ユーザーと近くのライブイベントのマッチングのためSnapchatがTicketmasterと提携

Snapchat(スナップチャット)はTicketmaster(チケットマスター)と提携し、ユーザーがマップ内でライブエンターテインメントイベントを発見する新しい方法を開始すると、米国時間2月16日に発表した。この新機能は、新しいアプリ内のMini(ミニ)からアクセスできるようになる。Snap Minisは、Snapchatのチャットセクション内にあるサードパーティプログラムだ。新しい「Ticketmatcher Mini(チケットマッチャーミニ)」は、ユーザーの好みに基づいて、興味を持ちそうなイベントとマッチングする。

まず、ユーザーはアプリのチャットセクションにあるロケットアイコンからTicketmatcher Miniにアクセスすることができる。そこで簡単なアンケートを実施し、ユーザーの興味関心を探る。その後、アプリは、ユーザーの好みに基づいて提案されたイベントを表示し、左右にスワイプしてブラウズすることができる。同社はこれを、パートナーではなく、興味深いイベントとユーザーをペアリングする、新しいデートアプリと見なしている。

興味のあるイベントが見つかったら、友達が同じイベントにマッチングしているかどうかを確認することができる。また、そのイベントに友達を招待したり、チャットでゲストリストを作成したりすることもできる。また、ユーザーは自分のストーリーにイベントを投稿し、他の人が参加することに興味があるかどうかを確認することもできる。イベントが決まったら、チケット購入のためにTicketmasterのウェブサイトに移動する。

画像クレジット:Snap

また、マップの新しいレイヤーで、近くの会場で開催されるイベント情報を閲覧することができる。同社は、新機能「レイヤー」を通じてマップにパートナーを統合するのは今回が初めてであると述べている。同社のレイヤー機能は、Snapchatが選んだいくつかのデベロッパーパートナーのデータを直接マップに追加し、ユーザーが特定の見方で世界を見ることができるようにするものだ。

新しいTicketmatcher Miniは、オーストラリア、オーストリア、ベルギー、カナダ、チェコ共和国、デンマーク、フィンランド、フランス、ドイツ、アイルランド、イタリア、メキシコ、オランダ、ノルウェー、ポーランド、スペイン、スウェーデン、スイス、英国、米国を含む21カ国で展開されている。

今日の発表は、Snapchatが、プラットフォームが最大のクリエイターと呼ぶ、申請制のスナップスターのために、スナップストーリー中のミッドロール広告を導入する計画だと発表した数日後に行われたものだ。Snapchatの広報担当者はTechCrunchに、この機能はまだ米国に拠点を置くクリエイターの小規模なセットのための非常に初期のベータ版であるが、プラットフォームは今後数カ月スナップスターにそれをより広く展開する予定であることを語った。これらの広告は、ストーリー内のミッドロール広告として表示され、クリエイターは広告収入のシェアを獲得することになる。その支払いは、投稿頻度や視聴者のエンゲージメントなどの要素を加味した支払い方式で決定される。

画像クレジット:Snap

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(文:Aisha Malik、翻訳:Yuta Kaminishi)

息を呑むような没入型バーチャルコンサートの未来を切り開くAmazeVRが約17億円調達

コンテンツ生成ツールでお気に入りのアーティストのVRコンサートを体験できるバーチャルリアリティコンサートプラットフォームAmazeVR(アメイズVR)は、1500万ドル(約17億円)を調達した発表した。このラウンドでは、3週間で募集枠を超える申し込みがあった。

Partners InvestmentMurex Partnersがこの資金調達ラウンドを共同でリードし、Smilegate Investment、Quantum Ventures KoreaABC Partners、Everrich Group、GS Groupのコーポレートベンチャーキャピタル部門のGS Futures、We Ventures、Base Investment、Dunamu&Partners、そして既存投資家のMirae Asset Venture Investment、Mirae Asset Capital、Partners Investment、Timewise Investmentが参加した。

AmazeVRは2015年の創業以来、合計3080万ドル(約35億円)を調達しており、急成長を推進するために2022年初めにシリーズBを調達する計画だという。同社の共同CEOであるErnest Lee(アーネスト・リー)氏はTechCrunchに対し、新たな資金をさらなる従業員の採用に充てる予定だと語った。リー氏によると、AmazeVRは2021年を12人の従業員でスタートしたが、現在はハリウッドとソウルに3倍の41人を抱えている。

「当社は、関わっている(音楽、エンターテインメント、テック、ゲーム)業界から、優秀な人材を集めることができました」と同氏は話した。「これにより、VRとメタバースの人気の高まりを最大限に活用し、主要アーティストの息を呑むようなVRコンサートを、まず映画館に、そして世界中の家庭に届けるのに理想的な位置につけています」 。

ソーシャルメディアの登場で、ファンはお気に入りのアーティストにかつてないほどアクセスできるようになったが、それでもスクリーンで隔てられているのが現状だ。AmazeVRによるVRコンサートは、ファンをスクリーンの向こう側に連れて行き、お気に入りのアーティストと対面させることで人間的なつながりを生み出す、とリー氏は語る。ユーザーはアバターとして参加し、他のユーザーとぶらついたり、一緒にVRコンサートを体験したりする。

「ファンの記憶に残るのは、すばらしいVR体験ではなく、幻想的な没入感の中で好きなアーティストと実際に対面し、現実との境界線を曖昧にする、目に見えないような優れた技術を構築することが当社のゴールです」とリー氏はTechCrunchのインタビューで述べた。

ロサンゼルスに本社を置き、ソウルにオフィスを構えるAmazeVRは、JB Lee(JB・リー)氏、Steve Lee(スティーブ・リー)氏、Jeremy Nam(ジェレミー・ナム)氏、Steven Koo(スティーブン・クー)氏という、韓国のメッセージングアプリKakao(カカオ)の元幹部が設立した会社だ。Kakaoの株式市場デビュー後、グローバルなインパクトを持つ企業の設立に再挑戦しようと考えた共同創業者4人は、ソウルを離れ、VRで未来を切り開くためにシリコンバレーに移住した。

リー氏によると、AmazeVRは2015年からVR技術を開発していて、2019年末にVRコンサートに完全に方向転換したという。

同社はパンデミック以前から、VRコンサートを通じたより没入感のある音楽体験の必要性を信じていた。しかし、音楽業界は少し距離を感じ、懐疑的だった。その主な理由は、最も収益性の高い収入源であるライブコンサートのカニバリゼーション(共食い現象)に対する懸念だったとリー氏はいう。

最近では、新型コロナウイルスの大流行によって市場での採用が加速し、AmazeVRは製品とマーケットの適合性を迅速に見つけられるようになっている。音楽業界も新しい技術に対して考え方が柔軟になり、そしてVRコンサートがライブコンサートではなく、新しいカテゴリーのエンターテインメントであることに人々が気づき始めたと、リー氏は続けた。

「音楽業界はパラダイムシフトを迎え、多くの企業が次の大きなものを取り入れようとしています。ライブストリームからバーチャルコンサート、Fortnite(フォートナイト)のショーまで多くの試みを目にしました。パンデミックはこのシフトを加速させただけです」とリー氏は語った。「これらの他のすべてのソリューションは、すでに存在するものから増分価値を提供するだけであり、他のソリューションはファンにとってカバーする価値、すなわち人間的なつながりを真に捉えていません」

AmazeVRは2022年春、グラミー賞を3回受賞しているMegan Thee Stallion(ミーガン・ジー・スタリオ)氏とともに、米国内の一部のAMCシアターを巡演する初の商業VRコンサートを展開する。AmazeVRはすでに2人目のアーティストとして世界的な一流アーティストを確保し、3人目のアーティストを最終決定しているとリー氏は語った。同社初のVRコンサートツアーは、長年の研究開発の結果、独自の9Kカメラと、複雑なUnreal EngineベースのVRコンサート視覚効果(VFX)モジュールを自動化し、一度に100台以上のヘッドセットを駆動できるソフトウェアによるものだ。同社は、コンテンツ制作の規模を拡大し、2024年までに新しいVRコンサートをシアター内と自宅の視聴者の両方に毎週リリースする予定だ。

「VRコンサートがいかにインパクトがあるかは、実際に体験してみないとわかりません。VRはついに2Dの体験をすべて吹き飛ばすことができるのです。当社の技術のおかげで、スクリーンからは得られないリアルな臨場感、お気に入りのアーティストがすぐそばにいて、あなたと向かい合っているような感覚を呼び起こすことができます」とリー氏は話した。「これは音楽の新しい次元を切り開くもので、録音が登場して以来、アーティストとファンがつながる初の新しい方法の1つです。投資家がこのことを理解し、当社の革新と成長を支援してくれることに感激しています」。

画像クレジット:AmazeVR

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(文:Kate Park、翻訳:Nariko Mizoguchi

プレイも開発も、Manticoreのゲーム制作プラットフォームCoreは「メタバースの入り口」

自称「終わりなきアーケード」のCoreは、90年代のサイバーパンク熱の夢が現実のものとなったようだ。プレイ可能なゲームライブラリでもあり、ノーコードのゲームクリエイターでもある。すべてがネオンライト。この新しいプラットフォームは、誰もが最近話題にしていそうなこのメタバースのビジョンを驚くほど巧みに具現化している。

「マルチバースへのポータル」と謳うCoreは、長年の命題をテストする準備が整っている。構築すれば実現に向かう。RobloxやFacebookのような巨大企業は大規模なプラットフォームを確立しているかもしれないが、Coreはクリエイターにとってもプレイヤーにとっても非常に魅力的な基盤を築いている。

ログインすると、プレイヤーはコアの中心的なハブに移動する。そこはテーマパーク、ハイテクモール、カジノがちょうどよく交差した場所で、エンターテインメントやショッピングは重力の影響を受けずにあらゆる方向に広がっている。巨大なネオンサインに誘導され、プレイヤーは多種多様なユーザー生成バーチャルワールドに飛び込んでいく。服やゲーム内のギアを交換したり、友人を誘って自分と一緒に参加させたりするのも、ほんの数回クリックするだけで実行できる。

Coreが「Fortnite」(フォートナイト)によく似ているとしても、それは偶然ではない。Manticore Games(マンティコア・ゲームズ)が作ったCoreは、FortniteのメーカーであるEpic(エピック)のUnreal Engine(アンリアル・エンジン)で動く。Epicは2019年に同社への1500万ドル(約17億円)の投資ラウンドを主導しており、同プラットフォームはPC向けのEpic Games Store(エピック・ゲームズ・ストア)を通じてのみ提供されている。Manticoreは2021年3月、大手投資家からさらに1億ドル(約114億円)を調達し、クリエイタープラットフォームを公開した。

画像クレジット:Manticore Games

Coreはまだ誰もが知っている名前ではないかもしれないが、メタバースを熱望する人なら克服しなければならない課題の1つをすでに解決している。Coreでプレイしていたとき、ある場所から別の場所への移動の体験があまりにもシームレスで、間違った場所に迷い込んでしまったことがよくあった。これはユーザーのミスだろうと思うが、Deadmau5(デッドマウス)のショーや、肥大化したディストピアの荒れ地、アイソメトリックな海賊ゲームなど、さまざまなポータルを経由して瞬時に移動することは、こうしたゲームに10年以上携わってきた中で、最もシームレスなオンラインマルチプレイヤー体験といえるものだった。

Coreはすばらしい。メタバースのビジョン構築で最も成功した企業の1つRoblox(ロブロックス)に対して際立つ攻撃力を示している。Fortniteと同様、Coreのグラフィックは非現実的ながら、あまりにも非現実的というものでもない。Robloxの13歳以下の層は年齢を重ねている。この層はRobloxが意欲的に構想を練っているファクターだ。そしてそれほど若くないプレイヤーたちは遠からず、より成熟した雰囲気のある新しいバーチャルハウスを探すようになるかもしれない。

野心的なedgelord(背伸びをした思春期の若者のような意味のスラング)なら、Coreの豊富なカスタム衣装やアバターのセレクションに自分が真剣になるような要素を見出すだろう。あるいは子猫になるかもしれない。

画像クレジット:Manticore Games

Deadmau5、メタバースの住人

Coreのコンテンツのほとんどは、UGC、つまりユーザー生成コンテンツである。これは時代を定義するオンライン現象を象徴している、やや新しい呼称だ(頭字語から総合格闘技を連想しても自分を責めないで欲しい)。しかしManticoreには、ミュージシャンやブランドと提携し、テーマを絞ったゲーム内体験を提供する余地も十分にある。

DJとEDMのフェスティバルの常連であるDeadmau 5は先に「メタバースの恒久的居住地」として描かれた広大でカラフルな一連の体験をローンチした。Coreはその大部分がユーザー作成のゲームで構成されているが、エンターテインメントや教育にも適している。一部のユーザーはゲーム開発の講座をホストし始めたと同社のチームは指摘する。

RobloxのLil Nas X(リル・ナズ・X)やFortniteのAriana Grande(アリアナ・グランデ)のような他のバーチャルワールドの最近のショーとは異なり、Deadmau 5をテーマにしたコンテンツはデビューした後もライブのままで、探索の可用性を広げている。Manticoreのチームはこれを、コメディグループPenn and Teller(ペン&テラー)のようなパフォーマーがラスベガスで進行中のショーのためにキャンプする様子になぞらえている。しかしラスベガスと違って、パフォーマーは同時に2つの場所に滞在できる。Deadmau 5は2021年10月半ば、Ethereum(イーサリアム)ベースのバーチャルプラットフォームDecentraland(ディセントラランド)で開催される音楽フェスティバルに参加することを発表した。

筆者は早めの内覧として、Deadmau 5ことJoel Zimmerman(ジョエル・ジマーマン)氏と一緒にこのショーを鑑賞した。同氏は自身のトレードマークである巨大な動物のヘルメット(ネコだろうか?)とサイボーグの天使の翼を身にまとい、一方筆者はメタバースの小さな黒いドレスともいえる地味な黒のパーカーを選んだ。

ジマーマン氏は、Deadmau 5マウスが飾られたゲーミングチェアに座って現実世界でくつろぎながら、Coreの中をあちこち飛び回り、筆者にこう語った。「私がこれに惹かれたのは、すべてがモジュール化されていて、クリエイターたちにより多くのツールを提供しているからだと考えています」。

画像クレジット:Manticore Games

バーチャルコンサートに期待されるように、このインタラクティブなパフォーマンスには、溶けるようなサイケデリック感のあるビジュアル、ミニゲーム、ターンテーブルの耳がついた威嚇的なChain Chump(ワンワン)風マウスなどがそろっている。ジマーマン氏、そしてCoreの共同創業者であるFrederic Descamps(フレデリック・デスキャンプス)氏とJordan Maynard(ジョーダン・メイナード)氏も、筆者と一緒にこのショーを少なくとも10回は回ったが、全員が本当に楽しんでいるようだった。

ある時、筆者は溶岩に落ちたか、巨大な金属の拳の一撃を受けてコンベヤーベルトにぶつかってしまったようで、近くにはDeadmau 5をテーマにした悪役がそびえ立っていた。「死ぬことを疑似体験できる唯一のインタラクティブコンサートになると思います」とメイナード氏。このショーは、視覚的にも楽しく、創造的にもインタラクティブで、最終的にはFortniteのコンサートのようなものになっていた。

Oberhasli(オーバーハスリ)と呼ばれるこの精巧なバーチャル体験は、薄気味悪いジャングルの廃墟から、浮遊する宇宙ゴミでいっぱいの不気味な世界まで、ゲーム開発の経験のないファンたちによるユニークな世界も見せてくれる。Core Deadmau 5のパフォーマンスは10月中旬に行われ、現在はオンデマンドで、EDMをバックにたくさんの要素が詰め込まれた世界に浸りたい人たちに向けて配信される。

画像クレジット:Manticore Games

クリエイターのためのCore

後にDiscord(ディスコード)で行われた電話会議の場では、Coreツアーはあらゆる人に寄り添う形で展開されており、破壊可能な壁の裏の秘密の門を走り抜けたり、ゲームのジャンルを超えて世界を飛び回るような体験が、コードやゲーム開発経験を必要としない、驚くほど洗練されたものに仕上がっていた。Wi-Fi接続が悪かったとしても、ゲームの世界から別の世界へと移動するのにほんの数秒しかかからない。World of Warcraft(ワールド・オブ・ウォークラフト)の暗いポータルのようなものを通り抜けて、最後にはアイソメトリックな海賊船で航海に出た。

このWoW(World of Warcraft)に向けた賛同は、おそらく偶然ではないのだろう。デスキャンプス氏は、真剣な長年のプレイヤーにしかできないような、キャプチャされたゲームプレイで構築されている物語風のムービー、WoWマシニマの全盛期への郷愁に満ちていた。デスキャンプス氏とメイナード氏は以前、10年以上にわたって忠実に支持されているファンタジーMMOのRift(リフト)にも関わっていた。(メイナード氏は7人目の従業員だった。)最近では誰もがそのメタバースを称賛しているが、驚くべきことに、この分野において、何年も前から人々を結びつけてきたシームレスなバーチャルゲームの世界にルーツを持つ企業はほとんどない。

画像クレジット:Manticore Games

Coreで何かを作ることがいかに簡単かを強調すべく、メイナード氏は、私たちがプレイできる1人称視点のシューティングゲームを手早く作成した。それはドラッグ・アンド・ドロップのプロセスで、Coreのシステムを使って作られたオリジナルのゲーム内アセットの膨大なライブラリに、おそらく2分ほど入り込むだけだった。いくつかの3Dオブジェクトが用意されており、テンプレート(バトルロワイヤル、レース、ダンジョンクローラーなど)からゲームモードを選ぶと、Coreのモジュール式サンドボックスに組み込まれている洗練されたプレイ可能なゲームにほぼたどり着く。冷たい雪景色や不毛な砂漠の中でのゲーム設定も、ドラッグ・アンド・ドロップと同じくらいシンプルな操作で、環境に広がりを与えてくれる。

ゲームプレイはさておき、Robloxで目にするUGCよりCoreゲームの方が何光年も先を行っているように見えるが、プラットフォームのユーザーはそのことを特に気に留めていないようだ。ビジュアルスタイルやゲームのジャンルの広さも、他のプラットフォーム上の同じようなUGCから抜け出してきた人たちにとっては驚きに値するだろう。

コンテンツを作成するコアユーザーには、Manticoreが「perks」と呼ぶ収益化のオプションがかなり充実している。これには、ゲーム内のコスメティックアイテムの提供だけでなく、プレミアムゲームへの課金、Fortniteのようなバトルパスの販売、サブスクリプションモデルの導入などが含まれている。収益の配分は50対50で、Robloxがクリエイターに渡す25%と比べると寛大だ。また、Coreでは他のモジュール式ゲーム制作プラットフォームと同様に、誰もがクリエイターであり、開発経験は必要ではない

現在のところCoreはPC限定だが、Manticoreは2022年からiOSを含む他のプラットフォームにも展開する予定だ。ゲーム制作はPCに限定されるだろうが、同社は誰もがどこでもCoreのゲームをプレイできるようにしたいと考えている。プラットフォームにとらわれないビジョンは、初期のFortniteや最近のRobloxを確実に後押ししたものだ。

「ゲーム開発はお菓子作りに似ています。非常に正確な手順と技術が必要で、何週間もかけて繰り返し行うものです」とデスキャンプス氏はいう。しかしCoreでは、技術的なことを抜きにして、通常は長引いてしまうプロセスを数分で終わらせることが可能。残りの時間を実験やプレイに充てることができる。

「マリオカートにポータルガンを取り入れたらどうだろう?」というメイナード氏の質問にも、間違いなくその場で答えが出ただろう。

画像クレジット:Manticore Games

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(文:Taylor Hatmaker、翻訳:Dragonfly)

音楽や演者、感覚の動き・表情などで空間を即興で演出するHumanoid DJが大塚愛とスペシャルライブ

先に開催されたMicrosoft Japan Digital Days。4日間にわたるイベントでは、組織の競争力を高める最新事例とソリューションというビジネスやテクロノジーに関する130以上のセッションが行われた。

その「締め」、クロージングイベントとしてエイベックスのAI DJ「Humanoid DJ」とミュージシャン大塚愛氏によるスペシャルライブも開催された。

Humanoid DJ(ヒューマノイド DJ)」とはAI DJである「LUCY」が観客の感情を解析し、機械、データ、ネットワークとも繋がり、姿形や空間自体も変容させ一期一会な空間を演出するというプロジェクトのこと。クリエイティブカンパニー「NAKED, INC.」と総合エンタテインメント企業エイベックスが作り出したものだ。

オンラインで開催された今回は演者である大塚愛さんの表情や動き、そしてプレイヤーのキーボード演奏、さらに本イベントのハッシュタグ「#MSDD2021」が付けられたツイートを、Humanoid DJが読み取り、その場、その場で演出していく。投影されるツイート内の言葉やイメージ画像の選択し動かしているのはLUCYだ。「このシステムはMicrosoft Azure上にある。

そもそもライブイベントは一期一会なものであり、ミュージシャンが同じで演奏する楽曲は同じでもまったく同じ演奏にはならないということはあるが、即興でつくり出される空間は、できては消えていく特別なものであると感じられる。

コロナ禍で音楽イベントが、オンラインで開催された。今後、これまでのようにリアルでのライブも戻ってくるだろうが、各種イベントと同じくオンライン配信も並行して行うハイブリッド型が増えるのではないだろうか。オンラインは「生」の良さにおいては「リアルでのライブ」に負ける部分もあるが、場所を問わずに気軽に参加できるといったメリットも大きい。またオンラインであれば、アーティストが豆粒のように小さい……といった状況もないので、空間をつくり出す「Humanoid DJ」とも相性がいいはずだ。

非常に未来的な演出だが、仕組みはでき上がっていること、コロナ禍でのオンラインイベントの増加など条件は整っている。今後すぐに、さまざまなイベントでHumanoid DJの「プレイ」を楽しめるようになるかもしれない。

アマゾンとチケット販売会社が連携、非接触の手のひら認証システムAmazon Oneがイベント入場システムに採用

Amazon(アマゾン)の小売店向け生体認証スキャナーである手のひら認証システムのAmazon Oneが、Amazonの店舗以外にも広がっている。米国時間9月14日、Amazonはチケット販売会社のAXS(アクセス)が他社で初の顧客になったと発表した。AXSはAmazon Oneシステムをイベント参加者が非接触で入場する方法としてコロラド州デンバーにあるRed Rocks Amphitheatre(レッドロック野外劇場)に導入する。

Amazon OneシステムがAmazon傘下の小売店以外で利用されるのはこれが初めてだ。エンターテインメント会場の入場システムに使われるのも初となる。Amazonは、AXSは将来的にさらに別の会場にもこのシステムを導入する予定だとしたが、会場や時期についての詳細は明らかにしなかった。

レッドロックでは、来場者は入場する前に専用ステーションでAXSモバイルIDとAmazon Oneを紐づけて使う。あるいは今後のAXSのイベントでスキャナーを使用するために、入場してから別のステーションで登録することもできる。登録にかかる時間は1分ほどで、来場者は片方または両方の掌紋を登録できる。セットアップが完了すると、チケット所有者はAmazon Oneユーザー専用の入場列を利用できるようになる。

AXSのCEOであるBryan Perez(ブライアン・ペレス)氏は発表の中で「我々はAmazonと連携し、最先端のイノベーションでチケット販売の未来を作っていくことをうれしく思います。迅速さ、利便性、非接触のチケット販売ソリューションが求められる現在、Amazon Oneを我々のクライアントや業界に提供できることにも期待しています。AXSはこれからも新しいテクノロジーを導入し、イベント前、イベント中、イベント後のファンのエクスペリエンスを向上させるセキュアでスマートなチケット販売サービスを構築していきます」と述べた。

画像クレジット:Amazon

Amazonの手のひらスキャナーはコロナ禍の2020年9月、コンビニのAmazon Go(アマゾン・ゴー)で利用者が手のひらを使って支払いをするシステムとして初めて登場した。このシステムを使うには、利用者はまずクレジットカードを挿入し、次に手のひらをデバイスにかざして、掌紋と支払い方法を紐づける。セットアップが済むと、利用者は手のひらを生体認証スキャナーに1秒ほどかざすだけで入店できる。利用者がスキャナーに実際に触れるわけではないので、Amazonはこのシステムを安全な「非接触」の支払い方法として売り込んでいる(コロナ禍が続いていることを考えると、非接触なのはありがたい)。

技術面に関しては、Amazon Oneはコンピュータビジョンのテクノロジーを活用して掌紋を生成しているという。

最初の導入から数カ月間で、Amazonはこの生体認証システムをAmazon Goの他の店舗や、Amazon Go Grocery(アマゾン・ゴー・グローサリー)、Amazon Books(アマゾン・ブックス)、Amazon 4-star(アマゾン・4スター) の店舗にも拡大した。2021年4月にはWhole Foods(ホール・フーズ)の一部店舗にも導入。掌紋の登録を推進するために、対象店舗で掌紋を登録すると10ドル(約1100円)のクレジットをもらえるプロモーションも実施した

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掌紋がAmazonのアカウントとリンクされれば、Amazonは顧客のオフラインでの行動からデータを収集し、いずれ広告やキャンペーン、おすすめに活用できるようになる。データは、顧客が明示的に削除するか、または最後の利用から2年以上経つまでは、Amazonが保有する。

AXSとの契約では、AXSで登録する利用者はAXSに対して、Amazon One IDを作成する目的で自分のメールアドレスをAmazonと共有することに同意する。ただしAmazonは、AXSのイベントに参加するAmazon Oneユーザーのチケットや購入に関する情報は一切AXSから受け取らないとしている。

このシステムは非接触の支払い方法としては興味深いが、こうした分野におけるAmazonの過去の事例からするとプライバシーの懸念がある。同社は過去に生体認証の顔認識サービスを米国の法執行機関に販売したことがある。同社の顔認識テクノロジーは、データのプライバシーに関する訴訟の対象となった。また、Alexaの音声データはユーザーが自分のオーディオファイルを削除した後も保存されていることが明らかになった。

Amazonの対応としては、掌紋の画像は暗号化され、クラウドにあるAmazon One専用のセキュアな領域に送られて、そこで顧客の掌紋を生成するという。また取引がすべて処理された後で、顧客はデバイスまたはone.amazon.comのウェブサイトから登録を削除できるとも述べている。

画像クレジット:Amazon

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(文:Sarah Perez、翻訳:Kaori Koyama)

リアルな会場が再開し始める中、コンサートライブストリーミングのMandolinが約13億円調達

Mandolin(マンドリン)は6月初旬に創業1年を迎えたばかりだ。にもかかわらずインディアナポリス拠点の同社はもう1200万ドル(約13億円)のシリーズAを発表した。2020年10月初旬に500万ドル(約5億5000万円)のシード資金を調達してから間もない動きだ。コンサートストリーミングプラットフォームを立ち上げて成長させるのに、世界的なパンデミックは思いがけず幸運な時間となった。

申し込み超過だったラウンドは645 VenturesとFoundry Groupが共同でリードし、High Alpha、TIME Ventures (マーク・ベニオフ氏)といった既存投資家からの追加出資も受けた。

もちろん、世界が以前の暮らしに戻り始めた時にMandolinのような企業はどうなるのかというのは大きな疑問だ。ツアーが取り止めとなりファンやアーティストが手段を模索する中でコンサートライブストリームは確かにかなり勢いづいた。しかし今、会場が再開し始めている。

「アーティストが完売御礼の会場での公演に戻るにつれ、Live+は間違いなくライブのショーを広める、なくてはならないデジタル補完になります」とCEOのMary Kay Huse(メアリー・ケイ・ヒューズ)氏はリリースで述べた。「新規の資金調達ラウンドは、すべての公演がLive+で展開されるよう、当社の中心的なソリューションであるイノベーションの促進、新しいデジタルサービスの展開、マーケットへのルート補強に役立ちます」。

画像クレジット:Mandolin

認めよう。かなり抽象的だ。しかしこの会社は必然的な再開よりも前に会場イベントの推進を目指していた、というのが単純な答えだ。基本的に同社は公演のためのコンパニオンアプリを作りたいと考えている。

ヒューズ氏は先週Varietyに次のように語った。「早ければ年末までに、参加者の50%以上が会場にいながらデジタルで何かを体験するようになればいいと思っています。参加者に使いたいと思わせる、人の心を掴んで離さないコンテンツを制作しています」。

同社は引き続きストリーミングにも注力する。ストリーミングはヒットとなったが、パンデミック後すぐに廃れそうにはない。今回の資金調達とともに、645 Venturesのマネージングパートナー、Nnamdi Okike(ナムディ・オキケ)氏が取締役会に加わる。

「新型コロナの間、ライブストリーミングはお気に入りのアーティストのパフォーマンスを体験したいファン、そしてエキサイティングなライブイベントをファンに届けたいアーティストと会場にとってゲームチェンジャーでした」とオキケ氏は述べた。「Mandolinはこうしたエクスペリエンスを可能にするために最高のテクノロジープラットフォームを提供し、そしてこの急成長中の分野のニーズを満たすために会社を成長させています」。

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カテゴリー:ネットサービス
タグ:Mandolinライブストリーミング資金調達音楽コンサート音楽ストリーミング

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(文:Brian Heater、翻訳:Nariko Mizoguchi