティブユーザーを表す)は1億8600万人と過去最大となった。

売上高に関するアナリストの予想平均は7億ドル(約750億円)だったが、ツイッターはそれより27%高い数値を予想していた。調整後EPS(1株当たり利益)はマイナス0.16ドル=約17円(調整前はマイナス1.56ドル=約167円)だったが、アナリスト予想はマイナス0.01ドル(約1.1円)だった。参考までに、前年同四半期の売上高は8億4100万ドル(約900億円)、調整後EPSは0.20ドル(約21円)だった。

希薄化後EPSがマイナス1.56ドル(約167円)だったことについて補足する。これは12億ドル(約1280億円)の純損失に基づいている。ツイッターによると「主に新型コロナウイルスの影響により」税務上の繰越欠損金に関して計上されている繰延税金資産11億ドル(約1180億円)に対して評価性引当額を認識し、同額の法人所得税(非現金支出費用)を計上したことによるものであると説明した。

この数値は、サイト自体の人気が高まりトラフィックが増えているにもかかわらず、ツイッターの売上高の大部分を占める広告収入が受けた打撃の大きさを強調する結果となった。mDAUは昨年の1億3900万人から改善しただけでなく、アナリストの予想平均である1億7300万人をも上回っている。

広告収入は売上高のうち5億6200万ドル(約600億円)を占め、前年比23%減となった。同社はパンデミックと「市民に広がる不安」の両方により多くの広告主がキャンペーンを見合わせたことが減収の一因だと指摘する。同社最大の市場である米国では広告費が25%減少した。

それが示すのは、まだ存在すると思われるオーディエンスと広告の乖離だけではない(究極的に広告は人間を追いかけるだけでなく景気の後をついて行くが、景気は後退している)。実際の財務指標と同社について巷で議論される内容が乖離していることも示している。

つまり、この3カ月で同社が大きな話題となったのは、プラットフォームの品質、健全性、セキュリティの問題であり、ツイッターが自由な発言を守りながら悪質な利用者をそもそも規制すべきか、そしてどう規制すべきかということだ。この議論は今後数カ月間ツイッター上だけでなく、政府内でも長く続くはずだ。

CEOのJack Dorsey(ジャック・ドーシー)氏が四半期の業績に関する声明で強調したのはプロダクトの改善だった。

「当社のプロダクトに関する取り組みは成果を上げており、オーディエンスとエンゲージメントが大幅に増加している」と同氏は語った。「当社はmDAUを1億8600万人に増やした。これは前年同期比34%増であり、mDAUの増加を公表以降、四半期別の前年比としては最高の成長率だ」

「先週ツイッターを襲ったセキュリティ問題にも取り組みたい。当社は発生した問題に迅速に対応し、次のような追加の措置を講じている。すなわち、ターゲットを絞ったソーシャルエンジニアリングの試みへ対抗する力を増強し、内部システムのセキュリティを強化する多数のセーフガードを実装し、法執行機関とも協力している。当社は自社の責任を理解し、セキュリティ問題への対処方法を含めあらゆる行動により利害関係者すべてから信頼を得るよう尽力している。引き続き透明性を保ち、学んだことや改善策を共有していく」

CFOのNed Segal(ネッド・シーガル)氏は、広告サーバーの再構築も会社の将来の挽回に役立つはずだと述べた。

「パンデミックにもかかわらず、(消費者)ブランドはツイッター上の会話に参加して顧客とつながる革新的な方法を見つけた」と同氏は述べた。「私たちは広告サーバーの再構築を完了し、パフォーマンス型広告ロードマップの加速を進めている。オーディエンスの増加と広告の進歩により、広告主のために広告提供しやすい状況にある。ライブのイベントや製品の立ち上げが始まれば、多くの人々や広告主がツイッターを利用するようになり、以前の状態に戻るはずだ」

詳細は続報にて。

画像クレジット:Omar Marques/SOPA Images/LightRocket / Getty Images

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テスラが4四半期連続で黒字、Q2売上高は5%減の約6445億円

Tesla(テスラ)は4四半期連続で黒字となった。米国7月22日の株式市場クローズ後に発表した第2四半期決算によると、これまでで最長の黒字期間となる。

前四半期から売上高は伸びず、前年同期比では5%減だったにもかかわらず、事業経費の削減と当局からのクレジット収入(ゼロエミッション車規制制度で得られるもの)のおかげでTeslaは収益を確保した。同社はまた、Full Self Driving(FSD、完全自動運転)機能のリリースに関連する繰延られていた売上高4800万ドル(約51億円)を計上できた。

Teslaの第2四半期決算の最終損益は1億400万ドル(約111億円)、1株あたり0.50ドル(約53円)の黒字となった。参考までに、昨年同期は4億800万ドル(約435億円)の赤字、1株あたり2.31ドル(約246円)の損失を計上した。第2四半期の調整EBITDAは12億1000万ドル(約1290億円)で、前年同期の5億7200万ドル(約610億円)から増えた。

特定の支出を除いたTeslaの調整後純利益は4億5100万ドル(約480億円)で、1株あたりの価値は2.18ドル(約232円)だった。

ヤフーファイナンスによると、アナリストは売上高52億3000万ドル(約5580億円)、1株あたり11セント(約11円)の損失を予想していた。Tesla株は決算ニュースを受け、時間外取引で7%高の1698ドル(約18万円)をつけた。

Teslaの売上高は60億4000万ドル(約6445億円)で、前四半期の59億8500万ドル(約6390億円)を上回り、前年同期を5%、約3億ドル(約320億円)下回った。2019年第2四半期の売上高は63億ドル(約6720億円)だった。

Teslaは、売上高には車両販売や当局からのクレジット収入、エネルギー発電とストレージ事業の販売などが前期に比べて増えたことが貢献した、と述べた。しかし、そうした数字は車両平均販売価格やサービス価格の低下で相殺された。

車両販売台数は第1四半期から3%増加し9万891台となったものの、昨年同期に比べると5%少ないというのも記すに値するだろう。Teslaは原因として、新型コロナウイルス(COVID-19)パンデミックによるカリフォルニア州フリーモント工場の一時閉鎖などを指摘した。

自動車関連の粗利益率は昨年同期の18.9%から25.4%に改善した。同社は当局からのクレジット収入は自動車売上高に計上していて、これは粗利益に含まれる。

第2四半期のクレジット収入は4億2800万ドル(約457億円)だった。クレジット収入は昨年第1四半期後に落ち込み、今年再び増加するまで1億1100万〜1億3400万ドル(約118〜143億円)で推移していた。同社は第1四半期にクレジット3億5400万ドル(約378億円)を計上したが、これは2019年第1四半期から64%の増加だ。

同社の第2四半期のフリーキャッシュフローは4億1800万ドル(約446億円)だった。前四半期はキャッシュフローはマイナスだった。しかし2019年第2四半期の6億1400万ドル(約655億円)からは31%減となった。同社は以前、2020年にフリーキャッシュフローをプラスにすることを目標にしていた。第1四半期のフリーキャッシュフローは8億9500万ドル(約955億円)のマイナスで、目標を達成できていなかった。

画像クレジット: Tesla

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(翻訳:Mizoguchi

なぜNetflixの株価が10%も下がったのか

今日(米国時間7/16)の取引終了後にNetflixは、第二四半期の決算報告を発表した。その数字が出たあと、このビデオストリーミングサービスの人気企業は企業価値が急落し、本稿を書いている時点の時間外取引では株価が10%下がった。

このところ絶好調のNetflixに、何が起きたのか。同社の一般家庭市場の消費者たちの多くが家に閉じ込められている今は、成長を期待するのが当然ではないか。しかし同社は、投資家たちがこぞって歓喜するようなQ2の結果を出せなかったし、今後のパフォーマンスに関する予測も、期待はずれだった。

下落の原因は両方ではなく、どちらか一つだと思うが、Netflix自身はこう言っている:

  • Netflixの業績: Q2は61億5000万ドルの売上が13億6000万ドルの営業利益と7億2000万ドルの純利益を生んだ。一株あたりでは、会社はこの3か月で1.59ドルを稼いだ。

Yahoo Financeのアナリスト平均によると、投資家たちは60億8000万ドルの売上と、1.81ドルの一株あたり利益を予想した。対してNetflixは売上ではわずかに上回り、利益では明確に差がついた。

同社はまた、顧客数の増加でも予想を上回り、CNBCによるとNetflixの新規のサブスクライバーは1009万人で、予想の826万人を超えた。

関連記事: Ted Sarandos named co-CEO at Netflix…Ted Sarandos氏がNetflixの共同CEOに指名(未訳)

確かに、悪い結果ではない。同社の株価の修正をもっと正しく理解するためには、同社がQ3について言っていることを見る必要がある:

  • Netflixの予測: 売上は63億3000万ドルで営業利益12億5000万ドルと純利益9億5400万ドル。一株あたりでは2.09ドルを予想する。

Q3の新規サブスクライバーの予想は250万人だ。マーケットは第三四半期に対し63億9000万ドルの売上と2.00ドルの一株あたり利益を予想していたから、ここでもまた好悪両様だ。でも新規サブスクライバーの控えめな数字と売上の低成長が、ウォール街の気を削いだようだ。

そしてNetflixの成長が予想を下回るという空気が漂い、株価を押し下げた。同社の新規サブスクライバーの予想は確かに控えめかもしれないが、投資家たちは疑わしきは罰せずではなく、本当に罰してしまった。

決算報告のシーズンが本番になったら、さらに検討しよう。

画像クレジット: Krisztian Bocsi/Bloomberg/Getty Images

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

制裁とパンデミックの中、ファーウェイの2020年上半期の売上は13.1%増

Huawei(ファーウェイ)は、同社の2020年上半期における売上は、世界中の国々が同社製品への禁制を継続しパンデミックの最中にスマートフォンの売上が縮小している中(未訳記事)において前年比で13.1%増加した、と米国時間7月13日に発表した文書(Huaweiリリース)で述べている。

同期の売上は4540億元(約6兆9500億円)に達し、総売上高に対してキャリア事業が35%、エンタープライズ事業が8%、コンシューマー事業56%を占めた。純利益率は9.2%で、2019年の同期の8.7%(Huaweiリリース)からわずかに増加している。

非上場企業である同社は、上半期の成長要因について明かしていないが、リリースでは新型コロナウイルス(COVID-19)のパンデミック中、同社の主要事業である「情報通信技術」が「ウイルスと戦うための重要なツールになっただけでなく、経済の回復のためのエンジンにもなった」と述べている。

この成長は、米国が同盟国のネットワークインフラストラクチャからファーウェイを排除するよう取り除くように勧めていた中でのものだ。The Telegraphによれば、英国は早ければ2020年中にも、段階的に同国の5Gネットワークからファーウェイ製品を撤去する予定だという。この計画に対しては、ネットワークの停止やその他のセキュリティリスクの可能性がある(未訳記事)という批判もある。

ファーウェイは地域別の売り上げも発表していないが、海外で窮状にある今、中国が成長を支える基盤となっていると予想するのは妥当なところだろう。同社と同社の中国内における競合他社であるZTEの2社が、中国の主なキャリアからの5G基地局の契約の大半を分担している(Caixin記事)。ZTEもまた、米商務省の貿易ブラックリストにファーウェイと並んで載っているキャリアたちは5Gスマートフォンもファーウェイから調達することで合意(Tencent記事)しており、これによって当然、同社の売り上げは伸びるだろう。

画像クレジット:VCG / Getty Images

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

Slackは四半期決算発表後に株価10%ダウン、ガイダンスにも市場は不満

エンタープライズ向けチャットのSlackが4月30日を終期とする第1四半期を発表した。これは2021会計年度の最初の四半期決算だ。

今期の収入は2億170万ドル(220億円)と昨年同期比で50%のアップだった。調整済み1株あたり損益は0.02ドルの損失、すべてのコストを考慮すると0.13ドルの損失となっている。Yahoo Financeによればアナリストの予測は平均して1億8812万ドルの収入と1株あたり損失0.06ドルだった。

決算発表の直後に同社の株価は13%ダウンした。これは同社がSasSという新しいビジネスモデルを発表したときの4.4%のダウンに続くものだ。我々の見立てでは、アナリスト予測を上回りながら株価は下落した原因は、投資家はSlackがもっと大きく予測を上回ることを期待して買いにまわり、株価を押し上げていたのだろうというものだ。

残念ながら四半期決算決算ではそうした数字は報告されなかった。Slackは新型コロナウイルスのパンデミックによって多くの企業がリモートワークの実施のために新たにチャットサービスを導入しており「急成長している」と説明していた。

Slackの決算報告はビデオチャットのZoom、サイバーセキュリティのCrowdStrikeの発表に続くものだ。両社ともデジタル化の加速とリモートワークの必要性の増大により大幅な成長を遂げている。

Slack自身もこのブームにより「今期は無料、有料のサブスクリプションを合計して9万社以上の新規契約を記録している」と述べている。このうち有料契約は 1万2000社だったという。こうした堅調な結果であったにも関わらず、株価が即座に下落したことは投資家が有料プラン契約の割合がもっと高いことを期待したためだろう。結局のところ売上は有料契約者の数にかかっているわけだ。

Slackは、ガイドラインで現在の四半期の収入を「2億600万ドルから2億900万ドル(225億円から228億円)」と予想しており、これは前年比で42%から44%の成長となる。同社はまた調整済み1株あたり損益を0.03ドルから0.04ドルの損失と予測している。

株式市場の失望は別として、この四半期のSlackの資金調達は順調だった。優先転換社債(シニア・コンバーティブル・ノート)で7億5000万ドル(820億円)を調達し、0.50%という低い金利で資本を増強することに成功している。株価の下落はさして痛手ではないだろう。

またSlackの四半期決算のすべてが投資家を苛立たせるニュースだったわけでもない。明るい部分としてはまず前四半期の49%と比べて収入の伸びはわずかだが増えている。またリテンションレート(顧客維持率)は132%と依然としてこの分野の最高水準だ。さらに、GAAP粗利益率は87.3%にアップした。これも十分に優秀な数字だ。

しかし市場の投資家はこれよりもさらに高い成長を期待していたに違いない。

最後に付け加えておくなら、Slackが犯したある種の誤算は「SaaSビジネスへの転換が収入の拡大を加速させる」と主張しながらそれが実現しなかったことにあるだろう。期待はずれのSaaSの決算という点で、SlackはSalesforceとSmartsheetの例にならってしまったようだ。

画像:Getty Images

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(翻訳:滑川海彦@Facebook