ソフトバンクはWeWorkを「壊れたので買わざるを得なかった」

ソフトバンクグループやWeWork、WeWorkの共同創業者である元CEOのアダム・ニューマンについてはすでに大量の記事が書かれている。それでもまだいろいろわからない点が多い。

WeWorkが上場を申請し、そして撤回してからの大騒動はあまりに込み入っているので、多くの読者は見出しをちらりと見ただけで記事の中身を読む気が失せたかもしれない。

それでもこれほどマスコミの評判になっているのはニューマンの奇矯さがほとんどマンガの悪漢レベルに達していたからだ。突飛な振る舞いでは(Twitterの)ジャック・ドーシー以上、学生寮の大学生ぽさが抜けない点では(Snapchatの)エヴァン・スピーゲル以上、「世界を変える」という幻想を振りまいた点では(Theranosの)エリザベス・ホームズ以上だった。上場のS-1申請書を提出する前からWeWorkは批判者にこと欠かなかった。

それでも有名ベンチャーキャピタルのトップは創業者を応援するという立場を取っていた。ニューマン氏には、世界最大のベンチャーファンドのパートナーたちを自分の意に従わせ、追従させるカリスマ性があったのだろう。

だが今やWeWorkはベンチャーキャピタルが後期段階のスタートアップに対して行う投資方法そのものに対する疑問の例となっており、追従どころではなくなっている。WeWorkの問題が本格的に露わになり始めたタイミングで185億ドル(約2兆円)にものぼる2回目の投資を行ったソフトバンクは最も大きなトラブルを抱えこんだ。

資金供給し続けていたソフトバンクは、WeWorkという大穴が空けばその投資は期待を大幅に下回る運用成績となる。シリコンバレーの投資家の多くは直感で巨額の資金を動かしたりしない冷静で伝統的な投資家を望んでいる。しかしソフトバンクのファンドから供給される資金が命綱となっているユニコーン(10億ドル級スタートアップ)は多い。こうした企業はソフトバンクからの資金が途絶えれば干上がってしまう危険に直面している。

ソフトバンクはすでに投入してしまった資金がサンクコスト(回収ができなくなった投資費用)となり、ポーカーゲームでいえば手持ち資金を全額賭ける「オールイン」をするしかない状態だ。現在ソフトバンクに残された道は、ニューマンなしでWeWorkを再建する以外ない。ニューマンを作り出したのはソフトバンクだったが、今度はニューマンを追い払った後で大惨事を大成功に一変させるための方法を探っているところだ。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

ソフトバンクグループCOOでWeWork新会長のクラウレ氏が全力支援を確約

米国時間10月24日、WeWorkの社員集会で不安気な聴衆の前にソフトバンクグループのCOO(最高業務責任者)であるMarcelo Claure(マルセロ・クラウレ)新会長が登壇し「もう心配はいらない」と断言したという。Recodeのスクープによれば同ブログはリークされた録音を入手できた。

ソフトバンクグループの投資額を合計するのを忘れていたら、あるいは同社の株式を持っていたら発言の内容にショックを受けたかもしれない。録音によれば、クラウレ氏はこう語った。

「ソフトバンクはこれまでもWeWorkの将来を保証してきた。しかし一番重要なことは、今や我々は将来を直接この手に取り戻すしたという点だ。金策に駆け回る日々は終わった。投資家に対し、 WeWorkは素晴らしい将来性があるビジネスだと懸命に納得させようとしなくてもいい。ソフトバンクのWeWorkに対するコミットメントは総額185億ドル(約2兆円)だ。わかりやすくいえば、私の母国であるボリビアのGDPより大きい。ちなみにボリビアの人口は 1100万人だ」。

危機に陥っていたコワーキングスペースの最大手WeWorkをソフトバンクグループが救済する一環として、ボリビア出身のクラウレ氏が会長に任命された。クラウレ氏は過去5年間ソフトバンクグループのトップの一員だった。現在はソフトバンクグループのCOOに加えてソフトバンク・インターナショナル、ソフトバンク・ラテンアメリカのCEO(最高業務責任者)を務めている。

クラウレ氏によれば、ソフトバンク創業者の孫正義氏と初めて会ったのは 2013年に自身のスタートアップであるBrightstar(ブライトスター)の57%をソフトバンクに売却したときだったという。同社は米国で携帯電話を再販しており、会社評価額は22億ドルだった。その後ソフトバンクは低価格帯のスマートフォンの再販業に見切りをつけ同社を10億ドルで売りに出した。

クラウレ氏は2014年にはソフトバンクが買収した米国キャリアであるSprint(スプリント)のCEOに任命された。その間株価が大きく下がったことで批判されたものの、Sprintの株価はクラウレ氏が指揮を取り始める前から下がり始めており、昨年T-MobileとSprintの合併が合意されてやっと止まった。

TechchCrunchが報じたように、この合併は司法省に加えて連邦通信委員会の承認を受けた。しかしいくつかの州の司法省長官は「消費者の利益を損なう」として取引の実現をブロックしようと試みている。

WeWorkの社員集会でクラウレ氏は自分の経歴についても. 「マサ(孫正義氏)は私にキミは素晴らしい起業家だと言ってくれた。ゼロから会社を作り上げて成功させ、Sprint問題も解決した」と強気の発言をしたという。

不安を鎮めようと、クラウレ氏はこれまでソフトバンクが困難なチャレンジに打ち勝ってきたと繰り返し述べた。クラウレ氏によれば、「マサと私はWeWorkについて次に何をなすべきか数えきれないほど眠れぬ夜を過ごしてきた。正直に言えば、外からの助言の99%までは損切りして逃げろというものだった。しかしマサはWeWorkのビジョンと使命に絶対の確信を抱いていた」という。

「『なぜそうまで確信を持てたのか』という疑問が湧くだろう。実際、逃げるほうがはるかに簡単だ。我々はこうした巨額の投資を強制されたわけではない。そういった義務は一切なかった。しかし我々はソフトバンクの将来、ソフトバンクの評判を賭けた。WeWorkが成功するという結末に我々はすべてを賭けているのだ。我々に今必要なのはこの決断が失敗ではないと考える人々だ。この決断は天才的なものだ。マサと私は何夜にもわたって議論をし尽くした。WeWorkのビジネスについて深く考えれば考えるほど好きになった。会社のマネージャーたちにも会った。そして知るほどにこの事業がさらに好きになった」。

クラウレ氏によれば、WeWorkを救うために何をすべきなのか、それはまだ明確ではないという。

「次の30日の私の任務はアーティー(・ミンソン氏)、セバスチャン(・ガニンガム氏)をはじめとする素晴らしい経営陣に加わり、具体的なプランを策定することだ。このプランは非常に具体的なものとなる。我々は全員が何をなすべきかをはっきり認識するだろう。空約束のたぐいではない。達成すべき数値目標を決めるつもりだ。そして実行にあたっての責任も明確化させる」。

クラウレ氏が触れなかった問題点の1つは対米外国投資委員会(Committee on Foreign Investment in the U.S.)の動向だ。Bloomberg(ブルームバーグ)が10月23日夜報じたところではソフトバンクはCFIUSからWeWork取得についての承認を得ようとしているという。同委員会は過去に安全保障上の理由から米国におけるソフトバンクの事業をブロックしたことがある。

過去にCFIUSはソフトバンクのSprint支配に条件を課した。また2017年にはソフトバンクが子会社化したFortress Investment Groupの投資業務を運営することを制限した。Bloombergによれば数十億ドルをUberに投じたにもかかわらず、ソフトバンクは同社に2人の取締役を送り込むことをCFIUSに禁じられた。NYSEへの上場後、Uberはソフトバンクに対する義務のいくつかを解除することに成功しているという。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

ソフトバンクがWeWorkの経営権を握る、評価額は8100億円程度と6分の1以下

いっとき470億ドルの評価額を得たコワーキングスペースのWeWorkだが、わずか75億ドル(約8100億円)の評価額でソフトバンクの支配下に入ることになったとCNBCが報じた

ソフトバンクは当初からのWeWorkへの投資家であり、CNBCによれば今後40億から50億ドル(約4300億円〜5400億円)を出資する見返りに新規および既存の株式を含め、所有権の8割近くを得るという。この契約は早ければ米国時間10月21日にも正式発表される。この資金はWeWorkが運営を続けるうえでの命綱となる。 同社はあと数週間で資金が枯渇する状態にあり、キャッシュの流出をわずかでも減らすために資産の一部の売却を図っていた。

WeWorkは報道に対してコメントを避けた。報道によれば、経営権を取得するのはソフトバンク・ビジョン・ファンドの親会社であるソフトバンクグループであり、同社の最高業務責任者のマルセロ・クラウレ氏がWeWork再建の指揮を取るという。

日本のテレコムの巨人であるソフトバンクは、WeWorkの共同創業者でCEOのアダム・ニューマン氏が事実上解任されてからきっかり4週間後に経営権取得の動きに出た。ニューマン氏は非常勤の会長といいう暫定的な役職に就いている。今回の動きはWeWorkが期待されていた株式上場を中止してから3週間後にあたる。WeWorkの副会長、Sebastian Gunningham(セバスチャン・ガニンガム)氏とプレジデント兼CEOのArtie Minson(アーティー・ミンソン)氏が現在同社の共同CEOを務めている。

こうした劇的な人事異動ではWeWorkでは最高コミュニケーション責任者のJimmy Asci(ジミー・アスキー)氏、最高マーケティング責任者のRobin Daniels(ロビン・ダニエルズ)氏他数名の幹部が会社を去っている。同時にWeWorkでは数百人をレイオフし、同社の起業家スクールのWeGrowも2020年に閉鎖すると決定した。

WeWorkは2020年に上場を図るものと期待されていたが、JPMorgan(JPモルガン)に最後の瞬間まで資金注入を求めて交渉を続けていた。いい教訓になる話かもしれないが、同社はこの後何カ月にもわたって途方もない大盤振る舞いの運営を縮小し資金の流出を防ぐ努力を続けていく必要があるだろう。

WeWorkは80億ドル(約8600億円)以上の資金を株式発行と借入によって調達 した後、8月にかなり普通でない上場目論見を明らかにした。 今年6月30までの半期で10億ドル(約1086億円)近い損失を記録しているにもかかわらず、同社は470億ドル(約5兆1044億円)という途方ない会社評価額を維持していたが、これはもっぱらニューマン氏のカリスマ的な資金調達能力が支えていた。

ニューマン氏はCEO辞任を認めた声明でこう述べている。「WeWorkの共同創業者として、過去10年でこの素晴らしい会社を築き上げたチームを誇りに思う。我々のグローバルプラットフォームは今や29カ国の111都市にまたがり、毎日52万7000人以上の会員が利用している。事業はかつてなく好調だが、ここ数週間私自身に向けられた調査がわが社にとって大きな障害となっていた。そのたCEOの職を退くことが社にとって最善との結論に至った。同僚、会員、パートナーであるスペースオーナー、投資家のみなさんにWeWorkの事業を信じていただいていることに感謝する」。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

WeWorkが上場申請を撤回

WeWorkの運営会社、The We Companyは先ほど、米国証券取引委員会に提出していたS-1上場申請を撤回したことを発表した

コワーキングスペースとして驚異的な成長を遂げたWeWorkは8月に上場を申請したことが明らかになった頃から、大きな波乱を経験してきた。財務状況全般に加えて、共同創業者でCEOのAdam Neumann(アダム・ニューマン)氏の行動や人格が問題となった。

その結果、ニューマン氏は先週CEOを辞任した(ただし業務執行権のない会長職には留まる)。また同社自体もコアビジネスであるコワーキングスペース運営を本格的に見直す。大規模なレイオフが予定されており、Managed by QConductorMeetupなどこの2、3年で買収した会社の一部を売却することも視野に入れているという。

当然We Company上場も大きく延期されるものと見られてきた。新しい共同CEOであるArtie Minson(アーティー・ミンソン)氏とSebastian Gunningham(セバスチャン・がニングハム)氏による以下のような声明はこの観測を公式に認めたものとなった。

当社はコアビジネスに集中するため、株式上場を延期すると決定した。ただし当社のファンダメンタルは健全であり、登録メンバーの個人、企業、不動産所有者その他顧客に対するサービスを引き続き提供していく。当社の社員、株主対するコミットメントも変わることはない。WeWorkを公開企業にしようとする我々の意図にも変更はない。我々の株式が市場において自由に売買できるようになる日が来ることを強く待望している。

WeWorkの波乱の本質を解説したTechCrunch記事はこちら

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

WeWorkのクラッシュはベンチャーキャリズムが機能している証拠だ

WeWorkをめぐる波乱から我々は何を学ぶべきだろうか?

WeWorkはつい最近までシリコンバレーを代表する急成長スタートアップであり、ここ数年ベンチャー投資家の熱い視線を集めてきた。WeWorkの創業者/CEOは有力メディアのカバーストーリーにたびたび取り上げられ、TechCrunch Disruptを含めてテクノロジーカンファレンスではキーノートに登壇していた。ピーク時に同社の評価額は数百億ドルになった。衛星軌道に入ってGoogleやFacebookと肩を並べる世界的巨大企業になる日も近いかという勢いだった。

ところが文字どおり数日でWeWorkはクラッシュした。

創業者/CEOは事実上解任され、会社評価額75%以上暴落した。大量レイオフも間近だという。当然ながら外部投資家、社員含めて株主の損害は莫大だ。

キャピタリズム、ベンチャーキャリズムにとっては手痛い敗北であり、特に孫正義氏のソフトバンクは大きなダメージを受けただろう。WeWorkにはこれというファンダメンタルズ(基盤)が存在しなかったにも関わらずソフトバンクは同社を偏愛し、投資しすぎ、関与しすぎた。

では最初の疑問に戻ろう。WeWorkのクラッシュからわれわれは何が学べただろうか?ひと言でいえばゼロだ。別に何も学ぶものはない。

ベンチャーキャリズムというのは本質的にハイリスクなギャンブルだ。的中すれば途方もないリターンを手にすることができる。個別企業にせよベンチャーキャピタルのポートフォリオ全体にせよ、評価額の算定にはこのリスクがあらかじめ組み込まれている。ベンチャーキャピタリストは投資、つまりスタートアップの株式を買うにあたって、その会社のリスク要因を推計するだけでなく、ポートフォリオの収益が最大化されるよう全体の組み立てを考えねばならない。

WeWorkの場合、外部資金の大きな部分はソフトバンク・ビジョン・ファンドから出ていた。ソフトバンクはファンドへの大口出資者と争ってまで、WeWorkに繰り返し出資してきたが、その結果はごらんのとおりとなった。

しかしそれが賭けというものだ。

ベンチャーキャピタルの投資のほとんどは失敗に終わる。投資額の一部を失うこともあれば全額をすってしまうこともある。

しかしときおり大当たりを引き当てる。孫氏は中国の無名の通販会社に2000万ドルを投じた。今やソフトバンクが持つAlibaba(アリババ)の株式には1000億ドルの価がある。今年、ソフトバンクが数年前に110億ドルでアリババ株の一部を売却したことが明ららかになったが、それを別にしての話だ。

これがベンチャーキャピタルの数式だ。つまり 1110億÷2000万は5550倍だ。世界中のどんな金融資産を探しても1ドルが数千ドルに化けるような仕組みは存在しない。

WeWorkの失敗はこの数式の基本を変えるものではない。ビジョン・ファンドはオンデマンドで犬の散歩やケアを提供するスタートアップであるWagに3億ドルを投じたものの会社は苦境にある

そもそもどんな投資ポートフォリオであろうと損失は発生する。ベンチャー企業では利益に先立ってまず損失が発生するというJカーブ理論は健在であり、これに当てはまる実例は多い。

それにWeWorkは破たんしたわけではない。手持ち資金は残っているし再建は可能だろう。将来、史上最大の利益をもたらすスタートアップになる可能性もないとはいえない。もちろん清算まっしぐらということだってありえる。ビジョン・ファンドにとっての収支はどうなるだろうか?考慮すべき要因が無数にあり、それはら週、月、年単位で変化していく。

確実なことを予測するには早すぎる。私の見るところ、ビジョン・ファンドが野心を達成できるかどうか判斷するにはあと5年はかかると思う。

念のために断っておくが、私はベンチャーキャリズムを特に擁護しているのではなく、キャピタリズム全般を擁護しようとしている。

左派経済学者のMatt Stoller(マット・ストーラー)氏はWeWorkなどの巨大テクノロジー企業を偽の資本主義の典型と呼んでいる。つまりバズワード、トレンド、創業伝説、でっち上げのグラフなどによって中身のない成長を演出し、ベンチャーキャリズムが独占企業を作り出して競争を封殺するものだというのだ。

しかしこの説は資本主義と資本主義的投資の本質について完全に誤っていると思う。ベンチャーキャピタルが支援していようといまいと、創立の日から利益を上げられる企業など例外中の例外だ。ハイテク企業に限ったことではない。レストランを開業するにはまず店の賃貸契約を結び、設備を購入しなければならない。実際に客が店にやってくるようになるのははるか後だ。ソフトウェア企業も同じことだ。ユーザーが料金を払うようになる前にまずソフトウェアを書かねばならない。

投資はアイデアとその実現の間に架け渡される橋だ。

問題はスタートアップはどのくらいの期間、赤字を出し続けられるかだ。10年、20年前は企業が上場したければ黒字でなければならなかった。これは不合理だ。いったいなぜ上場という特定の時点を選んで成長を減速させるようなキャッシュフローの調整をする必要があるのか?黒字化のタイミングとしては上場前がいいこともあるだろうし、上場後が適していることもあるだろう。

この数年、少なからぬ投資家がキャッシュフローよりも成長速度に重点を置くようになっている。スタートアップが利益を出し始めるまでに数年待つことも珍しくない。言い換えれば、投資家は以前よりはるかに長期的な視点で物事を考えるようになっている。重要なのは最終的に目指すゴールだ。

WeWorkを黒字化する方法はある。最近新たに得た拠点を閉鎖し、大都市圏の物件だけに集中すれば短期間でキャッシュフロー・ポジティブを達成することは可能だろう。もちろんVビジョン・ファンドもこれは十分承知していると思う。しかし世界のオフィス供給を制覇する可能性があるというのに、なぜ目先の利益のために小さく固まらねばならないのか?

我々は大胆な賭けを応援すべきであり、足をひっぱるべきではない。もちろんWeWorkも結局は大失敗に終わる可能性はある。しかしたとえそうなっても「資本主義は機能しない」ということを意味しはしない。実際、その逆だ。キャピタリズム、特にベンチャーキャピタリズムは以前ににも増して未来に、つまり将来の成長に賭ける仕組みとなっているのだ。

画像:Getty Images

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

インドの急成長ホテルスタートアップ「OYO」がコワーキングに進出

ホテルチェーン事業を80カ国以上に拡大しているインドのOYOは、共同住居スペースの分野にも参入している。昨年9月以降、Airbnbなどのビッグネームからおよそ10億ドル(約1080億円)を調達したOYOは、新たにコワーキングスペース事業に乗り出す。

インドのグルガオンを拠点とする同社は、7月16日に「OYO Workplaces」を発表した。すでにインドの10都市で20以上の拠点が運営され、1万5000人以上が利用できる。Swiggy、Paytm、Pepsi、Nykaa、OLX、Lenskartなどの企業の6000人以上が、同社のサービスと契約している。

ニューデリーで開催された記者会見で、OYOのNew Real Estate Businesses(新規不動産部門)のCEO、Rohit Kapoor氏は「OYO Workspacesの拠点を年内に50カ所開設する計画で、来年末までにはアジアで最大のコワーキング事業にすることを目指している」と語った。

発表の中でOYOは、従業員200人以上、16カ所の拠点を持つコワーキングスペースのスタートアップ、Innov8を買収したことを明らかにした。4年前に起業したInnov8は、関係筋によると3000万ドル(約32億円)で買収された。

Innov8は、OYO Workspacesの3つのブランドのうちの1つだ。あとの2つ、WorkfloとPowerstationは安価なスペースを求める人を対象としていて、月額6999ルピー(約1万1000円)から利用できる。Innov8はプレミアムという位置づけだ。

インドのコワーキングスペースは、比較的新しい分野のビジネスではあるが、3億9000万ドル(約420億円)規模と見られている。それでもオフィスと事業用不動産のビジネスが300億ドル(約3兆2000億円)であることから見ればごくわずかだ。Kapoor氏は、OYOはコワーキングスペース市場でインドのリーダーになるだけでなく、市場規模そのものも拡大させていくだろうと述べている。OYO Workspacesはこれから、91Springboard、GoHive、Awfis、GoWork、そしてグローバルで成功しているWeWorkと戦っていくことになる。

OYO Workspacesはすべての拠点で、Wi-Fi接続、施設内キッチン、ハウスキーピング、倉庫、駐車場などのサービスを提供していく。価格は、現在もかなりディスカウントしているが、月単位または四半期単位のパスも提供して価格を下げる。

OYOのホテル事業は85万室以上を取り扱い、1日に50万人以上が利用している。各地のホテルと提携して積極的にビジネスを拡大し、世界第3位のホテルチェーンとなっている。TechCrunchが以前に報じた通り、同社は設立から6年で、最新の資金調達ラウンドでは50億ドル(約5400億円)以上と評価された。

OYOはリスティングと予約プラットフォームの両方を提供しており、売上の大半はフランチャイズと予約によるものだ。Kapoor氏は、OYOがインドと東南アジアの事業に今年投資する予定の2億ドル(約215億円)の一部がコワーキング事業に充てられる予定であると語った。

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(翻訳:Kaori Koyama)

WeWorkがソフトバンクと合弁会社を設立、東京初のコワーキングスペースは2018年初めに開設予定

WeWorkは日本でコワーキングスペースをローンチするための準備を着々と進めている。本日、ソフトバンクは、WeWorkとの合弁会社を設立したと発表した。ソフトバンクとWeWorkは50%ずつ出資し、WeWork Japanを設立する。

WeWork Japanは、来年初めにも東京に最初のコーワキングスペースを開設する予定だ。WeWorkはアメリカの他、アルゼンチン、中国、イスラエル、インド、ドイツなどの16ヶ国でコワーキングスペースを運営している。WeWork Japanを率いるのは、WeWorkで初のCOO(最高執行責任者)に就任したChris Hill氏だ。彼がWeWork JapanのCEOに就任する。

「これまでWeWorkとソフトバンクは、人々をつなぎ、新しいアイデアの創出とイノベーションを引き起こすパートナーシップを構築してきたという評価を得てきた企業です」とWeWorkのCEOを務めるAdam Neumann氏(上図)は声明でコメントした。「ソフトバンクは、われわれの不屈の精神と起業家精神を共有しており、この有望なコラボレーションを通じて、さまざまなイノベーティブな方法で、人々とコミュニティーにメリットをもたらすことができるでしょう」。

今月初旬、 WeWorkは7億6000万ドルの資金調達(約860億円)を実施し、評価額は200億ドル(約2.3兆円)となった。その少し前、ソフトバンクはWeWorkに3億ドルを出資していた。また、最近ソフトバンクは1000億ドルのファンドを組成したり、Uber以外の全ての配車サービス企業に出資する勢いで投資を実施したりするなど、テクノロジー業界を賑わせている。

ソフトバンクグループの代表取締役会長兼社長を務める孫正義氏はプレスリリースで以下のようにコメントは以下の通りだ。

素晴らしいビジョンを持つAdamと優秀なWeWorkのチームは、最新テクノロジーを活用した科学的なアプローチで従来のワークスタイルの概念を覆し、世界中の次世代のクリエイターに無限の可能性を広げてきました。私たちは日本の人々にも、より多くの可能性の場を提供していきたいと考えています。

[原文]

(翻訳:NOZOMI OKUMA)

コワーキングスペースWeWorkが日本上陸間近、最新の調達ラウンドで企業評価は2.3兆円に

しばらく前からニューヨーク発のコワーキングスペース「WeWork」が日本に上陸するという噂が流れていたが、間もなくそれが実現するようだ。

Bloombergが報じたところによると、WeWorkは三菱地所をはじめ複数の不動産会社と話をしていて、2018年末までに10〜20箇所のコワーキングスペースを開設する予定だという。場所は六本木、丸の内、渋谷などを検討しているそうだ。

7月21日には共同創業者ミゲル・マッケルヴィー氏が来日し、「タブロイド東京」でイベントを開催する予定だ。このイベントでWeWorkの正式な日本ローンチを発表するということなのかもしれない。

2017年7月10日のForbesの報道によると、WeWorkはシリーズGラウンドで新たに総額7億6000万ドル(約860億円)を調達した。会社のバリュエーションは200億ドル(約2.3兆円)だ。引受先は明らかになっていない。

CrunchBaseのデータをみると、WeWorkは2010年の創業から11回の調達ラウンドを経て、総額44億5000万ドルを調達している。ソフトバンクも2017年2月に総額30億ドルを出資した。

ニューヨーク発のWeWorkは現在は15カ国49都市で149箇所のコワーキングスペースを運営している。WeWorkのメンバーは12万人以上いるという。

WeWorkのオフィス占領作戦に、企業向けソフトウェアを扱うServices Storeが加わった

10万人以上の会員を抱えるコワーキングスペース界の巨人WeWorkは、本日(米国時間25日)よりWeWork Services Storeを開始した。

簡単に言えば、このニューヨークを拠点とする巨人は、オフィスを介した世界征服を目論んでおり、今度は単なるオフィススペースだけではなくオフィスツールにも力を注ぎ始めたということだ。

WeWork Services Storeは、従来のアプリストアとよく似ていて、メンバーに対して幅広いエンタープライズサービスへの便利なアクセスを提供する。しかもそのサービスはしばしば独占契約によるものだ。

WeWorkは、これまでも、その大規模なメンバー基盤を活用して、Amazon AWSを始めとする多くのサービスから、エンタープライズソフトウェアに関する割引と独占サービスを引き出して提供してきた。

Services Storeの立ち上げにより、WeWorkはそうした特典やその他のエンタプライズソフトウェアを、WeWorkメンバーシップの一部として提供することができるようになった。

さて、その仕組は以下のようなものだ。

メンバーはWeWorkのWebサイトにログインし、クリックしてServices Storeに入る。Slack、Hive、InVision、Boxなどのエンタープライズサービスは、ユースケースに従って整理され、既存のWeWorkメンバーからの独自のレビューが提供されている。

WeWorkに最適化されたパートナーのツールに関しては、ユーザーたちは他の取引と同様に、WeWorkサイトからそれらのソフトウェアを購入することができる。ソフトウェアは自動的に利用者数や名前、そして請求などに関する情報を自動的に取り込む。CEO向けに、そうした取引はWeWorkの月の請求書に反映されることになる。

人びとは長い間、WeWorkは単に中小企業向けのもので、ほとんどのスタートアップはいつか自分のオフィスを確保して出ていくものだと信じていた。しかしWeWorkはServices Storeの立ち上げによって、より粘り強くなろうとしている。単純にServices Storeの利便性と割引を、メンバーを引き止める魅力にしようとしているのだ。

しかしWeWorkは自身を、中小企業と大企業の双方にとって魅力あるオプションだと自負している。

たとえば、最近WeWorkは、Microsoftとの間で、ニューヨークのMicrosoftの巨大セールスチームに対する、オフィススペースの提供ならびにWeWork会員特典の提供に関する契約を締結した

そしてServices StoreにおけるWeWorkのデジタル会員(オフィススペースは使えないが、正規会員と同様のデジタル特典を受け取ることができる)は更に魅力的だ。

WeWorkのServices Storeの開始時のパートナー数は100である。デジタルプロダクト担当上級副社長のRon GuraはTechCrunchに対して、パートナーリストはこの先も成長を続ける予定だと語った。

Guraはまた、WeWorkは現在Services Storeでは収益をあげていないと説明したが、将来の可能性については否定しなかった。

WeWorkはこれまでに約40億ドルを調達し、200億ドルの評価に達していると言われている。

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(翻訳:Sako)

コワーキングスペースのTalent Gardenが1300万ドルを調達

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今では至る所にコワーキングスペースが設立されている。しかし、WeWorkTechHubといった企業が主要国の首都圏にフォーカスする一方で、コワーキングスペースという分野がまだ発展途上の国にある「豊かな土地」に目をつけてきた企業もある。

コワーキング・ネットワークのTalent Gardenは、Endeavor Catalyst(LinkedInが支援するVC)、500Startups、そしてイタリア最大の投資銀行であるTamburi Investment Partnersなどから、1200万ユーロ(1300万ドル)を調達したことを発表した。今回の資金により同社は、イギリスやアイルランド共和国を初めとしたヨーロッパ各地への事業拡大を目指す。同社の事業拡大モデルは、北欧や東欧にある「将来有望な都市」にフォーカスするというものだ。

イタリア北部にあるBresciaという小さな街からスタートしたTalent Gardenは、過去5年間ヨーロッパ各地にコワーキングスペースを設立してきた。

実際のところ、これまで同社は運営コストが低いイタリア各地にコワーキングスペースを設立しており、アルバニア共和国の首都であるTiranaやルーマニアのBucharestにも拠点を構えている。

現在、同社はヨーロッパの5カ国(イタリア、スペイン、アルバニア、ルーマニア、リトアニア)で17のコワーキングスペースを運営しており、会員数は1500人だ。今後はドイツ、オーストリア、スイス、フランスなどにも拡大し、スペインにある施設数も増やしていくという。

同社は「TAG Innovation School」と呼ばれる教育プログラムも運営しており、コーディングやUX、Eコマースなどを学べるコースを提供している。

Talent Gardenの創業者兼CEOのDavide Dattoliは、同社は従来のコワーキングスペースのようにテック系のスタートアップのみにフォーカスするのではなく、小規模のデザイン会社やマーケティング会社などにも注力することでネットワークを築いてきたと話している。

彼によれば、同社が狙うのは「第2のマーケット」であり(つまり、ロンドンやベルリンは含まれない)、彼らのターゲット顧客はそこで働くクリエイティブ系のフリーランスや企業だという。

[原文]

(翻訳: 木村 拓哉 /Website /Facebook /Twitter